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ピアス

1 名前:とみこ 投稿日:2001年08月31日(金)21時10分16秒
私立モーニング女学園★登場人物
◎高等部1年◎
☆吉澤ひとみ
バレー部所属。成績優秀・スポーツ万能、ケンカのプロ。校内で1番モテるがちょっとタラし。
☆後藤真希
帰宅部。昔はかなり荒れていた。
☆柴田あゆみ
テニス部のエース。成績優秀。
☆石川梨華
バレー部のマネージャー。ひとみが好き。
☆松浦亜弥
テニス部。柴田からエースを奪おうとしている。
◎高等部3年◎
☆市井沙耶香
バスケ部のキャプテン。成績優秀。校内ではひとみの次にモテる。ひとみの親友。
☆矢口真里
帰宅部。真希と一緒によく授業をサボっている。
☆安部なつみ・飯田圭織
演劇部の仲良しコンビ
2 名前:とみこ 投稿日:2001年08月31日(金)21時11分23秒
はじめまして、空板で小説を書いているとみこと言います。
しばよしダイスキングの中1のガキです。よろしくおねがいします。
3 名前:とみこ 投稿日:2001年09月01日(土)18時44分15秒
「ヨッスィー、お疲れ〜。」
バレーの練習試合の前半が終わって、梨華はひとみにタオルを差し出した。
「あ、ありがと。」
ひとみはすばやく汗を拭いて、メンバーを集めた。
「点数的には勝ってるけど、技能は相手のほうが上だ。とにかくガードはしっかり。動きはすばやく!」
「「はい!!」」
「気合入れていこう!!」
ひとみは自分の頬をパンっとたたいた。
4 名前:R 投稿日:2001年09月03日(月)12時32分46秒
楽しみにしています。頑張ってください!
5 名前:とみこ 投稿日:2001年09月04日(火)18時30分22秒
空板の小説がもうすぐ終わるので・・・なるべく更新がんがります。
ひとみ視点で書いていきたいと思います。
6 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月04日(火)20時34分59秒
いしよしだったら嬉しい。
市井が出るってことはいちごまも見れるのかな?楽しみだ。
7 名前:とみこ 投稿日:2001年09月05日(水)19時19分05秒
今週に入って3回目の練習試合。うちの学校のバレー部は結構強いから、もちろん全勝している。
中等部の時は部活には入ってなかったんだけど、高等部に入ってなんとなく入ったらスタメン入りしてマジ大変!
でも友達の梨華ちゃんがマネージャーになってくれたから心強いし、結構部活って楽しいもんだ。
8 名前:とみこ 投稿日:2001年09月05日(水)19時54分59秒
試合の帰り道、梨華ちゃんとあたしは帰りながら今日の反省をしていた。
「ヨッスィ〜のスペシャルサーブは世界一だね!この調子で全国大会目指そうね!」
梨華は小さいガッツポーズをした。
「梨華ちゃんはいっつも元気だね〜。疲れない?」
「あたしは自分の元気をヨッスィーに分けてあげたいんだよ!」
「そっか。ありがと。」
梨華ちゃんってメッチャ純粋だから、なんかカワイイんだよなぁ〜。
9 名前:とみこ 投稿日:2001年09月06日(木)21時24分35秒
「よっすぃ〜!!」
ドスッ
突然、ごっちんが後ろから走ってきてあたしにケリを入れた。
「いってぇ!!誰だよ!・・・ってごっちんかぁ。」
「オッス!試合の帰り?」
「うん。」
あたしはごっちんに蹴られた背中をさすりながら答えた。
「ヨッスィ〜ね、すごい強かったんだよ!」
「そ、そんな事ないよぉ・・・。」
梨華ちゃんはまるで自分の事みたいに、笑顔でごっちんに話していた。
なんか聞いてるこっちが照れてくるよ。梨華ちゃんってマジで純粋!
10 名前:とみこ 投稿日:2001年09月06日(木)21時34分34秒
「ふ〜ん。もしかして梨華ちゃんってさ・・・」
ごっちんは梨華ちゃんの耳元で何か言っていた。(あたしには聞こえなかったけど。)
「そ、そういうんじゃないよぉ!」
梨華ちゃんはそう言って真っ赤になってた。
「ごっちん、梨華ちゃんに何言ったの?」
「ひ・み・つ!」
ごっちんは人差し指を唇に当ててウィンクした。
そんな仕草がかわいく思えるのはあたしだけかな?
11 名前:とみこ 投稿日:2001年09月06日(木)21時43分25秒
あたしとごっちんと梨華ちゃんは、近くの喫茶店でお茶をする事にした。
「バレーボールって楽しいのぉ?」
ごっちんはフルーツパフェを頼んだ後に聞いてきた。
「う〜ん、何にもやってないよりはマシだね。」
「あ、何それ〜。あたしが帰宅部だからってバカにしてんでしょ!?」
ごっちんはプゥっと頬を膨らませて怒った。
「あのね、部活に入ってないのに「帰宅部」なんて名乗る資格はないの!」
「あたしは帰宅部の部長だかんね!」
「帰宅部に部長なんてないの!」
くだらない事で騒いでいるあたし達を、梨華ちゃんは瞬きをしながら交互に見ていた。
フルーツパフェが運ばれてきて、ごっちんはすぐにスプーンで大きなイチゴを取った。
ごっちんがあ〜んってしてる時に、あたしはスプーンの上に乗っているイチゴをパクっと食べた。
「あ〜〜〜〜〜!!何すんだよ!ヨッスィーのバカァ!!」
こんな雑談が夕方まで続いた。
12 名前:とみこ 投稿日:2001年09月07日(金)17時52分43秒
帰り道に、本屋の前でごっちんが立ち止まった。
「あ、ちょっと寄っていくから。バイバ〜イ。」
「うん、バイバイ。」
ごっちんはそのまま本屋の中へ入っていった。
梨華ちゃんと2人になったので、あたしは梨華ちゃんの家まで送ることにした。
13 名前:とみこ 投稿日:2001年09月07日(金)18時38分31秒
「じゃ、また明日ね。」
「よっすぃ〜・・・。」
梨華ちゃんはちょっぴり上目遣いであたしを見た。
「ん?」
「さみしいよぉ。もっと一緒にいたい。」
「梨華ちゃん・・・。(うぅ〜。超カワイイよぉ!!)」
「あたしね・・・よっすぃ〜の事・・・」
「え?」
梨華ちゃんは少し照れているようだった。
「ん・・・なんでもない。また明日ね。」
「う、うん。じゃぁね。」

なんか・・・梨華ちゃんといると妙に胸がドキドキするんだ。なんでだかわかんないけど、その気持ちに気づくのはまだ早いのかもしれない。
14 名前:とみこ 投稿日:2001年09月08日(土)20時14分06秒
次の日―――
「おはよ。」
あたしは下駄箱にいたごっちんに話し掛けた。
「おっす!よっすぃ〜。」
ごっちんはスニーカーを下駄箱に入れると、上履きのかかとを踏みながら歩き出した。
あたしはごっちんを追って横に並んだ。
「ごっちん、昨日のうたばん見た?」
「見た見た!おもしろかったよね〜。特に・・・」

「あのぉ・・・」
背後から聞こえた声に振り返ってみると、そこには1人の小柄な少女が立っていた。
「吉澤さんですよね?」
「はい、そうですけど・・・。」
敬語使われてるから、後輩だろうと思っていた。
「ちょっと話があるんですけど、いいですか?」
「あ、うん、いいけど。ごっちん先行っててくれる?」
「オッケー!」
ごっちんは小走りでその場を去っていった。
あたしはその女の子に連れられて、誰もいない会議室に行った。
15 名前:とみこ 投稿日:2001年09月08日(土)20時24分05秒
「えっと・・・まず名前教えてくれる?」
「あっ、すみません。えっと、1年C組の松浦亜弥です。」
「あ、タメだったんだ。よろしくね。」
「突然で悪いんですけど、あたし吉澤さんの事が好きなんですよ。」

「はい?」

「だから、吉澤さんが好きなんです。付き合ってくれませんか?」
正直言って理解不能だった。今まで何人もの女の子に告られてきたけど、これだけ大胆っていうか突然言われると困る。
「え、でもあたしは亜弥ちゃんの事全然知らないし・・・。」
「そんなのこれから知っていけばいいんですよ。お願いします。」
そういって亜弥ちゃんは手を差し出した。
(この手を握れば「OK」って事だよね・・・。)
16 名前:とみこ 投稿日:2001年09月08日(土)20時27分26秒
「あの・・・亜弥ちゃん。」
「はい?」
「悪いんだけど、亜弥ちゃんの気持ちには答えられない。」
「なんでですか?」
亜弥ちゃんは丸くて大きい瞳をあたしに向けた。
「その・・・えっと・・・。(適当な理由つけなきゃ・・・)」
「好きな人がいるとかですか?」
「・・・そ、そうなんだよね。実は。あはは・・・はは。」
あたしはごまかし笑いをした。
「そうですかぁ・・・誰ですか?好きな人って。」
「え!?それは教えられないよ。ゴメンネ。」
「・・・わかりました。じゃぁ友達になってくれますか?」
「え、うん。それはいいよ。」
そう言って、あたしと亜弥ちゃんは携帯番号とメールアドレスを交換した。
17 名前:とみこ 投稿日:2001年09月08日(土)20時35分11秒
授業中、あたしはボーッとしながら亜弥ちゃんが書いたメールアドレスと電話番号を見つめていた。
(亜弥ちゃん・・・よくあんな勇気があるなぁ・・・。あたしだったら絶対いえないよ・・・。)
色んな事が頭ん中巡ってる・・・。なんかわけわかんない。
そんな時、ポケットに入れていた携帯がブルった。
<<差出人:市井紗耶香>>
(お、サヤじゃん。)
<<授業中ごめんな。今日も食堂混みそうだから、授業終わる前に抜け出して来い!>>
(サヤとはいっつも一緒にお昼を食べている。サヤは年上だけど、メッチャ気が合うし、いいやつ。
まあ自分的には親友なのかな?まあそんな事はどうでもいいけどさ。)
授業が終わる5分前、あたしはそ〜っと教室を抜け出して食堂に向かった。
18 名前:とみこ 投稿日:2001年09月08日(土)20時40分21秒
食堂にはすでに何人かの生徒が来ていた。みんな同じことを考えてるんだろう。
「おっす、ひとみ。」
1番奥のテーブルですでに紗耶香が座っていた。
「うぃ〜っす。サヤ、授業中にメールはすんなっつったじゃんかぁ〜。」
「いいんだよ〜!先輩に向かってナマイキな事言ってんじゃねぇぞコラァ?」
サヤはあたしに拳を向けて見せた。
「こういうときだけ先輩ヅラすんなよ〜!」
2人で盛り上がっていると、四人の生徒がよってきた。
「あの、ここ座ってもいいですか?」
「「うん、いいよ〜。」」
サヤとあたしは声をそろえていった。
19 名前:とみこ 投稿日:2001年09月08日(土)20時50分21秒
その四人の生徒は、中等部の人達らしい。結構みんなカワイイ顔してるなぁ。
「吉澤先輩と市井先輩ですよね?」
その中の1人が聞いてきた。
「うん、そうだよ。」
サヤが答えた。
「やっぱり!中等部で超人気なんですよ!一緒にお昼食べれるなんて嬉しいです〜。」
「そうなの?まあよろしくね。名前はなんていうの?」
あたしはニコッと笑いながら聞いた。(大半の女の子はこれでオチる・・・フッ。)
「えっと、新垣里沙です。よろしくおねがいします。」
(・・・あんまりタイプじゃないなぁ・・・。ガキだし。)
「小川麻琴です。よろしくおねがいします。」
(なんかキツそうだなぁ・・・でもまあカワイイけど。)
「紺野あさ美です・・・。」
(おっ、結構カワイイんじゃないのぉ?)
「初めまして、高橋愛です。」
あたしはその子に釘付けになった。だって、すごく美人だったから。
(マジでカワイイ!この子メッチャかわいいよぉ〜〜〜!?)
「愛ちゃん、よろしくね!」
あたしは愛ちゃんの手を取ってスペシャルスマイルを見せてあげた。
「よろしくおねがいしますっ。」
愛ちゃんはニコッと笑顔で返してくれた。
20 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月09日(日)00時21分12秒
やはりというか、何と言うか…。
新メンの中でよしこが気に入るのは高橋か…。
このままお持ち帰りしちゃうのかな?
21 名前:とみこ 投稿日:2001年09月09日(日)19時18分24秒
ひとつ年下の超カワイイ女の子に出会った。名前は高橋愛ちゃん。
ストレートな黒髪がなんともいえない。もちろん顔はピカイチだけどね。
また愛ちゃんに会いたくなった。放課後、紗耶香と中等部の校舎に行った。
22 名前:とみこ 投稿日:2001年09月09日(日)19時18分55秒
>>20
よしこは絶対に美少女は見逃しませんから(w
23 名前:とみこ 投稿日:2001年09月09日(日)19時29分09秒
「あの〜・・・高橋愛ちゃんいますか?」
高等部に入ってから、中等部に来るのは初めてだった。
さすがにうちら2人が来ると、周りには後輩が集まってきた。
教室から昨日会った麻琴ちゃんが出てきて愛ちゃんを呼びに行ってくれた。
気が付くと、サヤは後輩達と一緒にその場を離れしまっていた。
「あれ?サヤ〜?」
「ごめん、ちょっとお呼ばれしてくる。」
サヤはそのまま後輩達に連れられていった。
後輩達の群れで、教室のドア付近がよく見えない。
でも、スッと出てきた愛ちゃんは他の子よりもずっと美人で繊細だから、すぐわかった。
「愛ちゃん、こんにちは。」
「こんにちは。どうしたんですか?」
「いや、特に用はないけど・・・あ、よかったら一緒に帰らない?」
「え、いいんですか?」
「もちろん。今日は部活もないし。愛ちゃんの事もっと知りたいな。」
その言葉に、周りの後輩達がうらやましそうな顔をして愛ちゃんを見ていた。
「じゃ、正門のトコで待ってて。」
そう言って愛ちゃんに手を振った。
24 名前:とみこ 投稿日:2001年09月09日(日)19時34分51秒
放課後清掃が終わって、すぐに荷物をまとめて教室を出ようとした。
「あ、よっすぃ〜!帰りCD屋寄らない?」
ごっちんが聞いてきた。
「ごめん、今日はちょっと・・・カワイイ後輩が待ってるから!」
「また新しい女かよぉ〜。まぁ頑張れよ!」
あたしは階段を駆け下りて下駄箱にいると、梨華ちゃんが立っていた。
「あ、よっすぃ〜、一緒に帰ろうよ!」
「あ〜ゴメン!今日はちょっと先約がいるんだ。」
梨華ちゃんには悪いと思ったけど、あたしは急いで正門に向かった。
25 名前:とみこ 投稿日:2001年09月09日(日)19時38分37秒
正門に行くと、すでに愛ちゃんが待っていた。
「愛ちゃん!」
すぐに愛ちゃんの元に駆け寄った。
「ごめん、待った?」
「いえ、そんな事ないですよ。」
愛ちゃんがニコッと笑った。元の顔がいいのか、愛ちゃんの笑顔はあたしの胸を熱くした。
「じゃ、帰ろっか。」
「はい。」
26 名前:とみこ 投稿日:2001年09月09日(日)19時42分29秒
「愛ちゃんはさ、好きな人とかいるの?」
「え・・・いませんよ。」
「そっかぁ・・・じゃぁあたしと付き合わない?」
「え・・・?」
「愛ちゃんの事好きになったんだ。もしよければ付き合ってほしい。」
あたしは愛ちゃんの手を握った。
「・・・あたしなんかでいいんですか?」
「愛ちゃんじゃないとダメなんだよ。」
「・・・じゃぁ、よろしくおねがいします。」
「こちらこそよろしく!(やった〜〜!!!)」
こうして愛ちゃんと付き合う事になった。
ま、あたしに告らて断る人もあんまりいないけどね。
27 名前:とみこ 投稿日:2001年09月10日(月)18時50分34秒
愛ちゃんと付き合い始めて3日目、あたしは毎日中等部へ遊びにいった。(サヤと一緒に)
「愛ちゃん。」
教室のドアに手をかけて愛ちゃんを呼んだ。
愛ちゃんのストレートで綺麗な髪が、風になびく。
「吉澤先輩、いっつも来てくれてありがとうございます。」
「いやいや、愛ちゃんに会うためなら毎日中等部に来るよ。」
廊下の真ん中でイチャついてるあたし達を見て、生徒達はうらやましそうに見ていた。
「そうそう、「吉澤先輩」なんてかったるいからさ。ひとみでいいよ?」
「え・・・じゃぁ、ひとみ・・・先輩?」
色白な愛ちゃんの顔が少し赤くなるのがとてもカワイかった。
っと・・・サヤの事すっかり忘れてた。サヤは階段でたくさんの後輩達に囲まれていた。
「市井ちゃん!」
サヤの元へごっちんが駆け寄ってきた。
「あれ?後藤じゃん。どしたの?」
「よっすぃ〜が愛ちゃんの所にいるから、市井ちゃんもいるかなぁ〜?って。」
「ひとみのヤツ、連れてくるのはいいけど・・・あたしがヒマになるっつーの。」
「じゃぁあたし達もイチャつこ〜よ♪」
「は?」
周りに居た後輩達は、2人の会話を聞き入っていた。
28 名前:とみこ 投稿日:2001年09月10日(月)19時15分32秒
「市井ちゃん、後藤の事嫌い?」
「え、いや、嫌いじゃないけど・・・ジョーダンやめてよ。」
「ジョーダンなんかじゃないもん!市井ちゃんの事好きだよ?」
後輩達が騒ぎ始めた。
以前からサヤと仲が良かったごっちんは、後輩達に羨ましがられていた。
ごっちんが中等部に来る時はいつも、『ゴマキだ〜!』と言われていた。
「・・・とりあえず高等部戻ろう。」
サヤはごっちんの手を引っ張って高等部に戻っていった。
29 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)08時09分13秒
その時、チャイムが鳴った。
「あ、もう時間だ。愛ちゃん、今日も一緒に帰ろ?」
「はい。」
そう言って愛ちゃんに投げキッスをすると、後輩達が「今のあたしにしたんだよー!?」と騒いでいた。
30 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)08時18分57秒
放課後、バレー部が終わって部室で着替えをしていると、梨華が入ってきた。
部室で梨華ちゃんと二人っきりになったのは初めてだった。
「よっすぃ〜、お疲れ様!今日もカッコよかったよ〜。」
「ありがと。」
正門で愛ちゃんが待っているので、あたしは急いで着替えをした。
「どうしたの?急いじゃって。」
梨華ちゃんが部室の掃除をしながら聞いてきた。
「愛ちゃんと一緒に帰るからさ。」
「・・・愛ちゃんって?」
「付き合ってるの。」
梨華と会話をしながらも、あたしは帰る準備をすすめていた。
その時、どうして梨華の表情に気づいてあげられなかったんだろう。
「じゃぁね、梨華ちゃん!」
「よっすぃ〜・・・」
「ん?」
「・・・なんでもない。」

