インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板

ちゃむウォ−ズ

1 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月11日(土)16時34分26秒
ちゃむ争奪戦を書こうと思います。
もとネタは某コミック『〇ージンウォ−ズ』っす。
常識はかなり無視してるんでお気楽なアホ小説として
読んで頂けると幸いです。
2 名前:第0話 ちゃむ’S HISTORY 投稿日:2001年08月11日(土)16時37分34秒
私には小さい頃から少しだけ不思議な力がある。
始めはホントに些細なもので、ちょっと勘がイイ程度のものだった。
例えば授業中に誰が当てられるかなんとなくわかっちゃう…
そんな程度。

でも、その力が最近なんだか強くなってる気がしている。
なんていうか、勘がするどくなったっていうのかなぁ…。
ま、日常生活に支障があるわけでもなく普通に過ごしてきた16年。
今年で私も高校二年。
平凡ってーのがぴったりな日々を暮らしていたわけっす。

ま、ちょいと家庭環境は変わってたけどそんなの全然問題じゃなかった…
はずなのに!!
3 名前:第0話 ちゃむ’S HISTORY 投稿日:2001年08月11日(土)16時38分30秒

私には物心ついた頃から両親という存在がなかった。
でも、特にそのことに関して疑問は抱かなかった(いいのか、自分(汗))
何でかっていうと、私には最愛の姉がいたから。
覚えている記憶の限りでは、私はいつも姉といた。
姉はなかなか変わり者で確か中学に入る前には当時としてはそれは珍しい
鼻ピアスをしていた。(校則はいいんかい!?とも思った)
家事がてんで苦手でそれらはほとんど私の仕事で、家にはろくにいないし
何の仕事してるかも教えてくれない癖に私には超厳しくて、毎日七時までには
帰宅させられていた。(家にいないくせに何故かばれるんだよね…)
4 名前:第0話 ちゃむ’S HISTORY 投稿日:2001年08月11日(土)16時39分42秒
ま、そんな結構最低な姉だったけど、一応養ってもらってるし、
何より私の力の事知ってても何も言わないし、いたって普通、
むしろこき使われてたけど…。
ま、好きだった。なんか怪しいけど信頼してたし。

ちなみに姉の名前は石黒彩。
私とは義理の姉妹らしい。
詳しい事は知らないし、なんか(ま、いっか)って感じだったし。
姉が働く前までの私達の生活費がどこからでていたのか、
何故、幼い二人暮しをしなくてはいけなかったのか。
疑問はつきないが、(ま、いっか)って感じっす。
そんなわけで今日まで私、市井紗耶香は生きてきたわけであります。
今日まではね…
トホホ……
5 名前:第1話 ちゃむフ−ゾクに売られる!? 投稿日:2001年08月11日(土)23時25分28秒
いつもの学校の帰り道。時計を見ると七時十分前。
今日は何だか嫌な予感がずっとしてるんだよね。
何なんだろう。とにかく早く帰ろう。

ボロすぎず、綺麗でもない普通のアパート。ここが私の家。
「ねーちゃん!!ただいま〜!!っていないかぁ?」
いつものように玄関を開けて家に入り電気をつけると、
ない……
何もない……
「なんじゃこりゃ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
マツダユウサクも顔負けだったろう雄叫びを発した16歳、女子高生。
6 名前:第1話 ちゃむフ−ゾクに売られる!? 投稿日:2001年08月11日(土)23時26分17秒
とにかく何もない。家財道具一切。カーテンまでないよ…
オイオイ、こりゃ夢かよ。
茫然自失の私の足下には一枚の紙が落ちていた。
拾い上げて読んでみると、それはまぎれもなく姉の字で…
『ゴメン。あとは頼んだ!! 彩』
何、なんなんだよ。嫌な予感ってこれかよ。
ちょっとひどすぎないか?
いや、っつーか何でこんなんなってんの?
分らない…何も理解不能……

茫然としている頭が現実に引き戻されたのは、玄関をノックする音だった。
ふらふらと玄関へ行き、ドアを開けるとそこには
ナ〇ワ金融道の桑田さんのようなおじさんが…
7 名前:第1話 ちゃむフ−ゾクに売られる!? 投稿日:2001年08月11日(土)23時27分00秒
1時間後、
「ま、あんたも若いのに大変だと思うがのー、器量もよしなことやし
頑張って客取ればすぐに返済できるわ。そういうことやから、よー考えと
いてや。ああ、逃げようったって無駄やで。あんたの身柄はわしらが
おさえとるからな。」
ガハハと笑うと桑田さん(似のおじさん)は帰っていった。
まさか、ナニ金の世界が私の身にふりかかるとは……

どうやら桑田さん(似のおじさん)によると話しはこうらしい。
私の姉、石黒彩は帝〇金融に百万の融資を受けたが、その返済の
メドが立たず、借金はとうとう一億に達し……
…はぁ、逃げたらしい。
そんで、その矛先は唯一の身内である私に向けられ、
ま、つまり体で返せってことなんすよね。
8 名前:第1話 ちゃむフ−ゾクに売られる!? 投稿日:2001年08月11日(土)23時29分57秒
「はぁ〜〜、フ−ゾクか…フ−ゾクって…
口でやったり、手でいったり、自分でやったり
本番OK…だったり……のフ−ゾクのことっすよね。」
自問自答してたら顔に縦線落ちてきちゃったよ(泣)

(いっそ死んじゃおっかなぁ…)
(いや、いかんぞ紗耶香!!こんなことで死んじゃ!!)
「そうだよ!死ぬくらいならフ−ゾクの方がましだ〜〜〜!
いくしかないじゃん!!いくわ!!フ−ゾク!!」

悲しきかな華の16歳、市井紗耶香。
さらば、我が青春…
え〜ん、やっぱやだ……(泣)
9 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月11日(土)23時36分23秒
とりあえずばばーっとマエフリ&第1話まで載せてみました。
メンバーの年齢設定かなりいい加減なんですが許してください(汗

新旧メンバー全員だせたらいいな〜、なんて…
主役はあくまでちゃむなんですが(苦笑
10 名前:第二話 ちゃむLast School Life!?(前編) 投稿日:2001年08月12日(日)03時35分28秒
朝、いつものように学校に向かう。
(はぁ、あの借金取りの人また明日の夜くるって言ってたよなぁ…
私の高校生活も明日までかぁ…高2になって三ヶ月あまり…)
なんて考えながらとぼとぼ歩いていると、
「紗耶香っ♪」
私の親友、矢口真里が駆け寄ってきた。
矢口は私よりも1個上の先輩なんだけどすごくウマがあって、
一番の友達。
(あ〜、でもこればっかりは矢口にも話せないよな…
っつーか、矢口とももう会えないのかなぁ…)
「どうした〜??紗耶香暗いぞ〜」
「え、ああ。ごめん…ちょっちね。はは…」
なんかとてつもなく不幸な気分になってきたよ。
ああ、もう学校着いたなー、なんて考えてると、
「紗耶香〜、悩みがあるんなら矢口に言いなさい。力貸すよ!!」
うー、矢口〜。優しいよなぁ…。
「うん。ありがとね、や…」
矢口と言いかけたとき、一台のリムジンが校門の前に止まった。
11 名前:第二話 ちゃむLast 投稿日:2001年08月12日(日)03時36分51秒
「あ♪よっすぃーだよ、紗耶香!!」
リムジンから降りてきたのは私の通うモーニング女学園(変な名前)
の人気1、2位を競う吉澤ひとみ。
まだ、1年だというのに、入学早々大人気だ。
ま、ルックスもいい上に金持ちなんだからそりゃそうだって。
矢口も他の生徒同様吉澤に夢中で、私の手を引っ張って吉澤のもとへ
駆け寄った。
「おはよん、よっすぃー」
身長の低い矢口と高い吉澤が並ぶとなんだか不思議な光景だが、
これはこれでお似合いかな、なんて思う。
「おはようございます。矢口さん」
吉澤は私の方を向くと少し顔を赤くして
「い、市井さんも…お、おはようございます」
「あ、吉澤。おはよう」
そういうと吉澤ははにかんだように微笑んで、ぼーっとしていたが、
矢口に腕を取られてやっと歩き始めた。

何か、吉澤って会ったときから私に対してだけ、ぎこちないんだよね。
私怖がらせるようなことなんかした覚えないんだけどなぁ…。
12 名前:第二話 ちゃむLast 投稿日:2001年08月12日(日)03時37分59秒
吉澤の乗ってきたリムジンが走り去ると続けざまにロールスロイスが
校門に止まった。
ガチャっとドアの開く音と共に猛烈なダッシュの足音。
(うう、今日もくる……)
「いっっっちいちゃぁぁぁぁぁあん!!!」
どっごおおんと背骨が砕けんばかりの勢いで私の背中にタックルをかまして
きたのは、後藤真希。
彼女もまだ1年ながら類いまれなオーラで周囲を魅了し(矢口談)、
吉澤と人気、財力ともに1、2位を競う…らしい。
私ははっきりいって興味ないし、何より毎朝痛い…。
そう、この後藤は入学してきてからというもの何かと私を付け回し、
果てに、毎朝『愛のタックル』(矢口談)なるものをかましてくるように
なった。
よけてもよけても何故か必ず後藤は私の背中に的確にヒットしてくる。
何が愛なんだよう…。私は毎朝これのせいで一時呼吸停止に陥るのに(泣)

「だめだよ、ごっちん。市井さんにそんな凶暴なことしたら!」
「そうだよ〜、ごっちんはもっと愛情表現を上手にしなきゃ♪」
「いや、矢口さん、そうじゃなくて…」
「てへっ♪」
てへっ♪じゃねーよ、後藤。
「じゃ、行こう。いちいちゃん。」
うずくまる私を起こし、私の腕に両腕を絡ませ歩く後藤。
13 名前:第二話 ちゃむLast School Life!?(前編) 投稿日:2001年08月12日(日)03時40分15秒
しかし、何で後藤はこんなに私につきまとうのだろう?
吉澤と後藤が友達で、矢口と吉澤が仲良しでその矢口の親友が私。
だから私も後藤の友達…?
ま、いいけど。
私の周りには金持ちが何故か多い。しかも半端じゃない。
何気に矢口もかなり金持ちなんだよね。
あぁ、金といえば…私明日でこんな毎朝の光景ともお別れなんだよなぁ。
毎朝後藤から瀕死のタックルくらって、何故か吉澤、後藤ファンから
イジメらしきものをうけたり。担任の中澤先生にセクハラされたり…。

………超不幸じゃん(泣)
ま、それでも矢口に会えたし、それなりに楽しいことあったし…。
やっぱ寂しいなぁ。はぁ。
「どうしたの、いちいちゃん?ため息なんかついちゃって」
後藤が顔を覗きこんでくる。
「んー、何かセンチメンタル南向きって感じ」
「あはっ、なにそれ〜」
「紗耶香!それ矢口のネタ〜!!」
「矢口さん、ネタって…」
14 名前:第二話 ちゃむLast School Life!?(前編) 投稿日:2001年08月12日(日)03時42分31秒
『!!』
「後藤、ボール!!」
感じた。後藤の頭の後ろにボールが飛んでくるって。
咄嗟に叫んで振り向いた。
しかし、飛んできたテニスボールは後藤の後頭部直前で弧を描きポテンと
地面に落ちた。
「ん?どしたの?いちーちゃん?」
(あれ?予感がはずれた?っつーか、ボールが曲がったように見えたけど…)
「どしたの、紗耶香?」
矢口も声をかけてくる。
「あ、ううん。なんでもないや。ごめんね」
(気のせい…だよね)
吉澤だけは何か神妙な顔つきをしていたけど、会話の中ですぐにそれは消えて
いった。
15 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月12日(日)03時48分15秒
第2話書き上げたらめちゃくちゃ長くなったんで
前、中、後とわけました。

とりあえず3話まではできているんですが
一気に載せるのと小出しにしていくのと
どちらがいいんでしょうか?
意見をお聞かせ下さい。

11、12のタイトルで[School Life!?(前編)]
が抜けているので訂正っす。
16 名前:かんかん 投稿日:2001年08月12日(日)05時06分19秒
おもしろいっす♪
超期待っす!!
続きは早く読みたいな〜
17 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月12日(日)18時07分28秒
いい!すごくいい!!
いっきにきてください(w
18 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月12日(日)23時10分00秒
訂正です。13と14の間がひとつ抜けてました。
13、14は無視してください。(汗
19 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(前編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時12分39秒
しかし、何で後藤はこんなに私につきまとうのだろう?
吉澤と後藤が友達で、矢口と吉澤が仲良しでその矢口の親友が私。
だから私も後藤の友達…?
ま、いいけど。
私の周りには金持ちが何故か多い。しかも半端じゃない。
何気に矢口もかなり金持ちなんだよね。
あぁ、金といえば…私明日でこんな毎朝の光景ともお別れなんだよなぁ。
毎朝後藤から瀕死のタックルくらって、何故か吉澤、後藤ファンから
イジメらしきものをうけたり。担任の中澤先生にセクハラされたり…。

………超不幸じゃん(泣)
ま、それでも矢口に会えたし、それなりに楽しいことあったし…。
やっぱ寂しいなぁ。はぁ。
「どうしたの、いちいちゃん?ため息なんかついちゃって」
後藤が顔を覗きこんでくる。
「んー、何かセンチメンタル南向きって感じ」
「あはっ、なにそれ〜」
「紗耶香!それ矢口のネタ〜!!」
「矢口さん、ネタって…」
「元気だしてよ、いちいちゃん♪」
ぎゅうっと私の腕を強く握る後藤。骨がきしむ…
…痛い(泣)
20 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(前編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時14分50秒
「そうだ!じゃあ市井さんに元気出してもらう為に放課後遊びませんか?」
「うん!いいねぇ。いちいちゃん行こうよ」
吉澤の提案を優しい矢口が
「あ、でも紗耶香のとこお姉さん厳しいんだよね…」
と気をきかしてくれるが、今の私にそんな気遣いは無用なのよ。
(その厳しい姉の借金の肩代わりにフ−ゾクに売り飛ばされるとはね…)
「いや、もうねーちゃんのことなら平気なんだ。だから行くよ」
「ホントに??んじゃ、いこっか」
「わーい♪いちいちゃんと遊べる〜」
「市井さんと…」
なんか微妙に顔の赤い吉澤が気になるけど、私の為に遊ぼうなんて
言ってくれるってことは嫌われてはないのかな。
あ〜!どうせ最後なんだから思いっきり遊んでやる〜!!
21 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(前編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時16分38秒
『!!』
「後藤、ボール!!」
感じた。後藤の頭の後ろにボールが飛んでくるって。
咄嗟に叫んで振り向いた。
しかし、飛んできたテニスボールは後藤の後頭部直前で弧を描きポテンと
地面に落ちた。
「ん?どしたの?いちーちゃん?」
(あれ?予感がはずれた?っつーか、ボールが曲がったように見えたけど…)
「どしたの、紗耶香?」
矢口も声をかけてくる。
「あ、ううん。なんでもないや。ごめんね」
(気のせい…だよね)
吉澤だけは何か神妙な顔つきをしていたけど、会話の中ですぐにそれは消えて
いった。
22 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(中編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時18分21秒
授業も滞りなく終了し、放課後になる。
矢口が教室に私を呼びにきてくれた。
「紗耶香〜、今日はカラオケだよーん」
「りょ〜かい。あ、でもちっと部活休むって言ってくるから皆と校門
のとこで待っててもらえる?」
「ん、いいけど。でもいいんじゃん?このままふけちゃえば〜」
「あ〜、先生が後で色々うっさいからさ」
「そっかそっか。紗耶香のとこの顧問ゆーちゃんだもんねぇ」
「うん…」
思わず矢口と顔を見合わせてため息をついてしまう。

そう、私の所属する剣道部の顧問は中澤裕子という破廉恥極まりない
化学教師なのだ。
ま、破廉恥っつてもいきなりキスしてきたり、スカートまくったり
ってな程度のもんなんだけど、私と矢口は何故か気にいられてしまって
結構困ったりする。
いいとこもあんだけどなぁ……
やっぱ気が重いっす。
23 名前: 第2話 ちゃむLast School Life!?(中編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時20分17秒
化学研究室の前。コンコンと2回ノックすると、
「入ってええでー」

ゆーちゃんの声が聞こえてくる。この先生はかなりラフな人で自分のことを
『ゆーちゃん』と生徒に呼ばせている。
そのせいもあってかなり生徒には人気があるらしい。(矢口談)

「なんや、紗耶香か。どうしたん?」
「いや〜、あの今日の部活急用があってでれないんで休んでもいいですか?」
「なんやって。うーん。じゃ、ちゅー1回で許したる」
(ゲ…もう、だからゆーちゃんってやなんだよう)
なんて困ってると、
「はは、冗談やって。ええで」
(はぁ〜、らっきーだった…)
「すいません。じゃ…」
と帰ろうとすると、研究室の奥の方でボンッという爆発音が聞こえてきた。
24 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(中編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時21分19秒
「きゃ〜」
「なんやー、なっちまた失敗したんかぁ」
あきれた感じのゆーちゃんの声が聞こえる。
ちなみになっちはゆーちゃんの授業の助手をやってる安倍なつみさんという
可愛らしい人だ。
「ごめんね、ゆーちゃん。なっちいつも失敗ばっかで全然役に立たないよ」
どうやらなっちは相当落ち込んでいるみたいだ。
「ええよ、ええよ。なっちにええとこあるのうちはよーく分ってるから」
ちょっと研究室を覗いてみるとゆーちゃんがなっちの頭を優しく撫でている
のが見えた。
(うーん、やっぱちょっとはいい先生かな…やさしくて、おとなだ。
あー、ゆーちゃんとも明日でさよならか…)
25 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(中編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時22分23秒
ちょっと落ち込み気味で校門まで歩いて行くと、途中のテニスコートの
辺りに吉澤を見つけた。
どうやら誰かと話しをしてるみたいだ。

「今朝のあれ、梨華ちゃんでしょ?」
「え、う…ん。」
「なんであんなことしたの?ごっちんだったからよかったものの…」
「あのね、中澤先生に頼まれて…本当は市井さんを狙ったの…」
「え!?市井さんを!?しかも中澤さんが?」
「ひとみちゃんも聞いたでしょ?市井さんが叫んだの」
「うん…。それはびっくりしたけど…。でも危なすぎるよ!」
「反応が無い時は私が止めるつもりだったの…でもボールも軌道を
はずれちゃったし、確かなことは分らないけど…」
「分らない限りは何もするべきじゃないよ!!私は…」
26 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(中編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時24分53秒
(うーん、なんか込み入った話しみたいだなぁ…どうしよう
しかも『市井さん』って聞こえたしなぁ。どうしよ)
その時、梨華と呼ばれた少女が私に気付いたみたいで
「ひとみちゃん、市井さんいるよ」
と、言ったので二人の会話は終わったみたいだ。
「あ、市井さん。今いきまーす。さ、梨華ちゃんもいこ」
「あれ、この子も今日は一緒?」
「はい、今日はよろしくお願いします。私、石川梨華って言います。
ごっちんとひとみちゃんとは幼馴染みなんです」
「あ、そうなんだ。私は市井紗耶香。よろしくね」
(っていっても明日にはお別れか…)

