インデックス / 過去ログ倉庫 / 掲示板

『最後の恋にする為に』

1 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)06時30分28秒
え〜初投稿、その上初執筆です。
吉澤ひとみ主演です。

上手くいくかどうかかなりの不安を持ちつつスタートしたいと想います。
今のところ出演予定は石川・矢口・中澤・後藤・安倍です。

スローペースになると思いますが宜しくお願いします。
2 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)06時31分19秒
ベッドからちょこっと顔を出した少女が一言
「は〜今日もあちぃ・・・」
少女は張りの無い声で呟く・・・
夏休みとはいえ、もう午後2時をまわっている。
「だるい・・・もっかい寝ようかな・・・」
ヲイヲイ・・・
あえてもう一度・・・
夏休みとはいえ、もう午後2時をまわっている・・・。
後数日で新学期が始まるというのに大丈夫なのか?
と、心配なこの少女は吉澤ひとみ16歳。高校1年生。

夏休みとはいえバスケ部に所属している為、毎日毎日練習が続いていたが
大会も終わり最後の1週間は休みを貰えた。
しかし昨夜は、日付が変わる前には眠りに着いていたので14時間以上・・・
寝過ぎである。
3 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)06時33分36秒
「ん〜〜ん・・・」
それから1時間ほどして目を覚ました。
「・・・・・・?」
(なんか忘れてる気がすんだけどな・・・)
「ま、いっか。あ〜腹減った」
そう言って鼻歌交じりに階段を下りていく。
家族は全員出かけているようで家にはひとみしか居なかった。

冷蔵庫からパックの牛乳を出しコップに注ぐ事無く直接飲む。
「ぷはっ〜〜〜。美味い!」
(は〜何食おうか・・・。食う?・・・・・・・・・)
「うあああああああ!!!!!!!」
ひとみはようやく何を忘れていたのか気がついた。
「ヤバイ!やばいよ。」
4 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)07時37分57秒
やっぱ市井も出します
5 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)09時52分47秒
メインはよしいし・いちごまの話になります
6 名前:名無し読者 投稿日:2001年08月30日(木)10時57分46秒
楽しみにしてますんで
頑張って下さい!!
7 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)12時25分33秒
昨日の夜、ひとみがベッドに潜りウトウトしている時に電話がかかってきた。
ピピピピロ〜ロン。ピピピピロ〜ロン。
意味不明な着信音が鳴り響く。
「ぬあ?・・・も〜寝てんに〜」
サブディスプレイには『柴田あゆみ』の文字。
「お、あゆみじゃん」
柴田あゆみとはひとみが今付き合ってる彼女だ。
「もしもし」
【よっすぃ〜?】
「ん?どうしたの?」
【明日から部活休み.....だよね?】
なんとなく声が沈んでいる。
「うん」
【会いたいんだけど.....。いいかな?】
「いいよ」
【こないだ行ったパスタの店憶えてる?】
「ん。憶えてる。美味かったよね〜」
【新メニュー出来たらしいんだ】
「マジ!?食いたい!!」
【じゃあ、そこに1時に待ってるね】
「お〜け〜」
【じゃ、おやすみ】
(なんか声暗かったような気もするようなしないような....。ま、いっか....)
ひとみは大して気に留めることも無く眠りに付いたのであった。
8 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)12時28分47秒
待ち合わせの店は学校の近くで、ひとみの家からはかなり離れていた
その上起きたのが3時過ぎ....
お急ぎで駅まで走りながら電話しても出ない。
(怒って帰ったかな?)
と、思いつつもとりあえず店に向かった。
着く頃にはもう4時半になっていた

カランッカランッ...慌てて中に入る
あゆみはカウンター近くのテーブルに座っていた。
「ごめんっ!ねぼっ!!」
寝坊した、と続ける前に冷たい液体がひとみの視界を塞いだ。
その瞬間店内の全員が二人を見る。
「なっ!何すんだよ!!」
「自分の胸に訊いてみれば?されるようなことしてるでしょ?」
「遅れたのは悪かったけど、それくらいでこんな...」
何がなんだか、わけがわからなかった。
「遅れたことを怒ってるんじゃないの。
とりあえず私、よっすぃ〜とはもう別れるから!」
「へ??」
ひとみにはこの状況が上手く理解できなかった。
(なんじゃ?急に)
「昨日、私中等部の松浦さんって子に会ったんだよねぇ〜」
「げげ!!」
「そういうことだから」
それだけ言ったらあゆみは去っていってしまった。

「は〜」
大きくため息を吐いて自分に注目している人たちに情けない目線を送った後
「すいません...お勘定.....」
あゆみが飲んでいたコーヒー代を払って店を出た。
9 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)12時29分24秒
あゆみは1つ上の2年生で6月の初め頃に告白されて付き合い始めた
別に好きなわけてもなかったけど、ちょうど前の彼女と別れて
暇なときだったし。断る理由もないしって感じで.....
(松浦か〜喋んないって言ったのにな〜)
松浦というのはバスケ部の後輩で中等部2年。
大会前の中等部高等部合同合宿の時告白されて
抱いてしまった。
(やっちゃったのはマズったかな....だってさ〜一回抱いたら
忘れるからって言ったのにさ〜)
そういう問題ではないのだが、ひとみはそういう事に対して
軽い考えしか持っていなかった。

夏休みも終わりだっていうのに良いこと無いまま
アタシは2学期をむかえるのか・・・・などと自分勝手なことを
考えながら家路に着くひとみだった。
10 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)12時30分20秒
今日から2学期が始まる。
ひとみの通う学校は小・中・高一貫の女子高。
ひとみは中学からここに入ってきたのだが実家が埼玉の為
夏休みや春休みといった長期の休み以外は寮で暮らしている。
ちなみに中・高は同じ敷地内にあり寮はその裏にある。

「よっすぃ〜〜〜!」
ひとみが一人寮からの校門までの短い距離を歩いていると
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
振り返るといつもの見慣れた顔
「うっす!ごっちん!ひっさぶり!」
ごっちんと呼ばれた少女は後藤真希。中学からの親友だ。
「振られたらしいじゃぁ〜ん」
「げ!なんで知ってんの?」
「ふっふっふ!ゴトーの情報網を甘く見るんじゃありません!
っていうかもうバレバレだと思うよ。よっすぃ〜に関する情報は
回るの早いからね〜」
ひとみはその容姿とクールな性格から学校中にファンがいるほど
モテていた。
そのため、ひとみが誰と付き合い始めた又は別れたという情報は
誰かに監視されてるのか!と思うほど回るのがはやかった。

そう言ってる今日も校門の前には数名の女生徒が
ひとみの登校を出迎えており、自分達の前を通ると
「おはよう!」だの「今日の吉澤さんも素敵!」だの言っている
11 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)12時30分49秒
とりあえず「おはよう」と挨拶だけ返して校門をくぐると
バシッ!!!頭を叩かれた。
「いって〜誰だ!!」
と、後ろで不適な笑いが聞こえてきた。
「よーしーざーわーフフフフフ....
休みの間に面白いことがあったらしいやないか?
先生聞きたいな〜」
「げげげげげ!!!」
そこにはひとみと真希の担任中澤裕子がニヤニヤして立っていた。
「な、な、な何のことっすか?」
「しらばっくれてもあかんで!ゆうちゃんにはお見通しや!
清き乙女が吉澤の手でまた一人汚されていったと思うと
ああ!不憫!」
(つーか何でこの人は何でもかんでも知ってるんだよ!!)
そのとき横にいた真希が校門の方を指さした
「あ!!!やぐっつぁん!」
「えっ何処何処?」
中澤がキョロキョロしているうちに真希はひとみの腕を掴んだ
「今のうち!」
「ん」
ダッシュで教室へと逃げた。
12 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)12時40分49秒
柴田・松浦はたぶんもう出てきません(あくまでたぶん)
メインキャストが揃うまでもう少しかかります
13 名前:名無し@チャ〜ミ★ 投稿日:2001年08月30日(木)13時52分21秒

メインキャスト!?楽しみです〜♪
 いしよしだと嬉しいなぁ…♪
 学園モノ大すっき★
 作者さん、頑張ってくださいね!
14 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)17時43分47秒
「よっすぃ〜もさ〜そろそろ落ち着いたら?くっ付いたり離れたり
忙しいくない?長くても2.3ヶ月くらいしか続いてないでしょ?」
教室についてHRが始まるまでの時間真希が後ろを向いて話し掛けてきた。
真希の席はひとみの前である。
「え〜。でもさ〜。いっつも向こうから好きだとか言っといて結局別れようとか、
嫌いだとか言うんだよ〜アタシの意思じゃないもんどうしようもないじゃん」
真希はひとみの鼻を摘んで言う。
「そ〜れ〜は〜よっすぃ〜に原因があるのがほとんどじゃん」
「ううう...それは...そうとも言う」
「でしょうが!」
と、手を離した。
確かに別れを告げられる原因は9割方ひとみの女関係の乱れだった。
「じゃあさ!次はごっちんがイイな〜アタシと付き合っちゃわない?
そろそろ良いと思うんだけど」
「やーだよ。ゴトーにはちゃんと好きな人が居るんだから!」
「げ!あんな堅物やめときなって〜絶対アタシの方がエッチ上手いよ!」
次の瞬間、
「イテ〜〜〜」というひとみの叫び声が響いた。
15 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)17時45分17秒
「ごっちんのばか力...」
げんこつを落とされた頭を撫でながらボソっと言ったのだが
「え?何だって!!!」
「う...何でもありません(ごっちんたらコワイ)」
「せっかくよっすぃ〜に情報を分けてやろうと思ってたのにさ
余計な事ばっか言ってたら教えないよ。」
とたんにひとみの目が輝く。
「ん?何々?」
「聞きたい?」
「聞きたい!聞きたい!」
「う〜んそこまで言うならしょうがないな〜」
(つーか言いたいくせに....)
「へへへ〜。最新情報だよ〜今日ね〜転校生が来るらしいのだ!!」
「まじ?!」
「へっへっへっへ〜しか〜も。可愛いらしいよ〜」
と、言いながら得意気な真希。
「つーかさ一個聞いていい?」
「ん?何?」
「なんでごっちんは可愛いかどうかまでわかってんの?」
「ふっふっふ!ゴトーの情報網を甘く見るんじゃありません!」
(その台詞聞き飽きたよ....理由が知りたいのに...)