【その時、どうして梨華の表情に気づいてあげられなかったんだろう。】
31 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)08時22分22秒
「愛ちゃん、お待たせ!」
「ひとみ先輩、お疲れ様です。」
愛ちゃんが笑顔で迎えてくれた。
「いっつもゴメンネ、部活終わるまで待ってもらっちゃって。」
「いえ、ひとみ先輩と一緒に帰りたいからいいんです。」
「そっか、ありがと。」
あたしはさりげなく愛ちゃんと手を繋いでみた。
愛ちゃんはフッと顔を上げて、少し照れるように下を向いた。
32 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)08時41分03秒
「あのさ、今度の日曜日空いてる?」
愛ちゃんはコクリと頷いた。
「映画行かない?券があるんだけどさ。」
「行きたいですっ。」
愛ちゃんはニコッと笑った。
あたしは立ち止まって、愛ちゃんの肩に手を置いた。
その先の行動がわかったのか、愛ちゃんは目を閉じた。
そっと顔を近づけると、愛ちゃんの綺麗な髪からシャンプーのいい香りがした。

とても短いキスだった。
「愛ちゃん・・・好きだよ。」
あたしは愛ちゃんの前髪をそっと上げて、額にキスをした。
「あたしも・・・ひとみ先輩の事大好きです。」
その笑顔が可愛くて、あたしは愛ちゃんの頭を優しくなでた。
その時、コンビニから1人の少女が出てきた。
33 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)08時53分19秒
コンビニから出てきた少女は、2人の男に話し掛けられていた。どうやらナンパされているようだ。
その少女は、男に無理矢理連れて行かれそうになっていた。

「愛ちゃん、ちょっと荷物持っててくれる?」
「え・・・?」
あたしは愛ちゃんに荷物を預けると、少女の元へ向かった。
「そのへんにしとけば?嫌がってんじゃん。」
「あぁ?」
少女の手を掴んでいた男のクツを踏んだ。
「テメェ、何すんだよ!」
「バーカ。」
「なっ・・・!」
男は2人で殴りかかってきた。
バキッ!!
だけど、殴られたのは相手の方だった。
「ぐぁっ!・・・・・てめぇ・・・覚えてろよ!!」
「3秒で忘れてやるよ。」
男達はそのまま逃げていった。
34 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)09時04分21秒
「あの・・・ありがとうございます。」
「どういたしまして。」
「・・・たしか同じ学校だよね?吉澤さんだっけ?」
「うん、そーだよ。同じガッコだったんだ〜。名前は?」
「あたしは柴田あゆみ。よろしくね。」
その時、愛ちゃんが駆け寄ってきた。
「あゆみちゃんカワイイから、あーいうヤツらには気をつけてね!」
「え・・・?」
「ひとみ先輩、行きましょ。」
「あ、うん。じゃぁね、あゆみちゃん。」
あたしはニコッと笑って、あゆみに手を振った。
35 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)11時09分58秒
その頃、市井と後藤は―――
「市井ちゃん、トイレに連れてくることないじゃーん。」
紗耶香は、掴んでいた真希の腕を放した。
「あのなぁ!みんなの前で好きとか軽く言うなよ!」
「あたしは市井ちゃんの事好きだもん!でも・・・よっすぃ〜も好き。」
「はぁ?」
「よっすぃ〜も市井ちゃんも好きなの!でもよっすぃ〜には愛ちゃんがいるし・・・。」
「だからあたしにするのか?」
「そういう意味じゃないよ!本気でよっすぃ〜が好きだったら、愛ちゃんから奪うもん!」
「じゃぁさ、愛ちゃんからひとみ奪えばいいじゃん!!!」
「でも市井ちゃんも好きなの!!!!」
少しの間、沈黙が続いた。
「後藤さぁ・・・ホントはひとみが好きだけど、愛ちゃんがいるからあたしに逃げてるんでしょ?」
「ちがうもん!!」
「じゃぁ言っとくけどさ。あたしは後藤に興味ないの!!」
紗耶香は走り去ってしまった。
36 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)11時15分24秒
次の日―――
「ごっちん、おはよー!」
「よっすぃ〜・・・おはよ。」
真希は昨日の紗耶香との事で落ち込んでいた。
「ごっちん・・・どしたの?」
「よっすぃ〜・・・あたし・・・あたし・・・うえぇぇぇぇん!!!」
教室で突然泣き出した真希に、ひとみは慌てた。
「と、とりあえず屋上行こっ!」
ひとみは泣いている真希を屋上へ連れていった。
37 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)11時27分50秒
―ひとみ視点―
「落ち着いた?」
ごっちんは小さく頷いた。
「何があったの?話して見てよ。」
「あのね、市井ちゃんが・・・あたしには興味ないって・・・。」
「は?それひどいよ!なんで?ごっちんはサヤが好きだったの?」
「・・・うん、でも・・・よっすぃ〜も好きだった。」
「え?」
「でも・・・よっすぃ〜には愛ちゃんがいるし、市井ちゃんにはフラれるし・・・」
再び泣き出してしまったごっちんを抱き寄せ、制服の襟で涙を拭ってあげた。

ガチャ
その時、屋上のドアが開いて愛ちゃんが入ってきた。
「愛ちゃん!?」
「え・・・ひとみ先輩・・・何やってるんですか?」
ごっちんを抱いて慰めているあたしを見て、愛ちゃんは一歩一歩と後ろへ退いていった。
「愛ちゃん・・・これは・・・その・・・。」
「ひとみ先輩・・・ひどいよぉ・・・」
愛ちゃんはそのままダッシュで出て行ってしまった。
「あ・・・愛ちゃん・・・。」
「よっすぃ〜・・・ごめんね。あたしのせいで。」
「ううん、ごっちんは悪くないよ。」
「愛ちゃんの所行ってきなよ。」
「う、うん。」
あたしは立ち上がって屋上を出ていった。

「よっすぃ〜・・・。」
38 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)11時39分05秒
あたしは急いで愛ちゃんの教室に行った。
しかし、出てきたのは小川麻琴だった。
「麻琴ちゃん・・・愛ちゃんは?」
「吉澤先輩、ひどいよ。愛と付き合ってるのに後藤先輩と・・・。」
「あれは・・・ごっちんを慰めてあげてただけだよ。」
「それでも愛は傷ついてた!先輩がこんな人だとは思わなかった!!」
「麻琴ちゃん・・・」
「出て行ってください!もう来ないで下さい!!!」
あたしは麻琴ちゃんに教室から追い出された。

麻琴ちゃんが言ってることは全部正しいんだ。あたし・・・サイテーなヤツだ。
39 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)19時29分32秒
そのころ紗耶香は―――
「さやか!」
紗耶香が正門を出る直前に、真里に呼び止められた。
「うぃっす・・・矢口。」
「どーした?元気ないじゃん。あたしがパワー充電してあげよっか?」
「ふっ・・・なにそれ・・・。」
真里は勢いよく紗耶香に抱きついた。
「うわぁっ!」
勢いがありすぎたのか、紗耶香はしりもちをついてしまった。
「いててて・・・。」
紗耶香はスクッと立ち上がった。
「ごめんね〜紗耶香!」
紗耶香は真里の頬を両手で引っ張った。
「やーぐーちぃ〜〜!!!」
「イテテテテ!!ほほほほほ。」
紗耶香は真里の頬から手を離した。
「何でよろこんでんの〜?変なヤツゥ。」
紗耶香は苦笑いをした。
「それがいつもの紗耶香じゃん?」
「へ?」
40 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)19時36分41秒
「いつもの紗耶香に戻ったね!」
「矢口・・・。」
「なんかあったの?話してみなよぉ?」
「うん・・・実は・・・。」
紗耶香は、真希との出来事を全て真里に話した。

「そっかぁ・・・だからゴッツァンは本当は吉澤が好きなんじゃないかって思うの?」
「うん・・・。」
「多分ゴッツァンは、どっちも大好きなんだけど今は紗耶香の方が好きなんだよ。」
「そっかなぁ・・・。」
「恋愛ってさ、結構単純なもんだよ。もしホントはゴッツァンはよっすぃ〜が好きでも、愛ちゃんと付き合ってるんだから紗耶香に気持ちが向いてもおかしくないよ?」
「・・・・・矢口って意外と大人だね。」
「ひとこと多いの!」
紗耶香はクスッと笑った。
「とりあえず後藤にあやまるよ。」
「うん。まあガンバレよ!なんかあったらいつでもオイラに乗り移っていいぞ!」
「サンキュ。」
41 名前:とみこ 投稿日:2001年09月11日(火)19時42分27秒
PM6:00 後藤家
「ただいまぁ〜。」
「あ、姉ちゃんおかえり。」
「ユウキ〜〜、麦茶!ほれ、早く!」
「やだよ。俺は姉ちゃんのパシリじゃねぇっつーの!」
バコッ
真希はティッシュの箱をユウキに投げつけた。
「いってぇ!何すんだよ!」
〜♪
「あ、携帯なってる。ユウキ、麦茶入れといてね。」
真希は部屋に入ってディスプレイを見た。

【市井紗耶香】
42 名前:とみこ 投稿日:2001年09月12日(水)18時29分30秒
「いちーちゃん・・・?」
真希は受信ボックスを開いた。
<<昨日はゴメン。>>
メールにはそれだけが書いてあった。
真希はすぐに紗耶香に電話した。
プルル・・・
「後藤!?」
紗耶香はすぐに出た。
「あ、市井ちゃん・・・あの、あたし・・・」
「後藤、ごめん!本当にごめんな!」
紗耶香はひたすら謝った。
「え、市井ちゃんは謝る必要ないよぉ。悪いのはあたしなんだからっ。」
「でもっ・・・」
「あたし、本当にヨッスィ〜と市井ちゃんの事、同じくらい大好きなんだからね!」
「うん・・・ありがと。」
「・・・じゃぁ、また明日ね。」
「うん。バイバイ。」
プチッ
そう言って真希は電話を切った。
43 名前:とみこ 投稿日:2001年09月12日(水)18時44分56秒
―ひとみ視点―
次の日、バレーの朝練で早く学校に行った。
その時、中等部の下駄箱から何か声が聞こえた。
あたしは下駄箱の近くに行ってみた。
「・・・好きだから。付き合ってくれない?」
よく見ると、麻琴ちゃんと・・・もうひとりはよく見えなかった。
そして麻琴ちゃんは、もう1人の少女にそっとキスをした。
2人が顔を離したとき、もう1人の少女の顔が見えた。
・・・・・・愛ちゃんだった。
44 名前:とみこ 投稿日:2001年09月12日(水)18時53分48秒
あたしは下駄箱から離れた。見てるのが辛かったから。
ドンッ
その時、愛ちゃんが走って出てきてあたしにぶつかった。
「あ、愛ちゃん・・・?」
「ひとみ先輩!」
「もういいよ・・・。愛ちゃんは麻琴ちゃんの事好きなんでしょ?」
「・・・・・・ひとみ先輩は後藤先輩が好きなんでしょ?」
「・・・好きだよ。」
あたしは嘘をついた。別にごっちんの事好きとかじゃないけど、今この場を片付けるためだけに。
「・・・・そうですか。あたしも麻琴ちゃんと付き合うつもりなんで・・・。」
あたしは返事もしないでその場を去った。
45 名前:とみこ 投稿日:2001年09月12日(水)19時00分22秒
部室で着替えを終わらせると、体育館に向かった。
体育館に行っても、誰も居なかった。
朝練といっても、あたしが自主的にやっているだけだから。
体育倉庫からボールを取ってきて、サーブの練習を始めた。
その時、体育館のドアが開いて梨華ちゃんが入ってきた。
「あれ?梨華ちゃんどうしたの?」
「え、よっすぃ〜来てるんじゃないかなぁって思って。見ててもいい?」
「あ、うん。でも見せるほどのもんじゃないよぉ?」
梨華ちゃんはニコッと笑ってパイプ椅子に腰掛けた。
あたしはひたすら練習をし続けた。
夏の体育館は暑い。練習を終えた時には汗だくになっていた。
46 名前:とみこ 投稿日:2001年09月12日(水)19時05分35秒
「お疲れ様。」
梨華ちゃんは飲み物を渡してくれた。
「あ、サンキュ。」
そして、額の汗をタオルで拭き取ってくれた。
「よっすぃ〜ってバレーやってる時が特にカッコイイよね。」
「そう?」
「よっすぃ〜さ、愛ちゃんとはどう?」
「あー別れたんだ。愛ちゃんは麻琴ちゃんが好きみたいだよ。」
「え?よっすぃ〜はそれでいいの?」
「・・・あたし嘘ついちゃった。「あたしもごっちんの事が好きだから。別れよう」って。」
「・・・え、ごっちんの事すきなの?」
「ううん、そうじゃないよ。ただ強がってただけ。」
「・・・じゃぁ今は好きな人も付き合ってる人もいないんだ?」
「え・・・うん。」
47 名前:とみこ 投稿日:2001年09月12日(水)19時07分15秒
「じゃぁさ・・・よっすぃ〜・・・」
「ん?」
「・・・・・・・・なんでもないっ。」
「なんだよぉ〜。梨華ちゃんってそういう所カワイイよね。」
あたしは梨華ちゃんの頭をなでた。
「じゃぁ、着替えるかな。」
「うんっ。お疲れ様でした!」
48 名前:とみこ 投稿日:2001年09月13日(木)08時25分41秒
放課後―――
バレー部の休憩時間に、あたしは校庭でやっているテニス部を見ていた。
その中に亜弥ちゃんがいた。あの告白以来、あまり喋ったことはなかった。
亜弥ちゃんと対戦している女の子は、次々と点を入れていく。
あたしはその女の子に見覚えがあった。
ちょうどテニス部も休憩時間になったので、会いに行った。
49 名前:とみこ 投稿日:2001年09月13日(木)08時45分56秒
「亜弥ちゃん。」
「あ、吉澤先輩!こんにちは!」
「先輩???亜弥ちゃんってタメじゃないの?1−Cって言ってたじゃん。」
「あー、あれウソです。」
「は?」
「まぁいいからいいから!何か用があったんじゃないんですか?」
「あ、そうだった。あのさ、さっき対戦してたのって誰?」
「え、柴田さんですか?」
そういって亜弥ちゃんはあゆみちゃんを連れてきた。
「あゆみちゃん!テニス部だったんだ〜。」
「うん。吉澤さんはバレー部だよね?」
「そうだよ〜。さっき見てたけど、あゆみちゃんメッチャ強かったね!」
「そ、そうかなぁ?」
「せっかくだからあっちで話そうよ。」
「うん!」
50 名前:とみこ 投稿日:2001年09月13日(木)08時54分07秒
あたしとあゆみちゃんは中庭のベンチに座った。
「そういえばさ、「吉澤さん」ってやめない?」
「え?じゃぁ・・・・よっし〜?」
「よっし〜じゃなくて、よっすぃ〜だよぉ。」
「こだわるねぇ〜。」
あたしは微笑した。