そんなわけで三人で校門へ向かうと後藤と矢口が待っていた。
後藤は私の方に駆け寄ってくると私の腕をとって
「おっそーい。早くいこーよ」
と私を引っ張って歩き始めた。
27 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(中編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時25分50秒
後ろのほうでは微かに吉澤と石川の声が聞こえた。
「とにかく梨華ちゃん、中澤さんには協力しないでほしい…」
「うん…そうするよ。どっちにしてもひとみちゃんかごっちんの方が
私もいいもん」
「ありがと…」
(んー、全然話しがわからん…とりあえず吉澤がゆーちゃんの事中澤さん
って呼ぶの変だよな。ま、いっか)
そう、もう関係なくなっちゃうんだからさ、今日は楽しもうぜ!私!!
28 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(中編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時27分44秒
そんなこんなでカラオケBOXへやってきて飲めや歌えやの大騒ぎ。
あー、矢口なんて完全に酔っちゃって吉澤に甘えまくってるよ(苦笑)
「ねーぇ、よっすぃーの好みの人ってどんな人?」
「え〜と、そうですねぇ…」
ありゃりゃ、吉澤困ってるねぇ。何かいいなあこういうの。
もっとこういう感じ楽しんでたいなぁ。
石川も話してみるとなかなかおもしろいし。(ちょっと寒いけど)
ちょっと壊れて
「チャーミーでーす☆」
とか言っちゃってるし。あー、何か楽しいなー。
後藤は食べるのに忙しそうだし…
(こいつらしいや)
「ふぇ?いひーひゃむへはむひょうひひふ?」
「は?後藤、話すときくらい食べるのやめなさい。何いってんのかわからん」
んぐんぐと食べ物を飲み込みと後藤はふにゃっと笑って
「ごめんね。んで、いちいちゃんって誕生日いつ?」
「え?誕生日?12月31日だけど…」
その瞬間、なんだか部屋の空気が一瞬変わった気がした。
29 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(中編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時29分19秒
「ほんとに12月31日生まれ?」
後藤が真剣な顔で聞いてくる。なんじゃこいつは。
「そんなんウソついてどーすんのさ」
「あはっ、そりゃそーだね。そういえば市井ちゃん全然飲んで無いじゃん。
もっと飲みなよー」
(うーん、一体何なんだ?さっきの空気といい…ま、いっか。明後日からは
立派なフ−ゾクギャルなんだから酒くらい飲まなくちゃ!!)
「おーし!!飲むぞー!!後藤もっとがんがんよこしなさーい!」
なんて調子こいてガンガン飲みまくってしまった私。
30 名前:第2話 ちゃむLast School Life!?(中編) 投稿日:2001年08月12日(日)23時30分05秒
そんな感じで数時間後…
「矢口さーん、矢口さーん。ああ、困ったなァ」
吉澤の声が遠くに聞こえる。
「矢口さんも梨華ちゃんも完全に眠っちゃってるよ…」
「じゃあ、やぐっつぁんと梨華ちゃんはよっすぃーが送ってあげてよ
家近いでしょ?」
「う、うん…。じゃあ、市井さんはごっちんが?」
「うん!あたしが責任もって朝まで世話するよ!」
「朝まで!?それは許せないな。やっぱ市井さんは私が送る」
「でもさー、やぐっつぁんがよっすぃーの服つかんではなさないでしょ?」
「ぐ…。絶対、市井さんに何もしないって誓う?」
「誓う、誓う。あはっ」
「う〜〜〜〜〜〜〜ん。じゃあ、ごっちんを信じるからね!
市井さんに何かあったら許さないよ!」
「うーん、よっすぃーはいちいちゃんが絡むと怖いなぁ。だいじょぶよん、
あたしだっていちいちゃんには力抜きで惹かれるもん」
(力ってなんだよー。うー、もう眠くてだめだなぁ…)
31 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月12日(日)23時39分20秒
何か話しがダラダラ進んでますが気長におつきあい頂けると嬉しいっす。

>かんかんさん
ありがとうございます。
なるべく更新は早めにできるといいなとは思ってるのですが…
とりあえず今のところはまだタメがあるんでいけるかな(汗

>ぐれいすさん
いっきにいっちゃおうと思ったらサーバーが重い(泣
とりあえず中まではいけました(^_^;
32 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年08月13日(月)03時50分21秒
タイトルに惹かれて読み始めましたがすごく面白いっすね!!
何やら謎らしきものもあるみたいだし…。
続きが非常に楽しみです!!
33 名前:第2話 ちゃむLast School life(後編) 投稿日:2001年08月13日(月)19時03分27秒
うー、なに?
私の上に…なんかいる?
「よっすぃーには悪いけど、やっぱいちいちゃんはあたしのもの」
んと…後藤の声?
はっと目をあけると私の上には馬乗りの上半身はだけた後藤がいた。
(なっ……なんだこりゃ?)
自分の姿をみてみると私も制服のワイシャツのボタンがはずされてて
ブラ丸出しで。
そんでもって何だかここは異常に高そうなホテルの一室って感じで…
そして迫りくる後藤の顔。
「いや?」
濡れた子犬のような目でみつめてくる後藤。
(いや?って何?えっとこれは〜?)
私の唇にそっと触れる後藤の唇。
(これは…キスってやつっすか?そんでこのシュチュエーションって…)
優しく微笑む頭上の後藤。
(もーいいや。だれでも…なんか後藤優しそうだし。フ−ゾクいって
知らないおっさんにやられるよりずっとマシだよ…
……せめてバージンくらい普通のシュチュエーションで……)
また瞼が重くなってきた…。
34 名前:第2話 ちゃむLast School life(後編) 投稿日:2001年08月13日(月)19時04分36秒
………
………
急にパチっと目が覚めた。
(え!?私、確か後藤と…)
がばっと起き上がるとブラははずされているもののスカートもそのままだった。
「やってないよん」
前方から後藤の声がする。
顔をあげるとそこは、鉄球が打ち付けられたような跡が壁のいたるところに…
窓ガラスには激しいヒビ、装飾のギリシャ風の柱が無惨に折れていた。
(まじっすか!?)
「やっとみつけた。やっぱ運命の人だった…いちーちゃん…」
ベットの向かいにあるソファに腰掛けていた後藤はそう呟くと
ふにゃっと笑った。

何が何やらさっぱりわからないまま私は家に送られた。
後藤に何を聞いてもただにこにこ笑って私の手を握っているだけだったし。
ただ
「あの部屋のことはいちーちゃんは何も気にしなくていいからね♪」
それだけ言って後藤も帰ってしまった。
一体あれは何なんだよ。
何が起ったんだ!?私のせい…?だよなぁ…。
私が暴れたとか?
わからん。記憶がない…。
こんなんでフ−ゾクやれんのか……。
35 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月13日(月)19時09分01秒
後編めっちゃ短い…(汗)

>ちゃむ好きさん
ありがとうございます。自分もちゃむいちおし☆
でもこの話し、後藤と市井の配役を変えてもいいかなぁと思います(汗)

内容はほとんど同じになるけど反対バージョン読みたい人いますかねぇ?
リクがあったらどこかに載せたいと思うです。

では、3話もどうぞ。
36 名前:第3話 ちゃむの値段は1億円!? 投稿日:2001年08月13日(月)19時10分09秒
そして次の日の朝。
学校につくやいなや吉澤が走り寄ってきた。
「市井さん、昨日は大丈夫でしたか!?」
「え?あ、うん」
「よかったーーー」
吉澤は両手を両膝につきホォ−っと息を吐いた。
何かこんなに心配してくれて吉澤っていい子だなぁ。
「吉澤、心配してくれてありがと。嬉しかった」
そう言って微笑みかけると、吉澤はボンっと顔を真っ赤にして立ち尽くして
しまった。
(うーん、やっぱり変なやつ)
少し遅れて矢口がやってきた。
「紗耶香〜!昨日はごめんね!私も調子に乗って飲み過ぎちゃったよ」
「いいよ、いいよ。カラオケはすごい楽しかったもん」
(そのあとの記憶はあまりないがね……)
「それならいいんだけどさ。ところで今日はごっちん『愛のタックル』
しにこないねぇ」
そういえば、後藤は携帯で何かを指事しているようだ。

昨日のことといい、ホント後藤の考えてることはさっぱりわからない。
私達の視線に気付いたのか後藤はこっちを向くと、私に目を合わせて
笑顔で手を振ってきた。
(うーん、何か恥ずかしくて目が合わせられないや)
思わず目をそらしてしまった。
37 名前:第3話 ちゃむの値段は1億円!? 投稿日:2001年08月13日(月)19時11分28秒
そして、放課後。
結局私は明日から学校に行けなくなることを誰にも言うことができなかった。
きっと失踪ってことになるだろう。
(矢口悲しむだろうな…あと、吉澤。それから後藤もか…)
そう思うと胸が痛いが、フ−ゾクにいくなんて知ったらもっと悲しむだろう。
(だから、さよならはいわないで行くよ。さよなら私の青春…)

最後の部活を終わらせると何か泣けてきた。
今日はゆーちゃんが休みだったからちょっと寂しかった。
もう最後だと思うともう一回会っておきたいと思った。
(ま、しょーがないか…ホントにこれでおしまいかぁ…)
38 名前:第3話 ちゃむの値段は1億円!? 投稿日:2001年08月13日(月)19時12分16秒
家に帰るとすぐに桑田さん(似のおじさん)がやってきた。
「覚悟はきまっとるやろな」
「わかってる。私がフ−ゾクいけばいーんでしょ」
「お、話しが早いのー。普通に働いて一億なんて金は到底無理やからな。
おねえちゃんは利口やで」
そういうとガハハと笑った。
その時、玄関をノックする音が聞こえた。
(チャイムまでもってかれたからね……)
ガチャリとドアを開けるとそこには後藤が立っていた。
「ご、後藤…。なっ、なに?」
「ちょっとごめんね、いちーちゃん」
そういうと後藤は部屋の中へ土足で入ってきた。続いて重そうな
ジュラルミンケースをもった男が一人。ボディーガードらしき男が
一人。
「ちょっ、後藤。あんたくつのままで」
「すぐすむからね」
(それは答えじゃないって)
後藤はズカズカと部屋に入ると桑田さん(似のおじさん)に向かって
言った。
「ここに一億ある。これで借金は無くなるよね?」
後ろにひかえていた男がジュラルミンケースを開けるとそこには
見たことのないくらいの札束がつまっていた。もちろん諭吉さん。
39 名前:第3話 ちゃむの値段は1億円!? 投稿日:2001年08月13日(月)19時13分23秒
あっけにとられていた桑田さん(似のおじさん)も気を取り直したのか
「お、おう。こっちは返してもらえりゃーそれでおしまいや」
「じゃ、取り引きは成立だね。おじさん邪魔だから早くお金持ってどっか
行って」
後藤がそういうと帝〇金融のおじさんはお金のつまったケースを抱えて
そそくさと出ていった。
あっけにとられて思わず傍観者になってしまったが後藤の声で
現実に引き戻された。
「よかった、間に合って。いちいちゃんをフ−ゾクなんかに
行かせられないもん」
「な、なんで後藤がそんなこと知ってるんだよ?」
「調べたから」
しれっと言う後藤に段々腹が立ってきた。昨日といい一体こいつは
なんなんだ?
「なに考えてんの?金持ちの道楽?同情なんかだったらまっぴらだよ!」
「同情なんかじゃないよ」
落ち着いた後藤の声。なんか微妙に昨日とリンクする。
「言ったじゃん。運命の人だって」
「!」
(運命ってあんた…)
40 名前:第3話 ちゃむの値段は1億円!? 投稿日:2001年08月13日(月)19時14分02秒
「だから、今夜からいちいちゃんはあたしのとこにくること。
いちいちゃんのバージンはあたしのものだから。
あ、あと一応いちいちゃんの行動は監視させてもらうから
そのつもりでね」
「それじゃ後藤の奴隷じゃないかい!!」
「そんなことないよー。あ、でも『愛の奴隷』ってのもいいかも♪」
あくまで笑顔の後藤。
(なに考えてるんだよ、このお嬢様は)
「ジョーダンじゃないよ!そんなんだったらフ−ゾクのほうがマシだよ!」
「そんな悲しいこと言わないでよ」
本当に悲しそうな後藤の顔を見てちょこっと胸が痛んだ。
「自分の体を安売りしちゃだめだよ」
「後藤に言われたくないね!ケッ」
「じゃあ、他にどうするの?いちいちゃんを守るのってこれしかないと
思ったんだもん」
(う…確かに後藤は私の恩人ってことなんだよなぁ…。あんな悲しそうな
顔して…でも、後藤の奴隷っていうのはフ−ゾクよりある意味怖い気が…
どうする市井紗耶香!?)
………
「わかった…。後藤の言う通りにするよ…」
(もー、こーなりゃやけくそだよ。どーにでもなれ)
「わーい♪これからよろしくね、いちいちゃん」
41 名前:第3話 ちゃむの値段は1億円!? 投稿日:2001年08月13日(月)19時14分44秒
後藤邸へ向かう車の中でも後藤はずっとにこにこしていた。
(そういえば私のバージンがどうとか言ってたよな…なんでこいつ
私の処女にこだわるんだ?)
「あのさ、どーして?」
「ん、何が?」
「1億かけなくてもあのときできたじゃない。なんでやらなかったの」
(やっぱ私が暴れたのか!?)
「酔っぱらってて意識ないんじゃ意味がないでしょ。んっと、もう着くよ。」
(でしょってなに?)

後藤のマンションはかなりでかかった。
(うちの部屋いくつはいるんだ?)
なんて考えてると後ろから後藤が抱きしめてきた。
(やられる?)
そう思ったらすごく嫌だと思った。
「いやだーーーーーーっっっ!!!」
思わず叫んだらその瞬間、ドゴンと音がして壁にものすごいくぼみができた。
同時に窓ガラスにヒビも…。
(え……?)
あわてて後藤を見ると壁までふっとんでいたけど、その周りには
ぼんやりとした膜みたいなのが張っていて後藤は怪我をしていなかった。
(良かった)とりあえずそう思った。
「えへへ…やっぱいちいちゃんの力はすごいや」
(力?う…そ。なにこの力…。やっぱり私のせいだったんだ…)
42 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月13日(月)22時24分55秒
別バージョンですか。
なんか見たい気もするけど正直今の展開にかなりはまってきてるので
このままいってほしいです。
43 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年08月14日(火)05時00分54秒
自分もこの配役で良いかと思います。
でも、この話の完結後に書いてくれるというのなら少し見たい気も……。
44 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時10分38秒
「おはよ〜、いちーちゃん♪」
朝から後藤は御機嫌だ。
結局、昨日はあの騒動のあと『いちいちゃんの部屋』とプレートの下がった
部屋に案内され、寝ることになった。
後藤は特別何をゆうでもなくにこにこしながら自分の部屋(と思われる)へ
戻っていった。
「あ…おはよ…」
何かきまずい…。昨日は下手したら後藤を怪我させてたかもしれないんだ…。
私の力は一体なんなんだろう。
後藤に聞いてみたいけど聞くのが怖い気もするし…。
45 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時11分28秒
そして、学校へ。
「えっと、私は電車でいくからいいよ」
後藤は自分のロールスロイスで一緒に通学しろと言う。
そんなの他の生徒に見られたら…(汗)
「だめだよ!いちーちゃんはあたしと一緒に行くの!」
後藤の言葉でボディーガードらしき大男が私をひょいと持ち上げ
ポンっと後藤の隣のシートに座らせた。
「今日からはいちーちゃんはずっとあたしと一緒だからね」
そう言って笑顔で私の腕に両腕を絡ませてくる後藤。
…骨がきしむ。…痛い(泣)
とりあえずフ−ゾクは免れたわけだけど、これから私どうなるんだろう…。
あ、とりあえず『愛のタックル』からは解放されるか…。
そんなことを考えていると車は学校に到着した。
後藤につづいて降りる私。
案の定生徒達はざわめきはじめる。
46 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時12分04秒
「紗耶香〜!!」
矢口が私のもとへ駆け寄ってきた。
「なんだよぉ〜!ごっちんとできてたんならそう言ってよ。水臭いなぁ。
それにしてもやるねぇ、同伴出勤とは。きゃはは。あたしもよっすぃー
としたいな♪」
「いや、矢口、違うんだよ。これには色々とわけが…」
そういう私の言葉を遮って後藤が
「あはっ。運命ってやつ?」
なんて言ってくれるもんだから、校内は騒然なわけで…。
47 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時12分48秒
少し離れたところで吉澤がものすごい目で後藤を睨んでいるのが見えた。
そして、そんな吉澤を後ろから羽交い締めにして抑えてる石川の姿も。
後藤はそんな吉澤にはお構い無しに平然と
「よっすぃーおはよ〜」
なんて声をかけている。見ている方が怖い…。
「う、運命…だとぉ……ごっちん…ふざけんな…」
あれ、なんか吉澤の髪が金色に逆立っているような…
(まさかスーパー〇イヤ人!?)
「だめ!!ひとみちゃん!!抑えて!!」
石川が必死で叫んでいる。
「あの?吉澤?何でそんな怒ってるのかわかんないけど…
皆見てるから後にしときな」
なんだかいたたまれなくなって吉澤に声をかけると、途端に吉澤の
張り詰めた気(?)が消えた。
そして泣きそうな顔をすると校舎の方へ走り去っていった。
「あ、よっすぃー!?」
驚いた矢口も吉澤を追いかけていった。
「あはは、ホントよっすぃーはいちいちゃんには弱いなぁ…」
「ごっちん!私は二人の味方だけどこれはフェアじゃないと思う!」
石川はそう後藤に告げると吉澤の走り去った方へと足早に去って行った。
あぁ…一体なんなんだよぅ…。
さっぱりわけがわからない…。
48 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時13分30秒
昼休み。刺すような他の生徒の視線から逃げるように私は保健室へと
向かった。
後藤は多分ファンの子に囲まれてこないだろうし。
保健の先生は私のもう一人の姉のような存在だ。
さすがにフ−ゾクのことは話せなかったけど、私と彩ねーちゃんの
ことを昔から知っている人。名前は保田圭。
「失礼しまーす」
一応挨拶をしてドアを開けると相変わらず怪しい保健室だ。
どっかの科学研究所のような設備が整っている。ホント怪しい…。
「ん〜?誰だ〜?」
「圭ちゃん、紗耶香っす」
「おっ!紗耶香!あんたなんか色々大変だったみたいじゃない。
大丈夫なの?」
「あれ?なんで知ってるの?」
「彩っぺが消える前にあたしんとこ来てよろしくって言ってたのよ。
いざとなったら助けに行こうと思って準備してたんだけど…」
そっかあ、圭ちゃんは知ってたんだね。しかも助けてくれようと
してたなんて…。
49 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時14分00秒
「でも、あの後藤って子が助けてくれたんでしょ?良かったじゃない」
「全然よくなんかないよ!!1億で買われたんだよ、私…。奴隷みたい
なもんだよ!!かくかくしかじか…」
これまでのあらすじをばばっと話すと一気に緊張がほどけて涙が溢れて
きてしまった。
「うえ〜ん」
「よしよし。紗耶香は相変わらず泣き虫ねぇ…。んじゃあと2、3日中に
いいもの作ってあげるからね」
「いいものって?」
「ま、それはできてからのお楽しみってことで」
hムん、圭ちゃんのいいものって結構怖いんですけど…。
でも圭ちゃんはやっぱ私の味方だ。
それだけで心が軽くなった気がした。
「んじゃ、またくるね!」
そう言って保健室を後にして私は何となく屋上に向かった。
屋上なら人いなそうだし…。
50 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時14分43秒
階段を昇っていると屋上の方から話し声が聞こえてきた。
(ありゃ、先客ありかな〜)
そっと屋上を覗くとそこには後藤と吉澤、そしてゆーちゃんがいた。
(後藤と吉澤はともかく何でゆーちゃんが!?)
「ごっちん!私ホントに怒ってるんだよ!」
「あはっ。でもしょうがないじゃん。あたしが先に助けたんだし」
「やっぱ、カラオケのあと何かしたんでしょ?」
「うーん、したといえばしたし…してないといえばしてない…」
「卑怯だよ、抜け駆けだなんて!!私だって本気で市井さんのこと…」
「まぁまぁ、吉澤おちつきーな。ごっちん、あんたそんな余裕かましとる
けどなぁ、運命とか言ってるわりにはよそよそしいんとちゃう?」
「h……そりゃ、まだいちいちゃんはあたしのこと好きじゃないかも
だけど…。でも1歩リードしてることは確かだからね!!」
「ほー、やっぱりそーか。ゆーちゃんの思った通りやな。まだカラダの
関係やないっちゅーことか…」
「……ってことはまだ私にもチャンスはある…ってことだよね。
ごっちん、今回は出し抜かれたけど負けないからね!!」
「いちいちゃんは誰にも渡さないよ」
51 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時15分25秒
(おいおい、なんちゅー会話だよ…。しかも当人の意志は無視かい…
っつーかその当人ってば私!?は!?何それ…。まじでわけわかんないっす)
ふらふらしながら階段を降り、気がついたら教室にいた。

そして、あっと言う間に放課後になり…
「いちいちゃん、今日は部活ないよね?」
いつの間にか後藤が私の教室にやってきて私の前に立っていた。
教室の生徒達はきゃーきゃー騒いでいる。
「あ、うん。ないけど…」
「じゃ、帰るよ。用事ないでしょ?車呼ぶから」
(なんか、命令口調だとちょっとむかつく…。
でもしょうがないんだよね…。)
1億円肩代わりの件が私の肩にずっしりとのしかかっていた。
52 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時20分24秒
後藤の家に帰ってから今日のことを考えてみた。
とりあえず、後藤は私のバージンを狙っているらしい。
なんか最低だよな…。
そして、屋上の話しから推測すると吉澤とゆーちゃんも関わっている。
あとは石川もか…。
それで、きっとそれには私の力が関係しているんだろう…。
でも私自身この力が一体なんなのかわからないし、どうやったら
力がでるのかもわからない…。
あ〜もうわかんないことだらけだよ(泣)

