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少年少女

1 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時38分20秒
「少年少女」という話は、やぶうち優先生の「少女少年」を参考に作っております。
話も主人公達の年齢も性別も変えてあるので、原作が好きな方にもなるべく
おもしろくできるように努力していますが、やっぱりパクリは嫌だ、という方は、ご遠慮ください。
2 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時39分29秒
あわわ、載せるの忘れてた。

赤版へのリンク
http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=red&thp=993304824
CHAPTER16までの「少年少女」本編は、そのスレの79からになっております。

それと……都合上、無理やりのこじつけや理由が多々見られると思いますが、
これが作者の精一杯なので、どうか見逃してください…。
3 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時40分01秒
CHAPTER17 〜名キャメラマンの予感〜

「あ゛〜〜、暑い〜〜……」
扇風機の前を、小さな身体が陣取って。
さっきからずっと、そんなことを口にしている。

「っていうかアンタ、こんなトコにずっといないで、何かスクープ撮ってきなさいよ。
カメラマンは写真を撮るのが職業でしょうが」
「やぁだよ〜。外出たら、肌荒れるもん」
今、結構イイ感じに焼けていて。
それなのに、外に出て張り込みや尾行するなんて。
そんなのヤダ。ヤダったら、ヤダ。
「ねぇ彩っぺ。買い物行こうよ、買い物」
「はあ?」
何を言ってるんだ、この子犬“ヤグチ”は。
さっきまで、暑さで垂れていた耳をピョンと立たせて、目をキラキラ輝かせている。
可愛い。それは、認める。
けれど、常識がない。それも、認める。
4 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時40分33秒
「……いい? あたしは、あんたみたいに暇じゃないの。
今からこのカセットレコーダーに吹き込まれた言葉を、文章にしなきゃなんないの。判る?
写真撮るより、更に時間がかかる仕事なの」
「じゃあ、ほったらかしにして行こうよ」
「あ、あのねぇ……」
さっき、自分がゆっくりと言い聞かせていたのは、まったくの無駄だったのか。
目の前には、曇りのない笑顔。
ギャルカメラマンは、とってもお気楽で。

外は、37℃を記録していて。
ただ今、クーラーが壊れている編集部の部屋は、33℃を記録していて。
扇風機は、タチの悪い子犬が占領していて、全然風が来ない。
あー、暑い。
その上、さっきから腕にじゃれつかれている為、更に暑い。
そしてとうとうその暑さは、極限に達した。

「…………焼けても死んでもいいから、外行ってスクープ撮ってこーい!!!」
「きゃあぁぁ〜、彩っぺが恐いよぅ〜!!」
5 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時41分06秒
――

「まったく、この名キャメラマンを追い出すなんて、なんてヤツだ。
いいよ、もう。もう“センチメンタル♂向き”に写真渡してなんかやんないぞ」
怒られたことと追い出されたことが、そんなに悔しいのか、
地面を、トレードマークの厚底で蹴り上げながら歩く。
そうして、何回程かナンパされ断わりながら歩いていると、人だかりを見つけた。

「んー? 何かの撮影かぁ?」
不思議に思って、スケジュール帳を見てみる。
一応、もしも何かの時の為に、仕事の内容も記入しているのだ。
もっとも、仕事の時に張り込んでいても周りがガードして絡みなど見れないので、
滅多に張り込んだりしないのだが。
じゃあ、後藤の大阪キャンペーンの時は何故ついて行ったのか。
ただ単に、自分が大阪に行きたかっただけ、というのもある。
交通費は全部“センチメンタル♂向き”に任せておいて、
夜、大阪の友達と遊ぶまでの間、暇だからずっと張り込んでいたのだ。
そのおかげで、デビュー前の2人が撮れたんだけれども。
6 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時41分40秒
「えぇっと〜?」
ペラペラと、ページをめくる。
こんな時間に路上で撮影なんて、後藤じゃないハズだ。
今の時間ならドラマだろうし、ましてやこんな真っ昼間に、後藤が外で撮影なんかするハズがない。
その矢口の読みは大当たりで、そこに、後藤真希の名はなかった。
書いてあったのは、(松浦亜弥 CM)の文字。

「松浦ちゃんか。………あんま興味ないなぁ」
後藤、安倍と同じく、つんくファミリー事務所だけれど。
カメラマンの矢口にそう言われるのは、松浦にとってはいいことなのだろうか。
「っていうか、ウザい。なんでこんな、人多いんだよ」
どけどけぇ、なんて、人だかりの間に無理やり割り込んで。
撮影風景を見ることもなく、早くここから抜け出す為に歩く。
けど、歩いてる途中、あることに気づいた。
人だかりの半分以上は、女性ということに。
撮影しているのは、松浦亜弥だ。
女に嫌われるタイプかどうか別にしても、こんなに女が多いなんていうのはおかしい。
7 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時42分12秒
1度握手会に潜り込んだことがあったけど、9割が男性ファンだった。
それなのに今この人だかりは、8割以上、女性。
一体、どういうこと? ヤグチの知らない間に、松浦ってこんな女の子に人気あったの?
正直、焦ってきた。
話に乗り遅れるなんてことは、流行大好きの矢口には、とっても屈辱。
しかし、それは決して話に乗り遅れたワケじゃなくて。
ただ、情報が足りないだけだったのだ。

男の、「うぉ〜!」やら、「あやや〜!」という太い歓声の中に、
女の、「きゃあ〜」やら、「こっち向いてー!」なんていう黄色い歓声。
それは決して、松浦に向けられたんじゃなく。

「……せーの、」

「「市井〜〜っ!!」」
「「よっすぃ〜〜っ!!」」

8割以上の女性の歓声は、今話題の少年2人に向けられていたのだった。
8 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時42分46秒
「ははは……」
何処から出してきたのか、メガホンで名を叫ぶ女の子達に、愛想笑い。
そしてすぐに、汗で崩れたメイク直しに取り掛かる。
「ね、市井さん。すごい人っすね」
「あぁ、そうだね」
隣で、既に椅子に座ってメイク直しに取り掛かっていた吉澤が、笑顔で話しかける。
ずっと落ち込んでいる市井には、その笑顔が眩しくてたまらない。
こないだ、後藤にはたかれた頬が、まだ痛いのだ。

あれ以来後藤からの連絡はなくなり、仕事の関係上、逢うこともなくなった。
もちろん、意図的に保田が吉澤達とと合流するのを避けているというのもあるが。
それを望んでいたハズなのに、胸が痛い。

「市井さん……」
気持ちを感じ取ったのか、吉澤の表情が変わる。
そして、何かを言おうとしたのだが、

「吉澤さーん

松浦の声で、伝えることは出来なくなった。
9 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時43分21秒
「どしたの、亜弥ちゃん」
「あ、次スタンバってくれって」
「おぉ、おっけぃ」
言われて、タタタッと駆け、位置につく。
松浦の視線はずっと、吉澤に注がれていて。
市井は、そんな松浦を、メイク直ししながら、横目で見上げていた。

そして、いつのまにか扇風機に変わり、人だかりの1番前を陣取っていた矢口も松浦を見上げていた。
その見上げている顔からは、笑みが零れている。

(こりゃあ、松浦を追いかけてれば、そのうちまたスクープ撮れるかも♪)

もうすぐ撮れるであろう、若手同士、同じ事務所同士のスクープに、
1人ほくそ笑む、カメラマンの矢口であった。
10 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月19日(日)02時45分22秒
( ゜皿 ゜)<24時間テレビミナガラ、交信

今だ、話には出てないけど、TVには出てるから、ご機嫌は少しなおったようです。
ふぅ、やっと交信してくれたから、載せれたよ。
最初、>>1にアップするつもりのやつを間違えて区切って、>>2に載せた失敗があったけど。

移転してちょっと浮き気味かもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
11 名前:ぷち 投稿日:2001年08月19日(日)02時51分26秒
おぉ♪
再開したんですねぇ♪(感涙)
経営者さん、これからも頑張ってくださいね♪
あと、圭織も交信ガムバレ!(w
12 名前:読者 投稿日:2001年08月19日(日)03時31分48秒
スレ数が少ないから探しやすいなあ。
でも、少年少女てなんやねん、と思ったら小説のタイトルでしたね……
忘れてました、スマソ。
13 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月19日(日)04時49分34秒
移転しましたね。これからなるべく早くいちごまが見れるといいです。ガムバレ
14 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月19日(日)07時23分11秒
カオリサン…よかたよかた…
15 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月20日(月)03時15分26秒
言ったとり引越し先について来ました(w
この場所から、作者さんの『新たなる伝説』の始まりですね(w
16 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月21日(火)19時40分26秒
CHAPTER18 〜恋のお誘い1〜

「じゃ、後藤真希ちゃん、スタンバイお願いします」
「あ、は〜い」
生放送の歌番組中。
唄の前のトークをこなして、セットに向かう後藤を見守る、マネージャーの保田。
見ていると、やっぱりおかしい。
いつもの、後藤真希じゃない。
長い付き合いなんだから、それはよく判る。

あの時、吉澤との記事のことで怒られて、何処かへ飛び出して行ったかと思うと、
涙で顔がグシャグシャになって帰ってきた。
それ以来、何処か元気がない。

最近は、つんくが市井達をスカウトしてから、ずっと機嫌がよくて。
他の、男の子達だけで構成された事務所のタレントに誘われても遊ぶこともなく。
スキャンダルもないまま、時は過ぎていた。
なのに。吉澤との写真が出てから。
後藤は元気がない。
17 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月21日(火)19時43分12秒
「お疲れ」
楽屋に戻って、だるそうに腰を下ろした後藤に一言。
あー、うん、とだけ言って、机に突っ伏す。
「……ねぇ、今日はもう終わりだよね」
「そうね。後は帰るだけ」
よし、と最後の力を振り絞って立ち上がる。
今日もいつものハードスケジュールで、15歳の少女はお疲れなのだ。

「悪いけどさー、帰り、事務所寄っていい?」
「え?」
「ちょっと忘れ物しちゃってさ。すぐ終わるから」
「え……」
明らかに、動揺している後藤の表情。
目を泳がせて、何か考えこんでいる。
「どうせ、事務所はアンタん家の帰り道にあるじゃない。少しだけだからさ。
そんな、10分もかからないから、ごっちんは車の中で待っててよ」
「…あ、そうか…。車の中で、ね……」
当たり前だ。
だって、事務所の中になんか入ったら、あの2人がいるかもしれないんだから。
18 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月21日(火)19時45分29秒
――

「いや、だからね?」
事務所の寮の出入り口で、必死に笑ってる吉澤の姿。
前には、そんな吉澤に詰め寄る、松浦の姿。
「あのね、亜弥ちゃん。お、オレの言ってること判るよね?」
「はい。判ってます」
「や、判ってるんだったらさ…」
早く、ここから去って行って欲しいんですけど。

いきなり現れて、「デートしませんか?」なんて誘われて。
それで「うん」と言えるほど、自分はそんな軽くもないし、周りの迷惑を考えてるつもりだ。
一応、男の、芸能人の1人なんだ。
そして彼女は、女の芸能人の1人なんだ。
いくら新人同士っていったって、自分はこないだ後藤真希と撮られたばっかりで。
中澤にも、言われてるんだ。
「アンタ、マークされるかもしれんで。気ぃつけや」と。

「だからね?」
「はい、デートしましょう?」

が、しかし。
この子は、一筋縄ではいかないらしい。

(もう、勘弁してよ……誰か助けて……)

そう助けを求めても、日頃の行いが悪いのか、誰も助けには来てくれない。
市井は何かあったのか、仕事が終わるとずっと部屋に閉じこもりっ放しだし。
中澤はもう、2人を送った後、家に帰ってしまったし。
肝心の石川は…………ただいま飯田さんとスタッフの人達とで、お食事中。
味方は、いない。
19 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月21日(火)19時46分17秒
――

「いや、だからね?」
事務所の寮の出入り口で、必死に笑ってる吉澤の姿。
前には、そんな吉澤に詰め寄る、松浦の姿。
「あのね、亜弥ちゃん。お、オレの言ってること判るよね?」
「はい。判ってます」
「や、判ってるんだったらさ…」
早く、ここから去って行って欲しいんですけど。

いきなり現れて、「デートしませんか?」なんて誘われて。
それで「うん」と言えるほど、自分はそんな軽くもないし、周りの迷惑を考えてるつもりだ。
一応、男の、芸能人の1人なんだ。
そして彼女は、女の芸能人の1人なんだ。
いくら新人同士っていったって、自分はこないだ後藤真希と撮られたばっかりで。
中澤にも、言われてるんだ。
「アンタ、マークされるかもしれんで。気ぃつけや」と。

「だからね?」
「はい、デートしましょう?」

が、しかし。
この子は、一筋縄ではいかないらしい。

(もう、勘弁してよ……誰か助けて……)

そう助けを求めても、日頃の行いが悪いのか、誰も助けには来てくれない。
市井は何かあったのか、仕事が終わるとずっと部屋に閉じこもりっ放しだし。
中澤はもう、2人を送った後、家に帰ってしまったし。
肝心の石川は…………ただいま飯田さんとスタッフの人達とで、お食事中。
味方は、いない。
20 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月21日(火)19時47分12秒
かといって、いつまでもこんなとこで喋っているのもヤバい。
けれど、寮の中に入れるのも、それはそれでヤバいんじゃないかとも思う。
あぁ、どうすりゃいいんだ。
どうすりゃこの子、この松浦亜弥は、帰ってくれるんだ。
吉澤は悩む。
が、悩んだところで、何も解決はしない。
だから、訊いてみることにした。

「………ねぇ、どうすれば、帰ってくれんの?」

――

「じゃあ、ごっちんちょっと待っててね。5分くらいで戻ってくるから」
「……あーい」
事務所の前には車が止められていた為、少し離れた所に停車し、保田が降りる。
後藤は降りずに、先程保田に言われた通り、車の中で、お留守番。
保田が戻ってくる間、寝ようかとも思ったのだけれど、ふと寮の入り口が目に入った。
事務所の前に止めていたら気が付かなかったのだろうけど、
少し離れた所に止めた為、事務所のすぐ近くにある寮の入り口が、車の中にいる後藤の席から見えた。

(……?)

その入り口にいる、一組の男女らしき雰囲気。
思わず、身を乗り出してしまった。
運転席と助手席の間を割って、目を凝らす。
………違う。あの人じゃない。
よかった……、安心している自分に腹が立つ。
別に、関係ないんだから。
もう、フラれちゃったんだから。
あの人が、いちーちゃんが、誰と居ようが何をしてまいが、関係ないのに。
21 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月21日(火)19時47分44秒
でも、いちーちゃんじゃないとすると。
あれは、誰なんだろう。
暗いんだけど、男の子の方は、見たことがあるんだ。
だから、いつもだったら、そこで終わるんだけど、まだ気になってる。

身を乗り出していたのを利用して、助手席へと移動。
そして、ウィーンと窓を開けて、外へと顔を出す。
そして判った。あれが、誰なのかを。
「よっすぃーだ」
「お待たせっ。さ、帰ろう」
「わっ」
判った途端、まるで見計らっていたように、保田が戻ってきた。
「ん? どしたの?」
助手席なんかに移動して、冷房を入れているのに窓なんか開けて。
さっきまで後藤が見ていた方向を自分も見ることで、その後藤の行動の意味が判った。

「何やってんの、あの子達は……」
よくよく見てみると、その吉澤の相手は松浦じゃないか。
夜で、しかも寮の前で。
あの吉澤って子は、全然懲りてないじゃない!
それで迷惑かかるのはこっちなのに!
保田の怒る気持ちは判るものの、迷惑かかっているのは吉澤の方で。
少し離れた所から見える吉澤の顔は、誰が見ても困っていた。
22 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月21日(火)19時48分27秒
どうすれば、帰ってくれんの。
尋ねると、デートの約束をしてくれれば帰る、と言う。
ふざけんな、早く帰れよ。
あたしは、眠いんだ。寝たいんだ。
そんなこと、優しい吉澤くんは言えるハズがなく。
「一時間だけでもいいんですっ。ただ、仕事以外で吉澤さんと逢いたいんです…」
「や、そんなこと言われても……」
こっちは、別にプライベートで逢いたくないっていうか。なんていうか。
他の女の子と逢う時間があったら、梨華ちゃん逢っていた方が、楽しい。

「吉澤さんは、私のこと嫌いですか……?」
「えぇっ? いや、嫌いとか、そんなんじゃなくって……好きだよ? 好きだけど……」
………って、違う。
このセリフは、松浦亜弥のセカンドシングル“トロピカ〜ル恋して〜る”の歌詞の一部じゃないか。
何を口走っているんだ、自分は。
「………吉澤さん?」
「は、はいっ!?」
ど、どうしよう。もしかして、突っ込まれる?
オドオドと、松浦を見る。
だけれど松浦の顔は、笑っていた。

「嫌いじゃないんなら、遊びに行くくらい、いいですよね?」
「うぅっ……」

どうしよう。どうすればいいの?
あ〜、ダメだ。思い浮かばん。
誰か助けて……この際、もう誰でもいいですから……。

そしてその吉澤の願いが届いて、助けに来てくれた人は。

「アンタ達、何やってんの!! 早く帰りなさい!!」

…………世にも恐ろしい、後藤のマネージャーだった。
23 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月21日(火)19時54分01秒
( ゜皿 ゜)<ナカナカ交信ウマクイカナイ

早速失敗。2重投稿。
しかも、思いっきり進展のない交信でごめんなさい。
しばらく、こんな感じが続きます。
それから、今3つ先のCHAPTER制作中なんですが、考えていることを文章に出来なくて…。
溜めてから交信したいので、次は少し遅くなるかもしれませんが、お付き合いください。
なるべく早く、頑張ります。5日は空けないようにしたいです。

>>11
再開しました。おいらは頑張りますよぉ、もちろん( ゜皿 ゜) もね。
ぷちさんも、頑張ってください。
>>12
探してくれて、どうもありがとうございます。
やっぱ、題名判りにくかったっすね。スレ移動してよかったと判明しました。
>>13
(〜^◇^〜)<ヤグチはこれが仕事なんだよ! やらなきゃ暮らせねー!! キャハハハ!!
( ´ Д `)………………うるさい

い、いちごま……あともう少しです!
>>14
( ゜皿 ゜)<ホントハマダフマンダケドネ
今現在の書いてる所で、飯田さん登場しましたのでなんとか(w
>>15
(〜^◇^〜)<普通は、そっちが奪いにくるんじゃんか!
        王子様はお姫様の矢口を、悪い王様裕子から奪いに来てよ!
从 ~∀~ 从<な、なんでいつのまにあたしが悪い王様になってんねん…

ありがとうございます。どうぞここでもよろしくお願いします。
『新たなるダメ伝説』としてください…(w
ダメなことに関しては、他の人達より負けてません(今回の2重投稿然り
24 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月21日(火)21時40分03秒
なんかこう、そろそろいちごまが見えそうで……み、見えない…
飯田さん、ふわぃと!
25 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月22日(水)03時21分38秒
あややはこんなに聞き分けの悪い子じゃないYO!!(w
でも、そんなあややがカワユイな〜(爆)
26 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月22日(水)19時58分56秒
ごまが健気でキャワイイ・・
作者さんファイト
27 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月22日(水)22時12分00秒
CHAPTER19 〜恋のお誘い2〜

「じゃあ市井君お疲れ〜」
「あ、お疲れさまでーす」
撮影が終わって、控え室に戻る途中、知り合いのスタッフに声をかけられご挨拶。
吉澤はまだ、撮影中。
控え室の中には、中澤が待っている。
疲れた身体を癒そうと、控え室に足を速めた時だった。
「あの、市井さんっ」
「ん?」

追いかけてきたのか、声をかけてきた彼女は心持ち顔が赤かった。
多分、同じところで撮影していたんだろう。
明らかに衣装として用意された服を、彼女は着ていた。
「……何スか?」
面識はないし、芸能界に疎い市井にとっては、有名な後藤以外の女の子の顔なんか知らない。
最近やっと自分達が載っている雑誌を買って、その雑誌に載っている他の芸能人の女の子も
覚えてきたんだけれども。
「あー……えっと、俺、何かしました?」
わざわざ、追いかけてきて。
何でだか知らないけど、俯いて。
まったく、身に覚えがない。

「あ、ち、違うんですっ! え、えっと……そのぉ……」
「?」
顔を上げたと思ったら、市井と目が合った途端、真っ赤になって。
通り過ぎるスタッフさん達が、どうしたどうした、なんて目で見てくる。
……んだよ、なんだよ。
悪いけどこっちは、優しく聞いてあげられる性格じゃないんです。
「……この後、まだ仕事あるんで、もういいですか?」
「あっ!」
「な、なに」
「あ……いや……」
はぁ、と市井は大きくため息。
そのため息を聞いて、女の子はビクッとなる。
控え室を目の前にして、市井は困ってしまった。
28 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月22日(水)22時12分39秒
と、そこに、撮影を終えた吉澤が向かってきた。

「あっれー? どうしたんすかー?………ははぁ、密会?」
「アホかっ! しかもなんでこんな人通りの多いトコで密会なんだよっ」
「いったいなぁ」
殴られた頭を、誰もしてくれないので自分でいい子いい子。
少し虚しかった。

「……でも、なんで止まってんですか。ほんとに」
「や、だからぁ」
「おーい、何やってんねん。はよ戻ってきー」
この子に、呼び止められて。
それを言うより先に、中澤に呼ばれるのが早かった。

「……悪いけど、ちょっとほんとに時間やばいんで」
ほら、吉澤行くぞ、と促して。
女の子に軽く頭を下げて、向きを変える。
そこで、この件は終わりだと思ったのに。
女の子はまだ諦めなかった。

「ま、待ってくださいっ! きょ、今日っ、仕事終わってから、何処かに食べに行きませんかっ!?」
「へっ?」
「あ、あのっ、そのっ……も、もしよければでいいんですけどっ」
「………………」

………これってもしや、お誘いですか?
29 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月22日(水)22時13分18秒
「あー……えっと。ちょっと待ってくれます?」
「え」
「いや、マネージャーさんに聞いてこなきゃ」
「えっ、あっ、」
市井の答えが予想外だったのか、女の子は更に焦る。
まさか、聞くなんて思わなかったから。
大体こういう好意的なお誘いは、事務所の人に隠れてこっそり行うワケで。
堂々と行うなんて、出来るワケがないのだ。
マネージャーなんかに聞いたら、断わられるのなんか判ってる。

控え室に戻り、聞きに行こうとする市井を引き止め、説得する。
もう、こうなりゃヤケだ。
隣に吉澤が居ようが、関係ない。
せっかくスタジオで逢えたこのチャンス、逃すべきか。

「あ、あのぅ、いきなりでビックリするかも知れないんですけどっ、
あたし市井さんのこと、あの、後藤真希ちゃんと一緒のCM見た時からずっとファンだったんですっ!
それで、市井さんに逢いたくて、デビューしたんです!
だ、だからあのっ………、2人で一緒にしょ、食事だけでも……!」
そこまで言って、女の子は言葉につまる。
身体の見える部分はもう全部真っ赤で。
正確に言うと食事のお誘いなのだが、女の子にとってはそれは、告白と同じようなものだった。

横で、黙って見ている吉澤。
女の子を見て、市井を見て。
キョロキョロと、大きな瞳を左右に動かしている。
しかしやがて、その大きな瞳は、1つの所におさまって。
おさまった所は、市井の唇。
唇から発せられる言葉に、吉澤の視線は留まった。

「………悪いけど、俺、アナタのこと知らないし。
それに……………好きじゃない子と2人っきりで、食事になんか行けない」
「あ…………」
「ごめんなさい」

言葉短くそう言って、吉澤の手を引っ張り控え室に。
女の子はただ、呆然と立ってることしか出来なかった。
30 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月22日(水)22時13分55秒
「……い、市井さんかっけー!!」
「…………は、はいぃ?」

控え室に戻った、吉澤の第一声は、それ。
ものすごく尊敬に満ちた眼差しで見つめられ、戸惑う表情を隠しきれない。
時々、意味の判らないとこで感心するのだ、この吉澤は。
「いやぁ、マジかっけーッス! 市井さん、握手してくださいっ!!」
「な、ちょっと…」
市井の言葉も聞かず、勝手に手を握って、人の手をブンブン上下に動かす。
それがなんだか妙に恥ずかしくて、少し強引に手を振り解いてしまった。
けれど吉澤は、文句を言う事もなく、ニコニコ笑顔。

「なんや、気持ち悪いなぁ」
荷物を整理していた中澤の、吉澤を見て思った感想。
そんなの、ファンが聞いたら怒るの間違いなしなんだけど。
生憎、こっちはファンどころか、マネージャーなんで。
普段、こんな無邪気なニコニコ笑顔を吉澤がしているのを見たことがないため、
感想がそうなるんだ。

車での移動中も、かっけーかっけーの連発で。
もういい。聞き飽きた。
いいかげん、吉澤オリジナルかっけーはいいから、どうせならかっこいいと通常語で言ってくれ。
しかし、そう言ったところで、聞いてくれるような、素直なヤツじゃない。
じゃあもう、言葉を変えてくれるように頼むのは諦めた。
今度は、なんでかっけーのか、その意味を教えてもらおう。
31 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月22日(水)22時14分33秒
「あのね、なんかね、もう、あの、市井さんがすっげぇかっけーくてぇ。
やぁー、おいらも、あの時、ああいう風に言えばよかったんだ、って」
「………あの時?」
「や、昨日なんですけどね。亜弥ちゃんが、寮に来たんスよ」
「ブーーッ!!」
「わっ!」
前から聞こえた、何かを吐き出しかのような効果音。
運転しながら飲んでいた、中澤のお茶だ。
あたふたと、信号が赤になったのを利用して、タオルで前のガラスを拭く。
「ちょっとちょっと中澤さん、汚いですよ」
「誰のせいや思てんねんっ!!」

松浦が寮に来て、吉澤を誘った。
そして断わるのが苦手な吉澤を救ったのは、あの保田圭。
何もかも初耳で、敏腕マネージャーとしての面目が立たない。

「……そうか……だから昨日の夜圭坊から電話あって、
『裕ちゃんトコの問題児、しっかり監視しときなさいよね!!』とか言うてたんや……」
「え、問題児って?」
「お前しかおらんやろ!! ようそんなすっとぼけれるなぁ!!」
これが、車の中じゃなかったら。
運転しているのが自分じゃなかったら。
絶対に、この大問題児を殴ってやるのに。
「……ええか、吉澤。前言うた通り、アンタ絶対マークされてるから。
今度は他の週刊誌とか新聞社からも、後藤と一緒におるとこ撮ったろー、って。
今は人気落ちるどこか、逆に注目されるようになって、
女の子のファンはごっちんが吉澤をたぶらかしたやんやー、ってなってるから
アンタのイメージは悪くはなってない。
でも、また次誰かと写真撮られるようなことになろうもんなら、今度は絶対アンタ、
“たらし”ってイメージがつくことだけ、教えとったるわ」
32 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月22日(水)22時15分08秒
「……そんなの、判ってますよ……」

だから、あんな風に断われた市井さんを、かっけー、なんて、思ったんじゃないか。
人から見れば、冷たいように見えたかもしれないけど、自分はとってもかっこよく見えて。
あんな風になりたい。
あんな風に言いたい。
それが出来ないから、それが出来る市井さんをかっけーって思うんだ。

「それから。ボーッとしてるみたいやけど、市井にも言ってんねんで」
「へっ?」
「…だからぁ、くれぐれも、誤解を招くような行動言動はやめてな、って。
……キミらは、“男”やねんから」
「……そんなの、判ってるよ……」

だから、後藤から離れたんじゃないか。
人から見れば、市井は男だけど、市井は女で。
男になりたい。
彼女なんかいない、後藤が好きだ、と言いたい。
それが出来ないから、自分は最低だと思うんだ。


それぞれの想いを胸に、車は走る。
33 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月22日(水)22時16分16秒
( ゜皿 ゜)<交信ハヤイデショ

速い速い! さすが( ゜皿 ゜)さんだ!
詰まってた所もなんとか乗り越えたし、いちごまはよくなったし!
陽世可愛すぎるし!……ごめんなさい、関係ないです。。
ってか、としやくんはいらない。代わりにちゃむを出しやがれ。

あともう1つ。
赤版の「2人の出逢いは衝突で。」スレに、娘。レストラン番外編(さやまり)を載せました。
もしよければ、そちらもどうぞ。

>>24
今書いてる時点でのいちごまは、見えてきました。
あとは最後、どうもってくかが問題なんです。
( ゜皿 ゜)<アリガト、ガンバル!
>>25
(〜T◇T〜)<やっとさやまりに戻ったぁ(ヒックヒック

ご、ごめんなさい。松浦の性格判らないんです…。
そもそもこんな役にするって判ってたのに、松浦の名を出すのが悪かったのか…。
しかし、カワユイと聞いて、少しは安心です…。
>>26
ごまはもう健気で健気で……作者のおいらが泣けてくるくらい。
ファイト一発で頑張ります!
34 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月22日(水)22時26分45秒
さすが( ゜皿 ゜)さん!!(感涙
いちごま…どうなるんでしょうか…
陽世激可愛いっすね!!
激しく同意ッス!!<代わりにちゃむ
35 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月23日(木)03時03分15秒
さすが健ちゃむ、断り方も不器用で男らしい!!(w

いちごまも、そろそろ動き出しそうな感じですし非常に楽しみっす!!

