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深い森

1 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月07日(金)13時06分29秒
短編ホラーです。
2 名前:深い森 投稿日:2001年09月07日(金)13時08分46秒
この森で 私たちはよく遊んだ

 「ゲームの時間よ」

2人だけの 鬼ごっこ

「お姉ちゃん、待って〜!」
「遅いぞーののー!!」
「お姉ちゃん・・・」

   『ニガサナイカラ』

そこでいつも 私は気付くんだ
3 名前:深い森 投稿日:2001年09月07日(金)13時12分19秒
それが妹ではないことに――――

私は必死に逃げた
すぐ後ろには 妹――いや、妹の姿をした異形の者

   『オネエチャン』

私は森の奥へと 進んでいく
そうだ 
あの時は私が鬼だった
ついムキになって 追いかけてるうちに
消えてしまった妹

「うわっっ!!」
4 名前:深い森 投稿日:2001年09月07日(金)13時14分11秒
私は足を滑らせ 湖の中に落ちた
そして そこで見た

ああ・・・
ここにいたんだね―――

湖の底に沈む 妹の姿を

ごめんよ
怖かったね 苦しかったね
一緒に帰ろう・・・
5 名前:深い森 投稿日:2001年09月07日(金)13時15分56秒
でも私は 岸に着くと
全てを忘れてしまうんだ

後ろで物音がした
振り向くと 妹がいた

ここは私たち2人だけの森

「お姉ちゃん」

   『ゲームノジカンヨ』

妹が私を許すまで―――
6 名前:深い森 投稿日:2001年09月07日(金)13時16分45秒


         ・深い森 END・


7 名前:MS 投稿日:2001年09月07日(金)13時18分05秒
出演

姉→飯田圭織

妹→辻希美

喋り方等、現実と違う部分が多々ありますが
フィクションということで、ご了承下さい。
8 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月07日(金)13時19分44秒
では、またいずれ会いましょう。


          MS・KK

9 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月10日(月)11時13分54秒
今回は、短編恋愛ものです。
10 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月10日(月)11時15分14秒
相手が無口だと困る

そういうのには慣れていない

怒ってるの?
―――・・・とか疑う

心配になって話し掛けてみる

「――・・・」
11 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月10日(月)11時17分14秒
それで返事がかえってこなければ

少し間をあけて

遠くを歩く

この距離はまるで
今の心の距離を
表しているようだ

そんなことを考えてたら
次の瞬間
あの人は

振り向いた

あたしの心なんて全く気付いていない

いつも通りのフツーの態度

「遅いぞ」
12 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月10日(月)11時18分53秒
「ご ごめん」

こっちはなんかぎこちないのにさ

「いちーちゃん、なんか怒ってない?」

――って聞いたら

「は?なんで?」

――って返ってきた

無口は困る

「・・・別に」
「変な奴」

あたしと違いすぎて
よくわからない

13 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月10日(月)11時19分29秒
でも近くに来ると
心が近付いた感じがして

ちょっぴりホッとできるんだ
14 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月10日(月)11時20分25秒


     ・短編恋愛小説 END・

15 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月10日(月)11時20分59秒
出演

後藤真希

市井紗耶香
16 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月10日(月)11時21分45秒
それでは、また―――
17 名前:名無し読者 投稿日:2001年09月10日(月)14時46分55秒
なんか萌えました(w
18 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月14日(金)15時16分42秒
元ネタありの、ホラー短編です。
19 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時23分09秒

「時に、面白いビデオがあるので御覧に入れよう。」

市井氏にそう言われて、吉澤はにわかに船酔いでも発したような
気分に襲われた。
『面白いビデオ』と言えば、普通はあの方面のものに決まっているが
吉澤と市井氏の関係は、そんなものを肩を並べて見るような仲ではない。
本当なら、刃傷沙汰に及んでも不思議はないほどの、仇敵同士なのである。
何しろ吉澤は、古風な言い方をすれば市井氏の若い愛人と密通し
それを不注意から市井氏に知られて、そのことでここに呼ばれて来ているのである。
20 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時26分47秒
「せっかくですが、今はその気になれません。
どんな珍しいポルノかSMか知りませんが、肝心の話の方は
まだ決着がついていません。あたしはあたしなりに責任を
取らせていただきたいと思いますし、とにかく、真希にも
ここに来てもらって、結論を出したいんです。」

「再三申し上げたように、話し合って決着をつけなければならないような
問題は何も無いし、大体君に責任が取れるとも思えない。
私が何桁かの金額を要求したら、君はそれを払うのかね。
君にできることは、ほとんどない。」
21 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時30分25秒
「ではなぜあたしをここに呼んだんですか。」
「だから、ビデオはそのことと大いに関係があるんですよ。
ただ、これはご期待に反してポルノではないしSMものでもない。
まあどちらかと言えばSMの方に近くはあるが。
それはともかく、真希のことも、これを見れば、ここに呼ぶまでもなく
おのずと結論は明らかになるというわけですよ。」
「そんなにおっしゃるなら、見るだけは見ましょう。」
と、吉澤は観念して言った。

「趣味の問題だから、お気に召すかどうかわからないが
そんじょそこらで見られるものではない。特に君にとっては
興味深いと思う。ところで、『アラビアン・ナイト』には
お詳しいかな。」
22 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時31分52秒
市井氏は急に妙な事を言い出した。
吉澤が首を振ると、市井氏もうなずいて

