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おまじない
- 1 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月02日(日)02時13分28秒
- 『おまじない』
石川×後藤です。一応エロです。お気をつけください。
- 2 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月02日(日)02時20分47秒
- 石川梨華は超ネガティブになっていた。
ライブのラストで「ザ☆ピ〜ス!」歌った時、ソロ部分の「青春
の1ぺ−ジって‥‥」で突然声が出なくなってしまったのだ。
幸い咄嗟に機転をきかせた後藤が石川のパートをつないで凌いだ
が、石川にとって「ザ☆ピ〜ス!」は、初センターという光栄な
パートを獲得して、とっても気合いを入れていたはずだった。
それなのに‥‥。
- 3 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月02日(日)02時30分51秒
- ステージが終わり、袖に戻ると後藤が心配して石川のそばに寄って
きた。
「梨華ちゃん、どーしたの?」
(ご、ごめんなさい!急に声が、声がでなくなったんです‥‥。)
石川は手ぶり身ぶりで今どういう状況にあるのか後藤に伝えた。
「だいじょうぶ?」
心配そうにしている後藤に石川は大丈夫だということを伝える。
スタッフに話すと、喉を使い過ぎた為だが一過性のものであると
判断された。
「梨華ちゃんさぁ、疲れがたまってんじゃないのー?(笑)
今日はもぉ早く帰って寝たほうがいーって。」
でも石川はこの後の打ち上げを気にして自分は大丈夫ですと
言い張った。が、後藤は 少し顔色の悪い石川を心配し、半ば
強制的にホテルに帰した。
- 4 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月02日(日)02時35分15秒
- 石川は一人ホテルの部屋に戻ると、今日の失敗を思い出し
自分を責めた。
(また後藤さんに助けてもらっちゃって。今回はセンター
の私がしっかりしなきゃいけないのに。しかも私の方
が年上なのに、恥ずかしい。あーあ、私も早く後藤さ
んみたいに堂々と歌えるようになりたいな。)
「コンコン。」
部屋をノックする音がした。
「梨華ちゃん?ごとーだよぉ。
気分、ど?」
石川は慌てて部屋のドアをあけた。
「アハッ、打ち上げ出ないで帰ってきちゃった。
ごとーも、今日は疲れちゃったみたい。」
後藤は首をかしげて石川を見た。茶色くてサラサラな
髪が少しだけ、揺れた。
- 5 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月02日(日)02時40分17秒
- (‥‥あの、良かったんでしょうか、打ち上げ出なくて。)
「だいじょうぶだって。ごとー達が出なくても勝手に盛り上
がってるよ。ホラもう元気な人ばっかりだからさぁ。
例えば辻加護とか。あははー。」
(でも‥‥。)
「あぁ疲れた。ねえ梨華ちゃん、ごとー隣で寝てもいい?
よっすぃーが帰ってきたら、自分の部屋戻るからさ。」
(えっ、あの‥‥。)
石川と吉澤はこの日、同室だった。
後藤はベッドの上で座っている石川の隣でゴロンと横になった。
「だってさー、一人で寝るの、ごとーさみしいもん。」
後藤は枕に顔を埋めて恥ずかしそうに言った。
- 6 名前:おまじない 投稿日:2001年09月02日(日)02時43分28秒
- 石川はステージでは堂々としている後藤が言う言葉とは
思えなくて、思わず吹き出した。
「なにー?なにがおかしいのぉ。
ごとーなんかへんなコト言った?」
(ううん。ヘンじゃないですっ。‥‥ないですよっ。)
「じゃ、一緒に寝よ。」
(えっ)
どうしてだか頬がカーっと赤くなる。 慌てて石川は後
藤に背を向けた。
(後藤さんってかわいいな‥‥。同性から見ても。
ひょっとして後藤さんは私が一人で落ち込んでるかも
しれないって心配して帰ってきてくれたのかもしれない。
それにひきかえ私は‥‥。まだ今日のミスから立ち直れ
ないでいるんだわ。)
- 7 名前:おまじない 投稿日:2001年09月02日(日)02時46分35秒
- 石川はうなだれていた。
後藤にミスをフォローしてもらった上に、気まで使わ
せているのが申し訳なくて。それにしても、どうして
自分の声は急にでなくなったのだろう。石川の胸の中
を不安が渦巻いた。すぐ治るとは言われたものの、ひ
ょっとしたら次もこういうことがあるかもしれない。
「梨華ちゃん‥‥‥。」
自分の名前を呼ぶ後藤の声が聞こえたと思った途端、
二の腕の裏に熱いものを感じて石川はドキリとした。
(‥‥‥‥!)
熱いものは後藤の唇だった。
- 8 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月02日(日)02時49分33秒
- 「だいじょうぶだよ・・・梨華ちゃん・・・。」
後藤は 低い声でそう言うと、後ろからもっときつく、
石川の二の腕を吸った。背後にいる後藤を、石川は全
身で感じていた。
(唇が触れてるところがドキドキしてる。
どうしよう、まるで腕が心臓になっちゃったみたい。)
石川は頭がボーっとして、後藤のされるがままになっ
ていた。石川のほっそりとした二の腕を後藤の熱い唇
が這っていく。
(あっ‥‥‥。)
石川は思わず吐息を漏らした。
- 9 名前:おまじない 投稿日:2001年09月02日(日)02時51分42秒
- 「梨華ちゃんの二の腕、すごく冷たくてきもちいーよ?」
(‥‥後藤‥‥さん、こんなコト、しちゃ‥‥ダメ‥‥で
す‥‥。)
石川はまだ 頭の片隅にあった理性を働かせて口をパクパク
させた。でも声にならなかったので、後ろにいる後藤には
伝わらなかった。
「だって梨華ちゃん、落ち込んでるみたいだからー‥‥
ごとー、励ましてあげたいなって‥‥。」
耳元でゆっくりと囁かれて石川は思わず目をつぶった。
- 10 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月02日(日)02時59分18秒
- 唇は二の腕から華奢な肩に移っていた。
石川がつけているホルターネックのピンクのキャミソ
ールは、もともと肩甲骨までが剥き出しになっている
タイプのものである。
後藤は石川の肩や背中にキスの嵐を浴びせた。
石川は後藤の唇が背中に触れるたび、小刻みに体を
震わせた。
(ん‥‥‥。後藤‥‥さん‥‥い‥‥ヤっ‥‥やめ
て‥‥くださ‥‥。)
石川の吐息が深くなる。
気持ちでは拒否しているものの、身体は後藤のキス
に敏感に反応していた。後藤の荒い息遣いと熱が背
中じゅうに伝わる。
(ずっとこのままがいい。)
石川は沸き上がる快楽に、もうどうにでもなっていい
という気分になった。
- 11 名前:おまじない 投稿日:2001年09月02日(日)03時02分24秒
- 背中を這っていた後藤の唇が石川の首筋にゆっくりと
近付く。唇がホルターネックにぶつかると、後藤は強
引にそのひもをほどいて愛撫に集中した。
石川の耳元で後藤が囁く。
「梨華ちゃんの声が出るように、ごとーがおまじない、
してあげる。」
- 12 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月02日(日)03時04分59秒
- そう言うと後藤は石川をベッドに寝かせて、自分は上に
なった。石川の喉を、後藤が舌でゆっくりと舐める。
「!」
思わず石川は頭を後ろにのけぞらせた。
後藤はかまわず舐めつづける。
「‥‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥ん‥‥‥‥。」
「‥‥‥ふっ‥‥‥あっ‥‥‥。」
「まだ出ない?」
- 13 名前:おまじない 投稿日:2001年09月02日(日)03時11分13秒
- 石川の耳元で後藤は吐息交じりに確認すると、再び石川
の喉に唇を当てた。
やわらかな唇だと思った。
石川は喉を舐める後藤の頬を両手でつかんで、そのやわ
らかい唇に自分の唇を重ねたい衝動にかられたが、すで
に両腕は後藤の手に捕らえられていた。
しかたなく、指と指をせつなそうに絡ませる。
「アハッ、声が出るまでは、ダメだよぅ。」
どうも後藤には石川の気持ちがお見通しだったらしい。
石川はおあずけをくらってくやしかったのか、怒ったよ
うな表情で首を右に倒した。
- 14 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月02日(日)03時16分23秒
- 「怒んないでよー、梨華ちゃん。」
皮肉にも、首を右に倒されてかえって後藤は口づけがしや
すくなった。
「くっ‥‥はふっ‥‥あン‥‥‥いぃ‥‥‥。」
「ほら、出てきた。声、出てきたよ。」
「や‥‥‥後藤さ‥‥ん。」
喉元に伝わる熱さに、石川は目眩(めまい)がしそうに
なった。やわらかい髪が汗に乱れ、もはや意識のコント
ロールが効かず、目に涙を溜めて首を左右に振っている。
まるでイヤイヤのポーズみたいだ。
- 15 名前:おまじない 投稿日:2001年09月02日(日)03時23分09秒
- 後藤は首に跡が残るくらいキツく、容赦なく、石川の喉
を吸った。
石川はとうとう耐え切れなくなって「ああ!」と甲高い
声で息を吐いた後、後藤に抱きついた。呆然とする石川。
下腹部から沸き上がるさざ波は、まだ落ち着きそうにない。
口元に笑みを浮かべた後藤が耳元で囁く。
「ほら、もうだいじょうぶ。」
「後藤さんの‥‥いじわるっ。」
石川は涙を拭って恥ずかしそうに言った。
(今度もし後藤さんの声が出なくなったら、その時は石川
におまじないをさせてくださいね。)
END
- 16 名前:名無しサン 投稿日:2001年09月02日(日)03時32分03秒
- いしごま新鮮でいいね。
- 17 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)02時52分12秒
- ↑有難うございます。
次は石川の『おまじない』です。
- 18 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)02時55分59秒
- 『おまじない』2
某テレビ局第6スタジオで『ザ☆ピ〜ス』の収録があった。
メンバーは衣装の着替えに取りかかっていて大騒ぎだった。
「ねえ、超キツイくない?。もうさー、どっかのお店だよね、
コレ。(笑)」
「おみせってどこのおみせなのれすか?ののにもおしえてほし
いのれす。」
「辻!余計なコト覚えなくていーの!」
「そうだべ。辻はお子さまなんだべ。知らなくていいべさ。
したっけ、お店ってどこの店だべか?」
メンバーは好き勝手に金色の衣装のことについて言っていた。
- 19 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時02分58秒
- 「でもさぁ〜、今回すごいのはやっぱ石川の『裸にエプロン』
じゃない?スカートなんてこんな短いんだよ。もう放送ギリ
ギリって感じだね、アレは。」
みんながいっせいに石川を見る。
石川は皆に見られて「見ないでくださいよ〜。」と赤面して言
うのが精一杯だった。今回の衣装、口では不平を言えなかった
けど、かなり恥ずかしい。でもこれもファンサービスと割りき
り、石川はポジティブに考えるようにしていたのだった。
「じゃ、出番もうすぐだからスタジオ入りして。」
- 20 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時05分49秒
- スタッフの声に、みんな控え室を出ていった。
石川も荷物を自分のバックにしまいながら、慌てて部屋を
出ようとする。出ていったはずの後藤が部屋のドアの前で
待っていた。
「衣装さ、ごとー達だけ、スカートめちゃ短いよね。」
「そ、そうですね。」
石川はこの間の後藤とのことを思い出して、ついぎこちなく
なった。喉にはまだうっすらとその晩の刻印(しるし)が残
っていた。あれから後藤の事をまともに見れない。どうして
も意識のしすぎてしまう。そんなぎこちない石川とは対照的
に、後藤は後ろ手で部屋にカギをかけ、余裕の表情を見せな
がらせまってきた。思わず後ずさりする石川。
(これから起きることに、私、期待してるの?)