16 名前:REDRUM 投稿日:2001年08月30日(木)17時49分57秒
>>6
ありがとうございます!頑張ります!

>>13
ありがとうございます!私もいしよし大好きです。
いしよし小説読んで娘。ファンになったくらいですから・・・。
17 名前:ニス 投稿日:2001年08月31日(金)00時58分26秒
おお〜!学園ものですか。
いしよしもいいですが、自分的にやっぱいちごまは特別なんで、うれしいっす!
なんか、カップリングの中でも一番安心してみていられるというか・・・

いしよしは色んな障害があるのが味噌だと思うんで、楽しみにしてます。
がんばってくださーい!
18 名前:REDRUM 投稿日:2001年09月01日(土)11時35分42秒
>>17
学園モノって難しいと、すでに嘆いていますけど…頑張ります。
いちごまも良いですよね〜いちごまの時のごまは可愛いから好きです。
19 名前:七誌の毒者 投稿日:2001年09月02日(日)02時43分56秒
あ 楽しみだな
頑張ってください
20 名前:名無し女。(青坂) 投稿日:2001年09月04日(火)06時47分59秒

あ!REDRUMさん!花坂で書いていたんですね♪
いしよし私も大すっき!です♪
お互い頑張りましょうね〜♪
21 名前:REDRUM 投稿日:2001年09月06日(木)04時10分26秒
1時間目が始まって15分経っても中澤は現われない。

「つーかさ、あの先生毎回ロングHR度に来るの遅すぎんだけど」
ご機嫌斜めといった感じでひとみは頬杖をついて無人の教壇を見る。

「え〜楽だからいいじゃん!…で、転校生なんだけど…」
「今日マジ眠いんだよねぇ。バイトはじめちゃって」
「そうなんだ…で、転校生なんだけど…」
「先生来たら起こしてよ。ちょい寝る。」
「わかった。って、え!?」
「おやすみ……」
「お〜い、お〜い…転校生…って無視かよっ!!」
既にひとみはのびた並の早さで眠りについていた。

ロングHRというのは毎週月曜日の朝や始業式等の日の朝にある
2時間ぶっとうしのホームルームの事だ。

毎回中澤は2時間目にならないと現われない。
何故、教室に来ないのかというと
別に忙しいというのでは無いのだが…。
22 名前:REDRUM 投稿日:2001年09月06日(木)04時12分10秒
----その頃中澤は----

「いや〜〜〜〜!始業式ってのは最高やなぁ!」
ここは職員室の向かいにある談話室

「いいんでしょうか?ここにいて…。」
申し訳なさそうにスミにちょこんと座り目の前に居る教師に
訪ねる少女。
肩より少し長い綺麗な髪。そして女の子らしいかわいい声。
少女は今日はじめてこの学校にやってきた。

「ええねん。ええねん。ホームルームっていうのは
休憩する為にあるねん。連絡事項だけで2時間もかかるかいな」
教師とは思えない発言。

「そうだよ!矢口もホームルームの時間は毎回
ここで裕ちゃんと時間潰してるし」

「はあ…」
自分の事を矢口と呼ぶ少女と中澤を見比べながら
気の無い返事をする。
(ほんとにいいのかな?この人教師だよね…)

「なんや硬いな〜そんな硬くならんでもええがな。気楽にしたってや。」
ガハガハ笑いながら肩を叩いてくる。
「はい。(い、痛い)」
「ははは!それが硬いんや!何も緊張する事あらへん
クラスの子らもええ子ばっかりやし」
23 名前:REDRUM 投稿日:2001年09月06日(木)04時14分08秒
「ロングHR度に」ではなく「ロングHRの度に」の間違いです。
すみません!
24 名前:REDRUM 投稿日:2001年09月06日(木)05時07分51秒
「そういえば、今日入寮するんやったっけ?」
「はい」
「へ〜寮はいるんだ?」
「はい」
「なんや、さっきから『はい』しか言ってないで。大丈夫かいな」
「キャハハ。で、何班なの?」
「13班や。矢口と同じ班やからよろしく頼むで!」
「オイラと一緒か!うちの班は3年がいないから2年のオイラが
班長なんだ!よろしくね!」
「よろしくお願いします」

ハロモニ学園・朝風寮は全48名13個の班に分かれていて
3〜5名づつで1つの班が作られているのだが
完全個室制でかなり設備も整っている。

「そうそう、よっすぃ〜も同じ班だよ」
思い出したように矢口が言った。
25 名前:REDRUM 投稿日:2001年09月06日(木)05時08分24秒
「よっすぃ〜?」

「あ〜。うちのクラスの吉澤や。……う〜ん吉澤か…危険や
この上なく危険や…失敗か…班分け失敗か…?」
途中で急にブツブツ言い始める中澤。

「危険って、どんな人なんですか?」

「ハハハ気にする事無いよ。ぜ〜んぜん危険なんかじゃないよ
優しいし良い子だよ。っていうか、めっちゃくちゃカッコイイんだ!」

(カッコいいのか…ちょっと見てみたいな…)

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン........

「2時間目始まったみたいやな。ほな、そろそろ行こか」
「はい」
「矢口はどうするん?」
「あ〜オイラここで待ってる。今、教室行ったら怒られそうだし」
「そやな、ほな終わったら寮案内したってな」
「おうよ!」

矢口を残し、2人は教室へと向かった。
26 名前:REDRUM 投稿日:2001年09月06日(木)05時19分17秒
のろのろペースですが更新です。
今後は週1.2回の更新になると思います。
かなり長くなりそうな予感。年末までかかりそう。
スットクが無いので苦しい…。しかし、最終話は既に仕上がっていたりします。

>>19七誌の毒者さん
ありがとうございます!頑張ります!!

>>20名無し女。(青坂)さん
見付かってしまいましたか…お恥ずかしい。
青板の作品楽しませてもらっています!お互い頑張りましょう!!
27 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月13日(木)06時48分25秒
面白いです。よっすぃーはタラシが似合うので期待してます。
28 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月18日(火)01時48分19秒
続きが見たいっす。
29 名前:『最後の恋にする為に』-14- 投稿日:2001年09月18日(火)14時08分23秒
「ほ〜い!みんな座りや〜」
大きな声そう言いながら中澤が教室に入ってきた。

「先生遅いよ〜」
何処からか声がする。
「なんやなんや〜いつもの事やがな。気にしてたらアカンで。
それよりもや、今日はみんなにお知らせがあります。とっても素敵な
お知らせです。さて、何でしょう?」
何故問い掛けるのだ中澤…

なんだ?なんだ?と教室が騒がしくなった。
暫くして、
「裕ちゃん!どうでもいいから早くしてよっ」
「何や!後藤は相変わらず生意気やな〜せっかくのワクワク企画やのに
教えたらへんで!」
訳のわからないことを言う中澤に真希は呆れ顔。
(ワクワク企画ってなんやねん!って、おっと私まで関西弁に…)

「私知ってるもん!お知らせ」
フフンッと何故か威張ってみせる
「な、な、な、な、何でや〜」
「市井ちゃんから聞いた」
その瞬間中澤の表情に怒りがメラメラと
「あいつ…黙っとれって言ってんのに呼び出しや!覚えとれ!」
(ゆ、裕ちゃん…そんなに怒るほど張り切ってたのか…)
30 名前:『最後の恋にする為に』-15- 投稿日:2001年09月18日(火)14時21分11秒
そのとき
「あのー」
扉の外から僅かに声がした。

「あ、そやそや。もうええわ。企画は台無しや…ええで〜入っといで〜」

中澤の声に扉が開いた。

「え〜転校生です。ホイっ、名前」
「石川梨華です。神奈川から来ました。よろしくお願いします」
パチパチと拍手がおこる。

「石川は親が海外に行く事になってしまったので寮に入ることになってるんやけど
え〜吉澤。同じ班やからってちょっかい出さんように…って寝てるや〜ん!」
ひとみはまだ居眠り中
「まあええわ、その方が安全や。で、石川は3年の市井の従姉妹です。
みんな仲良くするように。はな、市井繋がりってことで席は後藤の隣な」

ひとみと同じ班、そのうえ市井の従姉妹。
生徒たちから「羨ましい!」の視線が集中する。

梨華が席につきながら
「久しぶりだね」
真希に微笑みかける
「よろしくね」
真希も笑って返した。
31 名前:『最後の恋にする為に』-16- 投稿日:2001年09月18日(火)14時40分21秒
「ほいじゃあ、これでおしまい。明日からは通常授業やから間違わんように。
それと、後藤。吉澤起きたら、次から居眠りしてたら骨の1.2本覚悟しとけって
言っておいて!ほな、みなさんサイナラ!」

中澤が出て行ったあと真希がひとみを起こす。

「…っすぃ〜…きてよ〜起きなってばー」
ひとみは眠い目をこすりながら声のする方を見る
「ごっちんオハヨ。」
「オハヨじゃないよ。もう終わったよ」
ふぇ〜?っと教室を見渡す。
すでに数人の生徒しか残っていない。

「あれ?この子誰?」
真希の隣に申し訳無さそうに立っている梨華を見た。
「転校生だよ。寮はよっすぃ〜と同じ班」
「石川梨華です。よろしく」
ひとみは梨華の全身を舐めるように見る。

(うう。なんだか見られてて恥ずかしい…吉澤さんてホントかっこいいな
 綺麗な顔してる。どうしよ、何か喋った方がいいかな…)

「市井ちゃんの従姉妹なんだよ」
真希がそう言ってもひとみは梨華に視線を向けたままだ。
そしてニヤッっと笑う。

32 名前:『最後の恋にする為に』-17- 投稿日:2001年09月18日(火)15時06分15秒
「ふ〜ん……梨華ちゃんだっけ?顔も可愛いけど名前も可愛いね!
あと、声も。」
即座に梨華の顔が真っ赤になる。

バシッ!
「余計な事言わんでよろしい。それと、裕ちゃんから忠告。次から
居眠りには鉄建制裁!あと、梨華ちゃんに手を出さない事!」
ひとみをしばいた真希は腕組みをしながら見下ろす。
「中澤の奴余計な事を…」

「でさ、ついでだからよっすぃ〜も寮案内するのついて行ってあげなよ
このクラスで寮入ってるのよっすぃ〜だけだし、やぐっつぁんも談話室で
待ってるらしいから」

「無理。」
即座に答えた。真希には意外な答えだった。
ひとみが可愛い子を前にして断る筈は無いと思っていたから。
「何でさ〜?」
真希が訪ねる横で少し落ち込んだ表情の梨華。
33 名前:『最後の恋にする為に』-18- 投稿日:2001年09月18日(火)15時06分59秒
「梨華ちゃんごめんね。いろいろ教えてあげたいんだけど、今日は
ちょっと先約アリなんだよね〜……つーことでごっちん市井さんに
部活休むって言っといてよ。アタシ急ぐから。」

そういって鞄を掴むと教室を出て行った。

去り際、梨華の耳もとで何か囁いて…。

「どうしたの?」
梨華の身体が固まっているのを見て真希が不思議そうな顔をする。
「え?な、何も無いよ。さっ行こっか」
梨華の顔はさっきよりもっと真っ赤になっていた。
34 名前:『最後の恋にする為に』-19- 投稿日:2001年09月18日(火)16時06分31秒
----梨華視点----

寮の中を矢口に案内してもらっている最中梨華は上の空だった。

吉澤さん私のこと『梨華ちゃん』って呼んでくれてたなぁ〜
仲良くなれそうで良かった。でも、あれはどういうつもりだったんだろう

『梨華ちゃんって抱きごこち良さそうだね』
――――そう言ってひとみは去っていった。

抱きごこち
抱きごこち
抱きごこち………
梨華の頭の中でひとみの声がリフレインする。

やっぱりそういう意味なのかな?