>ご、ごめんなさい。松浦の性格判らないんです…。
謝まらんといてください。ぶっちゃけ、俺もよく知りません(爆)
36 名前:レイコ 投稿日:2001年08月23日(木)09時04分36秒
毎日必ず、チェックしてますよ、めっちゃ楽しみ!
自分はいしよし派なので、やっぱり、その絡みがあるとなおうれすぃ〜♪
松浦は、普段はよくしゃべる子みたいですよ、やっぱり関西人だからかな?
37 名前:pao 投稿日:2001年08月23日(木)11時06分38秒
中澤もどうにかなって欲しい
38 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月23日(木)13時43分45秒
>>37
ここはsageってルールですよ。
39 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)00時07分50秒
CHAPTER20 〜Happy&unHappy

朝。
ここのところ、忙しくてずっとドタバタしていた。
その中で、唯一落ち着ける、朝。
しかし今日は、どうやら落ち着かせてくれないらしい。

「市井さーん、市井さーん」
ドンドン、ドンドン。
まったりのんびりの声が、ドア越しに聞こえる。
今日は、仕事はなかったハズだ。
なのに、いつものように、早起きのアイツ。
自分は早起きかもしれないけど、他の人はそうじゃない場合もあるっていうのに。
わかってる、ここで文句を言ったって。
アイツは…吉澤は、言っても、聞いてるの聞いてないのか、へらへら笑ってるだけなんだから。

「うぉーい、市井さーん。生きてますかぁー?」
何度呼んでも返事がないので、死亡しているかもしれないと、仮定を立ててみたのか。
それ自体、まず根本的に間違ってる。
先に、寝てるかもしれない、ということを考えないなんて。
やっぱりあのタレ目の思考は、市井にはついていけない。

「市井さーん、市井さーん」
ドンドンドン。ドンドンドン。
だんだんと、ドアを叩く音が、多く大きくなっていく。
いくらなんでも、この状態で寝れるほど、市井は気にしない人間じゃあない。
朝っぱら人の眠りを妨げる、やっぱり問題児。
怒鳴るために、ドアへと向かった。
40 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)00時08分47秒
「お前、ぶっ殺すゾ」
「わぁっ!」
待ちに待った市井の登場。
けれど、明らかに殺意の篭った言葉と視線、それに拍車をかけるような寝癖。
一瞬、心臓が止まったかと思った。
「ちょ、ちょっとちょっと。相方にそんな冷たいこと言わないでくださいよ」
「相方だぁ〜?」
いつ、コンビを結成したんだ。
そう突っ込むと、またいつもの如く、へらへら笑顔。
笑ってごまかせる、アナタがとても羨ましい。

「……って、こんな呑気なこと話してる場合じゃないんスよ」
「ん?」
テレビテレビ、なんて言って、勝手に人の部屋の中に乱入。
「おいおいおいっ!」
叫んで、首の後ろの襟を掴もうとしたけれど、失敗。
無様に、床のじゅうたんに激突。
「いたた……」
はずみで打ってしまった顎を押さえながら、立ち上がる。
立ち上がろうとしたんだけれど、テレビをつけてこっちにバックしてくる吉澤。
そして後ろを確認せずに、立ち上がろうとした市井の上に、腰を下ろす。
「ぐぇっ」
「ん…? わっ、どうりで座り心地悪いと思ったら、市井さんがいたのか」
「って、気付けよ!!」
………朝から疲れる。

「……で、一体なんで、自分の部屋じゃなくて市井の部屋でテレビなんかつけてんの」
なおも座り続けようとする吉澤をどけて、少し離れた横に座る。
お互い部屋に、テレビはあるのだ。
よって、壊れてもいない限り、わざわざ市井の部屋になんか見に来る必要もない。
「へへへ、梨華ちゃんが、テレビ出てるんです」
1人で見るのが、照れるのか。
ブラウン管を通して石川を見ている吉澤の顔は、なんだか妙に照れくさそうだった。
41 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)00時09分59秒
生放送のテレビなんだろう。
石川の終わりのないトークを、必死にインタビューした人が終わらそうとしている。
つんくも、よく生放送をオッケーしたものだ。
石川を生なんかで出させたら、こうなるのを判っていたことなのに。

「……ってかさぁ、吉澤って、毎日よくこの終わりない話聞いてこれたよね」
CMになったのを確認して、話し掛ける。
「えー?」
吉澤は、持参したビデオを一時停止にして、顔をこっちに向けた。
「やー、でも、思考の邪魔だった時は、うるさいって言ってましたよ。
でも、話の途中で梨華ちゃんって、だんだんネガティブになってくんスよ。
しまいには泣いちゃってね。ホント言うと、泣かれるの弱いから、聞くんつらいっす」
「……じゃあ、なんで聞いてんの?」
「……結局ね、梨華ちゃんは、誰かに聞いて欲しいんすよ。
でも、梨華ちゃんは心配かけたくないから人には言えなくて。
弱いんですけど、それを見せない強さを持ってて。
けど、それじゃ梨華ちゃんは持たないから。それを吐き出させるために、あたしがいるんス」
そして、その後慰めて。
それは、グチを聞いてる自分しか出来ないコト。

そこまで言って、突然「あー!」と絶叫する吉澤。
「ど、どうした」
「市井さんが質問してきたせいで、一時停止解くの、遅れたじゃないっすかっ!!」
「な、なんで市井のせい…」
吉澤が始まってるの気付かなかっただけじゃないか。
「くそっ、なんてことしてくれんですかっ。あー、もう!」
キッと睨んで。恨む相手を市井に向けて。
そこまでで、市井の優しさも限界だった。
自分は今不幸せな人間なのに、幸せな人間の話を聞いてしまって。
それなのにその話を聞いたことを怒られて、限界になるのもしょうがない。

「………そんな文句あるなら、さっさと自分の部屋帰ってテレビ見ろー!!!」
42 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)00時11分09秒
――

あー、むかつく。
1人だけ、幸せ全開しやがって。
ちょっとは、こっちの気持ち、考えろってんだ。

「いいよなぁ〜、アイツは……」
吉澤がとっても羨ましい。
あんな風に、心底嬉しそうに石川を見れて。
こっちは、後藤を見ることも出来ないのに。
そして、見てくれることもないのに。

その原因を作ったのは、自分だって判ってる。
心の中にしまって置くべきだったのに、後藤の気持ちに応えてしまった。
キスなんか、しちゃいけなかったんだ。ホントは。

「ダメだ…」
ここのところ、いつもこんなことばかり考える。
仕事では上手くやってるつもりなんだけど、中澤にはお見通しみたいで。
『悩み事があるんやったら、いつでも言いや』と心配してくれる。
けどそれも、『悩み事なんかないっすよ』と力無く笑うだけ。
誰が、言えるっていうんだ。
後藤真希のことが、好きで好きでたまらないんです、と。
「……ホントに市井が男だったら、こんな悩まなくて済んだのかな……?」
こんなことを考えたって、判らないのは当たり前。
だって現実は、女なんだから。
これほどまでに、自分が女に生まれてきたことを後悔したことなんてなかった。
43 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)00時12分14秒
考えすぎて頭が痛くなってきた。
そこで、少しでも気分を和らげるため、外に出ることにした。
あまり、騒ぎになるといけないので、帽子を被って。
なに、そんな遠くに出かけるワケじゃない。
ただブラッと、歩きたかっただけ。

しかし、それがいけなかった。
寮の部屋で、大人しくしておけばよかったんだ。
余計に悩むことが、1つ増えてしまった。

「真希っ」
呼ばれて振り向く、表情のない少女。
市井の不完全な少年と違い、「真希」と、名を呼んだ、完全な少年はその少女に駆け寄り、隣に並ぶ。
真希、なんて名前は、世の中にありふれている。
けれど、振り向いた真希の顔は、1人だけ。

「ごとう………」

――2人は仲良く、人ごみの中に紛れていった。
44 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)00時12分53秒
( ゜皿 ゜) <スコブル交信Eカンジ

書き溜めも、すこぶるEカンジ。
( ゜皿 ゜) さん、この調子でたのんまっせぇ!

娘。レス番外編の次は、ハロ学番外編(2衝突リンク)製作中です。
またアップした時お知らせするので、そちらも読んでくれたら嬉しいです。
気分転換に前の作品の番外編を書くのがこんなに楽しいなんて思わなかった…。

>>34
いちごまはもう少しで、みなさんの哀しみはなくなると思います。
しかし、なくなった途端、また哀しくなるんですが…。
ほんまに、としやくんいらない。つーか、あの男誰だ。予告編で陽世と握手して見詰め合ってたし…。
やっぱ、相手はちゃむじゃなきゃ。
>>35
(〜^◇^〜)<ホントに、ホントに長かったよ…。
        けど本編は、さやまりにはならないんだよね……
( `.∀´)<番外編であったからいいじゃない!!

やっぱり健ちゃむは、渋くかっけーくいかないとね(w
松浦の性格知らないのを利用して、どんどん暴走させる予定です(オイ
>>36
わ、レイコさんありがとうございます。
実は何度か「初恋」の方で、珍しくレスをしていました(オイ
途中、さやまりが別れ別れになってこっちも泣きそうになりながら…。
いしよしは、やっぱ甘く、そしてどこか、アホっぽくを目指してます。
よくしゃべるのか……、まあ、一応、この話でもよくしゃべってるか…。
>>37
えっと……どうにかなって欲しいというのは、どういう意味のどうにかなんでしょう?
相手を作って欲しいってことなのかな? う〜ん…。
>>38
あ、そういや、sageでいきたいって書くの忘れてた。
でも、今まだ少ないから、あんまり意味ないか……。
ともかく、ありがとうです。
45 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月24日(金)03時32分52秒
ほんと、いしよしは幸せいっぱいでいいですな。
後藤の方は相変わらず死んでるみたいだし……。

後藤と消え去った新キャラは、ま、まさかすべてのちゃむファンの敵である彼ですか?(w
46 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月24日(金)06時53分07秒
なんか以前の後藤の気持ちが分かる気がする…
ちゃむ負けんな!がんばれ!
47 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月24日(金)12時03分00秒
ここは是非ともちゃむにがんばって欲しい…(w
48 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)14時04分23秒
CHAPTER21 〜クッキーの行き先〜

「『真希っ』――かぁ」
そういや、えらく馴れ馴れしく、呼んでやがったな。
思い出して、腹が立つ。
腹が立ったんなら、あの時、追いかければよかったんだ。
しかし、そんなこと出来やしない。
だって自分は、もう大分前に、後藤をフッているんだから。

あれ、誰なんだろ。
あの子、絶対に後藤だったよな。
2人、何処行くつもりだったんだ。

部屋に戻ってきても、考えるのは2人のこと。
後藤に諦めてくれ、なんて言っておきながら、諦めてないのは市井の方。
しかしあっさり諦めてくれるほど、心は物分りはよくないらしい。
「ってーか、関係ないじゃん」
ベッドに仰向けになって寝転んで。
両手で、ガシガシと頭を掻く。
頭じゃ、関係ない、と思っちゃいるが。
心はそうはいかない。

「………………関係あるよ」

だって――、

――好き。なんだから。
49 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)14時04分56秒
――

「あ、そうだ梨華ちゃん。これあげるよ」
「え?」
たまたまテレビ局ですれ違って、ごそごそとカバンを探って。
そうして渡されたのは、何処かへ行って来たんだろうか、旅行のお土産らしきクッキー。
「……どうしたの?」
「へへっ、午前中従兄に会った時、もらったんだよ。
これねぇ、ちょーおいしいんだよ。あたし昨日1人で食べちゃった」
どうやら午後から仕事で、その暇な午前中を利用して、出会ったらしい。
そしてスタジオに移動する車の中で、全部で24個あるクッキーのうち20個を食べた、と言う。
石川に差し出されたクッキーの数は、1つ。
じゃあ、残り3つは、またしても後藤の胃袋行きなのか?
「でぇ、あともう1個。これ、梨華ちゃんからよっすぃーに渡しておいてよ。
あたしが渡したりなんかすると、ほら、あっこにいる恐い顔したマネージャーがうるさいし」
見えないように、指差して。
微妙な苦笑い。
つられて石川も、微妙な苦笑い。

残る3つのクッキーのうち、1つの行き先は判った。
あとは、2つのクッキーの行き先。

「あ……それと、これ………」
「?」
おずおずと出される、2つのうちの1つのクッキー。
「これ……いちーちゃん……」
「市井さんに? 市井さんに渡せばいいの?」
「あ…」
受け取ろうとして石川の手が近付く。
咄嗟に、クッキーと一緒に、手を引っ込めてしまった。
50 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)14時05分34秒
「あ…、その……」
無意識のうちに、クッキーを握り締める。
その手の中で、ボキッと、クッキーの骨が折れる音。
「あ、あの…ご、ごっちん?」
そのクッキーさん、砕け散っちゃいますよ?と言いかけたら、
「やっぱなんでもないっ!!」
と、後藤は風よりも早く、通り過ぎてしまった。

「な、なに……?」
私、何かしたっけ。
突然手を引っ込められて、いきなり去られて。
きっと、何かしたんだ。
何か、気に障るようなことをしてしまったんだ。
そんなことを考えて、ネガティブの道にまっしぐら。
これから、写真集発売の宣伝へと全国放送のテレビに出るというのに。
「暗い。暗いね」
「わっ!」
背後からの突然の声に、全身を大きく震わせる。
「ネガテブはダメだよ、石川。明るく、ポジテブにいかなきゃ」
「い、飯田さん…」
何度も言うようだけど、テブ、じゃなくて、ティブ、であって。
「いちいちしつこいな、石川も。そんなことばっかり気にするから、
吉澤とまだ付き合えるとこまでいけないんだよ」
どこが関係あるのか判らない飯田の言葉。
けどネガティブで、何でも人の言う事を真に受けてしまう石川は、
その飯田の言葉にも、ちゃんと反応してしまう。
「そうですよね……私がこんな性格だから……」
「まぁ、性格は直らないから。しょうがないね」
「うぅっ」

結局励ましに来たつもりのマネージャーは、更に落ち込ませたらしく。
その日のテレビ放送は、最悪だった。
51 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)14時06分06秒
「馬鹿ね、ほんとに」
車に備え付けられてるテレビの音を聞いての、保田の感想。
馬鹿ね、と向けられた相手は、後藤じゃなく、テレビの中の石川に。
写真集のタイトルを間違えた上、発売日を間違えて。
あげく、退場する時、転ぶという、大失態をしてしまった。
本当に、馬鹿だ。

「……いいじゃん、可愛くて」
「は?」
「転んでも、梨華ちゃんのキャラだから、可愛くていいじゃん」
「……まぁ、そうだけど」
珍しいわね、と付け足して。
「アンタが、人のこと庇うっていうか、フォローすんの」
大抵興味なさそうに、つけたテレビを見てるだけだから。
「……別に」
ただ、さっき喋ったし。
もしかして調子悪かったのは、勝手に去って行っちゃった自分のせいかも、なんて思ったりもして。

「あ、そうだ。さっき、待ってる間、クッキー食べたんだけど、あのクッキーおいしかったよ」
「……あー。でしょお?」
あれねー、高かったらしくてぇ、と無表情を崩し、笑顔になる。
「ねぇ、もうないの? 欲しいんだけど」
「え…」
ポケットに、手を置いて確かめる。
あるんだけど、でもこれは。
「……やー、さっき梨華ちゃんに全部あげちゃったからもうないや」
「えー! 石川に全部ぅ?」
「うん。あ、あと、よっ……圭織と半分こってことで」
「くっそー」
「ごめん、圭ちゃん。また従兄に頼んどくから」
「いいよ、別に」

ごめん圭ちゃん。
……………………嘘ついて。
52 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)14時06分39秒
残り2つのクッキーのうち、1つのクッキーの行き先は判った。
あとは、1つのクッキーの行き先。

――

部屋の前に置いてたら、誰が置いたか気付かない。
直接渡すことは、自分で禁止にしちゃったから。
渡すのは、この方法しかない。
今の、自分の考えられる範囲内じゃ。

送ってもらったのは、駅までで。
そこから、目的地へと、ドキドキしながら歩く。

クッキーを、置いてくるだけ。
いちーちゃんには、逢えないんだから。
言い聞かせてみても、ドキドキの音は、鳴り止まない。
もっとも、鳴り止んでしまっては、自分の命は終わってしまうんだけども。
今は、そんなことを言ってるんじゃなくって。

渡さないで置こうか…、とも考えた。
けど、気持ちの何処かに、近くに行きたい、という気持ちがあって。
ドア越しでも、なんでもよかった。
この先に市井がいる、という事実があれば。
だからこうやって、逢うこともないのに、クッキーを置きに来たんだ。

ふぅ、と息を吐いて。
前まで来て、ドアを見つめる。
そして、クッキーを置こうと屈んだ時。
ガン!

「いった!」
「わぁっ!!」

そのドアが、開いたのだ。
53 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)14時07分48秒
( ゜皿 ゜)<ヤット圭織デテキタヨー

ぱちぱち。よかったですねぇ( ゜皿 ゜)さん。
おいらもやっと出せて嬉しいです。

>>45
(0^〜^0)<次の番外編はよしごま&ちょびっといちいしですよ〜

幸せいっぱいのいしよしですが、現在製作中のいしよしはちとやばいです。
後藤は生き返ることができるのでしょうか?

>後藤と消え去った新キャラは、ま、まさかすべてのちゃむファンの敵である彼ですか?(w
んなわけないです。っていうか、書きたくないです(キッパリ
新キャラというかなんというか、正体は今回で明らかにしました。
本当は後藤の噂の相手でもよかったんですが……、さすがに自分が嫌なんでやめました(w
>>46
( ゜皿 ゜)<サイキンチョットガンバッテル

ほとんど市井達側で書いてますからね…。ごっちんもこんな気持ちだったんでしょう…。
ヽ^∀^ノ<う、うっす! 頑張るっす!
>>47
( ゜皿 ゜)モットホメテ
(〜^◇^〜)<ロボもおだてりゃ木に登る
(;0^〜^0)<ここの矢口さんは毒舌だ…

ヽ;^∀^ノ<う……が、頑張るさぁ!
54 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月24日(金)15時27分33秒
やっと…やっといちごま本格的にスタートですか。うれしいです。
55 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月24日(金)15時56分53秒
いちいくんファイト!!
後藤の復活を祈って…
56 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月24日(金)22時14分59秒
大きなミスを発見。
次の更新時に訂正しようと思いましたが、あまりにも気になったもので。
>>49の、
>「〜〜これねぇ、ちょーおいしいんだよ。あたし昨日1人で食べちゃった」
のところ、昨日、じゃなくて、今日です。
載せる前確かめて直したつもりだったんですが、どうやら直ってなかったみたいです。

レス感謝してます。
次、本編載せる時に、ちゃんと返しますので。
57 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月25日(土)03時49分13秒
二人の関係修復を切に願います。
それにはやっぱり、ちゃむ次第ですかな。

謎の男は従兄かぁ〜……やっぱり作者さんは、彼を書くのにはかなりの抵抗アリみたいですね(w
58 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月25日(土)11時40分28秒
CHAPTER22 〜未来がなくても〜

コポコポ、と、カップに紅茶を注ぐ音。
静かなこの部屋には、その音がよく通る。
カップの数は、2つ。
1つを、自分のところにやって、もう1つを来客へ。
「………ありがとー」
「……いいよ、別に」
フラれた人と、フッた人。
カップを前に、向かい合う。

ちょっと小腹が空いて、コンビ二に買い物に行こうと思って出ようとしたら、
頭を押さえてうずくまってた後藤。
後藤と判った途端、目の前にいるのがなんだか無性に嬉しくて涙が出そうになって。
………上がれば?、と言ったのはいい。
けれど、上がった後のことを考えるのを忘れていた。
気まずいの、この上ない。

「……はぁ」
ビクッ。
ため息をついたのを見て、フラれた人――後藤真希の身体が揺れる。
フッた人――市井は、そんな後藤を見て、驚いてしまった。
「ど、どうしたの」
「…っく、ぅー……」
「ちょちょっ、ご、ごとー?」
俯いて聞こえてくる後藤の泣き声。
どうして。さっきまで、泣いてなかったのに。
ため息をついた途端、いきなり。
59 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月25日(土)11時41分14秒
「だ、大丈夫っ? どっか痛い? それとも俺なんかしたっ?」
慌てて後藤の隣に行って、背中を撫でる。
横では、ひっくひっくと泣いてる後藤。
原因がまったく判らない。
後藤は、両手で何度も何度も乱暴に涙を拭いている。
そんな、乱暴に拭いたら、赤くなって跡が残るかもしれないのに。
見かねた市井が、濡れたハンカチを持って後藤の手を押さえた。
そして、優しく拭いてやる。
「馬鹿っ。ちょっとは、自覚持てよ。芸能人なんだろっ!?」
少し怒った風な口調になってしまった。
余計泣くかもしれない、そう思ったが、違った。
どうやら、怒らせてしまったらしい。

「……っ、芸能人は、泣いちゃいけないのっ!?
芸能人だって、泣くよ! アイドルだって、泣くんだから!!」
「ちょ……」
ちょっと、待ってよ。
そういうことを、言っているんじゃなくって。
「芸能人は、何もしちゃいけないの……? 芸能人だって、元は一般人なのに……」
ぽろぽろと零れる涙。
市井は、口を挟むことなく、後藤に圧倒されたまま。
「恋しちゃいけない……男の子と遊んじゃいけない……。
どうしてっ……! あたしは、芸能人の後藤真希もあるけど、その前に15歳の普通の女の子なのにっ…!」
恋したい。遊びたい。
15歳の女の子なら、誰だって思うこと。
60 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月25日(土)11時41分48秒
今度はもう涙を拭うこともせず、ただただ市井を見つめる。
目なんか、逸らせるワケなかった。
「………好きだよ……いちーちゃん…。
15歳の後藤真希として、いちーちゃんのことが好き……」
「……………」
「彼女いるの、判ってる。でも、でも好きなんだぁ。
………だから、部屋の中入れてくれた時、すっごい嬉しかった……」
「……………」
愛しそうに見つめる後藤。
朝のことがなかったら、男と一緒にいるところを見ていなかったら、負けていたかもしれない。

「嘘つけよ…。いち、俺…朝見たんだよ。後藤が、他の男と一緒にいるとこ……。
自分、好きとか言いながら、その男と仲良さそうに歩いてたじゃん」
ものすごく最低な性格だと思う。
嫌味な言い方、それも、目を逸らせて。
「結局、雑誌とかに書いてること、満更じゃないんじゃん。
遊びまくってんだね、後藤って……」
はは、後藤騙してた俺も、人の事言えないけど……、と付け足す。
後藤は変わらず、けれど哀しそうに、見つめている。
「あたしは、いちーちゃんが好きだよ…? こんなに好きになったの、いちーちゃんが初めてだよ…?
朝会ってたのは、従兄だよ……。彼氏なんかじゃない」
「へっ、口なら、いくらでも嘘言えるよ」
こっちも変わらず嫌味は続く。
それでもメゲずに、後藤は言う。
「信じてよ……いちーちゃん」
「やだ」
信じたら、もう、負け決定だから。
負けたらもう、取り返しのつかないことになるから。
けど………

「……じゃあ、こーすれば、信じてくれる?」
「え…、んっ」

突然のキスは、頭を真っ白にさせて。
突然のキスは、キリッと真面目な王子様の心を、あっという間に動かしてしまった。
61 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月25日(土)11時42分18秒
ゆっくりと離れる、2人の唇。
市井はずっと、さっきまで自分のソレに触れていた後藤の唇を見ていた。
少し濡れていて、後藤の色気度をアップさせて。
さっきまでソレが自分の唇に触れていたことを思い出し、一気に全身が真っ赤になった。

「な、なん………」
セカンドキス。
セカンドキスの相手は、ファーストキスの相手と同じく、後藤で。
しかしセカンドキスはファーストキスの時と違い、キスされた後、逃げ出すことは出来なかった。
「いちーちゃん……」
「ん、ん……」
何度も何度も繰り返される、キス。
自分が今、何回目のキスをしているのかも、考えられなくなった。

はぁ、はぁ、と少し肩で息をして。
キスの激しさを、物語らせる。
2人の顔は真っ赤で、トロンとしていて。
ただ、両手だけはしっかりと繋がれている。

「好き。………もう、おかしくなっちゃうくらい大好き……」
「……ごとー……」

…………ダメだ。
この勝負、市井の負けだ。
どうしても、敵うハズがない。
未来はない、哀しい未来が待ってるのは、判ってる。

けれどどうしても、この気持ちだけは止められなかった。

「……いちーも、後藤が好き……」
62 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月25日(土)11時42分53秒
事務所の人に、好きになっちゃいけないって言われて。
だから、自分のお姉ちゃんに彼女になってもらって。
後藤に、諦めてもらおうと思った。
最初の一行は嘘なんだけど、後は素直に本当のことを言った。
言った後後藤の顔を見たら、めちゃめちゃ嬉しそうな顔をして。
「よかった〜、じゃあいちーちゃんのファーストキスはやっぱりごとーなんだよね?」
と、能天気なことを言う。
「そんな嬉しい?」
「うんっ! だっていちーちゃんは、ごとーのキスしか知らないってことじゃん
「………それって、嬉しいのかな……」
あんまりよく判らない。
けど、喜んでる後藤の顔を見ると、ファーストキス、誰か違う人としないでよかった、とも思った。

「ね」
「ん〜?」
「あたし達って、恋人同士なんだよね?」
「…………そだね」
そう言って微笑むと、聞いてきたのは自分のクセに、照れて下を向いてしまう。
そして照れ隠しなのか、
「そうだ! クッキー渡しに来たんだよ!」
と言って、ボロボロに砕け散っているクッキーを差し出した。
「おま…、これって、今まで冷たくしてきた仕返し?」
「……………あはっ

…………未来はないって判ってる。
だけど、今この時だけでも。
こうして、2人で、笑い合っていたい。
63 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月25日(土)11時45分05秒
( ゜皿 ゜)<ヤット…ヤットいちごまニナッタ……

長かったさ…。ああ、長かったさ。
やっと、いちごま&いしよしになったよ…。

>>54
(#゜皿 ゜)<コ、コクハクサレチャッタ…

めっちゃ長かったです。やっとです。
待たせてごめんなさい。
>>55
(〜^◇^〜)<あんま褒めると図に乗るから。そこら辺にしといた方がいいよ
        っていうか、みんな、この名キャメラマンヤグチ様を褒めろよ〜!!
(;0^〜^0)<……この矢口さんを褒めたら、いちごまいしよしの敵ってことになりますよ…?

復活したかはどうかは、ご判断を任せます(w
>>57
( ゜皿 ゜)<イマノトコ、ソンナ交信ヨテイハナイネ
(〜^◇^〜)<じゃあ予定作れっ!