- 21 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時07分09秒
- 「梨華ちゃん、脚、ほんと細いよね‥‥‥。」
後藤が石川の脚を舐めるようにして見る。
石川はその視線にドギマギしながら、それでもなるべく普通
に会話を続けた。
「え?脚ですか?そ、そんなことないです。後藤さんに比べ
たら。でもちょっと嫌ですよね。こんな短いスカート、プ
ライベートじゃ絶対はきません。」
「‥‥‥そうなの?」
「はきません。」
「そっか、ごとー安心しちゃった。」
「え?」
ミニスカートの裾からスラリと伸びている石川の脚。
後藤は躊躇なく石川の太ももに唇を寄せた。
- 22 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時08分37秒
- 「!」
「こんなキレイな脚、これ以上スケべな視線にさらしたく
ないもん。」
そう言うと、後藤は石川の太ももをくすぐるように唇を
うごかした。予想もしない心地よさに、思わず石川は腰
が崩れそうになる。そうしている間が永遠に思えた。
「ごとー‥‥さん?」
「梨華ちゃんはさぁ、ごとーの衣装見てどう思う?」
「え、えっと、すごくセクシーだと思います。」
「本当?」
「お色気って感じですよね。後藤さんはダンスも上手だか
らすごくカッコ良く見えますよ。」
「‥‥だから、この間見てたの?ごとーのコト。」
- 23 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時10分44秒
- 石川は『この間』を思い出してハッとした。初めて金色衣装
だった時、石川は後藤のことばかり見ていた。なんてきれい
な身体なんだろう、と。華奢なのに、肉感的。特に腰は激し
いダンスをすればする程、目眩(めまい)がしそうなくらい
色っぽくに見えた。それを激しくクネらせる後藤から石川は
目を離せなかった。
「知ってたんですか?」
とにかく後藤には気づかれてないつもりだったのでビックリ
してしまった。
「梨華ちゃん、ごとーの腰、見てたよね。アハッ。」
- 24 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時12分52秒
- 図星だった。石川は顔を赤面させた。
同性から見ても後藤のくびれ具合は完璧だった。見ていると、
えもいわれない気分にさせられるのだ。後藤の腰は。
「梨華ちゃんが見てると思ったらさ、ごとーゾクゾクしたん
だよ?スゴク気持ち良かった‥‥‥。」
耳元によせられる熱い吐息と甘い言葉。石川は溶けてしまい
そうな気分だった。溶けてもいい、と本気で思ったほどだった。
- 25 名前:名無しさんn 投稿日:2001年09月03日(月)03時17分23秒
- 「でもぉ、こうやって触れてくれたら、ごとーもっと気持ちイイ
かもしんない。」
後藤は石川を壁にもたれさせると、その華奢な腰に口づけを浴び
せた。メンバーに『裸にエプロン』と通称される石川の衣装は、
後藤の衣装と同じように腰のあたりが大きくあいている。
「あン!」
敏感な部分に触れられ、思わず石川は声を出してしまった。
「‥‥‥ね?気持ちイイでしょ?」
後藤は石川の腰のあたりから上目遣いで聞く。
石川は目をつぶっていた。何も言わず後藤の言うことにうなずい
ている。
- 26 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時22分14秒
- ふいに後藤は口づけを止めた。
「‥‥‥して?」
「え?」
「ごとーはぁ、梨華ちゃんにぃ、して欲しいのぉー。」
まるで子供だ。石川は思わず、うふふっと笑ってしまった。
後藤にこんなふうに懇願されると、石川は弱かった。
(あーあ、甘えっ子になっちゃった。もう、しょうがないで
すネ、後藤さんは。)
今度は石川が後藤の露になっている腰に唇を寄せる。石川は
『上手くやろうとした』が、空回りして、そのぶんぎこちな
くなった。ドラマの撮影でダイエットしたという後藤のお腹
は、以前に比べてややろっ骨が浮き出ていたが、かえってそ
のやつれが、なまめかしく、匂い立つような色気を出してい
るように思えた。
- 27 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時24分35秒
- 石川がそのくびれに軽く唇を当てると、後藤はビクンと体を
揺らした。
「はあっ‥‥よくわかったね‥‥そこ‥‥ごとーが一番感じ
るところだよ‥‥。」
後藤の匂いを全部すいこみたかった。
ただ、それだけだった。
「‥‥‥ん‥‥‥もっともっと、‥‥つよ‥‥く‥‥。
梨華ちゃん‥‥すごく‥‥いい‥‥‥。」
後藤が出すせつない声は、自分のそれよりもずっと色っぽいよ
うに思えた。その声が石川の敏感なところを刺激する。息が荒
くなる石川。後藤も悩ましげな表情をしている。
- 28 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時26分15秒
- 「お〜い!石川と後藤何やってんの?