「…ちゃん!梨華ちゃん!聞いてる?」
「は、はい」

そうだった。矢口さんに案内してもらってたんだわ…

「すいません。ちょっと考え事してしまって…。」
35 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月18日(火)19時48分49秒
抱きごこち………


妄想が膨らみます。
36 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月20日(木)10時01分33秒
抱きごこち良さそう…ドキドキ。
37 名前:REDRUM 投稿日:2001年09月23日(日)09時11分41秒
foxcgi.zero.ad.jp/~zba12976/asakaze.jpg
朝風寮の見取り図を作ってみました。
38 名前:『最後の恋にする為に』-20- 投稿日:2001年09月23日(日)11時42分52秒
「なに〜聞いてなかったとは!いったい何を考えてたのさ?」
何故かニヤニヤしている矢口。

まさか矢口さんに言えないし…
(「抱きごこち良さそう」って言われたなんて…きゃっ(照))

ひとり顔を真っ赤にさせ別世界に行ってしまっていると
「梨華ちゃんって面白いね」
そう言われて意識が戻ってきた
「え?そうですか?」
「顔、赤いよ。寮の案内されて赤くなる子なんて普通じゃないよ〜」
ケタケタ笑う矢口。
(そ、そんなに笑わなくても…)

「考え事してたからですよぉ〜」
と、言ってみたものの…すぐにそれが失敗だった事に気付かされる。
「考え事って…ことは〜、赤くなるような事思い出してたんだ!
梨華ちゃんHじゃ〜ん。」

矢口さんにやけ過ぎです…

「よっすぃ〜に何かされたんじゃないの〜?」

す、鋭い…

「そ、そんなこと…ない…ですよ」
(されてはないもん。言われただけだもん。)
39 名前:『最後の恋にする為に』-21- 投稿日:2001年09月23日(日)11時54分06秒
「図星だった?キャハハハハ!いや〜よっすぃ〜だったらやりかねん。
初日からやってくれるねぇ。そうか〜梨華ちゃんて、よっすぃ〜が好きそうな
タイプだと思ったんだぁ〜。うんうん、納得!納豆食う!ってか?こりゃ、
我ながら寒すぎってか。やっぱ、梨華ちゃんもよっすぃ〜の毒牙に…
ま、隣はよっすぃ〜の部屋だから仲良くやっちゃってよ。向かいは空室だから
周りの目は気にしないで良いよ。ムフフフフ!じゃ、案内も終わったし
私は裕ちゃんとデートだから、ゆっくりしてなよ。ほいじゃあね〜〜〜。」

けたたましく喋りまくって去っていく矢口に梨華の口は開いたまま…

矢口さん凄い勢いで喋ってたな…
少し勘違いされていたけど…
よっすぃ〜が隣か…

夜になり、ベットに寝転がった梨華は天井を見上げながら
ひとみの事を思い浮かべていた。

よっすぃ〜ってモテるんだよね…みんな言ってたし…。先約って女の子かな?
何だろう…胸が苦しいよ…今日はじめて会ったのに、すごく気になる。

ふと、ひとみの部屋の方の壁を見つめると、頬を液体が流れた。

「好きになちゃったのかな…。」

それは、梨華にとってはじめての恋だった。
40 名前:『最後の恋にする為に』-22- 投稿日:2001年09月23日(日)12時12分42秒
「アタシこうやってんの好きだな〜」

「ん?何が?」

「終わった後にさ、こうして腕枕しながら目を瞑ってアタシに抱かれてる時の
なっちの顔を思い出すんだ〜。」

「な、何それ〜」

「だって、可愛いんだもん」

「年上に向かって可愛いって…も〜」

「イヤ?」

「……嬉しい。」

ハハハハっやっぱ可愛いや!と、言ってなつみの髪を撫でると
抱きついてくるなつみの顎に軽く手を添え唇を重ねる。

「卒業するの嫌だなぁー」

「なんで?」

「学校で会えなくなんじゃん!そんなの嫌だべ」

「な〜に言ってんだか…。」

「卒業してもこうして会ってくれるよね。」

「あたりまえじゃん」

「よっすぃ〜」

「ん?」

「好きっ」
41 名前:REDRUM 投稿日:2001年09月23日(日)12時20分47秒
よっすぃ〜主演なんですが、これからは梨華視点も増えるかもしれません。
それにしても、我ながらのんびりした更新だ・・・
42 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月23日(日)23時19分11秒
いしよしなち?意外な組み合わせに期待大
43 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月08日(月)08時37分54秒
吉澤やるね〜。 なっちだけじゃなさそう。(笑)
REDRUMさん、これからも更新頑張ってください。
44 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月09日(火)14時36分33秒
作者さん更新を・・・
45 名前:REDRUM 投稿日:2001年10月09日(火)20時08分58秒
>42&43&44さんありがとうございます。
更新頑張ります。

………ショッキーです。
-22-の最後、なっちの「好きっ」のセリフのあとよっすぃ〜の
「わかってるよ」ってセリフがあったのに写し忘れてました。
かなり凹んでいます。
46 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月10日(水)14時47分12秒
REDRUMさん、待ってますよ。
47 名前:『最後の恋にする為に』-23- 投稿日:2001年10月14日(日)16時17分47秒
「寒いなぁ。」

その日、ひとみが寮に戻ったのは午前3時を過ぎた頃だった。
毎朝、班ごとに点呼があるためどんな時間になっても
とりあえず寮には帰ってくる。
いつものように塀を登って敷地内に入り非常階段から2Fに上がる。
自室の隣にある梨華の部屋の前を通り過ぎようとしたとき
中からすすり泣くような声がした。

「ん?」
(確か梨華ちゃんだっけ?転校生の部屋だよな〜)
気のせいかと思ったけれど、やっぱり泣き声に間違いない。
ひとみは遠慮がちにドアをノックしてみる。

――――――――。

やっぱ気のせいか…そう思って背を向けようとしたときドアが開いた。

眼を真っ赤にした梨華の姿
「よ、よっしぃ〜............。」
目が合ったと思うとすぐ俯いてしまった。
(マジで泣いてるじゃん!)

「夜中にゴメンネ。なんか泣き声が聞こえちゃってさ…。
なんかあったの?」
ひとみが訊ねても俯いたままで首を横に振るだけ
「まさか、いじめられたわけじゃないよね?」
さっきと同じように無言で否定する。
48 名前:『最後の恋にする為に』-24- 投稿日:2001年10月14日(日)16時19分04秒
どうしたものか…
泣き顔を見てしまった以上、ほっといて部屋に戻るわけにもいかない。
かといって、このままでも埒があかない。

「とりあえず、中……入るね。」
返事を待たず中に入りドアを閉める。
「おじゃましま〜す。」
梨華の手を引き奥に進むとベットを背もたれにして床に座り込んだ

「立ってないでさ、梨華ちゃんも座りなよ…って自分の部屋みたいなこと
言ってるなアタシってば。」
あえて明るく言ってみたのだけど、梨華の表情は変わらない。
静かに腰を下ろすと
「ごめんなさい……」
消えてしまいそうな梨華の声がひとみの耳に届いた。
49 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月23日(火)15時39分15秒
見てまっせー
50 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月28日(日)00時20分51秒
つ、続きを…
51 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月29日(月)18時47分31秒
更新よろしく。
52 名前:ちび 投稿日:2001年10月30日(火)14時31分24秒
続きお願いします
53 名前:『最後の恋にする為に』-25- 投稿日:2001年10月30日(火)22時09分43秒
「なんで謝るのさ?」
ひとみが覗き込んでも顔が見えないほど下を向き、涙を流している。
「迷惑…かけちゃってるね……ワケわかんないよね…。」
泣き止もうと必至なのは伝わるけれど
流れてくる涙は止まってはくれなさそうだ。

「迷惑とかじゃないよ、どうしたのか聞かせてくれないかな?」
返事がない。
「う〜ん…じゃ、とりあえず…。」
なんて言いながら抱きしめてなんかみる。
一瞬ビクッっとしたけれど、安心したように梨華は身を預けてきた。

背中を優しく擦りながら…

「こうするとさー落ち着かない?小さい頃さ、泣いてたら母さんが
よくこうしてくれたんだよねぇ〜。………言いたくないんならいいよ。
会ったばっかだし言いにくいのわかるよ。」
54 名前:『最後の恋にする為に』-26- 投稿日:2001年10月30日(火)22時18分59秒
肩に埋めていた顔をそっと上げる
「あ、やっと泣きやんでくれた〜。」
梨華はひとみを見上げながら濡れた瞳で少し微笑んだ。
(げ。むちゃくちゃカワイイですけど…)

「落ち着いた?」
「うん。ありがとう。」
あまりに申し訳無さそうに梨華が言うもんだから少し笑ってしまった。
「梨華ちゃんってさ。な〜んかカワイイよね。」
「えっ?」
「小さくなっちゃって、ホント女の子って感じでさ…あんま、そんなトコロ
人に見せてると襲われちゃうよ〜。ヤバイヤバイ!アタシもコロっと
いっちゃうとこだったよ。」
そんなことを言うもんだから想像するまでも無く
梨華の顔は真っ赤になっているはずで……。