ちゃむが頑張るんじゃなく、ごっちんが頑張ってみました。
……う〜む、やっぱりごまいちだ(w

抵抗アリも何も、あんなヤツ知りません。
周りの、相方や姉、その他の人達のことを考えずに突っ走るようなやつは。
もし、この話を読んでくださってる方に、ファンがいたならば。
ごめんなさい、作者は大ッ嫌いです。彼は。
べ、別に、ちゃむと噂になったから嫌いってワケじゃ……(それもあるけど
64 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月25日(土)12時34分43秒
ようやっといちごまですな。
なんか嵐の前のなんとやらって感じですが。(w
二人の幸せを願っております…
65 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月25日(土)13時42分18秒
今が幸せなら幸せなほど、私の心が不安になっていく〜!!
これって、ある意味一番恐い展開なのかしら・・・?
この後が恐い。でも、今は素直にいちごになったのを喜んでいるべきかな(笑)
66 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月25日(土)17時11分44秒
まだ終わってないのに、ハッピーエンドのごとく震撼してしまった・・(プルプル
ヨカタヨカタ・・・ヨカタyoー!!
暫くは甘々?(ワクワク
67 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月26日(日)03時48分40秒
つ、ついに、いちごまファンにとって歓喜の時がやってきたわけですね。
しかし、まだ女であることをバラしていないことを考えると、
この先、数々の波乱や大どんでん返しが待ち受けているハズ?(w
嗚呼、不安だ!!(w
68 名前:名無し読者の大冒険 投稿日:2001年08月26日(日)04時06分53秒
やぱし、バラすんじゃなくて、バレるのかな。

偶然触っちゃうとか(どこをだ)
69 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月26日(日)04時49分06秒
幸せの裏に一抹の不安を感じる今日この頃……

レスでの作者さんの毒舌にワラたヨ!!
モー色んな意味で頑張って下さいませ。
70 名前:名無しさん 投稿日:2001年08月26日(日)06時57分26秒
(°皿°)さんが、がんばってくれたおかげでここまでみれました。ありがとうございます!
やっとごまいちだー!
71 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月26日(日)06時57分46秒
(°皿°)さんが、がんばってくれたおかげでここまでみれました。ありがとうございます!
やっとごまいちだー!
72 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月26日(日)07時00分11秒
すいません。本当にごめんなさい。
いっぱいまちがえました。最悪です…氏のう
73 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月26日(日)20時46分36秒
CHAPTER23 〜機嫌がいいのは誰のせい〜

今日も今日で、後藤お嬢様の送り迎え。
いつものように高速をぶっ飛ばして、後藤家へと車を走らせる。
朝が早い為、眠い目をこすり、あくびを噛み殺してまで。
お嬢様のために、運転手は頑張るのだ。

バタン、と運転席のドアを閉めて。
カチャ、と後部座席のドアを開けて。
お嬢様を呼びに行く。

「あ、どうも。もう少しで来ますんで」
「はい」
まず、母親が出て来てご挨拶。
そしてのその数分後、いつもの無表情な、眠そうな、お嬢様の登場。
――だった、ハズなんだけど。

「おはよう圭ちゃん! 毎日毎日ご苦労様

お嬢様――後藤真希は、なんだかとてもご機嫌だった。
74 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月26日(日)20時47分09秒
――

「なんか、めちゃくちゃうす気味悪いんだけど……」
妙にハイテンションで、笑顔の後藤。
事務所に立ち寄った保田は、飯田にこぼす。
「でもさー、後藤が変なのは、前から判ってることだから。
そんな、圭ちゃんが心配することじゃないよ。うん」
「……圭織に言ったのが間違いだったわ…」
「わ、何それぇ。なんか今すっごく傷ついた。こー見えても圭織デリケートなんだよ」
「うるさい」
なっ、と言い返そうとした時に、飯田さんお電話です、との声。
「………誰ですか」
「あ、花畑事務所の、田中社長からです」
「今出ます!」
圭ちゃん覚えてろよ、と捨て台詞を吐いて。
最近、石川がお気に入りの、田中社長の電話への応対へ。

「……石川って、人気あるの?」
「あぁ、なんか最近結構問い合わせと多いし。
それに、写真集の予約も結構多くて、雑誌の取材も多いんですよ」
「へぇー…」
近くにいた顔見知りの事務所スタッフを見つけて、尋ねてみる。
「やっぱ社長すごいですねぇ。社長がスカウトした子達、大当たりですもんね」
市井&吉澤、そして石川梨華。
さすが、後藤真希をスカウトしたつんくはすごい。
75 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月26日(日)20時47分40秒
「あっれー、圭坊やん。どーしたん?」
「あ、中澤さんお疲れさまでーす」
「ども」
話の途中、突然乱入してきた、関西弁。
その後ろに、保田にとっての邪魔者も引き連れて。
「市井ちゃんとよっすぃーもお疲れさま」
「「お疲れさまでーす」」
事務所スタッフは、いつも後藤が呼んでる呼び方で2人に挨拶をしていって。
まだちょっと仕事あるんでお先です、と言って、保田達の元を離れて行った。

「あ、保田さん…どうも」
ひきつりながら挨拶する吉澤に、キッと睨み返す。
「うわ、こわっ」
「バカっ」
思わず声を出してしまった問題児を、手加減なくゲンコツして。
しかしゲンコツを何度繰り返したところで、問題児は直らないのだが。
「いったいなぁ、ほんと。市井さーん、中澤さんに殴られたー」
「よ、寄るな。気持ち悪い」
「うっわ。ひっでぇ〜、市井さんひっでぇ〜」
へらへらと笑いながら、そんなことを言う。
後藤と同じで、この吉澤も、なんだかとてもご機嫌だった。

今日はお互い、仕事早く終わるから、遊園地にでも行こうか。
その約束は、こっそりと交わされて。
もちろん、中澤や飯田、市井でさえも知らない。
吉澤と石川の、2人だけの秘密。

前回ので、学んだ。
大丈夫、絶対にバレない。
バレて、2人の仲を壊されてたまるかってんだ。
76 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月26日(日)20時48分28秒
「にひひひひ」
「な、なんだよ。ホント気持ち悪いぞ」
真顔で顔を見つめていると思ったら、ものすごい笑顔に変わる。
ご機嫌もご機嫌、超ご機嫌。
その様子があまりには後藤と酷似していたため、保田の頭には、ある最悪な出来事が頭に浮かんだ。
「吉澤、アンタ、昨日後藤に何かしたんじゃないでしょうね!」
「え? え?」
「アンタ達、ホントに付き合ってないの!? 今日、約束してんじゃないの!?」
「は、はぁ?」
ガクガクと揺らされ、唾を思いっきり顔にかけられ。
「つ、付き合ってないですってぇ。な、なんなんスかぁ」
半泣きになって、乱れた胸倉の服装を整える。
恐かったろう。だって隣にいるだけでも、恐かったんだから。

「ごっちんがおかしいくらい機嫌がいい?………なんや、それ」
どうして吉澤にいきなりそんなことを聞いたのか。
中澤が恐々ながら質問すると、そんな答えが返ってきた。
「だから、あたしにも判らないから困ってるの。
んで、ココ来たら、同じように機嫌がいいこの子がいたから……もしかしたら、って」
「や、あた、オレ、知りませんよっ? ほ、ホントに知りませんよっ!?」
無実なんです。本当に無実なんです。
お願いします、信じてください。お願いします。
ウルウルと、大きな瞳で見つめられては、許すざるを得ない。
………本当は、その瞳を見て、ちょっとドキッとしたからなんだけど。
それは、保田の心の中にしまっておくことにして。
77 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月26日(日)20時49分08秒
「でも、じゃあなんであんな機嫌いいんだろ、あの子……」
早く仕事が終わり、家に送って別れる時は、ひたすら笑顔だった。
とても、嘘の笑顔や、無理して笑っていたようには見えない。
「……………」
そんな保田の呟きを、黙って聞いている市井。
おかしいな、と思った。
だってなぜか、市井の目が泳いでる。

人見知りが激しいのか、元々そんな顔なのか、保田が嫌いなのか。
ともかく、市井を見た時はいっつもクールなイメージがあって。
そんなクールな市井が、なぜ、目を泳がせているんだ。
今は、後藤の話をしているだけ。
……と、そこまで考えて、保田は大事なことを思い出した。

抱擁写真が出て来て、すっかり忘れてた。
そうだ、そうだった。
あの子は、吉澤の方じゃなく、市井の方を気に入ってたことを。
吉澤とは付き合ってない、友達だ。と言い張って。
交際は、完全否定。
それに、松浦亜弥にアプローチされているのを見ていた時も、
ヤキモチを妬いているような、そんな姿は見えなかった。
もしかして、わざと見せなかったのかもしれない。
しかし後藤は、そこまで演技が上手いとも言い切れない。
そして、推理が大好きな保田が出した結論とは。

ごっちんが機嫌がいいのは、この子、市井が原因。
そして、市井が目を泳がせているのは、ごっちんの機嫌がいい原因の、心当たりがあるから。

……………そろそろ、ごっちんにとって邪魔な芽は、摘んでおかなくちゃね。
78 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月26日(日)20時50分41秒
(〜^◇^〜)<行進で〜す! 今日は圭織、メンテナンスの日なんでぇー、休みなんですよぉ
        矢口の場合は行進だからねー。交信じゃないよー

(〜^◇^〜)さんご出演、ありがとうございます。
お礼と言っちゃなんだけど、この次のCHAPTERから、ヤグチの“〜ちゃった!”四部作の予定です。
別名、まつよし(?)&いしよし編(w
いちごまもちゃんと話の間に入れるよー。

新メンどうしようかな……。関係とキャラが判り次第入れるかも。

>>64
ほんまにやっとです(w
嵐の前の静けさ……、嵐が来るのは、まだもうちょっと先です。
>>65
いちごまといっても、ある意味変形のいちごまですからね。
隠してることがある分、やっぱり安心はできないからですかね。
とりあえず今は、喜んでいてください(w
>>66
ありがとうございます。
暫くは………いしよし編です(オイ
>>67
(〜^◇^〜)<でもさー、ちょっとまた先のCHAPTERで行き詰まって、
        作者さん違う話考える余裕ないんだってさ。でも、それ乗り越えたら書く余裕できるらしいから、
        紗耶香、今の内になんか、どんな話読みたいかリクエストしとけば? 
( ´ Д `)<書いてくれる保証はないけどね…(ボソッ

いちごまファンの皆様の期待に応えられたかは判りませんが、
さやまりリスペクトの作者ですが、精一杯頑張りました。
書いてる時はいちごまに入り込むんですが、終わるとさやまり好きに戻るんで、
ある意味、そんな自分が書いたいちごまが1番不安です(ニガワラ
>>68
さあ、それはどうでしょう?(ニヤッ
>>69
(〜^◇^〜)<何処のスレで前それ犯したの?

読んでくださっている皆様は、どうやら圧倒的に不安の方が多いんですね(w
まあ、そりゃそうか。

ありがとうございます。正直、載せた時、反論というか、何か書かれるかなとか思ったんですが。
あれだけははっきりさせておきたいと思ったので、書きました。
頑張ってくださいませ、というお言葉、ものすごく嬉しかったです。
>>70->>72
いいっすいいっす。気にしないでください。
失敗は、おいら、もっとしましたから。
毎度のレスありがとうございます、ぐれいすさん。
79 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月26日(日)21時59分22秒
なんかもう(`∀´)が出てるだけでドキドキします。
つぎは知さんか(ニヤリ
80 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月26日(日)23時28分43秒
やっすーこえー(w
81 名前:79 投稿日:2001年08月27日(月)02時26分07秒
障害はつきものですが
高い、余にも高すぎるよ壁が…

前回・前々回でイエロー2枚でレスは自粛してましたが
我慢出来ませんでした。
次ヤッたら退場しますか(←あくまで意気込み
82 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月27日(月)03時34分27秒
鬼マネージャーが本格始動!!っていう感じですか?
最後のセリフがコワイっすね〜
特に、眼帯している圭ちゃんの顔を思い出しながら読むと、いい意味で恐怖二倍増(w

( □.∀´)<……………そろそろ、ごっちんにとって邪魔な芽は、摘んでおかなくちゃね。
83 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月27日(月)03時42分16秒
>>82
いぃぃぃぃやあぁああああぁあ〜〜〜〜〜〜〜っ!!(叫
84 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月27日(月)11時14分47秒
>>82
ガタガタ…(震
85 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月27日(月)13時50分22秒
CHAPTER24 〜やっちゃった!〜

「あ〜…、やっちゃったよやっちゃったよぉ」
うっうっ、と空いてる左腕で涙を拭く真似をして。
矢口真里は、自らしてしまった、やっちゃったことを、後悔する。

丸一日かけて、買い物に来たのはいい。
けれど、夏物処分セールや、秋物の新作が予想以上にあって。
つい、調子に乗って、買いすぎてしまった。
行く前には16万あった財布の中身は、現在たったの891円。
銀行に行って、下ろせばいいんだ。
けれど銀行に行っても、下ろすものは何もない。
あったら絶対使うのを母親は知っているため、給料の3分の1を、
矢口に知られないところで貯金してやっているのだ。
残りの3分の2は、以前の買い物と今回の買い物でパー。
後先考えず、やっちゃった。

「うぅ〜、どうしよどうしよぉ! 家賃まだ払ってないよぉ」
見栄を張って、高級マンションに入ってしまったことを、心底後悔する。
マンションに高級がつくだけあって、家賃も高級なのだ。
臨時のバイトや、その場凌ぎでもいいからスクープを撮らなきゃ、追い出される。
あわわわわ。困ったぞ。
親父相手にスカートめくりあげてパンツ見せるとか、男に媚びての風俗なんか、大嫌い。
かといって、この小さい身体を使う肉体労働なんてものも、大嫌いだし。
じゃあ、矢口が出来ることは1つ。
本業の、スクープを撮ることだ。

……………けど、スクープが、ない。
86 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月27日(月)13時50分56秒
――

落ち込んでいる矢口とは裏腹に、こちらはハッピー気分吉澤少年。
もしもの時のために市井に上手くごまかしてくれるように頼んで、
夕方の遊園地へと急ぐ。

スクープは恐いが、スクープが恐くちゃ、何処へも行けない。
恐がって閉じこもってちゃ、何も出来ないから。
「りーかちゃん
待ち合わせ場所へとご到着。
機嫌が良くてつい、マークもつけてしまった。
まあいい。サービスだ。
そんなのも気にならないほど、吉澤くんは機嫌がいい。
「あ、よ、よっすぃー…」
しかし、そんな機嫌のいい吉澤と違い、妙にオドオドしている石川嬢。
「どしたの?」
と、吉澤が聞くと、
「ご、ごめんなさい!」
と、頭を下げられた。

最初は、仕事が出来て、行けなくなったのかと思った。
けれど、それよりもっと最悪で、ショックなこと。

「どうも! わ〜い、吉澤さんだぁ

2人きりのデートのつもりだったのに、もう1人が参加していたのだ。
87 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月27日(月)13時51分36秒
「ちょっと梨華ちゃん、これはどういうことなのさ」
「あ、あはは……」
はしゃいじゃってよいのかな、と質問をせずにはしゃいじゃってる松浦に気付かれないように。
吉澤はくくっと、石川の日焼け防止の長袖シャツを引っ張る。
芸能人だ、とバレないように、吉澤の目にはサングラス。
石川の目には、度が入ってない、フチなしの眼鏡。
お互いの顔色は、サンバイザーと帽子着用で、見えにくい。
「あたし、聞いてないよ。亜弥ちゃん来るの」
「だって、言ってないもん…」
「言ってないって…。なんで言わなかったんだよ」
「しょうがないじゃない、いきなりだったんだからぁ」

こそこそ、と、マンションを出ようとしたところに、仁王立ちした松浦の姿。
遊びに来ちゃいましたー、なんて、笑顔で言って。
何処か出かけるんですか?、なんて、無邪気に聞いて。
吉澤さんいるなら私も行きたいです、なんて、ずうずうしいおねだり。
それに対する石川の返事は、今この状況で判るだろう。

「なんでオッケーなんかするんだよぉ、梨華ちゃんのバカ!」
「だってだって! 『付き合ってるんじゃないから、私、お邪魔じゃないですよね?』って言ってくるんだよ?
付き合ってるんなら断われるけど、私達付き合ってないじゃん……」
「う…」
確かに、付き合ってない。
けれど、松浦には悪いけど、お邪魔なワケで。
しかし、優しい王子様とお姫様は断われない。
さあ、どうしようか。
そんなの、自分達が結論を出さなくても、出してくれる人がいる。

「2人共、そんな暗くなってないで、せっかく遊園地来たんだから楽しみましょうよ♪
よーし、今日は頑張るぞぉ!」
「わっわっ、ちょっと亜弥ちゃん」
「うぅっ、よっすぃーの左腕占領された……」

ほら、早く早く。
どうせ来たんだから、楽しまなきゃ。
それを合言葉に、3人(の内、正確には1人)は遊園地を楽しむことにした。
88 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月27日(月)13時52分11秒
――

「くっそぉ……、ヤグチ、一体何やってんだ……」
駅のロッカーに入れていた重たいカメラを首にぶら下げて。
両手には、先程の買い物で買った、いくつもある紙袋。
フラフラになりながら、ヨタヨタになりながら、虚ろな目でスクープを探す。

荷物を預けたら、こんなにしんどい思い、しなくてよかったかもしれない。
けど、預けるお金ももったいなくて。
今日スクープ探して撮っても、現像をしなければならないため、
最低1日は残り891円で生活しなければならないのだ。
切符を買うお金も、カラカラ渇いた喉に与えてやる飲み物も諦めた。
歩いて帰ればタダだし、家に帰ればペットボトルに飲茶楼が残ってる。
だから、神様お願い。
スクープ、撮らせて。

矢口の願いは、届いたのだろうか。
けれどもう矢口の小さな身体は限界で、とうとう地面に座り込んでしまう。
「………うー、マンション追い出されるぅ……」
もうスクープを撮るのは無理と判断したんだろう。
家賃払込の日に入っていなければ、速攻出て行ってもらうなんて厳しいマンションに入ったばっかりに。
どうせなら、無理して高級マンションなんか入らず、
管理人さんの優しいマンションに入ればよかった。
今思ってもそりゃ遅い。
「お母さん、借してくれないかな……、いや、先月借りたしなぁ……」
怒られた子犬みたいにショボンとなる矢口。
耳もしっぽも、垂れさがっている。
それを見て、とうとう神様も許してくれたのか。
矢口の地獄耳に、あるニュースが飛び込んできた。
89 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月27日(月)13時53分08秒
「でもさぁ、なんかまだドキドキしてるぅ〜」
「う、うん。あたし、今日右手洗えないよ…」
若干顔を赤くして、落ち着きないOL風の2人組。
さて、そのOLの話の主役は?

「もー、あの笑顔は反則だって!」
「よっすぃーカッコよかったぁ。もっと好きになったよ

話題の少年2人の1人、吉澤だったのだ。

「すいませんっ! よ、よっすぃー、何処で見たんですか!? 誰かと一緒にいました!?」
「え? え?」
「だからぁ、何処にいたかって聞いてんの!!」
こっちは、家なき子になるかならないかがかかってるんだ。
スクープを撮るには、1分1秒無駄にしちゃいられない。
「な、なんか知らないけど、遊園地の方向かって歩いてた……。
ちょうどサングラス外してて判ったんだけど……」
「ありがとうございます!!」
「きゃあ!」
お礼を言って、走って行ったのはいい。
けれどその時、いくつもの買い物袋がOL2人組に当たりながら行ってしまったのだ。
「……な、なによあの子。今更行ったって、もう握手なんかしてくれないよ…」
「……ね」
気迫に押されてしまっていた二人組は、矢口が去ってしまってからしか文句が言えなかった。
90 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月27日(月)13時53分42秒
( ゜皿 ゜)<ケンサノケッカ、ツギノ交信スルノジカンカカルカモ

( ゜皿 ゜)さんの体調が悪いのもあるんですが、
只今少し物語の展開を上手く持って行くことが出来ず、ストックがあと3つしかなくなってきました…。
それで、ストックを溜めるためにも、交信遅くなるかもしれません。
上手く持ってくことが出来たら、後はイメージできてるんで、すぐ出来るハズなんですが。
まあでも1週間はかからないと思うんで、待っていただけると嬉しいです。

昨日当然の如く特番見たんですが、高橋可愛すぎ。
ボンごめん……浮気しちゃうかも(ボソッ

>>79
これからは、( `.∀´)の時代です(w
1人テンションの高い矢口が、4部作の主人公(?)です。
>>80
( `.∀´)<恐くないわよ! どこが恐いっていうのよ!?
>>81
その壁を乗り越えてこそ、永遠の愛、高橋が待ってるのです!(バカ
イエロー何枚でも、ここはレッドにはなりません。
だからどうぞ、退場しないでください。
>>82
(〜^◇^〜)<ば、ばかぁっ! そんなのは2人だけの秘密でっ……(カオマッカ

鬼マネージャーが本格始動の前に、いしよし危機と、名キャメラマンの方が先です。
あの眼帯は確かに恐い……(w
>>83-84
( □.∀´)<ちょっとアンタ達………オーバーすぎでしょ!!
91 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月28日(火)03時50分44秒
ま、松浦ぁ…
92 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月28日(火)03時52分47秒
いしよしの方も簡単には上手くいかないみたいですね。
迷カメラマンも接近中みたいだし(w

>昨日当然の如く特番見たんですが、高橋可愛すぎ。
自分も高橋押しが確定しました(w
さよならあやや……いままでありがとう(爆)
93 名前:名無し読者は13人 投稿日:2001年08月28日(火)05時14分05秒
押しの強い松浦いいなぁ。

どんどんひっかきまわしてくれ(w。
94 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月28日(火)20時59分36秒
松浦のせいでいしよしがみれないのか?
次回『松浦・矢口愛の逃避行』おたのしみに(アニメ風
95 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)02時09分46秒
CHAPTER25 〜聞いちゃった!〜

うぇっへっへっへ、イイコト聞いちゃった。
うぇっへっへっへ。
いかん、笑いが止まらないや。

この名キャメラマンヤグチが思うに、男が1人で遊園地になんか行くとは思えない。
それに男友達と遊園地に行くなら、現地じゃなくて何処かの駅で待ち合わせしたらいいのに。
待ち合わせできないのは、相手が、女の子だから。
だから、現地集合にしたんだ。
これが、ただの勘違いだなんて、今のヤグチには言わせないぞ。

「すいませーん! 大人一枚」
「え?」
「だーかーらぁ、大人一枚の入場券くださいって!」
早く早く、と急かして。
入場券と交換に、お金を差し出す。
「あ………」
財布の中身、891円。
もちろん、足りるハズもなく。
あはははは、とごまかし笑いをして、後ろに下がっていく。
「どうかしました?」
「あ、あは。や、やっぱいいですぅ……キャハハハ」
愛想笑いを振り撒いて、冷や汗かきながらそこを退散。
ちょっと、恥ずかしかった。

「……まぁ、いいや。中に入ってるんなら、必ずここから出てくるし。
……………よっすぃーと女の子がここでデートしていることを賭けよう。……嫌だけどさ」
それでなくても、最近大のお気に入りの芸能人なんだ。
お金欲しさに利用してスクープを撮ったりしちゃったけど。
気に入ってるのには、変わりない。
けど、スクープを撮れる確率がいいのは、吉澤だ。
こういう時こそ、悪いけど、利用させてもらおう。
あまり目立たないように潜んで、吉澤が出てくるのを、待つ。
96 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)02時10分16秒
――

「ね、ねえ。もうそろそろ帰らない?」
松浦に付き合わされて、あっちこっち。
バレーで鍛えた体力も、松浦にかかれば、それもすぐに無くなる。
たった1つしか違わない年だけど、体力はこうも違うものなのか。
それとも、思ったより自分は体力ないだけなのか。
少なくとも、石川よりかは勝っているぞ。
「り、梨華ちゃん、大丈夫?」
「う……」
ジェットコースター連続3回。
石川の顔は真っ青で、さっきからずっと口を押さえている。

そんな、気持ち悪いのに3回乗るからだよ。
そう言ったら、
だって、よっすぃーと少しでも長くいたいもん……、と返ってきた。
その時は、何言ってんの、と返したけれど、
実はものすごく嬉しかった。

「大丈夫? ちょっと休む?」
「うん……そうしてくれるとありがたい……」
肩を抱き寄せてくれた吉澤にもたれるようにして。
そして、その姿を後ろから切なそうに見守る松浦。
とりあえず、乗り物に乗るのは一旦中止。
近くにベンチで、小休止をとることにした。
97 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)02時10分48秒
吉澤に言われてタオルを濡らす。
濡らして急いで帰ってきて、改めてみる2人の関係。
気分が悪い石川の背中を、ゆっくり優しくさすってあげて。
石川を見つめる目は、とても心配そう。
ただの幼馴染みになんか、とても見えない。

好きになっちゃったものは、仕方ない。
気持ちを変えることは出来ないし、自分は気持ちを押さえ込むような性格でもないし。
ライバル宣言をして、真っ向勝負を挑んでみても、想い人は見ての通り。
勝ち目のない恋だとは判っちゃいるが、負けなんか認めたくない。
負けたく、ない。

「タオル持って来ましたぁ」
「ありがとう、亜弥ちゃん」
笑顔で、感謝の言葉。
そうだ、それが悪いんだ。
気がないなら、そんな笑顔しなきゃいいのに。
してしまうから、諦められない。
「ねぇ吉澤さん」
「ん?」
「………観覧車、乗りたいです」
「えっ?」

無理だよ。
冷たく断わる吉澤に、それでも乗りたいですと食い下がる。
「亜弥ちゃんさ、子どもじゃないんだから」
「乗りたいんです」
「………あのねぇ」
優しい王子様も、我慢しきれない時だってある。
隣には、体調が悪いと言っている子がいるのに。
しかもその子は、自分が守らなければいけないお姫様。
そんな大事なお姫様を放っておいて行くなんて。
そんなの、絶対嫌だ。なのに。
98 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)02時11分36秒
「……いいよ。行ってきて。私、待ってるから」
「り、梨華ちゃん?」
「石川さん……」
何言ってんだよ、置いておけるワケないじゃん。
見るからに狼狽している吉澤にやんわりと笑顔を向けて。
「私、これでも1番年上なんだから。待つくらい簡単だよ」
笑顔と、そんな言葉を向けれらたら、吉澤にはもう何も言えない。
「………じゃ、行こっか」
納得が出来ないけど、それでも。
石川の言った事に、素直に頷いた。

――

2人っきりの、密室。相手は、石川じゃない。
向かい合っているのは、自分に好意を寄せているであろう、松浦亜弥。

「……やっぱ、夜に観覧車乗ったら綺麗ですね」
「……そーだね」
「…………」
せっかく明るく努めて一生懸命喋りかけているっていうのに、
吉澤の全然興味のなさそうな言葉に、松浦は黙ってしまう。
けれど、そんな冷たくされるのは覚悟してたから、もう1度、頑張ってみよう。
「あ、ほら見てください、あのアトラクション」
「いいよ。そんな気分じゃない」
「……………」
でも………頑張るだけ、無駄だったかもしれない。
99 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)02時12分09秒
吉澤と松浦を乗せた観覧車は、ちょうど4分の1を過ぎたところで。
残り、4分の3。
それまでに、せっかく与えてくれたこのチャンス、実らせなきゃ。
たとえ、断わられたとしても。
悪いけど、諦めるつもりなんて、毛頭ないから。

「吉澤さん」

この時ばかりは、笑顔をとって。
真剣な表情で、アナタを見つめる。

「あの……知ってると思いますけど、私……」

視線が絡まる。
心臓の音が、ものすごい速さで波打ってる。

「………吉澤さんのこと、好きです」

もうこれ以上ないくらい真っ赤になりながらも、
自分の、今、このどうしようもない気持ちを、全部、吐き出した。
100 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)02時14分00秒
(〜^◇^〜)<圭織は交信できないけど、矢口は交信出来るんだぴょ〜ん! カッカ!

調子の悪い( ゜皿 ゜)さんの代わりに、(〜^◇^〜)さんに代役を。
どうにか乗り越えれたので、いつものように毎日交信…じゃなくて行進できました。
んで、行進ついでにちょっと独り言。高橋へのLOVEを語ってみました(いらん
訛ってる高橋が好き。
泣いてる、と思ったのに、次の瞬間には“無”のような表情に変わってるのが好き。
さりげに、木下と仲が良く、気付くと隣にいた高橋が好き。
そしておいらに木下×高橋を妄想させてくれた高橋が好き。
そしてそんな木下を落とした、つんく(じゃないかもしれないけど)が嫌い。

えぇ、もう、亜依から愛へと変わっているかもしれません。

>>91
ごめんなさい…松浦、悪いヤツじゃないんです…。
書いてる内にだんだん松浦がすっごい可哀想になってきた…。
当初は、こんな風にするつもりなかったんですけどね…。
>>92
(〜^◇^〜#)<か、考えとくっ!(カオマッカ

いしよしは只今急降下中です。
(〜^◇^〜)<迷カメラマンじゃなくて、名キャメラマンだよっ!

>自分も高橋押しが確定しました(w
おお、一緒だ(w
おいらはもう、新メン決定オーディション、15回以上見直しました(w
いや、なんてーか……一目惚れかも。
あやや、今日大阪ローカル(だと思う)のABCDE〜すに出てて見たんですが。
髪切って、可愛くて、おいらは……。
こんにちはあやや、これからよろしく、でしょうか(爆
>>93
(;0^〜^0)<な、なにかな……?

押し強すぎたかな、と、今頃反省。
まつよし(?)編は、4部作です。あと2部で、ひっかきまわすことができるかどうか。
……にしても、すごいハンドルネームだ(w
>>94
松浦のせいじゃありません。作者の意地悪のせいです(w
いしよしの2人の仲を引き裂くの、こんな楽しいとは思いませんでした(w
『松浦・矢口愛の逃避行』って……どんな内容なんだ(w

ヽ^∀^ノ<動いてる高橋は絶対見るべきだって! 市井は超おススメだね!!
(;〜^◇^〜)………………紗耶香が卒業しててよかったよ(いたら矢口をほっといて、手を出してたかもしんないからね

101 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)02時18分49秒
(;〜^◇^〜)<ごめん……交信は圭織だったよ……
         矢口の場合は行進だった……
( ‘д‘)<次間違ったら、ウチが矢口さんと交代するからな
102 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月29日(水)03時05分50秒
あややはホントにこれくらい元気そうだよね。
続きに期待です。

(〜^◇^〜)さんはやっぱり、せくすぃ〜び〜むで行進してるのかな?
新メンバー4人、自分は残念ながら誰も引っかかるものがありませんでした。
103 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月29日(水)03時41分15秒
今回の話であやや頑張れ派が増えるハズ!!
だって自分はコロッと転びました(w
やっぱりこれからも応援していくよ、あやや(爆)

作者さんの高橋への想いは凄まじいですね〜
自分としては、加護に教育係になってもらって、後藤、加護へと受け継がれているハズ(?)の、
市井の遺伝子を引き継いで欲しいですな〜(かなり痛め)
104 名前:名無し読者メンバー 投稿日:2001年08月29日(水)05時00分56秒
松浦、告白しちゃいましたカー。
観覧車はまだあと3/4、時間はたっぷりあるぞがんばれ。
よっすぃ〜は押しに弱そうだぞ。ってやばいじゃんいしよし。(w

わたしもABC(略見てました。
今までよく知らなかったけど、ファンになりそう。
105 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月29日(水)06時43分36秒
なんだかんだちゃんと絆のあるいしよしに安堵しつつ…
松浦どうなるんでしょう?(w
まさか吉澤とうまくいくとは思えませんが、
どこかに救いがあるんでしょうか…

うーん…引き込まれます。
106 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月29日(水)08時18分59秒
必死にがんばる松浦が気になりつつ
健気な梨香ちゃん萌
107 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)16時15分57秒
CHAPTER26 〜入っちゃった!〜

「うん……うん……。えっへへぇー」
某局のスタジオ内。
機材の陰に隠れて、後藤真希、ただいま秘密の電話中。

「まったくあのバカ。一体何処行ったってのよ!」
まさか、機材の陰に隠れて電話しているとも知らず、保田はさっきからスタジオ中を行ったり来たり。
もうすぐ、本番なのに。
あの子は、ごっちんはどうも、緊張感とか周りの迷惑を感じないらしい。
「ちょっと後藤ッ! もう時間なの、判ってるの!?」
ラチがあかないと判断したのか、ありったけの、けれど、迷惑がかからない程の声で、後藤を呼ぶ。
「あ、圭ちゃんだ」
もちろんその声は、後藤にも聞こえていて。
「……もう本番の時間だ……」
残念そうに、呟く。

ずっと、こうして、電話で話したりとか。
逢って、話したりとか。
最初の方しか、出来なかったから。
付き合って、想いが通じ合ってからする電話の会話は、初めて。
もうちょっと、話していたい。
その気持ちは、相手も一緒。

「いちーちゃん、また、終わったら、電話していい?」
甘えるように問い掛けたら、優しく「いいよ」。
ただ、了解をもらっただけなのに、こんなに、ものすごく嬉しい。
あまり、感情を表に出すのは上手じゃないんだけど、市井の前だけでは、
後藤は、無邪気な、喜怒哀楽の激しい、15歳の少女になれる。
「じゃあ、絶対電話するから! 絶対、起きててね!」
わかったわかった、と笑いに混じる返事。
切るのはすごく躊躇われたけど、自分1人のためだけに本番を遅らせることは出来ない。
じゃあね、と言って、潔く切った。
108 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)16時16分32秒
「ごめん、圭ちゃん」
タタタッ、と走って、保田の元へご到着。
「何してたの」
と聞くと、
「あー…、お姉ちゃんから電話かかってきて」
と、俯いての答え。
「……そっ」
問いただすことは、しなかった。

「じゃあ本番いきまーす!」
スタジオ内に響く、ちょっとした合図。
その声で、スタッフ全員の顔色が変わる。
保田達マネージャーは、その様子を陰からそっと見守るワケで。
けれど、今日はちょっと、確かめたいことがあった。

疑ってるワケじゃない。
ただ、あまりにもあの子は嘘をつくのが下手だから。
……って、これは、疑ってるのか。

預かった携帯電話。
まず、着信履歴を確認するが、ない。
じゃあ次は、発信履歴。
……あった。
いちーちゃん、の、文字。

(やっぱり……)