「h〜、とりあえず着替えるか!」
気分転換しようとクロゼットを開けると…ない…
いや、ぎっしりあるんだけど、ない…。
昨日私が持ってきた自分の服が一着もないんだよぅ〜!!
53 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時21分08秒
「ちょっと後藤!私の服はっ!?」
「ほへ?捨てたけど?」
目を点にして当たり前のように言う後藤。
「捨てたってあんた!!」
「だって服は新しいほーがいいでしょ?」
かなり頭にきた。カッチーンと。
(だからって捨てるかよフツー!?)
しかし後藤は何が気にいらないのかわからないといった顔をしている。
ぷりぷりしながらゴミ袋を漁ると確かに全部捨ててあった…。
(うう…パンツまで……)
54 名前:第4話 ちゃむ争奪戦開幕!? 投稿日:2001年08月14日(火)23時21分48秒
夕食の時間になり私はリビングに呼ばれた。
本当に後藤は金持ちだ。自宅に給仕までいる。
しかし、どうやら後藤は一人暮し(使用人はいるが…)のようだ。
(ったくさー、いくら金持ちだからって親の教育なってないんじゃないか?
さっきの服のことといい…)
「ねぇ、後藤。お父さんとお母さんは?」
「ん〜、いるよ。生まれた場所にずっと。あたしも3月までそこにいたし」
「なんでこっちにでてきたのさ?後藤も生まれたとこにずっといれば
よかったじゃん」
なんだか皮肉っぽくなってしまう。
「決まってるでしょ」
その言葉に思わず後藤の顔を見てしまう。視線がぶつかる。
「いちいちゃんを見つけるためだよ」
(な、なんちゅー恥ずかしいことを…)
思わず顔が赤くなる。
その後、後藤の顔をまともに見ることができなかった。
55 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月14日(火)23時29分20秒
>ぐれいすさん
ありがとうございます。このままの配役でいきます。
ちゃむが女の子的にもてもてっつーのもたまにはいいかな〜


>ちゃむ好きさん
とりあえずこの話しを完結させてからですよね(苦笑
いちごま大好きなんですけどごまいちっぽくすると
書いてて違和感が(汗

ますますちゃむを奪い合わせていこうと思うのでよろしくです
56 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月15日(水)02時26分38秒
あ〜。駄目だ〜。こういうのツボです☆
カナリ良いです。
もっと奪い合わせてください。
期待してます!!
57 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月15日(水)04時04分41秒
そうだそうだ〜、みんなで奪い合え〜(w
ちゃむの人権いっさい無視なところが最高です!!(w
58 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月15日(水)07時03分15秒
嗚呼いちーちゃんの力にどんな秘密があるんだろう?気になる・・・
59 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時11分01秒
後藤に買われて2回目の登校。
やっぱり他生徒の視線は厳しくて……。
(はぁ…。何かこういうのって辛いよな…。)
「はぁ〜…」
「おーい、紗耶香!何ため息なんかついてんの?」
今はお昼休み。わざわざ矢口が教室まで遊びにきてくれた。
「いやー、ちょっと息抜きっつーかね…」
思わずため息もでてしまうってもんさ。
「何贅沢言ってんのさ〜、玉の輿のくせに〜」
そうは言いながら元気のない私を心配してくれているのが矢口。
「じゃさ、ちょっと散歩しよっか?」
なんて言ってくれる。
私本当に矢口が友達でよかったよ。
60 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時11分56秒
そんなわけで二人でぶらぶら歩いていると、
「やーぐちー♪紗耶香〜♪」
後ろから声をかけられるのと同時に矢口が抱きつかれた。
「うわ!やめろよ、ゆーこぉ!このセクハラ教師〜!」
「ええやん、ええやん。減るもんでもないし」
「減るんだよ〜、とにかく離せよ〜」
小さな矢口がバタバタ抵抗している。
(何か矢口可愛いな。ははっ。)
やっと矢口を離すとゆーちゃんは今度は私の方を向いて
「そや、紗耶香、今度の大会のことなんやけど…」
「ああ、はいはい」
剣道部ではもうすぐ夏の大会があるのだ。
そこそこに強い私は大会メンバーに選ばれていた。
61 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時12分29秒
その時、
「何してんの!?」
するどい声が飛んできた。
振り返ると後藤がいつになく怖い顔をして立っていた。
「な、何って部活の話しだよ」
「そんなのやめなよ」
「は?だって、もうすぐ大会…」
「だめ!大会はいいけど」
「わけわかんないよ!」
私の腕を取って強引に歩きはじめる後藤。
うう、こいつなんでこんなに力強いんだよ…。
「だから、何がだめなのかって聞いてんの」
「ゆーちゃんはだめなの!」
「え?そりゃゆーちゃんはセクハラ教師だけどいいとこもあるし…。
っつーか、剣道部の顧問なんだから仕方ないじゃん」
「剣道部はいいの。いちいちゃんかっこいいし。でもゆーちゃんはだめ。
いっさい関わらないで」
「ちょっ…」
「これは、命令」
62 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時13分04秒
そう言われた瞬間何か後藤に対する不満が哀しみに変わった。
思わず涙が…声も震える。
「そ、そーだよね。ご主人さまの命令ならきかなくちゃね。
自分で服とか選んじゃいけないし、どんな恥ずかしいことだって
我慢しなきゃなんないんだよね…。」
「い、いちー…」
「トイレ行かせてもらっていーですか?」
すっごい凶悪な気持ち。
「なんならトイレの前で待ってて結構っす!!」
なんだかぼんやりしてる後藤を尻目に私はトイレに向かった。
63 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時14分04秒
(私の憩いの場はトイレしかないんかなぁ…)
そんなことを考えながら手を洗っていると、突然ガラっと窓が開いた。
「よっこらしょっと…」
「ゆ、ゆーちゃん!?何で窓から?」
ま、ここは1階だけどさぁ、別に窓からはいんなくてもてん…。
「いやぁ、外はごっちんがおるからなんやはいりづらくてな」
(あいつホントに待ってるのか…)
「何やらごっちんとうまくいってないんか?」
「うまくいくも何も、後藤とはなんでもないっす」
「そーなんか…。ま、でもゆーちゃんなんやらごっちんに嫌われてしもうた
みたいやからなぁ…。部活のこと話そうおもうてもごっちんがあれじゃ、
紗耶香に嫌な思いさせてしまうなぁ…」
(うぅ…。後藤よりゆーちゃんの方が優しいよ…)
64 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時14分42秒
「そや、紗耶香おなかすいとらん?」
「あ、いや特に…。昼食べたばっかだし」
「おなかすいてたらどうや?」
「うーん、ラーメンかな?」
「よし、ほないこか」
「えっ?」
ゆーちゃんは入ってきた時と同じように窓から出ていった。
「ほら、紗耶香もきーや」
「う、うん」
思わずつられて出てしまったけど…。
「でも、後藤が…」
「大丈夫やって。ちょっと屋上までいこか」
(屋上?どうしよ〜、また後藤が怒る気がする…)
その時校庭に吉澤と矢口の姿が見えた。
「おーい、吉澤、矢口!!後藤に屋上行くって伝えといて!!」
「へ?あ、はーい。って市井さん!……!!」
何か吉澤が叫んでいたけれどよく聞こえなかった。
(ま、屋上に行くっていったし、平気だよな)
65 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時15分21秒
市井が屋上に向かうその頃…
後藤の携帯がなった。
「はい〜。もしも…」
「ちょっと、ごっちん!何してんの?中澤さんが市井さんを…」
プツッ。
後藤は校庭に駆け出していた。
そして吉澤と合流。
上空ではけたたましい轟音が。バラバラバラバラ。
ヘリコプターだ。
上空を見上げ舌打ちする後藤と吉澤。
二人同時に携帯に取り出すと
「「追跡する!!こっちもヘリの用意を!!」」
見事なはもりであった。
「さ、矢口さんも一緒に!!」
そういうと吉澤は矢口を連れてリムジンに乗り込んだ。
後藤もすでに車をだしていた。
わけのわからない矢口。
「なんなんだよー、一体!おかしいよ、こんなの絶対おかしい〜〜!!」
リムジンの中には矢口の絶叫が響いていた。
66 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時16分09秒
「学校にヘリコプターがあるなんて知らなかった…(汗)」
何故かヘリコプターに乗っている私。
「いや、これはゆーちゃんのやで。成田で乗り換えるからな」
(はいーーーーー?!)

そして4時間後。
−香港−
茫然とする私。
「やっぱラーメンなら香港やろ?」
(っておい?ヘリコプターに自家用ジェットにラーメンで香港−
って一体この人何者!?)
思わず目を点にしてゆーちゃんをまじまじと見てしまう。
「なんや?疲れたか?そやなー、ちょっと休憩しよか」
ペースは完全にゆーちゃんのものです。
っつーか何もいえんよ、この状況(泣)。

そして、私とゆーちゃんはホテルの一室へ。
しかもめっちゃ高そうな上にスイートみたい…。
ああ、なんか嫌な記憶が蘇ってくる(泣)。
67 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時16分53秒
「先にシャワー使うか?それとも一緒にはいるっちゅーのもええな」
「は?」
何を言っているのだい、この人は?
「緊張せんでもえーって。借金のことならうちがどうにでもしたるから。
心配せんでもえーよ」
(え!?って何ゆーちゃん服脱ぎ出してんだよぅ)
ゆーちゃんは
じりじり私をベットの方へと追いやってくる。
(ゆーちゃん目がやばいよぅ。絶対ヘン!)
「紗耶香、まだ処女なんやろ!?」
どさっとベットに押し倒される私。
「い、いやだっ…!!」
ドンっとゆーちゃんを押し返してドアの方へ逃げ、ドアを開け出ていこうと
した。
その瞬間、開けかけたドアが急にバンっと閉じてしまった。
何度ノブを回してもドアが開かない。
(何?一体これ?)
その間にゆーちゃんが郷ひ〇みのように前をはだけさせ迫ってきた。
「いっっ、いーやーだぁぁ!!」
再びゆーちゃんを突き飛ばして窓際に逃げる私。
「無駄やって。さ、悪あがきはや…」
そのとき窓ガラスごしに轟音が気こえてきた。
振り向くとそこには窓の柵に立ったオノを持った、後藤。
そして髪が微妙に金色に逆立った吉澤とその脇に抱えられた矢口。
バックにはヘリコプターが…。
68 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時17分40秒
ガッシャーン!!とものすごい音を立てて窓ガラスがオノで砕かれた。
「ご、後藤!!」
思わず後藤に抱きついてしまった。
(あ……)
後藤はめちゃくちゃ嬉しそうに微笑むと私を庇うように後ろに下げた。
「ご、ごめん」
何かめっちゃ恥ずかしくなって赤くなってしまった。
(なにやってんだ、私…?)

吉澤は矢口を床に下ろすとゆーちゃんに近づいていった。
「紗耶香〜!!大丈夫だった!?」
「矢口!!どうしてここに??」
「あたしもよくわかんないんだよ〜。ただ紗耶香が危ないっていうから」

「ごめんね、矢口。こんなとこまで…」
「いや、いーって。香港までただでこれちゃったしさ」
どんなときでもやっぱ矢口は優しい。
少し涙がでてきてしまった。
「いちーちゃん、やぐっつぁん。ちょっと危ないから下がってて」
後藤がそう言った瞬間に、ボアッと音がした。
「よ、よっすぃーの髪が…」
矢口の声で吉澤をみるとまさにスーパーよっすぃー…。
髪が金色に逆立っている。
69 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時18分38秒
ゆーちゃんのむなぐらを掴んでいる吉澤は普段とはまるで別人だ。
ビジュアル的にもだけど…。
「中澤〜!!てめぇ市井さんに何しやがった!!」
「ま、まてや。吉澤。未遂や、未遂」
「ふざけんぁああ!!!」
カッと雷のような光りのあと…
黒焦げになったゆーちゃんの姿が…。

「ゆーちゃんが悪いんだよ、これは。ま、反省することだね」
後藤がそうゆーちゃんに向かって言葉をかけると、
普通に戻った吉澤が駆け寄ってきた。
「市井さん、大丈夫でしたか?」
「うん…ありがとね、吉澤」
吉澤はいや、そんなとかなんとか言って照れている。
(いやぁ、普段おとなしいやつほどキレルと怖いっていうのは
ホントだな…)
70 名前:第5話 ちゃむ誘拐事件勃発!? 投稿日:2001年08月16日(木)02時19分27秒
そして帰宅の路についた。
(こいつらも自家用ジェットかよ…(汗))
吉澤の隣では矢口が寝息を立てていた。
そして吉澤も疲れたようで同じように寝息立てていた。
(それにしてもゆーちゃんがあんな人だったとは…。
予想以上だった…)

「間に合ってよかった」
ずっとだまっていた後藤が口を開いた。
「え?」
「使いたくないでしょ、あんな力」
照れくさそうに窓の外を見ながら話す後藤の声はとても優しかった。
「それからさ…服は自分で買いなおせばいいから」
(へ…?)
「べつに強制するつもりなんてなかったの」
(えっと…まさかあれって…。私に好かれようとしてやったことなのか?)
………
(こいつ…バカ?)
「あ、あんまり見つめられちゃうと照れちゃうよぅ」
本気で照れてる後藤。
「あのさ…手、つないでもいいかな?」
(おや?めずらしく聞いてくるな)
「ん、いーよ。今日は、その、ありがと…」
そう言って後藤の顔を見ると私の腕にしがみついて寝息を立てはじめていた。
(はぁ、今日はすんごい一日だった…。疲れたな…)
いつしか私も眠りについていった。
71 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月16日(木)02時28分54秒
>56さん
レスありがとうございます。
やっぱレスあると嬉しいですね☆
ちゃむ争奪はこれからヒートアップしますよ〜(苦笑

>57さん
基本的にちゃむの意志は関係ないところでみんなちゃむを
手にいれようとしてますね(汗
何か違うって気付って感じですね(苦笑
今後もちゃむの人権は無視の方向です(W

>ぐれいすさん
いつもレスつけてくれて嬉しいっす。
基本的にアホ話しを目指しているので市井ちゃんの力も
恐らくアホな理由でしょう…(汗

【次回予告】
次回のちゃむは臨海学校で争奪されるよ!!
そしてあの人が登場!!
よかったら読んでね☆(低姿勢
72 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年08月16日(木)04時10分02秒
すごい話ですな(w
もう、なんでもありって感じですね。
この話の根底にあると思われる謎の部分、ずっと気になってたけど、もうどうでもイイっす!!(w
ただもう、このままの勢いでどんどんちゃむ争奪戦を繰り広げて欲しいっす!!
73 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月16日(木)06時38分02秒
ここまで人にふりまわされるいちーちゃんもイイ!!
74 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月17日(金)10時22分13秒
こう、客観的に見るとどう見てもいちーちゃんには矢口が一番いいような気がするんですが(w
でも後藤に頑張って頂きたい!!
頑張っていちーちゃむGETだ!
75 名前:第6話 ちゃむ最強のボディーガード登場!? 投稿日:2001年08月21日(火)14時35分12秒
「はぁー……」
私は屋上にきていた。
昨日の事件のせいなのか、後藤と吉澤がやけにべったりくっついて離れない。
他生徒の嫉妬の目が増々痛い。
今は3限と4限の間の休み時間でなんとかこっそり抜け出して、やっと一人に
なれたのだった。
誰もいない屋上にきてホッとしてのも束の間、時計は授業開始に近づいていた。
(そろそろ戻るか…)
重い足取りで屋上を後にし、階段を降りようとした瞬間…
ツルッ!!!
(う…そっ!!バナナの皮!?)
頭から階段につっこんでいく瞬間に見たものはバナナの皮であった。
(まじっすか!?こてこて〜(泣))

これで私の人生も終了…と思ったときぽふっと柔らかい感触が私の頭を
受けとめた。
(???)
つぶっていた目を開け恐る恐る顔をあげるとそこには長身の少女が立っていた。
見上げてしまう程の身長でモデルのようにスラっとした手足。
そして長い髪に大きな瞳。
(まさに美形!!)
少女は私の肩を支えてそっと立たせてくれると
「大丈夫?危ないから気をつけて」
そう言って微笑むと風のように去っていった。
いや、まじで実際速かったんだって。
いつの間にか消えたっつーか。
(忍者!?ま、いっか)
多少のことではもう驚かなくなった自分が少し悲しい。
76 名前:第6話 ちゃむ最強のボディーガード登場!? 投稿日:2001年08月21日(火)14時36分20秒
昼休み。今日は矢口と食堂にきていた。
二人できたはずなのに案の定後藤と吉澤もついてきた。
「いちーちゃん!!さっきの休み時間どこいたのさ?
探しちゃったじゃんか!」
「そうですよ、市井さん。気をつけて下さい!」
「屋上だよ…」
「たった10分の休みなんだから二人ともそんなピリピリしないの〜」
矢口のフォローが胸に響く。
そんな感じで3人がきゃいきゃいと騒いでいる中、一人もくもくと
食べる私…。
(なんかなぁ…)
ぎゅっ。
突然腕をつかまれた。
驚いて顔をあげるとさっき助けてくれた少女が立っていた。
「つまんなそうだよ。いこっ!」
彼女は私を立たせると腕を取って歩き始めた。
(なんだこの人急に。でも嫌な感じしないや…)
「紗耶香!よっすいーにも劣らない程の美形どこで知り合ったんだよ〜!」
矢口の叫びを背にうけつつ
「矢口、ごめん。またあとでね」
何故かこの少女と歩き出していた。

「ちょっ!ごっちん、何してんだよ!早く追いかけなきゃ!」
「う…うん」
「どうしたの?」
「感じなかったの…。何も…」
「何も!?」
「うん。何も…」
77 名前:第6話 ちゃむ最強のボディーガード登場!? 投稿日:2001年08月21日(火)14時37分05秒
「もうすぐ授業始まっちゃうよ?」
おずおずと話しかける私に彼女はさらっと
「いいよ、さぼっちゃお。天気いいし」
(あれ何かこの人いい感じかも…)
中庭で二人で寝転んで雲を見ていた。
「かおね、飯田圭織って言うの」
「へー、かおりかぁ。私は市井紗耶香」
「じゃあさやかって呼ぶ」
「うん。かおりって呼ぶ」
「あっ、雲ハートだよ。でも割れてお尻になった」
「あはは。かおりっておもしろい」
「そう?さやかが喜んでくれるなら嬉しいよ。かおね、さやかのコト
守るためにいるからね」
「え?」
「かおが守ってあげるからね」
かおりのその言葉はすごく優しくて何故か懐かしい感じがした。
後藤に聞かれたらまた不用心だって怒られそうだけど、私はかおりに
惹かれていた。
78 名前:第6話 ちゃむ最強のボディーガード登場!? 投稿日:2001年08月21日(火)14時37分37秒
放課後、部活が終了すると後藤に車が迎えにきていた。
後藤は先に帰ったそうだ。
(怒ってんのかな、あいつ…)
後藤の家につくと後藤は神妙な顔をして私を見つめた。
「おかえり、いちいちゃん…」
「あ、うん」
「あのさ、昼休みの人さ、誰?」
「え、えっと〜、あの人は屋上で転びそうになったとき助けてくれて、
それで友達になった…」
「ふーん…。私もうごはん食べたから、好きに食べて」
それだけ言うと一瞬だけ後藤は私に抱きつくとすぐに部屋に戻っていった。
(何だあいつ…。もっと怒るかと思った。
そういえば今日は抱きつかれてもあの力でなかったな…)
何となくそんなことが頭に浮かんでいた。
79 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月21日(火)14時46分57秒
臨海学校編にいく前にちょっとカオリンの登場です。
短くてスマソ…

>ちゃむ好きさん
毎度のレスすごく嬉しいっす。
今後もあの手この手でちゃむを争奪させまする。
謎のことは頭の片隅にでも…

>ぐれいすさん
イイっすか(W
弱くないけど強くもない、そんなちゃむです。

>74さん
やっぱ、そうっすよね〜(苦笑
矢口も加わって頂きましょうか…
後藤はちゃむの愛を勝ち取れるでしょうか!?