本番始まるよ!」
ふいに遠くの廊下からリーダー飯田の声がして、石川と
後藤は我に返った。
「ちぇ、いいところだったのにー。」
(ほんと。)
2人は身体を離すと、走ってスタジオへ向かった。
- 29 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時30分09秒
- 「あ、そうそう。今日の収録ってメンバーがペアになって、
フリーで少し話すっていうのらしいですよ。」
「ふ〜ん‥‥ケホ、ケホ。」
後藤は石川から顔を背けて咳をした。
「後藤さん、大丈夫ですか?」
「ん‥‥ごめん。風邪気味みたい。ったく、こんな時にお腹
出す衣装なんてさ、ごとーたちの健康なんて二の次だよね。
ま、だからこそ今日はイイコトできたんだけどぉ。」
- 30 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時31分51秒
- イイコト、と聞いて、石川は控え室であんなことをやっていた
のが恐ろしく思えた。罪悪感。恐ろしいからこそ甘美でもある。
自分を抑えられないことの怖さを、後藤とこういう関係になって
みて石川は初めて知ったのだった。
頬を赤らめている石川を見て、後藤は言った。
「‥‥やっぱ梨華ちゃん、かわいいなー。」
- 31 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時33分29秒
- スタジオではすでに他のメンバーが収録に入っていた。
2人ひと組でカメラの前に立ち、フリーで2、3のコメントを話す
という収録。石川はめずらしく後藤と組になっていた。
後藤と並んでカメラの前に立つ。まだ敬語がぬけきらない普段とは
違って、カメラの前では先輩後輩関係なく仲良しというのを強調し
なくてはいけない。それを利用して石川はちょっとだけ大胆になっ
てみた。
- 32 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時34分39秒
- 石『この2人、名コンビじゃん。』
後『どこが(笑)』
石『あれ〜?』
石『恥ずかしいって言えば、新曲の衣装。』
後『あー。』
石『裸にエプロンって言われる‥‥。』
石『衣装、換えよ?』
後『ヤダ。』
- 33 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時37分30秒
- 収録が終わると、後藤はドラマの収録があるというので石川と
たいして口もきかずにスタジオをでていった。石川は次の仕事
がとくになかったので、家に帰った。
(『名コンビじゃん』って思いきって言ったんだけど、後藤さん
あまりうれしそうじゃなかったな。まだまだ仕事の面じゃ、認
めてもらえてないのかも。石川梨華、がんばらなきゃ。
‥‥‥でも、ちょっとネガティブになっちゃう。)
ひとりの 帰り道がとても淋しかった。
(あ〜あ、今日は晴れのち雨だよー。)
- 34 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時39分26秒
- 次の日からは地方で一泊の仕事だった。夜から後藤がドラマの
撮影を終えて合流することになっている。
後藤がいないのはとても淋しい。石川は上の空になりそうにな
りながらも、真面目にお仕事をした。
(夜には後藤さんに会える‥‥。)
部屋割りはくじ引きで、ラッキーなことに石川は後藤と一緒に
なった。
後藤の到着を待ちわびる石川。
部屋の鏡で目の下のくまとお肌の張りをチェック。そわそわと
部屋を歩き回る石川。音程は怪しいけれど鼻歌も出てきた。
- 35 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時43分13秒
- 「コンコン。」
部屋をノックする音がきこえた。
石川は急いでドアのカギを外す。
ドアをあけたら、後藤を抱きしめたいと思った。
「げほっ、げほっ」
「!」
「ずぴー。」
「後藤さん、大丈夫ですかっ。風邪が悪化しちゃったん
ですね?」
石川は慌てて後藤を部屋の中に入れた。
「‥‥‥寒い‥‥‥だるい。」
「とにかく今日はもう着替えて眠ったほうが‥‥。」
「‥‥‥そうする。」
- 36 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時44分53秒
- 後藤は本当にしんどそうだった。
熱はないと言っていたが、咳のせいで声がずいぶん枯れている。
「ごんなんじゃざづえいにならだいっで‥‥げほごほ。」
「ドラマですか?」
後藤は口惜しそうに服を脱いで着替えるとベッドに入った。
「‥‥‥りがぢゃん、ぞばにいで。」
力の入らない手を石川にさしだした。
「私がついてます。安心して、眠ってください。」
石川がそれをぎゅっと握ると後藤は安心したようにまぶたを
閉じた。
- 37 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時46分41秒
- 夜中後藤はうなされていた。握ったままの手がとても熱い。
ひょっとしたら熱が出てきたのかもしれない。
石川はタオルを氷水で冷やすと、後藤の額にのせて様子を見た。
石川は心配で胸が押しつぶされそうだった。
(後藤さん、仕事ができないで口惜しそうだった。この分だと
きっと明日も‥‥。)
「ゴホンゴホン!‥‥げふっ。」
(そうだ、喉!これじゃ明日ライブで歌えないよ。
どうしよう‥‥!)
『梨華ちゃんの声が出るように、ごとーがおまじない、
してあげる。』
- 38 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時48分05秒
- 「そうよ、おまじないっ」
石川は思いついたように冷蔵庫から氷を出すと、自分の唇に
塗った。唇は適度な冷たさになった。
(早く良くなって!)
祈りを込めて。
寝苦しそうにしている後藤の喉に、石川は冷えた唇をそっと
当てた。一瞬、後藤の苦悶の表情が和らいだように見えた。
- 39 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時49分44秒
- 石川にとって長い夜に思えた。
明け方、うつらうつらとして目が覚めると、後藤はスヤスヤ
眠っていた。石川は後藤の手をにぎったまま、ねむってしま
っていたようだ。
心配そうに後藤の顔を覗き込むと、ふと後藤の目も覚めた。
「‥‥‥あさ?」
「そうですよ。気分、どうですか?」
「うん、だいぶ、よくなったみたい。」
昨日は聞き取りにくいぐらい枯れていた声も、今日は幾分
ましになっていた。石川はホッとした。
- 40 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時50分57秒
- 「のど、楽になってる。」
「そうですか?よかったですね。」
「梨華ちゃんが、『おまじない』してくれたからだよぉ。」
「えっ。知って‥‥・」
「ありがとっ。」
そう言うと、後藤は石川をぎゅっと抱きしめた。
初めて自分をぎゅっと抱いてくれた気がする。
(私、この人のこと、好きだ‥‥‥。)
- 41 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時53分58秒
- 「ん?」
後藤は無邪気に笑みを浮かべて石川の顔を見た。
それを見て、石川は今にも胸が張り裂けそうになった。『好きです』
という言葉が喉まで出かかったが、グッと飲み込んだ。
言ってしまったら全てが終わってしまう気がして。この関係も何もかも。
(だって後藤さんから『好きだ』って言葉を一度も聞いたことがない。)
「汗かいたから、シャワーあびてくるね。」
そう言うと、後藤はベッドの側に石川を残してバス室へ入っていった。
- 42 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)03時55分42秒
- 石川は後藤に触れた唇を指で押さえた。
さっきの感触を思い出す。後藤の感触。
(私達が唇を重ねるのはきっと最後の時―。)
石川は漠然と思った。
頬には涙がとめどなく流れていた。
END
- 43 名前:空唄 投稿日:2001年09月03日(月)08時32分55秒
- やってること自体は幸せそうなのに、ラストはちょっと悲しいですね。
とりあえず、いしごま最高。
- 44 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)21時17分35秒
- ↑感想、有難うございます。
次の『おまじない』3で本当のラストにしたいと思っています。
↓すみません、訂正です。
- 45 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月03日(月)21時20分47秒
- 42
石川は後藤に触れた唇を指で押さえた。
さっきの感触を思い出す。後藤の感触。
石川の頬には、涙がとめどなく流れていた。
END
- 46 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時04分16秒
- 『おまじない』3
石川はタンポポの仕事でラジオ局にいた。
「石川、暗い!」
「梨華ちゃんどうしたの?」
「なんでもないんです、飯田さん、矢口さん。」
「そんな暗いんじゃ仕事に差し支えるっしょ。先輩として
言ってるの!」
「じゃあ、かごがぁ〜、リカちゃんのマネをしちゃいます!
『挑戦、それはポジティブに生きること』チャーミ−石川
でぇす!」
「あいぼんったら。うふふ。」
(そうだわ、ポジティブにならなきゃ。今のこの気持ちを大切
にしよう。たとえ、後藤さんが私の事を、私が後藤さんを好
きなぐらいに思ってくれてなくても。
‥‥‥今のままでも石川は十分しあわせです。)
- 47 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時05分39秒
- 石川がひとり悲壮な覚悟をしていた頃、後藤はプッチモニのレコ
ーディングの最中だった。長引いたレコーディングが終わった後、
3人は近くのカフェに寄った。
「おつかれ〜」
「圭ちゃんはビールの方がいいんじゃない?」
「いつになったらアンタ達と一緒に赤ちょうちんに寄れるのかねぇー。
やれやれ。」
「ごとーも吉澤もあと4年もあるよ。それまでプッチがあるかなぁ。」
「なにそれ、アンタアタシにケンカ売ってんの?」
- 48 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時07分18秒
- 他愛もない会話は尽きない。遊び、仕事、恋愛。
3人のテーブルも、女の子達が避けては通れない恋愛の話になって
いた。
「やっぱさー、好きな相手にはこまめに『好き』って言ってもらい
たいですよね。ね、保田さん。」
「全然言わないよりはね。」
「えー、ごとー、そーいうの苦手だなぁ。それよりもキスしたい。」
保田は飲みかけのコーヒーでむせてしまった。
「キスって‥‥アンタ何歳?恐ろしいよ、アタシは。」
後藤は首をすくめて舌を出した。保田はやれやれというポーズをした。
「アンタみたいなのがいるから世の中の乙女は泣かされてんのよっ。」
- 49 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時09分49秒
- あれから石川は後藤とはあまり話をしなかった。
お互いユニットの仕事が忙しくなって会っていられないというの
があった。今日は別ユニット活動をしていたメンバーが久しぶり
に全員集まる収録。石川が局入りすると、先に来ていた後藤と保
田が声をかけてきた。収録までにはまだ時間がある。
「梨華ちゃん、お茶飲まない?」
「いいですね。」
「めずらしい組み合わせだけど。」
「そーだ。この3人でユニットってどぉ?圭ちゃん。」
「アタシは御免。どっちも手がかかりそうなんだもん。
アンタ達非公式で組めば?『名コンビ』なんでしょ?