2人は、付き合っている。
それは、後藤といつも一緒にいる保田が見れば、一目瞭然。
109 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)16時17分04秒
――

吉澤さんのこと、好きです。
告白して、数十秒後。
俯いて告白をうけていた吉澤の顔が上がる。

吉澤の返事は、もう予想してある。
そして、その返事に対する質問も、もう用意してある。
「………オ、オレ、亜弥ちゃんの気持ち応えられない」
「なんでですか。石川さんが好きだからですか?」
「………」
あまりに早い切り替えしに、少々言葉がつまる。
石川や市井には、口で負けたことなんかないのに。
どうやら自分は内弁慶らしく、松浦の攻めに汗がタラタラ。

黙ってしまった吉澤に痺れを切らし、松浦が口を開く。
「……私、絶対にこの気持ち、石川さんなんかに負けません。
そりゃ、一緒にいた時間は石川さんの方が長いけど…。
で、でも、私は、吉澤さんのことを誰よりも1番好きです!」
一言一句、はっきりと。
途中、ちょっとどもりもしたけど、自分の気持ちを全部伝える。
自信を持って、言った。はっきりと、言った。
後は、吉澤の言葉を待つだけ。
……けれど、待っていた言葉は、あまりにも冷たい言葉だった。

「……なんで、オレのこと、全然知りもしないクセに、1番好きだって言えるの?
本当に、誰にも負けないって思ってる? 本当に、1番好きって言い張れる?」
「え……?」
「全然知りもしないクセに、そんな無責任なこと言わないでよ」
110 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)16時17分36秒
自分の今の発言に、松浦の顔は哀しみの色に変わる。
違う、哀しませようとして言ったんじゃなくて。
ただ、許せなかったんだ。

亜弥ちゃんが好きなのは、“男”の吉澤で。
本当は“女”ってこと、気付かず恋をして。
本当の自分を知らずに、負けない、1番好きだ、と言う。
そんなワケないじゃないか。
本当のことを知ったら、負けるクセに。1番嫌いになるクセに。
それなのに、それなのに。
梨華ちゃんなんかに負けないなんて、言うから。
………どうしても、許せなかった。

「……じゃあ、吉澤さんのこと、教えてくださいよっ。
知らないの、当たり前じゃないですかっ! 教えてくださいよっ!!」

もちろん、知らない松浦が悪いんじゃない。
言わない自分が悪いんだ。
だから、責めるつもりなんかなかった。
けど、そんなことを言うから、頭に来たんだ。

「………教えたって知ったって、オレは、亜弥ちゃんには振り向かないよ。
自分には、どうしても傍にいて守りたい人がいるから……」
「……そう……ですか……」

男とか女とか。
性別にこだわるんじゃなくて、吉澤ひとみという人間にこだわって。
一生懸命、自分を愛してくれて。
そして自分も、性別を通り越して、愛してる。
照れくさくてそんなこと、本人の前じゃ言えないけど。
111 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)16時18分19秒
――

「ってか、遅い。遅すぎるっつーの!」
可愛い顔を、怒りの顔に変えて。
矢口真里は、退場ゲート前をウロウロウロウロ。
両手はしっかり、命の次に大事なカメラをしっかり支えてる。
しかし、そのカメラのシャッターを切るチャンスが、なかなかやってこない。

もしかして、遊園地じゃなかったとか?
いやいや、絶対遊園地だ。
んじゃ、もしかしてもう通り過ぎちゃったとか?
いやいや、ずぅっとずぅっと見張ってもん。

………と、いくら1人で自問自答していても問題は解決しない。
仕方が無い。
問題を解決させるために、ここは、最終手段。

少し移動して、駅まで行って。
キョロキョロと、手頃な相手を探す。
そして、不細工なんだけど金の持ってそうな男を見つけて、にっこりスマイル。
「……ねぇ、今って暇?」
「……え?」
「もし暇なら、アタシと遊園地でも行こうよ
そう言って、さっきの場所から少し遠くなった遊園地を指差す。
返事なんか、聞かなくても判る。
顔を真っ赤にさせて、必要以上に興奮した目の前の“ブ男”を見れば。
「も、もちろん! よよよよ喜んで!!!」
……女に慣れてない男をオトすのは、1番簡単

「すいませーん。大人2枚
先程は金を払わずに立ち去ってしまった、券売り場。
今度は、矢口曰く“ブ男”を前にして、後ろから注文。
そしてもちろん、金を払うのは、“ブ男”の役目。
………遊園地入場に、大成功。
112 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)16時19分08秒
一方、まさかそんな危機が迫ってきているとは知らない吉澤達はというと。
沈黙で過ぎた残りの観覧車を無事なんとか乗り越え、石川の元へと向かう。
そんな2人の間に、会話はない。
むしろ、会話がある方がおかしいのかもしれない。
――だって、つい10分ほど前に、振って振られた2人なんだから。

急ぎたい気持ちは判る。
けれど、松浦を放って行くことはできなくて。
歩調を出来るだけ合わせ、それでも急ぐ。

松浦の様子を見ると、先程のことが大分ショックだったようで。
かなり落ち込んでいるようだ。
でもあえて、声はかけない。
人に優しくするのは良い事だけど、時にはそれは残酷だ。
それに、決めたんだ。
優しくするのは、梨華ちゃんだけって。

元々、自分が優しくしたのが原因。
そのせいで、石川を悲しませてしまったのかもしれない。
だから、罪滅ぼしと言っちゃなんだけど、松浦にはっきり言って。
これからは、1人で置いて行ったりしないで、ちゃんと、傍にいようと決めたんだ。

でも、どうして。
人が決心した途端、これだもん。

「梨華ちゃん……?」

そこに、石川の姿はなかった――。
113 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月29日(水)16時20分21秒
(〜^◇^〜)<さっ、今日も元気よく行進だぁーーっ!!

ありがとう(〜^◇^〜)さん。よく頑張ってくれてます。
今回詰まってたところでして、文が繋がってなかったり、は?、って思う言葉が続くかもしれませんが、
それでも読んでくれると嬉しいです。
>>102
( `.∀´)<作者は紗耶香ひとすじよ!
(;0^〜^0)<ウソつけ……加護といい高橋といい…

続きを見て、がっかりさせたと思います。
これ書いてるとき、めっちゃつらかったです。
(〜^◇^〜)<行進の仕方は………内緒
>>103
(〜^◇^#)<う、うるさいやいっ!!

転んでくれたのは嬉しいですが、あややちょっと…。
ちょっと自分自身、あややを可愛がりすぎました。この展開つらいっす…。

早くテレビで高橋みたいんですが…。いつまで出し惜しみする気だろう、と。
10月コンサート逝くのに、見れるのかどうか…。
やっぱ、教育係つけるのかなぁ。自分としては、飯田さん希望なんですが(何故
>>104
( `.∀´)<押し出しで、松浦の勝ちね
(;0^〜^0)<いつから相撲になってんですか!

押しには弱いです。言う通り(w
ABCの松浦は、めちゃ可愛かったですよね。
ってか、川内さんも違う意味で可愛かった(w
>>105
す、救いのこと、すっかり忘れてました…。
出来る限り、フォローはするつもりです。

本当に感想、嬉しいです。ありがとうございます。
>>106
(〜^◇^〜)<誰が圭織から奪ったこの座を加護・辻なんかに簡単に渡すかぁ!
ヽ;^∀^ノ<い、いや、奪ったんじゃなくて、代役でしょう…

萌えてやってください。
しばらく泣きが続きますが>石川
114 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月29日(水)17時00分57秒
今回はけっこう痛かったですね。
でも、痛いなかにも保田のこわさがでててよかったです(w
115 名前:名無し読者はゴッドハンド 投稿日:2001年08月30日(木)00時36分58秒
松浦、速攻で振られちゃいましたか〜。( `▽´)<フォローお願いね(はぁと)

しかし、石川どこいった。トラブルメーカーが接近しているのに(w
116 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)03時08分20秒
予想通りの結末ですが、これはもうしょうがないですもんね。
あややはまさに「LOVE涙色」ですね(w
それより自分は、いちごまが心配。恐怖の魔王が動き出したからね(w

>10月コンサート逝くのに、見れるのかどうか…。
このコンサートで間違いなくお披露目でしょう………羨ましい(ボソッ
117 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)07時38分49秒
そろそろ動き出すのか…やっすー…(怖
118 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月30日(木)14時10分29秒
CHAPTER27 〜撮っちゃった!〜

「ねぇねぇ、何処行くのさっ。ちょっと待ってよ」
脂ぎった手で、この“自称”世界で一番美しいヤグチの手を握ってくる“ブ男”。
矢口の片方の眉が、ピクッと上がる。
「あ、そそそうだっ! まだ名前聞いてなかったよね?」
「……別に、名前なんかいいじゃん」
「だ、ダメだよっっ! は、ほら、やっぱ、名前叫びながらヤッた方が燃えるんでしょ…?」
「…………は?」
何が、燃えないって?
何が、ヤるって?

“ブ男”の顔は、にたにた気持ち悪い笑顔で。
いかにも、女に飢えてます、と丸判り。
気持ち悪いものが何よりも大嫌いな矢口。
人選びにちょっと、失敗してしまった。もう少し、マシなのにすればよかった。
どうせ、お金を払わせて中に入れれば、そこで捨てるつもりだったのに。
なかなかどうして。
この“ブ男”は、矢口の後ろを付きまとう。

「ね、ねぇ、遊園地なんかより、ホテル行こうよ。
き、きみだって、それが目的なんでしょ…?」
ハァハァ、と、荒い息。
ぞぞーっと、体中に気持ち悪さが回ってくる。
それと同時に、こんなヤツを選んでしまった自分の馬鹿さ加減と怒りも回ってくる。
そしてその3つが合体し、とうとう我慢の限界がきた。

「誰がアンタとなんかヤるかっっ!!!
1人でホテル行って、1人でヤっとけ!!!!」

俗に言う、金的蹴り。
男は悲鳴をあげうずくまり、大事なトコロを押さえながら、逃げるようにして帰って行った。
「………そんなにヤリたいならフーゾクでも行っとけ、バーカ!
――さて、本当の目的に移ろうか」
いつのまにか集まっていたギャラリーに笑顔を振り撒いて、
金的蹴りのために置いた荷物を再び持ち直し、スクープを探しに遊園地を彷徨い始めた。
119 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月30日(木)14時11分02秒
「やっぱいない……」
そう呟いたのは、矢口ではなく吉澤。
後ろには、吉澤と同じく心配そうな顔で辺りを見回している松浦も。
「くそっ、何処いんだよ梨華ちゃんはっ!」
いくらライトアップされてあるからと言って、夜なので見難いのは変わりない。
しかも、サングラスをつけてあるため、更に見難くて暗い。
「チッ」
舌打ちをして、少々乱暴にサングラスを取った。
「よ、吉澤さん、マズイですよっ」
「関係ないよっ! それにどうせ暗いし、誰も見てなんかないって」
「でも……」
そこまで言って、やめる。
どうせ自分が今何を言ったって、無駄だと判断したから。

観覧車から戻ってきたら、石川の姿はなくて。
すぐに電話したんだけれど、これまた繋がらなくて。
王子様は心配で心配で、どうにかなりそうな位。

「……もう、帰りましょう…? ほら、家帰ってるかもしれないし……」
見かねて松浦が、吉澤の服の裾を掴みながら訴える。
「じゃあ亜弥ちゃん、先帰ってていいよ。………オレ、まだ探すから」
「……………」

どうして。
この人の心は、あの人にしか向いていないんだろう。
今は、私が傍にいるのに。

「………帰んないの?」
「っ、…………一緒に、探します……」

けれどたとえ、自分の方に向いてなくても。
――今は少しでも長く、2人でいたい。
120 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月30日(木)14時12分25秒
「やっぱいない……」
そう呟いたのは、吉澤ではなく矢口。
胸の前には、身体に似合わぬ大きなカメラ。
新品じゃなのにピカピカで、普段どれだけ大事にしているか、磨いているかが窺える。
そして、やっぱり服装はギャルファッション。
普段どれだけ金をかけているかも窺える。
名キャメラマンは、金持ちなのだ。………無駄遣いをしなければ。

「くっそぉ〜、何処にいんだよぉ“ヤグチの”よっすぃー…」
厚底靴でごまかした、身長155cm。
それでもまだ目線や視線は低い。
ちょっと計算外だった。こんなに人が多いとは。
しかも、カップルばかり。
ちょろちょろと1人でウロついている自分の方が、メチャクチャ目立つ。
かといって、目立つのは嫌いじゃない。むしろ、大好きだ。
だって昔、あるオーディションを受けたくらいなんだから。
けれど、スクープを撮るカメラマンという職業上、目立ってはいけないワケで。
それでなくとも顔を覚えられたら、撮られると思い、逃げられちゃう。
「……まいったな、見つかんないぞ」
広い広い、遊園地内。
しかも、夜のため辺りは暗い。
時折ライトアップの光が、両耳に付けている大きな輪っかのピアスに反射する。
綺麗だな、と思ったが、今そんなこと思ってる場合じゃない。
しかし、探そうと思ってもそろそろ体力の限界で探せそうにもない。
買い物で街を一周し、話を聞いて遊園地までひたすらダッシュ。
その上、人選びに失敗してしまった“ブ男”の相手だけで、1番の体力を使ってしまった。
そして最後、遊園地内を行ったり来たりとくれば。
身長145cmのまだ18歳の少女には、残った体力はもうあとほんの僅かばかり。
121 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月30日(木)14時12分59秒
足取りもフラフラになってきたため、ついにダウン。
ベンチを全部陣取って、寝転がる。
「あ゛〜……」
ギャル大好きな女の子の、オッサン声。
気にもせず、身体を休めることに専念。
そんな矢口の地獄耳に、またしても神様からのプレゼントが。

「絶対あれ本物だってば!」
「さっきからお前、うるさいよ。うーるーせぇ、マジ」
「ひがみは聞きたくないね。あー、ヤダヤダ。あたしもよっすぃーみたいな顔の彼が欲しい」
「んなっ!?」
カップルの、ちょっとした言い合い。
その中に聞こえる、ある芸能人のアダ名。
地獄耳は、ピクピクと反応。
「ふんっ。俺だって、松浦亜弥みたいな彼女がよかった」
「はあ? 何言ってんの。あたしの方が可愛いって」
「可愛くねー。ぜんっぜん、可愛くねー。さっきの、お前が言ってた吉澤似の男と一緒にいた
女の子の方が、松浦に似てて絶対に可愛いね」
「だから、吉澤似、じゃなくて、ぜったい本物だって!」
「眼科行ってこい、眼科」
「アンタこそ眼科行ってこい」
ぎゃあぎゃあと、仲のおよろしいことで。
と、感想はここまで。
ちょうど矢口が寝ているベンチの前を通り過ぎようとした所のカップルの足を掴む。

「「うわぁっ!?」」

心底ビックリしたような悲鳴をあげ、捕まれた足の先に目をやる。
そこには、目を血走らせた矢口。
「………それ、何処で見た? いつ見た?」
「え、え……、つ、ついさっき、メリーゴーランド前で…」
「まだいると思うけど…」
「………ありがとう!!」
さっきまで死にかけだった姿は、いつものハイテンションヤグチに戻り。
カップルに礼を言い、目にも止まらぬ速さで消えて行った。
122 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月30日(木)14時13分37秒
キャハハハ。キャハハハ!ギャハハハ!!
可愛らしい笑い声から豪快な笑い声に変わり、しまいには壊れた笑いまでに変化してしまった。

やった、やった、神様ありがとう!
やっぱり神様は、このヤグチの味方だったんだね!
神様も、ヤグチLOVEなのか。
そうか、そうなんだ。
でもごめんね。ヤグチは、みんなのヤグチだからさ、神様のものになるワケにはいかないんだ。
でも、ヤグチの愛いっぱいの感謝と気持ちを込めて、はい投げキッス
……もうこの暴走は止まらない。

重いハズの、服を一杯詰めた紙袋の山。
重いハズの、これまた高級カメラ。
そんな重さを感じさせない、軽い足取り。
そして見つけた、ヤグチeye's。
ヤグチeye'sの視線の先は、一組のカップルらしき姿。
1人は吉澤。そしてもう1人は、男が言っていた通り、松浦に似てなくもない。
いや、似てなくもないというか、松浦じゃん。
見間違えるなんて、そんなワケない。
だって、吉澤に至ってはデビュー前から目をつけてたワケだし。
名キャメラマンeye'sを、ナメるなってんだ。

2人はなんだかキョロキョロしていて。
本当は、石川を探しているからなんだけど。
名キャメラマン矢口は、その様子を、芸能人ならではの人目を気にしているから、という理由として考える。

大事な大事な、ヤグチの次に可愛いカメラくんを持ち直し。
そして、素早く何回も何回もシャッターを切る。

「…………………きゃは

――スクープ撮っちゃった
123 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年08月30日(木)14時14分26秒
(〜^◇^〜)<今日もニコニコ行進です

笑顔は人を和ませてくれます。
たとえ裏に、( ゜皿 ゜)さんの座を奪うために笑っていたとしても。
笑顔は、人を和ませてくれます。

今回の話と前の話で、名前のないキャラが何人か登場しましたが、
ちょっと展開上出さなければならなかったので、どうぞご理解頂けると幸いです。
矢口はちょっと設定としては嫌なヤツなんですが、憎めないヤツみたいに頑張ってるんですが…
矢口ファンの人、これ見てショックった方は、ごめんなさい。

>>114
( ゜皿 ゜)<イクラ作者ガ加護スキデモ、カオリノコーナーワタシテタマルカ
       モウスグフッカツスルカラネ

一応、恐さが出るのはまだ先なんですが、載せとかなきゃと思って。
これはまだ、序の口みたいなもんです。……保田ファンの人にはちとつらいかも。
>>115
( `.∀´)<そんなこと言ってないで、アンタもっと石川探しなさい!

振られちゃいました。フォローはもうちょっと先になりそうです。まだ文章起こしてませんし。
(〜^◇^〜)<ト、トラブルメーカーだってぇ!?
        このヤグチ様になんてことを言うんだ!!
>>116
(〜^◇^〜)<ふっ、ここの矢口はやぐっちゃんじゃなくて、“ヤグチ”だからね
        そこんとこよろしくね。いつもの矢口は“矢口”だよ

LOVE涙色っていうタイトルつけようとしたんですが、四部作のシリーズだったし、
まだ涙色の歌詞の内容も知らなかったから諦めました。
まーだまだ、もうちょっと、いちごまは幸せです。
今までが痛すぎたから…。

ニュースやらでは、11月の横アリで合流するとかなんとか言ってたみたいなんですが…。
お披露目だけでもしてくれるんだろうか。
>>117
動き出しますよ〜(ニヤッ
124 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)14時31分08秒
あ〜あ、撮られちゃった・・・(w
125 名前:ぐれいす 投稿日:2001年08月30日(木)14時52分33秒
こんかいのヤグチさんはもう自分にとって悪者決定です。
よっすぃ〜負けんな!松浦も負けんな!!
126 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)15時55分04秒
ずっと、ロムってたのですが我慢できなくなりました。

ヤグチさん、最高!あの思い込みと暴走力。天晴れでございます。
自分の中で最愛のレストラン矢口(すいません。勝手にこう呼ばせて頂いてます)
に迫る勢いで上昇中です。他のみんなが敵に廻っても付いて行きますぜ。
天才キャメラマンヤグチさん、愛してます。投げキッス頂戴(w
127 名前:すなふきん 投稿日:2001年08月30日(木)16時30分23秒
パソコンの前で顔をニヤニヤさせながらいつも楽しく拝見しています。
自分も更新の早さを見習わなければ……。
これからも、応援してます♪
健気な松浦がちょっとツボ……(w
128 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)20時51分09秒
矢口〜!!
頼むから2人をそっと見守ってあげてください(w
それより梨華ちゃんは何処へ?
でも行進矢口は好きだったりする(ニガワラ
(〜^◇^〜)<圭織にはもう交信させないよ!キャハハハ
( ゜皿 ゜) <カオリガガンソナンダカラ!
(;0^〜^0)<更新出来るならだれでもいいでしょ…
とか言いつつ( ゜皿 ゜) さんの交信を待ってたりする(w
129 名前:名無し読者はリンリンリン 投稿日:2001年08月31日(金)02時01分47秒
あーあ。これでよっすぃーは世間的には「たらし」決定ですね。(w

このスキャンダルは( `▽´)的にはうれしいのかも。
「既成事実にもちこんじゃうわっ!」みたいな(もちこまんでええ)。
130 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月31日(金)03時43分54秒
迷キャメラマン“ヤグチ”頑張ってますね〜
かなりのいしよしファンを敵にまわしつつ…。(一部の熱狂的ファンは除く)(w

ところで、作者さんの心をボンから奪い去ったあの娘の電撃参戦はあるのでしょうか?
密かに期待してみたり(w


131 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月31日(金)19時45分29秒
経営者さんの書く矢口はどんなに悪者にしようとしても可愛い!
つーか矢口書くの大好きでしょ?実は。
132 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月01日(土)08時45分42秒
悪矢口の好きなどうしようもない俺…
133 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月02日(日)19時04分24秒
タラシ決定ですねぇ〜吉澤は…。何もしてないのに…同情(ワラ
そろそろ石川との進展も気になるトコロ。
それにしても矢口面白すぎ!!
134 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月03日(月)04時54分25秒
つーかこの場合隠れてるけど
松浦のせいでもあるんじゃ…なんて思う矢口オタの俺。(笑
135 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)15時49分05秒
CHAPTER28 〜お人好しも、ほどほどに〜

ガタンゴトン。
やや規則的に鳴る、電車の音。
そしてその音を、いつもの表情、“無”で聞いている後藤。
今にも眠そうな目を、必死にこすっている。

電話するから、と言ってから2時間後。
一旦家まで送ってもらって、そしてそのまま家に帰らず事務所の寮へと向かう。
電話は、寮の前に来てから。
それで、寮のチャイムを押して、驚かせるんだ。
「へへっ」
その時の様子を想像して、つい声に出して笑ってしまった。
突然笑った女の子に、何事?、と振り向く乗車している人間。
やべ、と1つ咳払いをして、何事もなかったかのように装う。
注目されたら、バレる可能性もあるし。
無表情なんだけど、心の中ではヒヤヒヤ。
ごまかすように、下を向いていた目を横へとずらす。
そしたら、ある見覚えのある子が目に入った。

電車に乗れないってワケじゃないんだから、こうやって一緒の車両にいるのもおかしくはない。
けれど、様子がおかしい。
あれって、泣いてるんじゃない?
そんな疑問が湧きあがって、

「……梨華ちゃん?」

と、声をかけてみた。
136 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)15時50分13秒
――

うぇ〜ん、と泣き続ける石川梨華。
これが、石川の部屋じゃなかったら、大注目を浴びていただろう。
あのまま駅のベンチで座っていなくて、本当によかった。
けれど、泣き止んでくれたら、もっとよかったのに…。
いちーちゃんに逢いに行く時間の予定が、どんどん遅れてしまっている。

「あのねぇ、梨華ちゃん…。そんな泣くくらいなら、どして先帰ったりなんかすんの。
割り込んで、一緒に観覧車乗ればよかったんじゃんか」
「だ、だってだって、うー……」
「……もー、ちょっとは泣き止んでよぉ」
人に泣かれるのは、めっぽう弱くて。
どうやって慰めていいとか、どんな声をかければいいのか、判らない。
137 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)15時50分58秒
「ぅっ、ヒック……」
「………大丈夫?」
よしよし、と、背中を撫でる。
コクコク、と頷いているが、もうしばらくは喋れないだろう。
石川が落ち着くまで、背中を撫でてやる。

時間はもうすぐ9時半に差しかかろうとしていて。
石川の途切れ途切れの会話を聞いていると、何も知らせずに勝手に帰って来たと言う。
いくらなんでも、もう帰ってるだろう。
けれど一応、報告の連絡だけでも。
石川に、自分でした方がいいよ、と言ったんだけど。
フルフル、と首を横に振ったから。
代わりに、どうしたワケかこのワタクシが。

大分前に訊いた携帯番号。
ピピッと素早く操作して、呼び出す。
コール音は、6回半。
少々乱暴な言い方の、吉澤の声が電話越しから聞こえてきた。
138 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)15時51分29秒
「もしもしー」
―「もしもし。どしたの? ってか、ちょっと今話してるどころじゃないんだよね」―
「判ってるよ。だからこうして電話したんじゃん」
―「?」―

ザワザワと騒がしい電話の向こう。
まさか、と思って聞いてみた。

「……よっすぃーって今、まだ遊園地いる?」
―「……え、なんであたし、あわわ…じゃなくって!……オレが遊園地いること知ってんの?」―

あああ。
知らない、あたしゃ、知らないよ。
こんなことなら、梨華ちゃんに声かけるんじゃなかった。
この電話を通して、吉澤からの怒号が聞こえてくるかと思うと、気が重い。
けれど、引き受けてしまった手前、後には引けない。

「………今あたし、梨華ちゃんの家に梨華ちゃんといるんだ……」

きっかり五秒置いて、吉澤の「はあぁっ!?」と言うオーバーすぎる位の驚きが返ってきた。
139 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)15時52分42秒
「ちょっと待てよ! なんで家帰ってんだよ! なんで何も言わないで帰るんだよ!!」
こっちは、一生懸命、かれこれ1時間近くも探し回って。
それなのに、家に帰ってる、だって?

―「そ、そんなの、あたしに怒ってもしょうがないじゃん!」―
「んじゃあ、梨華ちゃんに代わってよ! そこにいるんだろ!?」
―「代われたら、あたしからよっすぃーに電話なんかかけないよっ!!」―

後藤の意見はごもっとも。
だけど吉澤は納得いかないワケで。

「なんで、かけれないの。なんで、代わってくれないんだよ」
―「…………そんなの、こっちが聞きたいよ」―

電話の向こうで、はぁ、とため息。
そしてその向こう側から、すすり泣くような声が聞こえてきた。
………なんで、泣いてんのさ。
………なんで、出てくれないんだよ。
こっちが泣きたいよ。
140 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)15時54分03秒
「……吉澤さん、石川さん今、家にいるんですか…?」
恐る恐る尋ねる松浦に、うん、と頷く。
詳しいことは言えない。だって自分も判らないのだから。
判っているのは、家に帰っていることと、後藤と一緒にいることだけ。
「………とりあえず、梨華ちゃんここにいないって判ったし。
もう、家帰ろう……送るよ」
女の子の夜道に1人は危ないから。
それは吉澤にも言えることなんだけれど、今は男の子なんで。
これくらいの優しさくらいは大目に見てくれるだろうと信じて。
今すぐ石川のマンションに飛んで行きたい気持ちは山々なんだけど、
それをぐっとこらえ、最後の仕事を先にこなすことにした。

――

「はぁ、耳が痛いよ、耳が…」
いくら電話越しだからって、あんなに怒鳴らなくても。
しかも、本人じゃないのに。
完璧な、第三者なんだけど。
141 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)15時54分36秒
「……あのさぁ、いいかげん、泣くのやめたら?
もうすぐしたらよっすぃー、こっち向かってくるだろうし」
「うー……」
「もぉ、どうして帰って来たリなんかしたのぉ。
それじゃ、亜弥ちゃんに負けを認めたってことと同じだよぉ?」
「うー……」
「うー、って…。唸ってても、判んないって。
……………どーして、2人で観覧車乗るのオッケーしたの?」
「それは……」
自分だってオッケーなんかしたくなかったけど。
でも、でも。

「もし私が亜弥ちゃんの立場だったら、一緒に乗りたいもん……」
「………は?」

いくら、人がいいっていったって。
何も、違う人の立場になって考えなくてもいいじゃん。
そしてその人の立場になってオッケーしたのはいいけど、
なんだか後で妙に哀しくなって、虚しくなって、帰ってきた、と。
全然辻褄があってない。
………それが、石川梨華、と、いう人。

「あ、あのね、恋ってのは、競争なんだよ…?
そんな、ライバルの子にいちいち同情してちゃ勝てないよ……」
「うっ…」
こりゃあ、2人の仲が進展しないワケだ。
後藤は1人、妙に納得した。
142 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)15時57分14秒
(〜^◇^〜)<遅くなったけど行し――
( ゜皿 ゜)<交信デス
(;〜^◇^〜)<か、圭織っ!?(アセ

(〜^◇^〜)さんが行進をサボっている間に、( ゜皿 ゜)さんの修理が終了したようです。
代理も今日で終わりかどうか、それは(〜^◇^〜)さんの頑張り次第。
え、なんでサボってたのか…それは…。
(〜^◇^〜)<あれッスね。FFって、おもしろいッスよね!

たくさんのレス、本当にありがとうございます。マジで嬉しいです。
にしても、512文字制限は厳しいんだって!(泣
本編共に読みにくくて、すいません。
143 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)15時58分48秒
>>124
(〜^◇^〜)<キャハハハ! 撮っちゃったよ!
>>125
悪者になっちゃましたか、ヤグチさん。
そんなヤグチさんに負けないように、吉澤達も頑張らせたいと思います。
>>126
(;0^〜^0)<愛のキューピットて……全然じゃないですか!

いやぁ、この矢口、書くのすごい楽しいんです。
126さん最愛のレストラン矢口(どうぞどうぞ、呼んでください)よりも、楽しいんです。
力強い応援に、ヤグチも大喜びのようです。
(〜^◇^〜)<126さんありがとー! ヤグチも愛してるよ、ちゅっ
>>127
ども。
今回は(〜^◇^〜)さん行進サボってしまいましたが、また座を奪うためにこまめに行進するらしいんで
覗いてくれると嬉しいです。
何気に松浦を応援してくれてる人が増えて、こっちとしてはちと複雑です(w
>>128
(〜^◇^〜)ちっ……戻ってこなくてもよかったのに…

トラブルメーカーの矢口さんは、見守るのは不得意なんです。勘弁してやってください。
と、フォローに走ってしまう、自分。
石川の行き先、圭織の交信、すっきりできたでしょうか?
144 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)16時02分03秒
>>129
たらしですね。完璧に(w
にしても毎回ハンドルネームには笑わさせてもらってます。
前回のゴットハンドが、個人的にめちゃきました…。
>>130
(〜^◇^〜)<何言ってんの! ここにいるじゃん!