「よっすぃ〜って、松浦さんに告られた事あるでしょ?」
「え?何で知ってんの?」
「だって松浦さんって「告り魔」として有名なんだよ!」
「告り魔ぁ!?」
「しかも、中2の小川麻琴ちゃんに告った時は「あたしも中2」ってウソついたんだって!」
「マジで?あたしの時は「高1」って言ってたよ!」
「本当は中3だよ、あのコ。よくそんなに嘘がつけるよね〜。」
「ホントホント!あたしもタメって聞いたときはちょっと半信半疑だったもん。」
「マジで松浦さんには気をつけてね!」
「うん・・・。」
51 名前:とみこ 投稿日:2001年09月13日(木)08時56分38秒
「じゃぁ・・・そろそろ行くね。」
「うん、がんばってね!!」
「よっすぃ〜もね!」
あたしはあゆみちゃんに手を振って、体育館に戻った。

練習が終わって帰ろうとした時、正門で梨華ちゃんと亜弥ちゃんがいた。
52 名前:とみこ 投稿日:2001年09月13日(木)09時06分27秒
「石川さん!あのっ・・・1−Gの松浦亜弥です。初めまして。」
「え・・・あ、初めまして。」
「あのぉ、あたし石川さんの事好きなんです。付き合ってください!」
あたしはずっと2人の会話を聞いていた。亜弥ちゃん・・・またウソついてるし。
亜弥ちゃんは本当は中3って事を梨華ちゃんに言わなきゃ!
あたしは2人の元に走っていった。
「えっと・・・ごめんなさい。あたし・・・よっすぃ〜が好きなの。」

え?
あたしは立ち止まった。でももう遅かった。2人はあたしに気づいてこっちを向いた。
53 名前:とみこ 投稿日:2001年09月13日(木)09時07分04秒
「よ、よっすぃ〜!?」
梨華ちゃんは真っ赤になっていた。
「まぁいいや。」
亜弥ちゃんはスッとその場を去ってしまった。
「梨華ちゃん・・・あの・・・その・・・。」
あたしは亜弥ちゃんのウソの事を言うのをすっかり忘れてしまった。
だって・・・告白みたいなもんじゃん。梨華ちゃんはあたしの事・・・・・。
「よっすぃ〜・・・・あの、えっとね・・・亜弥ちゃんを断るためのウソだからね!」
「え?・・・そ、そうだったんだ。」
あたしはホッとした反面ちょっと期待ハズレって気持ちもあった。
でもなんだか梨華ちゃんは本心を言っているように見えなかった。
「じゃ、じゃぁね。」
「え、あ・・・うん。また明日ね。」
梨華ちゃんはそのまま帰っていった。
54 名前:とみこ 投稿日:2001年09月13日(木)17時42分37秒
あたしは家に帰って、制服のままソファーに寝そべった。
〜♪
携帯がなった。あたしはディスプレイを見ると、「受信メール5通」となっていた。
その中の3通は亜弥ちゃんだった。
<<今日は石川先輩に告ってフラれちゃったんですぅ〜。>>
<<誰か紹介してくださいよ〜。>>
<<市井先輩とかカッコイイですよね〜。前に告ってフラれたんですけどね(笑)>>
あまりにもくだらないメールだったので、あたしはすぐに削除してしまった。
あとの3通は、梨華ちゃんとあゆみちゃんだった。
<<7時に西公園の噴水の所で待ってます。>>
2人とも同じ内容だった。あたしはとりあえず着替えて西公園に向かった。
55 名前:とみこ 投稿日:2001年09月13日(木)17時44分52秒
>>54
あとの3通=あとの2通の間違いです。
56 名前:とみこ 投稿日:2001年09月14日(金)19時04分31秒
辺りはすっかり暗くなっていて、噴水の水は静かに流れていた。
「よっすぃ〜!」
振り向くと、梨華ちゃんが小走りでこっちへ向かってきた。
「梨華ちゃん、どうしたの?」
「あ、あのね。話があるんだけど・・・いい?」
「え、でも・・・あゆみからも同じ内容のメールが来たんだ。だから・・・。」
「じゃ、じゃぁすぐ言うねっ!」
「う、うん。」
「あ、あのね!あたし、よっすぃ〜の事が・・・・す・・・す・・・」
「す?」
その時、あゆみが走ってやって来た。
57 名前:とみこ 投稿日:2001年09月14日(金)19時09分46秒
「ごめーん!よっすぃ〜。遅れちゃった。」
梨華ちゃんは黙ったままあたしを見ていた。
「あのさ、あゆみちゃん。梨華ちゃんが話あるっていうからちょっと待っててくれる?」
あゆみちゃんは梨華ちゃんを見てから、またあたしに視線を戻した。
「梨華ちゃんの話って告白なんじゃん?」
「へ?」
あたしは意味がわからなかった。
「そうなんでしょ?梨華ちゃん。」
あゆみちゃんがそう言うと、梨華ちゃんは真っ赤になっていた。
「そ、そうなの?梨華ちゃん。」
梨華ちゃんは小さく頷いた。あたしは顔が熱くなっていくのがわかった。
「梨華ちゃんはよっすぃ〜が好きなのかぁ・・・。」
次のあゆみちゃんの言葉で、あたしはもっと驚いたのだった。

「あたしもよっすぃ〜の事好きなんだ。どうする?」
58 名前:とみこ 投稿日:2001年09月14日(金)21時36分06秒
あたしは・・・どうしようもなかった。もしかして選ばなきゃいけないの?
梨華ちゃんかあゆみちゃんを選ばなきゃいけないの?
だって、どっちも大好きだよ・・・。でも今あたしにできる選択は
「あゆみを選ぶ」「梨華を選ぶ」「どっちも断る」しかないの?
あたしは頭の中がメチャメチャになっていた。
梨華ちゃんはうつむいたままだし、あゆみちゃんも真剣な顔してあたしに言葉を求めてる。
きっと2人とも同じくらいあたしの事思ってくれてる・・・だから辛い。
「梨華ちゃん、あゆみちゃん・・・。」
あたしが声をかけると、うつむいてた梨華ちゃんもあたしを見た。
「もう少し・・・考えてもいいかな。」
2人とも頷いた。
「じゃ、じゃぁね。暗いから気をつけてね。バイバイ。」
そう言ってあたしは去っていった。
59 名前:とみこ 投稿日:2001年09月14日(金)21時42分06秒
その後、公園では―――
「り・・・梨華ちゃん。なんか・・・ゴメン。」
「あゆみちゃんが謝ることないよ。お互いよっすぃ〜の事好きになっちゃったんだし。」
「梨華ちゃん・・・・・。」
「あ、あのね!あたし、よっすぃ〜の事諦めるよ。」
「え?何言ってんの・・・?」
「あゆみちゃんの方が合ってるよ!並んでると絵になるじゃんっ。」
「そんなっ・・・そんな事言わないでよ。遠慮とかやめてよぉ。」
「遠慮なんかじゃない!もうよっすぃ〜なんか好きじゃないもん。」
「何それ!?無理に気使わないでよ!」
「そんなんじゃないよ!最初っからよっすぃ〜なんて好きじゃなかったの!」
そう言って梨華は去っていった。
60 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月14日(金)21時52分57秒
梨華ちゃ〜ん強がりはダメだよ〜
61 名前:とみこ 投稿日:2001年09月14日(金)21時57分44秒
―ひとみ視点―
(考えるって言ったけど、明日気まずくなるよりは今日言った方がいいよね・・・。)
あたしはまずあゆみちゃんに電話をした。
プルルルルルル・・・・
(もしもし。)
「あ、あゆみちゃん?」
(うん・・・。)
「今日の事だけどさ・・・」
(あのね、梨華ちゃんが最初っからよっすぃ〜なんて好きじゃなかったって・・・。)
「え?」
(諦めるって・・・。)
「マジで・・・?なんか遠慮してるみたいじゃん。」
(うん・・・でもよっすぃ〜なんか好きじゃないって言い張ってて・・・。)
「そっか・・・じゃぁうちら付き合っちゃう?」
(・・・・そうしよっか。)
62 名前:とみこ 投稿日:2001年09月15日(土)20時59分26秒
次の日―――
あたしは教室でボーッと外を眺めていた。
昨日の梨華ちゃんの言葉はイマイチ信じられない。
梨華ちゃんは昔っから控えめだったし、すぐ遠慮しちゃうタイプなんだよね・・・。
でも無理矢理好きって言わせる必要もない・・・か。
「何ブツブツ言ってんの?」
突然ごっちんが話しかけてきてビックリした。
「ご、ごっちん!?あたし、今なんか言ってた?」
ごっちんはクスクス笑っていた。
「あはは、言ってないよ〜ん。ウソウソ。」
「も〜。ビビったぁ〜。」
「で、何考えてたの?」
63 名前:とみこ 投稿日:2001年09月15日(土)20時59分56秒
「・・・・・なんでもないよ。それよりごっちんは?」
「え、あたしは・・・市井ちゃんの事好きだから。(よっすぃ〜も好きなんだよぉ!!)」
「そっか、じゃぁよかった。」
「へ?」
「あたし、あゆみちゃんと付き合う事にしたんだ。」
「・・・マジで?」
「ごっちんがサヤ一筋になってくれてよかったよ。」
「・・・・・・。(どういう意味?あたしがよっすぃ〜の事好きだったら迷惑なの?)」
「じゃ、そういう事だから。ごっちんもがんばれ。」

ごっちんもサヤの事好きになったし、もう悩む事なんてないよね。
でも・・・ごっちんも捨てがたかったんだけどな。サヤの事好きになったならしょうがないか。
64 名前:とみこ 投稿日:2001年09月16日(日)16時04分53秒
―梨華視点―
テニス部が終わって、あたしは西公園を通って家へ帰るところだった。
(あたし・・・ここでよっすぃ〜に告白したんだよね・・・・。)
 ドンッ
その時、誰かがあたしにぶつかってきて、荷物が散乱してしまった。
「す、すみません。」
あたしはフッと顔をあげると、どこか見覚えある人だった。
「・・・・ごっちん?」
「え?」
ごっちんにそっくりな・・・・・弟のユウキ君だった。
「ごめんなさい、あ、拾います。」
そういってユウキ君は荷物を拾ってくれた。
「あの・・・ごっちんの弟だよね?」
「あ、はい。姉ちゃんの知り合いですか?」
「うん。ごっちんの友達。」
「・・・そ、そうですか。」
荷物を拾い終えると、あたしはユウキ君にペコっとおじぎをした。
「拾ってくれてありがとう。」
「あ、いえ。俺がぶつかったのが悪いんだし。」
「じゃぁね。」
そういってあたしは去っていった。
65 名前:とみこ 投稿日:2001年09月16日(日)16時07分38秒
―真希視点―
「ただいまー。」
「姉ちゃん!姉ちゃん!」
「何?ユウキ。」
ユウキが「姉ちゃん」って2回呼ぶときは必ず何かねだられるのだ。
「姉ちゃんの学校でさ、石川梨華っていう人いるでしょ?」
「いるけど・・・梨華ちゃんがどうかしたの?」
「この前会った時に生徒手帳落としていったんだけど・・・。」
ユウキは梨華ちゃんの生徒手帳を見せた。
「あ、ホントだ〜。明日渡しとくよ。」
あたしが受け取ろうとしたら、ユウキはかわした。
「俺が届けるから!」

「・・・・・・・あんた、梨華ちゃんに惚れたんでしょ?」
「なっ、違うよ!!!」
ユウキは一気に真っ赤になった。
66 名前:とみこ 投稿日:2001年09月16日(日)16時10分38秒
部屋に入って、ベットに寝転んだ。
『ごっちんがサヤ一筋になってくれてよかったよ。』
あたしの頭の中では、よっすぃ〜のあの言葉が何度も響いていた。
よっすぃ〜・・・・・あたしがよっすぃ〜を好きになったら迷惑なの?
あたしって邪魔な存在なのかな?

