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サンサーラ

1 名前:タミー 投稿日:2001年07月27日(金)01時51分04秒
はじめまして。某ゲームをもとにした小説を書きます。
サンサーラとは輪廻転生の意味をもっています。


{世界に終わりはあるのか。あるとしたら、その先にあるものは・・・?}
マキは物心ついた頃から、いつもそんなことを思っていた。
マキが生きている世界は、8つの階層に分かれた階層世界モーニング。
そんな世界の最も下にあり、世界の屋台骨とも言えるパッド村という名の階層に住んでいる。
ある日マキは、パッド村に火を放ち上の世界へと旅だった。
姉妹のように仲がよかった幼なじみのヒトミを残して・・・・・・。

「・・・・・・ゴッチン。どうしてこんな事を・・・・・・」
変わり果てたパッド村に呆然と立ちつくし、ヒトミはやっとの思いでこう呟やいた。
ヒトミはマキがいつも話していたことを思い出してた。
{人は死んだらどこに行くの?世界に終わりはあるのかなぁ。
 ・・・・・・よっすぃー、いつかこの謎を解きに二人で旅に出ようよ}
「ゴッチンのうそつき。1人で旅に出るなんてひどいよ」
「そう思うなら早くマキの後を追え。裏切りもののマキを捕らえてこい」
突然背後から話しかけられ、ヒトミは驚いて振り返った。
パッド村の村長。最高権力者のつんくが、たたずんでいた。
「ゴッチンが裏切り者・・・・・・?」




2 名前:タミー 投稿日:2001年07月27日(金)22時36分50秒
「そうだ。許可なくパッド村から逃亡し、しかも火をつけた。ヒトミは竜拳法使い見習いだったな。
マキもそうだ。竜拳法を扱うにはどこの許可がいるかわかるな」
「全8階層にあるギルド・・・」
ヒトミはうつむいたまま答えた。
ごく一部の例外を除き、ほとんどの竜拳法使いはギルドによって管理される。
未登録の竜拳法使いは盗賊も同然のクズレ竜拳法使いとみなされた。
クズレてしまえば、宿泊、食事はもとより、町の人々と話をすることすらままならなくなる。
ギルドが与える竜拳法使いの称号は、竜のごとく相手を叩きのめす殺人拳を扱う者達の免許証といえた。
免許を持たないクズレ竜拳法使いや、モグリの竜拳法使いは、危険な存在として、社会の一員とは認められず、
逆に、ギルドの竜拳法使いは人々に敬意をもって迎え入れられた。
ヒトミとマキは、竜拳法見習いで免許などまだ持っていなかった。
マキは免許を持たないまま逃亡した。クズレ竜拳法使いになってしまったのだ。
3 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月28日(土)21時38分04秒
おもしろそうです。
頑張って!
4 名前:タミー 投稿日:2001年07月29日(日)21時35分18秒
つんくは、ヒトミとマキのこれからのつらい旅や運命を思い一瞬表情が翳った。
ヒトミはそれを見逃さなかった。
{ゴッチンと闘うことになるのかな・・・・・・。でも私も世界の謎が知りたい。
誰もたどり着いたことがない第8階層に行ってみたい!}
ヒトミの表情はわずかに明るくなった。
つんくはふっと笑って、ヒトミに言った。
「免許がいるな。本来なら1ヶ月かかるが、そんな悠長な時間はない。ナーガ霊園に行って来い。
おまえに試練を与える。見事クリアしたら晴れて竜拳法使いだ」

ナーガ霊園。そこは死んだ者達が魂となってたどりつく場所。
岩石を掘り拓いた石窟霊園。
逆ピラミッドの起伏に富んだ迷路を抜けてヒトミはようやく入り口にたどりついた。
あたりはヒトミが地面を踏む音しか聞こえない。神秘的なこの世とは思えない雰囲気に軽いめまいを覚えた。
霊園の中はあちこちに埋葬された竜拳法使いの墓がある。
ヒトミはつんくからもらったお供えのヨウカンを、一番大きくて異様な雰囲気に包まれた墓へ供えた。
5 名前:タミー 投稿日:2001年07月30日(月)01時18分17秒
名無しさんへ
ありがとうございます。なんだか非常に長くなりそうです。
モーニング娘。には合わないような哀愁漂う内容なので最後まで書く自信はないですが、頑張ります。
6 名前:タミー 投稿日:2001年07月31日(火)02時45分14秒
あはははは。
突然高笑いが響きわたった。
目の前に現れたのはヒトミより10歳くらい年上の大人びた女性。
「あのー。あなたは・・・」
と言いかけたところで神速の蹴りが飛んできた。
「うっうわっ・・・」
油断して避けるのが一瞬遅れたヒトミは、つま先にかすられ脇腹に激痛を感じた。
わき腹をおさえて構えたヒトミを見ながら女は話しはじめた。
「世界には、様々な竜拳法使いがいる・・・がすべてはたった一人の人間から、始まった。いくつもの竜拳法使いの誕生・・・
それらはすべて最後の竜拳法使いを生み出すための、長く遠い道のりだったにすぎない。最後の竜拳法使いはすでに生まれた。
その意味するところを考えろ・・・」
「えーと、その・・・・・・あなたはいったい何者なのですか」
ヒトミはあまりに意味不明な言動をする女性に、かなりとまどいながら答えた。
女は、ふっとヒトミに微笑みかけた。ヒトミに攻撃してきた時とはうって変わってその目は愛情に満ち優しかった。
「私はユウコ。アンタがこの地へ来るのを遠い昔からずっと待っていた。マキはもう第1階層にはいないよ。
早く上へ行きなさい」
ユウコは言い終わると青白く光る球を残して消えた。
ヒトミがその球を握りしめると脇腹の痛みがわずかに消え、体力も少し回復したような気がした。
{なんだろうこの球?試練は終わったの?帰ってもいいのかな?}
ヒトミは混乱しながら、パッド村へと歩きだした。