敵に回しまくってます。この人は。
それでも一部の熱狂的ファンの人がついてきてくれることに喜びを感じながら(w
OじゃなくてAのあの娘ですよね……。
出したいんです。書きたいんです。でも情報が足りないんです…(ウウッ
>>131
ありがとうございます。こんなぶっ飛んだ矢口を可愛いと言ってくれて。
…バレましたか。
ええ、確かにおいらは矢口書くの大好きです(w
145 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月04日(火)16時03分30秒
>>132
(〜^◇^〜)<どうしようもなくないよ! もっと自信持っていいんだよ!
        大丈夫、作者だって実は1番好きだったりするんだから!
>>133
確かに何もしてないのですが、まあ、多少自業自得も入ってたりもします(w
これを乗り越えたら、大きな進展も間違いじゃないかもしれません(ニヤッ
前回の矢口は勝負に出たんですが、割といい反応をもらってほっとしてます。
>>134
言うとおり、松浦のせいでもあります(w
(〜^◇^〜)<もっとヤグチを応援して〜
146 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月05日(水)03時34分39秒
ホントみんなお人好しすぎです。
その御陰で主人公カップル(?)だと思われるいちごまはちっとも出て来やしない!!(w
でも、いしよし側の方の話も登場人物が多彩で面白いんだよな〜(w

>出したいんです。書きたいんです。でも情報が足りないんです…(ウウッ
作者さんのモー想の中での性格でいいんじゃないっすか?(w
147 名前:名無し読者ってやらせ? 投稿日:2001年09月06日(木)01時31分36秒
あ、後藤がやっと出てきた。
いちごまもトラブルに巻き込まれてしまうのでしょうか。
よっすぃーに振られた後藤がいちーちゃんに…みたいなうわさが流れるとか…
( `.∀´)<ってゆーか、あたしの出番はどうなってんのよ
( ^▽^)<そういえば動き出されたんですよね。すっかり忘れてましたけど〜

え゛?ゴッドハンドってだれ?(とかいってみる)
コテハンのようなそうでないようなちゅうーと半端を目指してます。
(そんなんめざさんでええ>俺)
148 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月07日(金)21時17分23秒
CHAPTER29 〜電話待ってます〜

午後11時前。
ベッドに寝転がりながら携帯を握り締めてから、約2時間ほど。
愛しい人からの電話はまだかかってこない。

「なんだよ後藤のヤツ……そっちが電話するからって言ったのに……」
明日はロケらしくて、朝が早いのだ。
予定では、起きるのは四時。
だから、一刻も早く寝たいのに。
絶対起きててね、という可愛らしい彼女のお願いを破るワケにはいかない。
「こっちからかけようか」
いやいや、なんだかものすごく、待てない短気野郎みたいで嫌だ。
くそ、でも早く寝たいぞ。
くそ、でも声聴きたいぞ。
ブツブツと、2つの意見がぶつかり合う。

そんなところに、携帯の呼び出し音が。
飛び起きて、ディスプレイに出されている名前も確認もせず、出る。
しかし、あまりがっついて出ると、いかにも電話を待ってたと思われるから。
クールを装って、必死に取り繕う。
149 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月07日(金)21時17分57秒
「……お、おう。遅かったね」
―「え? あぁごめん。ちょっと飲んでてなぁ」―
「…………あ? 飲んでた?」
―「ん? え、飲んだらアカンの? そりゃ、明日の予定の電話すんの忘れてたけど…」―
「………………」

耳から携帯を離して、ディスプレイを確認。
『裕ちゃん』と、そこには映し出されていた。

「ははは……」

……だよね。なんで関西弁なのかなって思ったさ。
なんで、飲んでるんだよと思ったさ。

…………これじゃ、馬鹿丸出しだ。
150 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月07日(金)21時18分30秒
――

ホント、馬鹿丸出しじゃん。
必死こいて、汗かいて、走り回って。
1人で一生懸命で、これじゃ、馬鹿丸出し。
松浦を送って、そこから電車で帰る途中、吉澤はそんなことを考える。

ふーっ。
電車の中で、ため息1つ。
時間が時間のため、車両には数えるほどしか乗っていない。
吉澤がいる車両は、自分を含めてわずか4人。
電車の中はめちゃくちゃ静かで。
そのおかげで、少し苛立っていた気持ちを落ち着かせることが出来た。

「……梨華ちゃんは、あたしと亜弥ちゃんをくっつけさせたかったのか…?」
どうして黙って帰ったりしたのか。
そのワケを、自分なりに解釈してみる。
「それか……泣くほど気分が悪くて、待ってるのもしんどかったから帰ったのか……」
それだったら、電話に出ない、出れない理由も判る。
けれどイマイチピンと来ない。
「仕事ぉ…? いや、それだったらごっちんと一緒にいるワケないよな…」
前髪をクシャクシャ掻きながら、1人推理。
車両にいる3人の視線は、ブツブツ言ってる怪しいヤツ、吉澤へと向けられている。
151 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月07日(金)21時19分28秒
「一体なんで帰ったんだよ、ホント……」

それは、アンタがオカシイからじゃないのか?
3人の心の中は、そんな気持ちでいっぱいだった。

――

時刻はもうすぐ11時45分。
日付が変わるまで、あと15分。
背後にカメラマンが潜んでいないかどうか確認しながら、マンションへと足を進める。
一旦寮に帰ろうと思ったんだけれど、とりあえず今は石川の方を優先。
逢いたいし、何より心配だし。
早歩きから小走りに変わり、最終的にダッシュに変わる。
そしてマンションの入り口まで来てみると、そこに後藤がいた。
152 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月07日(金)21時20分07秒
「こんばんは」
「こ、こんばんは。梨華ちゃんは?」
汗ビッショリの吉澤の問いに、人差し指を天井へと向ける。
「……部屋にいるの?」
「うん」
「ありがとっ」
部屋に行くには、この立ちはだかるドアを開けてもらわなければならない。
それには、石川の部屋番号を押して、石川にドアを開けるように操作してもらわなければ。

――が。

「梨華ちゃん、今日はよっすぃーに逢いたくないってさ」

………なんですと?
こっちは、一生懸命走ってやってきたのに。
逢いたくない、なんて。
「………ね、ねぇ、オ、オレ、何かした?」
「…………いやぁ、わかんないっす。
でも今日は気分も悪いままだし、自分になんか自己嫌悪に陥っちゃってるから、行っても無駄だよ」
「自己嫌悪ぉ? なんで?」
「言ったこと、今頃後悔してるんだよ」
帰って泣くくらいなら、一緒に観覧車乗ればよかった。
2人で観覧車乗ってる間何話してるんだろうと考えると、悲しくなってきちゃって。
相手の立場を考えて恋が出来るほど、恋は簡単なものじゃない。
後藤に言われて、観覧車を乗らなかったこと、勝手に帰ってしまったことに、激しく自己嫌悪。
153 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月07日(金)21時20分54秒
「………でも、なんでごっちんがここに? そんなに梨華ちゃんと仲良かったっけ?」
「んー…、仲は良くないけど、同じ事務所だし。声をかけた責任があったし…」
はっきりと仲は良くないと言う後藤に、吉澤はちょっと苦笑い。
別に、わざわざ仲めちゃくちゃいいよぉ、と、大袈裟に言う必要はないけれど。
「なんかよく判んないけど……おもしろいね、ごっちん」
「え?」
「いや、別に」
「なんかよく判んないけど……変だね、よっすぃー」
「え?」
「いや、別に」
「「……………ぷっ」」
見合って2人、笑い合う。

しばらく笑っていたら、ふっとマンションの中にやる時計が目に入った。
「…あ、もう12時だ」
「えっ?」
吉澤の呟きが聞こえ、同じように後藤も見上げる。
「ほんとだぁ」
感想を述べていたら、そこに家からの電話。
何やってんの、早く帰って来なさいという、母親からの帰れコールだ。
154 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月07日(金)21時21分31秒
「……怒ってんの?」
「…うん。仕事終わった時今から帰るって言ってから、3時間くらい経ってるし。
梨華ちゃんちいるって電話かけてなかったからねぇ」
そりゃあ、母親だったら、心配になるのも無理はない。

「……さて、帰りますか」
「あ、駅まで送ってくよ」
「いいよ。また写真撮られたらお互い困るし」
「あ……」
バイバイ、と言って消えて行く後藤。
前回のことがあるため、無理にでも送って行くことができない。
バイバイ、と、同じように手を振り返すだけ。

「………ふーっ」
どでかいマンションを、石川の部屋辺りを見上げ、息をつく。
「……逢いたいんだけどなぁ」
今日は、無理なのかな。
小さく呟いて、マンションを背に、そこから100m近くの寮を目指して歩き出した。
155 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月07日(金)21時22分11秒
後藤はというと、道路でタクシーをつかまえ、ぐっすり。
石川を相手に、疲れたんだろう。
いつも以上にぐっすり眠っている。

そして、市井はというと。

「……おい、完全放置かよ……」

いくら今まで冷たくされてきたからって。
反対の立場になって、後藤がどんな想いでいたか身をもって体験している市井であった。
156 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月07日(金)21時22分45秒
( ゜皿 ゜)<(隣にいる矢口を押し退け)オヒサシブリノ交シ――
(〜^◇^〜)<(言いかけた飯田の機械の一部を取り)させるかぁ〜!! 行進で――
川’ー’川 <(そしてそんな矢口の上から突如現れ)更新………です
(;゜皿 ゜)(;〜^◇^〜)<た、高橋っ!?

降臨してきた天使川’ー’川 さんの登場です。
どうやら、本編には出れそうにないから、目立てるとこには目立っとけというヽ^∀^ノさんの指示らしいです。
(;〜^◇^〜)<紗耶香っ! てめー余計なことをっ!!
( ゜皿 ゜)<カオリノコーナーハ、高橋ナンカニワタサナイ(メラメラ
157 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月07日(金)21時23分17秒
>>146
(〜^◇^〜)<てへっ、ちょっとFF]のティーダくんに浮気をね…

いちごまの2人は、陰が薄いようでして(w
どうもいしよしというお馬鹿なキャラお2人さんに負けがちです。
いしよし側はまだ少し出てきますよ。

高橋、一応出しました。
交信( ゜皿 ゜)ファンの方と行進(〜^◇^〜)ファンの方には怒られそうだけど(w
( ‘д‘)<うちも怒るっちゅーねん!! 愛じゃなくて亜依出せやゴルア!!
>>147
やっと出てきました、後藤さん。
いちごまはトラブルに巻き込まれてしまうどころか、出番がなくて(w
(〜^◇^〜)<圭ちゃんの出番はまだだよ。その前にヤグチだぁ!
次回は矢口の過去(?)に迫るってな感じで。
保田さん、もうちょっと待ってくださいね。

>コテハンのようなそうでないようなちゅうーと半端を目指してます。
毎回笑ってしまうので、楽しみに見てます。
158 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月08日(土)01時00分02秒
http://www.geocities.co.jp/MotorCity-Rally/7938/0c28.jpg(転載なんだけど)
私の中でここの吉澤くんのヴィジュアルイメージはコレ!
159 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月08日(土)03時06分10秒
徐々に市井がヘナ化してるような……気のせいかなぁ〜(w
いちごまが日の目を見る時をマターリ待ってます。

高橋をこんな形で出しますか〜
おかげで抗争勃発ですが、いい方法がありますよ!!
毎日、3人それぞれに更新させるんです。要は1日3回更新すればいいんですよ!!
簡単なことです(爆)
160 名前:ぐれいす 投稿日:2001年09月08日(土)19時37分32秒
せつないいしよしがなかなか……
後藤の放置っぷりに笑ったよ!!
161 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月10日(月)00時03分03秒
CHAPTER30 〜名キャメラマン矢口〜


「……んー………」
ふかふかの、ダブルベッド。
身長145cmの小さな身体の矢口真里には、あまりにも大きいベッド。
その大きさをごまかすように置かれたというか、抱かれたぬいぐるみ。
大好きな、くまのプーさんのぬいぐるみ。
しつこくナンパしてきた男が、買ってあげると言うから、買ってもらった。
けれどもちろん、ただ買ってもらっただけ。
買ってくれるを前提に呑んだ条件を実行する前に、お得意の金的蹴りで男を抹消したから。

「……っ、………」
と、さっきまで安らかな顔をして眠ったいたのに、急に険しくなる矢口の顔。
「ん゛〜……ん〜……」
大好きなくまのプーさんのぬいぐるみに顔を埋めて、何やら唸る。
悪い夢、嫌な夢でも見ているのだろう。
そして、そんな最悪な夢から醒ましてくれるのは、これ。

『起きろ! スクープだ!! 起きろ! スクープだ!!』
162 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月10日(月)00時08分09秒
「何ぃ〜!? スクープだってぇ〜!?」
ガバッと勢いよく起き上がり、悪い夢もあっという間に醒めた。
醒ましてくれたのは、録音機能付きの目覚まし時計に入っている、
“自称”『名キャメラマン矢口様の、世にも響く美しい美声』だ。
どこかズレてる所ばかりの名キャメラマン矢口の朝は、おかしい所、満載だ。

前、石黒が泊まりに来た時に言われたことがある。
『アンタ、よく毎日こんな目覚ましで起きれるね。
毎日かけてるんだから、それが目覚ましの声だって判ってるでしょう』と。
その疑問はごもっともで。
いくら職業がカメラマンで、スクープ撮るのに命を懸けているといっても、
毎朝毎朝、自分の声で叫ばれる嘘に、そんなよくひっかかれるな、と。
それに、もし自分が録音機能付きの目覚まし時計を持っていて、職業がカメラマンだったとしても、
そんな目覚ましは入れたくない。
入れたところで、「こんな朝っぱらから、スクープスクープってうるさいんだよ!」と突っ込み、破壊してしまうだろう。
……昔ブイブイ言わせていた頃の記憶が甦ってきそうだ。
163 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月10日(月)00時09分28秒
「……んなこと言ったってさぁ、ヤグチはやっぱスクープって言葉に弱いんだよねぇ」
石黒に質問されて答えたセリフを、もう一度言ってみる。
以前は言うと、更に返ってきたが、今は返ってこない。
「……………歯、磨こう」

1人でいると、独り言が多くなる。そうなったら、おしまいだよ。
小学校が何かの時に、名前も忘れた友達に言われた言葉。
虚しくなって、歯を磨くことでごまかす。
カメラマンは歯が命、そんなワケはないのだが、矢口の歯はピッカピカ。
けれど、昨夜現像するために夜も遅く、明け方近くまで起きていたので、
アイプチで多少ごまかしたくりくりっとした目の下は、小さなクマ。
「……ぐぇ、さいあくぅ」
これも全部、さっき見た夢のせいだ。

以前受けた、あるオーディション。
その時の光景が、そのままそっくり夢に見た。
むかついた。
164 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月10日(月)00時11分01秒
自信たっぷりで挑んだ、最終選考。
唄もキャラも、ルックスも……とまではいかないけど、他のヤツラたちより自信あったんだよ。

――なのに。
――どうして。
――許せない。

けれどそのおかげで、こうして今の職業に巡り合えたりもしたのだけれど。
当時のその時の気持ちは、ものすごくショックでショックでたまらなかった。
「……でも、もう忘れたハズなのに……」
むしろ今は、感謝もしている。
そりゃやっぱりどこかでは許せないから、追っているんだろうけど。
それでも、最初は憎しみでやっていたのに、今はもう楽しみに変わっているから。
「……………なんで今頃ぉ?」
ガシガシと、最近切ったショートの髪を少し乱暴に掻く。
どうして、もうあれから1年以上も経った時のことを、夢に見るんだ。
今、この時ではまだ判らなかった。

「あ、もうそろそろかな」
テーブルの上に置いた携帯電話に出ている時計を見て、確認。
早く行って、編集長に見てもらおう。
この、名キャメラマンヤグチ様が撮った、決定的瞬間を。

ダダダダ、と慌しく部屋の中を走り、玄関に。
そしてやっぱりプーさんのキーホルダーがついた鍵をロックにして、編集部へと急いだ。
165 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月10日(月)00時12分12秒
――

「おい、コピーまだ出来てないのか!」
「ちょっとぉ、誤字あるじゃない。ちゃんと確認してよー」
週刊誌“センチメンタル♂向き”の編集部。
ごたごた、わたわた、ざわざわと、部屋の中は様々。
その騒音の中、矢口はキョロキョロと、すれ違った人や目が合った人に挨拶しながら、お目当てを探す。
…………お、いた。
連日の徹夜明けでやっと仕事が終わったのか、デスクに突っ伏している石黒が。

眠くて眠くてやってられない。
テンションなんか、もうどん底に低くて。
イライラして、近くにある物たちを、蹴り倒したくなるくらい。
しかし、20歳を過ぎて、常識を判っている石黒には、そんなことは出来ない。
こんな時少し、10代に戻りたいなぁ、と思う。
だけれど、同じ10代でも、“アイツ”みたいなのにはなりたくない。
あんな、いつもハイテンションな“アイツ”みたいなのには。
166 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月10日(月)00時13分15秒
「うぃ〜す、彩っぺ! 生きてるかぁ〜!?」

…………“アイツ”だ。“矢口”だ。
噂をすると、なんとやら。
ハイテンション矢口のご登場。

「………何? 何しに来たの…?」
「冷たっ! 何、ヤグチ、ここに来ちゃいけないワケぇ〜?」
「……っていうか、うるさい……テンション高い……」
「彩っぺはテンション低いねぇ。朝こそ元気にいかなきゃ」
ムカッ。
懐いてくれるのは、嬉しい。
けれど、あまりにそれがしつこいと、頭にくる。
ちょっと、しつけを甘やかし過ぎたか。
キャハハと可愛い子犬は、すーぐ調子に乗ってしまうから。
167 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月10日(月)00時19分04秒
「誰かさんは、お肌を綺麗に保つために睡眠はバッチリかもしれないけど、
こちとら、かれこれここ3日ほど、睡眠というものを取っちゃいないワケ」
矢口より大きな、目の下のクマ。
もう、あまりにも身体が休息を取りたくて、ちょっとまばたきするだけで、そのまま持ち上がらないくらいにまで。
「えー。ヤグチだってバッチリじゃないよ。今日、夢見ちょー悪かったし」
ほらぁ、見てよこのクマぁ。
石黒のデスクの上に置いてあった鏡を断わりもせず取って、石黒に比べたらまだまだ可愛いクマを指差す。
といっても、化粧でほとんど、というか全然、判らないのだけれど。

「でも、夢見たってことは、寝たんじゃない」
「まぁね」
えっへんと、胸を張り。
ごっつんと、頭を殴られた。
「だから、こっちは寝てないっていうのに、えばるなっての!!」
168 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月10日(月)00時19分54秒
ブー、と膨らませた、2つの頬。
小さな可愛い唇は、むっと尖がらせている。
そして、焼けすぎてもなければ白くもない健康的な手は、先ほど殴られた頭の上。
簡潔に説明をさせてもらうと、拗ねているのだ。

「……ったく。何よ、一体、何しにきたの? しかもこんな朝から」
拗ねているのに帰ろうともせず、離れようともしない矢口。
そんな矢口が隣にいる限り、多分、いや絶対、眠れやしない。
「……………何とか言いなさいよ」
うらうら、と、尖った口の下唇を揺らす。
態度は悪いかもしれないが、これが、石黒なりの機嫌の取り方。
そして矢口も矢口で、構い始めてくれたことが嬉しいのだ。
油断して、膨らませていた2つの頬の空気を抜いて、つい微笑ってしまった。
しょうがないなぁ、とちょっと無理して呆れた顔を作って。
スクープを持ってきたんですわ、ダンナ。
と、ワケの判らない言葉を発した後。

「………『ゴマキの妹分松浦亜弥、姉貴分の彼氏を略奪愛!?』ってなカンジはどうッスか?」

いつもの調子でそう言って、数枚のPHOTを石黒の目の前へと置いた。
169 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月10日(月)00時21分44秒
(〜^◇^〜)<全国のヤグチファンの子おまたせ〜! 行進だぴょ〜ん!!
(;゜皿 ゜)<シ、シマッタ、デオクレチャッタ…
川;’ー’川 <こ、ここここ更し………(緊張して言葉が出ない

本編で頑張ったヤグチが、行進でも頑張ってくれました。
( ゜皿 ゜)さん復活、川’ー’川 さんの緊張が解けるのはいつになるのか!?
それは全部、おいら次第(ニヤッ

つうか、MUSIX高橋可愛すぎっす。以上。
170 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月10日(月)00時23分35秒
>>158
良い感じっすね、マジで。
ただ、何で驚いたような顔をしているのか気になります(w
>>159
(;〜^◇^〜)<な、なんでワッカさん……。や、まぁ、いいけどさ
         てっきり、可愛い子好きの紗耶香はリュックかと思ったよ
( ´ Д `)<………可愛い子好きなのは、やぐっつぁんも同じじゃないの?

へナ化しているのは、市井じゃなくむしろ吉澤です(w
いちごまって、書くの難しいんですね…。なかなかいいように書けない…。
ほんと、マターリ待っててくれると助かります。

後から思ったんですが、高橋出したのは失敗でした。
飯田さんと矢口だけにしたらよかったと、今頃後悔大です。
1日3回更新………倒れそうです(w
>>160
@ノノハ@
( ‘д‘)<ぐれいすさん、もっと言ったって

しばし、切ない(かどうかは判断しかねますが)いしよしが続きます。
(;´ Д `)<ほ、放置しようと思ってしたわけじゃないんだよいちーちゃん!(アセ
ヽ^∀^ノ<………………(プイッ
(;´ Д `)<あああ………(アタフタ
171 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月10日(月)03時19分15秒
まさにヤグチファンのための話でしたね。
個人的にはヤグチの『世にも響く美しい美声』入りの目覚ましはぜひ欲しい一品です(w

>飯田さんと矢口だけにしたらよかったと、今頃後悔大です。
確かにまだよくわからない高橋を、あの二人に立ち向かわせるのは酷というものですな(w
172 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月11日(火)14時46分17秒
ひっそり宣伝。
こっちの方がちと詰まってるところなんで、気分転換にいくつか短編書きました。
もちろん、さやまりで。
森版の「189小劇場」に載せております。
あえて、直リンを張らずに。
見てやってもいいなぁ、と思う方は、見てやってください。
173 名前:森の13 投稿日:2001年09月11日(火)22時02分20秒
むこうHMなしみたいなのでこちらに…
新しい「さやまり」作家さん見つけたと思ってウキウキしてたのに〜
ちょっと残念(w
経営者さんなら「ハッピーエンドのリク」意味なかったですね(w
こちらの「いちごま」もよろしく。。。
174 名前:126ヤグチ狂(w 投稿日:2001年09月13日(木)17時46分17秒
『世にも響く美しい美声』の目覚ましに毎朝騙されるヤグチさん
時間を30分ほど進めた目覚ましに毎回ビックリして起きている自分といい勝負(w
175 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月17日(月)06時59分08秒
続きが読みたいなり
176 名前:ななし 投稿日:2001年09月18日(火)21時01分43秒
まだかなぁ・・・
177 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月22日(土)03時03分18秒
CHAPTER31 〜どうしようもないこの想い〜

都内のスタジオ。
床には機材やらコードやらがめいっぱいあって。
ジャーマネ飯田圭織さんは、その度にこけてしまう。
「あーあ。またアザできちゃったよ」
腕のところ、赤くなったところを見て、一言。
アザは、腕だけじゃない。脚にもばっちりある。
ちょっと暇があれば交信して、気付くとアザが出来てたこともしばしば。
この飯田といつも一緒に行動するタレントと共に、ドジだ。
「……さて、相方は……」
そんなドジな飯田の相方、タレントの石川梨華さんは。
スタッフさん達が集まる中心の中だった。

「梨華ちゃ〜ん、もすこし右上向いて、笑ってくれる?」
来年の、カレンダー用の撮影。
そのためのスナップを、いくつかカシャカシャと。
――が、しかし。
どうしたことか、石川は笑ってくれない。
「……おーい、今俺が言ったこと聞こえてる?」
レンズ越しに見るのを止めて、カメラマンの人は石川を見る。
聞こえてます、と返事はするが、言う事が聞けない。
……訂正。
笑ってくれないのじゃなく、笑えないのだ。
178 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月22日(土)03時03分53秒
「…………ちょっと15分ほど、休憩しまーす」
いくら言っても直りそうにもないので、気分を入れ替えるための小休止。
優しいスタッフさんが、大丈夫?と声をかけてくれるが、曖昧な笑いで応えるだけ。
それほど石川の精神状態は、あまりにも悪かった。

「うぉーい、どーしたどーした」
少し離れていたところで見守っていた飯田が駆けつける。
「石川、体調でも悪いの?」
スッと前髪をどけて、額に手をやってみる。
………熱はない。
「………んじゃ、何かあった?」
しんどくて笑えないなら、それもまあ仕方ない。
そこで無理して体調崩されては、こっちとしてはもっと困るし。
けれど、原因がそれじゃないとしたら。
「あのね、一応プロなんだから。何があったかしんないけど、仕事はちゃんとしなきゃ」
「はい……すいません」
「まあ、大体予想はつくけどさ」
石川が、不調の原因。
多分、全部あの子が絡んでるんだろう。

「……ケンカでもしちゃった?」
顔を覗き込む。
覗かれた石川は、顔を反らして。
「そんなんじゃないです………」
179 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月22日(土)03時05分26秒
――

「そんなんじゃないんなら、一体何が原因なんだよ」
昨夜の出来事を、市井に愚痴る。
このもやもやした気持ちを発散したくて言ったんだけど、どうやら市井も機嫌が悪いらしい。
「ってかさ、フツー石川置いて、松浦さんと観覧車乗る?」
「だって……、梨華ちゃんが……」
「いくら石川が言ったとしても、市井は絶対乗らないね」
断言された。
ちくしょう、機嫌が悪い時に話すんじゃなかった。
いつもは親身になって聞いてくれるのに、今日は突き放されてばっかり。
甘えたの吉澤には、少々つらい。
「ぜ、絶対、乗らないって断言できますか? 絶対傍にいるって断言できますか?」
せめてもの抵抗で、ちょっとビビリながらも反論してみる。
そしたら市井は、考えることもなくさらっと言って。
「出来るよ。っていうか、誰か他の子が来た時点で、言うもん。
悪いけど、帰ってくれるかなって」
「…………………」
やっぱり市井さんはかっけーです。
180 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月22日(土)03時06分13秒
「あたしも、市井さんみたいになりたかったす…」
「なんで」
「や、だってかっけーんですもん。うん」
「かっこよくないよ。っていうか、冷たいじゃん」
彼女はいいかもしれないが、ついて来た女の子にとっては、もう泣くしかない。
いや、ついて来た女の子が、一番悪いんだけど。

「でも、彼女にだけ優しいっての、好きです。見習いたいです」
「アホ」
「んなっ」
なんてことを言うんだ、この人は。
せっかく人が尊敬して、見習いたいと言ったのに。
実際見習おうとも思った。けれど、見習おうとした途端、帰ってしまわれたから。
もちろん、昨日からまだ逢ってはいない。
181 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月22日(土)03時08分19秒
電話、再トライしてみた。
けど何回もトライしたところで、出てくれないのは変わらない。
やっぱり強引でも家に行こうと思ったが、あそこは中から開けてもらわないと入れない。
石川の声を聴くどころか、逢えることすら出来ないなんて。
こんなの、林間学校で、携帯の電話が繋がらない山奥に行った時以来だ。

「つれーなぁ……」
ボソッと、呟く。
毎日聞いていた声。毎日見ていた顔。
それが聞けない見れないというのは、とってもつらい。
自分の中でこんな大きな存在だということを、改めて認識される。
「……頑張れよ。なっ?」
ポンと肩を叩いて、励ましてみる。
だけど吉澤はちょっと目を逸らして、
「市井さんは、この気持ち判んないですよ…」
と、冷たく言う。
本当はこんな言い方するつもりじゃなかったんだけれど、つい。
石川に逢えないもどかしさを感じて、こんな口調に。
謝ろうと思って、顔を市井に向ける。
しかし市井の顔は怒っていなく、反対に悲しそうだった。

「あのさ……ずっと言おう言おうと思ってたんだけど……」
「………?」
「市井さ、後藤と付き合ってんだよね…」
「えっ!?」
182 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月22日(土)03時09分02秒
「ほんとはさ、市井は全然かっこよくもないし、弱い人間で。
どうしてもどうしても声が聞きたくて逢いたくて、しょうがなかった。
心底つらかったし、我慢出来ないことも度々あったし…。
けどそれでも、どうにか気持ち押さえてたけど、とうとう限界がきちゃってさ……。
後藤を裏切ってるのだって、嘘ついてるのだって判ってる。
それでも、どうしても好きで、しょうがないんだ……。
だからもう、全部吐き出しちゃって、付き合うことになったんだけど……」
「そ、そうなんですか……」
確かに、最近暗い表情しなくなったな、と思ったけれど。
まさか、後藤と付き合ってそれで明るくなったなんて、思わなかった。

「………吉澤は、やっぱ反対だよね。付き合うの」
「え……」
唐突に質問をぶつけられ、言葉につまる。
もし、市井が自分だったら。
そう考えて、言葉を吐き出す。
「あたしは……そりゃ、反対なことに変わりないですけど。
市井さんの気持ち、すっごい判る。もし自分もその立場だったら、限界はとっくに過ぎてるよ……」
市井でさえ我慢できなかったんだ。
もし自分だったら、もっと早くにギブアップ。
誰だって、好きな人といつも一緒にいたい。
183 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月22日(土)03時09分41秒
「………吉澤は、市井とは違うよ。
石川はちゃんと、吉澤を想ってくれてる。だから、悩むことなんてないんだよ。
ちゃんと、自分の気持ち伝えるだけで、判ってもらえるんだから」
「市井さん……」
性別を隠している恋と、性別を判ってくれている恋。
どちらがいい、と聞かれれば、当然後者なワケで。
前者は、つらい恋なことに変わりない。

でも、それでも。

好きなものは、もうどうしようもない。

今はもう、取り返しのつかないところまで来ているのだから――。



184 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月22日(土)03時10分15秒
(;゜皿 ゜)<ミ、ミンナゴメン! 高橋ト矢口ヲマッサツシテタアイダニ、
       エライジカンガカカッチャッタミタイ……

本当にごめんなさい。
こっちもかなりの詰まり気味でして……。
FFをやってる間が長かったせいか、すっかり、どうやって書くとかキャラを忘れてました。
それに、娘。の某エロ漫画を落として見たのが、一番の原因だったかもしれません…。
ショック受けるなら、見るなって。
だって、全部読み終わった後からむかつきが一気にきたんだもんよ〜(泣

と、こうやって言い訳したところで、何にもなりません。
間を空ける時は、ちゃんと前もって書き込みますので。
もし今回みたいに何もお知らせがなく日が過ぎていったら、今回みたいな状況かPC不調か、死亡のどれかだと思います。
楽しみにしてくださった方には、大変お待たせしました。
185 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月22日(土)03時10分49秒
>>171
(〜^◇^〜)<ヤダ
(;〜^◇^)<あぁっ、こら加護ぉ! 矢口の声だけじゃなく顔まで真似すんなぁ!