次回はホントに臨海学校へ逝きます。
逝ってらっしゃ〜イ♪
80 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月21日(火)21時12分58秒
圭ちゃんすごいね(ビックリ
おとなしめな後藤に萌
81 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年08月22日(水)04時05分45秒
飯田さんも参戦ですか?
こりゃー激しいバトルになりますな〜(w
82 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月22日(水)20時27分51秒
いいいいちかお!?
83 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月24日(金)20時08分40秒
ああ〜早くみたーい
84 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(前編) 投稿日:2001年08月24日(金)21時56分45秒
いつもと変わらぬごたごたした学校。
授業の終了後、臨海学校についての説明会が行われた。
(あー、最近ごたごたしててすっかり忘れてたや。…あれ、いつからだっけ?)
「そんなわけで明日から怪我のないよう楽しみましょう!」
(あ、明日!?)
困惑する私にさらに追い討ちをかける一言が。
「なお、今年から部屋は3学年縦割りになりましたので、
これから抽選を行いま〜す」
モーニング女学園の行事はほぼ全学年で行われるのだが、
臨海学校の部屋割りは学年ごとだったはずなのに…。
私のショックとは裏腹に他のみんなは喜んでいた。
「もしかしたら後藤さんや吉澤さんと一緒の部屋になれるかも!!」
かなり色めき立っている。
(そっかー、矢口となれるかもしれないんだ!でも後藤と吉澤は勘弁だな…)

抽選終了後、私は嬉しいような泣きたいような…。
部屋は五人部屋。
そしてそのメンバーは、
矢口(めっちゃ嬉しい!!)
石川(イイ子なんだよね)
後藤&吉澤(ガッデム!!!!)
はは〜〜ん。また嫌がらせ増えるかな…(泣)。

そういえば、今日はかおりを見なかった。
っつーか、私はかおりの学年もクラスも知らなかったんだ…。
(あー、私かおりのことホントに何も知らないなー。
明日から会えると嬉しいな…)
85 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(前編) 投稿日:2001年08月24日(金)21時57分29秒
放課後の部活。
今日は後藤が見にきていた。そして後藤のとりまきも…。
後藤は同じ部屋になったのがよっぽど嬉しかったのか妙に御機嫌だ。
ゆーちゃんは先日の事件以来あまり私に接してこない。
今日は後藤がいるからなおさらなのだろうか。
「いちーちゃん、かっこいい!!」
後藤が黄色い声を投げかけるたびにいつも私には鋭い視線が…。
後藤は入学してきたばかりの頃からよくきていた。
そしてその頃から鋭い視線を浴び続けていた…。
(私、可哀想かも…)
しかし、今日のとりまき達の視線は何か違っていた。
「市井って人むかつくって思ってたけど結構かっこいいね」
「あ、私も実は思ってた」
「顔とかすごい綺麗じゃない?」
「やっぱ?」
「あ、私も思ってたんだ」
「私も」×無数………。
(あれ?何か今日は視線が違う。熱い…?)
普段と違う視線にいいしれぬ恐怖を感じながら部活は終了した。
86 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(前編) 投稿日:2001年08月24日(金)21時58分45秒
バスを降りると海岸に隣接した旅館が眼前に立っていた。
「昼食は12時からー。それまでは各自部屋で待機して下さい!!」
先生の話しが終了し、私達は部屋へと向かった。
「いやー、縦割りとかいうからちょっとびびったけど一緒の部屋で
良かった〜」
矢口が話しかけてきた。
「うん。ホント!!あ、石川もね。二人と一緒で嬉しいよ」
そういうと矢口は笑って石川は照れたように手を前に組んで微笑んでくれた。
「ちょっと〜、いちーちゃんあたしは〜?」
後藤が後ろから問いかけてきた。
「ごっちんはいいんだよ、毎日一緒にいるじゃんか」
後藤の隣を歩く吉澤が私のかわりに答えていた。
「そーだけどさ、こういう旅行みたいなのってまた違うでしょ?」
妙に嬉しそうな後藤の声が何だか憎らしい。
「ねぇねぇ、いちーちゃん、嬉しくない?」
「吉澤と同じ部屋なのは心強いけど、後藤は嬉しくない」
いやにきつい言い方をしてしまった。
案の定後藤はものすごくショックな顔をして反対に吉澤は嬉しそうにスキップをしていた。
どうしてこいつらは私の一言でそんなに一喜一憂できるんだ?
87 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(前編) 投稿日:2001年08月24日(金)21時59分36秒
「うわ〜、紗耶香きつー。ごっちん可哀想じゃん」
矢口に言われるとやっぱりきつすぎたかなと反省…。
振り返ってしょげている後藤に声をかけた。
「後藤じゃなかったらもっと嬉しくなかったと思う」
私なりの精一杯のフォローをしてみた。
後藤はその言葉にぱっと顔をあげ私に飛びついてきた。
「やっぱ、運命なんだよ〜♪」
(運命じゃないって…重いよ後藤…。)
そんなじゃれあいをしながら部屋につき、荷物を整理していた。

後藤、吉澤、石川の三人がトイレに行ってる間にゆーちゃんが部屋に
やってきた。
「紗耶香おるか?」
「はいはい。なんですか?」
香港事件以来ゆーちゃんは危険な人だとわかったので常に警戒しながら
接していた。
「この前のことまだあやまっとらんかったから…。ごめんな」
いやにしおらしいゆーちゃんを見ていると反省したようにも見えるけど…。
「強引にあないなことしてしまったのは本当に反省しとる。
せやけど、本気なんや」
「な、何がですか??」
謝られるのは理解できるが本気ってなんだよ?
「本気で紗耶香のことな…せやからちゅーさせてーな」
言うやいなや飛びついてくるゆーちゃん。
(何も反省してないじゃんか(泣))
88 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(前編) 投稿日:2001年08月24日(金)22時00分11秒
ゆーちゃんをかわそうとした瞬間、突然天井から私とゆーちゃんの間に何か
落ちてきた。
そして、それはスタっと床に着地するとすっと立ち上がり
ガゴンとゆーちゃんの顔面にパンチをはなった。
ただただ唖然とする私と矢口。
それは私の方を向くと
「かお、ちゃんと紗耶香のこと守ってるよ!」
と微笑んだ。
「あああああ、ありがと…」
思わず声がうわずる。
会いたいとは思っていたけれどまさかこんな再会って…。
そしてかおりは天井の板を直すとゆーちゃんをひきずりながら
部屋を去っていった。

「すっご〜〜〜〜〜〜!!!ちょっと、紗耶香、今の人何??忍者?」
矢口は興奮してすごく嬉しそうだ。
「いや、私もよくわかんない…」
(ホントに忍者なのか!?んなアホな…いつからいたんだろ…)
帰ってきた後藤達に矢口はさっきのことを興奮しながら話していた。
吉澤はゆーちゃんに怒り、後藤はしきりにかおりのことを気にしているようだ。
かおりの話しを聞き吉澤と後藤はかなり驚いていたが石川だけは何故か
微笑んでいた。
(石川、かおりのこと知ってるのかなぁ…後藤達が一緒だとうるさそうだから
あとで聞いてみようかな…)
89 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月24日(金)22時17分57秒
中途半端な更新ですんません(汗

>ぐれいすさん
たまにおとなしいとやっぱ萌えますね(W
でもこのちゃむは恋愛に異常なにぶさをもつので
萌えてません(W

>ちゃむ好きさん
飯田さんは今後も活躍してくれるでしょ。
色々と…(W

>82さん
いちかおもいいっすよね☆
どうなるのかはまだわからないです、自分も…
全てはちゃむの御心のまま

>83さん
こんな駄文を楽しみにしてくれて本当に感謝です。

更新が遅くなると思いますがおつき合いいただければ
幸いです。
90 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年08月25日(土)04時41分48秒
天井裏からやってくるなんてさすがはかおり(w
色々と、ご活躍してくれるみたいで楽しみです。

謎が謎を呼ぶ話ですが謎がさっぱりわかりません(w
91 名前:パク@紹介人 投稿日:2001年08月27日(月)03時17分08秒
こちらの小説を「小説紹介スレ@金板」↓に紹介します。
http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=gold&thp=994402589&ls=25
92 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時21分38秒
昼食中も3人はかおりの話題で盛り上がっていた。
やはり石川だけはただにこにこしているだけ。
「市井さん、中澤さんには本当に気をつけて下さい!」
ぼんやりと4人を眺めていると吉澤に声をかけられ我にかえる。
「あの人は教師になるくらいですから口がすごくうまいんです。
だからだまされないように注意して下さい!」
「う、うん。気をつけるよ」
「ホントさ〜、ゆうちゃんてスケベだけどあそこまでいくと最低だよな〜」
矢口も怒っている。
「いちーちゃん、ゆうちゃんもだけど、あの『かおり』って人にも
関わらないで…」
「なっ…、かおりはいい人だよ!!さっきだって助けてくれたし」
後藤が突然かおりのことを言い出して驚いたのと同時に腹が立った。
「う〜、心配なの、いちいちゃんが…」
後藤の言葉を遮って
「かおりは私の味方だよ!!後藤には私の気持ちなんてわからないよ!!」
そう言って私は席を立ち食堂をあとにした。
おとなげないと思った。
けれど自分を止めることもできなかった。
(ゆーちゃんの件では感謝してる。借金も…でもかおりのことは絶対
信じていいって私の勘が知らせてる…こればっかりは後藤にはわからない)
93 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時22分39秒
その頃食堂に残った4人は重い空気に包まれていた。
その空気を破ったのは石川だった。
「あのね、私『かおり』さんのこと知ってるの…」
「え?」
「なんで?」
「一体あの人何者なの?」
「えっとね、あの人は飯田圭織さんっていうのね。それでいつもは
学校の保健室で保田さんといるの」
「保健室?」
「うん。私が教えてあげれるのはそこまで。でも飯田さんは危険な人じゃ
ないよ。本当に市井さんを守ろうとしてるから。だから心配しないで大丈夫」
「う〜ん、梨華ちゃんの言うことだから信じるけど…。でも何で梨華ちゃんが
知ってるのさ?」
吉澤が問いただす。
「あ!!そういえば…」
突然矢口が大声をあげにやにやと石川を見た。
「石川さ〜、圭ちゃんのこと…」
「や、やめてください、矢口さん!!」
焦る石川。
「石川よく保健室に通ってたもんね〜。そういうことか〜」
矢口は意地悪く微笑んだ。
「と、とにかく!飯田さんについて心配することは何もありません!!」
石川がそう言って話しを切り上げようとすると同時に昼食時間は終わった。
94 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時23分26秒
ピー!!!
炎天下のグランドにホイッスルの音が響く。
「ったくさ〜、このくそ暑いのに普通外でバレーボールするかぁ?」
矢口が汗だらだらで死にそうになっている。
「海きたんだから泳がせろっつーの」
私も思わず不満が漏れる。
とにかく本当に暑い。
矢口と二人でベンチで休憩していると
「あぢ−−−−−−」
と言いながら後藤が私の背中に自分の背中をくっつけて寄り掛かってきた。
(なっ…!)
「サイテ−だよね。バリボー」
ぴったりくっつく後藤の体に何故か体温の熱さ以上の熱さを感じてしまう。
「さっきはゴメンね…もうかおりって人のこと言わないから」
今度は胸を私の背中に密着させながら後藤は私の耳もとで囁いた。
(変だ、私。なんかすごい顔が熱いっす)
「こ、この暑いのにベタベタひっつくなよ!」
そう言って
「矢口いこっ!」
矢口を連れてさっさと歩き始めた。
「いいの〜、紗耶香?ごっちん寂しそうだよ」
「……」
(バカじゃないのか?余計暑くなっちゃうじゃんよ)
そう思いながらなかなか顔の火照りはおさまらなかった。
95 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時24分13秒
入浴の時間、私と矢口、石川の3人で先に大浴場に行くことにし、
後藤と吉澤は部屋で荷物番をしてもらうことになった。
後藤は最後まで一緒に入りたがっていたが無視した。
吉澤は別に一緒でもよかったんだけど
「一緒入る?」
って聞いたら鼻血だして倒れたので後藤と後で入ってもらうことになった。
ホント吉澤って変だ。
そんなわけで浴場で着替えをしていると窓の方に気配が…。
「誰っ!?」
咄嗟に窓の方を見ると人陰がさっと隠れるのが見えた。
「どしたの、紗耶香?」
矢口が聞いてくる。
「今、人陰が…」
(しかも窓の位置は私の着替えている場所、ピンポイント…)
「ねぇ、ゆうちゃんってどこいた?」
「さっき先生達の会議する部屋に入ってくの見ましたよ」
石川が教えてくれた。
(吉澤がそんなことするわけないし…。っつーことは…)
96 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時24分43秒
お風呂を上がり部屋に戻ると私はまっさきに後藤の前に立った。
そして思いきり横っ面を平手で打った。
パーン。
驚いた後藤の顔。
それでも私の怒りはおさまらない。
「いいかげんにしてよ!!お風呂まで見張ることないでしょ!!
あれじゃ覗きと一緒だよ!!」
「ちょっと、紗耶香マジ?」
部屋を飛び出す私を追いかけて矢口と石川がついてきた。

「あたし覗きなんて…」
「こうなると、やったやらないじゃないんだよ」
「それ、どういうこと?よっすぃー」
「だから、市井さんにそう思わせたことが問題なんだよ」
「………」
「あのさ、もしかしてごっちん、市井さんに嫌われてる?」
後藤の突然のパンチがもろに吉澤の腹に命中する。
「ぐはっ!や…やつあたりはよくないよ、ごっちん。」
痛がりながらも不敵な笑みの吉澤。
「私、遠慮しないよ、ごっちん」
97 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時25分29秒
そして夜になり、消灯の時間。
私は後藤とは一言も口をきかず、矢口と石川、吉澤とばかり
話していた。
布団ももちろん後藤と私ははしっことはしっこ。
そして就寝……。

「ウ−ー」
寝苦しくて寝返りをうとうとすると私の上に人の気配が。
驚いて目を開けるけれど暗くてよく顔が見えない。
(ご、とう?)
「あんた、まだこりなっ…」
そう言おうとしたが口をむりやり手でふさがれた。
「静かにするのれす」
(後藤じゃない!!)
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」
きっと旅館中に響き渡った私の叫び声。
そして、ドゴンという音とともに私を襲おうとした人間は
壁にめりこんで失神していた。
白目をむいて口から血を流すそれはどうやらこの旅館の従業員の
男のようだった。
叫び声を聞いて部屋に集まってきた生徒達は
「な、なにあれ!!どーやったの!?」
「気持ち悪い…」
そんなことを口々に言いながら私に恐怖の目を向けていた。
98 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時25分59秒
心配してくれたのはこの部屋の4人だけ。
矢口が私を小さな体で抱きしめて
「悪いのはあいつだよ」
そう言ってくれた。
その言葉で私の心は救われた。
ちらっと後藤を見ると目が合った。
「気づけなくてごめんなさい…。守ってあげれなくてごめんなさい」
小さな声でそう呟いた。
吉澤と石川は集まったギャラリーを部屋から追い出し、私を襲った男を
先生達に突き出してくれていた。
(犯人は男だった…。でもあの時聞こえた声はもっと小さな、舌ったらず
な女の子の声だった気がしたのに…)
しかし、犯人は見ての通りあの男。
嫌な旅行になっちゃったよ…。
99 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時26分38秒
次の日の朝食。
食堂で御飯を食べるため御盆をとり、料理を乗せて席につこうとすると
他生徒達が一斉に私を避けるようにして道ができた。
「あの人でしょ〜、昨日のさ〜」
「そうそう、すっごいよね、バヶモンじゃないの」
言葉が私の胸をえぐる。
そのとき咄嗟に袖をつかまれた。
「行きましょう、市井さん」
「え?」
吉澤だった。
「バカのいないところに行くんです!」
吉澤の髪はほんのり逆立ちかけていて他生徒に怒りの目を
向けていた。
吉澤の優しさがえぐられた胸の傷を埋めてくれたような気がした。
100 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時27分45秒
吉澤が用意したゴムボート(いつの間に…)に乗り
旅館沿いの海から少し離れた岩場についた。
二人で海を眺めながら波の音を聞いていると吉澤が語りだした。
「海はいいですよね…。心が静まります…」
吉澤の横顔を見ると遥か向こうの水平線を見つめているようで、
はじめてちゃんと見る吉澤の目はとても綺麗だった。
「…市井さんはバケモノなんかじゃありません」
「吉澤…」
「市井さんがバケモノなら私だってそうです。中澤さんのことで
気がついていると思いますけど…。私、感情が…特に怒りが高まると
髪が金色になって逆立っちゃうんですよね…あはは。
ホント、マンガみたいでやになっちゃいますよ。」
101 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時28分30秒
弱々しく笑う吉澤の横顔がすごく痛々しい。
「ああなっちゃともう『力』の制御ができなくなって…。
私の『力』は雷なんですよ。中澤さん、感電したみたいになってたでしょ。
あれが私の『力』なんです」
「じゃあ、私のも『力』ってやつなの?」
「はい…。そうです。市井さんの力はまさに『力』。
多分私達の誰よりも強力なものなんです…」
「私達って?」
「ごっちんも、梨華ちゃんも、中澤さんもそうですよ。
ごっちんは防御と意識を探る『力』、梨華ちゃんは物質を自由に動かす『力』。
中澤さんの『力』もほとんど梨華ちゃんと同じですね」
「そんなのって…。」
「本当なんですよ…。どんなに嫌でも認めなきゃだめなんです…」
吉澤の目が寂しそうにゆらめく。
「自分を否定しても何も解決はしません…」
吉澤も辛い思いをしてきたのだろうか。
そうだとすれば、きっと石川も、ゆうちゃんも。
そして後藤も…。
102 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時32分00秒
「ありがと…。吉澤ってやっぱ優しいなぁ」
そう言って吉澤を見つめるといつになく柔らかい表情。
「市井さん…」
私の頬に手をおいて顔を赤くする吉澤。
(可愛いな、この子)
そして少しずつ近づいてくる吉澤の顔…。
(あれ…?これって…私ムードに弱い…?)
吉澤の唇が触れようとしたその瞬間。
ブォオオオオオオオ!!!
モーターボートに乗った後藤の姿が海上に。
「あ、後藤…」
その私の言葉で我にかえったのか吉澤は
「ああああああ、あの、その…」
いつもみたいに顔を真っ赤にしてしどろもどろになっている。
103 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時33分28秒
「いちーちゃぁああん!!」
岩場に辿り着いた後藤は私達のもとへ駆け寄ってきた。
「ごっちん…。私、市井さんに話したよ」
「そっか…」
吉澤が後藤に話し掛ける。
しばらく3人で無言でいると、突然海がうねりはじめた。
渦を作りながら何かが浮かび上がってくる。
バシューーー!!
(……潜水艦……)
こんなもんに乗ってくるのはきっと…。
「なんや〜、ごっちんもおったのか」
想像通りゆーちゃんが潜水艦の上部ハッチから顔を出した。
(こんなもんどこに置いてんだよ…)

岩場に降りてくるとゆうちゃんは
「驚いたで、まさか紗耶香があそこまで目覚めてたとはな」
「な、なにそれ」
「紗耶香、あんたの持ってる『力』は素晴らしいで。物理の法則を
完璧に超越しとる。紗耶香、あんたは間違いなくバヶモンなんかじゃ
ない。それ以上や」
(バケモノ以上…?)
「中澤さん!!そういう言い方はやめて下さい!!」
「おう、吉澤。お前よりも強い『力』なんやで。ホント
びっくりやわ」
ズキン。
吉澤の痛みが伝わってくる。吉澤の傷ついた心。
それから、後藤の怒り。
そしてゆうちゃんの悲しみ。
「…大丈夫。吉澤。私、大丈夫だよ」
そう言って吉澤を見て微笑んだ。
104 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時35分24秒
「吉澤からちょっとは聞いたんやろ?紗耶香?」
「うん。聞いた。皆も『力』を持ってて、私が一番強い『力』
を持ってるって。それからゆうちゃんも辛いって」
「な、何いうてん。うちがいつ辛いなんて…」
「吉澤が言ったわけじゃないよ…。今、感じたよ。ゆうちゃんの悲しみ…」
「……。ほんますごいわ。まさかごっちんと同じ『力』まであるとはなぁ。
驚きやでほんま…、かなわんな紗耶香には…」
そういうとゆうちゃんは潜水艦の方へ引き返して行った。
「紗耶香。うちらの『力』なんてあんたに比べたらクズ同然や。
ほんま、あんたはすごい…。ま、『力』関係なしに今、惚れたわ」
そう言い残してゆうちゃんは潜水艦へと消えて行った。

(惚れた…?私に??)
「くそ〜、中澤さんのやつ言うだけ言って消えやがって!」
吉澤が悔しがって地団駄踏んでいる。
そして私の方を向くと
「市井さんっ!!私も市井さんがすすすすすす、好きですっ!!!」
目をつぶって顔を真っ赤にしながら叫ぶと急に背を向けて
走り去っていった。
茫然とする私。
(吉澤が私を好き…??はい??)
105 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時38分48秒
しばらくぼんやりとしていると
「…かえろっか」
後藤が声をかけてきた。
無言で後藤のモーターボートに乗り込む。
気まずい沈黙が二人の間に流れる。
先に口を開いたのは後藤だった。
「あたし…、覗きなんかしてないから…」
「あ。あぁ、ごめん…。ホント、勘違いだった…」
再び沈黙…。
私は後藤の『力』のことを考えていた。
さっき私が感じた、人の意識が流れ込んでくるのが後藤の力だとしたら…。
後藤はすごく辛いのかもしれない…。

何か感じたのか後藤は自分の『力』のことを語りだした。
「私の『力』は自分でどうにかできるもんじゃないの…。
勝手に流れてくるんだよ。強い念みたいなものとかさ…。
知りたくないのに…勝手にくる…。
最近やっとガードできるようになったけどね」
「後藤…」
俯きながら話す後藤はさっきの吉澤と同様とても痛々しかった。
106 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時40分26秒
しばらくぼんやりとしていると
「…かえろっか」
後藤が声をかけてきた。
無言で後藤のモーターボートに乗り込む。
気まずい沈黙が二人の間に流れる。
先に口を開いたのは後藤だった。
「あたし…、覗きなんかしてないから…」
「あ。あぁ、ごめん…。ホント、勘違いだった…」
再び沈黙…。
私は後藤の『力』のことを考えていた。
さっき私が感じた、人の意識が流れ込んでくるのが後藤の力だとしたら…。
後藤はすごく辛いのかもしれない…。

何か感じたのか後藤は自分の『力』のことを語りだした。
「私の『力』は自分でどうにかできるもんじゃないの…。
勝手に流れてくるんだよ。強い念みたいなものとかさ…。
知りたくないのに…勝手にくる…。
最近やっとガードできるようになったけどね」
「後藤…」
俯きながら話す後藤はさっきの吉澤と同様とても痛々しかった。
107 名前:第7話 ちゃむ臨海学校でどっきどき!?(後編) 投稿日:2001年08月29日(水)23時41分43秒
「あ、だからね、意識が読めるとかいっても私の意思で読んでるわけ
じゃないから。だからいちいちゃんの心を探ったりなんてできない
から安心して…」
「うん…。たとえ心が読めたとしても後藤はそんなことしないと思うよ」
私がそういうと後藤は静かに泣き出した。
俯きながら涙だけぽろぽろ流している。
その姿があまりにも切なくて、思わず後藤を抱きしめていた。
後藤は私の胸のなかで泣きながら呟いた。
「あたし…、いちいちゃんが好き。誰にも負けないくらい大好きだよ…」
「ありがと…」
後藤のことを嫌いじゃないと思った。
今までの不満も含めて考えても嫌いじゃないと思った。
けれどこれは後藤の『力』に対する同情かもしれない。
自分の気持ちが一番わからない…。
色んな人が好きだと言ってくれた。
でも私は誰が好きかなんて、誰に恋をするかなんて考えたこともなかったんだ。
108 名前:ちびのわ 投稿日:2001年08月29日(水)23時52分20秒
新メン加入に少々うんざりです(泣
前回よりは歌で選ぶのかと思いきやそうでもないし…
完全にバラエティ集団になったなぁ…なんて。

>ちゃむ好きさん
いつもレスありがとうございます。
ちょこっと謎はわかったでしょうか?