「姉ちゃん・・・・。」
ユウキがこっそり部屋に入ってきた。
「何?」
「・・・・・石川さんの携帯番号とメールアドレス教えて。」
「あんた・・・・・やっぱ惚れたんでしょ!!!!」
67 名前:とみこ 投稿日:2001年09月17日(月)19時35分02秒
次の日――――(ひとみ視点)
放課後、あたしは部活の休憩時間にテニス部を見ていた。
その時、ちょうどテニス部も休憩時間になった。
「よっすぃ〜!」
あゆみが走って来た。
「部活やってる時のあゆみ、かなりカワイイよ。」
「へ?」
「何?どうしたの?」
「今・・・なんて言った?」
「え、あゆみって・・・・」
「初めてあゆみって呼ばれたぁ〜!!超うれしー!!」
あゆみははしゃいでいた。
あたしはあゆみの腕をグイっと引っ張ってキスをした。
「ん・・・・・」
「じゃぁね。」
あたしは体育館に戻っていった。
68 名前:とみこ 投稿日:2001年09月17日(月)20時50分56秒
(梨華視点)
テニス部が終わって部室を出たら、正門であゆみちゃんが立っていた。
よっすぃ〜と待ち合わせしているんだと思った。だから辛かった・・・・。
すると、誰かがポンッと肩を叩いた。振り替えると、よっすぃ〜がニコッと笑って立っていた。
「よっすぃ〜・・・・。」
「梨華ちゃん・・・・ごめんね・・・ありがとう。」
よっすぃ〜はそれだけ言うと、あゆみちゃんと一緒に帰っていった。
もう少しで涙が出そうだったけど、あたしは頑張ってこらえた。
だってここで泣いたら、この涙と一緒によっすぃ〜との思いでも流れて消えてしまいそうだったから。
69 名前:とみこ 投稿日:2001年09月18日(火)19時55分29秒
(続・梨華視点)
正門を出ると、この前会ったごっちんの弟、ユウキ君が立っていた。
「あ!あの・・・石川さんですよね?」
「はい、そうですけど・・・?」
「これ、この前拾い忘れてたみたいなんで・・・持ってきました。」
ユウキ君はあたしの生徒手帳を差し出した。
「ありがとう。じゃぁ、さようなら。」

「あ、あの・・・石川さん!」
そのまま立ち去ろうとした時に、ユウキ君に呼び止められた。
「どうしたの?」
「あの・・・これ。よかったらメールとかして下さい。」
電話番号とメールアドレスが書かれたメモを渡された。
「ありがとう。今夜メールするね。」
そう言って、ユウキ君に手を振った。
70 名前:とみこ 投稿日:2001年09月18日(火)20時09分22秒
―ユウキ視点―
PM 9:00
石川さんまだかなぁ〜。もう心臓バクバクだよぉ〜〜。
こういうのって好きっつーのかな?うわ〜やっべぇよ〜〜〜。
石川さんって彼氏いんのかなぁ?でも姉ちゃんの女子高って、女子同士で付き合うの多いらしいけど・・・マジなのかな?だったらモテそうだし・・・。
〜♪
「来た!!」
俺はすぐに受信トレイを見た。
<<ユウキ君、こんばんは。初めてメールするね〜。全然知らない同士だけど、友達になってくれますか?返事待ってます。by梨華(^▽^)>>
「・・・や、やったぁー!!!!友達だってさ!マジうれしー!!」
俺はソファーの上ではしゃぎまくっていた。その時、姉ちゃんの部屋のドアが開いた。
「ユウキ、うるさい!!」
71 名前:とみこ 投稿日:2001年09月18日(火)20時10分48秒
とりあえず話がまとまってきたので、少し更新を休むかもしれません。
明日は部活の大会なんで、ガンバってきます!(まだ中1なんで)
レスあるとうれしいです!
72 名前:とみこ 投稿日:2001年09月19日(水)21時55分11秒
―ひとみ視点―
「あつ〜い・・・・。」
もう秋なのに、まだ暑い日は続きそう。
あたしは教室の窓から、校庭を見ていた。
3年生が体育でバスケをやっていた。
その中でも、やっぱり目立つのがサヤ。
周りの生徒たちの黄色い声援を浴びながら、次々とシュートを入れていく。
その時、サヤがあたしに気づいて手を振っていた。
あたしは窓からサヤに手を振り返した。
校庭にいた生徒達は、あたしを見て手を振りまくっていた。
「吉澤さ〜ん?」
ふっと窓から視線を戻し、後ろを向くと中澤先生がニコ〜ッと笑って立っていた。
あたしはニコ〜ッと笑いを返すと、パコッと教科書で叩かれた。
「イテッ!」
ドッと笑いがおきた。
73 名前:とみこ 投稿日:2001年09月19日(水)22時05分40秒
「中澤センセー、お腹が・・・・」
「何言っとんねん、吉澤。」
「お腹が・・・すいたので食堂行ってきます。」
「おい、吉澤!ちょっと待ちぃや!」
あたしは中澤先生をかわして教室を逃げ出した。

そのまま3年生の教室に行って、堂々とドアを開けた。
「サヤぁ、食堂行こうぜ〜。」
教室で勉強中の先輩たちは、「あ、よっすぃ〜だ!」とか言いながら周りに集まってきた。
「平家セーンセ。抜けていいっすよね?」
サヤは席を立った。平家先生は呆れた表情をしながらも頷いた。
「先輩たち、ごめんなさい。今からサヤとランチタイムなんで♪」
あたしはサヤを連れて教室を出た。
74 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月19日(水)22時30分54秒
授業ぬけていいなんて、何て学校だ!なんて素敵な学校なんだ!
75 名前:名無し男 投稿日:2001年09月19日(水)22時47分38秒
俺のいたとこよりタチ悪いじゃねえか!!
76 名前:とみこ 投稿日:2001年09月21日(金)18時37分27秒
「オッス!彩っぺ〜!」
カウンターからエプロンに三角巾の彩っぺが出てきた。
「おー、よっすぃ〜と紗耶香じゃん。また授業抜け出してきたの?」
「ま〜ね。あ、そういえば!新人の圭ちゃんはどう?」
そう言うと、カウンターから圭ちゃんが顔をだした。
「ちゃんとやってるよ〜。食堂のバイト。」
「おばちゃん、やきそばパン2つね。」
サヤが圭ちゃんにデコピンした。
「誰がおばちゃんじゃ〜!!まだハタチだっつーの!」
77 名前:とみこ 投稿日:2001年09月21日(金)18時48分11秒
あたしとサヤは、やきそばパンを持って中庭のベンチに座った。
「さやかぁ〜!」
矢口先輩が走って来た。
「おぅ、矢口も授業抜け出してきたん?」
「まぁね〜。ちょっと紗耶香に話があったから。」
「え、何?」
「ここじゃちょっと・・・よっすぃ〜、ちょっと待っててくれる?」
「あ、はい。」
そう言って、矢口先輩とサヤは体育館裏に行った。
78 名前:とみこ 投稿日:2001年09月21日(金)19時02分58秒
「話って?」
「えっと・・・あのね。紗耶香は、ごっちんの事好きなの?」
「へ?う〜ん・・・・好きだけど、恋愛とかそういう意味では考えてないよ。」
「じゃぁさ・・・矢口は?」
「え・・・?」
「矢口も恋愛対象外なの?」
「え・・・そ、そりゃぁ・・・矢口はいいやつだし・・・。」
「好き?」
「す、好きだよ。でも・・・あたしの恋愛の基準ってさ、両思いなんだよね。」
「矢口は紗耶香の事好きだよ?」
「マジで?」
矢口はコクッと頷いた。
「・・・・・・じゃぁ、付き合う?」
「うんっ!!」
79 名前:名無しの読者 投稿日:2001年09月22日(土)08時03分21秒
>>73
えっと、市井は校庭で体育してたんですよね……
80 名前:とみこ 投稿日:2001年09月22日(土)09時16分12秒
>>79
すみません、ミスです。
>>73の時点で、次の授業になったとでも考えてください。すみませんでした。
81 名前:とみこ 投稿日:2001年09月22日(土)09時24分44秒
「お待たせ。」
サヤが戻ってきた。
「何話してたの?」
サヤはベンチに座ってため息をついた。
「告られたよ・・・・矢口に。」
「マジで?どうすんの?」
「OKしたよ。」
「え!?ごっちんはどうするの?」
あたしは思わず立ち上がった。
「どうするって・・・・あたしにとって後藤は妹みたいな存在だから、恋愛対象じゃないんだ。」
「何言ってんだよ!ごっちんかわいそうじゃん!!」
「うるさいな!あたしだって付き合う人を選ぶ権利ぐらいあるだろ!」
「それでもごっちんがかわいそうだとか思わないの!?」
「思わない!!」

ドサッ
その時、何かが落ちた音がした。
82 名前:とみこ 投稿日:2001年09月22日(土)09時35分27秒
「ごっちん・・・?」
「後藤・・・!」
そこに立っていたのはごっちんだった。足元のコンビニの袋は、中身が散乱していた。
「市井ちゃん・・・ひどいよ。」
後藤は下を向いてボソッと呟いた。
「ごっちん・・・・。」
その後の、サヤの予想もしていない一言に、あたしは驚いた。

「後藤・・・あんた自己中だよ。」
83 名前:とみこ 投稿日:2001年09月22日(土)09時54分59秒
「後藤・・・あんた自己中だよ。」
「ちょっ・・・!サヤ!?何言って・・・・」
「あたしとひとみに二股かけといて、ひどいとか言える立場じゃないよ?」
ごっちんは下を向いたままだった。
「サヤ、そこまでいう事ないだろ!!」

パンッ
その音に気づいて、ごっちんが顔をあげた。
あたしの高く伸びた手が、サヤの頬を打っていた。
84 名前:とみこ 投稿日:2001年09月22日(土)10時06分21秒
サヤは頬を軽く指で触れた。
「後藤・・・・ごめん。」
サヤはそう言うと校舎に戻って行った。
あたしはごっちんのそばに行って、肩に手を置いた。
「よっすぃ〜・・・あたし・・・辛いよぉ・・・。」
「・・・・ごっちん・・・。」
85 名前:とみこ 投稿日:2001年09月22日(土)10時06分52秒
あたしにはどうする事もできない。
【ごっちんを愛してしまったら、あゆみを傷つけてしまう。】
自分の心にずっと言い聞かせつづけた。
86 名前:とみこ 投稿日:2001年09月23日(日)19時09分09秒
「ごっちん・・・・ごめんね。あたし、何もしてあげられない。」
あたしはごっちんを抱きしめたまま呟いた。
ごっちんはただあたしの胸の中で声を殺して泣いていた。
「・・・・ごっちん・・・あたし・・・・ホントに・・・どうすればいいの?」
あたしは泣いているごっちんに尋ねた。苦しんでいるのはあたしだけじゃないのに・・・。
「よっすぃ〜は悪くないよぉ・・・・でも・・・それでも好き・・・・。」
あたしはもう1度ごっちんを強く抱いて、そっと体を離した。
「・・・あゆみと別れる。」
「え・・・?そんなのダメだよ・・・あゆみちゃんを傷つけちゃダメだよ!」
「ごっちんを傷つけたくない。」
「ならあゆみちゃんを傷つけてもいいわけ?」
「それは・・・・・」
「あたし・・・そういうよっすぃ〜は好きじゃない。」
「・・・・何それ。」
「とにかく・・・あたしの事は忘れて。」
そう言ってごっちんは去っていった。
87 名前:とみこ 投稿日:2001年09月23日(日)21時52分51秒
あたしはしばらくその場で立ちすくんでいた。
その時、体育館裏のほうから声が聞こえた。

「あ?ナマイキな事言ってんじゃねーよ。」
「でも・・・・。」
数人の生徒が、1人の女の子を囲んでいた。
よくある「カツアゲ」の雰囲気だった。
あたしはその子達のそばに駆け寄っていった。
88 名前:とみこ 投稿日:2001年09月23日(日)21時55分15秒
その時、1人の生徒の右手が高く上がった。
あたしは急いでその子の手を掴んだ。
「おい、何やってんだよ。」
「よ、吉澤先輩!?」
生徒達は驚いた様子であたしを見ていた。
「あ、もしかして、こういうのって・・・・弱いものいじめってヤツ?」
あたしは掴んでいた右腕を振り下ろした。
生徒達は気まずい表情でお互いを見合っていた。
「吉澤先輩、違いますよっ。こいつが・・・」
「弱いものいじめするヤツって・・・最低だよ?」
あたしは、いじめられていた女の子を見た。
その女の子は小さく震えていた。
「さ、行こう。」
あたしはその子の手を引っ張ってその場から去った。
89 名前:とみこ 投稿日:2001年09月23日(日)21時57分35秒
―中庭―
「大丈夫?」
「あ、はい。ありがとうございます。」
「・・・・あれ?もしかして、前に食堂で会った子だよね?紺野あさ美ちゃんだっけ?」
「あ、はい!覚えてくれてたんですね。」
「うん。愛ちゃんと麻琴ちゃんと里沙ちゃんと一緒にいたよね。」
「はい!そうです。」
「またあんな事されたら言ってね。じゃ。」
そう言ってあたしはその場を去った。
90 名前:とみこ 投稿日:2001年09月24日(月)10時05分01秒
放課後――
あたしは、部活の休憩時間にテニス部を見に行った。
「あゆみ。」
ちょうど休憩をしていたあゆみに声をかけた。
「あ、よっすぃ〜!お疲れ〜。」
「お疲れ。どう?調子は。」
「フツーかな。なんか、あたしってかなり期待されてるみたい。」
「へー。スゴイじゃん。あゆみテニスうまいしね。」
「でもね・・・あたしが部長にホメられる度に松浦さんがイヤ〜な顔するのよ。」
「・・・・負けず嫌いなんだね。」
「松浦さんの事だから、どんな手使うかわかんないよね・・・」
「大丈夫。あゆみに何かしたら、あたしが許さないから。」
「・・・・・ありがと。」
あたしは周りを見渡して、誰も見ていない事を確認して、あゆみにそっとキスをした。
「ん・・・。」
「バイバイ。」
そう言って部活に戻っていった。
91 名前:とみこ 投稿日:2001年09月24日(月)10時13分21秒
「吉澤先輩っ。」
あたしが部室から出てくると、あさ美ちゃんが待っていた。
「おぅ、どうしたの?」
「一緒に帰ってもいいですか?」
「いいよ。」
あたしはニコッと笑った。
「家どの辺なの?」
「そこのコンビニ曲がった所です。」
「ふ〜ん。あ、あたしコンビニ寄ってくから。」
「あ、はいっ。」
「じゃぁね。」
そう言ってあさ美ちゃんに手を振った。
92 名前:とみこ 投稿日:2001年09月24日(月)10時19分52秒
学校の西門を出てすぐのところにあるコンビニ【カントリー】は、
この学校の生徒たちの行きつけだった。
「あ、よっすぃ〜!いらっしゃ〜い。」
カウンターに居た、りんねが話し掛けてきた。
「ねぇ、明日発売の雑誌買いたいんだけどさ、奥から出してくんない?」
「もー、しょうがいないなぁ。まぁよっすぃ〜だから許すけどね。」
そう言って奥から雑誌を出してきてくれた。
「はい、490円ね。」
あたしはポケットから小銭を出した。
「サンキュ。」
そう言ってコンビニを出た。
93 名前:とみこ 投稿日:2001年09月24日(月)21時13分39秒
コンビニを出て、あたしはあさ美ちゃんの家を探してみることにした。
(確かコンビニの角を曲がった所だったよね・・・。)
角を曲がると、綺麗なマンションが立ち並んでいた。
(うっわ〜。どれだかわかんないし・・・。帰るか。)

「はなしてっ!!」
コンビニの裏の方から、あさ美ちゃんの声が聞こえた。
あたしは声のする場所へすぐに走っていった。
そこには、この前の生徒達が、座り込んだあさ美ちゃんの腕を持って暴力を振るっていた。
「何やってんだよ!!」
あたしは、あさ美ちゃんの手を掴んでいた生徒を思いっきり殴った。
その生徒はバンッと壁に当たった。
94 名前:とみこ 投稿日:2001年09月24日(月)21時18分39秒
「テメェらいいかげんにしろよ!!ぶっ飛ばすぞコラァ!!」
ブッチ切れた。ケンカの本能がジワジワと湧き上がってきた。
カバンをを投げ捨てて、指をボキボキッと鳴らした。
「陰湿なマネしやがって・・・・!!」
他の生徒達に殴りかかろうとした。
その時、後ろからガッと誰かに押さえつけられた。
「よっすぃ〜、もうやめなって!」
「・・・・ごっちん!!」
95 名前:とみこ 投稿日:2001年09月25日(火)17時34分21秒
「よっすぃ〜落ち着いてっ。」
「はなしてよ!!」
それでもごっちんは離さなかった。
「こいつら、あさ美ちゃんに暴力して・・・!」
あたしは必死にごっちんを振り払おうとした。
すると突然ごっちんが手を離した。
その勢いで転びそうになって、ごっちんの方を見た。