ヤグチはお気に入りですし、意外にもファンが多いみたいなので(w
(〜^◇^〜)<欲しいなら、100万で売ってあげるよ

>>173
新しいさやまり作家さんだったら、こちらもウキウキしたことでしょう(w
森の13さん、新しいさやまり作家さんになりません?(結構マジだったりする(w
>>174
(〜^◇^〜)<いいよぉ、いくらでもしてあげるし

少しドジで憎めない。そんなヤツです、ヤグチは。
ヤグチ狂さんも、そんなヤグチに似て、人生楽しく生きてくれたら嬉しいです(w
>>175
すいません!遅れましたが載せました。
>>176
へへぇ、お待たせしました!ごめんなさい。
186 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)04時36分13秒
お待ちしてました……といっても向こうで十分過ぎるほど楽しませてもらってたんですけどね(w
更新役のキャラも決着がついたみたいですし、心機一転(?)頑張って下さい(w
187 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月22日(土)05時20分08秒
人には知らない方が良いこともある…
後藤は…う〜ん
ポジテブ〜〜〜。
188 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月23日(日)00時42分22秒
CHAPTER32 〜レンタルショップ石川梨華〜

こっそりこっそり。
楽屋を抜け出して、自販機の前まで来て。
持ってきた携帯電話を使って、ある人のところへ電話をかける。

「うー、いちーちゃん早く出てぇー…」
かけながらも、キョロキョロと辺りに目を配って。
誰に怯えてるんだろう、誰を気にしてるんだろう。
答えはあの人しかいない。

―「……ごとー?」―
「あっ、い、いちーちゃんっ!?」

やった、そう喜んだのもつかの間。
「……アンタ、誰に電話してんの?」
「げ、…圭ちゃん……」
声のした方にゆっくり振り向くと、恐い顔(本人とっては普通の顔)した鬼が立っていた。
189 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月23日(日)00時44分31秒
「誰に電話してたかしらないけど、電話かけるんならあたしに一言言ってからかけなさい。
何処行ったのかって、心配になったんだから」
「…………ごめぇん」
言葉と態度だけでも、反省してみる。
心の中は、保田の不満でいっぱいなんだけれども。

昨日自分で、あれほどしつこく電話するから起きてて、と言ったクセに。
このバカ、後藤さんはすっかり忘れてまして。
そりゃあ、色々あったからさー、と言い訳がましいこと言ったところで、納得しない。
そもそも、普通忘れるか?、と。
好きで好きでたまらないいちーちゃんとの約束忘れてしまった自分がとても呆れてしまう。
悲しいね、悲しいよ。
あたしゃ、何やってんだい。何もしてないよ。
あの後家に帰って、ぐっすり睡眠とったんだから。
190 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月23日(日)00時45分13秒
そして、ぐっすり寝て睡眠をとった後藤とは正反対に、ぐっすり寝るどころか、一睡もしてない市井。
誰かさんの約束を守るため、ずぅっと起きていたのだ。
だから、吉澤が思っていたとおり、朝からずっと機嫌が悪い。

「ごっちん、もうすぐでスタジオ着くわよ?」
「うん……」
後部座席に寝転がって。
それを、寝るのかと勘違いした保田は、そう後藤に言う。
いや、寝るつもりだったんだけど、頭が考えるのは寝ることじゃなく、市井のことだったようで。
仕事が終わったら、絶対に絶対に、電話をかけよう。
スタジオに着くまで、ずっとそんなことを考えていた。

――

「だからぁ、何度言ったら判るんだよ! 誰も泣けって言ってない、笑えって言ってんの!」
「っ……すいません」
ポロポロと涙を零しながら、頭を何度も何度も下げる。
休憩が終わってからも、石川の表情はどんどんどんどん暗くなって。
そろそろ、カメラマンさんの堪忍袋も切れかけの状態。
それを必死に、マネージャーの飯田や他のスタッフさん達が宥めている。
だけれども、もう機嫌は直りそうもない。
191 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月23日(日)00時45分50秒
結局撮影は後日という形で、今日の仕事は終了。
石川は飯田と一緒に、スタッフさん達に頭を下げて回って、謝罪をする。
プロとして、失格だ。
判っちゃいるけど、気持ちがどうしても忘れてくれやしない。
帰るんじゃなかった。2人にするんじゃなかった。
だって、こんなに気になってしまう。

「早く仲直りしなよ」
「…………」
優しく声をかけてくれるが、返事のしようがない。
だって、ケンカをしているワケじゃないし。
ただただ、逢って逢わす顔がないだけ。
自分は、ライバルから逃げてしまったんだから。
反対の立場になって考えたというのも、本当は嘘で。
本当は、2人が帰って来た時、楽しそうに帰ってきたらどうしよう、そんなの嫌だ、見たくない。
ライバルから、吉澤から逃げてしまったんだから。
192 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月23日(日)00時46分33秒
よっすぃーは、そんな弱虫以外何者でもないこの私を、愛してくれるのかな。
よっすぃーは、明るい子が好きだって言ってたから。
暗い、いつもネガティブな私、好きじゃない。
だけど、努力してるんだよ。ポジティブに行こうって。
……でもさ、それは努力じゃなくて、性格の問題なんだよね。
自分から亜弥ちゃんの方がよくなったとか、そんなのを聞いたり見るのが嫌で、逃げ出してしまった。
弱虫以外、何者でもないこの私。

「ちょっとぉ、泣かないでよ石川ぁ。な、なんか圭織が泣かせたみたいじゃん」
オタオタと横で焦る飯田。
キョロキョロと周囲を見渡しながら、あやしてはみるが、なかなか泣き止んではくれない。
「わ、わかった! なんか、好きなもの買ってあげるから! ピンク好きでしょ!?
だ、だったら、ピンクの絵の具買ったげる!!」
「い、いりませんよぉ…」
大体、どこでその絵の具を活用するんですかぁ。
ぐずぐずと鼻をすすりながら、涙声のアニメ声で突っ込む。
「じゃ、じゃあ石川考えてよ」
「う……」
そう言われると、出てこない。
しばらく返答に詰まっていると、思い出したように飯田が声をあげた。
193 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月23日(日)00時47分09秒
花畑事務所の、田中義剛社長。
何度か、その事務所のカントリー娘。のメンバー、りんね&あさみちゃんと仕事をしたこともあるし、知っている。
それに、どうやら田中社長は、石川のことを可愛がってくれているようだし。
りんね&あさみと飯田と共に、食事を奢ってもらうことも度々あった。
「どうする? 義剛さんは、なんか話があるから石川も来て欲しいっていうんだけど」
夕食のお誘い。
今日は中華料理で、とのこと。
気分転換に食事でも誘おうと思って言おうとしたら、その事を思い出した。

「とりあえず今日は食事一緒にしてさ、明日吉澤と話したらいいじゃん。
明日は1日オフなんだし」
「……………はぁ」
「で、行く?」
そう聞かれたら、返事は1つしかない。
「……行きます」
194 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月23日(日)00時47分44秒
――

「あ、梨華ちゃんだ」
「飯田さん、梨華ちゃん、こっちです」
約束の時間になって、指定された中華料理屋に入ってみると、
こちらが探すより早く、向こうのカントリー娘。2人が見つけてくれて、手間が省けた。
「りんねさん、あさみちゃん久しぶりー」
「久しぶりだねー」
「だって梨華ちゃん、最近仕事忙しくて会ってくんないからさぁ」
友達の少ない石川の、芸能界で唯一の友達と言ってもいいくらいのりんねとあさみ。
2週間ほど前のオフで遊んだ時以来、会っていない。
2週間ぶりの再開を、中華料理屋で果たす。
「義剛さん、すいません。いつもいつも誘って頂いて」
「あぁ、いいってことさぁ。さ、圭織座って」
「失礼します」
円のテーブルに、5人が座る。
りんねとあさみは、田中社長を挟んで両隣。
そして飯田と石川は、その田中社長の向かいに座った。
195 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月23日(日)00時48分16秒
「……で、石川にお話って…?」
しばらく会話に花を咲かせ、楽しいお食事タイム。
その間を見計らって、飯田が尋ねる。
田中社長は軽く咳払いを1つ、飯田を見た。
「つんくさんには、もう聞いてみたんだけどね。
いいよって返事もらって、あとは本人の意思だけ確認しなきゃ、と」
「はぁ」
何の、返事?
圭織、つんくさんから何も聞いてないよ?
疑問がいくも浮かぶが、石川と一緒に、田中社長の話の核心を待つ。
――そして、出た言葉。

「今度、カントリー娘。メジャーデビューに向けCD出すんだけど、
それに梨華ちゃんを貸してくれないかな、と」
「「…………はい?」」

ジャーマネ飯田圭織さんも知らない話は、どんどん、どんどん進んでく。

196 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月23日(日)00時52分40秒
(;゜皿 ゜)<ア、アゲチャッタヨ……アワワ……

せっかく…せっかく最後から2番目のいい位置だったのに……。
毎回言うのですが、ほんと逝ってこよう…。

ヽ^∀^ノ<後藤、誕生日おめでとう

>>186
(〜^◇^〜)<じゃあ、本人の声で。……ヤダ

お待たせしました……、向こうとなるべく並行でやってきたいと思ってます。
心機一転(?)頑張ります(w
>>187
ほんと、書いてる自分、1番痛いんす。
後藤にとって一体どっちが良いんだろうとか、書きながら真剣に考える。
元ネタにするには、少し自分にとってテーマが重かったす(ニガワラ
197 名前:ひろ 投稿日:2001年09月23日(日)02時12分19秒
更新有難うございます。お礼を言わずにいられない…、
大好きですこの小説。おちゃらけてる王子様があまりにも
似合いすぎてるよっすぃ〜…。イイ感じです。
これからも頑張ってください。
198 名前:バービー 投稿日:2001年09月23日(日)21時13分57秒
面白い展開になってきてますね!!
続きも大期待です。

最近、吉澤の女化(w が進み、自分の小説でも
キャラとビジュアルがあわなくて微妙に困惑なのです(w
とは言ったものの、アップトゥボーイ(特に表紙)
には壊れました・・天才的美少女復活と叫んでいたのは自分だけ・・?(w

ともあれ、更新頑張って下さいね。
199 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月24日(月)01時21分30秒
CHAPTER33 〜悪夢のイベント〜

きゃあきゃあと、収容人数5百人の会場に響き渡る、黄色い声。
周りを見渡せば、女の人ばかり。
層は、小学生から40代くらいまでと、幅広い。
その中でも最も多い、10代の女子高生の姿。
今日は、そんな女子高生達に超人気の2人がやって来る、ファンのためのイベントなのだ。

「うえー。耳に超響く」
高い、悲鳴にも似た叫びが吉澤の耳に。
数回耳を塞いで、ちょっとでもそれを聞こえないように試みる。
「何やってんだよ、吉澤。そんなことより早くスタンバれって」
「わかってますよぉ」
パイプ椅子に座っていた身体を持ち上げ、市井の横へと並ぶ。
今から約3時間ほど、この歓声を聞かなきゃいけないのだ。
もう、慣れるしかない。
それに、まだファンが女の人でよかったなと思う。
この会場全部が男だったら、暑苦しくて野太い声ばかりの声援じゃ、倒れそうになるところだ。
そう思い直すと、どこから声を出してるんだと思うくらいの叫び声も、少しはマシになった。
200 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月24日(月)01時22分11秒
まず始めは、今更ながらも自己紹介。それにちょっと、最近の近況などを含めて。
そして次は、ファンの人達と一緒にゲーム。
その中でも、ビンゴが1番盛り上がったような気が。
大きすぎる箱に入った、番号が入っているボールを、市井と吉澤順番に引いていって、
より早くビンゴになった人が、ほっぺにチュウ&写真という懸賞付き。
目が血走る女性達の夢は、お母さんに連れられた幼稚園児の女の子の手に渡った。

「でも正直、めっちゃ化粧濃いオバサンだったらどうしようかと思いましたよ」
「しっ」
次の準備の最中に、吉澤がマイクなしで市井に言う。
吉澤の言うことに同意はしたかったけど、状況が状況で。
「吉澤がそんなこと言うから、最前列のあの人、ずっとこっち見てるぞ」
バレないように目を向けるも、視線が合ってしまった。
見るからにケバイ化粧、少し離れた所にいる2人にも匂ってきそうな化粧の匂い。
まだ9月が始まったばかりだというのに、黒手袋黒マフラー、全身黒で覆われている。
注目を浴びるのには、あまりにも十分だ。
201 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月24日(月)01時23分26秒
「よっすぃー愛してるぅ
「うっ」
どうやらその人は吉澤のファンだったらしく。
目が合ったことを確認すると、頬を、石川の好きなピンク色にさせながら手を振る。
「だ、大丈夫か吉澤っ。み、見ないようにしろ。そ、それが1番だ」
そう吉澤に言うが、正直自分じゃなくてよかったと心の中で思う市井であった。

準備がし終わって、次は、ファンの方の質問タイム。
入る時胸につけた番号を、ビンゴの時同様に引いて。
そのボールにかかれた番号が胸につけてある番号と一緒になった人が質問できるという、判り易い説明。
進行してくださるアナウンサーの人が、ゆっくりと皆さんに言った。

お2人は、仲良いんですか?
その質問に、2人揃って「仲悪いです」。
会場が笑いに包まれる。
その笑いが収まった後、次の質問。

「2人の、好きなタイプ教えてください」
顔を真っ赤にさせながら、女子高生らしい女の子が言う。
「じゃあ、市井くんから聞いてみましょうか」
アナウンサーの人に言われ、考える。
202 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月24日(月)01時24分23秒
好きなタイプ、好きなタイプ。
なんだろ、うーん。
「あれっすね。自分、ちょっとよく冷たいとか言われるんで、
反対に優しい子が好きですね」
あくまで、無難な答え。
あまり特定の人を言っちゃうのはよくないと、始まる前に中澤に言われたのもあるんだけど。
「じゃあ、次吉澤くん」
「そうですね……」
しばらく考え、出た答え。

「守ってやりたいと思う子――ですかね」
「え? それは、具体的に言うと…?」
「え?」
具体的に言うも何も、その通りの意味なんだけど。
でも、もっともっと具体的に言うと。

梨華ちゃん。

この一言に尽きる。
203 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月24日(月)01時25分24秒
「じゃあ、次の質問いきましょう! 市井くんお願いしまーす」
「あ、はい」
切り替えが早いアナウンサーにビックリしながらも、ガラガラとボールを選ぶ。
「えーと、44番の方」
市井が言った番号の子の所へ、アナウンサーが走る。
そして、マイクを向けられ、質問タイム。

「あのっ、あたし、松浦亜弥ちゃんの友達と知り合いなんですけど、
その友達が松浦亜弥ちゃんに聞いたんですけど、よっすぃーと石川梨華って幼馴染みなんですか?」
「へっ?」
驚く吉澤。
会場も、驚く。
石川って誰、えー、うっそぉ、……など、様々な声。

(亜弥ちゃんめ………)

別に、言っちゃダメと口止めはしていないけど。
なるべく、そういうのは隠しておきたいワケで。
舞台の横で、中澤さんが慌ててる。
そして自分の横では、市井さんが笑ってる。

「こう、真っ向から直球でこられると、芸能リポーターさんよりファンが1番恐いね」
クスクスクス。
このやろう、人事だと思って。
204 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月24日(月)01時31分50秒
どうやって答えればいいんだとしばらく返答に困っていると、やっと中澤からの指示。
どうやら、否定せず肯定でいけ、らしい。
どっちみち、本当のことなんだし。

「そうですね。実家近くなんで」

にっこり笑顔で、それ以上追求はしないようにと、圧力も追加する。
もっとも、吉澤がそんなことをしなくても、事務所側がそこで質問タイムを無理やり終了させた。
これ以上続けたら、後藤との記事や、変なことまで質問されかねない。
早い、手回しだった。
最後に、全員に握手をして、それでイベントは終わる。

「あ、あの、頑張ってください!」
「手紙書いたんです…」
「もうずっとついてきます!」
「ありがとー」
市井は笑顔から苦笑に変わりそうなのを必死にこらえ、感謝の言葉。
何人かの人は、係の人が駆けつけるまで手を離してくれない人もいたが、まあそれも笑顔で対処。
これが終わった後のことを考えると、嬉しくて嬉しくてたまらないのだ。

電話をかけなかった埋め合わせするから。
そう言って提案した深夜のデート。
埋め合わせは口実で、ただ後藤がしたかっただけなんだろうが、市井もしたかったから何も言わずOKした。
205 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月24日(月)01時35分22秒
デートの場所は、彼女の家。
張っているかもしれないから気をつけて来てね、それが彼女の伝言。
それだったら、何処か違う所にしたらいいのに。
でも、違う所にしても、落ち着かないのは一緒。
それだったら、家の方がゆっくりできるのでいいかもしれない。

「……市井さんは、ご機嫌でいいですね」
ボソッと、横にいる市井にだけ聞こえるように、吉澤が呟く。
見ると、もうすぐ例の厚化粧オバサン。
あぁ、やっぱり匂いきついや。
近付くにつれ、匂いが鼻に届いてくる。

「頑張ってね! 応援してる!」
「あ、ありがとうございます」
繋がれた手、そしてその手はそのまま横の吉澤へと移動していき……

「私、こう見えても身体弱いの。だから私を守ってねよっすぃー
「う、うわぁぁっ!」

逃げられないように握った手を引き寄せ、つやつやの頬にぶちゅっとキスを1つ。

「すいませーん! これにてイベント終了させていただきまーす!!」
警備の人に連行されて出て行くオバサン。
ガタガタ震えてる吉澤に続行は不可能と感じ、オバサンの後ろに並んでいた人達は中止となる。
「お、おい。大丈夫…?」
「はははははは……」
ダメだ、壊れてる。
206 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月24日(月)01時37分31秒
( ゜皿 ゜)<交信ダヨ

高橋、前髪切ったみたいだったんですが。ありゃ可愛すぎだ。犯罪だこんちきしょう!
前回のダンスレッスンで、小川×高橋の人が自分の周りで少なからず出来た模様なんですが。
オガタカにはさせん。木下×高橋が1番(もう見れないけど…
でも小川の笑った顔、むっさタイプ…。

>>197
こちらこそ、感想ありがとうございます。
感想があればこそ、( ゜皿 ゜)さんも自分も、頑張れるんでありますから。
こんな変なお話を少しでも気にいってくださって、ほんとありがとうございます。
>>198
バービーさんだ!
黄でも実は名無しで希望したのですが、白の続き、こっちも大期待です(w

よし坊は元々、女キャラですしね。
最近は髪も伸びて、どんどん女の子になって。
新メンが入って、頼れるお兄さんキャラに変身したらいいのに(w
自分も雑誌見ましたが、やっぱよっすぃーはかっけーです。
207 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月24日(月)03時16分59秒
笑わせてもらいました。
実際のイベントでやったらおそらく生きて帰れないでしょうね。
さて次が怖いのれす…おてやわらかに…
208 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月24日(月)03時37分54秒
次回は、いちごま深夜のデートですか?
でも、千葉の大魔人がストッパーとして控えてるので不安いっぱいです(w

>高橋、前髪切ったみたいだったんですが。ありゃ可愛すぎだ。犯罪だこんちきしょう!
確かに高橋の可愛さはヤバイです。
自分は思わずハロプロショップにブロマイドを買いに行ってしまいました(w
売り切れてました(爆)
209 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月24日(月)04時17分21秒
よっすぃ〜梨華ちゃん守ってやってね
210 名前:ぐれいす 投稿日:2001年09月24日(月)22時25分41秒
いちごまがどんどん進むのはイイ事なんだけどその度に不安になる自分はダメなんでしょうか?
教えて加護ちゃん
211 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月25日(火)01時01分57秒
CHAPTER34 〜心の中〜

市井の右手には、一枚の紙。
そこに、少し読みづらい字と絵で書かれている、目的の地。
その紙を便りにするのではなく、そこら中にある標識を頼りに、市井は後藤宅を目指していた。

「……っていうかフツー、途中のポイントになるとこも書いてなくて、
ただ駅から何本かに別れた道の先の、自分ちだけ書くかぁ?」
そんなの、判るかっての。
かといって、そこら辺の人に聞いたら、怪しまれるだろうし。
必死に、かろうじて住所を書いてくれた紙のところを見ながら、照らし合わせて歩く。
だけど、今気づいた。
こんな苦労して探さなくても、とっておきの方法があるんじゃん。

世の中、ほんと便利になったよな。
この時代に生まれてきたことを、今やっと嬉しく思う。

今はもう、ほとんどの人が持ってる携帯電話。
「……もしもし。ごとー、この地図わっかんないよ!」
212 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月25日(火)01時03分21秒
「いっやー、ごめんねぇいちーちゃん。一本道だから判ると思ってさ」
「どこが一本道だっ!! 無数に道が分かれてたぞ!!」
どこまで、省けば気が済むんだ。
どこまで適当に書けば気が済むんだ。
もし携帯を持ってなかったら、迷って道路で一夜を過ごすか、警察にお世話になっていたところだ。
「だからぁ、ごめんって」
「…………………」
言い返せない。
やっぱり、この顔にはどうにも弱い。

「先、2階上がっててよ。お茶入れてから行くから」
「あ、うん」
じゃあ、お邪魔しますと言って、階段を上がる。
「上がったとこの、すぐ前の部屋だからー」
「はーい」
今度は、すぐに判った。
213 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月25日(火)01時04分54秒
なんていうか、ザワザワしてるというか、散らかっているというか。
もっと簡単な言葉で言うと、汚いというか。
脱ぎっ放しの服、靴下。
雑誌は、開いたページのまま、そのまま放置。

「……なんか、石川の仲間を発見した、みたいな……」

そんな、感じ。

あの子も、汚いからねぇ。
どちらかというと綺麗好きの吉澤が、行く度にキィ―ッとなると言っていた。
そして行く度に、掃除をしてほとんど時間を取られる、とも。
しかも、『あの部屋、綿棒が散らかってるんですよ!?』と、忌々しそうに語ってくれたこともあった。
幼馴染みの奇怪な部屋に、謎と話は尽きない。

「いちーちゃんお待たせぇ」
「あ、ありがと」
思い出していると、いつのまにか後藤が到着。
そして、ぼーっと市井が見ていた方向を後藤も見ると、急に顔を赤くさせた。
214 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月25日(火)01時06分00秒
「ご、ごめん! ほ、ほんと綺麗にするの忘れてて!!」
「え? あ、ああ、うん」
慌てて、何かを手に取る後藤。
「後藤……それって……」
「み、見ちゃダメぇ〜!」
必死に隠す、手の中の物。
何をそんなに隠す必要があるんだよ、と思っていたが、理由が判った。

(し、下着じゃん! あれって……)

ただぼーっとしていただけなのに、ちょうどそこに直し忘れの下着があって。
それを見ていたと勘違いした後藤は、慌てて隠したってワケなんです。

「ち、ちがっ……見てたワケじゃないんだよっ! ほ、ほんとに!!」
「わ、わかったから…」
お互い真っ赤になってしまった顔。
視線を合わせられずに、下を向いた。
215 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月25日(火)01時08分07秒
落ち着きなく動く、目の動き。
だが、範囲は狭い。
下を向いているため、床しか見れないから。

後藤はというと、もう恥ずかしくて恥ずかしくて。
まさか、下着を見られるなんて。
この時ほど、自分の雑な性格を恨んだこともなかった。

「い、いちーちゃん……」
「へっ?」
「み、見たよね、絶対。絶対、見たよね…?」
「いやややや! み、見てないってば!! ほ、ホントに見てないっっ」
「………そう、よかった。黒の下着持ってるなんて、絶対知られたくなかったし…」
「え、さっきの、水色じゃなかった?」
「……………………やっぱ、見たのね」
「あ…………」
全身から、これでもかというくらいの、冷や汗。
違う、わざとじゃなくて、不可抗力だ。
見たくて、見たわけじゃない。
だけど、こうやって言い訳するのも、どうかと思うんだけど。
216 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月25日(火)01時09分34秒
「……エッチ」
「ち、ちがっ……」
なんだか、そうやって責められると、泣きそうになってくる。
もっとも、後藤の方が泣きたい気持ちは強いのだが。
「………でも、いいよ。見たの、いちーちゃんなら……」
「へっ…?」
「いちーちゃんなら、許す」
「ご、ごとー。ん……」
重ねられる唇。
大人しく、受け止めることにした。

「……ねえ、気づいてた……?」
「ん?」
「……今日、家、誰もいないんだよね……」
「え……」
動揺した瞳で、後藤を見つめる。
後藤はというと、その市井の手を掴み、自分の左胸へと当てた。
「ちょ、ちょっと」
「ドキドキしてるの、あたしもだよ……。
…………あたしがこんなに頑張ってるんだから、いちーちゃんも頑張ってよ……」
が、頑張ってよって……。
どう、頑張れば、いいんですか。
217 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月25日(火)01時11分46秒
押し倒して、愛撫して、一つになって。
出来ればこんな、悩んだりなんかしない。

「や、やっぱ、そんなの、まだ早いよっ。今日は、やめよ…」
「なんでっ? あたし、そんな魅力ない? 15のガキじゃ嫌?」
「そんなんじゃないよ…」
「じゃあ、しようよ。したいよ……」
「ちょ、ごとぉっ!」
どうしてそんなにしたいのか判らない。
だけど、なんとなく判るような気もする。

多分、不安なんだ、後藤は。

好きだとは言ってくれるが、心の中を見せてはくれない。
それが、何か不安なんだろう。
だから、一つになることで、見せてくれるんじゃないかとも思った。
「………やめろよっ!!」
だけれどそれは、大失敗で。
心の中を見せてくれるどころか、反対に、拒絶されてしまった。

「………ご、ごめん」

今日は、帰るよ。
それだけ言って、部屋から市井の姿が消えた。
218 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月25日(火)01時13分21秒
( ゜皿 ゜)<交信スルノハイイケド、マタカオリデテナイネ…

うっ、ま、まあいいじゃないか。
それより次の交信は、いしよしへと移ります。
両方に問題があるため、ラブラブが全然書けない(泣
ってことで、ラブラブが書ける森の方も更新(w

下着見た見てないのバレ方は、お約束のやつで。

>>207
一応いちごま話なのに、なぜかいちごまの話になると恐がられる(w
今回も攻撃されそうで恐いです(ブルブル
>>208
(〜^◇^〜)<まあ、実際紗耶香が失敗したんだし

千葉の大魔人は、も少し先です。
出すのに手間どっちゃいまして…。

写真売り切れてたんですかぁ。
大阪なんか、もちろんないんだろうな…。
>>209
(0^〜^0)<お姫様を守るのは、この吉澤王子の仕事っすよ! 当然っす!
>>210
@ノノハ@
( ‘д‘)<リクには応えるのが常識やからな。
       じゃ、これは一言で。「ダメ」やね。
       ちなみにこの作者は、「ダメ」経営者やで
(;´D`)<…………………さむっ
219 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月25日(火)01時47分56秒
やっぱり〜
というわけで慣れました。(ニガワラ
220 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月25日(火)03時50分57秒
まだまだ我慢×2
今回は後藤の下着の色が水色とわかっただけでヨシ!!(爆)
221 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月26日(水)00時02分12秒
CHAPTER35 〜判ってないね〜

「………ごめん。何かあたしがしたなら、謝るから」

さっきからずっと、こんなことばかりを言っている。
そして、さっきからずっと、受話器の向こう側は無言。

「……ねぇ梨華ちゃん、どうして、帰ったりなんかしたの?
こっちは、全然判んないよ、梨華ちゃんが言ってくれなきゃ」
―「………………」―
「ねぇ」

電話に出てくれたのは、嬉しかった。
だけど、出てくれても、喋ってくれなきゃ一緒。
そして、やっと喋ってくれたかと思うと、とんだ見当違いな話題。

―「………そっち、今日、イベントだったんだってね」―
「えっ? あ、あぁ、うん。っていうか、話それてるんですけど…」
222 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月26日(水)00時03分32秒
それでも、まぁいいか、なんて御気楽吉澤さん。
順応性がいいのか、それともただ石川の声が聴けただけで満足なのか。
せっかく振ってくれたこの話題を、ちょっとでも長くしようと頑張ってみる。

「ってかねぇ、今日チョー大変だったんだよ。
女の子のたっかい声が、あんなにうざいっていうか、うるさかったの初めて知ったよ」
―「…………ごめんね、たっかい声で」―
「え、あ、り、梨華ちゃんのことじゃ……」
―「……………」―

はぁ。
なんて、馬鹿。大馬鹿。
だけどそれでも、頑張る。

「いやははは……、そ、それにまいったよ。なんか、めっちゃ化粧濃い人いてさ。
匂いが、離れてるあたしと市井さんとこまで匂ってきたんだよ。
最後の握手会の時なんか、『私を守ってね』とか意味不明なこと言って、ほっぺたにチューしてくるし。
いや〜、まいったまいった」
―「ふーん。………よっすぃー、モテモテだね」―
「え」