>91さん
ありがとうございます。

109 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年08月30日(木)04時33分10秒
「〜のれす」こんな喋り方するのは一人しかいない……この先登場予定か!?(w

おかげさまでちょこっと謎がわかりました(w
110 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月30日(木)05時09分39秒
今回は内容的に自分のなかではけっこう重い話しでした。
やっぱここの後藤は大好きです!
111 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)05時21分10秒
ごまガンガレ!!!ちゃむの心をGETだ!!
112 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)13時56分45秒
健気なよっすぃにも惹かれますけど、
やっぱりごまが一番健気かな。
113 名前:名無しです 投稿日:2001年08月31日(金)02時17分20秒
後藤は押し引きのさじ加減が、天然ですごく上手い印象がありますね。

押せ押せかと思いきや、急に健気になったり・・・
それが計算じゃないからスゴイ。
やっぱこういう後藤に、ちょっとはいい思いをさせてほしいっす・・・
114 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月31日(金)15時44分57秒
ちゃむは一体誰の手に・・・
115 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時46分04秒
波瀾含みの臨海学校が終了し、夏休みまであと10日ちょっと。
登校すると今までの嫉妬の目とはあきらかに違う好奇の目が私には
向けられるようになった。
覚悟はしていたけどやっぱ辛い。
矢口はこれまで以上に暇があれば私のところにやってきてくれるように
なった。
その気遣いは私にとってすごく感動的といってもいいくらいで、
心の底から矢口に感謝している。

それとは別にもうひとつ私は思うところがあった。
それは、後藤、吉澤、ゆうちゃんのことだ。
あの人たちの屋上の会話を思い出してみると、
3人とも何故か私のバージンを狙っているとしか思えない
会話のような気がしてきたんだ。
3人は私のことを好きだと言ってくれた。
その言葉は戸惑いはしたけれど正直嬉しかったんだよね。
けれどどうしてもその『好き』の裏には何かが隠れている気
がしてならない…。
116 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時47分23秒
昼休み、ちょうど教室から出ていこうとする石川に会った。
「あ、石川。ちょっとさ、聞きたいことがあるんだけど今時間あるかな?」
石川は少し驚いたように困った顔をしていたので
「あ、用事とかあるんだったらいいんだ…」
そういうと、
「いえ、大丈夫ですよ!」
そう言ってくれたので私達は屋上へ向かうことにした。

なかなか話しを切り出せなくて屋上のベンチに腰掛けて二人で
景色をぼんやりと眺めていた。
「…市井さん、聞きたいことって?」
石川がその沈黙を破り私に問いかけてきた。
「あのさ…この間の臨海学校でさ、後藤、吉澤、ゆうちゃんに一気に告白
されたんだ…」
「はい」
「それでね、その時は戸惑ったけど嬉しかった」
「はい」
石川は短い返事だけを返し私の核心質問を待っている。
117 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時47分54秒
「でもね、今までのこと思い出すとその言葉に裏があるように思えて
ならないんだよ…」
「……」
「後藤の家に行くときに言われたんだ『市井ちゃんのバージンはあたしのものだから』って。
それから屋上で後藤と吉澤とゆうちゃんが話しているのを聞いたときも私のバージンの話しをしてた。」
「あ……」
「ゆうちゃんに香港まで連れてかれた時も『まだ処女なんやろ』って言われたし…」
「あの……」
「これさ〜、どう考えてもあの3人は私のバージンが欲しくて私に色々してきたり言ってきたりしてるようにしか思えなくなっちゃってるんだよね…」
「市井さん…」
「だからさ、石川は3人のことよく知ってるみたいだし、何か知ってるかなって思ってさ。知ってるんだったら教えてもらえないかな?
嫌なんだよ、こんな変な状態…」
118 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時48分35秒
無言の石川と無言になった私。
俯いて何かを言おうとしても上手い言葉が出てこないって感じが石川の
雰囲気から伝わってくる。
それでも私は石川の言葉を待った。
「梨華ちゃん〜。教えてしもうたらええやんか」
突然二人の静寂を打ち消す声がどこからか響いてきた。
「あいぼん…!?」
その声の主は私たちの座っていたベンチの後ろにある貯水タンクの上から
地面に飛び下りた。
高さはかなりある。
「危ない!」
私がそう叫んだ時、あいぼんと呼ばれた少女とその後ろから飛び下りた
もう一人の少女の体がふわっと空中で停止した。
そして風を操るようにゆっくりと着地した。
119 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時49分21秒
「こんちわ、市井紗耶香さん。うちは加護亜依っていいますねん、そんでうちの後ろにおるのが…、ほれ、のの、挨拶せな」
「う、うん…。つ、辻希美れす…」
(あ、あの後ろの女の子の声聞き覚えがある…?)
二人の少女は突然自己紹介をはじめた。
面喰らっている私が石川を見ると、やはり石川も動揺しているようだった。
「なんで?なんであいぼんとののちゃんまでここにいるの?」
「なんで?って聞かれてもなぁ…なぁ、のの」
「へ、へい…」
「なんや皆もたもたしとるみたいやから様子見にきた…っつのもちょっと違うかな」
「あ、あの。あなた達二人も石川達の知り合いなの?」
私が小学生くらいの少女二人に話しかけると
「うん、そうや。知り合いっつーか、どうきょってやつや」
「あいぼん、同郷れすよ」
「ありゃ、まちがえてしもうた。ま、そんなことはどうでもええねん」
「ホント、二人は何をしにきたのよ?」
石川がいらついた様子で二人の小さな少女に尋ねる。
120 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時49分52秒
「んーと、早い話しが市井さんの『力』がどれくらい覚醒してるのか
調べにきたんや」
「ちょ、ちょっと待ってよ!一体何の話しなんだよ?わけわかんないよ」
こんな幼そうな少女二人が私を調べにきたって、一体何がどうなって
るんだよ?
「ほらー。あいぼん急にそんなこと言うから市井さん困ってるのれす〜」
「ん、そやな。じゃあ、いい機会やし、全部話しましょう。ええよな?
梨華ちゃん?」
「………」
何も言わない石川を了解のサインと受け取ったのかあいぼんと呼ばれた少女は
後藤、吉澤、ゆうちゃん、石川が私と関わってくる理由、彼女達が何故ここに
いるのかを語りはじめた。
121 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時51分25秒
話しというのはこうだった…。

彼女達は「朝光村」という村の出身で、そこには少なからず世間では「超能力」
と呼ばれる力を持つ人間が集まり構成されている。
その為、世間にあまり触れないよう極秘の場所にある村。
その手の『力』をもつ人間が日本中から何らかの情報をもとに集まってくるため様々な地方の人間がいる。
だから言葉もまちまち。
そして、私はその村のサラブレッドとして生まれた。
私の実の父も母も村一番の『力』を持っていたそうだ。
『力』はかなり遺伝的要素の強いものらしく、その意味でも私は生まれながらに期待された能力者だったらしい。
そしてもうひとつ。
12月31日に生まれた女は希代の『力』を持つという村の伝説があるのだそうだ。
現実的要素と伝説的要素の二つを兼ね揃えた私は正に能力者中の能力者。
村の人々はそれを喜び、また妬んだのだそうだ。
私の父と母は私が生まれて間もなく自動車事故で亡くなった。
そして、私は孤児となった。
122 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時52分19秒
しかし、私のその『力』を求めて、様々な「家」が私の親権を欲しがった。
そして、最終的に私の親権を得たのは「石黒家」であった。
石黒家の女当主(彩ねーちゃんのおかあさん)は『力』のための政略結婚をさせられたらしく、私の将来を強く心配していてくれたそうだ。
そして、彩ねーちゃんのお母さんは彩ねーちゃんに私を託して私達を村から
離れた俗世間へと送りだした。
その時は相当もめたらしいんだけど、彩ねーちゃんのお母さんはその時の村では一番の『力』を持っていたらしく「村長」みたいな立場にあったんだって。
だから反対を押し切ってまで私を村から逃がすことに成功したらしい。
しかし、最近になって彩ねーちゃんのお母さんは病気で亡くなったのだ
そうだ。

この話しも相当ショックだったけどその後の話しはもっとショックだった。

123 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時52分52秒
村にはもう一つの伝説があった。
「12月31日に生まれし女と交わりしもの絶大な力を得るであろう」
彩ねーちゃんのお母さんのいなくなった今、
この伝説を真剣に受け止める村人達は村で有力な能力者を私とくっつけようと
したわけで…。
そこで、選ばれたのが「後藤家」「吉澤家」「中澤家」の中でもっとも強い
『力』を持つ後藤、吉澤、ゆうちゃんだった。

朝光村はその『力』を利用して莫大な富を築いているらしくその中でも
代々『力』の強い「後藤家」「吉澤家」「中澤家」「石黒家」「石川家」は
半端でない財産を所有しているのだそうだ。
自家用ジェットも納得か…。
そんなわけで私の処女を奪うべく3人の能力者が私のもとへ送り込まれ、
そのサポートとして石川もやってきた。
そして、私が本当に希代の能力者であるのかどうかの確実な実証を得る
ために加護と辻はやってきたのだそうだ。
124 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時53分50秒
「ねぇ、もしかしてさぁ、この間の臨海学校のときのも二人のしわざ?」
私の問いかけに辻がおどおどと答えた。
「へい…。あれはののがあの男の人を操ってやりました…」
「……」
絶句する私。もはや何も言うことはないっす。
「あ、市井さん。うちらの『力』も一応紹介しときますわ。
うちは風をすこぉしだけ操れんねん。そんでののは人が眠っているときに人を操ることができんねん」
「でも、3分間だけなんれすよ」
「うちらは無名の家からポンと出た突然変異みたいなもんやからな〜。
うちらはまだ中2やしあんま相手にしてもらえんねん。でも家にこだわっとるやつらより『力』は強いんやで!!」
加護の口調には自嘲と「家」というものへの憎しみを感じた。
ピリ!
伝わってきた加護の意識は「家」に対する悔しさ。そして見返してやりたいという復讐の心だった。
(まだ13、14の子がこんなに憎しみを抱くのか…)
125 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時54分34秒
この話しを聞いたあとの記憶はあんまりないんだ。
多分ふらふらと教室に戻ったんだと思う。
そして、この日後藤、吉澤、ゆうちゃんに対する不信感は決定的なものに
なった。
(最低だよ、あいつら…。『力』のために私を欲しがるか…)

放課後の教室に一人残っていると突然失踪した彩ねーちゃんのことを
思い出した。
(ゴメンね…ねーちゃん。私のせいなんだね。私がいたばっかりに
彩ねーちゃんはお母さんと離れなきゃなんなくて、私の面倒みなきゃ
なんなくて…)
こぼれ落ちる涙を拭うこともできないくらい悲しかった。

教室で一人、自我崩壊したように泣き続ける私をいつの間にかやってきた
矢口がそっと抱きしめてくれた。
何も聞かずにただそぉっと、壊れ物を持つように優しく。
泣きながらうわ言のようにただ
「矢口ありがと。ありがと…ごめんなさい」
『ありがと』と『ごめんなさい』をひたすら繰り返す私はもう何に
お礼を言っているのか何に謝っているのかそれすらわからなくて…。
それでも矢口は
「うん、いいんだよ」
と優しく何度も繰り返し私を抱きしめ続けてくれた。
126 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時55分12秒
その日は後藤へ矢口に電話をしてもらい矢口の家に泊まらせてもらった。
何から何まで矢口にあまえっぱなしの自分が少し恥ずかしかった。
そんな私の心を見透かしたのか
「紗耶香が泣いてるときは矢口が助けるって決まってるのだ」
なんて言ってくれるもんだから、また泣けてきた。

そんでもって矢口の家のでかさも半端じゃなかったっす。
車はベンツ、BMW、ジャガー、センチュリーがずらっと…。
「矢口さー、車で通学ってのはやなんだよね〜。やっぱ普通の女子高生したいじゃん」
いかにも矢口らしい。
「あのさ、ごっちんのとこ戻るのやだったら矢口のとこにいていんだよ。
紗耶香の部屋だって用意できるし」
「あ、うん…。でも…」
(借金があるんだよね…後藤には…)
「借金のこと気にしてる?圭ちゃんに聞いたんだ。ごめんね、勝手に聞いて。
それなら心配しなくていいからさ」
「矢口…どうしてそんなに優しいんだよぅ?」
ふいに矢口の顔が赤くなる。
「それはさ…、紗耶香が大人になったらわかるのだ」
(ありゃ?はぐらかされた?)
127 名前:第8話 明かされたちゃむの秘密 投稿日:2001年09月03日(月)15時55分46秒
その晩は矢口と一緒に寝た。
矢口の匂いはすごく安心できる。
「紗耶香〜?もう寝た?」
「ん〜、もう寝るとこっす」
「矢口もだよ〜」
二人で顔を見合わせると思わず笑ってしまう。
「矢口、ありがと。何も聞かないでくれて」
「理由なんて関係ないよ。紗耶香が泣いてるのが嫌なんだ、矢口はさ。
紗耶香が話したいって思った時に話してくれればいいんだよ」
「矢口はホントいい奴だなー」
思わず矢口の頭をなでなでしてしまった。
「なんだよ〜、お子様扱いはやめろよ〜」
少し照れたような矢口の声。
そして矢口の顔が近づくとほっぺたに柔らかい感触が…
チュッ
矢口はばっと私に背中を向けると
「お、お休みのちゅ〜だぞ!ゆうちゃんみたいなセクハラじゃないからな」
なんて言ってきた。
「あはは。セクハラじゃんかぁ」
何だか妙に楽しい気持ちになって矢口の背中にくっ付いてみた。
「ばぁか、セクハラじゃないよ…おやすみ…」
矢口の声はとっても静かで私を安心させる。
矢口の鼓動が聞こえる。それもまた私を安心させる。
「うん…おやすみ。矢口…」
矢口の背中でいつしか私は眠っていた。
久しぶりにぐっすり眠れた気がした。
128 名前:名無し 投稿日:2001年09月03日(月)16時17分33秒
あれ?なんだか話しがどんどん暗くなっているような(汗

>ちゃむ好きさん
毎度〜!大当たりでした(W
やっと辻、加護だせましたよ〜
あとはあの人ただ一人…(新メンは出せませんです…情報が無さ過ぎなんで

>ぐれいすさん
なんだか今回もちと重めになってしまいました…(汗
後藤好きっすか?
ありがとうございます!
しかし、ちゃむの心は離れるばかり…(苦笑

>111さん
後藤は果たしてちゃむの心をGETできるでしょうか?
今のちゃむは不信感でいっぱい…

>112さん
健気度なんて考えてなかったですけど言われてみれば
後藤も吉澤も健気ですね(苦笑
ちゃむが鈍いからいけないのです

>113さん
確かに後藤の健気さがもしも計算だったら嫌っすね(苦笑
後藤はいい思いできるでしょうか?
でも、このまま健気路線ではいきませんぞ〜、たぶん…(汗

>114さん
意表をついてののたん!!
とか…。ありえない話しじゃあありません(W

今回は矢口が動きだしました。
ちゃむ不信感により後藤、吉澤、中澤は横1線に逆戻り。
一歩リードはかおりん、矢口か!?

武道館DVD久々に見て改めてちゃむの素晴らしさを認識☆
復帰を願うこの頃です。

129 名前:ぐれいす 投稿日:2001年09月03日(月)20時59分36秒
本当に矢口の優しさに感動
裏が無いのならこのままでもいいんじゃないかと思ってしまった…
130 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年09月04日(火)04時15分04秒
矢口には裏が無いと思いたいが………匂うな(w