「じゃ、部屋戻るね。用があったら気軽に声かけてよ。お隣さんだし。」
ドアの開けて出ようとした瞬間Tシャツの裾を引っぱられた。
振り返えると梨華が俯いて立っている。
55 名前:『最後の恋にする為に』-27- 投稿日:2001年10月30日(火)22時36分04秒
「…ゅう…。」
よく聞こえなかった。
「り..ゆう..」
今度は聞こえた。でも、なんのことかわかんない。

「理由って?」
頭の中を『?』で一杯にしながら訊いてみた。
「私が泣いてた理由…。」

「ああ…無理して言うことないよ。
もちろんみんなには泣いてた事も内緒だからさ!」
梨華の肩に手を置いてへへへッと笑った。

「好きなの。」

「え?」

「よっすぃ〜の事が好きになっちゃった。」

梨華は真っ直ぐにひとみを見つめた。
それだけで精一杯なのだろう、また泣き出してしまいそうな表情。

ひとみが梨華の頬にそっと触れると、二人の唇がほんの少し重なった。

「ありがとう。」

それだけ言ってひとみは部屋に戻って行った。
56 名前:『最後の恋にする為に』-28- 投稿日:2001年10月30日(火)22時40分50秒
ベットも上で一人…ひとみは少し困っていた。
理由はひとつ。梨華の事。

確かに梨華はカワイイ…正直そう思う。
でも梨華の性格上、軽い遊びで付き合うなんて無理っぽい。
今日一日しか接して無くてもそれくらいはわかる。
まあ、好きと言われただけで付き合ってくれと言われたわけじゃないけれど。

頭になつみの顔が浮かんだ。
あの優しい笑顔を…。

ひとみはなつみのことを愛している……というわけではなかった。
ただ、なんとなく安心するような気がして一緒に居た。
もしかしたら、なつみはそんなひとみの気持ちさえも分かっているのかもしれない。
ひとみはなつみ以外の女とも軽く付き合う事は多々あった。
あゆみもその中の一人だった。
それを知っていてもなつみは自分の事を好きだと言ってくれる。

でも、今回は嫌な予感がする。
「抱きごこちが良さそう」だなんて、冗談も言ってみたものの
本気になってしまいそうな嫌な予感が……。

それでも、自分が一人の女だけと付き合っていけるタイプでは無い事ぐらい
ひとみ自身が一番よく知っている。

「は〜。」

大きなため息ばかりがひとみの部屋に響いていた。
57 名前:REDRUM 投稿日:2001年10月30日(火)22時48分46秒
>49さん
有難うございます。
>50・51・52さん
申し訳ありません。ホント鈍間な更新で…。

読んでくれている方が居るんだな〜と、
更新もしなかったくせに少し喜んでたりして…。m(_ _)m

う〜ん。なかなか二人に幸せは来なさそうな感じですねぇ〜
作者個人としては甘〜いのが好きだったりするんですが…。
なつみもどうなるのやら…。
で、市井ちゃんはいつ出てくるんだろう?作者にも予測不可能。
58 名前:理科。 投稿日:2001年10月31日(水)05時15分42秒

読んでてワクワクしてました。
続き期待してます。自分のペースで
頑張って下さい♪
59 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月31日(水)17時30分04秒
うわ〜、梨華ちゃんいきなり言っちゃった。
これからどうなることやら。(ワクワク)
60 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月05日(月)14時49分16秒
頑張って作者さんまってますよ
61 名前:『最後の恋にする為に』-29- 投稿日:2001年11月11日(日)12時53分25秒
翌日。

梨華は夜のことを思い出すだけで
顔から火が出そうなほど自分の取った行動が恥ずかしくて、
ひとみとどんな顔をして会えばいいのか戸惑っていた。

自分から告白なんてできない人間だと思ってた。

『よっすぃ〜の事が好きになっちゃった。』

あのとき口から出た言葉に一番驚いているのは自分自身。

そして、そのあとほんの少しだけ触れたひとみの唇を思い出すと
梨華の意識は途切れそうな程だった。

(どういう意味があったんだろう?よっすぃ〜も私の事?
 …そんなはず…ないよね。バカだなぁ私。)

朝の点呼のとき顔を合わせたのも一瞬の事。
ひとみと会わないでいいように、食堂で朝食をとるのはやめて
そのまま学校へと向かおうとした。
62 名前:『最後の恋にする為に』-30- 投稿日:2001年11月11日(日)12時55分05秒
「あの〜。」
寮の玄関を出たとき誰かに声をかけられた。

振り返ると梨華と同じ制服を着た生徒が立っている。
上級生だろうか、
自分より少し大人っぽく見えるが笑顔が人懐っこい感じの人だった。

「私ですか?」
「うん。吉澤さんって知ってるかな?」

一瞬息が止まるかと思った。
まさかひとみの名前が出てくるとは思うはずもないんだから。

「知ってますけど……。」
「良かった〜。よっすぃ〜ってもう学校行っちゃったのかな?」
「いえ。まだだと思います。」
「そっか〜。良かったぁ!ありがとう。」

なんとなく後ろ髪を引かれるような気持ちで梨華はその場を後にした。

63 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月19日(月)12時04分11秒
だれだろうねー
続き待ち
64 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月19日(月)18時20分53秒
後藤っぽいけどもう出てるから、誰だろ?
期待してます。
65 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月20日(火)07時26分12秒
え?なっちじゃないの??
66 名前:REDRUM 投稿日:2001年12月03日(月)22時00分50秒
ほっときっぱなしですみません。
12/15(土曜)より再開します。

>63さん&64さん&65さん
ありかとうございます。
再開後はもう少しスピードアップしますね。
67 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月04日(火)16時00分53秒
いっぱい書いてくださいねー。
68 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月05日(水)17時19分34秒
待ってまーす。
69 名前:『最後の恋にする為に』-31- 投稿日:2001年12月15日(土)20時28分20秒

(誰だろぅ?誰だろぅ?誰だろぅ?誰だろぅ?………)

校門まで3分程度の通学時間、梨華の頭の中に渦巻く疑問。

梨華が校門を潜ると中澤の姿が見えた。

「おはようございます。」
生徒の没収品をチェックしていた中澤が梨華の声に気付く。
「お〜!石川か、おはようさん。どうや、学校なじめそうか?
まぁまだ一日だけやし分からんかもしれんけど。」
梨華に優しく笑ってくれる。
見た目は恐いがなかなかイイ人だ

「大丈夫ですよ、みんな優しいですし。」
「そうかぁ〜そら良かった。あ、おお〜〜〜っ吉澤〜〜〜!!!」

最後の言葉は梨華の後ろに向かっての言葉。


70 名前:『最後の恋にする為に』-32- 投稿日:2001年12月15日(土)20時29分15秒


――――――――『吉澤』


その名前に反応して校門を振り返る。

ひとみは一人ではなかった。
隣にいるのは、さっき梨華に話し掛けた少女だ。


優しい安心しきった笑顔をひとみに向けながら歩いていて、
親しげな二人を目の前に梨華は視線を逸らしてしまう。

「おはようございます。梨華ちゃんもおはよう。」

昨日の事など無かった事のようにひとみは普通に声をかけてくる。
告白など気にも留めてないかのように・・・・・・
梨華にはそれが悲しくてしかたなかった。

(相手にも、されてないの?)


71 名前:『最後の恋にする為に』-33- 投稿日:2001年12月15日(土)20時30分16秒


「吉澤!今日はなっちと一緒かいな。
ええなーうちも偶にはなっちと一緒に登校とかしてみたいわ。」
ケラケラと笑いながらなつみの肩に手をまわす。
「矢口さんに言いつけますよ…」
「げ…それだけはアカン!
あいつ、ちーちゃいのに結構恐いんや。昨日だって……。」

「さっきはありがとね。」

中澤の話は放置・・・
で、なつみが梨華に声をかけた。
「いえ、そんな。」

「なんや、うちの話は無視かい!」という中澤の声も無視。

72 名前:『最後の恋にする為に』-34- 投稿日:2001年12月15日(土)20時31分14秒

ひとみはなつみと梨華を見比べるようにしながら首を傾けていた。

「なんだ、知り合い?」
「さっき寮の玄関のところでね、よっすぃ〜がまだ中に居るか聞いたんだよ。」
「なーんだ。そっかぁ〜。」
ひとみはまるで少年のような微笑を彼女に向けている。

「3年A組の安倍なつみです。よろしくね。」
満面の笑顔で手を差し延べるなつみ。
「あ、はい。あの〜吉澤さんと同じクラスの石川梨華です…
こちらこそよろしくお願いします。」

「な〜んか梨華ちゃん。かったっくるしーなぁ〜。」
「初対面なんだし仕方ないっしょ。ね、梨華ちゃん?」

「あ、はい。」

なつみと握手しながら梨華は思った。
(やっぱり彼女いたんだ…こんな笑顔に勝てるはずないよね…)

73 名前:『最後の恋にする為に』-35- 投稿日:2001年12月15日(土)20時31分52秒


告白なんて、ガラじゃない事するんじゃなかったと・・・

目の前の風景は、何かの罰なんじゃないかと・・・

今の梨華にはそう思えて仕方なかった。



「そういえば梨華ちゃん今日食堂に来なかったね。どうしたの?」

「えっ?えっと…なんとなくお腹すいてなかったから…
私、職員室に呼ばれてるんだ……先行くね。」

もちろん職員室に呼ばれてるなんて嘘。
梨華はその場から逃げ出した。



74 名前:REDRUM 投稿日:2001年12月15日(土)20時38分42秒
>>69-73更新です。

>63&64&65さん
なっちでした。
>67&68さん
ありがとうございます。いっぱい・・・書けるといいなぁ・・・

レスくださった皆さんありがとうございます。
一ヶ月も休んでましたが再開したいと思います。
75 名前:Charmy Blue 投稿日:2001年12月16日(日)11時30分23秒
一気に読ませていただきました。
ちょっと切なそうな感じですね。頑張って下さい。
76 名前:『最後の恋にする為に』-36- 投稿日:2001年12月22日(土)04時34分14秒