いや、でも、オバサンだよ。
――それは、なんのフォローにもなりゃしない。
223 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月26日(水)00時05分11秒
よっすぃーは、人の気持ち考えないで喋るんだもん。
以前、そう言って怒ったことがある。
そしたら吉澤は、「梨華ちゃんだって、思ってもないこと言って、無理に人の話合わせたりするじゃん」と言われた。
どうしてかな。
さすが、幼馴染みとでも言ってみようか。
お互いズバリ、性格を言い当ててる。

けれど、ちょっと違う点が一つある。
吉澤のは誰にでもそうなのだが、石川は吉澤だけ違うんだ。
思ってることを全部言ってしまうから。
吉澤が言う言葉にいちいち反応してしまう自分がいるから。
今こうやって、ひねくれたことしか言えない。

「……よっすぃー、昔からモテてたもんね。そりゃ、男の子になったら、もっとモテるよね」
―「り、梨華ちゃぁ〜ん…」―
「………………」

これじゃ、何のために電話に出たのか。
あの時、勝手に帰ってしまったこと、松浦の元に吉澤が行ってしまうんじゃないかと、
少しでも疑ってしまったことを謝るために電話に出たのに。
―――すべてが全部が、逆効果。
224 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月26日(水)00時06分57秒
「……………私、CD出すことにしたの」
―「えぇっ!?」―
「そのために、ちょっと北海道に遠征するの」
―「ええぇっっ!?」―
「……もう、帰って来ないかもしれない」
―「えええぇっっっ!?」―

最初の2つはホント。
でも、最後の1つはウソ。
それにしても、オーバーすぎるリアクション。

―「ちょちょちょちょっと待った! り、梨華ちゃん、歌下手じゃん!
……ってか、ウチも人の事言えないけどさ」―
「……何よ、それ。歌下手だったらCD出しちゃいけないのっ!?」
―「え、あ、いいやっ! 全然いけなくありません!」―
「……よっすぃーの馬鹿っ!」
―「ご、ごめんなさい」―

不真面目な王子様は、大真面目なお姫様、梨華ちゃんには弱い。
225 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月26日(水)00時09分05秒
「………どうせ私は、歌下手ですよーだ。
亜弥ちゃんやごっちんみたく、歌上手くないもん」
―「だ、誰も、亜弥ちゃんとごっちんの名前出してない…」―
「言おうとした!」
―「言おうともしてないよっ」―
「ウソだよっ! 私、判るもんっ!!」
―「いや、実際言おうとなんかしてないから。梨華ちゃん全然判ってないね」―
「……っ!」

『梨華ちゃん全然判ってないね』。
よっすぃーの方が、判ってないじゃない。
そんなこと言ったら、傷つくの、判ってるハズなのに。

「………よっすぃーなんか……よっすぃーなんか、だいっきらい!!!
亜弥ちゃんとイチャイチャしてればいいんだ!!!」
―「なっ!」―

ブッ、ツーツーツー。

「「こんなハズじゃなかったのに……」」

2人のすれ違いは、まだ続く――。
226 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月26日(水)00時11分11秒
( ゜皿 ゜)<ナンカ…、交信、イシヨシバッカダネ…

ははは…、いちごまが主役なんですけどね。
ま、まあ、いいじゃあないか。
いしよしは書きやすくて、いちごまは書きにくいってのも、関係してるかもしれません。

>>219
やっぱりです(w
最後は最初っから決まってるんですが、いちごまの方に気に入ってもらえるように、頑張ります。
>>220
(〜^◇^〜)<さやまり好きな人は、森に行ってくれると嬉しいな(宣伝

ハイビスカスでもよかったんですが……(爆
227 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月26日(水)00時44分03秒
うううう、すれ違う2人…胸が苦しい(今日は食いすぎたからではモチロン無い)
2人が素直になれる日はいつ来るんだろう
228 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月26日(水)03時18分30秒
あっちもこっちもなかなか思いどおりにはいきませんな〜(ニガワラ

ひっそりとイチタカを希望してみたりする(w
229 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月26日(水)06時06分45秒
今までずっとROMってましたけど、思わず書きたくなりました(w

いやー、とにかく良いです。
ラブコメの王道、くっつきそうでくっつかない を貫いてらっしゃる(w
互いの性格ゆえ、すれ違ういしよし。
性別を隠してるがゆえ、くっつけないいちごま。
こういう展開は最高です。

とにかく、がんばってください。
230 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月27日(木)01時29分55秒
CHAPTER36 〜悩みがいっぱい〜


「「はぁ………」」
男前2人して、大きなため息。
「……なんだよ。何ため息ついてんの」
「……そっちこそ。なんでため息なんかついてんすか」
「「……………」」
2人顔を見合わせ。
両方、昨晩の出来事を思い出し。

「「はぁ………」」

男前2人して、大きなため息。
231 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月27日(木)01時30分32秒
「おい〜、なんか悩み事でもあんのか? そんな辛気臭い顔しんといてーや。
明るいのはあたしだけかぁ〜?」
先に車に乗り込んでいた2人の元に、ようやく中澤が到着。
運転席に座って、これからスタジオでのCM撮影へと向かうのだ。

市井の悩み、それは、後藤真希。
あの後、勢いで突き飛ばして、それから部屋を去って行っちゃったけど。
やっぱ、怒ってる?
やっぱ、泣いてる?
やっぱ、殺される?
あああ、どれもヤダ。

吉澤の悩み、それは、石川梨華。
あの時、ついムキになって、ちょっとキツイこと口走っちゃったけど。
やっぱ、飽きられた?
やっぱ、捨てられた?
やっぱ、嫌われた?
あああ、どれもヤダ。
232 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月27日(木)01時31分06秒
そして、吉澤にはその悩みにもう1つサービス。
これから撮るCMは、前回好評だった松浦との共演なのだ。

「っていうか、どんな顔して逢えばいいと思います?」
「………そうだなぁ」
よっ、ヒサブリだね!……って、ついこないだ逢ったじゃん。
……おはようございます、って、暗すぎる。
「フッた後って、こう、ギクシャクするから困るんですよね」
気をめいっぱい使うし。
なんだか喋りかけるのもためらって、避けてしまうし。
「ってか、ギクシャクするような振り方するから悪いじゃん」
「いや、市井さんに言われても説得力ないですよ」
「うっ……」
以前、後藤を振った後、思いっきりギクシャクしてたし。
はい、確かに。吉澤さんの言う通りでございます。
233 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月27日(木)01時31分39秒
悩んでいる時に限って、時間が経つのは早い。
気付くと、もうスタジオの前まで来ていた。

「「おはようございまーす」」
「おはようございまーす」
シリーズなので、前回撮ったスタッフさんはほとんど一緒。
市井と吉澤の2人は、スタッフさんと談笑しながら、松浦の入りを待つ。
そして、待つこと十数分。
マネージャーと一緒に、松浦がやって来た。

愛想と口が上手い松浦は、スタッフさん達にも人気があり。
可愛いねー、なんていう微笑ましい会話が、あちらこちらから飛び交う。
そしてそんな年上受けがいい可愛い女の子は、共演者の2人へと。
「おはようございます」
「あ、おはよう…」
「おはよーございます」
口篭もりながら挨拶を交わす吉澤とは違い、淡白な市井。
吉澤から話を聞いていて、気を使ったのか、親しいスタッフさんの元へと向かった。
自動的に残った、2人。
234 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月27日(木)01時32分09秒
「………ん、んんっ」
喉を押さえて、軽く咳払い。
息を吸い込んで、思いっきり吐く。
そして、ちょっとドキドキしながらも、喋ってみた。

「……あ、あれからさ、怒られなかった?」
「……?」
「あ、その、探してて遅くなっちゃったじゃん。だから、帰るの遅いとか…」
「あぁ、大丈夫でしたよ」
「そか」
「はい」
「「………………」」
再び起こる、沈黙。
今度は、吉澤じゃなく、松浦が喋ってみた。

「石川さん、結局、なんで帰ったのか判ったんですか?」
「………いや、それが……」
判んないどころか、あれから逢ってもくれないワケで。
勝手に(といっても、事務所には許可はもらっている)、北海道に行く準備なんかしちゃってるし。
真相はまだ、吉澤の耳には届かない。
235 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月27日(木)01時33分01秒
「亜弥ちゃーん」
「あ、はーい」
髪型の直しが入るんだろう。ヘアメイクさんが、呼んでいる。
「じゃあ、後で…」
「うん。後で」
ばいばい、と手を振って。
優しい笑顔は、何一つ変わらない。そして、色んな事があっても、想う人も変わらない。
「吉澤さん」
「………ん?」
だけど、優しい笑顔は、自分には向いちゃいない。
2人っきりになっても、帰っちゃっても、喧嘩しちゃっても、笑顔は彼女のもの。
どんな手段を使っても、こりゃ無理だ――。

「私、思ったんですけど。
いくら私が石川さんに負けないくらい吉澤さんを想っても、吉澤さんが石川さんを想ってれば同じなんですよね」
「え?」
「………負けですよ、私の」
「は? え?」
「じゃあ」
「え、ちょっ……」

自分の言いたいことだけ言っちゃって。
やりたい放題やってから、去って行っちゃって。
修復してからどっか行けよ、このやろう。

「誰のせいでこうなったと思うんだよぉ……」

吉澤の呟きは、ごもっともである。
236 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月27日(木)01時33分41秒
――

誰のせいで、こうなったと思うのか。
それは、後先考えもせずお金を使い込んだ、自分のせい。
だけれど、誰のおかげで、マンションを追い出されずに済んだのか。
それはすべて、名キャメラマンヤグチ様のおかげ。

「ねぇねぇ彩っぺ。帰り、焼肉食べてこーよ」
「焼肉ぅ? この前も行ったじゃん」
「いいからいいから。金持ちヤグチ様が奢ったげるから」
「………そんなことばっかやってるから、すぐ金無くなるんだよ」
「いーや。今度はちゃんと計画的にお金使うから大丈夫!
それに、もしなくなっても、またスクープ撮るから大丈夫さー」
「高いねぇ、テンション」
「そりゃあ、もう!」
きゃはは、と、明るくうるさい笑い声が、夜道に響く。
どうして、こんなにテンションが高いのか。
それは、明日発売の雑誌“センチメンタル♂向き”を見れば、すぐ判る。

“センチ〜”の公式HP。
そこに、明日発売の目玉記事の見出しが。

『女子高生達に大人気のいちよしコンビの“吉澤”、本妻ゴマキに内緒で松浦亜弥とラブラブデート!!』

237 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月27日(木)01時34分11秒
( ゜皿 ゜)<レンヤノ交信デ、目ト頭ガツカレタヨ…

が、頑張って( ゜皿 ゜)さん!頑張ってくれないと、アイツが帰ってくる…!
え、モウダメって…、い、( ゜皿 ゜)さぁ〜ん!!

>>227
ここのいしよしは、意地の張り合いばっかなんで(w
でも、なんだかんだで仲はいいので、早い復帰を自分も願ってます…。
>>228
(〜^◇^〜)<ヤッちゃうかぁ〜、なんて

全然思い通りいきません。
でもさっきやっと、保田が思い通り動いてくれました(w
それが判るのは、もうちと先で……(ニヤッ
………イチタカ、どんな会話させりゃあいいでしょう?(w
>>229
ROMの壁を破って、感想を書いてくれたことを、本当に嬉しく思います。
王道の、くっつきそうでくっつかないが、こんなにしんどいとは思いませんでした(w
またかよ、とか思われてそうで恐かったんですが、最高と言って頂いてよかったです。
とにかく、がんばります。
238 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月27日(木)20時22分56秒
週刊誌が出たあとの展開が気になります!!
239 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月28日(金)12時15分16秒
CHAPTER37 〜スキャンダル写真は一体誰が?〜


「くそっ、またかい」
と、呟いたのは、つんくファミリーの社長、つんく。
手には、丸めた雑誌。
部屋の壁には、事務所売り出しのポスターが、所狭しと並んでる。
そんな飾ってあるポスターの中の、2人。
両方共、今正に力を入れて売り出しているっていうのに。
「ほんま頼むで〜……」

他に、もっといい記事がなかったのだろうか。
巻頭で、しかもカラーで。
これが、普通の雑誌だったなら、つんくだって喜ぶことが出来た。
だけど今手に納めているのは、ちょっと変わった雑誌。
女性アイドルのスキャンダルばかりを狙う、“センチメンタル♂向き”なのだ。

「ドロドロの三角関係って……どないやねん」
もう、勘弁してください。
前回のスキャンダルは、両方共に支障は出なかったのだけど、今回はどうやら支障が出そうだ。
しかも、宣伝費をこれでもかと使った、新人の松浦亜弥の方に。
240 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月28日(金)12時15分49秒
「もう、謝罪はええねん。付き合ってへんことは判ってるし」
「はぁ」
「ただな、もっと自覚を持ってくれ、と」
「はぁ」
「ほんま、モー、勘弁してください」
「……………ごめんなさい」

うな垂れている、吉澤。
頭を抱えている、中澤。
お手上げポーズの、つんく。
そして、まったく関係のない、市井。

「あのぉ、自分、外出てましょうか?」
怒られている内容は、市井はまったく関わっていない。
それに、これは個人の問題だ。
自分が外に出て、関係者だけで話し合った方が両方共にいいだろうと思って言った言葉。
「あぁ、ここにおって。市井も一緒に吉澤怒ってくれ」
「え…」
そんなことを返されるなら、何も言わないでおけばよかった。
241 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月28日(金)12時16分25秒
っていうか、一緒に怒れるワケないじゃないか。
自分は、天下の後藤真希と秘密の交際をしているワケだし。

「……やー、ほら、吉澤も反省してるし」
「こいつは反省すんの遅いねん! 撮られてから反省してどないすんねや」
「そうですよね…」
だから、あれほど言ったのに。
この世界の自分達は、“女”じゃない。“男”だ。
こちらは友達と思っていても、相手は恋愛対象を持って見ているかもしれない。
だから、あまり、その気を持たせるような、そんな発言・行動は控えろと言ってきたのに。
この問題児は、そのことをまったく理解しちゃいない。

「頼むでホンマ〜。松浦は自分らのこと、女と思ってへんねんから」
「ごめんなさい…」
「…………もう、撮られてからグチグチ言っても遅いけどな」
「ごめんなさい……」
石川とのことがある上に、その上にこの問題。
吉澤のちっちゃな脳みそで考えれるのは、もういっぱいいっぱい。
嫌われて、撮られて、怒られて。
嫌な事、3連発。
242 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月28日(金)12時16分58秒
「失礼しました…」
こってり怒られ、落ち込んでしまった吉澤。
あの記事が出るせいで、せっかく撮ったCMも、すべてパーに。
スキャンダルの相手が一緒に出ているCMは、何かと、話題とマイナスになってしまう。
残念ながら、お蔵入り。

運転席の、後ろの座席。
そこが、中澤の車に乗る吉澤の指定席で。
いつも後ろから何かをしでかして、前の中澤から頭をはたかれていた。
だが今日は、何かをしでかす余力もないらしい。

「吉澤、ほら、元気だしーや。
実際に付き合ってへんねんから、すぐガセネタやったって出るしさ」
「そうそう」
「………………」
落ち込む吉澤を、必死に慰める2人。
その気持ちは有難かったのだが、どうも元気を取り戻せない。

……途中までは、気をつけてたんだ。
だけど、梨華ちゃんがいなくなって、そんなことすっかり忘れてた。
まさか、撮られたなんて。
243 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月28日(金)12時20分10秒
「にしても、また“矢口真里”かい。前のごっちんの時も、写真撮ったん矢口やったやろ。
そーいえば、なっちの記事もコイツや! 思い出した、ごっちんの初スキャンダルもコイツやったわ」
このやろ〜、と唸る。
その怒りは、ハンドルを握ってる手にも伝わってきて。
「うわわ」
ちょっぴりビビリの市井は、強引なカーブの曲がりで声を上げてしまった。

――

「あ」
「……『あ』?」
いきなり声を上げた後藤に、後ろにいた保田が振り返る。
後藤の視線は、ある雑誌。
ちょっとコンビ二寄ってジュース買いたい、と後藤の言う通り来たのはいい。
だけれど、ジュースを選んでいるのは、マネージャーの保田。
このワガママお嬢様は、呑気に、今こうして雑誌を読んでいる。

「何よ。このジュースじゃ嫌なの?」
なんでもいいから、とか言いながら、文句があるっての?
そう言って尋ねると、違うよ、と首を振られた。
「じゃあ、なんで声出したの」
「や、雑誌見て」
今後藤が立ってるコーナーは、週刊誌やらばかりが置いてあるコーナー。
244 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月28日(金)12時22分15秒
「まーたパンチラ写真でも載せられてんの?」
「うん。それもあるけど、これ」
「どれ」
まず、吉澤という文字が見えて、次にゴマキという文字が見えて、松浦という文字が見えて、最後にラブラブデート。
「…………なにこれ」
「亜弥ちゃん、姉貴分の彼氏を略奪愛」
「…………最悪ね」

後藤の次は、今度は松浦ですか。
本当か嘘かどうかは知らないけど、事務所にとっては大きな痛手。
「松浦の新曲売上げ、これで止まったわね」
「LOVE涙色?」
「うん」
CMで人気が出て来た勢いに乗って、つい先日に新曲を出したっていうのに。
大丈夫なんだろうか、思わずつんくの心配をしてしまった。

「でもさー、こんな写真とか、ほんとよく撮るよね。
前のごとーの時もそうだったけど、ほんとに決定的瞬間狙ってんもんね」
「だって、プロだし。でも、嫌われる仕事よね」
マネージャーとして、タレントのスキャンダルを撮った相手は、憎い。
時々、会ってひっぱたいてやろうかとも思ったこともある。
実際には、編集部にまで殴り込みに行った人もいるらしいが。
さすがに自分は、そこまでは出来ない。
245 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月28日(金)12時22分45秒
後の仕事が押しているため、立ち読みはそこで終了。
お金を払って、車へと戻る。
そして買ってもらったジュースを一口飲んだ後藤は、こんなことを口にした。

「ねー、お姉ちゃんに言われて気付いたんだけどさー」
「ん?」
「なんかね、ごとーの記事とか撮ってんの、全部同じ人なんだって」
「はぁ?」
何? 何だって?
後藤の説明は、1回だけじゃ全然足りない。
「なんだっけな。さっき見たページの写真あったじゃん」
「うん」
「あの写真撮った人、前、よっすぃーとの写真撮った人と同じ名前だった」
「アンタ、狙われてんだよ」
「えー、でも、あたしだけじゃないよ。ファミリーの子のスキャンダルとかも、同じ名前だもん。
圧倒的に、あたしが1番撮られた回数多いらしいけど……」
「……その人、なんて名前?」
「えーとねぇ」
なんだっけなぁ、と考える。
それから少しして、言った。

「矢口真里」


246 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月28日(金)12時23分20秒
その名前を聞いた時、なんだか前に聞いた感じがしたのは気のせいなんかじゃなかった。
あの時、自分もあの場にいたんだし。
何より、あの子が受かるとばかり思って見てたんだし。

(矢口……間違いない)

後藤真希が誕生した、つんくファミリーのオーディション。
最終候補の最後の最後まで残った、その名前。
最終的に、後藤が選ばれた時の彼女の顔。
無気力な、こんなヤツに負けるなんて。

唄も、圧倒的に上手かった。
なのに、どうしてこんな子なんかに負けるのか。
――許せない。

そしてその憎しみは、こうして形となって。
今こうして、保田の元へと届いた。

会ってみようか、カメラマンとなった矢口に。
保田の口元が、にっと右上がりになった――。


247 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年09月28日(金)12時23分51秒
(〜^◇^〜)<きゃははは! 不調の( ゜皿 ゜)に代わって、矢口様の登場だぁ!!
        ちょっと長いけど、行進でーす♪

………ほら、だから言ったのに……。
それは置いといて、そろそろスレッドサイズがやばくなってきました。
まだ大丈夫みたいですが、もうすぐしたらお引越しします。
ヽ^∀^ノ引越しセンターさんに、連絡しときます。

>>238
出た後の展開は、こんな感じで。
これで、3分の1が過ぎたくらいですか。
248 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月28日(金)20時01分44秒
こ、怖いれす…
なに考えてるんれすか、やすらさん…
。。3分の1、先は長いれすね〜
249 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月29日(土)02時44分54秒
ブルブルブルブル………。
ついに山が動くのか!?
さ、さくしゃさ〜ん、なにとぞ穏便にお願いします(w
250 名前:ここの市井ちゃんのイメージ 投稿日:2001年09月30日(日)23時46分59秒
www.bc.wakwak.com/~milky/data/data6746.jpg
男らしい感じ
251 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月01日(月)00時09分25秒
金髪チャムかっこええ〜!そりゃ後藤も惚れるわな。
252 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月01日(月)16時32分26秒
CHATER38 〜動き出したマネージャー〜


これでも、こう見えても、朝はちゃんと自分で作るんです。
矢口真里、今日のメニューは、ご飯と豆腐のお味噌汁。

「フンフフーン♪」
昨日の夜にした新しいパックが効いたのか、頬はツルツル。
矢口の気分は、絶好調。
矢口自慢の高級マンションの部屋の中を、うろうろして飛び跳ねまくっている。
ご飯が炊けるまで、暇なんだ。
鼻歌を歌いながら、ふわふわのダブルベッドの上で、1人でじゃれる。
まるで、飼い主が仕事へ行って、邪魔者がいなくなって嬉しがってる子犬のようだ。

部屋は、綺麗とは言えない。
だけど、汚いとも言えなくて。
その代わり、部屋中の壁には、友達と撮った写真や、芸能人のプライベートを隠し撮りした写真やらが、
あちらこちらに貼り付けてある。
そして、どこでもらってきたのか、市井と吉澤の巨大ポスターも。
253 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月01日(月)16時33分07秒
「もう出来たかな」
さんざん暴れて、飽きた頃に思い出す。
するともうご飯は出来ていて、ジャーを開けると、炊きたてのいい匂いがした。
「くぅっ♪ 食が進む匂いだねぇ」
きゃはは、と意味のない笑いをして、ご飯をよそう。
味噌汁も入れて、お茶も入れて。
これで、朝ご飯の出来上がり。

よく人に、アンタ料理作れるんだ、と驚かれる。
っていうか、このヤグチが作れないと思ったの?
ヤグチは、神様のお気に入りなんだから、当然作れるに決まってるじゃん。
だけどねぇ、神様は忘れん坊らしくて。
料理は作れても、大きな忘れ物があったんだよね。

「……うん」
箸を、味噌汁の中につけて、ずずっと吸う。
うん、いつも通り。

「……今日も、マズイ」

料理は、作れる。
だけど、カメラマンにはなれても、コックさんにはなれないらしい。
254 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月01日(月)16時34分11秒
――

「ねーねーねーねー! 遊びに行こうよぉ、ねー」
「あーもーうるさい! 黙れ!!」
「黙って欲しかったら話聞いてよ〜」
「ちょっと誰か! 矢口の相手してやってよぉ!」
そう悲痛な叫びをあげたのは、石黒。
そしてそんな石黒にまとわりついているのは、矢口。
朝は、家で暴れて。
昼は、編集部で暴れて。
どうにもこうにも、1つの場所で落ち着けない性質らしい。

「フンだ。いーもんね、彩っぺがそんな態度取るなら、もうスクープ持ってきてやんないから」
「わー、ごめんごめん」
しょっちゅういいスクープを持ってきてくれる矢口は、編集長のお気に入りで。
機嫌を損ねられて、違う週刊誌にスクープを渡されてしまったら、こっちが怒られちゃうから。
「わかった、遊ぶから、もうちょっと待って。
もうちょっと待ってくれたら、終わるから」
「よし、判った」
255 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月01日(月)16時35分30秒
じゃあその間に、何処行くか考えとくね、とにっこり笑顔。
ってか、行くトコ考えてなかったんかい。
「なんであたしがこんな子どものお守りしなきゃ……」
ぶつぶつ。
それは、毎度思うこと。
だけれど、結局言うことを聞いてしまう、甘い自分が悲しい。
それでもやっぱり、行きたくないワケで。
どうにかして諦めさせよう、と、頭の中はそのことばかり。
と、その時、電話がかかってきた。

「矢口、なんかアンタに会いたいって電話かかってきてんだけど」

名前は語らず、先日の松浦と吉澤の記事を見て、電話をかけてきたと言う。
そこで、その写真を撮った“矢口真里”に会えないか、とのこと。
たまに、こういう電話があるのだ。
事務所の関係者だろうか、それともファンだろうか。
こういう申し出をされる時は、あまりいい内容ではない。
256 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月01日(月)16時37分05秒
「苦情とかは受け付けませんよ。こちらもこれが仕事なんですから」
会いたくないんだろう、矢口も。
電話で済ませようと、何度も断わるが、向こうはしつこいらしい。
「あの、あ、ちょっと!」
ガチャン。
……切られた。

「どしたの?」
「………勝手に、待ってる場所行って切られたの」
「……どうすんの?」
「………行った方がいい?」
「…男?」
「女」
「………………とりあえず、覗くだけ覗いてみたら?」
「うーん…」
迷う。
もしかしたら、ネタを提供してくれるために電話をしたのかもしれないし。
それだったら、大歓迎なワケだし。
そうだね、とりあえず。
「判った。なんか、やばそうな人だったら帰ってくる」
「うん」
257 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月01日(月)16時38分27秒
――

ガチャン。
切ってやった。

「………圭ちゃん、何してんの?」
「えっ!?」
いつのまに後ろにいたんだろう。
それに、いつから後ろにいたんだろう。
「なんで公衆電話でかけてんの? 携帯持ってたじゃん」
「も、もうちょっとで充電なくなっちゃうからこっちでかけたの!!
それより、ごっちんいつから後ろにいたのよ!!」
「え、圭ちゃんが電話切った時だけど…」
「そ、そう」
ほっ、と安心。
大丈夫、聞かれてない。
ここで聞かれちゃ、せっかく考えた作戦が台無しだから。

「ほら、早く車乗って。家まで送るから」
さっさと送って、さっさと行かないと。
「あ、そのことなんだけど…」
「ん?」
「今日、渋谷で友達と遊ぶからさ。送らなくていいよ。そのまま行くから…」
「友達って、誰と」
「え、あー……梨華ちゃん」
「石川なら、夜まで打ち合わせよ」
258 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月01日(月)16時39分31秒
「あ、ご、ごめん間違った! 彩名ちゃんだった!」
「ふーん。まあいいけど」
誰と遊ぼうが、誰の名前を使おうが。
後藤の嘘は、すぐ判る。
「判ってると思うけど、くれぐれも変なことして写真撮られないようにね」
「わ、わかってるよ」
「じゃ」
「あ、うん」
後藤を、その場に残して、保田は車を走らせる。
絶対、突っ込まれると思ったんだけどな。
どうやら、今日は保田も忙しいらしく、多目に見てくれたらしい。

「いちーちゃん、もう帰ってんのかな……。
逢って、くれるかな……」

あんな、別れ方しちゃったし。
無理やり、迫っちゃって。

のそのそと歩き始め、後藤は事務所の寮へと向かった。

259 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月01日(月)16時41分01秒
(〜^◇^〜)<きゃははは! 行進だぜぇ!!