熾烈をきわめる争奪戦、一体誰が勝利するのかな〜?
131 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月05日(水)00時24分31秒
ちゃむ以外みんな金持ちなのね・・
嗚呼ちゃむ・・(w
132 名前:第9話 ちゃむのピンチはピンク!? 投稿日:2001年09月08日(土)23時54分16秒
矢口家からの登校は久しぶりの電車通学だ。
久々の満員電車。
ぎゅうぎゅうに押しつぶされる。苦しい…(泣)
しかし、私よりも10cm以上背の低い矢口はもっと悲惨だ。
人に挟まれて息をするのが辛いみたいで。
一生懸命顔を上に向けて息をしている。
(うぉ〜、矢口気の毒だ…。何もしてあげらんなくてごめんよ)
私も身動きがとれない。
その時、私のお尻に何かが触れる感触が…。
(チッ…痴漢!!)
痴漢野郎は私のお尻を撫で回してくる。
怒りに思わず『力』を使ってしまいたいと思った。
(う…ダメだ…こんなとこであの力使っちゃったら大変なコトになる…)
避けようにも混み過ぎて身動きがとれない。
133 名前:第9話 ちゃむのピンチはピンク!? 投稿日:2001年09月08日(土)23時54分50秒
(くぅっ…やっぱいやだぁぁああああ〜〜〜〜〜っっ)
『力』をだしてしまおう、そう考えた瞬間。
「やめんかい!!」
痴漢の手を取って高々と上にあげてくれた人が!
「いい年して恥ずかしいと思わんのか?」
「ち、違う。誤解だ。手が勝手にっ…」
私に痴漢をしていたおじさんはおろおろとうろたえ、
「本当なんだぁ!」
と叫んでいた。
そして、私を助けてくれたのはゆーちゃん…。
おじさんの手は確かにぴくぴくと奇妙な動きをしている。
ゆーちゃんがその手を見ると動きは止まった。
「なおった?」
おじさんはうろたえながらも、嬉しそうに呟いていた。
「大丈夫やったか。紗耶香?」
134 名前:第9話 ちゃむのピンチはピンク!? 投稿日:2001年09月08日(土)23時55分29秒
そんな訳で矢口とゆうちゃんと3人で登校することになり、学校につくと
吉澤と後藤に会う。
(何だか後藤と会うの気まずいなぁ…)
矢口は今朝の痴漢事件を後藤と吉澤に話していた。
ゆうちゃんはというと、私の肩に手をかけて
「安心してええんよ。紗耶香のピンチにはいつだってゆうちゃんが駆け付けるからな」
とおっしゃる…。
(今までのピンチは割とあなたのせいです。なんていえねぇ…)
今朝は助けてもらった手前気弱になってしまう。
すると吉澤がゆうちゃんに向かって
「よく言いますね、中澤さん。あなたが『力』でそのおじさんの手を動かしてたんでしょう?」
「っく。何のコトかゆーちゃんさっぱりわからんなぁ、吉澤」
「ゆうちゃん。自分の株あげるためにいちいちゃんのこと危ない目に合わせたら許さないよ」
「そうですよ!中澤さん!」
二人に責められるとゆうちゃんは逃げるように職員玄関へと消えていった。
(ゆうちゃん…。はぁ…。まともなのは矢口だけ…)
135 名前:第9話 ちゃむのピンチはピンク!? 投稿日:2001年09月08日(土)23時56分41秒
「ねぇ、ちょっとー、『力』って一体なんなのさ?こないだからわけ
わかんない」
矢口が吉澤に詰め寄っている。
すると、後藤が私の横にやってきて腕を取り自分の腕に絡ませる。
「昨日は寂しかったよぅ」
上目使いで見られると不覚にも可愛いなんて思ってしまう。
(でも後藤は…結局は私の『力』が目当てなんだよな…くそぉ)
なんだか言い知れぬ怒りがこみあげる。
「今日は一緒に帰れるよね?」
後藤の一挙一動が全て疑わしくなる。
思わず後藤の腕を振りほどくと、
「一人で帰るから、後藤も一人で帰って…」
そう言い放って私は教室へと走った。
136 名前:第9話 ちゃむのピンチはピンク!? 投稿日:2001年09月08日(土)23時57分14秒
もやもやした気持ちを抱えながら授業は進んでいく。
お昼に矢口がきてくれて少し気が楽になったのも束の間
吉澤&後藤というオプション付きで…。
後藤は滅茶苦茶落ち込んでるし…。
そんな感じで放課後になると、突然かおりが現れた。
「さやか!!元気ないね」
「か、かおり!あ、この間は本当にありがとね。ちゃんとお礼言ってなかったよね」
かおりの来訪はいつも唐突で驚くがタイミングばっちりなんだよね。
「ね、かおじゃさやかの元気になれない?」
顔を覗きこまれて急にそんなことを聞かれるものだから顔が赤くなってしまう。
(うぅ…。かおり…。その優しさが染みる…)
矢口とはまた違うかおりの雰囲気は私を落ち着かせてくれる。
「これからさ、かおと遊びにいこっ!」
そういうとかおりは私の手を取って歩き始めていた。
私も取られた手を離すことなくかおりと一緒に歩きはじめていた。
137 名前:第9話 ちゃむのピンチはピンク!? 投稿日:2001年09月08日(土)23時58分14秒
かおりとのデート(?)はとても楽しくて、ゲ−セン行ってプリクラ撮って、
二人でクレープ食べて…。
(ああ、こういうのが普通の生活だよな)
なんてしみじみしながら最後にカラオケにやってきた。
「楽しい?」
「うん!すごい楽しいよ」
「良かった。かお、さやかが喜んでくれると嬉しいよ」
「そ、そう?なんか照れるな」
「さやか…」
かおりが私の額の髪を優しくかきあげる。
思わず見つめ合ってしまう。
その瞬間何故か後藤の寂しそうな顔が頭に浮かんだ。
(!!)
私はかおりと視線を離すと立ち上がった。
「ゴメン、かおり。ちょっと外の空気吸ってくる」
(なんで後藤の顔が浮かんでくるんだよ…)
ドアに手をかけて開けるとそこは…。
138 名前:第9話 ちゃむのピンチはピンク!? 投稿日:2001年09月08日(土)23時59分12秒
(!!!!!!え??????)
ザザーンと音をたてる波。
眼前に広がるのはまぎれもなく青い海…。
(海?ここはカラオケでしょ?な、何?)
上空では自衛隊が使うようなヘリが轟音を立てていた。
どうやらカラオケボックスごとヘリで移送されているみたい…。
「驚いたやろ!!!?」
ヘリから顔を覗かせるのはやっぱりゆうちゃん…。
(お、驚かいでか…)
「ちょっと、ゆうちゃん!なんなんだよ!!」
さすがに慣れてきて私もひるまない。
「実はな〜、紗耶香に見せたいもんがあるんや!!」
ゆうちゃんがそう言うと、いつの間にかかおりが私の背後に立っていた。
139 名前:第9話 ちゃむのピンチはピンク!? 投稿日:2001年09月08日(土)23時59分49秒
かおりは上空のヘリを見上げると何やら呟きはじめた。
「ユウチャン…テキ。ハイ…ジョ…」
かおりは目をカッと見開くと叫んだ。
「ディアーーーーーーーーー!!!!!!!!」
その瞬間かおりの目から強烈な光りが発光するとともにヘリが爆発音を発した。
チュド−−−−ン!!!!!!
(んな、アホな…)
「うあっ!!!」
ゆうちゃんの悲鳴とともにヘリに吊られていたカラオケが傾き私は体制を崩した。
「きゃあっっ…」
(え?)
海にまっさかさまに落ちて行く私…。
(今度こそ終わりかな…)
死を覚悟した瞬間、
「『力』を使うの!!いちーちゃん!!!」
叫び声が聞こえた。
それに同調するように私の体はふわっと空中で停止するとゆっくりと落下をはじめた。
そしてストンと抱きとめられる。
その腕は水上バイクに乗った後藤の腕だった。
「大丈夫?いちいちゃん?」
後藤に優しく抱き締められると猛烈に顔が赤くなっていくのが自分でわかった。
(う〜、何でこんなに熱いんだ?)
「ど、どうしてここがわかったの?」
その答えが後藤の口から出る前にもう1台のヘリがやってきた。
ピンク色のヘリが…。
140 名前:第9話 ちゃむのピンチはピンク!? 投稿日:2001年09月09日(日)00時00分26秒
ピンクのヘリに救出されヘリ内に入るとそこには石川と圭ちゃんが待っていた。
「け、圭ちゃん!!」
「いや〜、紗耶香。無事でよかったわ〜。ちょっとかおりのパワー強すぎたかな?」
「かおりのパワー?って、かおりは!?無事なの??」
「大丈夫ですよ、市井さん。飯田さんは他の部屋で充電してますから」
石川が答える。
「じゅ、充電?」
「そうよ、あんたまだ気付かないの?かおりは私が作った超高性能アンドロイドなのよ!」
えっへんといった感じの圭ちゃん。
(かおりがアンドロイド…。ショッキ−!!)
「言ったじゃない、この間。いいもん作ってあげるって」
「言ったけど…」
「紗耶香のボディーガードになるようにって思ってね。いいできでしょ!」
「………」
(かおり…アンドロイドでも私はかおりが好きだよ…(泣))
「そんでかおりに発信機つけといたから、あんたのピンチに参上したわけよ」
「やっぱり、保田さんはすごいです」
石川の甘い声が圭ちゃんに投げかけられる。
「いえいえ、石川が材料提供してくれなきゃできなかったわよ」
「そんなことないですぅ〜」
何故か石川は照れている。
141 名前:第9話 ちゃむのピンチはピンク!? 投稿日:2001年09月09日(日)00時01分01秒
「梨華ちゃん、会話中悪いんだけど、例のとこに行ってもらえるかな?」
後藤が石川に声をかける。
「うん。大丈夫。ちゃんと進んでるよ」
「後藤、一体なんなの?どこに行くのよ?」
「ゆうちゃんが連れていこうとしたとこだよ。ここまできたんだから…」
しばらく沈黙が続く。
「先によっすぃーが行ってるはず。あとゆうちゃんもね。私達の生まれた場所に」
後藤が生まれた場所…。
私の生まれた場所でもあるんだよな…。
(少し怖いや…。矢口…今日はいないよね…。だめだな…矢口に頼ってばっかりじゃ…)
少しだけ震えている私の手の上に手が重なる。
後藤の手だった。
後藤は何も言わずに私の手を握りしめた。
悔しいけど少し安心した。
(こいつって必ず一番のピンチに助けてくれるよな…)
ちらっと後藤の顔を盗み見ると酷く辛そうな表情でなんだか胸が痛んだ…。
142 名前:ちびのわ 投稿日:2001年09月09日(日)00時09分41秒

>ぐれいすさん
いつもレスありがとうございます。嬉しいっす★
矢口はいいポジションにつけておいて…
ちゃむの心は矢口よりですね(W

>ちゃむ好きさん
毎度です〜!!感謝です。
矢口はやっぱり匂いますよね(W
とりあえずカオリンが戦線離脱になりますね(W

>131さん
もしや元紫の板の方ですか?違ってたらスマソ(汗

ちゃむは底なしボンビーなのです。
でも金持ちに持てるからいいんじゃねーかとも思いますが(W

もうちょっとであの人がだせる…
143 名前:ぐれいす 投稿日:2001年09月10日(月)11時27分40秒
ちゃむの運命はどうなるんでしょう……
カオリが機械だということが発覚しこれからの展開に期待!!
144 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月24日(月)20時39分55秒
最初から最後まで笑わせられました。
吉澤ってなんか信号みたいですね…。(爆)<黄色くなったり赤くなったり
145 名前:144 投稿日:2001年09月24日(月)20時47分10秒

違いました、黄色じゃなくて金色ですね。(汗)
今、一番気に入ってる小説です。待ってます。
146 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月02日(火)23時14分27秒
もう十月なんだけどな〜。
まだかな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
147 名前:ななし 投稿日:2001年10月13日(土)21時12分14秒
「ちびのわ」さ〜ん
ちゃむも復帰する事だし、再開しましょう?
待ってます〜〜〜。
148 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(前編) 投稿日:2001年10月14日(日)01時53分34秒
私の生まれた土地。そして後藤達が生まれた土地。
村と聞いていたのでもっと山奥の辺鄙な所かと思ったが、予想に反して
かなり綺麗な近代的な場所だった。
ま、今どき藁葺き屋根の家なんてそうそう無いだろうけど、私の村のイメージ
ってそんなもんだったんだよね…。

後藤に連れられて一際大きな屋敷に連れていかれる。
そこにはゆうちゃんと吉澤もいて、二人とも妙に緊張した表情で立っていた。
「いちいちゃん連れてきたから…」
そういうと後藤は先陣をきって屋敷に入っていく。
続いて、ゆうちゃんと吉澤も。
「市井さん、一緒に来て下さい」
そう吉澤に促され私も屋敷の中へと進んだ。
149 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(前編) 投稿日:2001年10月14日(日)01時54分16秒

「とうとう連れてきたか」
屋敷の奥に入ると妙な宗教チックな壺や掛け軸のかけられた部屋へと辿り着いた。
そこで私達を待っていたのは能面を被った妖しい黒魔道師のような人。
(ヽ(^o^)√FFの黒魔道師のローブを想像してね!)
「はい…長老…」
ゆうちゃんが重そうに口を開く。
☆☆☆
(ん?一瞬なっちさんの顔が浮かんできた…?)
「それにしても、ひどい傷だな。中澤…」
そういうと能面人間がゆうちゃんに手をかざすとその傷はみるみる癒えていった。
(ま、まじ!?っつーかゆうちゃんヘリが墜落したのによく生きてるよな…)
能面人間の能力にもかなり驚きだが、もっと驚くのは変声機までつけていること。
この人はなんでこんなにしてまで自分のこと隠してるのかな…。
それにしてもこの能面人間『モー○ング刑事』のたい○ーさんみたい…。
150 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(前編) 投稿日:2001年10月14日(日)01時54分58秒
「ねぇ、誰なのこの人?」
隣に座った後藤に小声で訪ねる。
「この村の長老…」
(長老…?だって長老ってあやねーちゃんのお母さんが亡くなってからいないんじゃ…)
ふとした疑問に俯いていると、いつの間にか能面人間が私の眼前に迫っていた。
「よく戻ってきたね、12月31日生まれの処女よ」
(っく…。その言われ方すげぇ腹立つ)
「その言い方やめてよ!私、この村の為に自分を捧げるつもりなんかないんだから!!」
「……先代の長老もそう言ってお前をこの村から離した…。しかしな…紗耶香…」
能面人間は早回しのようなどこか間の抜けた声で深刻そうに話し始める。
ちょっと笑えちゃうじゃないかよ…(汗
「12月31日の処女と交わればその力は絶大なものとなる。この言い伝えは
聞いているのだろう?」
「………う…ん…」
「それは伝説だと思っているだろうが、事実なのだ。お前の本当の母親も同じだった。
ただ不幸な事故があったが……。我ら能力をもつ者達は代々それにより富と力を手にしてきたのだ」
「そんな…そんなのって…」
急に立ちくらみがした。体の力が抜けて気分が悪い。
(何…?なんかだるい…?)
151 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(前編) 投稿日:2001年10月14日(日)01時55分36秒
相当顔が青ざめていたのだろうか。吉澤がそっと体を支えてくれた。
後藤も心配そうに私を見ている。
「月の影響や、紗耶香…」
ゆうちゃんの妙に冷静な声が私の耳に響く。
「あんたの力はな、月の光りに左右されるんや。つまりやな、月の光の届かない
皆既月食のときその力は弱まるんやよ。せやからな、12月31日の処女との
儀式は月のない夜にとり行われる」
ゆうちゃんの顔を見つめる。やけに悟ったような冷静な、それでいて寂し気な顔。
「紗耶香の力で相手を拒絶させないためにはそーするしかないんや…」
「あと1日で皆既月食だ…」
能面長老が衝撃の事実を淡々と告げる。
「明晩儀式をとり行う」
(ほへぇえええ!????あ・し・たぁああああああ????)
「中澤裕子、後藤真希、吉澤ひとみ、三人のうちどれかがお前の相手だ」
(なっ……!)
反論する間もなく能面長老は去って行く。
「どんな勝負やねん、長老さん…」
ゆうちゃんが苦々しそうに聞く。
(っつーか私の意思は!?)
「明日になればわかる」
(ないんですかあーーーーーーーぁ!?ちきしょー力がでないぃぃ……)
152 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(前編) 投稿日:2001年10月14日(日)01時58分44秒
相当顔が青ざめていたのだろうか。吉澤がそっと体を支えてくれた。
後藤も心配そうに私を見ている。
「月の影響や、紗耶香…」
ゆうちゃんの妙に冷静な声が私の耳に響く。
「あんたの力はな、月の光りに左右されるんや。つまりやな、
月の光の届かない皆既月食のときその力は弱まるんやよ。
せやからな、12月31日の処女との儀式は月のない夜にとり行われる」
ゆうちゃんの顔を見つめる。やけに悟ったような冷静な、
それでいて寂し気な顔。
「紗耶香の力で相手を拒絶させないためにはそーするしかないんや…」
「あと1日で皆既月食だ…」
能面長老が衝撃の事実を淡々と告げる。
「明晩儀式をとり行う」
(ほへぇえええ!????あ・し・たぁああああああ????)
「中澤裕子、後藤真希、吉澤ひとみ、三人のうちどれかがお前の相手だ」
(なっ……!)
反論する間もなく能面長老は去って行く。
「どんな勝負やねん、長老さん…」
ゆうちゃんが苦々しそうに聞く。
(っつーか私の意思は!?)
「明日になればわかる」
(ないんですかあーーーーーーーぁ!?ちきしょー力がでないぃぃ……)

153 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(前編) 投稿日:2001年10月14日(日)02時00分35秒
ひとまず長老の屋敷を連れ出され一つの家に案内され、
しばらくそこで休んでいた。
ゆうちゃんも後藤も吉澤もそれぞれどこかに行ってしまったようだ。
(けいちゃーん、かおりー、矢口ー……助けて…)
携帯をかけようにも圏外で誰にも連絡がとれない。
(逃げなきゃ……こんなとこ…。ゼッッタイ…)
意思ははっきりとしているのに体中から力が抜けていて
歩くことすらままならない。
はぁはぁ…。
どれくらい歩けたんだろう?
ちょっと歩いただけのはずなのにすごく苦しい…。
思わず木によりかかり息を整える。
息を整え顔をあげるとすぐ目の前の木の根元に後藤が座って私を見つめていた。
(あ……)
「逃げようとした?」
寂しそうな顔をして後藤が口を開いた。
「な、なによ。連れ戻すつもり?」
強気に言葉を返したものの体は相当こたえていたらしくその場にへたりこんでしまう。
154 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(前編) 投稿日:2001年10月14日(日)02時01分23秒
「あっ」
後藤が私の元にゆっくり歩みより跪く。
だんだん近づいてくる後藤の顔。
(え?)
キスされるかもそんな恥ずかしいことを一瞬考えてしまう。
しかし私の想像に反して後藤は私の額にフッと息を吹きかけた。
そんなちょっとした微風だったのに急に頭がくらくらして私は後ろの木に倒れかかってしまう。

「こんなに弱ってるのにどーやって逃げる気なの?
村の出入り口には見張りがたくさんいるんだよ…」
そう言いながら後藤は私の体を抱き起こしてくれた。
「戻った方がいいと思う…」
もう抵抗できるだけの力は残っていなくて私は後藤に抱きかかえられるような形で
もと来た道を引き返していた。
155 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(前編) 投稿日:2001年10月14日(日)02時02分01秒
「今までこんなになったことないのに…」
「それだけいちいちゃんの力が強くなったんだよ」
「……」
「いいな、私のお母さんは…。私と同じ力があっても好きな人と一緒になれて…」
後藤は複雑な顔で私の顔を覗き込んでいる。
「私だってさ…、ファーストキスくらいは好きな人としたかったな…」
(なんだってこんなこと後藤に話してるんだろ…。)
後藤は私の目を捕らえると微笑んで、
「もーしたじゃん、あたしと」
なんて言ってきやがる。
「あっ、あんなの!!全然違うよ!あのときは自暴自棄だったしっ!!
ちょっ、ちょっとさわったくらいだし…」
「きゅーん」
後藤の切そうな顔が少し可愛くみえたりして…。
でも、後藤のこと信用したわけじゃない。
なのになんでドキドキするのか…。
「私のことなんて好きでもなんでもないくせに…。体が目当てのくせに…」
私のその言葉をきっかけにお互い黙ったままで、後藤は私を家に届けると
何も言わずに帰っていった。
急激な眠気が私を襲う。
何も考えることもできず私は眠りに落ちていった。
156 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月14日(日)02時16分41秒
>>154かぶってしまいましたごめんなさい。

本当に久しぶりの更新でお待たせ致しました。
こんな駄小説でも待っていてくださる方がいて嬉しい限りです。

>>ぐれいすさん
かおりんはどうしても目から光線を発したかったのでアンドロイドに
してしまいました(苦笑

>>144&145さん
読んでくれて、しかもおもしろいと言ってもらえてホント嬉しいです。
ありがとうございます。

>>146さん
お待たせしました。すんません(反省
気がつけば1ヶ月も放置でした…(汗
また読んで頂けると嬉しいっす。

>>147さん
市井ちゃん復活!!まじ嬉しいです!!
この喜びでやっと久々に書きだせました!!
待っててくれて感涙…

というわけでちゃむ復活ほんと〜〜〜〜〜に嬉しいですわ。
早くメディアに登場して欲しいものです!!
UFA関係で復活ってことはまたいちごま的妄想をかきたてさせてくれるような
場面が見れるのでしょうか…
儚い夢だとはわかっていますが…

遅い更新になってしまいますが気長に読んで頂けると嬉しいです。
もしよければ一読したら何かレス頂けると嬉しいです。
久々の更新のくせに注文しちゃってすんません(恐縮
157 名前:145 投稿日:2001年10月14日(日)07時10分34秒
待ってました!(嬉)
なんか、一言では言い表せないぐらいどきどきする展開です。
最後までずっと作者さんについていきます。
158 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月14日(日)13時23分41秒
更新待ってました!!
159 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月15日(月)22時16分49秒
面白い!!更新かなり待ってました!
160 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(後編) 投稿日:2001年10月15日(月)23時05分15秒
朝になり目が覚める。体は昨夜に比べるとずっと楽でそんなに辛くはない。
(はぁ…。逃亡謀るなら昼間ってことか…)
休ませてもらった家で朝食を頂いていると、圭ちゃんとかおりがやってきた。
「紗耶香!あんた随分大変な立場にいんのね…。石川から聞いたわよ」
「……」
なんだか圭ちゃんの声を聞いたら安心して涙がでてくる。
「ちょっと紗耶香、泣いちゃだめよ。助けるから!どう考えたって理不尽よ。
あんたは道具じゃないっつーのよね」
「そうだよ!かおりもさやかのこと助けるよ!!」
「圭ちゃん、かおり〜」
思わずかおりに抱きついてしまう。
かおりがアンドロイドだって聞いた時はショックだったけど
そんなこと大した問題じゃない。
だって私の周りも私も皆『変』だから…(涙)
そしてかおりの腕は温かく、やっぱり懐かしい…。
161 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(後編) 投稿日:2001年10月15日(月)23時07分17秒
「大丈夫、さやか!かおりね、すごい味方がいるんだから!」
そう言いながら私の背中を優しく撫でるかおり。
「…っく。すごい味方?」
ようやく泣きやんでかおりの顔を見つめると、
「そう、すごいの〜。ほら、辻、おいでよ」
かおりが振り返る。
それにつられてかおりの後ろに目をやると、学校の屋上で会った
二人の少女のうちの一人が立っていた。
「なんかねー、昨日の夜かおりが『呼ばれてる』とか言いながらふらふら外に
出ていったのよ。そんで帰ってきたと思ったらこの子連れてきたのよ」
「あ…あの…いちいさん。この間はごめんらさい。ののはやっぱり
ああいうことするの嫌いれす。でも、そういうの解ってもらえないのれす。
だからやだったけどやってごめんらさい…」
たどたどしい喋りだが必死にこの辻という少女が謝ろうとしている熱意は
充分に伝わってきた。
162 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(後編) 投稿日:2001年10月15日(月)23時08分04秒
「んー、いいよ。辻ちゃん。気にしないで…。辻ちゃんも『力』を人が嫌がることに使うのが嫌いなんだよね…。それ聞いただけでもう十分だからさ」
「ありがとうなのれす!!いちいさんはいい人なんれすね。ののもいいらさんといちいさんを頑張って守るのれす!!」
「ありがとう、辻ちゃん…」
「辻でいいれすよー」
辻はそう言って笑う。
味方がいるってすごく心強い。私ってある意味幸せ者かなぁ。
自分以外の人にこんなに一生懸命になってくれる人に囲まれてるんだもんな。