ねえ、石川。」
- 50 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時11分12秒
- 『名コンビ』という言葉に、石川は思わず顔を引きつらせて
笑った。
(だってあれは私の独りよがりで‥‥。)
「圭ちゃんが言うと、ごとー達、漫才師に聞こえる。」
「え?違うの?じゃあ、バカップル?」
「ち、ちがうよぉ。」
「あ、もしかして照れてんの?アンタ。」
「梨華ちゃん、こいつ照れてるよ。」
「余計なこと言わないでよぉ!」
後藤はあきらかに動揺していた。
- 51 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時13分26秒
- 「石川、後藤は照れ屋さんだからね、名コンビって思われて本当は
うれしがってんだよ。
収録じゃ、どこが(笑)って言ってたけどね。」
保田は遠慮なくしゃべり続ける。
「自分から好きとか絶対言わないタイプなんだよね、後藤は。」
「そうなんですか?」
「もういいじゃん。そんなこと!」
後藤はめずらしく声を荒げると喫茶室を出ていってしまった。
保田は『放っておけば』と言っていたが、石川は心配になって局内
を探した。
- 52 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時14分47秒
そこらじゅう探して、屋上にひとりでいるのを見つけた。
サクに寄り掛かって穏やかな東京湾を見つめている。
石川は、後ろから近付いて声をかけようとした。
「ごとーは、言葉に出して気持ちを伝えるのは苦手だけど、
キスの度に『好き』だって言ってたつもりだったよ?」
「!」
後藤は石川の存在に気づいていた。
石川の匂いが逆風でさっと香ったのだろう。
- 53 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時16分03秒
- 「ごとーは本気だったもん。あーゆーコトしたのも、梨華ちゃん
とが初めてだった。梨華ちゃんだったから、ごとーは‥‥。」
石川は後藤の告白に声もでなかった。
「ねぇ梨華ちゃんは、どうなの?
ごとーのこと、好きなんでしょ?」
後藤は振り向くと、長い髪を風になびかせて石川を見た。
寒いわけでもないのに、その身体は震えていた。
「私はあなたのことが‥‥。」
- 54 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時16分52秒
- 石川は何かがものすごい勢いであふれてくるのを感じた。
胸のうちに閉じ込めておいた感情(キモチ)。
涙が流れるよりも早く、その言葉は後藤の耳に届いた。
「好きです!」
と。
- 55 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時18分00秒
- 明日は完全オフ。2人は仕事が終わると、同じ部屋に帰った。
一人暮らしをしている石川の部屋だった。
「それじゃあ‥‥ちゃんと『好き』って、」
テレビを見ていた後藤の眉毛がぴくりと動いた。
「聞かせて。お願い。一度だけでいいの。」
- 56 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時19分19秒
- 上目づかいで石川が後藤を見る。
後藤は顔を真っ赤にして困惑した顔をしていた。
「‥‥‥言わなきゃ、ダメ?」
「‥‥ダメ、だよね。へへへ。」
「くぅ〜〜〜〜〜。」
石川はその様子をみて軽くため息をついた。
(大胆なことは言えるのに、どうしてたった2文字が言えない
んだろう。)
- 57 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時20分17秒
「だってもさぁ。」
「おまじない、してほしいですか?」
「!」
いたずらっぽく石川が笑う。 後藤は石川の唇をみつめた。
「うん、してっ。」
- 58 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時21分40秒
- 石川は後藤をベッドにねかせると、自分が上になった。
鼓動が早くなる。ゆっくりと、後藤の喉に自分の唇を近付けた。
触れられて、後藤の喉がゴクリと上下に動く。
やさしく、やさしく。
石川の唇は小鳥が餌をついばむようにうごいた。
テクニックよりも、その『想い』が後藤の心を動かした。
- 59 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時23分30秒
- 「‥‥梨華ちゃん。」
「え?」
石川はくちづけを止めて後藤の目を見る。
後藤は石川の目を見てはっきりと告げた。
「‥‥好き、だよ。ずっと。梨華ちゃん、だけ。」
- 60 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時25分18秒
- 言うや否や、すごい力で石川を下にすると、石川の口を自分の口
でふさいだ。照れた後藤は石川の反応が怖かったのだ。
石川は後藤の力に一瞬びっくりした。
だけど何よりも後藤の言葉がうれしくて、涙があふれてきた。
でも返事をしようにも、口はふさがれている。
石川は後藤の唇に舌を入れて絡めた。
それが答えのつもり、だった。
- 61 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時26分38秒
- 「‥‥んっ。」
まるで火に油が注がれたように、後藤は呼吸を荒くする。
長い長いくちづけ。
後藤は 耐え切れずに石川から唇を離すと、乱れた吐息とともに
とぎれとぎれに言葉をつないだ。
「ねぇ‥‥最後まで‥‥した‥‥い‥‥。」
石川は潤んだ瞳で後藤を見つめると、ゆっくりとうなづいた。
- 62 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時29分11秒
- どれくらいの時間が経っただろうか、後藤は目を覚ました。
幸せな気持ちでぼんやりと隣を見る。うで枕をしていたはずの
石川の姿は消えていた。
「梨華ちゃん!?」
後藤は飛び起きた。何かを羽織ることもせず、部屋中を探す。
姿が見当たらない。 後藤の目に涙があふれてきた。大声で石川
の名前を呼ぶ。
「梨華ちゃん、どこ!?」
- 63 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時32分09秒
「梨華ちゃん!」
- 64 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時34分18秒
「どうしたんですか?」
石川はベランダで洗濯物を干していた。もうお昼近かったのだ。
自分を呼ぶ声を聞いて、石川がベランダから降りてきた。
「どうしたって‥‥梨華ちゃんがいないから‥‥ごとー、
ひっく‥‥うっ‥‥。」
(泣かないで、さみしがり屋で甘えん坊なあなた。)
石川は後藤の涙をキスで拭ってやると、後藤の手をとって自分の頬に
触らせた。
「私はここにいますよ?後藤さんのすぐそばに。いつでも。」
- 65 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)03時39分33秒
-
あなたのそばで
永遠の『好き』をあげる。
え?永遠の『キス』?
ごとー、それもいいかもって思うんだけど。
うふふ。
じゃあ、ずっと『おまじない』してましょうか。
それ、いいね。
梨華ちゃんとごとーの『おまじない』。
二人だけの、おまじないをいつまでも‥‥‥。
HAPPY END
- 66 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月04日(火)04時14分02秒
- メチャいいです!
こんな「いしごま」ならもっと読みたいよ〜〜〜!
これでラストなんて言わず、もっとお願い〜〜〜!
- 67 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月04日(火)09時34分06秒
- ↑感想、有難うございました。
そのように思っていただけて書いた甲斐がありました。
またいつか「いしごま」をお届けすることができれば、
うれしく思います。
申し訳ありませんが、訂正です。
『おまじない』
9 『二の腕』→『ココ』
14『まるでイヤイヤのポーズみたいだ。』
→『鼓動と呼吸がどんどん早くなる。』
『おまじない』2
20『意識のしすぎ』→『意識しすぎ』
23『色っぽくに』→『色っぽく』
『おまじない』3
47『吉澤も』→『よっすぃーも』
50『ち、ちがうよぉ』→
『「んぁ‥‥ナニ、何言ってんの?」
後藤は鼻を低く鳴らして、視線をそらした。』
以上です。
- 68 名前:aki 投稿日:2001年09月04日(火)14時01分12秒
- おもしろいですね!!
いしごま大好きなんですっごく嬉しいです。
これからも頑張ってください。
- 69 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)00時50分26秒
- ↑感想、有難うございます。
せっかくスレを立てたので、もう一つ「いしごま」を書き上げようかと。
初心者ゆえ、御期待に添えるかわかりませんがよろしくお願いします。
- 70 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)04時35分26秒
- おお!いしごま小説発見(嬉
次回作あるみたいで、期待してます。
- 71 名前:aki 投稿日:2001年09月05日(水)12時22分54秒
- (>▽<)/ <キャー
↑アホ・・・。
次回作!!楽しみです!頑張ってください〜!
- 72 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時13分31秒
- >70さん、レス有難うございます。
次回作、やらせていただきます。
>71さん、御期待にそえるかどうか‥‥。
色の良いレスをいただいているので、冷や汗を流してます。
ああ、こんなの有るんだというぐらい思っていただければ。
『おまじない』の2人がイカ釣りにでかけるという話で作ってみました。
以前テレビで放送されたVTRを別物にして作ったものです。
別物にして、というのが曲者で、この話に出てくる安倍さんはゆきすぎな
ほどコミカルになってます。ここでは「いしごま」主役なので気を悪くさ
れないようにお願いします。
もう一つ、このお話も一応エロが入ってます。お気をつけください。
それでは、以下、『潮風を抱きしめて』1、です。
- 73 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時23分46秒
- 『潮風を抱きしめて』1
恋の始発列車 飛び乗って
どこか遠い街まで
きっと迷うけど その時も
あなたとだから So happy・・・
「石川、何にやついてるんだべ。」
「す、すいません。電車にのってどこかへ行くのって娘。に入っ
てからあまりなくて。‥‥つい、ひたっちゃいました。
ちょっとした旅行みたいですよね。ね、安倍さん。」
- 74 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時25分39秒
- 「旅行気分じゃ困るべさ。なっち達はどうしてもイカをつらなきゃ
いけないんだべ。しっかりしてくれないと、なっち『イカ』るべ。
なんちって。くふふ。」
「‥‥寒(さむ)。」
「ごっちん、なっちカイロもってるべさ。貸したげるっしょ。」
「そぉじゃなくて‥‥‥。」
- 75 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時26分40秒
- 後藤さんが困った顔をして私を見ています。
でも、安倍さんの寒いギャグには石川も正直どう対応していいか
わかりません‥‥。
- 76 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時27分47秒
- えっと、今の状況を説明しますね。
現在、電車は日本海のすぐそばを走っています。
私たちが向かうのは東北のある漁村。
テレビの企画で、視聴者の方々に『イカのお守り』をプレゼント
するために、私、石川梨華と、後藤真希と、安倍なつみが、イカ
釣りに挑戦することになったのです。
- 77 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時29分51秒
- 「おばちゃんたち◯◯町の人なんだべ?そうなのー。
なっち達もそこへ行ってイカ釣りするんだべ。
したっけ、これ食べるべ?」
安倍さんは電車に乗り合わせたお客さんとすっかり意気投合。
この人のすごいところは見知らぬ人とすぐに親しくなれること。
ポジティブ石川として、見習わなくっちゃ。
- 78 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時38分03秒
- 後藤さんは、ソロの仕事が明けた日だったので、疲れていたので
しょう、私の隣で眠ってしまいました。
安倍さんに気づかれないように、私の手をにぎりながら。
思わず、天井を見上げて『あーあ、後藤さんと2人きりの旅だった
らな‥‥』なんて思っちゃたりして。くすん。
- 79 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時39分02秒
- 「石川も『イカくん』食べる?うまいべさ。」
「あっ、はい、いただきます。」
ああ!ごめんなさい、安倍さん。
‥‥石川は悪い子です。
- 80 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時40分34秒
- 今回はお仕事なんだもの、わがまま言っちゃいけないですよね。
イカを釣るのは、初めての経験。どうかうまく行きますように。
責任の重さにちょっと不安になるけれど、あなたと2人だもの、
きっと大丈夫。
後藤さん、イカ釣り、がんばりましょうね。
私は肩を寄せて眠っている後藤さんの手を、ぎゅっとにぎり
しめました。
- 81 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時42分27秒
- 日が沈む頃。
私たちは海辺にある、とある旅館に到着しました。
目立った観光地ではない場所にあるこの旅館は、こじんまりと
した建物で、宿の裏が海岸になっています。たぶん釣り客が泊
まりに来るぐらいなのでしょう。少しカビ臭いけれど、とても
静かで落ち着きます。(矢口さんは嫌って言うかな?)