パンッ

ごっちんの手のひらが、あたしの頬を打った。
96 名前:とみこ 投稿日:2001年09月25日(火)18時49分44秒
「・・・・ごっちん?」
あたしは自分の頬に手を当てた。
「ご、ゴメン。よっすぃ〜・・・。」
ごっちんの一発で、少し落ち着いた。
あさ美ちゃんをいじめていた生徒達は、ただ呆然とあたし達を見ていた。
生徒達の間からあさ美ちゃんを見た。
座り込んで小刻みに震えていた。
「・・・あ、あさ美ちゃん!」
あたしはあさ美ちゃんのそばに行って、そっと抱きしめた。
その震えが自分にも伝わってきて、また怒りが込み上げてきた。
しかし、ごっちんに叩かれた頬の痛みを思い出して、落ち着きを取り戻した。
あたしはあさ美ちゃんから離れて、そっと立ち上がった。
「・・・・・今度こういう事したら、マジで許さないから。」
97 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月26日(水)01時52分58秒
よっすぃーカッケー。
よしごまになって欲しいな。
98 名前:パク@紹介人 投稿日:2001年09月26日(水)15時31分59秒
こちらの小説を「小説紹介スレ@青板」に紹介します。
http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=blue&thp=1001477095&ls=25
99 名前:とみこ 投稿日:2001年09月26日(水)17時39分50秒
「・・・・・今度こういう事したら、マジで許さないから。」
生徒達は、お互いに顔を見て何かを決断したようだった。

「吉澤先輩・・・・あたし達、命令されてやってるんです。」
「「・・・・・命令?」」
あたしとごっちんは声を合わせて聞いた。
「そうなんです・・・・松浦さんに命令されて・・・。」
「亜弥ちゃんが・・・!?どうして?詳しく聞かせて。」
あたしがそう言うと、生徒達は話し始めた。
100 名前:とみこ 投稿日:2001年09月26日(水)17時51分23秒
(生徒達の話)
一ヶ月前・・・・・。
中3のあたし達は普通の生活を送っていた。
松浦さんが現れるまでは・・・・。

ある日、掃除当番で体育館に行くと、松浦さんが待ち伏せしてたの。
松浦さんはニコニコ笑って見てた。あたし達は無視して体育館に入ると、
あとから松浦さんが入ってきて、体育館のカギを閉めたの。
101 名前:とみこ 投稿日:2001年09月26日(水)17時51分54秒
100越しました。
102 名前:とみこ 投稿日:2001年09月26日(水)18時08分03秒
『ちょっ・・・!なんでカギ閉めんのよ!』
松浦さんは笑ったまま近づいてきた。
こっちは4人もいたから、怖くなかった。
けど、松浦さんの表情からだんだん笑顔が消えていった。
そして、ポケットからカッターを取り出して、キリキリと音を立てて刃を出した。
あたし達は怖くなって、悲鳴を上げた。
『言う事聞かなかったら、どうなるかわかるよね?』
あたし達はただ恐怖に怯えていた。
『どうしようかな・・・・じゃぁさ、まず脱いで。』
そういわれて、あたし達は制服を脱いだ。
反抗をすればカッターで脅されて、何もできなかった。
そして、松浦さんはポケットからカメラを出して、シャッターを押した。
『この写真を学校中にバラまかれたくなかったら、あたしの言う事聞いてね。』
103 名前:とみこ 投稿日:2001年09月26日(水)18時13分45秒
そして、松浦さんは紺野さんをいじめるように命令した。
あたし達は毎日のように、紺野さんに嫌がらせをした。
どうして紺野さんをいじめるように命令したのかはわからない。
そして、今日までの一ヶ月間、紺野さんをいじめつづけてきた。
辛かった・・・・。でも、吉澤先輩が助けてくれた。
吉澤先輩なら松浦さんをどうにかできると思ったから・・・。

現在編(ひとみ視点)
話が終わると、あたしの中では怒りが燃え上がっていた。
「亜弥ちゃんひどいよ・・・・。どんな理由があっても、こんなに卑怯な事するなんて!!」
あたしはそのまま亜弥ちゃんの元へ向かった。
104 名前:とみこ 投稿日:2001年09月27日(木)17時16分37秒
学校へ戻って、テニス部へ向かった。
「あれ?よっすぃ〜どうしたの?」
あゆみが話し掛けてきた。
「亜弥ちゃんは?」
「松浦さん?今日は部活来てないけど・・・・どうしたの?」
あたしは返事もせずにその場を立ち去って、亜弥ちゃんを探した。
亜弥ちゃんは正門で4、5人の男の人と話をしていた。
「亜弥ちゃん!!!」
あたしはすぐに駆け寄った。
「あ、吉澤先輩。どうしたんですか?」

パンッ
亜弥ちゃんの頬を右手で打った。
105 名前:とみこ 投稿日:2001年09月27日(木)17時45分16秒
亜弥ちゃん地面にしりもちをついた。
「あんた・・・・あさ美ちゃんをいじめるように命令したんだろ!」
亜弥ちゃんはゆっくり起き上がった。
「だから何なんですか?先輩には関係ないじゃないですか。」
そういって、亜弥ちゃんは周りに居た男の人達を見た。
その中の1人があたしに近づいてきた。
「俺の亜弥に何してんだコラァ!?」
他の男達はあたしの腕を掴んで、身動きができないようにした。
その時、向こうからあゆみが走って来た。ふっとあゆみの方を見た瞬間・・・・

バキッ
106 名前:とみこ 投稿日:2001年09月27日(木)17時56分04秒
1人の男の拳が、あたしの頬を殴った。
あたしは口から出ている血を制服の袖でを拭いた。
そして、腕を掴んでいた2人を両肘で一気に殴り倒した。
そのまま他の男達のパンチもサッとかわして、1人残らずやっつけた。

「へっ!あたしに勝とうなんて100年早ぇんだよ!」
107 名前:とみこ 投稿日:2001年09月28日(金)20時59分15秒
あたしはそのまま亜弥ちゃんに視線を向けた。
「どうしてこんな事したのか、話してもらおうかな。」
「・・・・・・あたしと紺野は幼なじみで・・・色々あって・・・・。」
「色々って?」
「家庭の事情です。そんな事に首突っ込まないで下さいよ。」
「あ?」
あたしは亜弥ちゃんに近づいた。
「・・・・・わかりましたよ、話します。」
108 名前:とみこ 投稿日:2001年09月29日(土)12時45分29秒
あたしと紺野は幼なじみだった。
親同士が仲良くて、いっつもお互いの家に行ったり来たりしていた。
あたしにはお兄ちゃんがいて、紺野は一人っ子だった。
お兄ちゃんは、その時小学六年生で、4つ違いの優しいお兄ちゃんだった。
お兄ちゃんもよく紺野と遊んであげたりしてた。
あたしと紺野も最初は仲が良かった。
でも、小学二年生の時に事件は起きたの。
紺野が学校の帰りに横断歩道を渡ろうとしたら、信号無視の車が走って来たの。
その時、あたしはちょうどお兄ちゃんと帰ってたの。
突然お兄ちゃんは走り出して、紺野を突き飛ばして、自分が犠牲になった。
目の前で倒れこんだお兄ちゃんを見て、あたしは頭が真っ白になった。
109 名前:とみこ 投稿日:2001年09月29日(土)13時10分01秒
次の日、お兄ちゃんは息を引き取った。
どうして・・・・どうして他人の紺野なんかをかばったの?
どうしてお兄ちゃんが死ななきゃいけないの?
お兄ちゃんは・・・・悪いことなんてしてないのに・・・・・!!
あたしはだんだん紺野に怒りと憎しみの感情を持つようになった。
小学校でも、友達に頼んでいじめをさせてた。
ホントはそれだけじゃすまなかったけど、
紺野が苦しんでいる姿を見ると、その場の怒りを静めることができた。
中学校に入っても、紺野をいじめ続けた。
自分の手は汚したくないから、同級生を脅して、いじめをさせてきた。
紺野が笑っているだけで、怒りが込み上げてくる。
もうお兄ちゃんはいない。紺野のせいでお兄ちゃんは死んだんだ。
なのに目の前で笑っているやつがいる。悔しい・・・憎い。
110 名前:とみこ 投稿日:2001年09月29日(土)13時25分22秒
「だから紺野の事が許せなかった・・・・!!」
話終わると、亜弥ちゃんは泣きながらその場に座り込んだ。
あたしはただ呆然と亜弥ちゃんを見ていた。
ごっちんは亜弥ちゃんのとなりにしゃがんで、亜弥ちゃんの頭をそっとなでた。
「辛かったんだね。」
あたしはごっちんを尊敬した。
心から優しい人だと思った。
あたしも亜弥ちゃんのとなりにしゃがんだ。
「あさ美ちゃんはどうして亜弥ちゃんを責めなかったかわかる?亜弥ちゃんが裏で糸を引いてる事は、最初からわかってたんだよ。亜弥ちゃんがお兄さんをどれだけ好きだったか知ってたんじゃないかな。自分がいじめられる事で、亜弥ちゃんの気持ちが少しでも楽になるならって思ってたんじゃないかな。」
亜弥ちゃんはそっと顔を上げた。
「本当は・・・・・紺野は悪くないのに・・・・・。」
あたしとごっちんは亜弥ちゃんの頭をそっとなでた。
「亜弥ちゃん。」
あさ美ちゃんが歩いて来た。
「あたし・・・ずっと亜弥ちゃんと友達になりたかった。」
「・・・・ごめんね・・・・あさ美ちゃん。」
111 名前:とみこ 投稿日:2001年09月29日(土)13時33分42秒
次の日、亜弥ちゃんは違う学校に転校した。
そして、あさ美ちゃん宛てに1通の手紙が届いた。

・・・今までの数年間、ずっと辛い思いをさせて本当にごめんなさい。
これからゆっくり時間をかけて、天国のお兄ちゃんのためにがんばろうと思う。
それから吉澤先輩、先輩がいなかったら、あたし変われなかった。
ずっとあさ美ちゃんをいじめつづけてたのに、心のどこかでは助けてほしかった。
本当にありがとうございます。そして    
さようなら。

「吉澤先輩、本当にありがとうございいます。」
あさ美ちゃんは深くお辞儀をした。
「よかったね。これから時間をかけて今までの過去を取り戻そうね。」
「はい。・・・・・あの、先輩・・・。」
「ん?」
「・・・・・あたし、本気で先輩の事好きになりました。」
「・・・・え?」
112 名前:とみこ 投稿日:2001年09月29日(土)18時47分45秒
「他人の事にこれだけ一生懸命になってくれる先輩が好きです。」
その時、あゆみが走って来た。
「よっすぃ〜、昨日は大丈夫だった?」
「え・・・あ、うん。大丈夫。」
「いきなり男の人と戦ってるからビックリしちゃったよ。先生呼びに行って戻ったら居なくなってて・・・・何があったの?」
「えっと・・・・いや、色々と。っていうか・・・ちょっと今・・・あさ美ちゃんが・・・。」
あさ美ちゃんは、あたしとあゆみを交互に見ていた。
あたしはあゆみの肩に手を置いた。
「あさ美ちゃん、あたし・・・・この人と付き合ってるから。ごめんね。」
あさ美ちゃんはあゆみを見て、あたしに視線を戻した。
「そうなんですか・・・・。わかりました。お幸せに!」
そう言ってあさ美ちゃんは去っていった。
113 名前:とみこ 投稿日:2001年09月30日(日)10時27分23秒
次の日―――(日曜日)
「よっすぃ〜、おまたせ。」
「うん、かなり待った。」
「なにそれ〜。ひっどー。」
今日はごっちんと原宿に遊びに行く。
本当はあゆみとデートなんだけど、あゆみが都合悪かったから、ごっちんを誘った。

原宿に着いて、ごっちんが寄ったのは、今風のアクセサリーが売っているショップだった。
「う〜ん・・・・どれもイマイチだなぁ。」
「お目当てのものでもあるの?」
「うん、ピアスが欲しいんだ。」
「ふ〜ん・・・・これとかはどう?ごっちんに似合うと思うよ。」
あたしは白い星型のピアスを手に取った。
「えー、なんかガキっぽ〜い。」
「じゃぁこれは?これとか。あれもカワイイんじゃない?」
あたしは次々とピアスを手にとって、ごっちんにすすめた。
「全然だめ〜!!もっと真剣に選んでよ〜。」
「ワガママだねー、ごっちんは。」
114 名前:とみこ 投稿日:2001年09月30日(日)10時48分54秒
結局お目当てのピアスは見つからなかった。
「今度また来ればいいよ。ね?」
「あ〜〜〜!!!」
「な、何!?」
ごっちんは背伸びをしてあたしの耳に手をやった。
「このピアスほしい!!」
「はぁ?!」
あたしがしていたピアスは、シンプルなシルバーのピアスだった。
「どこで売ってるの?」
「友達のお姉さんに注文して作ってもらったんだよ。世界に1個しかないんだよ〜。」
「そうなのかぁ・・・・。」
ごっちんは寂しそうな表情を浮かべた。
あたしは両耳からピアスを外した。
「あげるよ。」
「え!?」
ごっちんは顔を上げた。
「欲しいんでしょ?いいよ。ごっちんなら似合うよ。」
「え、でも・・・ホントにいいの?」
あたしはニコッと笑って頷いた。
「ありがとー!よっすぃ〜大好き!!!」
115 名前:とみこ 投稿日:2001年09月30日(日)19時07分46秒
やっと題名の話題が切り出せました。
最終的にはよしごまかな?
116 名前:とみこ 投稿日:2001年09月30日(日)20時00分14秒
「じゃ、また明日ね。」
「うん。バイバイ。」
駅でごっちんと別れて、あたしは家へ向かっていた。
帰る途中にCD屋に寄って、あゆみに会った。
「あれ?よっすぃ〜。どうしたの?」
「買い物の帰りなんだ。ついでにCD見ていこうと思って。」
「あたしもお母さんと買い物行った帰りなの。よっすぃ〜、ひとり?」
「うん。さっきまでごっちんと居たの。」
その時、あゆみの表情が少し固まった。
「あ、そうなんだ。ごっちんと買い物してたんだ〜。」
「うん。ごっちんがピアス見たいって言ってたから。」
「へー。で、いいピアスは見つかったの?」
「それが見つからなくてさ。あたしがしてたピアスあげたの。」
「・・・・・ふ〜ん。」
「これから家くる?」
「・・・・・帰る。」
あゆみはそのまま帰っていった
「・・・・あゆみ、どうしたんだろう・・・。」
117 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)09時08分33秒
次の日学校へ行くと、ちょうどごっちんが正門に入っていくところだった。
「ごっちんっ。」
「あ、よっすぃ〜!昨日はありがとね。」
あたしはごっちんの耳を見ると、昨日あげたピアスがしてあった。
「ごっちーん、学校にピアスしてきちゃダメだよ。」
「いいのー。気に入ってんだから。」
「起こられても知らないよー?」
「呼び出しくらうのなんて慣れてるし〜。へっちゃらだよっ。」
「ったく、ごっちんはいっつもこうなんだから。」
ごっちんと一緒に教室に入ると、あゆみが待っていた。
118 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)09時12分18秒
「おはよー。柴っちゃん!」
ごっちんが話し掛けても、あゆみは答えなかった。
「あゆみ、どうしたの?」
「・・・・・よっすぃ〜、ちょっと話があるんだけど。」
「あ、うん。ごっちん、先行っててくれる?」
「おっけ〜。」
そう言って、あたしはあゆみと屋上へ行った。
119 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)09時18分40秒
「話って?」
「・・・・・ごっちんの事。」
「ごっちん・・・?」
「昨日、ごっちんと2人で遊んだんでしょ?」
「うん。」
「それってデートじゃん。」
「デートぉ?何で?昨日はあゆみと会えなかったからごっちんと買い物行っただけだよ。」
「それがデートっていうの!っていうか・・・・浮気じゃん。」
あたしは少し腹を立てた。どうしてごっちんと買い物行っちゃいけないの?
別にキスしたわけじゃないんだし。浮気なんかじゃないよ・・・。
「あのさ、あたしとあゆみは付き合ってるけど、友達と遊んじゃいけないっていうのはちょっと束縛しすぎじゃない?」
「だって・・・!!・・・・・ピアス、あげたんでしょ?」
「それは・・・・いいピアスがなかったし、ごっちんに似合うと思ったから・・・・。」
「今日だって一緒に学校来てるし、ひどいよ・・・。」
あゆみは下を向いて呟いた。
「ひどいって言ったって・・・・・・。」