163 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(後編) 投稿日:2001年10月15日(月)23時08分44秒
「ところで、どうして辻はかおりと知りあったの?」
「あ、それはね、かおりが辻に呼ばれたからなんだー。」
「??呼ばれた??」
「うん。なんかねー、かおりのこと呼んでる声が聞こえたの。だからね
かおりさ、声のする方へ歩いていったんだ。そしたら林の中から
『めぇー』って聞こえるんだよ。かおりびっくりしたけど、『めぇー』って
呼び返してみたの」
「そうなんれす。らからのの『めぇー』ってまた返して林からでたんれす。
そしたらいいらさんがいて、『かおりのこと呼んだ?』って言うから
『めぇー』ってかえしたんれす」
「それでね、かおりわかったの。あぁ、『めぇー』だなって。だからかおり
辻のこと連れて帰ったの」
「いいらさんはすごいのれす。今まで誰もののの『めぇー』をわからなかったのにすぐにわかってくれたのれす。すごく嬉しいのれす」
「かおりも嬉しいの。辻に会えて嬉しい」
「いいらさん!!」
「辻!!」
「「めぇー」」
困惑する私と圭ちゃんをよそに二人の『めぇー』はしばらく続いていた。
世界は広い…。
164 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(後編) 投稿日:2001年10月15日(月)23時09分55秒
辻は
「のの、あいぼんをとめます。あいぼんは本当はいい子なんれすから」
そういうとかおりとともに走り去っていった。
(あいぼん…。もう一人の子か…。あの子すごい憎しみ抱えてそう
だったもんなぁ)
とりあえずあの子は辻とかおりがどうにかしてくれるんだろう…。
とにかく夜になるまでは何がどういう風に行われるのかがさっぱり
わからない為、圭ちゃんはとりあえず様子を見ようと言った。
私はもちろん反論する理由がないので同意した。
しばらく圭ちゃんと村の道を歩いていると、川原が見えてきた。
「ちょっと休もうか」
圭ちゃんの言葉につられ土手に腰を下ろすと河川敷にゆうちゃんともう一人
誰かが立っているのが見えた。
「ちょっとあれ、なっちよ…」
圭ちゃんの言葉を聞き、目をこらしてよく見ればゆうちゃんと立っているのは
安倍なつみことなっちだった。
165 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(後編) 投稿日:2001年10月15日(月)23時10分41秒
「なんでこんなところに…。なっちもこの村の人間ってこと?」
「そうみたいね」
二人の会話は全く聞こえない。
二人してじっとゆうちゃんとなっちを見つめていると、ふいに大声が聞こえた。
「ゆうちゃんのばか!!もう知らないベさ!!」
なっちの叫びにも近い声に続いてゆうちゃんの頬がなっちの平手によって
はたかれた。
なっちはそのまま河川敷を走り去っていった。
ゆうちゃんははたかれた頬を両手で抑えいつまでも俯いていた。
「何か…みちゃった〜って感じだね…」
「そ…だね…。いこっか、紗耶香…」
圭ちゃんが立ち上がる。私もあわてて立ち上がり歩きはじめた。
「ゆうちゃんとなっちってさ、付き合ってたはずなんだよね…」
圭ちゃんがぽつりともらす。
「そうなんだ…」
私は自分だけが振り回されているって思ってたけど、どうやらそうでもないみたい…。
『みんなつらい』
なんだかそんな言葉が急に浮かんできて、それきり圭ちゃんも私も口を開かなかった。
166 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(後編) 投稿日:2001年10月15日(月)23時11分22秒
日が落ちると私は昨日の能面長老の屋敷へと連れていかれた。
そこには後藤と吉澤、ゆうちゃん、そしてなっちと石川が待っていた。
私は圭ちゃんと一緒で、かおりと辻は結局戻ってこなかった。
「揃ったようだな。では、中澤、後藤、吉澤、勝負の内容を説明しよう」
能面長老が話しはじめる。
「北の森の端……巨大ウツボカズラの中に七色に輝く石がある。
その石を手に入れた者に12月31日の処女を手に入れる権利を
与えよう」
(う…ウツボカズラってあんた…)
「気をつけるのだ。アレの粘液は人の骨をも溶かすといわれている」
(ここ…日本っすよね…)
167 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(後編) 投稿日:2001年10月15日(月)23時13分35秒
能面長老はそう言うと屋敷の奥へ去っていった。
私達はその巨大ウツボカズラの生息するらしい北の森の端へと向かった。
そこは正にワンダーランド……。
恐らく5mはあるであろう巨大なウツボカズラが大量のねばねばした液体を
垂れ流していた…。
初めに歩きだしたのは後藤だった。一歩踏み入れると靴の裏にねばねばがまとわりつく。
「うぁっ」
後藤はその感触に青ざめてしばらく無言でいた。
「あたし…パス…」
そう言うと後藤はくるりと背中を向けて帰ってしまった。
「ご、ごっちん!!何いってんだよ!!」
吉澤の声にも後藤は振り返らない。
「市井さん…、私は逃げません…!」
吉澤の宣言もどこか遠くから聞こえてくるみたい…。
(なんで?どうしてだよ、後藤…)
急にまたふらつきはじめる。
(また月……)
168 名前:第10話 ちゃむと能面と月と(後編) 投稿日:2001年10月15日(月)23時14分21秒
「気をつけて下さい、市井さん」
支えてくれたのは石川だった。
「ごっちんは…、ウツボカズラ本当にだめなんです。小さい頃あの中に落ちて
死ぬ思いしたみたいで…。でも、ごっちんは諦めたわけじゃないと思うんです。多分何か考えてると思うんです…」
(苦手だから…か…。なんか寂しいな…)
だんだん意識が遠のいていく。
「とったで!!」
(ゆうちゃん…?これが私の運命なの…?)
169 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月15日(月)23時42分01秒
>>157さん
レスありがとうございます。気にいって頂けてホント嬉しいです☆
エロなしでどこまでひっぱれるか挑戦みたいな…(汗

>>158さん
お待たせしました。っつーか待ってくれてる方がいることに感激。

>>159さん
本当に待っててくれてありがと〜です。
感想もらえるとすごく嬉しいっす。
170 名前:159 投稿日:2001年10月16日(火)20時59分26秒
面白いですね。ウツボカズラにうけてしまいました。
それで死にかけた後藤…おもしろすぎだ!
単純な僕には話の先がよめなくて…更新かなり楽しみにしてます。
頑張ってください!!
171 名前:ぐれいす 投稿日:2001年10月16日(火)22時47分15秒
うわっ!再開してるし!!
いいですね。強引な話の流れがかなり好きな感じです。
ここまできたら後藤にもっと頑張って欲しいですね。
172 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
( `.∀´)ダメよ
173 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
( `.∀´)ダメよ
174 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月17日(水)00時05分08秒
「やぐちゃーです」のスレに誤って投稿してしまいパニくってます。
スレ汚してしまって本当にごめんなさい(陳謝
削除依頼だしたのでそのうち消してもらえると思うのですが、
こっちも投稿ミスしてしまい話しがぐちゃぐちゃになってしまいました。

削除が済むまで逝ってきます。
あ〜、鬱だ。氏のう…
御迷惑おかけします(泣
175 名前:第11話 ちゃむ救出作戦!? 投稿日:2001年10月17日(水)23時15分06秒
ドンドコドンドコと怪し気な太鼓のリズムが遠くから聞こえる。
(なんか体が動かない。何で?)
眠りから覚めてはっと目を開けると暗い夜空に満天の星が輝く。
のはいいんだけど、問題は私の両手、両足が縛られて体ごと何やら
板のようなものに乗せられて運ばれてるって状態なんです…。
(ちょっと…何これ!?)
まるで生け贄のような私。
怖いよう。怖すぎるぅー(泣)
両脇に松明を燃え盛らせ能面長老が立つ場所へと私は運ばれる。
すると長老が一段高い壇に登ると集まっている村人と思われる人々に
叫びはじめた。
176 名前:第11話 ちゃむ救出作戦!? 投稿日:2001年10月17日(水)23時16分22秒
「月も消えた。これから交わりの儀式をとり行う!!!」
おおぉーーーーーーとどよめく人々。
「12月31日の処女を祭壇に!!!」
その言葉とともに私は能面長老の後ろに用意された壇上に寝かされると
両手を鉄の器具で壇に固定された。

(なっ……)
恐怖でもう言葉もでない。
壇の周りはシースルのカーテンで覆われた。恐らく外からは影が
見えるのだろう…。
急に周りが水をうったように静かになった。
するとカーテンをめくってゆうちゃんが私の側へと近づく。
(交わりの儀式って……)
ゆうちゃんはゆっくりと私の横に腰を下ろすと私に覆い被さるように顔を
近付ける。

「大丈夫や…痛くせんから……」
(う…そ…?みんなの前で…!?っつーかこんなところで
初体験って!!!!)
顔を近付けてくるゆうちゃん。思わず顔を背けてしまう。

(やだっ、こんなのやだよ!死んだほうがましだよぉーーーー!!!!)
「泣くことあらへんよ…。紗耶香」
いつの間にか泣き出していた私。
177 名前:第11話 ちゃむ救出作戦!? 投稿日:2001年10月17日(水)23時17分12秒
ゆうちゃんに目をやるとゆうちゃんは
私から離れて私の手を括りつけている器具をはずした。
「ゆうちゃん…。なんで……」
「それはなー、二兎を追う者は一兎も得ずっちゅーことや」
そういうとゆうちゃんはウインクした。
私が顔に?マークを飛ばしていると急に周りがざわめきはじめた。
「さーて、そろそろくるんやないかな…」
そうゆうちゃんが言うと、カーテンがめくられ誰かが入ってくる。
178 名前:第11話 ちゃむ救出作戦!? 投稿日:2001年10月17日(水)23時18分46秒
「いちーちゃん!!!」
「ご、後藤……」
「やっぱりごっちんがきよったか…。っちゅーことは外で暴れてるんは
吉澤やな」
「うん。よっすぃーがきれて暴走してる。あとかおりって人も」
カーテンの外からはどなり声が聞こえてくる。

「市井さんはお前らの道具じゃねーーんだよぉお!!」
ちゅどーーん!!!!

「これ以上紗耶香に理不尽な真似したら許さないからね!!かおり、いけぇ!!」
ディアーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

「ま、そういうわけやね。ゆうちゃんも本当はいややもんな、こんなんは」
「いちいさん!!こっちから逃げるのれす!!!」
辻が現れ、その誘導で私達は逃げ出した。

「辻、みんなは大丈夫なのかな?」
私の問いかけに辻は笑って答える。
「だいじょうぶれすよ!らって、みんなこの村で一番強い人たちれすもん。
梨華ちゃんなんてすごいんれすよ!!保田さんがちょっと怪我したら
『私の保田さんに何するんですかーーーー!!!』ってドカーンって。
あんなすごい梨華ちゃん初めて見たのれす。愛の力っていいらさんが教えて
くれたのれす」
(圭ちゃん…愛されてるね…)
179 名前:第11話 ちゃむ救出作戦!? 投稿日:2001年10月17日(水)23時19分46秒
「紗耶香はモテモテやな。みんな紗耶香のことが大好きなんや…。
なんたって幸運の女神やからな」
ゆうちゃんの言葉に胸が熱くなる。
「ありがとう、ホントに…、ゆうちゃん、みんな…」

しばらくすると森を抜け、岩場へと続く道に出た。
そこで辻が足を止める。
「あいぼん……」
道の先には加護が立っていた。そしてその後ろにはなっちさんが…。
「のの…。うちはな、市井さん助けよう思ったんとちゃうで。ただ…、
安倍さんが好きやから…、安倍さんの悲しい顔見たくないから…」
「あいぼん、ありがとう!!」
辻が満面の笑みを加護にむける。

「ありがとさん、加護…」
ゆうちゃんは加護の前に立つとそっと頭を撫でた。
「安倍さん泣かしたら許さへんから!!」
加護はそういうとぷいっとそっぽを向いてしまう。
180 名前:第11話 ちゃむ救出作戦!? 投稿日:2001年10月17日(水)23時20分40秒
「なっち……。ごめんな…」
「ゆうちゃん…、なっちね、もうダメだと思ってた。やっぱりこの村の
伝統には負けちゃうって思った」
「なっち…。なっちに川原ではたかれたときわかったんや。何が大切かって」
そういうとゆうちゃんはなっちさんを抱きしめた。
「ゆうちゃぁん…」
なっちさんは嬉しそうにゆうちゃんを抱きしめ返している。

(あぁ、何か感動……)
二人のラブシーンに茫然と見入ってしまったが、後ろから聞こえてくる
追っ手の声で我にかえった。
「ちっ。もうきたんか…。ごっちん、紗耶香連れて早くにげ!!
あと30分もすれば月が戻ってくるんや。紗耶香に『力』が戻れば
誰も手出しせん。それまで逃げるんや」
181 名前:第11話 ちゃむ救出作戦!? 投稿日:2001年10月17日(水)23時21分56秒
「市井さん、ごっちん、頑張って逃げて。なっちたちでここは食い
止めるから」
「なっちさん…。ありがとう」
「なっちでいいべさ。それより早く逃げて」
「いちいちゃん、行こう!!」
後藤に手を握られ先へと進む。

「のの!!暴れるで〜〜〜!!!失恋大サービスや!!!!」
加護が叫ぶと加護の周りに風が集まりはじめる。
それはどんどん大きくなって豆竜巻きとなり、
「いけぇーーーー!!!!みんないなくなっちゃえーーー!!!」
加護の怒号とともに追っ手をのみこんでいく。
「すごいな…。うちらも負けられへんで!!」
ゆうちゃんの声が遠くに聞こえた。
182 名前:第11話 ちゃむ救出作戦!? 投稿日:2001年10月17日(水)23時22分58秒
後藤に手をひかれ、岩場を登っていくととうとう行き止まりになって
しまった。
10mほど先にもう一つの岩場が見える。
しかし、こちらの崖とあちらの崖の間の下には大量のウツボカズラが
生えていた…。

後藤はやはり青い顔をしている。
(行き止まりでその上ウツボカズラの大群…何か逃げる手は…?)

「上だ!!上にいる!!逃がすな!!!」
追っ手の声がすぐ近くに聞こえる。
「もう来たの……」
後藤は岩場に茂っているツルを手に取っていた。
(そっか…。それで向こう側に移動するのか!)
しかし、後藤はツルを手にしたものの青い顔で崖の下を見ている。
「………」
183 名前:第11話 ちゃむ救出作戦!? 投稿日:2001年10月17日(水)23時24分58秒
そんな後藤を見ていると自然に足が動いた。
後藤の横に立ち、両肩に両手をまわしぐいっと引き寄せた。
驚いた後藤の顔を触れ合う二つの唇。

顔を離し後藤をじっと見つめる。
「な…、何?何で?どうして…」
まっかになる後藤。
「だって私は『力』を与える幸運の女神なんでしょ?だから勇気をあげたの」
私もまっかになって言い返す。

後藤はその顔をふにゃっと崩すと私を抱き寄せた。
「いちーちゃん、しっかりつかまってて!!」
そういうと後藤と私の体は飛んだ。
二人の体はそのまま無事岩場に着地した。
その時ちょうど月が顔を出した。

(くぅ〜、体中に『力』がみなぎるって感じ!!)
向こう側の崖に見える追っ手に向かって『力』を解放する。
「こないでーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」
184 名前:第11話 ちゃむ救出作戦!? 投稿日:2001年10月17日(水)23時25分51秒
追っ手の人々は叫び声をあげて逃げていく。
後藤は私の手をひいて歩きはじめた。
「これで一安心だね。とりあえず東京に戻ろう」
「う、うん…。みんなは?」
「みんなも一緒に」
「そっか…、良かった…」

その頃能面長老は市井の放った『力』のあとを見てつぶやいた。
「ちょっと急ぎすぎちゃったかな…。ごめん、紗耶香…」
185 名前:ちびのわ 投稿日:2001年10月17日(水)23時31分53秒
サザエオールスターさんの迅速な対処に感謝しつつ更新です。

>>159さん
レス感謝です!
ウツボカズラ暇があったら、ちと植物図鑑で調べてみてくらはい。
かなりきますよ(苦笑
もう少し続くので最後までおつき合い頂けると嬉しいです☆

>>ぐれいすさん
お久しぶりです(苦笑
市井さんの復活に胸踊りやっとこさ更新してます〜。
ホント、話し繋げるのいっぱいいっぱいで稚拙な
文章ですが読んで下さって嬉しいっす。
まだまだ強引にいきますんでよろしゅうm(_ _)m
186 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年10月20日(土)03時20分05秒
ありゃりゃ、しばらく見ないうちにかなり更新されてますな〜(w
ちゃむの復帰で、ちびのわさんのやる気がみなぎっているのをひしひし感じますよ!!
この調子で頑張って下さいね。
187 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月21日(日)16時57分02秒
>>183 のシーンでスターウォーズを思い出してしまった。(w
ウォーズつながりですね。

長老…ひょっとして…
188 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(前) 投稿日:2001年11月05日(月)01時45分33秒
絶体絶命、処女喪失の危機を逃れ三日ぶりの登校で私を待ち受けていたものは
更なる悪夢だった……。

「ちょっと紗耶香〜、寂しかったよ。皆いないしさ〜。どこ行ってたのさ?」
朝、矢口が早速絡んでくる。
たった3日会ってなかっただけなのに妙に懐かしく感じてしまう。
「矢口ー、私も寂しかったよぉ。ちょっと村までさ…」
「は?村?何言ってんだよ〜」
きゃははと笑う矢口。必要以上に何も聞いてこない矢口にホッとしつつ
改めてイイ奴だなぁなんて感動してしまう。
そんな微笑ましい朝。
昨日まで村にいた皆も戻ってきて朝の挨拶を交わす。
平和ってこういうことなのかなぁ…なんてしみじみ感じる朝のヒトコマ。