- 82 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時46分12秒
- 「明日は早朝から船でロケに出るから、早く寝ろよ。
寝てないと酔うぞ。」
スタッフの人はそう言うけれど、せっかくの旅館でのお泊まり。
石川、この際、旅行気分を味わっちゃいます!
だって私たちはありがたいことに、まとまったお休みがいつある
のか、わからないのですから。
- 83 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時47分27秒
- 和室の部屋に入ると、私たちは浴衣に着替えて食事をすることに
なりました。浴衣って、素敵だけど、着るのがむずかしいです。
見ごろを合わせて、あれ?帯はこうかな?
「あ〜あ〜あ〜、石川、そんな着かたじゃ、すぐにくずれてしま
うべさ。ちょいと貸してみるべさ。」
- 84 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時49分45秒
- ごめんなさい。 石川、不器用なんです。
あっという間に、安倍さんは帯をしめてくれたのですが、後ろに帯を
まわした時に、ちょうど安倍さんが私を抱きかかえるような格好にな
ってしまって‥‥。どうしよう、後藤さん、こっち見て怒ってる?
(ちがうの!浴衣きせてもらってるだけなの!)
あーあ、そっぽ向いちゃった、うぅ‥‥。(泣)
- 85 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時51分21秒
- 「なっちってさ、浴衣着せるの上手いんだね。
ごとー、見直しちゃったよ。(チクッ)」
「なっち小さい頃から夏祭りではかならず浴衣を着てたべさ。
こんなの朝飯前だべ。
ん?ごっちん、帯が縦結びだべ。小学生だべ。」
「(怒)」
「お、お腹すきません?ご飯もうすぐ来ますよね!」
- 86 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時53分10秒
- ハラハラしている間に食事が運ばれてきました。
イカ釣りの本場だけあって、出てきたのは『イカ刺し』『イカの天
ぷら』『イカのフライ』『イカご飯』とイカづくし!
「お〜船盛りだべ。」
「ふなもり?」
うふふ、後藤さん、目を丸くしてうれしそう。
いっぱい食べようね。
私たちはお腹がいっぱいになるまで食べました。あんまり食べ過ぎ
て後藤さんは「もうイカは一ヶ月ぐらい食べたくない。」と言って
いました。作っちゃうといけないからちゃんと覚えておかなきゃ‥‥。
- 87 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時55分09秒
- 「ねーねーねー、梨華ちゃん、ここ露天風呂があるんだって。
入ってこようよ。」
「え、そうなんですか?
安倍さん、露天風呂入ってきません?安倍さーん。」
「むぐむぐもう食べられないべ。なっちまだお腹苦しいから先に
入ってくれていいっしょ。」
「でも‥‥‥。」
「いいんだってさ。そのままちょっと横になってたほうがいいよ、
なっち。じゃ、ごとー達はいってきま〜す。」
- 88 名前:aki 投稿日:2001年09月05日(水)23時56分46秒
- リアルタイム!
頑張ってください。
私も同じく小説書いているので期待されるとそれに答えられる
か不安になりました。
気が利かなくてすみません(^^;)
楽しく書いてください。
- 89 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時58分30秒
- 後藤さんは まるで畳み掛けるように私をつれて部屋を出てし
まいました。
「露天風呂ってさ、ごとー大好き。
よく泳いだりとかするんだよぉ。♪」
鼻歌を歌ってワクワクしちゃって。うふふ、子どもみたい。
でもそんな後藤さんが石川は大好きなんです。ポッ。
脱衣所に着くと、どうやらお客さんは私たちだけみたい。
2人で一緒にお風呂に入るのって初めて。どうしよう、ドキドキ
してきちゃった。恥ずかしいよ〜。
- 90 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月05日(水)23時59分26秒
(気にすることないべ。同じモンがついてるだけだべ。)
それはそうですけど‥‥って、安倍さん!?
と、思っている間に。
「ひゃーい。♪」
「あ、まって後藤さん!浴衣、たたまないとっ。」
愛しいあの人は、一目散にお風呂に行っちゃいました。
石川、おいてきぼりです‥‥。(泣)
- 91 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時01分28秒
- 露天風呂は岩づくりで、小さな旅館にはもったいないくらい
のものでした。寒い外気も露天風呂なら気になりません。
ちょっと曇りなのが惜しいです。
「みてみて、梨華ちゃん、シンクロー!」
「後藤さん、お風呂でそんなことしちゃ‥‥。」
バシャバシャバシャ。
「背泳ぎ〜!」
「きゃっ(目隠し)」
バシャバシャバシャ。
「きもちいーね、梨華ちゃん!」
「2人だけだから、気楽ですよね。」
「ごとー、背中流してあげるよ〜。」
「えっ、そんな、いいです。恥ずかしいです。」
「いいから〜。」
- 92 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時03分36秒
- 「ババンババンバンバン!ババンババンバンバン!
ハァ〜ビバノノン!」
(なんか、恥ずかしいとか気にしなくても良かったみたい。)
私、何か期待してたのかな。
そのほうが恥ずかしいよ〜。(赤面)
- 93 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時05分04秒
- のぼせそうになるぐらいまで入って、私たちは部屋へ戻りました。
入れ代わりに安倍さんがお腹が楽になったからお風呂へ行ってくる
と言って出ていきました。
お部屋にはもうお布団が敷いてありました。
「なんかさ〜、新婚初夜みたいだよね。」
「えっ。」
「こぉさ、2人正座して『よろしくお願いします』とか言うんだよ。」
そ、そんなこと、どこで聞いたんですか!?
- 94 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時07分56秒
- 「こーいうところってさぁ、そぉいうビデオとかあるのかな?」
ごそごそ。
「ダメです!」
「なんで〜。梨華ちゃんの、ケチ。」
拗ねたってダメなものはダメです。そんな私以外の人の‥‥。
絶対嫌です!
ああ、もうこんなこと言わせないでくださいよー。(泣)
- 95 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時08分49秒
- 「な、なんか、飲みません?石川、のぼせちゃって喉乾いちゃい
ました。」
「冷蔵庫に何か入ってるんじゃない?」
「えーと、あ、『飲茶楼』がありました。キャッ」
- 96 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時10分35秒
- 突然、後ろからあなたに‥‥。
『ねぇ‥‥浴衣って‥‥そそるよね‥‥。』
後ろから抱きすくめられて。
『遅れ毛のあたりがさ‥‥。』
首筋にキスされて。
- 97 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時11分29秒
- 『フ−。』
左耳に熱い息を吹きかけられて。
「あっ‥‥。」
浴衣の上からあなたが私の身体を撫でて。
「んっ‥‥。」
私の身体はどんどん熱くなって。
- 98 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時12分17秒
- 『‥‥ねぇ、しようよ。』
熱い吐息と一緒にそんなことを言わないで。
おねがい。
「でも‥‥安倍さんが‥‥戻ってきますよ?」
私は精一杯の理性でこらえてるのに。
『大丈夫、なっちお風呂は1時間ぐらいかけるって
言ってるから。いつも。』
- 99 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時13分15秒
- そうしている間に私の浴衣の帯はほどかれて。
布団の上に2人、浮かんでた。
身体がフワフワしてる。
あなたは浴衣から出た私の肩にキスをして。
耳の後ろをキスして。
私の唇に軽くキスをした。
『ふっ』
口元に笑みを浮かべて。
あなたの照れたような笑顔が好き。
大好き。
泣きたくなるぐらい、好きなんです。
- 100 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時15分42秒
- 指を絡めて、まぶたにキスして。
熱い吐息を交わして。唇を私の耳に近付けると
初めて『梨華』って呼んでくれた。
ゆっくり囁いたあなたの言葉が、私の心も熱くしていく。
あなたの熱さが、私に伝わる。
私の熱さは、あなたに伝わっていますか?