「ねぇ、いちーちゃんはどう思う?」
「どうって?」

教科書に目を通しながら真希の話に耳を傾ける。

「よっすぃ〜と梨華ちゃんだよ。」
「は?何ソレ?」
「ゴトーはね〜、梨華ちゃんってよっすぃ〜のこと気になってると思うんだよね。」


珍しく始業時間の一時間も前に登校したと思ったら
3年の教室にまで来てそんな話をしている。


77 名前:『最後の恋にする為に』-37- 投稿日:2001年12月22日(土)04時35分10秒

「何言ってんだよ。そんなのダメ。」
「ダメって?」
「吉澤みたいな軽い奴、梨華にはダメって事。」

従姉妹とはいえ小さい頃からずっと一緒にいた梨華は紗耶香にとって
妹みたいなものだ。

「いちーちゃんももう少し軽くなっても良いんじゃない?」

(ほんと奥手な一族なんだから)

なんて、真希が言いたくもなるほど紗耶香はそういうことに興味が無さげ・・・
付き合って一年にもなるのに手だってこっちからじゃないと
繋ごうとさえしてくれない。
キスなんて頼んだってなかなかしてくれない。

「何だよそれー。」
「自分の胸に訊いてみてよぅ!」

78 名前:『最後の恋にする為に』-38- 投稿日:2001年12月22日(土)04時36分31秒

自分でもわかってる。
真希が前に進みたがってることくらい
自分でも先に進みたいと思ってることくらい
でも、勇気が無いんだ。

ひとみが羨ましい―――――――― そう思ってるんだ。
あそこまでちゃらちゃらしてるのはどうかと思うけれど
自分だって・・・

「ごめん。」

突然謝る紗耶香に驚いた。

「いちーちゃん…どうしたの?」
「いや、別に…。で、梨華だけど。」

とりあえず、話を元に戻す。


79 名前:『最後の恋にする為に』-39- 投稿日:2001年12月22日(土)04時37分30秒

「うん。でね、ゴトーは考えたわけ。」
「何をさ?」
「よっすぃ〜と梨華ちゃんをくっつける!」
「はあーーーーーー?」

何を言い出すんだ。今、ダメだって言ったばっかじゃないか。

「今いちーが言った事聞いてた?」
「ゴトーがいちーちゃんの話聞いてないわけ無いじゃん!アハッ。」
にかにか笑って・・・
(かわいいじゃないか)
なんてまた思ってしまう。

「だから、吉澤はダメだって言ってるだろ。梨華が遊ばれて傷つくのがオチだよ。」
「いちーちゃん!仮にもゴトーの親友だよ。そんな言い方…。」
確かに自分の彼女の親友を悪く言いたくは無いけれど、
「今までを考えるとさぁ〜。」
「うう…………。」

ごもっとも。


80 名前:『最後の恋にする為に』-40- 投稿日:2001年12月22日(土)04時38分14秒


真希の親友なんだから悪い奴じゃないのかもしれない。
でも、なんとなく良い印象は持ってないわけで
部活でしか関わりあいが無いから遊んでるイメージしかない。
その部活でさえ大会前しか出てこないし・・・

「あいつさ、女がコロコロ代わるのは本人の勝手だと思うよ。
でもそれだけじゃないだろ?なっちとはずっと続いてるんじゃないの?
可哀想じゃん。なっちもわかってるんだろうし…自分だけじゃないってさ。」


なつみは自分のことをひとみの彼女だとは絶対に言わない。

「よっすぃ〜にとって私はお姉ちゃんみたいなものだから。」と切なく笑うんだ。

そんななつみを知っているから、吉澤のことを許せないんだと思う。
女として見てないんなら手をだすなと・・・・・・

81 名前:『最後の恋にする為に』-41- 投稿日:2001年12月22日(土)04時39分02秒

「ゴトー思うんだけどさ、よっすぃ〜にとってもさーなっちは特別なんだよ。
やっぱ初めての相手だったわけだし。」

「だからって……。」

「うん。だからだよ。このままじゃいけないんじゃないかな?
なっちとよっすぃ〜がこのまま続けるのは良くないと思うんだ。」

真希の言うとうりだ。

あの二人の関係に意味があるようには思えない。
だからといって、何故梨華なんだ。

「けど、梨華はダメだよ。」
「でも梨華ちゃんならよっすぃ〜が変わるような気がするんだ。」

82 名前:『最後の恋にする為に』-42- 投稿日:2001年12月22日(土)04時39分37秒

ひとみが変わる。
そんなことがあるんだろうか?

「吉澤が変わるね〜。考えられん。」
「自身あるんだけどなぁ。」
「その自身がどこから来るのか知りたいよ。」
「女の感!!」

「いちーも女だけど…そんな予感しない。」

そう。
紗耶香も女なんだけど・・・

「女の種類が違うんだよ。」
「なんだそりゃ?」



83 名前:『最後の恋にする為に』-43- 投稿日:2001年12月22日(土)04時40分15秒

――――――――――――キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン・・・・・・

始業のベルが鳴る。

「そういうことだから…。戻るね。」
「ん、ああ。」

席を立って、教室を出たかと思うとすぐに戻ってくる。

「どうしたんだよ?」
「忘れてた。」
「何を?」

顔を近づけてきたかと思うと耳もとで、
「今日も一日中いちーちゃんのことかんがえてるからなね!アハッ。」

それだけ言って去っていく。
教室のほかの生徒の視線を受けながら・・・

「バカだ。」

そんなバカが好きな自分もバカだ。

そう思いながら笑顔で見送る紗耶香だった。



84 名前:REDRUM 投稿日:2001年12月22日(土)04時42分56秒
>>76-83
更新です。
もっと早く更新するつもりがPCトラブルの為また遅くなってしまった。

>チャーミーさん ありがとう。
85 名前:名無し読者 投稿日:2001年12月22日(土)06時19分33秒
ベクトルの違う頑固さを見せるいちごま萌え(w
86 名前:『最後の恋にする為に』-44- 投稿日:2002年01月07日(月)22時45分32秒

放課後。

今日は部活出ないとやばいよな・・・

ひとみは体育館へと向かっていた。
昨日は無断でサボったから今日は出とかないと・・・
体育祭も近いし、クラブ対抗リレーもあるのでミーティングがあるはず。

「だるっ。」
そう呟いて扉を開けようとした。

「な〜にが『だるっ。』だよ。」

「ああ市井さん、ども。」
「ども、じゃないよ。サボりやがって。」

「いや…それには深い…。」
「深い事情なんて無いよなぁ〜。」
「……はい。」

威圧感というかなんと言うか・・・ひとみは市井が苦手だった。

(市井さんが優しいなんて、ごっちんが理解できない…)

87 名前:『最後の恋にする為に』-45- 投稿日:2002年01月07日(月)22時58分35秒
「そうそう、今日練習無いぞ。」
「へっ?」
「平家が職員会議で来れないんだってさ。」
「え?でも…。」

バスケ部の顧問は平家みちよという中澤と同じ関西弁の数学教師。
中澤の大学時代の後輩らしい。
市井は平家からかなりの信頼を得ており、平家が出れないときは
その日の練習の有り無し練習内容にいたるまでほとんど任せっぱなしだった。
そのおかげで、夏の大会が終っても市井は引退する事ができないまま・・・

「市井さん珍しいじゃないですか、無しにするなんて。」
「お前に話があってさ。」
「アタシにっすか?」
「ああ、今からちょっと顔貸せよ。」
「はぁ。」

(なんだかとっても嫌な予感…。)

88 名前:『最後の恋にする為に』-46- 投稿日:2002年01月07日(月)23時16分38秒
「あの〜。」
「ん?」

すたすたと歩く市井の後ろをとぼとぼと付いて行くけれども、
「いやぁ…なんでもないっす。」
このまま帰ってしまいたい気持ちでいっぱい。

「あの〜。」
「なんだよっ。」
「えっいや…あの、二人だけっすか?」
「二人じゃ何か不都合でもあるのかよ?」
「いえ……。」

市井が向かった先は校門を出てすぐ目の前にある牛丼屋だった。
「好きなだけ食っていいぞ。お前の奢りだから。」
「え?…あ、はい。アタシはいいです。」
「そうか、じゃ。すいませ〜ん特盛汁だくで、あと卵とけんちん汁ください。」

(…………。)


89 名前:『最後の恋にする為に』-47- 投稿日:2002年01月07日(月)23時32分39秒

勝手に人の奢りと決めつけ特盛をガツガツ食う市井の隣で
ひとみはビクビクしながらお茶をすすっていた。

ドンッ。
勢い良くどんぶりを置いてギロッっとひとみを見据える。

(こ、こわい…)

「ワケわかんないんだよ。」
一言だけ言って「もう一杯。」と店員に注文する。
「は?」
急にワケわかんないとか言われてもワケわかんないのはこっちだ。
とも言えず・・・しかもまた特盛。
「何の事でしょう?」

90 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月07日(月)23時55分40秒
>85さん  どもです。やっと市井が出てきた・・・やっと・・・

眠い。続きは明日にでも。
91 名前:名無し梨華 投稿日:2002年01月08日(火)01時23分14秒
続き楽しみです♪
もてよすぃ〜サイコー
92 名前:『最後の恋にする為に』-48- 投稿日:2002年01月08日(火)22時06分09秒

「お前となっち。」
「え…。」
「知らないとは言わせないぞ。」
「そんなことは言いませんけど…。」

「お前さ、ホントのところどうなんだよ。なっちと付き合ってるわけ?」
「………。」

初めてだった。
ひとみとなつみの関係について触れる人は今までいなかった。
だから当然答えなんて用意できているはずがない

93 名前:『最後の恋にする為に』-49- 投稿日:2002年01月08日(火)22時21分46秒
「なんで答えねーんだよ。」
「いやぁ…。」

やたらビクビクしているひとみに市井のイライラは膨らむばかりで、
ただでさえ眼つきの悪い市井の表情は更に険しくなっていく。

情けないやら腹だだしいやらで…とりあえずもう一杯特盛を注文。

「なっちに訊いても付き合ってないって言うんだよ。
じゃあお前らの関係って何なわけ?いちーには理解不可能
ワケわかんねーんだよ。」
「それは…なんて言えばいいか、微妙な感じつーか…。」
「なんだそれっ。やることやってんだろうが!」

(いちーなんてゴトーとだってまだなのに…)