(〜^◇^〜)さんは、今日も元気です。
後藤さんが言った「彩名ちゃん」とは、想像のお任せに。
仲いいってどっかで見たんで…。

>>248
保田さんファンには、これから文句がくるかもしれませんが、
これは、この話の世界として考えてもらえると、嬉しい限りです…。
何を考えてるかは、次の次、の予定です。
>>249
@ノノハ@
( ‘д‘)<あ、もう来よったで。まだ準備してないから、もうちょっと待ってなぁ〜

穏便にはいかないと思います(w
>>250
うん、実に男らしい。ありがとうございます。
>>251
後藤も惚れるし、何より書いてるヤツが惚れてしまいます(w
ってか、もう惚れてますけど(w
260 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月02日(火)02時19分08秒
ごまガンガレちゃむガンガレ作者さんガンガレ
261 名前:名無し娘。 投稿日:2001年10月02日(火)16時01分13秒
今回は最初の一人暮らしの描写といい、矢口の可愛さが目立ちましたね。
262 名前:ぐれいす 投稿日:2001年10月03日(水)14時27分57秒
いちごま(ごまいち)の進展を期待しつつ
保田さんの行動が気になります。
263 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月03日(水)15時54分39秒
CHAPTER39 〜年頃の少年達〜

「ぎゃははは! マジでぇ?」
下品な笑い声と、下品な声。
そんな声が、大部屋の控え室に響く。
そしてその大部屋の中に、市井と吉澤はいた。

今日は、今人気の少年達が雑誌の表紙を飾るという仕事。
そしてその準備の間、こうして待機中とワケなのだが。
「くっそー、中澤さんももうちょっと考えてくれてもいいのに」
ブツブツと文句を言う吉澤。
周りには、少年達がいっぱい。
いくら外見は男でも、心は女。
やはり、男達と一緒の部屋は、嫌なんだ。

だけれど中澤だって、考えなかったワケじゃない。
しかし、まだ、2人だけ別の部屋にしてくれ、なんていうのは言えなくて。
これが後藤クラスなら、言えたりしたんだけれど。
まだまだ、後藤クラスまで達してないってことで。
264 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月03日(水)15時55分34秒
「まあ、いいじゃん」
市井は市井で、まるで他人事のように言い放つ。
そして、それよりうるさいんだけど、と騒いでる男達にビビることもなく言う。
その市井の言葉に、ビビる男達。
下品な笑い声と、下品な声は一斉にして静かになる。
そして、静かになったことを確認して、携帯へと再び視線を向ける。
「………………?」
不審な目を、市井へと向ける吉澤。
だってさっきから、メールボックスを開いてメッセージを打ち込み、そしてそのメッセージを消して。
誰にメールを送ろうとしてるんだ、その質問は、違う人がしてくれた。

「なんだぁ? 彼女にメールかぁ?」
年は市井と一緒で、見た目はさわやかな印象の少年。
いちよしコンビがデビューするまで、女子高生達の人気者だった少年だ。
「で、誰? 誰にメール送ってんの?」
「……ん?」
からかうように、市井の肘を突付く。
メールの相手は、彼女に送っていると決めつけているようだ。
265 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月03日(水)15時56分04秒
「あ、もしかして、彼女柴田あゆみ? あの子いいよなぁ」
「…柴田あゆみ?」
誰それ、なんて質問して。
みんなに驚かれる。
「なーに言ってんだよ。お前等んトコの事務所の子じゃん。
この前話してたの見たから、てっきり彼女だと思った」
「え、話してないよ。ってか、知らないし」
聞くところによると、同じ事務所で、メロン記念日というふざけた名前のグループのメンバーらしく、
最近ピンで雑誌のグラビアなんかに登場している、結構可愛い子らしい。
「事務所の子の名前と顔くらい、覚えとけよな」
「え、だって会ったことないし」
「いや、市井さん。何回かすれ違ったことありますよ。
それに、こないだ一緒に話してたじゃないですか」
「え……」
思い出せないし、覚えてない。
批難の声を、一斉に浴びせられた。

……な、なんだよ。
そ、そんなにヤバイことなのか?
市井は悩む。
266 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月03日(水)15時56分43秒
「ってかよぉ、それより吉澤ぁ」
「えっ」
急に呼ばれた名前。
「お前さ、後藤真希と付き合ってて松浦亜弥とも付き合ってんだって?」
「え、えぇっ」
急に振られた話題に、アセアセ。
からかってじゃれついてくる少年達を、必死に交わす。
「いーよなぁ、お前。うらやましー」
「お前なんでそんなモテんだよー」
そしてその質問は、どんどんエロくなっていく。

「後藤とヤッた?」
「ぐっわー、こいつマジでむかつくぅ。あの、あのデカい胸、生で見れるなんて」
「ちょ、ちょっと…」
誰も、ヤッたなんて言ってないし。
誰も、生で見たなんて言ってないし。
どんどん話も進んでく。
267 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月03日(水)15時57分13秒
「なぁ、どんなだった? 気持ちよかった?」
「てかよぅ、後藤真希と別れて松浦亜弥と付き合ってんなら、後藤紹介してくれよ」
「電話番号だけでいいから、教えて!」
「いや、ちょっと…」
「んだよぉ、もったいぶんなよ。ヤラせてくれたらいいんだから」
どうせ、後藤もいっぱい遊んでんだから、こっちにも分けてくれたっていいじゃん。
にやにやしながら、少年が言う。

別に、男なんだから、そんな話するのはしょうがないと思う。
だけど、そのエロ話の中心が、後藤というのが許せない。

「誰が、遊んでるって言ってんだよ」
冷たい目を、より冷たくして。市井が言う。
「え…、で、でも、よくキャッチとかされてんじゃん。
男とのスキャンダルばっか」
「だからって、遊んでるって決めつけんの?
遊んでるかどうかなんて、どうしたら判るんだよ」
「い、市井さん」
今にも殴りかかろうとする市井を、吉澤が止める。
殴り合いなんかになったら、勝負なんか目に見えているから。
力は、この少年達の半分もないのだし。
268 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月03日(水)15時57分43秒
「ん、んだよ。お前、後藤真希のこと好きなの?
………っても、別にそんなムキになることねーじゃん」
冷たい市井の睨みにこれまたビビったのか、少年は目を逸らす。
そして、後藤から違う女の話に、強引に変えた。
「まあ、俺は後藤真希より石川梨華だけどね」
そしてその違う女の話題は、今度は吉澤をむかつかせることになる。

「……なんで?」
なんで石川梨華がいいの、と聞くと、
「えー、だって可愛いじゃん。それにあの声、超ツボ」
「………ふーん」
自慢気に話す少年に、相槌を打つ。
答えようによっては、市井を止めたことはさておき、殴ってやろうかと思ったのだけど、
可愛い、超ツボ、なんて幼馴染みのお姫様を褒められたら、嬉しいのは確かだ。
黙って、少年の石川話を聞き入る。
だが、聞き入っていたのは、そこまで。
話はだんだんエスカレートしていく。

「でもよぉ、石川梨華って、絶対処女みたいな気しねぇ?」
「あー、するする。今時貴重なね」
「彼氏とかいんのかなぁ…」
「あ、そうだ。吉澤お前、なんか雑誌の、こないだのイベントレポ読んだんだけど、
確か石川梨華と幼馴染みって言ってなかった?」
269 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月03日(水)15時58分17秒
「………ああ。でも、近所なだけだし…」
ホントの所は、部屋の仲を行ったり来たりの仲なんだけど。
事務所側から、どこまでの幼馴染みなのか、指示されているため、そんなことを言ってみる。
「……まあでも、彼氏はいないと思うよ、多分」
「おおお! まさしく理想のタイプ!」
処女で、色黒で、しかもあの男心をくすぐるようなアニメ声。
理想にピッタリ当てはまる。

「うっわー、ヤりてーなぁ。俺、処女の子とやったことない」
「俺、前スタジオですれ違ったけど、あの生足は最高だったね」
エロトーク、絶好調。
もちろんむかつきはしたが、男だから仕方ない。
そうやって思い込ませ、心を落ち着かせる。
だけれど、落ち着かせるどころか、ある一言で爆発してしまった。

「オレ今度、歌番組で一緒になる予定なんだけど、
そん時上手いこと誘って、石川梨華の初めて奪っちゃうかぁ!」

うひゃひゃ、なんて笑う、少年達。
ぶっちーん、と切れる、少年もどき。
あわわわわ、と慌てる、少年もどき。
270 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月03日(水)15時58分50秒
「てめー、絶対許さねぇ!!」

ありったけの力を込めた蹴りが、石川好きの男にヒット。
一斉に飛び退ける他の少年達。

「誰が何するってぇ!? 何奪うってぇ!? んなのさせるかってんだよ!!
お前に、お前なんかに、梨華ちゃん渡すかっ!!」

「お、おい! ちょ…」

倒れた男に馬乗りになって、なおも殴りつけようとする吉澤を、
後ろから羽交い絞めにして、一生懸命に止めようとする市井。

「だ、誰か人っ……、人呼んできてって!」

市井の叫びに、やっと我に返った少年の1人がスタッフを呼びに行く。
他の少年達は、市井と一緒になって、2人を止める。
そしてしばらくして、マネージャー達も駆けつけ、やっと喧嘩は止まった。
271 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月03日(水)15時59分25秒
――

車の中で聞こえる声は、中澤の怒鳴り声だけ。
そりゃ、当たり前だ。
あれだけ暴れて、あれだけ人に迷惑をかけて。
まあ喧嘩した理由が理由だったし、外部に漏れなくて、なんとかその場だけのことにしたのだけれど。
顔に傷を作って、衣装を破いちゃって。
問題児は、予算外の出費を出させてくれる。

「そんな、なんで喧嘩しなアカンねん。それが判らんわ」
「だ、だって、梨華ちゃんをアイツ…」
「んなん、口だけやって。ホンマにする度胸なんかない。
それに圭織もついてんねんから、ガードは堅いよ」
「で、でも……」

でもそんなこと言われて、
黙って聞いてるだけなんて、許せなかったんだよ。
そりゃ、悪いとは思うけど。

「まあ、とりあえず今日はゆっくり寝ぇ。また明日迎えに来るからな」
「はぁ〜い」
「……………はい」
寮の前で降ろされて、去って行く車を見送る。
「……さ、早く入ろ」
吉澤の背中を押して、優しく言って。
部屋の前まで来ると、人影が見えた。

「…………後藤」


272 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月03日(水)16時01分31秒
(〜^◇^〜)<やっほ〜みんなぁ! 今日も頑張って行進だぁ〜!!

ちょっと長いですが、行進です。
話上、名もない、娘。以外の人達がたくさんでていますが、進行するために必要だったので、出してます。
どうかそこらへん、ご了承頂けたら幸いです。

>>260
( ´ Д `)<がんばる
ヽ^∀^ノ<頑張る!
作者<頑張ります
>>261
ヤグチ書くの大好きなんです。
何しても憎まれないように、可愛くするよう頑張ってます(w
>>262
@ノノハ@
( ‘д‘)<まぁ、当然の結果やで。出演するの遅かったくらいや

密かにかおかご好きな自分としては、嬉しいドラマ出演です。
保田さんは、次で。いちごまも、次で。
273 名前:ぐれいす 投稿日:2001年10月03日(水)19時27分53秒
もしかして柴田さんっていちー君に告白してきた子ですか?
痛くならない程度に保田さんの動きに期待!
274 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月03日(水)21時38分20秒
いつもはROMなのですが、めちゃ書き込みしたくなりました。
よっすぃ〜、かっけーっす!!
かなり惚れました(笑)。
これで石川と、上手くいけば言うことはないっすね・・・。
では
275 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月03日(水)23時49分41秒
よっすぃ、男前ー!!
でもまだ報われてないし…(悲
梨華ちゃん、いいかげん許してやってよ…(願
276 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月04日(木)03時18分17秒
やっぱり今回登場したのは、某大手事務所のチビッコらですか?(w
でも吉澤君そんなに怒らないで。男なんて所詮こんな生き物なんですから(w

次回、いちごまは楽しみ!!
保田さんは………………。
277 名前:名無し娘。 投稿日:2001年10月04日(木)09時28分04秒
よっすぃーかっけー!
っていうか、つえー!!

そして後藤が・・・・どうなることやら・・・!
278 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月05日(金)11時26分17秒
CHAPTER40 〜接触〜


ある喫茶店の周りを、うろうろしてる不審な人物。
金髪で、ギャル格好で。
目立つこと、この上ない。

「っていうか、どれだぁ〜?」

このヤグチ様をご指名した女ってのは。
声と、指定された喫茶店だけが頼りなだけで、相手の顔も名前も知るハズがない。

もう、帰ろうか。
もしかしたら、騙されたのかも。
そう考え始めたら、なんだかとても馬鹿らしくなって。
今来た道を帰ろうと、踵を返す。
「……くっそぉ、なんだか時間、めっちゃ損した気分」
こんなことなら、石黒が仕事終わるのを待っとけばよかった。
ブツブツ言いながら歩いていると、不意に声をかけられた。

「ねぇ、矢口真里って、アナタよね?」
279 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月05日(金)11時26分47秒
――

「こんなトコで、何してんだよっ。
ていうか、いつからここにいたのさっ」
帰ってきたら、寮部屋の前で、後藤が待ち伏せ。
「ぅー……、昼間から」
「ひ、昼間からぁっ!? 何考えてんだ、バカっ!」
「………いちーちゃんのこと、考えてる」
「…………なっ!」
なんだかんだのバカップルを見せ付けられ、吉澤は恨みがましい目を向けながら、
黙って部屋へと入って行く。
「ちょ、吉澤待った! おーい!」
不安定な吉澤を、今日は慰めようと思ったのだけれど。
どうやら、自分のことで精一杯。

「………ごとーのせいだぞ、吉澤が怒った」
「………だってぇ……」
「と、とりあえず、部屋入れよ」
「………うん」

後藤が部屋に入るのは、これで3回目。

一回目は、遊びに来て初めてキスを交わした(交わされた)時。
二回目は、告白してセカンドキスを交わした(交わされた)時。

………濃いぞ。なんか、めっちゃ濃いぞ。
さて、今日はどんなことが起こるんだ。
280 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月05日(金)11時27分20秒
「あたしはね、強制しようとしたワケじゃないんだよっ?
それに、まさか嫌がるなんて思ってもなくて……」
「…うん。ごめん」
「えっ、いや、謝るのはこっちだよ。嫌がることしたんだし…」
「嫌がってるワケじゃないよ。ただ、いちーが悪いだけなんだ。
だから、後藤が謝ることないし、泣きそうになることないんだよ。
………っていうか、絶対後藤怒ってると思った………」
見つけた時、殴られるかと思ったくらいだし。
でも、殴る様子はなかったから、ちょっとビビりながらも怒鳴ったんだけど。
「怒んないよ、そんなことで……。
だって、好きで好きで、しょーがないんだもん……」
「ごとぉ……」
市井の手を、両手で包み、その上に涙を落とす。
市井は、空いたもう一方の手で、後藤の、茶色い髪を撫でることにした。

市井より、もっともっと繊細で。
市井より、もっともっと心配性で。
市井より、ずっとずっと女の子らしい。

「……俺、だって、……後藤のこと、好きで好きでしょうがないよ…」
281 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月05日(金)11時27分50秒
抱き締めてあげることは出来ないけど。
抱いてあげることは出来ないけど。
髪に触れて、手を繋いで。
そっと、唇で後藤のそれを塞ぐことは出来る。

「ん……」

多分、初めてなんじゃないだろうか。
こうして、自分からキスをするっていうのは。

「……もっと、お互い知ってからでいいじゃん。
それからでも、全然遅くないと思うよ……」
喋る度に当たる、後藤の唇。
お互いの吐息を、すぐそこで確かめ合う。
「うん……。ごめん、なんか焦っちゃってた…」
「マイペースの後藤らしくないねぇ」
「むぅ。そーいういちーちゃんは、今日、すっごく優しいよね。
いつもの冷たいいちーちゃんじゃない」
「ひ、ひどい」
「……いひひ。お返しだよ」
282 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月05日(金)11時28分22秒
勇気がないし、度胸もない。
そのクセ、嘘をつくのが上手くて、騙すのも上手いらしい。

もう、後戻りなんて出来やしない。
だから、だから。
少しでも、傷がつかないように。
嘘に嘘を重ねて、自分と彼女を守って。
守ると同時に、これから先のことを、不安にさせる。

本当は、したくてしたくてしょうがないのに。
もう、死んでもいいくらい、後藤のことを愛しているっていうのに。
自分がついた嘘のために、自分がついた嘘のせいで、自分だけじゃなく後藤も傷つけている。

「お互い知ってから」なんて。
「それからでも、全然遅くなんかないよ」なんて。

これも、嘘。全部、嘘。

……………誰か、助けて。
283 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月05日(金)11時29分34秒
――

「で、話ってなんなんですかぁ?」
ドカッと、態度もでかく、身体もでかく見せるように、椅子に座る。
そして、忙しいワケではないのだが、急かすようにして尋ねる。
「まぁ。まず注文しない?」
「……いいですよ、あたしは。喉渇いてないし」
あんまり、長居はしたくないし、こんなくだらないとこで、お金なんか使ってらんない。
ジュースを飲むお金があるなら、今だったら渋谷で服買うための電車代に使うね。
他人と初対面の相手には自分のことを名前で言わない矢口は、冷たく断わる。
「……そう。せっかく、呼び出したのもあるし、奢ろうと思ったんだけど」
「あ、やっぱ注文します!!」
さっき言ったことと、全然違うじゃないか。
でもたとえ、本当に喉が渇いてなくても、奢りという言葉を聞いたら、頼まずにはいられない。
それに、忘れてたけれど、まだ夜ご飯を食べていないのを思い出した。

「すいませーん、注文なんですけど、オレンジジュース1つ。
あ、あと、オムライスと食後にプリンパフェお願いします」
「ちょ、ちょっと……」

そりゃ、奢るとは言った。
だけど、そんなに頼むとは思ってもいなくて。
284 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月05日(金)11時30分17秒
………まあ、いいか。
その分、しっかり働いてもらえば。
見たところ、お金には弱いみたいだし。
――こっちとしては、とても都合がいい。

「いやぁ、すいませんねぇ。奢ってもらえるなんて」
「いえ。わざわざ出向いてもらったのに、当然です」
そう言ってにっこり笑うのだが、――恐い。
一体、どうして自分はここに呼び出されたんだろうと、改めて矢口は思った。
「えっとですね、矢口さんのカメラマンとしての腕を見込んで、頼みがあるんですが」
「おぉっ、マジっすか! いいですよぉ〜、名キャメラマン矢口様にお任せください!」
自分の才能を認められて、悪い気はしない。
そしてお調子者の矢口には、もってこいの誉め言葉。
恐いと思ったこの人も、あっさりと良い人に変わる。

「で、その頼みなんですけど、あるタレントのスキャンダル、撮って欲しいんです」
「え?」

スキャンダルの内容は、何でもいい。
ただ、別れてくれれば。
そしたらすべて、丸く収まる。

「――言い忘れました。私の名前、保田圭っていいます」

285 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月05日(金)11時32分06秒
(〜^◇^〜)<今日はちょっと頑張って、朝から行進してみたよ!

よーし、よく頑張ったねえ(〜^◇^〜)さん。
…でもさぁ、最近ちょっと1日置き多くない?
また新たな人が乱入してくるかもよ…。

>>273
直接的な描写はしませんでしたが、実はそうだったりします<柴田
保田さんは、痛いかもです(汗
>>274
書き込んでくれて、ありがとうございます。
普段はアホキャラで行ってますが、まあヨネオくんの男らしい所も見せようじゃないかと思って。
石川とはねぇ…。
>>275
吉澤に対して好意的な意見が多くて嬉しいです。
いしよし編で決着つけます。
286 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月05日(金)11時32分39秒
>>276
(〜^◇^〜)<作者から代弁して、ありがとう紗耶香! めっちゃ嬉しいはあとはあと

や、ほんと嬉しいです。
こんなふざけた話に投票してくださった方が、意外と多くて。
自分も投票参加させてもらいました。
入れてくださった方、ほんとありがとうございます。

まあ、どこの事務所とかはあえて名は明かしません(w
いちごま……楽しみにしてくれていたのなら、期待外れかもしれません…。
>>277
(0^〜^0)<やっぱお姫様を守るんだから、かっけくて強くないと!

後藤……こうなりました(w
287 名前:ぐれいす 投稿日:2001年10月05日(金)19時42分57秒
保田さんそこまでしなくても…
まだ名キャメラマン矢口さんが動き出すまでは
あま〜〜いごまいちとあまくなるであろういしよしに期待!
288 名前:名無し娘。 投稿日:2001年10月05日(金)20時00分53秒
後藤が一途って感じでかわいいですな。
それに比べ市井は苦しんでますね。
塗り続けなきゃいけない嘘のメッキですか・・・

そして策士保田、がんがれ!(w
289 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月06日(土)00時33分34秒
そろそろ新スレですか?(容量的に)

切ない梨華ちゃんには幸せになって欲しい。吉澤くんに幸せにして頂きたい
290 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月06日(土)03時06分34秒
>いちごま……楽しみにしてくれていたのなら、期待外れかもしれません…。
いやいや、期待どうりですよ……表面上は…。
市井の内面部分の苦悩は辛いですが…。
さらに追い討ちをかけるように外野も動きまわってるし。
不安一杯です。
291 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月09日(火)00時01分54秒
CHAPTER41 〜洗脳〜


「あー、くそっ!」

腹が立つ。めちゃくちゃ腹が立つ。
殴っても罵っても、なんか足りない。

全部、梨華ちゃんのせいだ。
どうして、梨華ちゃんのために殴らなきゃいけないんだ。
どうして、梨華ちゃんのせいで怒られなきゃいけないんだ。
どうして、怒ってる理由も説明してくれない梨華ちゃんが好きなんだ。
どうして、どうして。

人がこんなに悩んで、一生懸命になってるってのに。
こんなにもこんなにも、想っているのに。

複雑なお姫様の気持ちは、単純で鈍感な王子様には、理解できない。
292 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月09日(火)00時02分30秒
理解してよ、なんて、出来るわけないじゃん。
出来たら、とっくに理由なんか判ってる。
「しかも、北海道ってなんなんだよ…」
そんなの、聞いてないよ。
そう言ったとしたら、だから今聞いたじゃない、と返ってくるんだろうか。
そんなの、今いないんだから、判らない。

この部屋の隣には、相棒さんと後藤さん。
今頃、ちゅーとかしてるんだろうか。
こんなことを考えてる自分が、とてつもなく馬鹿らしい。

「出てくれるかな…」
電話。
「喋ってくれるかな…」
帰った理由。

「……………逢いたいよ」

――それじゃ、逢いに行こう。
293 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月09日(火)00時03分00秒
――

「………やすだ、けい?」
ちょっと待って、聞いたことがある。
確か、この人、
「後藤真希のマネージャー……?」
「……そう」
………やっぱり。

「え、で、でも、なんで。文句とかじゃなくて、頼み?」
「そう。頼み。後藤絡みなんだけどね」
「……? 話が全然見えないんですけど」
こんがらがってる矢口に、保田がそのまま説明する。
「ごっちんね、どうやら吉澤じゃなくて市井と付き合ってるらしいのね。
だから、別れさせたいから、市井のスキャンダルネタ撮ってって言ってるの」
「はあぁ!?」
何、それ。
っていうか、そんなの、事務所の人が話していいワケ?
294 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月09日(火)00時03分35秒
「ダメだから、こうやって1人で来て頼みこんでるのよ。
ごっちんは、器用な人間じゃないから、1つのことに夢中になったら、そこばかり向いちゃうの。
今その夢中は、市井くんにいってる。だから、別れさせて」
素直に自分が別れなさいと言っても、聞きやしないだろう。
だから、他の女と仲良く写っているところやらを撮ってもらって、
それで幻滅して別れてくれれば、何も言うことはない。
市井には悪いけど、これも全部、後藤のため。

「………でも、おいら、結構市井くん好きなんですけど」
「それは、撮れないってこと?」
「いや、そういうワケじゃ……」
撮れないことなんて、ない。
市井より好きな吉澤を、家賃払うためにネタにしたワケなんだし。
「大丈夫。お金はちゃんと積むわよ」
「えっ!」
一瞬、目の色が変わった。
だけどそれも、すぐに戻る。
295 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月09日(火)00時04分18秒
あんまり、こういうことは、好きじゃないんだ。
ただ自分は、好きな時に撮るっていう、縛られないのが好き。
今の週刊誌は、それが許してくれる所だった。

「………悪いけど、他の人あたってくれますか?
そんな、死ぬ程お金に困ってるワケじゃないし……」
少なくとも、今現在は。
ほんの少し前までは、死ぬ程困ってたワケだけど。
「でも、事務所に恨みはあるんだよね?」
「……え?」
「知ってるよ、あたし。あなた、ごっちんがグランプリ獲ったオーディションに、
最終候補まで残った、矢口真里だよね?」
「な………」
「あたし、あの時いたのよ」

変な汗が、身体に流れる。
思い出したくも無いあの時の映像が、矢口の頭に浮かんでは、消える。

「ホントに、受かると思ってたんだよ、あなたが。
でも、ごっちんがいいってつんくさんが言い張るから、結局ああいう結果になったんだけど」
「…………………」
296 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月09日(火)00時04分54秒
やめろ。
お願いだから、やめてくれ。
もう、憎んでいないハズなのに、思い出してくる。

「そりゃあ、恨みたくもなるわよね。
だから、そのごっちんのスキャンダルを撮って、晴らそうとかしたの?」

最初は、そうだった。
だけど今は――。

楽しいと思ってたのは、嘘じゃない。
恨みが消えたのも、嘘じゃない。

なのにこの保田圭は、それすらも嘘に変えてしまう。

「……めて。お願いだから…」
「あれっ? ひょっとして、まだ忘れてなかった?
まあ、当然よね。だって、悔しいもんね」
「く、悔しくなんか……! 見る目がなかっただけ………」

そう自分に言い聞かせても、晴れることはなかった。
違う、もう晴れたんだ。
後藤に対する敵意は消えないけれど、こうしてカメラマンという新たな道に導いてくれたのは、感謝してる。
なのに、どうして。
297 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月09日(火)00時05分26秒
「後藤真希が幸せなの、あなたは許せる?
芸能界じゃトップで、男の人気もトップで、どれもトップ。
その上、今じゃ大人気の2人の内吉澤とは友達で、市井とは恋人同士。
そりゃあ、矢口さんとしても、女なんだから許せないよねぇ?」
「……………………」

そうだよ。
大好きなよっすぃーと、抱き合っちゃったりしちゃって。
それなのに、本命はその相方。
神様だって、なんだかんだ言いながら、後藤にえこひいきしているような気がしてきた。

なんだって自分が、1番じゃなきゃ気が済まない。
そのためには、後藤真希が邪魔。
そしてそんな考えにさせているのは、この保田圭なのに――。

「ヤグチは、その辺に転がってるカメラマンと違うんだから。
……………報酬は、高いよ?」
「………そう出ると思ったよ」

――その保田圭に、洗脳された。


298 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月09日(火)00時06分45秒
(〜^◇^〜)<やっほ〜い! やほほほ〜い!!
(;0^〜^0)<DJマリーはいいから、早く「行進です」って言いましょうよ…

えー、次からの行進は、容量的に、新スレに移転します。
だから、ここに書き込むのはこれが最後です(……もしかしたら、短編書くかもだけど)
新スレの場所は、今ヽ^∀^ノ引越しセンターの人が移転先考えてくれてます。
(〜^◇^〜)さんも移転先についてきてくださいね。じゃないと行進する人がいなくなる。
一応候補は、長編用の空板か海板を予定しております。
引越し次第、載せますんで。

で、移転するまでの間と言っちゃなんですが、森板、更新しました(さりげに宣伝
さやまり好きな方は、読んでやってくれると感激です。
さやまり好きじゃなくても、読んでやってもいいよ、という方も、もちろん大感激です。
299 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月09日(火)00時07分22秒
>>287
保田さんは、行けるトコまでいっちゃいます。
純粋に保田さんが好きな人は、そろそろ読むのをストップした方がよろしいかもしれません…。
あまーいいちごま(ごまいち)は次で。
あまーい(?)いしよしは、次の次でいしよし編。
>>288
ごっちんは一直線で通してます。
市井より何より、作者が1番苦しんでます(w
メッキは、いつか剥がれるんですよね……。

( `.∀´)<ここからが私の出番よ!!
>>289
新スレです。
新スレになっても、読んでくだされば嬉しいです。
いしよし編で、決着つけます。
>>290
(〜^◇^〜)<それだったらさぁ、さやまり写真集出そうよ
        少なくともここの作者は、貯金全部使ってでも買いまくるよ

不安一杯の読者さんの心を、もっと不安一杯一杯にしてみました(w
300 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月09日(火)03時14分34秒
や〜す〜だ〜め〜(怨

さ〜て自分もそろそろ引っ越しの準備始めるか!!
作者さんを追いかけてどこへでも……。(w

301 名前:名無しの読者 投稿日:2001年10月09日(火)18時35分46秒
や〜す〜い〜や〜(泣
302 名前:名無し娘。 投稿日:2001年10月09日(火)18時47分20秒
またしても二人の仲に危機がぁ!

・・・障害があってこそ萌えます(w
303 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月09日(火)19時30分26秒
吉澤くん行け〜!!
304 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月09日(火)21時55分20秒
…ふと思ったんだけど、ヤッスー…
市井と後藤が付き合ってるってのが一番のスクープじゃないのか…?
305 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月09日(火)23時08分40秒

うを!!確かにそりゃ盲点(ワラ
306 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月09日(火)23時48分21秒
新スレ立ててからレス返そうと思ってたんですが、ちょっと個人的に>>304さんに、
先に、レス返します。

あれです、俺の説明が足らなかったみたいです。
自分の頭と心の中ではちゃんとできてたんですが、それを文章にするのを忘れてました。
確かに、1番のスクープなんですが、後藤にとっては嬉しいスクープなんです。
熱愛が発覚したら堂々と出来るし、何よりここの後藤は、一直線な人間なんで。
反対されて、別れろと言われたら、それはそれで構わない。
別れさせられるくらいなら、芸能界辞めてやる、と言いかねない後藤なんです。
もちろん、それはそれで市井も困るのですが……保田はもっと困るのです。
だから、後藤が呆れて、自ら嫌いになるように仕組もうと考えたってワケです。

完っ璧に、文章に入れるのを忘れてました。
判り難い説明ですが、ご理解頂けるととっても嬉しいです。
これからの話で、もう少し判り易いバージョンを入れたいと思います。
他にも、ここ抜けてるぞ、おかしいぞ、と突っ込みがあれば、お願いします。
307 名前:ぐれいす 投稿日:2001年10月10日(水)00時29分15秒
そんなにも一途なごっちんがイイ!
それにしても保田のキャラだけはどの小説でも似てますね(w
308 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月10日(水)01時17分42秒
大丈夫ですよ。読んでてわかりましたから。
頑張ってくださいね!!
309 名前:304 投稿日:2001年10月10日(水)06時10分20秒
ごめんなさい。
まぜっかえす気は無かったんだけど、ただ、後藤にとってってより、
矢口にとっての一番のスクープはいちごまかなぁ…と。
だから、矢口がそのまま従うのかなぁ…とふと思ったわけです。
でも、まぁ、矢口にはオーディションのことがあるんですよね。
ほんと、まぜっかえしてすいません。
悪気とかじゃ無く、ただふと思ったことを書いちゃっただけなんで
ほんと気にしないで下さい。(汗
続き、ほんとに期待してますから…
310 名前:305 投稿日:2001年10月10日(水)12時25分06秒
私もそんなつもりではなく…
ごめんなさい。

頑張ってください。
311 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月12日(金)15時05分13秒
ヽ^∀^ノ引越しセンターの方の準備が整ったようなので、移転します。
本当は昨日の内に再開したかったのですが、どうしても興奮して手がつかなかったので、遅れました。
移転先は海板にしました。
アドレスは→http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=sea&thp=1002866242

どうか、移転しても読んでくだされば嬉しいことこの上ありません。
312 名前:ダメ経営者 投稿日:2001年10月12日(金)15時05分47秒
>>300
(〜^◇^〜)<もう、世界中の人が買っちゃうね!

保田の苦情は、すべて受け付けます(w
引越ししても、どうかよろしくお願いします。
>>301
保田の苦情は、すべて受け付けます(w
>>302
危機は、もっとたくさんでてきます。
……燃え尽きないように、2人には頑張ってほしいもんです。
>>303
(0^〜^0)<行きまっせ〜!
>>307
(;´D`)<ド、ドラマNG?……み、見てないのれす…

一途です、ごっちんは。
保田のキャラ……そうなんですかね?
>>308
ありがとうございます。
もっとうまくなれるように、頑張りたいです。
>>309
矢口の気持ち、補足しておきました。
あともう少し進んだら、そこら辺の所を判り易くしていきたいです。
こちらが悪かったので、304さんこそ、気にしないでください。
判り易く、読みやすく、頑張りたいです。
>>310
いやいやいや、こちらこそごめんなさい。
そちらが、謝ることないんです。
説明不足で忘れんぼのこっちが悪かったんですから。

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