私は声を出さないように、あなたの背中に腕をまわして、
爪を食い込ませる。
‥‥‥痛くしてごめんね?
あなたの手が私の胸に触れた。
- 101 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時16分34秒
「あ〜いいお湯だったべ!」
バタン!ドン!ゴチ!
- 102 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時18分09秒
- 「何してるんだべ。」
「ま、まくら投げ‥‥。(笑)」
「ハァ?やっぱりごっちんも石川も子どもだべ。
でもどうしてもやりたいならなっちも付き合うべさ。ん?
石川、寝てるんだべか?浴衣がくずれてるべさ。」
「えっ(ドキッ)」
「さっき自分で着たっしょ。もうTシャツ来て寝た方がいいべさ。」
「そ、そうですね。(ホッ)」
「えっ、やだよ、そんなの!」
(後藤さん!しっー!)
「ごっちん何言ってるべさ。
ま、女どうしだからはだけてもいいべさー。」
- 103 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時19分25秒
- 「そういえば、ゲームコーナーに石川の好きな、頭がちんちくりん
の色の犬がいたべ。UFOキャッチャーだったべ。」
「あの‥‥『アフロ犬』ですぅ。」
「石川も変なものが好きだべさ。」
「〜〜〜〜〜。(泣)」
「もう遅いべ。明日は早いっしょ。もう寝るんだべ。
なっち電気消すよ?」
- 104 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時20分49秒
パチン。
イカ釣りの旅。1日目終了。
明日は一体どんな一日になるのでしょう。
どうかイカがちゃんと釣れますように。
おやすみなさい、後藤さん。安倍さん。
- 105 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)00時25分23秒
- うっかり下げをチェックするのを忘れてしまいました。
レス書いてくださった方も下げてくださっているのに。
不注意が悔やまれる。早くさがりますように。
『潮風を抱きしめて』1終了です。
次は後編にあたる2を書き上げようと思います。
- 106 名前:66 投稿日:2001年09月06日(木)00時53分45秒
- 石川に積極的なごまがイイよ〜〜〜。
そんでもって、天然?ななっちがまたたまら〜〜〜ん!
- 107 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月06日(木)01時17分22秒
- 今後も続きそうなので短編の『森板』では遠慮したいと思います。
この続きは『風版』で続けたいと思いますので、どうぞ宜しく
お願い致します。
『潮風を抱きしめて』
http://mseek.obi.ne.jp/cgi/hilight.cgi?dir=wind&thp=999706281
- 108 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時20分29秒
- 慌てて移転するような形になってしまいましたが、こちらにも
まだ容量がありそうなので続きで『潮風を抱きしめて』2を上
げてからにしようと思います。
‥‥不慣れで御迷惑をおかけしました。
>88さん レス有難うございます。
楽しく、が一番ですね。
>106さん 感想有難うございます。
安倍さん‥‥良い方にとっていただけてホッとしています。
- 109 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時23分00秒
- 『潮風を抱きしめて』2
おはようございます!
今日はいよいよイカ釣りに挑戦する日です。
私たち3人は朝早くに起きて、すぐ近くの港に向かいました。
後藤さんはとても眠たそうにあくびをしています。
昨日、眠れなかったのかな?
- 110 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時23分58秒
- 「今日は天気が悪いべ。嵐がくるっしょ。」
「え!そんなぁ〜。イカ釣り出来ないんですかぁ?」
「‥‥ふぁ〜あ。」
「ごっちんさっきからあくびばっかりだべ。緊張感が足りないべ。」
雲行きの悪い天気に不安になる私たち。
でもここで帰るわけにはいきません。スタッフに連れられて
イカ釣り船があるところへ行きました。
「おはようございます。よろしくお願いします!」
- 111 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時25分54秒
- 船でイカ釣りを教えてくださる漁師さんにご挨拶をすると、そんな
格好じゃ連れて行けないと言われてしまいました。
たしかに、私たちが着ていたのは普段着。これじゃハイヒールで登
山に行くのと同じですよね。
というわけで、私たちは用意してあった『魚釣りにふさわしい格好』
に着替えてイカ釣り船に乗船しました!
- 112 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時27分06秒
- でも、そんな私たちの気合いとは裏腹に‥‥。
残念なことに天候が悪くて、今日は波がとても高いそうです。
まるで憂鬱をため込んだようなどんよりとした空に
すべての悲しみを飲み込んだような暗い海。
私たちは歓迎されてないみたい‥‥です。(泣)
- 113 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時27分59秒
- 沖へ行くにつれて冷たい潮風が容赦なく吹きつけて、波もどんどん
高くなって。潮のうねりは激しく、船は大きく揺れてきました。
ザブンッ。
ギィーーーー。
ゴトンッ。
「あいや〜、大揺れだべ!」
「きゃっ。」
「あぶない!」
「石川、なっちにつかまるべさ。放すんでないべさ。」
「すごい揺れだよぉ‥‥。」
- 114 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時28分53秒
- こんなにも船が揺れるとは思ってもみませんでした!
絶叫系は嫌いじゃないですけど、さすがにこういう揺れは‥‥。
まるで、胃が喉に出てきそうな感じ。
普段、お仕事で動揺を見せたりしない後藤さんも予想以上の揺れに
びっくりした表情。
石川、不安になっちゃいます‥‥。
- 115 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時29分56秒
- でもいつまでも波を怖がってる暇はありません。
私たちは、イカを釣らなければならないのです!
船頭さんに竿を用意していただいて、私たちはイカ釣りを始めました。
後藤さんの表情は真剣そのもの。きゃっ、かっこいい(はあと)。
石川はどう見えてるのかな?釣りざおを持つ格好、サマになってるかな?
- 116 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時31分06秒
ザブンッ。
ギィーーーー。
ゴトンッ。
釣り糸をたらして1時間、イカはまったく釣れません。
それどころか、魚一匹すらも釣れないのです。
やっぱり今日は漁には向いてないんでしょうか‥‥。
それとも私たちに釣られてくれるほど、イカさんは単純じゃないん
でしょうか。
イカさーん、どこにいるんですかー?でてきてくださーい!
- 117 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時31分55秒
ザブンッ。
ギィーーーー。
ゴトンッ。
さらに時間は流れて‥‥。
だんだんみな無口になってきました。
焦りの色が見えてきた頃、安倍さんの竿に手ごたえが!
「ヒットだべ。大物だべさ。」
「なっちがんばれっ。」
「安倍さん、頑張ってください!」
- 118 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時33分43秒
- 海の中の『何か』と格闘すること、なんと10分!
安倍さんは大きなブリを釣り上げました。
「おー、ブリブリのブリだべ。おいしそうだべ。」
「い〜な〜。」
「抱っこしてみるべ。びちびちしてるっしょ。」
「すごいですね!安倍さん。」
「‥‥なっち目が合ってしまったべ。もう食べられないべさ。」
- 119 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時34分55秒
- よ〜し、石川も安倍さんに負けないように頑張ります!
気合いが入ったところで、船頭さんがえさを変えたらどうかと
言ってくださいました。
でもえさって、何と換えるんだろう‥‥?
「じゃじゃ〜ん、これで決定だべ。」
「それって‥‥。」
「目には目を。イカにはイカだべ。」
「『イカくん』?」
「これで釣れること間違いなしだべ。」
‥‥安倍さん、こんなところにまで持ってきてたんですか?
おやつ。
- 120 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時35分40秒
- えさを換えて奮闘することさらに1時間。
後藤さんがフグを、私がヒラメをゲットしました。
でも今回はどうしても『イカ』を釣らなければいけないんです。
- 121 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時36分18秒
ザブンッ。
ギィーーーー。
ゴトンッ。
天候は更に悪化し、波はもっと高くなりました。
このまま、釣れないままなんでしょうか?
石川、ネガティブになってしまいそう‥‥。
- 122 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時37分12秒
- と、思っていたら私の竿に手ごたえ!
波間にかすかに見える白いかたちはイカさん?
必死に糸を巻き上げて釣り上げてみると‥‥。
「イカだべ!」
「ほ、本当ですか!?」
「イカにも『イカ』だべ!」
漁師さんの補助もあって無事釣り上げたのは『イカ』だったけど
残念ながら、お守りにするイカではなかったみたいです。
喜びから一転、再スタートになってしまいました。うぅ‥‥(泣)。
- 123 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時38分36秒
ザブンッ。
ギィーーーー。
ゴトンッ。
あれから30分経ちましたが、手ごたえはまったくありません。
波はますます激しく、船は大きく揺れています。
突然、後藤さんが釣り竿をスタッフに預けるとしゃがみこんで
しまいました。
- 124 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時39分15秒
- 「気持ち悪い‥‥。」
「えっ、後藤さん大丈夫ですか!?」
「う‥‥‥。」
どうしよう!
顔色が真っ青!唇が小刻みに震えてる。
船がこんなに揺れてるから、酔っちゃったんだ!