ひとみを責めている立場上声には出せないけれど
市井的には多少羨ましかったりもするわけで・・・

94 名前:『最後の恋にする為に』-50- 投稿日:2002年01月08日(火)22時38分20秒

「こんな事言っていいのかどうかわかんないけど、なっちは好きだよ
たぶんお前のこと。」

「アタシも…好きっすよ。」

「解かってないよ。お前なんにも解かってない。
お前の好きとなっちの好きはぜんぜん違う。」

今までこうやって話したこともなかったのに市井はひとみの痛いところをついてくる。

解かっていない?
いや、解かってるんだ。
もっとちゃんと考えろって言いたいんだってことくらい。

「友達だからさなっちは。お前みたいなのは許せない。
言いたいのはそれだけ…でもないんだけど…ま、今日はとりあえずいいや。」
「スイマセン。」
「あやまんのはいちーじゃねーだろ。」
「はい。」

「そういう事だから、そろそろ帰るわ。ご馳走さん。」


95 名前:『最後の恋にする為に』-51- 投稿日:2002年01月08日(火)22時53分28秒

―――― 言いたいのはそれだけ…でもないんだけど…

そう。それだけじゃないんだけど・・・

『いちーちゃんはよっすぃ〜の方頼むよ。
それとなーくよっすぃ〜が梨華ちゃんのことどう思ってるのか訊いてきてね。』

(吉澤見てたらむかついて…梨華の事なんか訊けなかった…)

真希に頼まれたものの、なんかやっぱり納得できないわけで
訊けなかったんじゃなくて、訊かなかったってのが正しい。

「はぁ〜。」
(ゴトー怒るんだろうなぁ)

真希にだけは弱い市井だった。


96 名前:『最後の恋にする為に』-52- 投稿日:2002年01月08日(火)23時04分53秒

そのころ真希はというと・・・


「あたしにはわかるんだぁ〜(ニヤニヤ)」
「何が?」
「梨華ちゃんよっすぃ〜のこと好きっぽくない?(ニヤニヤ)」
「ええええええ!!」
「そんな驚くことないじゃん(ニヤニヤ)」

二人を心配してるというよりも、楽しんでるようだった。

「ごめんごめん『ニヤニヤ』は余計だったね。」
「???」

「ま、それは置いといて。嫌い?よっすぃ〜のこと。」
「嫌いじゃないけど…。」
「じゃ、好き?」

「もしかして…聞いたの?」

97 名前:『最後の恋にする為に』-53- 投稿日:2002年01月08日(火)23時20分10秒

梨華だっておかしいとは思っていた。
今朝の何も無かったようなひとみの態度。
気にも留めてなかったようなあの態度。

(ごっちんに言ったんだ。もしかして…よっすぃ〜に面白がられてる?)

「……ちゃん。…梨華ちゃん!」
「え?」
「もぅ!聞いたって何よぅ?」

「え?よっすぃ〜から聞いてないの?」
「聞くって何を?」

(少しでも疑ってごめんなさい)

「いいのいいの…気にしないで…。」
「気にしないでって言われると余計に気になるもん。
言ってくれないんだったらよっすぃ〜に訊いちゃうよ?」
「そっそれはダメだよっ!」
「じゃあ言っちゃってよ。」

98 名前:『最後の恋にする為に』-54- 投稿日:2002年01月08日(火)23時34分39秒
真希のニヤけ顔が気になるけれど、ひとみから言われるよりは
まだましなのかもしれない。

でも・・・

「誰にも言わない?」
「言わない言わない!」
「私ね…。」
「うんうん!」

「告白したの。よっすぃ〜に。」
「ええええええええ!!!!!!!」

とてつもなく大きな声で叫んだ。
良かった・・・ここが他でもない梨華の部屋で・・・

「そんなに大きな声出しちゃだめだよ。」
「最高だよ!梨華ちゃんあんたって子はホントにも〜こりゃ話が早い!」

真希は梨華の両手を握りしめブンブン振り回しながら
最高!最高!と唱えるように呟いている。


99 名前:『最後の恋にする為に』-55- 投稿日:2002年01月08日(火)23時43分28秒
「で、告白したのっていつ?」
「昨日の夜中?っていうか今日の明方?」
「で?」
「でって?」
「も〜決まってるじゃん。よっすぃ〜の反応は?」
「それが…。」
「断られたの?」

あれは断られたと言うんだろうか?答えすらもらわないままで、
告白した事すら無かった事になっているような感じさえする。

でも・・・あれだけは嘘じゃない。

「ありがとうって言われてキスされてそのまま…。
今朝会ってもよっすぃ〜は普通な感じで…なんか告白した事自体
忘れられてるんじゃないかって思うような…本当に普通な感じで…
それに、安倍さんって人と一緒に登校してたし…。」
「そうか〜。よっすぃ〜が相手なだけにねぇ。」

何か考えるような仕草でこめかみをポリポリ掻きながら何やら
企んでいるような表情の真希を見ているよ梨華は不安になってしまう。

「ごっちん何考えてるの?」
「梨華ちゃんは心配しないでよ。ゴトーが人肌脱いじゃうよ!」

その言葉が梨華の不安を数倍にもしてしまった・・・

100 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月08日(火)23時51分39秒
>>92-99 更新しました。

>91名無し梨華さん
ありがとうございます。
モテよっすぃ〜この先どうなることやら・・・

話の中では始まってからまだ1週間くらいしか経ってないんですよね
もっと頑張らないと・・・頭の中にある完結まではまだまだ遠そうだ。

101 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月09日(水)02時08分30秒
ちゃむが頑固親父みたいで(w
102 名前:夜叉 投稿日:2002年01月09日(水)17時57分33秒
大事な娘を嫁に出したくないみたいな、娘の彼氏を認めないみたいな(w。
でも、吉は早いこと決断しないとね。
103 名前:『最後の恋にする為に』-56- 投稿日:2002年01月12日(土)23時12分53秒
部活の練習を終えて寮に戻ろうとしていたある日の事
ひとみは真希に呼び止められた。

「珍しいじゃん。ごっちんがこんな時間まで帰らないなんて。」
「よっすぃ〜だって部活出てるの珍しいんじゃない?」
「確かに…ごっちんさ〜市井さんに言っといてよ。休み増やしてくれってさっ。」
「そんなこと言ったらまたいちーちゃんに怒られるぞぉ。」
「おおっと、そっちの方が恐いやっ。」

「そりゃそうと、ごっちん何所行くの?」
「え?寮だけど。」
すたすたと真希がひとみの前を行くからてっきり真希の家に行くんだと思っていた。

ひとみの部屋に入るとき隣の梨華の部屋をチラッと真希が見る。
「梨華ちゃんと仲良くやってくれてる?」
「ん、うん。ま、それなりにね。」
なんとなく気まずくて慌てて中に入った。
ほんとは梨華に避けられてるような気がしていたから・・・

104 名前:『最後の恋にする為に』-57- 投稿日:2002年01月12日(土)23時18分32秒

真希は慣れた風に勝手に冷蔵庫をあけてオレンジジュースを出した。
「着替えるからあたしの分もお願い。」
「オッケー。」
綺麗に収納されている戸棚からグラスを出して注ぐと
ソファーに座りテレビをつける。
5分もせずにひとみが着替え終わってテーブルの向かいに座った。

「で?何か話でもあったんじゃないの?」
「そうそうそう。」
思い出したようにテレビのスイッチを消して一口ジュースを飲んだ。

105 名前:『最後の恋にする為に』-58- 投稿日:2002年01月12日(土)23時19分36秒

「今度の日曜よっすぃ〜暇?」
「ん〜暇って言えば暇かなぁ。」
「映画の券があるんだけど行かないかな?」
「いいけど、市井さんは?市井さんと行けばいいのに。」
「もちろんいちーちゃんも行くにきまってるじゃん!券4枚あるんだよ。」
「ぇ…市井さんも一緒…。」

あれ以来市井の目が恐くてしかたないひとみは市井と一緒なのが気になった。

「でも、4枚ってことはもう一人誘うんだよね。」
「そりゃそうだよ。」
「誰が来るのさ?」

市井との事は真希にも話したのでなつみと4人って事はない筈だ。
だとしたら、検討がつかない。

106 名前:『最後の恋にする為に』-58- 投稿日:2002年01月12日(土)23時20分11秒

「最近できた友達でよっすぃ〜のファンの子がいるんだけど
その子誘おうと思うんだよね。よっすぃ〜も知ってる子だと思うし、いいよね?」
「いいけど、また市井さんに怒られそうだよ。」
「大丈夫。いちーちゃんには許可取ってあるから。」
「まじで?」
「マジ!」

親友の真希の誘いだし市井の許可がでてるんならまあいいだろうと思ったけど、
(なんでOKが出たんだろ?なっちとのことはあんなに怒ってたのに…)
市井も真希には弱いってことで、ひとみの疑問はあっさり解決された。

「その子って可愛いの?」
「可愛いよーもろよっすぃ〜の好みのタイプだと思うな。」
「よっしゃぁ〜気合入れて行くぞぉ〜!」
「も〜よっすぃ〜ってば女好きっ!キャっ。」
にかにか笑ってバシっとひとみの肩を叩く

(痛いよ痛いよ・・・)
真希の馬鹿力に少し涙目になった。


107 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月12日(土)23時26分29秒
短いですが>>103-106更新です
>106は-58-ではなく-59-の間違いでした。

>101さん
はい。頑固親父です(w
こういうのが合ってるかな〜と勝手な思い込みです。

>102 夜叉さん
毎度ありがとうございます。
いちーちゃんにとって梨華は娘みたいなもんですから・・・
市井に勝てるのは真希しかいません。

えっと〜また明日にでも更新します。
108 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月13日(日)00時49分49秒
なかなか素敵な力関係かと(w

109 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月13日(日)02時09分10秒
よっすぃーファンのコって誰なんだろう?
新キャラ登場でしょうか?
それともあのコ?
110 名前:『最後の恋にする為に』-60- 投稿日:2002年01月13日(日)14時35分15秒

早いものでもう日曜日。

ファンの子との初デートという事でちょと気合を入れて服を選んだ。
可愛いと聞いてひとみがウキウキしないはずもなく
市井にばれないようにしていれば夜も・・・なんてことも考えていた。

待ち合わせは渋谷。
いつものように30分前には着いて残りの3人を待つ。
何人かに声を掛けられた。いわゆる逆ナン。
いつもなら相手が可愛ければすぐ誘いにのってしまうひとみだけれど
今日は電話番号を聞くだけにしておいた。