「・・・・もういい、別れよう。」
120 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)09時33分14秒
そのままあゆみが去っていったのは、言うまでもない。
あたしは教室に戻って席にドカッと座った。
となりの席に座っていたごっちんが、ビクッと驚いた表情を見せた。
「どうしたの?よっすぃ〜。」
「・・・・別れようだって。」
「え!?何で!?」
「昨日ごっちんと出かけたこととピアスあげた事と一緒に学校来た事が原因らしい。」
「はぁ?あたしが原因かよ・・・。」
「ごっちんは悪くないよ。でも・・・あゆみは束縛しすぎだよ。ごっちんと遊んだだけでさ・・・。」
「・・・・・うん、まぁね。」
「別れてよかったのかも。だいたい付き合った理由もわかんないし・・・。」
その時、数十人の後輩が教室に押し寄せてきた。
「吉澤先輩、柴田先輩と別れたのって本当ですか!?」
あたしはその時、後輩達の情報が回るの早さにビックリした。
「別れたよ。」
後輩達はキャーキャー騒ぎ出した。
「じゃぁ先輩、付き合ってください!!」
「先輩、あたしと付き合ってください!!」
「吉澤先輩!!付き合ってください!!」
あたしは机に顔を伏せて、寝たふりをした。
後輩達はそれでもうるさかったが、チャイムがなると一気にいなくなった。
121 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)09時39分26秒
―後藤家―(ユウキ視点)
(最近石川さんとメールしてないなぁ〜・・・。)
「ただいまー。」
姉ちゃんが帰ってきた。
「あ、姉ちゃん。おかえり。」
「お母さんは?」
「まだ帰ってないよ。メシはテーブルにあるから。」
「あー、うん。」
姉ちゃんはそのまま部屋に入ってしまった。
俺も自分の部屋に入って、携帯の画面をじっと見つめた。
(メール・・・来るはずないか。)
〜♪
その時、突然携帯が鳴った。しかも電話だった。
ディスプレイには<石川梨華>と書いてあった。
俺はすぐに出た。
「もしもし?」
122 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)09時41分57秒
「もしもし?」
(あ、ユウキ君?石川ですけど。)
「こ、こんばんは・・・。」
(あのね、映画の券が2枚あるんだけど・・・一緒に行ってくれないかな?)
「え!?俺なんかでいいんですか!?」
(ユウキ君と行きたいの。)
「マジで!?行きます行きますっ。いつですか?」
(明後日の日曜日なんだけど。)
「はい、絶対行きます!」
(うん。じゃぁ、明後日ね。)
「はい。さようなら。」
そう言って電話を切った。
その日は夜までひとりではしゃいでいた。
123 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)09時48分31秒
―翌日―
「ユウキ君っ。」
「こ、こんにちは。」
駅で待ち合わせした俺たちは、電車に乗って映画館に向かった。
映画館で席に座ると、石川さんはちょっと照れているようだった。
「なんかデートみたいだね。」
「そ、そうっすね・・・。」
映画が始まって、最初は無言で見ていた。
石川さんは、悲しいシーンになると少し泣いていた。
その涙があまりにも綺麗で、愛しく思えた。
映画が終わると、近くのレストランで食事をとった。
124 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)09時52分43秒
色んなショップに寄ったりして、結構楽しんでいた。
「ユウキ君ってオシャレだよね。」
「そんな事ないっすよ。石川さんもカワイイですよ。」
「・・・・その『石川さん』ってやめない?」
「え?」
「梨華でいいから。」
「え・・・じゃぁ俺も呼び捨てでいいよ。」
「・・・・ユウキ。」
「・・・・梨華・・・さん。」
「梨華でいいのにっ。」
梨華はフッと笑った。

ダメだ・・・梨華の事、本気で好きになった。
125 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)09時57分10秒
帰りは梨華の家まで送っていった。
「今日はありがとね。付き合わせちゃって。」
「いや、俺も楽しかった。」
「そっか。また・・・会おうね?」
「うん。じゃぁね。」
梨華は背を向けた。

           「梨華!!」

梨華は振り向いた。
「俺・・・・梨華が好きだ。付き合ってほしい。」
梨華はしばらくして口を開いた。
「・・・あたしでよければ。」
「・・・・・マジ?」
「うん、あたしもユウキ君の事好き。」
「俺も好きだよ!!」
俺は梨華をぎゅっと抱きしめて、別れ際にキスをした。
126 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)17時27分57秒
「え!?梨華ちゃんと付き合う事になったの!?」
「あぁ。告白したらOKだって!マジでうれしーよ!!」
今日の出来事を姉ちゃんに話した。
「よかったじゃん。で、どこまでやった?」
「え!?どこまでって・・・キス・・・した。」
「マジで?やるねー、ユウキ。」
「まぁね。梨華も俺の事好きって言ってくれたし。」
「ラブラブだね〜。」
127 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)17時33分15秒
次の日―――
「よっすぃ〜!」
「おー、ごっちん。」
「大ニュース!梨華ちゃんね、ユウキと付き合ってるんだって!」
「マジで?以外な組み合わせだね〜。」
「でしょ?でさー・・・・―――――」
ごっちんの足が止まった。
「どうしたの?ごっち・・・・」
視線の先を見ると、体育館裏でサヤと矢口先輩がキスをしていた。
ごっちんは目をそらして、そのまま玄関に入っていった。
128 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)17時38分20秒
「ごっちん!!」
あたしが呼びかけると、ごっちんは止まった。
「・・・・しょうがないよね。市井ちゃんはやぐっつぁんが好きなんだよね・・・。」
振り向いた時のごっちんの笑顔は、どこかぎこちなくて、悲しかった。
「ごっちん・・・・。」
「ホントは・・・・マジで辛い。」

あんなにプライドが高いごっちんが弱音を吐くなんて・・・。
「サヤはやぐっつぁんに取られるし、よっすぃ〜は柴っちゃんに取られるし・・・・。」
「え・・・?」
129 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)17時49分42秒
【よっすぃ〜は柴っちゃんに取られるし・・・・。】
どういう意味?ごっちんは一度あたしを諦めてサヤ一筋になったんだよね?
サヤが矢口先輩と付き合って、あたしとあゆみが付き合って・・・・・・。
今はあゆみとは別れて・・・・あれ?じゃぁあたしがあゆみと付き合ってるときも
ごっちんは諦めてなかったの・・・?じゃぁ今は・・・・・・。
130 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)17時50分14秒
「まぁいいや。行こ?よっすぃ〜。」
あたしはだんだん体の熱が上がっていくのがわかった。
自分に対して怒りを感じるまでだった。
あたしってなんて鈍感なんだろう。ごっちんは、最初からサヤ一筋でもなんでもなかったんだ。
好きだからこそ、迷惑をかけたくない。それがごっちんの気持ちだ。
別に迷惑じゃないよ?ごっちんがあたしを好きでいること、全然迷惑じゃないよ?
「ごっちんがあたしを好きでいること、全然迷惑じゃないよ?」
「え?」
131 名前:とみこ 投稿日:2001年10月01日(月)17時51分50秒
「え?」
「あ、今あたしなんか言った?」
「うん。「ごっちんがあたしを好きでいること、全然迷惑じゃないよ?」って。」
「・・・・・・そういう事だから。」
「よっすぃ〜?大丈夫?」
なんでかな、意識が薄い。ごっちんが見えないよ?


気が付いたときには、あたしは保健室に居た。
132 名前:とみこ 投稿日:2001年10月03日(水)16時22分15秒
(あれ・・・?あたしどうしちゃったんだろう・・・・。)
「・・・・・ごっちん?」
目の前で手を握っている涙目の少女。
どうしたの?どうして泣いてるの?
あたしは思わず起き上がって抱きしめた。
よかった・・・。ごっちんがそばに居てくれて、こんなに安心感があるなんて。
「よっすぃ〜・・・・大丈夫?」
「・・・・・うん。ちょっと頭が・・・・痛い・・・。」
「ちゃんと寝てなきゃっ、ほら。」
そう言ってごっちんはあたしをもう1度ベットに寝かせた。
133 名前:とみこ 投稿日:2001年10月03日(水)17時38分14秒
「いきなり倒れるからビックリしちゃったよ。」
「なんか意識が薄れてってさ・・・・ところで今何時?」
「11時だよ。まだ授業中。」
保健室には今2人しかいない。
時計の秒針と一緒に、静かに時間が過ぎていく。

「ずっと・・・ここに居てくれたの?」
「うん。」
「・・・・・・心配してくれたの?」
「当たり前じゃん。」
「あたしさ・・・・あゆみと別れて、もう誰とも付き合うのはやめようって思った。これ以上誰も傷つけたくないって思った。」
「・・・・・うん。」
「でもね、今は・・・・・・」
134 名前:とみこ 投稿日:2001年10月03日(水)17時42分41秒
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴ると、いつものように食堂に駆けつける生徒達の足音が聞こえた。

ガラッ
一斉に保健室に生徒が入ってきた。たちまち保健室はいっぱいになった。
あたしは言いかけた言葉を忘れて、ただ驚いていた。もちろんごっちんも。
「吉澤先輩、しっかりして下さい!!」
「先輩、どうしたんですか!?大丈夫ですか!?」
「キャー、吉澤先輩死なないで下さい!!!!」
死んでないっつーの・・・・。
あたしはとにかくベットから出て、制服のネクタイを整えた。
「ごっちん、行こう!!」
あたしは生徒達の間から見えるごっちんの腕を掴んで保健室を飛び出した。
135 名前:とみこ 投稿日:2001年10月03日(水)17時44分47秒
保健室を出ても、廊下には生徒の大群が居た。
「よっすぃ〜大丈夫?」
「吉澤ぁ、生きてるか?」
なっち先輩と飯田先輩が話し掛けてきた。
「うぃ、大丈夫っす!ごっちん、早く!」
あたしはごっちんを連れて屋上へ行った。
136 名前:とみこ 投稿日:2001年10月03日(水)18時03分27秒
「はぁ、はぁ・・・・やっと逃げられたぁ。」
「よっすぃ〜大変だね、病人なのに。」
あたしとごっちんは地べたに座り込んだ。
「よっすぃ〜。」
「ん?」
「さっき言いかけたこと何?」
「え?・・・・・あぁ、うん・・・あのね・・・・」
(今言わなきゃいつ言うんだ!!!)
あたしは自分に言い聞かせた。
「あのね、今は・・・・・ごっちんが・・・・」

バンッ!!!
言葉を遮るように、突然屋上のドアが開いた。
「後藤、職員室に来なさい。」
学年主任の和田だ。こいつは校則に厳しいだけでなく、生徒を不公平に扱う最悪なヤツだ。
「は?なんですか?」
「さっさと来い!!!」
ごっちんは渋々和田に連れて行かれた。
137 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月03日(水)22時45分07秒
よしごまマンセー
138 名前:とみこ 投稿日:2001年10月04日(木)18時22分25秒
―職員室―(ごま視点)
「なんだよ。最近悪いことしてないじゃん。」
いつも通り少し反発して言った。でも、悪いことした覚えはなかった。
「後藤、お前ってヤツは・・・校則を破る為に学校へ来てるのか?」
和田はいやみったらしく言った。
「は?」
あたしはてっきり髪を染めていることかと思った。
いつもその事では注意を受けてるけど、こんなに真剣に叱られることはないはず。
「そのピアスだよ。」
「・・・・・ピアス?」
和田はあたしの耳元を見て言った。
「学校にピアスなんかしてきていいと思ってんのか!!!」
「・・・・・ピアスして来て何が悪いんですか?あたし、外さないから。」
「ナマイキな事言ってんじゃねぇぞ!!!」

パンッ
139 名前:とみこ 投稿日:2001年10月04日(木)19時18分43秒
職員室がザワッと騒ぎ出した。和田があたしの頬を叩いたのだ。
(これって体罰じゃね?)あたしは心の中でそう思った。
ガラッ
その時、よっすぃ〜が職員室に入ってきて、和田の座っているイスを思いっきり蹴った。
ガンッ!!
和田はイスから落ちて、床に転がった。
「な、何するんだ!吉澤、こんな事してどうなるかわかってるんだろうな!?」
「生徒に体罰しといて、よくそんな事言えるよな。」
「・・・・そ、それは・・・・。」

「ざけんなよ!!」
140 名前:とみこ 投稿日:2001年10月05日(金)19時21分14秒
―吉澤視点―
ごっちんを殴りやがって・・・絶対許さない!
「おい、和田。」
あたしは和田の襟を掴んで立たせた。
「今度やったら絶対許さないからな。覚えとけよ!!」
ごっちんを連れて職員室を出ようとすると、ドアの前に平家が立っていた。
「吉澤、やるやないか。見直したで〜」
「からかわないで下さいよ・・・。」
「あれ?反抗するん?食堂行く時に市井を授業から抜けさせてあげへんで?ひとりで行くんか?」
「・・・・すみませんでしたぁ〜。」
あたしはそのまま教室に戻った。
141 名前:とみこ 投稿日:2001年10月05日(金)20時59分56秒
教室に向かって廊下を歩いていると、あゆみが走って来た。
「あゆみ・・・・どうしたの?」
「よっすぃ〜・・・ちょっと話があるんだけど・・・今平気?」
「え?」
あたしはごっちんと目を合わせた。
「あ、あたし先行ってるから。」
そう言ってその場を去った。

「話って?」
「ここじゃちょっと・・・・。」
「・・・・そっか。じゃぁ場所変えよう。」
あたしとあゆみは数学準備室に向かった。
142 名前:とみこ 投稿日:2001年10月06日(土)21時34分29秒
―数学準備室―
「・・・・で?」
「あのね・・・あたし達って、別れたじゃん?」
「うん。別れたね。」
「あたしから一方的に言って別れちゃったけどさ、あたし・・・後悔してる。」
「・・・・後悔って?」
「まだ・・・よっすぃ〜の事好きなの。」
予想はしていた。だから驚きはしなかった。むしろ冷静だった。
「また、やり直してくれるよね?」

あたしの中で迷いはなかった。わかってたんだ。気づいてしまう自分が怖かっただけ。

「真希が好きなんだ。」
143 名前:とみこ 投稿日:2001年10月06日(土)21時36分27秒
なんだ・・・言えるじゃん。
今までずっと怖かったよ。ごっちんはサヤの事しか見えてないんじゃないかって。
だから自分からごっちんの事、拒否ってた。
そんな自分が情けないよ・・・。


好きだよ。


もうあなたしか見えない。
144 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月06日(土)23時10分13秒
よかった〜、よっすぃ、素直になって!
あとはもう、ごっちんの元へと走るだけだね!!
145 名前:とみこ 投稿日:2001年10月07日(日)17時36分04秒
「だから・・・あゆみとはやり直せない。ごめん。」
「でもっ・・・―――」
あゆみの最後の言葉も聞かずに、あたしは教室に戻った。
146 名前:とみこ 投稿日:2001年10月07日(日)17時38分07秒
教室に入って、あたしはカバンを持って家に帰った。今日は学校に居たくなかったから。
あゆみを振った罪悪感みたいなのがただよってる気がするんだ。
「よっすぃ〜、どうしたの?」
ごっちんが教室に入ってきた。
「あ、今日はサボる。」
そのままダッシュで家に帰った。
147 名前:とみこ 投稿日:2001年10月07日(日)19時52分59秒
家まで全速力で走ったせいか、顔が真っ赤で、熱かった。
でも本当は違うと思う。自分が真希の事好きって気づいたから、
真希に会ったとき真っ赤になっちゃったんだ。
今まで女の子に告白されたり、好きな子と付き合ったりした時とは違う。
こんな気持ち初めてで、新鮮って言うか、初々しい。