- 125 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時40分27秒
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
- 126 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時41分04秒
- 背中をさすってあげることしかできないよ。
海の神様、後藤さんの船酔いを治してあげてください。
波を鎮めてください。おねがいします!
- 127 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時42分00秒
- 「‥‥梨華ちゃん、ごとー、大丈夫だから。
イカ、ちゃんと釣らなきゃ。」
「でも‥‥‥。」
「ちょっと休んだら良くなるからさ‥‥。」
あなたはそう言って、無理に笑ってみせたけど、それが限界に
近いことぐらい私にはわかる。
- 128 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時42分47秒
- 「うっ‥‥‥。」
「後藤さん!」
もう返事もしてられないくらい辛そうで。
どうしたらいいの?
「だいじょう‥‥ぶ‥‥だから。」
あなたはフラフラと自分の釣りざおを手にして。
もう力なんて入らないのに。
- 129 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時43分42秒
- 「こ、これ以上いたら、後藤さんが倒れちゃいます!
おねがいします。船を戻してください!」
「そうだべさ、ごっちんの体がどうにかなってしまうべ。」
私と安倍さんは一緒に乗っていたマネージャーさんにお願い
しました。それで、マネージャーさんがスタッフの人たちと
相談しています。
- 130 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時44分56秒
- 『しょーがないなァ。船頭さん、イカあります?
編集で、後藤さんが釣れたことにするから、もういいよ。
じゃ、釣れたところの絵だけ撮るから。』
え?
それって‥‥。
- 131 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時45分55秒
- 「何、言ってんの?
ごとー達が釣らなきゃ意味がないでしょ。
そんなの、お守りが偽物になっちゃうじゃん。
ごとー、釣れるまで絶対帰んないから。」
私の隣で、あなたは微かな声でつぶやいて。
さっきまで虚ろだった目は、強い意志で血走っていました。
- 132 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時46分52秒
- どうしよう、どっちを優先したらいいの?
後藤さんの体調はもう限界。
一刻も早く港に戻ったほうがいいに決まってる。
でもそうしたらお守りが偽物になっちゃうよ。
「絶対、帰んない‥‥。」
頑な後藤さんの横顔を見つめて、私は覚悟を決めました。
私が後藤さんだったら、石川にはきっとこう言って欲しい
と思う‥‥。
- 133 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時47分52秒
「‥‥お願いします。釣れるまで帰らないでください。」
「石川、何言ってるんだべ。さっきと逆だべ。」
「帰れないんです、私たち。お守りのイカを釣るまでは!」
「何いってるんだべ、ごっちん真っ青だべ。」
「それは十分わかってます、でも‥‥‥!」
「梨華ちゃんの言うとおりだよ‥‥ごとーだいじょうぶだから。」
「ごっちん。負けず嫌いもたいがいにするっしょ。健康第一だべ。」
- 134 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時49分49秒
- 結局、私と後藤さんがその場を押し切って、
再び、揺れとの戦いが始まりました。
ザブンッ。
ギィーーーー。
ゴトンッ。
もう誰も話をする人はいませんでした。
釣れるまで帰らないと言ったからには、絶対釣り上げなきゃ‥‥。
隣の後藤さんの表情は蒼白。
おねがい、がんばって。
- 135 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時51分26秒
- 安倍さんと、後藤さんと、私。
竿を両手に、だまって海面を見つめ続けて、どのくらいの時が
経ったんでしょうか。
「!」
「どうしたんだべ、ごっちん!」
「何かごとーの竿にかかったみたい!」
「えっ。」
- 136 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時52分27秒
- 後藤さんが必死で竿を立ててリールを巻き上げると‥‥。
さっきとは違う、イカさんです!
竿で手が塞がってる後藤さんの代わりに私がそのイカをつかみ
ました。
「きゃ〜〜っ。手に噛み付いたっ」
「梨華ちゃん、大丈夫!?」
「イカが『イカ』ったんだべ!」
「かむって噛み付かれて。ちょっとビックリしたけど、でも
大丈夫です。」
- 137 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時53分18秒
- イカさんもびっくりしたのか、スミをいっぱい吐いていました。
種類を確認してもらうと、今度こそ、お守りにするイカみたいです!
やっと、やっと釣れました。がんばった甲斐がありました!
- 138 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時54分03秒
- 「‥‥よかったぁ、イカさんですよー。」
うれしくて思わず涙がでる私。
「これで、お守り、‥‥できるよ。梨華ちゃん。」
目が潤んでいるあなた。
「元気のいい、イカすイカだべ。くふふ。」
寒いギャグを駄目押しする安倍さん。
これで一安心、本当に良かったです!
後は、一刻も早く後藤さんを部屋に連れていって休ませなくちゃ。
- 139 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時55分22秒
- 船は港に向かいはじめました。
さっきまでは気にならなかった寒さが頬を貫きます。
私たちは体の芯まで冷えきっていたみたいです。
- 140 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時56分27秒
- 港につくと、釣りたてのイカさんをお守り用に乾燥してもらうこと
になりました。行きに電車で一緒になったおばさんたち(港で働い
ている)が、干してあげると言ってくださったのです。
- 141 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時57分32秒
- 私たちは大仕事を終えて、宿に戻りました。
「なんてことだべ、部屋の暖房きいてないべ。」
「きゃ、寒い!露天風呂に入って暖まってきましょうよ。」
「露天風呂、掃除中だって。」
「えっ」
「仕方ないべ。部屋のシャワー浴びるべ。
ごっちん、すぐに温まってくるといいっしょ。」
「ごとーまだ気分悪いから。横になってる。」
「でも海で体が冷えてますよ。温まったほうが‥‥。」
「横になりたいんだよぉ〜。」
「わかった、わかったべ。なっちもそんなに寒くないべさ。
石川から入っていいべさ。遠慮するんでないべさ。」
「で、でも‥‥.」
「石川、もたもたしちゃいけないべ。早く入るんだべ。ブルブル。」
「す、すみません。じゃお先に失礼します。」
- 142 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時58分20秒
- 冷えきった体に熱いお湯が滲みます。
けれど、私はそれどころじゃなくて。
後藤さん、大丈夫かな。
薬はもらって飲んでたけど‥‥。
やっぱりあの時すぐに戻ってくるべきだったかも‥‥。
どうしよう。
- 143 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)11時59分38秒
- 「お先に失礼しました。」
「はいよ。ごっちん、眠ってしまったべ。よっぽど疲れてたんだべ。」
「え?でもシャワー浴びないと、風邪ひいちゃいます。」
(ZZZ‥‥。)
「後藤さん、起きてください。シャワー浴びないと。
寒いし、潮風で体がベタベタですよ?」
(ZZZ‥‥。)
「無理だべ。地震がおきても、ごっちんは起きないべさ。
じき部屋もあったかくなるっしょ。寝かせといてあげるんだべ。」
- 144 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時00分26秒
まるで子どもみたいにぐっすり眠っちゃってる。
‥‥仕方ないですよね。
今日は本当に頑張ったんです。
あんなに悪い体調を、おして。
(ZZZ‥‥。)
- 145 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時01分52秒
眠ってしまったあなたの、潮で乱れた髪を撫でる。
本当にお疲れさま。
あなたが「釣れるまでは絶対帰らない」って言った時
石川は胸がきゅーってなりました。
‥‥‥‥‥。
あれ?涙が出てきちゃった。
- 146 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時03分22秒
ねえ、今、とてもキスがしたいよ。あなたに。
冷たい額に内緒のキスをして
あなたを抱きしめて私も眠る。
潮風の匂いのするあなた。
冷えきったその身体に、私の熱が伝わりますように‥‥。
- 147 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時05分54秒
「はー、シャワーであったまったべ。極楽、極楽。
なんだべ、石川も一緒に寝てるべ。しょうがないべさ。」
安倍さんが私たちに布団をかけてくれたこと
私は全然気が付きませんでした。
- 148 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時06分46秒
どのくらい眠ったのでしょう。
目が覚めると、目の前にあなたの頬がありました。
よかった、身体も温かいし、顔色も戻ってるみたい。
あ、目が覚めたかな?
- 149 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時07分54秒
- 「ん‥‥。ここ、どこ?」
(うふふ、寝ぼけてる?)
「あぁ‥‥ごとー寝ちゃったんだ。」
眠たそうに目をこすると、こちらを向いて。
「‥‥もう船の上じゃないんだね。(笑)」
私を確認すると、ホッとしたのか照れくさそうに笑って。
枕元のちいさなライトをつけて後藤さんの顔を見ると、
船での苦しそうな表情はすっかり無くなっていました。
気が付くと、時計は真夜中を指しています。
頭をくっつけてひそひそと話す私たち。
- 150 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時10分39秒
- 「イカ、釣れたんだよね?ごとー、夢かと思っちゃった。」
「ううん、安心してください、夢なんかじゃないですよ?」
「体、けっこー楽になったよ。もう8割ぐらい平気。」
「じゃあ、シャワー、浴びてきますか?