暫くしてなんとなく腕時計に目をやったときに声がした。
「よっすぃ〜…。」
聞いたことのある声
でも真希でもなければ市井の声でもない。

111 名前:『最後の恋にする為に』-61- 投稿日:2002年01月13日(日)14時44分17秒

「り、梨華ちゃんっ。」
そう、それは数日前告白してきた梨華だった。

「梨華ちゃんに会うなんて偶然だな〜待ち合わせ?」
「うん。ごっちんと映画に行くの。」
「え?ごっちんと?」
「うん。紗耶香も一緒なんだけどね。あとごっちんの友達も来るらしいの。」

(ごっちんに騙された・・・)

ひとみのファンなんて大嘘。
でもまさか相手が梨華なんて考えもしていなかった。

「梨華ちゃんさぁ…その友達ってたぶんあたしのことだよ…。」
「ええっ!?」
「ウチら嵌められたっぽい。」

112 名前:『最後の恋にする為に』-62- 投稿日:2002年01月13日(日)14時50分56秒
ギクシャクした空気のまま無言でいたら真希が市井と手を繋いでやって来た。
「おっ早いじゃ〜ん!」
にやにやした真希の表情がちょっぴり癪に障る。

なんとなく市井が睨んでいるようにもみえるけどそれは無視。
「なんだよごっちんっ!梨華ちゃんならそう言ってくれたら良かったのに〜。」
「え〜?言わなかったっけ?」
(何を今さらとぼけてるんですか・・・)
「梨華ちゃんも知らない子よりよっすぃ〜の方がいいでしょ?」
「う、うん…。」
俯きながら梨華の頬がピンク色に染まる。

「まあいいじゃん。時間無いし行こうぜ。」
市井が言ってやっと4人は目的地へと向かった。

前を真希と市井、後ろにひとみと梨華が並んで歩く。

「ごめんね。あたし知らなかったから…梨華ちゃんも一緒だって…。」
前を行く二人に聞こえないように小さい声で話し掛ける。
「ううん、よっすぃ〜で良かった。初対面の人と話すのって苦手だから。」
「そっか。」

映画は今人気のラブストーリーだった。
(市井さんもこういうの見るんだな)

113 名前:『最後の恋にする為に』-63- 投稿日:2002年01月13日(日)14時51分50秒
中に入って飲み物を買って、市井・真希・梨華・ひとみの順に座る。
暗くなった途端真希と市井は良いムードになってイチャイチャしていた。
ひとみはそれを気にしないように心がけて映画に入り込む。
真希がなにやら梨華に耳打ちしていたことには気付かずに・・・

ふと、隣を見るとスクリーンを見つめながら梨華の目には涙が溢れていた。
(やっぱ可愛いよな〜。ごっちんがあたしのもろ好みって言ってたのは
 嘘じゃないよ…はぁ〜どうすりゃいいってのさ…)

いつの間にかジッと見てしまっていたようで
梨華がひとみの視線に気付きニコッと笑った。

(やばいよ。マジ可愛い・・・)

すると突然梨華が手を握ってきた。
(え?ええ?!)
「梨華ちゃんっ。」
「冗談なんかじゃないからね。私、よっすぃ〜のこと好きだからね…。」
耳もとで聞こえる梨華の声にひとみは柄にも無く赤くなってしまう。

その後の映画の内容なんてひとみはまったく覚えていない。

114 名前:『最後の恋にする為に』-64- 投稿日:2002年01月13日(日)14時52分30秒

ひとみが梨華からの告白を気にしてないなんて事は無かった。
普段なら可愛い子から告白されたらその日のうちに・・・
なんてことがあたりまえで、それをしなかったのはひとみ自身梨華のことが
気になってしょうがなかったからああいう態度になったのだ。

映画館から出ると真希と市井からは既に甘〜い甘〜い空気。

「あたし達は行くところがあるからよっすぃ〜は梨華ちゃん送っていってね。」
「え?もう帰んの?」
「もぅ。あたし達がラブラブだからって妬かないでよ。」
「いや、妬いてないっす…。」

掌をヒラヒラを翳しながら去っていく二人にひとみは大きくため息。

真希の家へと向かう市井と真希はというと、
「あ〜あぁ…娘を嫁に出す父親ってこういう気分なんだろうな…。」
「いちーちゃんおやじくさ〜い!」

市井もまた大きなため息を吐いていた。




115 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月13日(日)14時59分37秒
>>110-114 更新です。

>>102の夜叉さん
ネタ使っちゃいました(w

>>108さん
いい感じですか。ありがとうございます。
真希の性格には誰も勝てないでしょうね

>>109さん
梨華でした。まあ、わかりやすかったですかね。
有りがちなパターンということでお許しください

やっと話も動き出しそうな気配です。
行き当たりばったりな作者なので断言はできないんですけどね・・・
116 名前:夜叉 投稿日:2002年01月13日(日)16時17分02秒
ネタ泥棒、ハケーン(w。
ちょっと強気な石に萌え。ますます、吉がしっかりしなくっちゃ。
続き楽しみにしてますね。
117 名前:『最後の恋にする為に』-65- 投稿日:2002年01月14日(月)00時54分20秒

「どうしよっか?帰る?」
まだ夕方だというのに帰るなんて言うから梨華はガックリしてしまう。
このままじゃまたひとみとの距離が縮まらない。
だけど何もいい出せなくて二人は寮へと向かう事になった。

帰り道、ひとみは無言。
女の子と一緒に居て何も話せないなんて初めてだ。

会話の無いままお互いの部屋に着いてしまう。
「じゃあ、また明日…。」
躊躇したがそのまま中に入ろうとすると梨華がひとみの服の裾を掴んだ。
「もう少し一緒にいちゃダメかな?」
「え?」
「もう少し一緒に居たい…。」
「い、いやぁ…じゃあ入る?部屋。」
「うん…。」

118 名前:『最後の恋にする為に』-66- 投稿日:2002年01月14日(月)00時54分54秒

紅茶を入れてテーブルの上に並べると梨華が手を重ねてきた。

「私の告白、忘れちゃったのかなぁ…?」
ぼーっとしていたら聞き逃してしまいそうな小さな声。
「忘れてなんか無いよ。」
「じゃあ、迷惑だった?」
「迷惑なんかじゃないよ…。」

ひとみはカップを持ったままの半立ちの状態で動けなかった。
なんて綺麗な瞳をしているんだろうと、見惚れていた。
思わず顔を近づけ梨華のくちびるに自分のそれを重ねる。

119 名前:『最後の恋にする為に』-67- 投稿日:2002年01月14日(月)00時55分27秒

軽く触れるだけのくちづけだった。
そっと離れると梨華の頬には涙がつたっている・・・
「ごめん…。」
「どうして?」

「どうしてキスするのかな?」
「………。」
「二度目。」
「え?」
「これが生まれて二度目のキス。」
これが二度目ということは必然的にこの間のが初めてだったわけで・・・
「ごめん…。」
「なんで謝るの?嬉しいのに、嬉しいよ私。」
「でも…。」
「やっぱりダメなのかな?私が安倍さんみたいに可愛くないから…
だから私じゃダメなのかな?よっすぃ〜の近くには居れないのかな?」

120 名前:『最後の恋にする為に』-68- 投稿日:2002年01月14日(月)00時56分06秒
自分からなつみの名前を出した事に梨華は後悔した。
フってくれと言っているようなものだ。
でも、このまま返事を貰えないままのほうがずっと辛い。

「だめなんかじゃないよ。梨華ちゃんは可愛いよ。」
「でも私じゃ安倍さんのかわりになんかなれないよね。」
「かわりなんて、そんな…。」
「三度目。」
「え?」
「三度目のキスもよっすぃ〜がいい。」

そのままふたりの影が重なっていく。
今までそんなこと考えもしなかったけど、なんていい加減な奴なんだと
ひとみは自分の事を改めて思った。

軽いキスが深い深いものに変わっていく。

身体がソファーへと沈んでいきそのまま二人は朝をむかえた・・・




121 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月14日(月)01時06分29秒
>>117-120 本日二度目の更新です。

>116夜叉さん
石川さんいざとなると結構大胆です。
崖っぷちに強いタイプなんでしょうか?
実際の石川さんもそういう感じがするのは私だけかな?

また明日更新できればしたいな〜と思います。
駄文ですがもしよければお付き合い下さい。
122 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月14日(月)01時43分43秒
さぁ、責任とれるのか吉澤(w
123 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月14日(月)09時40分26秒
あぁ、吉澤…。石川積極的ですね。
124 名前:名無しなんです 投稿日:2002年01月14日(月)10時03分38秒
それでもちゃっかり電話番号は聞くんですね(w
吉澤君はこりないですねぇ
125 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月14日(月)12時19分16秒
今から更新を始めます。今日で完結です。
レスは後程・・・
126 名前:『最後の恋にする為に』-69- 投稿日:2002年01月14日(月)12時20分22秒

寝るのがあまりにも早すぎたため、
まだ朝日も昇りきっていない時刻に梨華は目を覚ました。
昨日のひとみの顔がくっきり思い出される

(よっすぃ〜と…しちゃったんだ…)

なんとなく下腹部のあたりが痛い・・・
何もかもが初めてのことで頭の中が真っ白だったけれど
ひとみの言葉ひとつひとつがまだ耳に残っている。
隣で静かに寝息をたてるひとみを覗き見るとすやすやと本当に
気持ち良さそうに少しだけ笑顔を浮かべていた。
なんだか恥ずかしくなって布団の中に潜ってしまった・・・と、あることに気付く。

(私、裸だ…)

127 名前:『最後の恋にする為に』-70- 投稿日:2002年01月14日(月)12時25分21秒

起き上がると身体じゅうに赤い印がたくさん―――― キスマーク・・・
思わず梨華は真っ赤になってしまう。
とりあえず何か着ようとベットからでようとしたらひとみが目を覚ましてしまった。

「ん〜、おはよ。」
「お、おはよう…。」
慌ててシーツで身体を隠そうとするといきなり腕を引かれ抱きしめられる。
「梨華ちゃん可愛かったぁ〜。」
既に組み敷かれるような体勢になっていて・・・
「もう一回…。」
まだ半分寝ぼけているようなひとみからキスの嵐が降ってきた。
(ええ?ええええ〜…)



128 名前:『最後の恋にする為に』-71- 投稿日:2002年01月14日(月)12時34分36秒
次に目を覚ましたのは既に登校時間もせまっていた頃。
着替えの終ったひとみに梨華は起こされた。

「朝食、置いてあるから。」
食堂からわざわざ持ってきたのであろう朝食がテーブルの上にあった。
「食べ終わったら一緒に行こう。」
「ありがとう…。」

携帯電話を持ってひとみはトイレの方へ向かって行った。
シンっと静まりかえった部屋。
梨華が食事に手をつけようとするとひとみの声が僅かに聞こえてきて
その相手がなつみだということに気付かされる。