7 名前:パク@紹介人 投稿日:2001年08月01日(水)12時39分06秒
こちらの小説を「小説紹介スレ@銀板」に紹介します。
http://www.ah.wakwak.com/cgi/hilight.cgi?dir=silver&thp=992877438&ls=25
8 名前:タミー 投稿日:2001年08月01日(水)20時53分43秒
「この球すごいよ」
ヒトミがパッド村に着いた時には脇腹の痛みは完全に消えていた。
「またユウコさんが現れたらお礼を言わないとね」
ヒトミはウキウキとつんくの元へ向かった。ユウコに攻撃されたことなど、全く忘れているようだった。

「無事に戻ってきたな」
つんくはヒトミの顔を見るなり安堵の表情を浮かべる。もしヒトミがユウコの攻撃をまともに食らっていたら、二度とパッド村には戻ってこれなかっただろうから。
ヒトミに免許証と袋にぎっしりと詰まったお金を渡す。
「これでヒトミも立派な竜拳法使いだ。さあ行って来い。マキを追いかけろ」
「はいっ、行って来ます。つんくさん、すぐにマキとこの村へ戻ってきますからね」
ヒトミはパッド村の中央にあるナーガ神殿へと向かった。ナーガ神殿にあるタオに乗れば第2階層に行ける。
つんくはその後ろ姿を見えなくなるまで見つめ、そしてこう呟いた。
「ヒトミ・・・もう二度と会うことはないだろう・・・・・・」

9 名前:タミー 投稿日:2001年08月07日(火)17時25分21秒
パッド村は全焼したというのに村の中央に立つナーガ神殿は無傷だった。
中に入るとたくさんの僧侶と尼に迎えられた。僧侶たちは、まっすぐタオへと向かうヒトミを見つめ複雑な表情を浮かべている。
ヒトミがタオに乗って第2階層に行けば自分たちがどんな運命をたどるのか悟っているのだ。
タオの前に一人の尼がたっていた。尼はひとみに語りかける。
「あなたのこれからの旅は非常に厳しくつらい。出会いと訣れもたくさんあるはず。」
ヒトミはそれに自信を持って答えた。
「わかってます。どんなことがあっても耐えてみせます!・・・わっ?」
尼はヒトミが言い終わると同時に、ヒトミをタオへ突き飛ばした。ヒトミはびっくりしてタオの上に尻餅をついた。
タオは丸い円盤状で太極が描かれており、それぞれ目的の地へワープしてくれる。
尻餅をついた瞬間ヒトミは消えてしまった。
ヒトミはタオとタオを結ぶ狭間にいた。自分の体が縦にゆがんだり、横にゆがんだり奇妙な感覚を覚えた。
少しでも気を緩めると意識を失ってしまいそうだった。もし意識を失えば永遠にこの狭間からはでられないだろう。
怖くなって、ぎゅっと目を閉じた。
10 名前:タミー 投稿日:2001年08月18日(土)01時13分38秒
目を閉じると、急に意識が朦朧となった。その時、小さな手がヒトミの手を力強く握ってきた。
かすむ目を辛うじて開けると、長髪の少女が自分をみていた。

非常なほど気分が悪かった。閉じた瞼の上に無数の星が飛び、体を思いきり揺さぶられてる感じが、つま先から脳天まで駆けめぐっている。
気を失っている間に、あらかたの内容物をぶちまけていた。しかし、なおも胃から痙攣を繰り返している。
横たわっている体に、柔らかいふわっとした感触をかすかに感じた。
「痛て!」
ヒトミは頭を振った。その瞬間、頭痛と嘔吐感に襲われた。
「あの・・・、大丈夫?」
もやもやした頭の中にかわいい声が響いてくる。
「・・・・・・・・・?」
ヒトミは必死の思いで目を開き、声の主を確認する。あのとき自分の手を握ってくれた女の子だった。
11 名前:タミー 投稿日:2001年08月20日(月)00時41分37秒
「うぅ・・・・・・」
最悪の二日酔いに匹敵する、頭痛と吐き気に耐えながらヒトミは上半身を起こした。
「まだ起きてはだめだよ・・・・・・ヒトミちゃん」
「へ?何で私の名前知ってるの?」
目の前にいるアニメ声の少女とは初対面なのに、自分の名前を知っていることにヒトミは驚いた。
びっくりしているヒトミを前に少女は答えた。
「マキちゃん知ってるよね。ヒトミちゃんと同じようにタオの中で苦しんでたのを助け出してあげたの。そのマキちゃんから
ヒトミちゃんのことを聞いて・・・・・・。必ず自分のあとを追ってくるから、助けてあげてって頼まれたの」
「ええっ!もしかしてゴッチンここにいるの!?」
ヒトミは頭痛も忘れて少女の肩を強く掴んで叫んだ。
「・・・ヒトミちゃん痛いよ」
「あ・・・ごめん」
「マキちゃんはもうここにはいないよ。逃げるようにここから出て行ったもん。そんなことよりヒトミちゃん。
私も上の世界が観たいの。お願い一緒に連れて行って!」
「ヘぇ?ちょっと待って・・・」
ヒトミが答えようとしたのをさえぎって、少女はさらに話を続けた。
「私のことはリカちゃんってよんでいいよ。ヒトミちゃん。」
「・・・・・・。」
ヒトミはしばらく呆気にとられていた。

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