しかし、そんな平和な気持ちをいとも簡単に崩し去る出来事が昼休みに起った。
189 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(前) 投稿日:2001年11月05日(月)01時46分21秒
ピンポンパンポーン。
『え〜、ごほんごほん。しゃべってええか?うん。うん。』
矢口、後藤、吉澤と昼食をとっていた私。
思わず後藤と吉澤を見つめる。
「ちょ、ちょっとこの声…」
「うん…あいぼんじゃない?」
『え〜、只今よりとっくべつスペシャルな賞品を用意したイベントのエントリーを
募りたいと思います』
『その賞品とは…なんと!!ほ・れ・薬〜!!!なのれす』
「つ、辻までいるの!?」
『ほれ薬。そんなあやしいもんは皆信じないやろ?そこで皆さん校庭を見て下さい』
その言葉につられて皆で校庭を覗きこむ。
校庭の真ん中には中等部の制服を着た少女が二人。
目をこらしてよく見ると一人は目隠しをされている。
『その二人は中等部では評判の仲の悪さを誇る高橋さんと小川さんれす!!』
その二人のもとへ中等部の制服を着た加護が走りよってくる。
「あいつら…もしかして転入してきたのか!?」
吉澤の呟きに後藤が
「転入するとは聞いてたけどこんなに早いなんて聞いてないよ〜」
と嘆く。
190 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(前) 投稿日:2001年11月05日(月)01時47分36秒
『とっても仲の悪い二人れも…ほれ薬を使うと…』
加護が目隠しをされた少女に何かを飲ませている。
そして少女の背後に回り目隠しをとった。
『初めて見た人に恋をしてしまうのれす!!!!』
目隠しを取り払われた少女は隣に立っていたもう一人の少女を見つめると
遠目でもわかるくらいに顔を赤くさせた。
そして、
「わ、私…愛ちゃんのこと好きみたいっ!!!」
そう叫ぶと隣の少女に抱きついた。
「は!?あんた何言ってんの?気持ち悪!!離してよぅ!!!」
「そういうつれないとことかすごい好き!!!!!」
「ちょっと!何冗談言ってるの〜?さっきまで罵り合ってたじゃない」
「わかんないけど、すっごい好きになったみたい」
「ちょ、ちょっと、やだよう!」
そう言って抱きつかれた少女は抱きついた少女を引き離し
全速力で走って逃げて行く。
191 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(前) 投稿日:2001年11月05日(月)01時48分21秒
「あん。待ってよ、愛ちゃぁぁぁ〜〜〜〜あん!!!!」
そう叫ぶと引き離された少女も猛スピードで追いかけていく。
『皆ちゃ〜んとみましたか??こんな絶大な効果のあるほれ薬が今回の賞品なんや』
スピーカーからは再び加護の声が聞こえる。
『このほれ薬が欲しい人はぜひぜひ大会にエントリーしてや!!
エントリー期間は今日の放課後まで。エントリー用紙に記入して
放送室のBOXにいれといて。詳しい事は放送室前に貼り出してありま〜す』
『みなさんのエントリーお待ちしてるのれす』
ピンポンパンポーン。

唖然とする私達の元にゆうちゃんとなっちが駆け込んできたのはそれからすぐだった。
ゆうちゃんの話しによると加護と辻の言うほれ薬とはなっちが作ったものらしい。
しかしなっちは作ったものの使い道がなくしまっておいたのだが、
今朝ふと加護にその存在を話したところ勝手に持ち出されたらしい。
192 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(前) 投稿日:2001年11月05日(月)01時48分58秒

「んっとにもう!!あのちびっ子達は一体何考えてるんだよ」
そういう吉澤の髪はほんのり逆立ちかけている。
「それにしてもさ、何でなっちはそれゆうちゃんに使わなかったの?」
後藤がなっちに問いかける。
「え〜、だってそんなもの使って好きになってもらってもなっちは嬉しくないべさ…」
「そうやで。人の気持ちを無理矢理変えるなんてあかん…。それにうちはそんなもん
なくてもなっちにメロメロやもん」
「ゆうちゃ〜ん」
「あー。もう、いちゃいちゃするのは他でやれよ」
思わずつっこんでしまうがなっちの心意気には感心。
「ちょっとちょっと!矢口には何がなんだかさっぱりわかんないんだけど」
矢口が拗ねたように発言する。
私達はなるべく『力』のことを隠して矢口にこれまでのことを話した。
193 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(前) 投稿日:2001年11月05日(月)01時50分19秒
「……。っていうと何、ごっちんとよっすぃーとゆうこは紗耶香をめぐって
争ってて、ゆうこはなっちを選んで身をひいた。そんでもって、ごっちんと
よっすぃーはまだ紗耶香が好きで争ってると…」
「ま、そんなとこやな」
「そんで、そのほれ薬を盗んだ子達もみんなの故郷の子だと…」
「はぁ…、そうっすね」
「ふーん…そうだったんだ。でもさ、ごっちんとよっすぃーは紗耶香を狙ってても
紗耶香にはその気はないんでしょ?」
「え…」
急に話を振られて戸惑ってしまう。
「う、うん…」
「じゃあ、矢口にもチャンスはあるってことか…」
「「「えええ!?」」」
私と後藤と吉澤の声が綺麗にハモる。
「ちょ、矢口さん、もしかして市井さんのこと…」
「当たり前じゃん。大好きだよ」
けろっと言ってのける矢口。
194 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(前) 投稿日:2001年11月05日(月)01時50分54秒
矢口が私のこと好き??
何だそれ??
好きって…何??
「好きだよ紗耶香」
正面から見つめられて告白されてめちゃめちゃ照れる。
真っ赤になっている私に矢口は近づくと背伸びしてジャンプした。
ちゅっと唇に触れる感触。
唖然とする私。
口を開いて茫然とする後藤と吉澤。
ひゅうっと口笛をならすゆうちゃん。
口に手をあてて驚いているなっち。
そして満面の笑みの矢口。
195 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(前) 投稿日:2001年11月05日(月)01時51分45秒
「私、出るよ。そのほれ薬の大会」
矢口がそう言い放つ。
「別に薬使って紗耶香に好きになってもらおうなんてこれっぽっちも思わないけど
他の人が薬使って紗耶香のこと手にいれようとしないとは限らないから」
「わ、私達だってそんなことしませんよ!!」
吉澤がむきになって大声をだす。
「よっすぃー達のことだなんて言ってないよ。紗耶香の事狙ってる子ってすっごい
たくさんいるんだよ?」
「知らなかった…」
吉澤が力なく呟く。
「あたし気付いてたよ。だってこの間のいちーちゃんの部活の時すごかったもん」
「な、何が?」
恐る恐る尋ねる私。
「え?だって声援がみんないちーちゃんに向いてたじゃん」
そうだったのか…。
196 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(前) 投稿日:2001年11月05日(月)01時52分17秒
「あのね…、紗耶香達がいない間に紗耶香の使ったタオルがオークションにかけられて
応募が200人近かったんだよ」
矢口がそんな恐ろしいことを口にだす。
「ち、ちなみに誰が落札したの?」
なっちが矢口に聞く。
「え……。私…。で、でも変なことに使おうとか思ってないし!他の人にとられて変なことに
使われたらやだなって思って!!」
矢口……。ちょっと可愛いかも…。
「っく。私のいない間にそんなことが……。矢口さん、市井さんの汗の染み込んだタオル
持ってるんですよね…。うらやましい……」
うらやましがるなよ吉澤!!
197 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(前) 投稿日:2001年11月05日(月)01時52分55秒

「私もでます!!市井さんを守るため!!」
高らかに宣言する吉澤。でも何かが違う気がする…。
「あたしもでるよ!いちーちゃんとられたくないし」
続いて後藤のエントリー宣言。
「うちとなっちもでるで。薬とりかえさなあかんからな」
「じゃ、じゃあ私も出るよ!!」
自分の身は自分で守らねばならない…。
そんな気がした今日という日。
圭ちゃん達にも協力してもらわなきゃ…。

こうしてほれ薬争奪戦は幕を開けた。
総エントリー数560人。
総生徒数の約半数……。

198 名前:ちびのわ 投稿日:2001年11月05日(月)02時03分04秒
うーん。強引もいいとこってくらい強引な展開…(汗

>>ちゃむ好きさん
お久しぶりです。まだ読んで下さってもらえてて嬉しいっす。
もうネタが…。
ちゃむが復帰した勢いでばーっと完結させたいのですがなかなか…。
一応15話くらいで完結できればなんて…。

>>187さん
スターウォーズですか!確かにそう言われればそうですね(W
長老は恐らく……。
誰でしょう(苦笑

更新のペースが再びのろのろになってますが気長におつき合い頂けると
嬉しい限りです。
199 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年11月05日(月)04時10分29秒
更新お待ちしておりました!!
今回も相変わらずハチャメチャでいい感じっす!!

>一応15話くらいで完結できればなんて…。
そんな事言わずに倍の30話ぐらいまで続けましょうよ(w

関係ない話なのですが、ちびのわさんのことをよく某所にてお見かけしています。
今回、そこの管理人さんの影響でちゃむ争奪戦に矢口が参戦したと推測してみたり…(爆
200 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月05日(月)08時49分47秒
矢口に頑張ってほしいな
201 名前:読んでる人 投稿日:2001年11月05日(月)11時57分40秒
矢口を幸せにしてやって下さい。(相手が市井ちゃむじゃなくてもイイので・・・)
202 名前:名無し様 投稿日:2001年11月05日(月)14時45分23秒
矢口に幸せを。。。
お願いします
203 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月06日(火)14時29分37秒
紗耶香の幸せを考えると、相手は矢口が良い気がする。
途中のレスにも、そんな意見あったし……
第一、力とかそーゆー柵抜きで一番、
純粋に紗耶香のコト好きなのって矢口じゃん?

204 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(中) 投稿日:2001年11月07日(水)05時24分56秒
放送室前に貼り出されたルールというのは拍子抜けするようなものだった。

1、参加できるのはこの学校の人
2、今週の土曜日の朝9時に校庭に集合
3、服そうは自由

加護と辻が突然の校内放送で騒動を引き起こしたのが昨日…金曜。
そして今日は土曜。
このモーニング女学園は週休2日制である。要するに土曜は休み。
なのに校庭には数えきれないほどの生徒が集合している。
部活にしては人が多すぎる。じゃあ、なんで?
それは、そう、今日がほれ薬争奪戦の日だから。
205 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(中) 投稿日:2001年11月07日(水)05時27分16秒
昨日の放送直後、私は早速圭ちゃんの元へ向かった。

ドアをノックして部屋に入る。
相変わらず怪しい保健室だ…。
「圭ちゃんいる?」
「おー、いるよー。なした?」
奥のソファに座っていた圭ちゃんに近づいていく。
「なしたも何も、さっきの放送聞いた?」
「はいはい。聞いてたわよ。あのちっこいの二人、おもしろいことするわね」
そう言って圭ちゃんはニヤリと笑った。
「笑ってる場合じゃないよ!」
「そりゃそうよね…。あんたは大変だわね。後藤達以外からも狙われるんだもんねぇ…」
同情の色濃い瞳で見つめてくる圭ちゃん。うーん、艶っぽい…。
いや、そうじゃなくて。
「…。なんで?なんで、後藤達以外からも狙われるってわかるの?」
「そんなの一目瞭然じゃないの」
圭ちゃんは組んでいた足をほどくと半ば呆れ気味に言い放った。
「へ?」
206 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(中) 投稿日:2001年11月07日(水)05時27分48秒
「あんたはね、にぶすぎるのよ…。色んな子があんたがこの学校に入った頃から憧れてたのよ。
この学校の人気トップ3はあんたと後藤と吉澤。それに気付いてなかったのはあんただけよ」
「そ、そんな…。だって今まで私色んな嫌がらせうけたよ?」
「まぁ、後藤と吉澤を好きな子達からしてみればあの二人と仲良くするあんたは気にいらない
でしょうね…」
「で、でも…、好意を受けてるような覚えは全然…」
「だからそれはあんたが異常ににぶいからだって言ってるじゃない」
ぐぅ…そうだったのか…。
じゃあもしかしていままでよく貰ってた『放課後体育館裏で待っています』
とかっていう手紙はボコるためのものじゃなかったのか…。
207 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(中) 投稿日:2001年11月07日(水)05時28分37秒
「で、何なのよ?私に何かして欲しいんでしょ?」
「あ、ああ。うん。かおりにね協力して貰おうと思って」
「ありゃ?かおり、あんたのとこに行ったんじゃないの?」
不思議そうに聞く圭ちゃん。
「え?ううん。今日はまだ会ってないけど…」
「おかしいわね…。今朝充電が終わってからいないのよね」
「そうなんだ…」
「ま、その内戻ってくるわよ。紗耶香、そんなとこ突っ立ってないで座れば?」
そう言って圭ちゃんは自分の隣をポンポンと叩いた。
私はその言葉にに従ってソファに座ろうと一歩踏み出した。
が、足下にあった怪し気なコードにつまずき転んでしまう。
「うぁ!紗耶香あぶな…!!」
どさり。
ソファに倒れんだ私は圭ちゃんを押し倒すような格好で…。
丁度その時、
「保田さーん。放送聞きましたかぁ?」
ガチャっとドアの開く音と共に石川の声。
目の前の圭ちゃんは何故か青い顔をしている。
起き上がり、振り向くとドアのところには俯いて肩を震わす石川が…。
微妙に部屋中が揺れている気がする。
208 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(中) 投稿日:2001年11月07日(水)05時29分07秒
圭ちゃんと石川を交互に見ると圭ちゃんはさっきよりも青い顔をして石川を見ている。
「石川っ…」
圭ちゃんが声をかけたその瞬間、
「保田さんのバカーーーーーーー!!!!!!!!浮気者!!!!!!」
石川の叫びとともに部屋中のものが飛んでくる。
まじあぶねぇ…。
圭ちゃんはクッションでガードしながら
「違うって!!石川、誤解よ!!」
と叫びかえしている。
私は何も出来ずにただおろおろしているばかり。
「誤解もへちまもありませぇーん!!!石川にあんなことしといてひどいですぅーーー!!」
石川はそう叫ぶと目に涙をためて走り去っていった。
「あんなことって…、まだ何もしてないじゃない…」
圭ちゃんの呟きも虚しく後には果てしなく混乱した保健室が残った。
石川って怒るとホント怖いんだな…。
209 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(中) 投稿日:2001年11月07日(水)05時29分51秒
「ごめんね、圭ちゃん。何か私のせいだよねぇ」
がっくりしている圭ちゃんに申し訳なくって謝罪する。
「いいわよ、あの子ちょっとヤキモチの度がすぎるのよね…」
「じゃ、じゃあさ、明日圭ちゃんも参加しなよ!石川もきっとくるだろうしさ。
争奪戦には加わらないで石川と話しすればいいじゃん?」
「そうね…」
「じゃ、じゃあエントリーしとくからね」
そう言って私は地獄絵図のような保健室を後にした。
仲直りしてもらわなきゃという決意を秘めて。

そしてその夜、私は吉澤の家にいた。後藤と矢口も一緒に。
矢口いわく
「フェアにいこう」
ということらしい…。
夕食の時間、私が保健室であったことを話すと
「それで梨華ちゃん落ち込んでたんだー」
と後藤が言った。
「圭ちゃんは石川に愛されてるよねぇ…。何かちょっと羨ましいよ」
私は数秒後この発言を猛烈に後悔する…。
210 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(中) 投稿日:2001年11月07日(水)05時30分21秒
「いちーちゃん!後藤だって梨華ちゃんが圭ちゃん思うのと同じくらいいちーちゃん
のこと思ってるよ!!」
「あ…、どうも…」
何故か妙に照れてしまって後藤と見つめ合う。
「ちょっと何二人の世界作ってるんだよー。矢口だって梨華ちゃんよりもっと紗耶香の
こと思ってるぞ!!」
「矢口…」
またまた照れてしまう。いつも優しい矢口…。思えば私を支えてくれたのはいつも矢口…。
しばし見つめ合う私達。
「私だって負けませんよ!!市井さんを思う気持ちは!!」
その声に吉澤を見つめるといつになく真剣な眼差しで少し怯んでしまう。
でも、吉澤はいつも誠実だったよね…。
「絶対あたしが一番いちーちゃんのこと好き!!」
「矢口だよ!!」
「わ、私だって負けないよ!!」
……、私の意思とは無関係に3人の誰か一番思ってるかトークは白熱していった…。
211 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(中) 投稿日:2001年11月07日(水)05時32分15秒
ふぁぁ……、眠い……。
まだ3人は白熱したトークバトルを続けている。
「矢口はもう紗耶香とキスしちゃったもんね」
「そ、そんなんならあたしだってもう2回もしたもん!」
「は?2回?ごっちんいつの間に…?」
「え…、いいじゃんそんなの」
ちょっと赤くなっている後藤。
「よくないよ!抜け駆けは卑怯だって言ったじゃんか!!」
なんかやばい雰囲気なんじゃないの?吉澤の髪金色になっていてるよ!!
「あれ?よっすぃー、髪が…」
やばいって、矢口に気付かれちゃうって!!
私は咄嗟に体が動くと吉澤の横に座り頬を両手で挟んだ。
ちゅっ。
かるーく唇を触れ合わせる。
「これで、みんなおあいこ。ね、吉澤怒んないの」
吉澤は口をぱくぱくさせるとそのまま倒れてしまった。
じと目で睨む矢口と後藤には
「フェアにいくんでしょ?」
と軽く声をかけ私はさっさと寝てしまった。
もういいのさ、キスくらい…。
みんな仲良くしてよね、ホント…。
なんかだだっ子を抱える母親のような気持ちで眠りについたのだった。
212 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(中) 投稿日:2001年11月07日(水)05時33分07秒
そして迎えた朝。
相変わらず3人は険悪だ…。
校庭に行くと圭ちゃんと合流した。
「おはよう…。なんかあんた達雰囲気悪いわねぇ…。それはそうとかおり
昨日戻ってこなかったのよ」
「えー、そうなんだ…」
一番強力な助っ人がいない…。ちょっと不安になってくる。
そのとき上空からはもう聞き慣れた音が…。
そう、ヘリコプター。
「みなさーんおはようございまーす!!」
メガホンを手にした加護がヘリコプターの窓から身を乗り出してメガホンで
叫んでいる。
「早速ですが、争奪戦を始めようと思いまーす!!嬉しいことにめっちゃ参加者多いねん。
せやからまずは人数減らすとこから!まず皆さんにやってもらうことは……」
上空から無数の小さなパラシュウトが校庭めがけて落ちてくる。
「今落としたパラシュウトには当たりとはずれのくじがありますねん。当たりはほんのちょこっと
ありませーん!!見事当たりのくじをひいた人は次へ進めるのです!!では皆さん頑張ってやー!!
制限時間はお昼まで。ちなみにはずれのくじには仕掛けがあるからきぃつけてな!!」
加護が言い終わるとヘリコプターは旋回して消えていった。
213 名前:第12話 ちゃむがエントリー!?ほれ薬争奪戦開幕!!(中) 投稿日:2001年11月07日(水)05時34分46秒
「あのちびっ子達ヘリなんて使いやがって」
思わず呟く。
「あれ、石黒家のヘリだ…」
吉澤がそう呟いたのを私は聞き逃さなかった。
石黒……??彩ねえちゃんの…?
一瞬あの村のことが頭に浮かんだ。
嫌な感じ……。

そして戦いは始まった……。


214 名前:ちびのわ 投稿日:2001年11月07日(水)05時53分44秒
あぁ、強引強引。つぎはぎだらけの更新です。

>>ちゃむ好きさん
いやぁ、あなただったのですか(W
いつもレスありがとうございます。
30話はきついっすねぇ……(汗
えー、やぐっつぁんですが、自分ホントはさやまりめっちゃ好き
なんですよ。
けど、書くのはすごく苦手でどうしてもいちごの方が書きやすくて…。
ってな感じです。
矢口参戦は始めから決めていましたがこの積極性はダメさんの影響大
ですね(W

>>200さん
矢口には頑張って頂きます。
( ´D`)>矢口さんはキーマン的存在なのれす。

>>201さん
矢口が幸せになるにはやっぱりほれ薬でさやりむを…。
(〜^◇^〜)>おいらはそんなことしないぞ!

>>202さん
矢口人気者!!いぇい!1
(〜^◇^〜)>おいらを幸せにするためにもっと応援するんだ〜!

>>203さん
いやぁ、きっとみんな好きなんですよ、ちゃむが。
でもここのちゃむは鈍いから…(苦笑
(〜^◇^〜)>そうだ〜!!おいらが一番紗耶香を愛してるぞ〜
( ´ Д `)>んあ〜、あたしだって。写真集あげたら喜ぶかなぁ…
( 0^〜^0)>ちょっと、私だってば。私も写真集あげてみよっと…
215 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月08日(木)01時49分38秒
この話いいですね。市井を巡る争奪戦がどうなるか楽しみです。
216 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年11月09日(金)04時20分45秒
いったい誰がちゃむのハートを射止めるんだろう?
ちびのわさんの中ではもう決まっているのでしょうか。
この話を読んでいる方々の中では矢口派が多いみたいっすね!!
とりあえず自分はどの組み合わせでもOKなのですが……(w

>いちごの方が書きやすくて…。
これ、わかるっす!!いちごまの方が何かと想像しやすいですもんね!
217 名前:ちゃむ好き 投稿日:2001年11月09日(金)05時43分28秒
上のレス書いた後に知ったのですが、ちびのわさんもうここでは書かないんですね。(悲
でも、HPが出来るみたいなので、楽しみにしています。
とにかく、応援してますので頑張って下さい!!
218 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月09日(金)13時19分33秒
早くHPが出来て、続きが読めることを待ってます。。。
219 名前:ちびのわ 投稿日:2001年11月12日(月)03時07分17秒
大変申し訳ありませんがこちらのスレで続きを書くことを放棄いたします。

空板にも書きましたように個人H.Pで続きを書こうと思いますので
もし、続きが読みたい方がいらっしゃいましたら
ttp://chibinowa11.hoops.ne.jp/
までおこし下さい。

なお、削除はされないようですが、放置スレに致しますので
sageるようお願い申し上げます。

これまで読んで下さった方々にお礼申し上げます。

Converted by dat2html.pl 1.0