くすくすっ、後藤さん、潮風の匂いがしてます。」
「‥‥梨華ちゃんも潮風の匂いがするよ?」
私の首すじにそっと鼻を近付けて、くんくんと子犬のように
匂いを嗅ぐ後藤さん。
- 151 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時11分21秒
- 「えっ。」
「アハッ、匂い、移っちゃったみたいだね。
ねぇ、一緒に露天風呂入ってこよっか。」
「‥‥‥はい。(笑)」
「静かにね。夜中だから。」
- 152 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時12分34秒
- 真夜中の露天風呂は静かで私たちだけ。
お湯の流れる音だけが聞こえてきます。
私たちは洗い場で体を洗いました。
「ごとー、カラダ、ベタベタだよぉ。(笑)」
「石川もです。(笑)」
イカさんに噛まれた指、しみるから気を付けなきゃ。
噛まれた時はそんなに痛くなかったのに、だんだん痛みが出て
きちゃいました。
注意してシャンプーをしないと‥‥。
- 153 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時13分23秒
- 「イタッ。」
「そこ、イカに噛まれたところ?」
「へ、平気です。」
「みして。」
後藤さんは私の指を手にとると、唇を近付けて、傷口にそっと触れました。
もしかして、『おまじない』?
- 154 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時14分08秒
- 「髪、洗ったげるよ。」
「え、そんないいです。」
「ほらぁ、遠慮しないのー。(笑)」
私はおずおずとうつむいて、頭を後藤さんの方に向けると
その手に委ねました。
「じゃー、泡が入るとしみるから、目つぶっててよ。」
あっというまに私の髪はシャボンにつつまれて。
- 155 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時14分48秒
- まぶたを閉じてしまうと、あなたの指だけを身体に感じる。
強くて優しいリズム。
あなたの指の‥‥。
‥‥‥‥。
やだ、私ってば、こんな時に何を思い出してるんだろう。
すごく恥ずかしいよ。
- 156 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時16分04秒
- 「ねー、梨華ちゃん、ひょっとして今何か想像してる?」
「えっ」
「アハッ、梨華ちゃんって、エッチだなぁー。」
「ち、違います!石川そんなこと考えてません。」
「そんなことって?言ってみてよ。ねぇ‥‥。」
「言えません!」
もう、後藤さんったら。
石川、お風呂でのぼせてしまいそうです。
でも後藤さんは私の髪を丁寧に洗ってくれて。
しっかりトリートメントまでしてくれました。
- 157 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時18分21秒
今日の露天風呂は、月が出ていてちょっとだけ明るいです。
私たちは温かい湯舟につかりました。
「イカ、釣れて本当に良かったですね。」
「うん‥‥。ごとー酔っちゃってさ、どうなるかと思ったよぉ。
でも。」
「でも‥‥?」
「梨華ちゃんがさ、『釣れるまで帰らないでください』って言って
くれて、すごくうれしかった。」
「ごめんね?気分悪かったのに‥‥。」
「ううん。ごとーの気持ち、一番わかってくれてた。」
- 158 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時19分17秒
- 後藤さんの言葉がとてもうれしくて、思わず涙がこみあげてきました。
「あのとき、梨華ちゃんの『愛のチカラ』を感じたよぉ。
ごとーは。(笑)」
いたずらっぽくあなたは微笑んで。
耳元で『ありがとう』って囁くと、私を包むように優しくキスを
してくれた。
- 159 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時20分45秒
私はあなたにとって力不足な人間なんじゃないかって、ずっと思ってた。
いつも頼ってばかりで。いつも泣いてばかりで。
でも今日、そう言ってもらえて
ちょっとだけ自信がついた気がするの。
ねぇ、あなたに
私にしかできないことがあるとしたら、
それは、誰よりも強くあなたを想う事だと思うんです。
- 160 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時21分37秒
- 「後藤さん。」
「ん?」
「‥‥大好き。」
「えっ(テレ)」
「大好きです。」
「う‥‥梨華ちゃん、のぼせてるよぉ。(更にテレ)」
石川は、のぼせてなんか、いないですよーだ。
うふふ。
- 161 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時22分31秒
翌朝。
昨日港で 乾燥してもらったイカさんを、お守りにしました。
後藤さんのイカと、私のイカも。
(私のイカは本来お守りにするものではなかったのですが‥‥。)
御祓いをして、3人でしっかりお祈りしました。
安倍さんの釣った『ブリ』も 魚拓にしてもらって
一緒にプレゼントすることになりました。
イカのお守り、視聴者のかたに喜んでもらえるといいんですけど‥‥。
とにかくこれで、今回のお仕事は無事終了です。
後は東京に戻るだけになりました。
- 162 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時23分50秒
- 今、電車は発車のベルを待っています。
私たちはイカ釣りをしたとある町から、お仕事を終えて帰るところです。
4人掛けのイスに安倍さんと私、その向いに後藤さんがすわって。
「ひどいべさ。ゆうべなっちだけおいて露天風呂へ行ったっしょ。」
「だってなっち起きなかったから〜。」
う、実は起こしてないなんて言えないです‥‥。
ごめんなさい、安倍さん。
- 163 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時24分40秒
- 「でもイカが釣れてよかったですね!」
「ん、よかったべ。なっちはブリだったけど‥‥。」
「でもあんなに大きなブリ、石川初めて見ましたよ?」
「けどイカじゃないべさ。」
「あれは格闘だったよねー。5分間ずっとさぁ。」
「10分だったべ。」
「‥‥あぁ、そうだったっけ。」
「後藤さん!」
「え、あ?そぉそぉ、10分。あははー。」
「もういいべ。お守りは無事できたっしょ。」
よかった、安倍さん機嫌とりもどしてくれたみたい。
ふいに後藤さんが自分のバックをごそごそしはじめました。
- 164 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時25分18秒
- 「あー、梨華ちゃん、これ、あげるよ。」
「何ですか?」
「ちんちくりんの犬だべ。」
(だからアフロ犬ですってば〜安倍さん!)
「何時の間に?」
「ちょっとね、夜にね。」
「でも昨日の夜はお風呂以外、ずっと部屋をでてないハズ‥‥。」
「ひょっとして、おととい、なっちが電気消した後に行ったべか?」
「‥‥‥‥。」
- 165 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時25分57秒
- 「ごっちん、UFOキャッチャーにいくら使ったんだべ。
そんなのすぐにはとれないべさ。」
「だいじょーぶ、ごとー上手いから。あっという間。」
「うそだべ。下手っぴですって顔に書いてあるべ。」
「なっち‥‥。(怒)」
「まさか、それで寝不足になって気分悪くなったんじゃ‥‥。」
「図星だべ。」
後藤さんは窓の外を向いてしまいました。
どうしてそんな無茶なことしたの?
私のせいでそんな‥‥。
- 166 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時26分40秒
- 「まーまー。ごっちんがしたくてしたことだべ。
石川、自分を責めてはいけないべさ。
素直にありがとうって受け取っておくのがいいっしょ。」
「そーだよ。」
「そうだべさ。」
ごめんなさい。
‥‥ありがとう。きっと大切にするからね。
私がアフロ犬を抱きしめてお礼を言うと、
後藤さんは片目をウインクさせて、鼻を鳴らしました。
- 167 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時27分33秒
- 「ごっちん、いつもテレビじゃムスーとして可愛げがないけど
優しいところもあるんだべな。なっち見直したべ。」
「んぁ?(怒)」
「誤解されやすいタイプだべ。」
うふふ、本当は優しいんですよね。石川は知っていますよ?
- 168 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時28分47秒
- 「おっと。なっち駅弁買ってくるの忘れたべ。」
「え?」
「電車に乗ったら駅弁食べねばいけないのさぁ。」
「でも、もう発車ですよ!?」
プルルルルル〜。
- 169 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時29分24秒
- 「気づくのが今一歩遅かったべ。なっちなまらお腹減ったべさ。(泣)」
「あの、石川、アメさんだったら持ってます。食べます?」
「遠慮なくいただくべ。」
「ごとーもちょうだい。」
ゴトン。ゴトン。
ゆっくりと電車は動きだしました。
- 170 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時30分23秒
- 「あれ?なっち、あれって‥‥。」
後藤さんの声に電車の窓からホームを見てみると、行きの電車で
一緒になった地元のおばさんたち(お守りのイカさんも干してく
れた)が手を振ってくれていました。
窓を全開にして、私たちも力いっぱい手を振りました。
- 171 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時31分36秒
- 「ありがとさんだべーーーー!」
「ばーいばーい!」
「ありがとうございましたー!」
- 172 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月09日(日)12時32分38秒
- 温かい地元の人たちとのふれあい。厳しい釣りの思い出。
(安倍さんには内緒だけど、露天風呂の思い出も。うふっ。)
石川、またイカ釣りに来たくなっちゃいました。
また絶対来ましょうね!後藤さん、安倍さん。
今度は穏やかな波の、最高のイカ釣り日和に‥‥。
ガタタン、ゴトトン。
END
- 173 名前:七資産 投稿日:2001年09月09日(日)16時09分07秒
- 新スレなかなか更新されないと思ったらこっちで大量更新♪
マターリ具合となっちのギャグがよかったです(w
次もがむばってください!!
一応新スレの方にこっちに書いたことを知らせた方が良いのでは?
- 174 名前:名無しさん 投稿日:2001年09月10日(月)03時39分14秒
- >173さん、感想有難うございました。
安倍さんには申し訳ないことを‥‥。(汗)
御指摘のこと、まったく不親切で申し訳ありませんでした。
さっそく風版にもこちらにアップした旨、入れさせていただき
ました。次のものからは風版にアップしたいと思います。
Converted by dat2html.pl 1.0