昨晩のことですっかり忘れていた。
抱かれても、ひとみの一番近くにいるのはなつみ。
自分はまだひとみのことを何も知らないという事を・・・
でも、諦めたくない。
戻ってきたひとみをしっかりと見つめ梨華が口を開く。

129 名前:『最後の恋にする為に』-72- 投稿日:2002年01月14日(月)12時53分08秒
「安倍さん?電話…。」
申し訳無さそうなひとみの顔。
「え?あ、うん。」
「私、もうよっすぃ〜って呼びたくない。」
意味がよく解からないのだろうなんとなく不思議そうな表情に変わる。
「あの人と同じは嫌だから…同じ呼び方は嫌だから…
だからひとみちゃんって呼んでいい?」
「う、うん。」
ひとみちゃんなんて呼ばれるのは初めてで気恥ずかしさがあったけど
この状況で拒否する事もできるわけが無くひとみはただ頷いた。
梨華ならそう呼ばれるのもまあいいか・・・とも思ったりしたのだけれど。

「もうこれで終わりなのかな?」

まだ告白の返事は返ってきていない。
昨日のことはその場のノリだったのかもしれない・・・
そう思うと恐いけれど何故だかひとみと出会ってからから普段では
言い出せないような言葉が自分から出てくることに驚いていた。

「ごめん。今日は答えられない…もう一日待ってくれないかな?
明日までに答え出すから。こんな事しといて卑怯なのかも知れないけど…。」
「うん。待ってる。」
不思議魔くらい笑顔でひとみの顔を見る事ができた。


130 名前:『最後の恋にする為に』-73- 投稿日:2002年01月14日(月)13時01分14秒

「明日までに答えを出すから…。」そのためにしなければならない事・・・
その日の放課後、ひとみは早足で校舎の廊下を歩いていた。

「先生っ。なっち知らないっすか?」
「なんや〜一緒ちゃうんか?急いでたみたいやから一緒に帰るんかと
思っててんけどなぁ…なんや、喧嘩でもしたんか?。」
「そんなんじゃないっす。」
「あっでも、ついさっきやからまだ校内に居るんちゃうか…っておいっ。」

中澤の声を最後まで聞かずひとみは走った。


131 名前:『最後の恋にする為に』-74- 投稿日:2002年01月14日(月)13時06分05秒

――――――――今日、話があるんだ。

今朝のひとみからの電話。
なんとなく感じていた嫌な予感。
ほんとはもっと早くにハッキリさせなくちゃいけなかった

なつみはひとみのことが好きだった。
2年前初めてひとみと出会ったときから・・・
けれど恋人にはなれなかった。抱き合っても関係は変わらなかった。

それでも離れたくなかった。
ひとみは二人の関係に疑問さえ持っていないように見えたから
こんなことが良くないってわかってはいたのに
気付かないふりをしてきた。

でも、今のひとみは恋をしている。
おそらく自分に対して持っていてくれていた好きという感情とは違う物・・・

132 名前:『最後の恋にする為に』-75- 投稿日:2002年01月14日(月)13時10分55秒

寂しくなって約束を無視して帰ってしまおうと思った。
少しでもさよならを延ばす為に・・・
でも、それじゃいけない。と、立ち止まったとき

「なつみぃーっ!」

校門を出ようとしたなつみにやっとのことで追いついて腕を掴む。
「はぁ…はぁ…話、あるって言ったじゃん…。」
とりあえず息を落ち着かせてからなつみの顔を覗き込む。
「ごめん。忘れてたよ…話って何?」

嘘だというのはすぐにわかった。
けれどそれには触れず、近くの公園へと足を進めた。

133 名前:『最後の恋にする為に』-76- 投稿日:2002年01月14日(月)13時17分43秒

「もう秋だね〜。」
なつみはブランコを漕ぎながら眩しそうに空を見上げる。
「まだ暑いよ…。」
「そだね。」

「なっち…話ってね…。」
すぐ傍に立ってなつみの目を見ようとする。
それでもなつみの乗ったブランコは勢いを増すばかりだ。
「それでもやっぱり夏は終るんだよっ。」
そう言ってなつみはブランコから飛び降りひとみの前に立った。
「それでもやっぱり終るんだよ…私達みたいにさ…。」
「なっち?」
「知ってるよ。なっちはな〜んでも知ってるんだ!よっすぃ〜の事なら…
だから、よっすぃ〜に好きな子ができたのも分かっちゃうんだよ。
なっちはよっすぃ〜のお姉ちゃんなんだからねっ。」



134 名前:『最後の恋にする為に』-77- 投稿日:2002年01月14日(月)13時25分11秒
「ごめん。あたしいい加減だから…。」
「な〜にさ、泣く必要ないっしょ。」
最後まで笑顔を見せてくれる。
なつみのそんなところが暖かくて好きだった。
「なっちの初めての失恋がよっすぃ〜で良かったよ。」
そう言ってやさしく唇を重ねた。

「これが最後のキスだからね。」
一生懸命涙を拭くひとみを小さななつみが抱きしめる。
「ほんとに、こ〜んなに大きいのに子供だなぁ。」

「ありがとう…ありがとう…。」

なつみの暖かさは忘れない。
こんななつみが相手だからこれからも笑って話ができる・・・
そんな気がしてひとみはやっと笑う事ができた。

135 名前:『最後の恋にする為に』-78- 投稿日:2002年01月14日(月)13時28分40秒

<<今テニスコートにいます。待ってます。吉澤>>


深夜、梨華のもとにメールが届いた。
慌てて部屋を飛び出す。
学校は寮のすぐ裏、もちろん校門は閉まっている。
梨華は辺りを見回してからよじ登って中に入ると校庭を走った。

ポーン――――。
ポーン――――。

ボールの跳ねる音がした。
ひとみがそこに居る。

136 名前:『最後の恋にする為に』-79- 投稿日:2002年01月14日(月)13時35分04秒

二人の距離が数メートルに近づいたとき足音に気付いたのかひとみが振り返った。
梨華はそこで足を止めた。
「返事はいいから…聞いてて。」
そう言って梨華の言葉を待たずひとみは目を閉じて話を続ける。

「ごっちんに聞いたんだ。梨華ちゃんテニスしてたんだってね。」

「可愛かったんだろうな〜とかいろいろ考えたんだ。あたしの知らない
梨華ちゃんっていっぱいあるんだろうなって…そしたら悔しいんだよね。」


「好きなんだ、梨華ちゃんが。」


一瞬時が止まった。
風が二人の間を流れていく・・・

ひとみが目を開けるとすぐ傍に梨華が居た。

137 名前:『最後の恋にする為に』-80- 投稿日:2002年01月14日(月)13時37分35秒

そっと、梨華の肩を抱き寄せる。

「梨華ちゃんのこともっともっと知りたい。あたしの事ももっと知って欲しい。
知ったら軽蔑されるかも知れないけど…。」
「軽蔑なんてしないよ。たぶん今より好きになると思う。」

「こんなの初めてだよ…
返事遅くなってごめん。よかったらあたしと付き合ってくれるかな?」

138 名前:『最後の恋にする為に』-81- 投稿日:2002年01月14日(月)13時39分30秒
「ひとみちゃん…大好きだよぅ〜」
ひとみの胸にしがみ付く梨華の髪をそっと撫でてあげる
二人は黙ったまま互いの温もりを感じていた。

「梨華ちゃん」
ひとみは梨華を抱きしめたまま夜空を見上げる。
「な〜に?」

「最後にしたいんだ…」
「えっ?」
「梨華ちゃんにとって、あたしが最後の恋人になりたい」

めいいっぱいの涙を浮かべ、ひとみを見上げる梨華
「ひとみちゃん…」
「もう泣くのはおしまいだよ…あたしには…」
梨華を抱く腕に力が入る

(あたしが好きになる人はさ…)

「梨華ちゃんが最後なんだよ」


〜FIN〜


139 名前:REDRUM 投稿日:2002年01月14日(月)13時54分10秒
>>126-138 更新&完結です。
前半部分だらだらとしていてそんなに長い話でもなかったのに4ヶ月もかかってしまいました。

>>122 名無し読者さん
吉澤、責任取れたようです。

>>123 名無しベーグル。さん
いつの間にかそっちのHN定着しちゃってますね(W
そのHNでここで会うと何故か照れます。
基本的にいざとなったときは石川さんのほうが積極的なタイプなんじゃないでしょうか?
赤も空も桃も楽しみにしてるので頑張って下さい。

>>124 名無しなんですさん
これからはそんなことの無いようにしてほしいですね(w

最後のセリフはよっすぃ〜が以前言われたいセリフは?みたいな質問で
「お前が最後のなんだよ。」って言ってたのを聞いて使わせてもらいました。
>138は8月に書き終わってたんですけどね・・・長かったな・・・。
まあ、これも更新が遅いのが悪かったのですが。

森板の短編をもうひとつ書き終わったら新作に入ります。
たぶん青板になると思います。
また覗いてやって下さい。
140 名前:名無しなんです 投稿日:2002年01月14日(月)14時10分10秒
うわぁぁぁぁ〜リアルタイムで読ませていただきました
終わりですか......残念ですがお疲れ様でした
森板知りませんでした読んでみますね
次回作も頑張って下さい
141 名前:名無しベーグル。 投稿日:2002年01月14日(月)14時19分56秒
お疲れさまでした。安倍との別れのシーンにグッと来ました。
とりあえずハッピーエンドで良かったです。
新作も楽しみにしておりまっせー。
142 名前:名無し読者 投稿日:2002年01月14日(月)16時53分02秒
キザだけどカコよかったね(w
 
从0^〜^;)
143 名前:夜叉 投稿日:2002年01月14日(月)17時03分47秒
自分も石ってそういうとこあると思いますよ。
芯が強そうって言うか。

お疲れさまでした。
吉ネタ、いいですね。推しのくせに彼女のこと何も知らないから(爆)。
あっちも完結近いですが、頑張ってくださいね。
新作も楽しみにしてます。
144 名前:名無し茶々。 投稿日:2002年01月14日(月)17時31分17秒
ええ話や…。タイトルもヨカタね、ヘタレ吉澤にぴったり(w
最後、じわっときたよ。お疲れさま。

Converted by dat2html.pl 1.0