本当に真希が好きなんだ。


しかし――――
そんな嬉しい時間は、あと数分で終わろうとしていた。
148 名前:とみこ 投稿日:2001年10月07日(日)20時09分47秒
ガチャッ
「ただいまー。」
今日は2人の弟が通っている学校が開校記念日で休みだったから、
弟たちは部屋でテレビゲームをしていた。
「ったく、休みだからって気ぃ抜くんじゃないよ〜。」
あたしはソファーにドサッと荷物を置いた。
「ひとみー?」
その時、リビングからお母さんの声がした。
「あれ?お母さん会社は??」
リビングに行くと、お父さんもいた。
お母さんとお父さんは少し微妙な表情をしていた。
「いや、大事な話があってね。母さんと話していたんだ。ちょうどいい、ひとみも座りなさい。」
そういわれてあたしはテーブルのイスに腰かけた。
「大事な話って?」
少し絶ってから、お母さんが話し始めた。
「実はね、お父さんの仕事の関係で引っ越すことになったのよ。」
「引っ越し?いいんじゃない?」
「いや、それがな、遠いところに引っ越すから、転校ってことになるんだ。」


「・・・・・・え?」


転校・・・?
もう・・・ごっちんと会えないの?
149 名前:とみこ 投稿日:2001年10月08日(月)10時53分20秒
「・・・・・転校なんてやだよ!遠くからでも通う!!」
「でも・・・ここから新幹線で2時間の所なのよ・・・?」
「じゃぁ、あたしはここに残る!」
「ひとみっ、無茶な事言わないの!」
その時、黙っていたお父さんが口を開いた。
「ひとみが残りたいって言うなら、残りなさい。」
「あなたっ、何言ってるの?」
「もうひとみも高校生だ。1人暮らしぐらいできるだろう。」
「・・・・ひとみは・・・それでいいの?」
「うん!絶対ちゃんとできるから!」


という事で、あたしはここに残ることになった。
150 名前:とみこ 投稿日:2001年10月08日(月)19時08分42秒
次の日の朝、あたしは職員室に行った。
「中澤先生。」
「おー、吉澤。あんただけここに残るんやって?」
「はい。今の一軒家じゃぁもったいないから、マンション借りる事になったんです。」
「そうか〜。引っ越しの準備はできとんのか?」
ガラッ
その時、ちょうど亜弥ちゃんが入ってきた。
「はい。明日の夕方にでも引っ越しのトラックが来るんで。」

「引っ越し!?」
亜弥ちゃんはこっちを振り向いて、目を見開いていた。
「いや、亜弥ちゃん、これは・・・・」
「みんなに知らせなきゃ!!」
亜弥ちゃんは走って職員室を出て行った。
「中澤先生・・・亜弥ちゃん何か勘違いしてません?」
「そうみたいやな・・・。まぁがんばりぃや。」
あたしは深いため息をついた。

(亜弥ちゃんはウワサ流すの早いからなー。)
151 名前:JAM 投稿日:2001年10月08日(月)21時59分23秒
>>111 で松浦違う学校に転校してませんか?
152 名前:とみこ 投稿日:2001年10月09日(火)17時32分47秒
>>151
すみません、本当にバカなミスをしてしまいました。
もうミスばっかりで挫折しそうです・・・こんなんでやっていけるのか・・・・。
153 名前:とみこ 投稿日:2001年10月09日(火)17時33分21秒
職員室を出ると、数十人の生徒が押し寄せていた。
「よっすぃ〜、北海道に引っ越すって本当!?」
「吉澤先輩、男子校に転校するんですか?」
「先輩、フランスに留学するって本当ですか!?」
わけのわからないウワサが回っているようだった。しかも早い・・・。
「あのね、そうじゃなくて・・・・・」
あたしが説明しようとしても、声はすぐに掻き消されてしまった。
「よっすぃ〜!!!」
その時、安部先輩と飯田先輩が走って来た。
「ちょっとー、ごっちん泣いてるよー?よっすぃ〜が泣かしたんじゃないの?」
「え!?」
「屋上にいるから早くいきな!」
安部先輩たちがみんなを止めている間に、あたしは屋上へ向かった。
154 名前:とみこ 投稿日:2001年10月09日(火)17時35分59秒
しばらく更新を控えます。
いるかどうかはわかりませんが、読者の皆様、
とんでもないミスをしてしまって、申し訳ありません。
もしも期待してくれる人がいるならば、時々更新できるかもしれません。
深くお詫び申し上げます。
155 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月09日(火)20時30分17秒
そんなに深刻になること無いよ。楽しみにしてんだからがんばってね。
156 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月09日(火)20時55分52秒
ミスがあったことよりも更新が少なくなってしまうことの方が残念です。
せっかくいいところなのに・・・。
お早い復帰を願ってます。頑張ってください。
157 名前:とみこ 投稿日:2001年10月10日(水)17時18分36秒
>>155
>>156
ありがとうございます。
とりあえずミスをしないようにがんばって更新してみます。
158 名前:とみこ 投稿日:2001年10月10日(水)17時30分45秒
それと、松浦が転校したのに出てきてしまったというミスについては、
読者の皆様のご想像におまかせします。(他の生徒がバラしたなど)
本当にすみませんでした。
159 名前:とみこ 投稿日:2001年10月10日(水)17時32分02秒
屋上に行くと、あたしの足がピタッと止まった。
サヤがごっちんのとなりに座って、慰めていた。
「・・・・サヤ?」
あたしの声に気づいて、サヤとごっちんはこっちを向いた。
「ひとみ・・・!」
ごっちんから手を離すと、サヤはあたしの方に走って来た。
パンッ
長く伸びた手が、そのまま平手で頬を打った。
「・・・・いってぇな!何すんだよ!」
「お前・・・後藤を傷つけやがって!許さねぇ!!」
サヤの拳が顔面に飛んできた。あたしはサッとよけて後ろに退いた。
「わけわかんねぇよ。ごっちんを傷つけたって・・・どういう事だよ!?」
「とぼけやがって・・・・・・・・・・転校の事、何で話さなかったんだよ!!」
「転校・・・!?」
160 名前:とみこ 投稿日:2001年10月10日(水)17時39分09秒
さすがのあたしでも、なんとなく状況がつかめてきた。
職員室での先生との会話が、誰かに聞かれていたのだろう。
それで勘違いしたウワサを流してしまったとしか考えられなかった。
「誤解だよ!引っ越しはするけど、転校なんかしない!あたしだけ残るんだ。」
「「・・・・え?」」
泣いていたごっちんも、こっちを向いた。
「・・・・・そういう事だから。」
「・・・・ご、ごめん。マジで。あたし勘違いしちゃって・・・ひとみ、本当にごめん!」
「いや、それよりごっちんが・・・」
あたしはごっちんのそばに駆け寄った。
その瞬間にサヤが屋上から出て行ったのが見えた。気が利くやつだ。
「ごめんね。心配かけて。」
「ううん、よかった・・・よっすぃ〜が転校したら・・・あたし・・・もうダメだったよ・・・。」
「ごっちん・・・・・。」
「よっすぃ〜・・・・。」
あたしはごっちんをギュッと抱きしめた。
ごっちんを泣かせた事が悔しいのと、ごっちんが自分の為に泣いてくれたのが嬉しいので、
あたしはいっぱいいっぱい涙を流しました。
161 名前:とみこ 投稿日:2001年10月11日(木)21時56分20秒
「あたしね、本当は転校するはずだったの。」
ごっちんを抱きしめたまま話し始めた。
「でもね、絶対残るって言った。その理由が・・・・今わかったよ。」
抱きしめたごっちんの体を離して、唇をそっと重ねた。
そしてもう1度ギュッと抱きしめた。
「ごっちんが好き。これからもずっと・・・・ずっとそばにいるよ。」
「・・・・・よっすぃ〜。」
「・・・・・・・・あたしのものになってくれる?」
ごっちんは胸の中で頷いた。
162 名前:とみこ 投稿日:2001年10月11日(木)22時01分42秒
次の日―――
ピンポーン
「はーい。」
ガチャッ
ドアを開けると、制服姿のごっちんがヒョコッと出てきた。
「おー、ごっちん!おはよー。」
引っ越したばっかりで、まだ部屋はダンボールだらけだった。
「ここが新しい家か〜。結構広いね。」
「うん。アパートのわりにはね。入って。」
「えー、遅刻しちゃうよ!早くっっ!」
「はいはい。」
163 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)11時05分08秒
自転車の後ろにごっちんを乗せて学校へ行った。
「あ〜〜〜!!吉澤先輩だ!!!」
正門には何人かの生徒が待ち伏せしていた。
「先輩、後藤先輩と付き合ってるんですか!?」
ごっちんが自転車から降りて隣にたった。
「そうでーす!あたしがよっすぃ〜の恋人で〜す♪」
あたしは呆れ顔でごっちんを見ていた。
「先輩、ホントなんですか!?」
「どっちから告白したんですか!?」
「吉澤先輩!!」
あたしはごっちんを見た。ごっちんはニコッと笑って頷いた。


「みんな、あたし決めたんだ。」
164 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)11時18分55秒
その言葉で一気に静かになった。
ゾロゾロと生徒達も、だんだんあたしの周りに集まってきた。
校舎からも何人かの生徒が見ていた。

「今まで色んな子と付き合ってきたけど、本気じゃなかった。告られたらOKするとか、顔がカワイイかったら告るとか、いいかげんに付き合ってた。でも相手が本気だったら…なんて考えもしなかったんだ。だから、愛ちゃんも…あゆみも傷つけてしまったんだ。」
生徒達はただ呆然とあたしの話を聞いていた。
「でも今は違う。」
(今は・・・――――)

「今は本気で好きな人がいるんだ。ここに。」
あたしはごっちんの肩に手を置いた。
「真希の事は、マジだから。愛してるから。みんなにもわかってほしいんだ。」
あたしが言い切ると、パラパラと拍手が聞こえた。
そして、校舎から見ていた生徒達も窓から身を乗り出して拍手をしてくれた。
歓声があがった。
「先輩、あたし応援します!後藤先輩もガンバって下さい!」
「先輩の事ますます好きになりましたっ。後藤先輩がいても、いつまでも人気者でいて下さい!」

「ありがとう、みんな。ありがとう・・・・真希。」
あたしと真希の唇がそっと重なった。
永遠を誓うキスだった。
165 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)11時33分02秒
―1年後のクリスマス― 安部家

「おっせぇなー、後藤とひとみ。」
紗耶香がドスンとイスに座った。
「吉澤がしっかりしてるから大丈夫なはずなのに・・・。」
圭織が心配そうに外をながめていた。
「オイラが探してくるよ!!」
「ちょ、矢口!あたしも行くって!」

ピンポーン
真里と紗耶香が外に出ようとした時、インターホンが鳴った。
紗耶香がドアを開けると、ひとみと真希が立っていた。
「ごめん、遅れた!」
「遅すぎだっつーの!」
紗耶香が後藤の頭を叩いた。
「朝からエッチィ事してたんじゃないのー?」
真里がニヤけながら聞いた。
「え!?そそそそんな事してないってば・・・!!」
「よっすぃ〜、あせりすぎ!超ウケる〜。まぁ入って入って。」
「あ、ちょっと待って。お客さんがいるんだ〜。」
ひとみはドアの外に向かって手招きした。
166 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)11時41分06秒
「もう1組ラブラブなカップルがいるの忘れてない?」
ひとみが2人を中に連れてきた。
「梨華ちゃん、ユウキ君!?」
みんな玄関に集まってきた。
「2人ともあがってあがって!」
全員リビングに集まった。
「できたよー!!」
なつみが料理を運んできた。
「うわー、うまそう!」
ひとみが手を伸ばすと、真希がその手をはらった。
「まだだめでしょ!」
ドッと笑いが起きた。
167 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)11時55分45秒
「うちらが卒業してからもう1年もたつんだねー。」
真里が話を切り出した。
「あたしと真希と梨華ちゃんはまだまだ若いっすから。」
「何それー、圭織たちの事オバさんって言いたいのー?」
「すんませーん。」
「よっすぃ〜、酔ってない?」
少し酒を飲んだひとみは、顔がほのかに赤かった。
真希がひとみの背中をさすってあげた。
「ヒュー、優しいねぇ、ごっつぁん!あんた幸せものだよ!よっすぃ〜。」
真里がひとみの背中をバシッと叩いた。
その反動でひとみはイスから落っこちてしまった。
「いててて・・・矢口せんぱーい・・・・!!!」
「大丈夫?よっすぃ〜。」
真希が手を差し出すと、ひとみはその手を引っ張った。
「ひゃっ・・・!」
そしてそのままキスをした。
168 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)12時06分54秒
「おーーーー!!!!よっすぃ〜大胆・・・!!」
みんな驚いて見ていた。
「・・・んっ・・・・?」
唇が離れたと思うと、ひとみはそのまま床で寝てしまった。
「よっすぃ〜、お酒くさいよー。こういう時にチューしないでっ。」
「ったく。ひとみはいっつも調子乗りすぎ!」
紗耶香はひとみを持ち上げてソファーに寝かせた。
「ところでさ、ユウキ君と梨華ちゃんはどこまで行ったの?」
なつみの唐突な質問に、ユウキはブッと吹き出した。
「どどどどこまでって・・・何言ってんだよ・・・!?」
「ユウキ、姉ちゃんにも教えられないのー?」
真希がプゥと頬を膨らませた。
「・・・・一応・・・人並みには。」
ユウキがちょっと照れながら言った。
「人並みって!?エッチしたの?」
真里の質問にユウキはまた吹き出した。
169 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)12時09分34秒
「な、何言ってんですか!!!してません!!」
ユウキが言い切ると、梨華が「え?」と言ってにユウキの顔を見た。
「梨華・・・!ここでいうとマズいから・・・」
小声で言ったつもりでも、みんなには聞こえていた。
「うわー、ユウキってエロいんだな!あはは。」
「なんでですか!矢口さんだってあるくせに!!」
「当たり前じゃん!オイラと紗耶香はラブラブだもーん。」
「あたしとヨッスィ〜だって今日の朝・・・・・・・・・・・ハッ!」
みんなが真希の顔を見た。
「今日の朝・・・!?お前ら、マジでヤったのか?」
「・・・・うん。」
「もー、こういう話やめよーよ!なっち赤面しちゃうべさ〜。ほら、食べて!」
「そーだよ、あたしもこういう話苦手なんだから。」
紗耶香がため息をついた。

「じゃぁ、これからのみんなの幸せを願って・・・・」

「カンパーイ!!」
170 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)12時17分33秒
―ひとみ視点―
「よっすぃ〜、水置いとくよ。」
「ありがとーございます・・・・。あれ?みんなは?」
「帰ったよ。もう夜の8時だから。ごっつぁんと圭織が買い出し行ってる。」
「うぃー・・・。」
「七草粥作ってくれるってさ。優しいね、ごっつぁん。」
「うん。」
「・・・・・あれ?」
なつみがひとみの耳元を見た。
「よっすぃ〜、なんでピアス右しかしてないの?なくしたの?」
「・・・いや、真希と片方ずつしてるんですよ。」
「あー、そういえばごっつぁんもしてたきがするー。」
「・・・・安倍先輩って、飯田先輩の事好きなの?」
「・・・・・へ?」
「なんか・・・そんな気がする。」
「・・・・・・・よっすぃ〜鋭い・・・・。」
「へへっ。」
その時、真希と圭織が帰ってきた。
「七草粥作るからねー!・・・っうわ!!」
真希が玄関で転んでしまった。
「大丈夫?後藤はあぶなっかしぃんだから。」
171 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)12時19分58秒
>>170
すみません、ひとみ視点じゃないです。
172 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)12時30分05秒
「はい、七草粥できたよー!よっすぃ〜、あーんして?」
「あーん。・・・ん、おいしい!」
なつみと圭織が向こうで見ていた。
「ラブラブだねー。あの2人は。」
「うん。」
「いいなぁー・・・。」
「なっちはいないの?好きなひととか。」
「・・・・・いるよ。」
「ふ〜ん・・・。あたしもいる。」
「・・・・・・・誰?」
「そっちは?」
「・・・・・圭織が先言ってよ・・・。」
「・・・・・・・。」

              ―チュッ―

「・・・・へ?」
「圭織の好きな人は・・・なっちだよ?」
「な、え・・・うそ・・・でしょ?」
「ホント。じゃぁなっちの教えてよ。」
「そ、そんなの決まってんじゃん!圭織だよ!」
「・・・・うれしー。」
173 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)12時39分35秒
「じゃぁ、なっちと圭織はあっちで寝るから。おやすみー。」
「「おやすみー。」」


「真希・・・。」
「ん?」
「ちょっと安倍先輩たちの部屋、盗み聞きしよう!」
「はぁ?何で?」
「いいから!静かにしてね!」
―――――――――
174 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)12時40分12秒
なっち・圭織=()
ひとみ・真希=「」
175 名前:とみこ 投稿日:2001年10月13日(土)12時45分09秒
(なっち・・・・)
(圭織・・・・)

「うわぁ・・・なんか雰囲気ヤバくない?」
「え!?よっすぃ〜、あたしにも聞かせて!」

(ダメだよ圭織・・・よっすぃ〜たちに聞こえちゃうよ・・・)
(大丈夫――――)

「あ、静かになった!絶対いまキスしてるよー」
「マジで????」
176 名前:とみこ 投稿日:2001年10月14日(日)20時10分25秒
ガタンッ
「やべっ!」
おもわずドアを蹴ってしまった。
ガチャっとドアが開いて、飯田先輩が出てきた。
飯田先輩の髪は少し乱れていて、なんだか中の様子がわかったような気がした。
「吉澤・・・後藤・・・・!!!!」
「ごめんなさぁ〜いっっ!」
「まぁまぁ、圭織。いいだべさ。」
「なっちー・・・。」
177 名前:とみこ 投稿日:2001年10月15日(月)18時10分07秒
「ごっつぁんとよっすぃ〜もそういう関係なんだから、お互い好きなことするだべ?」
「まぁ・・・ね。のぞきはしない事!わかった?」
「は〜い。」
そしてそれぞれの部屋に戻った。


「うちらも・・・・やるか?」
ごっちんに背を向けて言った。
「え!?」
178 名前:とみこ 投稿日:2001年10月16日(火)15時18分08秒
「え・・・今朝やったばっかじゃん・・・・。」
「いいじゃん。」
「カオリンとナッチの見て興奮しちゃってるだけだよ・・・。だから焦らな・・・」
「そうかもね。興奮してるかも。」
あたしはそのままごっちんをベットに押し倒した。
「そういえば・・・・ごっちん処女じゃなかったね。最初は誰とヤったの?」
「え・・・中1の時に・・・・・・・市井ちゃんと・・・・付き合ってもないのに勢いで・・・。」
「マジで?サヤかよぉ・・・・・。」
あたしは起き上がって床に座った。
「よっすぃ〜・・・?」
「・・・・・なんか、サヤに比べてあたしって・・・・・頼りないかな・・・?」
「何言ってんの?あたしはどんな事があっても大好きなんだからっ。」
「ありがと。でも今日はやめよう。」
「・・・・・・・・うん。」


辛いよ・・・ホントは辛かった。
初恋の人は・・・どうしてもサヤなんだね。
あたしは・・・・・本当の恋人になれますか?
179 名前:とみこ 投稿日:2001年10月17日(水)17時44分17秒
翌朝―――(真希視点)
「よっすぃ〜・・・。」
少し早く目が覚めた。あたしはよっすぃ〜が寝ているソファーにもぐりこんだ。
(うひゃー、間近で見るよっすぃ〜ってかなり美人・・・。超ドキドキするよ・・・・。)
顔から腕から指先まで色白・・・美白だった。
【綺麗】としか言い様がない。
体が熱くなっていく。こんなに綺麗な人・・・・あたしはこの人を愛していいのですか?
「ん・・・・・。」
その時よっすぃ〜が目を覚ました。
「・・・・おはよー。」
「お、おはよ・・・ぅ・・・。」
彼女は少し茶色い髪をサラッとかきあげてニコッと笑いかけた。
「今日も可愛いね。」
そのまま一瞬だけ唇を奪った。


頭がおかしくなりそう・・・・・愛しすぎて愛しすぎて・・・・・全身が燃えるように熱い。
180 名前:とみこ 投稿日:2001年10月17日(水)17時48分41秒
「よっすぃ〜、ごっつぁん起きてるー?」
台所からなつみの声がした。
「はーい。」
ひとみは返事をすると、寝癖の無い髪の毛をクシャクシャっとして台所へ向かった。
真希は少し髪をととのえてから彼女の後を追った。
181 名前:とみこ 投稿日:2001年10月18日(木)09時26分36秒
「安倍先輩、昨日はどーでしたかぁ?」
ひとみがコーヒーを飲みながら聞いた。
「ど、どうって・・・・・・・何にもしてない・・・・・・・・わけじゃないけど・・・・・。」
「あやすぃ〜!!えっちぃ事したんでしょー!」
「よーしーざーわー!!!」
圭織がテーブルを立ってひとみの首をしめた。
「うわっ!ギ、ギブ!ギブギブ!!!」
ひとみがバンバンとテーブルを叩いていると、圭織が手を離してなつみの方を見た。
なつみは少し照れて下を向いていた。
「よ、よっすぃ〜たちも何かしたんでしょ〜??」
「え・・・・・。」
ひとみは真希の顔を見た。
「いや・・・・昨日は・・・・・・何も。」
「マジで?後藤、そうなのか?」
圭織が真希に聞くと、真希はこくっと頷いた。
182 名前:とみこ 投稿日:2001年10月18日(木)09時31分20秒
「こういう話はおいしー朝食には合わないべさ!」
なつみはニコッと笑った。
「そーだね。食べよう。」
そういって朝食を食べ終えた。



―夕方―
「じゃぁ、帰りますね。」
ひとみと真希が荷物を持って部屋から出た。
「また遊びに来てね。それと・・・・2人とも仲良くね。」
「・・・・ありがとうございます。」

2人はなつみのマンションを後にした。
183 名前:とみこ 投稿日:2001年10月18日(木)10時29分59秒
―帰り道―(真希視点)
よっすぃ〜が家まで送ってくれる事になった。
あんまり人がいない住宅街を黙々と歩いていた。
さっきから10分くらい沈黙が続いている。
(あたし・・・なんか怒らせちゃったかな・・・・・・・。)

「真希。」
「へ?」
突然名前を呼ばれて少しビックリした。いつもは「ごっちん」なのに。
「あたし・・・・ホントに真希の恋人でいていいのかな?」
「・・・・・え?」
一瞬不安になった。別れ話かもしれない・・・・そんな・・・そんな事ないよね?
「真希は・・・・今でもサヤの事好き?」
「え・・・・・・・。」
(どうして答えらないの・・・?あたしはまだ市井ちゃんの事が好きなの?)
その時よっすぃ〜が立ち止まった。

「どうして答えないの・・・?まだサヤの事好きなの・・・?」
その言葉が心に刺さった。



 図星。
184 名前:とみこ 投稿日:2001年10月18日(木)10時31分04秒
答えらないの=答えないの

修正します。
185 名前:とみこ 投稿日:2001年10月18日(木)10時33分22秒
「・・・・・・・もういいや。」
そのままよっすぃ〜走って帰っていった。
気が付くともうあたしの家の前だった。
なんだかんだいって家まで送ってくれたのだ。
よっすぃ〜は優しい・・・だから辛い。優しすぎる・・・・。
その優しさが・・・時々寂しくなる。


市井ちゃんみたいにきつく叱ってほしかった。
市井ちゃんの声が聞きたい。
市井ちゃんに会いたい。

市井ちゃんが好き。
186 名前:とみこ 投稿日:2001年10月20日(土)13時01分06秒
あたしってマジで最低だよ・・・。
よっすぃ〜が愛ちゃんと別れたのもあたしが原因だったじゃん・・・。
それであたしと付き合ってくれたのに・・・・よっすぃ〜はあたしを思ってくれてるのに
あたしは市井ちゃんを思っています・・・・・・・。
「後藤・・・?」
名前を呼ばれた方に振り向くと、市井ちゃんが立っていた。
「いちい・・・・ちゃん・・・?」
「どうしたんだよ。なんで泣いてんだよ・・・。」
気が付くと頬にツーッと涙が流れていた。
「市井ちゃん・・・あたし・・・・よっすぃ〜の事傷つけちゃったよぉ・・・・。」
「・・・・ひとみと何かあったのか?」
市井ちゃんはあたしの頭をそっと撫でてくれた。
優しくて暖かくて・・・・全部包んでくれる・・・・。
「市井ちゃん・・・・・・・」
「泣いてちゃわかんないだろ。ちゃんと話してよ。」
市井ちゃんのこういう所が好き・・・。
叱る時は叱ってくれる・・・・・でも結局はすごい優しい。
「とりあえずウチにおいで。」
そうして市井ちゃんの家に行った。
187 名前:とみこ 投稿日:2001年10月20日(土)19時38分13秒
「落ち着いた?」
「・・・・・うん。」
市井ちゃんはそっとあたしの隣に座って手を繋いでくれた。
「何があったか・・・・話してくれる?」
握った手から市井ちゃんのぬくもりが伝わってきた。
「・・・・よっすぃ〜は・・・・優しすぎるの。だから・・・・」
「・・・・・その優しさが時々辛くなるんだ?」
市井ちゃんはすぐに返事を返してくれた。
「うん・・・・。」
「そりゃ辛いと思うよ。後藤の気持ち、わかるから。」
そう言って肩に手を回した。
「・・・・そんなヤツ・・・・忘れさせてあげる。」
重なった唇は、すごく切なかった。


「ひとみ・・・・許さない。」
188 名前:とみこ 投稿日:2001年10月20日(土)19時44分11秒
「市井ちゃん・・・・?」
ダッシュで玄関を出て行った市井ちゃんを追いかけた。


マンションの下に行くと、よっすぃ〜と市井ちゃんの声が聞こえた。

「・・・・・――――!!」
内容がよく聞こえなくて、2人のそばに少し近づいた。



「あたしは後藤が好きなんだから!!」
189 名前:とみこ 投稿日:2001年10月20日(土)19時49分58秒
「え・・・・?」
あたしの声に気づいて、2人はこっちを向いた。
「後藤・・・・。」
「市井ちゃん・・・?どういう事?」
「後藤は・・・・・・・・・・・ひとみには渡さない!!」
(どういう事・・・?市井ちゃん・・・・・?)
「サヤは・・・・矢口先輩がいるだろ!!」
「今は後藤を守る方が優先だ!!ひとみになんか任せてられないんだ!!」
「・・・・・・・あ?」
「やんのか?」


市井ちゃん・・・どうして・・・?
あたしが原因でこんな風に・・・・
よっすぃ〜・・・・市井ちゃん・・・・!!!




「もうやめてよ!!」
190 名前:とみこ 投稿日:2001年10月20日(土)19時56分42秒
「後藤・・・・。」
「ごっちん・・・・。」

「あたしが原因でこんな事になりたくないよぉ・・・・やめてよ・・・・。」
泣きじゃくった顔を袖で拭いながら言った。
「こんな事になるなら・・・・・・あたし・・・・・・・やめる。」
「・・・・・・・やめる?」

「よっすぃ〜とは別れて、市井ちゃんとも付き合わないから!!」
そのまま逃げてしまった。
こんな関係にしてしまったのはあたしなのに・・・・最低だよぉ・・・。


どうすればいいの・・・・・?
191 名前:とみこ 投稿日:2001年10月21日(日)18時23分28秒
その頃ひとみと紗耶香は、その場に黙って立っていた。

「どうすればいいんだよ・・・・!」
ひとみは髪をクシャっとして唇を噛んだ。
「わかんないよ・・・・・。」
「それに・・・・・サヤ、お前・・・・・真希と・・・・・」
「・・・・・ごめん。」
「なんで真希は付き合ってもないのにサヤと・・・・!!」
「・・・・・付き合ってたよ。」
「え・・・・?」
「後藤が・・・・ひとみには言うなって・・・・。」
「どういう事だよ。」
「付き合ってたんだ・・・・・後藤が中1の時。」
「そんな・・・・!!」



「振られたんだ。理由は・・・・後藤がひとみの事好きになったからだよ。」
192 名前:とみこ 投稿日:2001年10月22日(月)16時04分59秒
「・・・・・・え?」
「なのになんなんだよ・・・・高1になってから突然市井ちゃんもよっすぃ〜も好きとか言い出してさ。」
「・・・・・じゃぁ真希は3年間もあたしを思いつづけてたって事?」
「そういう事。でもひとみがあまりにも色んな人と付き合うから・・・・告れなかったんじゃない?」
「・・・・・・・。」
あたしは黙って下を向いた。
「去年、後藤が告ってくれた事はすげー嬉かったけど・・・ひとみのことも好きって言われたから断ったんだ。気持ちが揺れ動いてる時にあたしと付き合っても最後は前みたいにひとみの方に行っちゃうってわかってたから。」
「サヤ・・・・。」
「だからどうせ今後藤の事を好きでいても、最終的にひとみしかいないんだよ。後藤には。」

サヤと真希がこんな複雑な関係だったなんて・・・・真希はあたしが好きだからサヤを振った・・・・。でもサヤはまだ真希のことが好きだったんだ。
「でも今は・・・・・」
サヤはあたしの手をとった。

「今のあたしには矢口がいるから。ひとみは後藤を守ってやれよ。ほらっ。」
サヤはあたしの背中をぽんと押した。
「ありがとう・・・・サヤ。」

そのまま走って真希を探しに行った。
193 名前:とみこ 投稿日:2001年10月22日(月)16時21分17秒
―真希視点―
あたしは涙をボロボロ流しながら誰も居ない路地を歩いてた。
自分のせいで・・・自分のせいで市井ちゃんとよっすぃ〜の仲まで壊してしまった・・・。
もうあたしなんかに誰とも付き合う資格はないよ!!
もう誰も傷つけたくない・・・・よっすぃ〜とはもう・・・・市井ちゃんも・・・・・

「真希!!!」
後ろから包み込むように抱きしめた腕は、少し冷えていた体を温めた。
「よ・・・・・っすぃ〜・・・?」
「もう絶対に離さないから。」
抱きしめていた腕の力が少し強くなった。
「不安にさせてゴメン。もうこんな思いはさせないから。ずっとそばに居るから。」
「・・・・・よっすぃ〜・・・・・・・・」

そのままそっと口付けをした。




「愛してるよ。」
194 名前:とみこ 投稿日:2001年10月22日(月)16時50分17秒
―END―
195 名前:名無しさん 投稿日:2001年10月22日(月)19時48分03秒
お〜。唐突に終わってる。
196 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月23日(火)06時24分49秒
お疲れ様でした。
よしごま、ハッピィエンドでよかったです。
197 名前:とみこ 投稿日:2001年10月24日(水)15時59分53秒
>>195
>>196
唐突ですけど、よしごまで終わる事ができてよかったです。
次回作が出来上がって、たまってるんですけど・・・・
なかなか空いてる板がないんですよね。


ヘタな作品でしたが、ありがとうございました。

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