「それでは簡単に説明しておこう。」

と言って、吉澤にコニャックを注ぎ、自分にも注いで
ゆったりした調子で次のような話を紹介した。
23 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時35分49秒
それは『アラビアン・ナイト』の第12夜と13夜の
ある遊行僧の話である。
この僧は片目を失っているが、なぜそんなことになったかを
説明するために身の上話をする。
この男はある国の王子に生まれたが、インド王のもとに赴く途中で
アラブ人の山賊に襲われ、身ぐるみ剥がれてしまう。
その後きこりをしている時に、オアシスの大樹のそばの秘密の入り口を
見つけ、そこからはいっていくと、立派な御殿があって
目を見張るような麗人がいた。
実はこれは、ある王の娘をイフリートがさらって囲ってあるもので
イフリートは10日に一度かよってくるというのだった。
24 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時39分15秒
「私の場合は週に一度ですがね。」
「そのイフリートって何です。」
「ああ、これはジン族の中のもっとも凶悪なもので
魔人というか魔鬼というか、恐るべき超能力をもった魔物です。
大体このジンというのが、神の創造物の中で、天使は光、人間は粘土から
創られたのに、火から創られたという代物でね。
本来善悪2種類あるが、アッラーに反逆する悪い奴をサタンというわけだ。」

市井氏はもったいぶった口調で説明した。

「それで、どうなるんですか。」
25 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時44分57秒
「これは失礼。まだ12夜の話が終わっていなかった。
で、このイフリートに囲われている女は若い男を誘い込んで
風呂に入れ、ご馳走をして、その夜は自分の体もご馳走するわけですな。
こうして歓を尽くしたのち、女が言うには、イフリートは10日に
一度しか来ないのだから、あとの9日はあなたが自由にすることができる、と。
にもかかわらず、男は馬鹿な奴で、強がって、そこに触れると
イフリートが現れるという壁岩をわざと蹴りつけてみせる。
たちまちイフリートが登場する。男は危うくこの場を逃れる。
ここからがいよいよ13夜の話になる。ビデオはこの場面を描いたものです。
イフリートは怒り狂って女を素裸にして4本の杭に手足を縛り付け拷問にかける。」
26 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時51分05秒
「女は白状しないが、そこには男が残していった斧と靴があった。
で、イフリートは簡単に男を突き止めて女の前に引き据える。
2人はお互いに知らないと言ってしらを切るので、それなら自分で
相手をころしてみろというと、2人ともそれはできない。
そこでイフリートは剣を掴むと女の片手を切り落とす。
次にもう一方も切り落とし、ついに足も切り落とす。
男は恐怖に声も出ず、ただ目を見開いているだけです。
女はなおも末期の目で男に合図して別れを告げようとする。
イフリートはそれを見て、お前はまだ目でいちゃついてるのかとわめくや
剣をふるって一撃を加えたので、女の首は飛んでしまう。」

27 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時51分40秒
「以上の場面がビデオにとってあるが、なお『アラビアン・ナイト』では
このあと男はさんざん許しを乞うが、結局イフリートによって猿にされる。
それからまたいろんなことがあって、男は元の姿に戻ることができる。
その際片目を失う。まあそういう話です。とにかく見ていただくことにしよう。」
28 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時54分34秒
吉澤が市井氏に囲われている女を深い仲になったのは
これまた古風な言い方をするなら、偶然その裸を垣間見たのがきっかけだった。

女が住んでいるこの家は、広壮な屋敷と屋敷の間の信じがたいほど
長い私道をはいった奥に、高いケヤキに囲まれて建っている英国風の洋館で
吉澤がたまたまここを訪れたのはある金融機関のアンケート調査のバイトで
多額の預金をもっているこの家の住人に会うためだった。
29 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)15時57分39秒
チャイムを鳴らしても人のでてくる気配がないので
洋館のまわりを一周しようとすると、浴室から裸で出て来た女の姿が
ブラインドを通して見えた。
それが吉澤の頭を狂わせたのである。

しばらくしてもう一度チャイムを鳴らした。
今度は応接間に通されて、さて向かい合ってみると
市井氏の『アラビアン・ナイト』の話ではないが、目の醒めるような麗人で
その最初に発した言葉が

「さっき見てたのね。」

であった。
30 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時01分11秒
そしてそこから先は市井氏の話に酷似したことが起こった。
吉澤を誘い込んだのは女の方である。

どうしてこんな風に事が運ぶのか、吉澤としては狐につままれた気分で
この現実離れした僥倖に酔って、若い獣同士で戯れて長い午後を過ごした。

その時の女の話の中には、自分をここに閉じ込めている市井氏は
週一回の契約なので、その他の日は吉澤が、もしそれを望むなら
自分を自由にすることができる、ということも確かにでてきた。
31 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時04分33秒
ただし、契約では、市井氏が来ない日も女はそういう「裏切り」を
してはならないことになっていて、そのために破格の契約金も貰っている。
だから本当は契約違反になるし、市井氏は恐ろしい人物だと思うけれど
金で自分を自由にしている市井氏を自分は少しも愛してないので
裏切る事を何とも思わない。
それに市井氏はあと二週間は商売で中東を回っているはずだから
それまでは何をしても恐ろしいことはない。

そういううまい話で、吉澤は有頂天になった。
32 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時06分01秒
ところがなぜか予定を変更して帰国したと見えて
市井氏はいつもの通りに土曜日に現れたのである。
吉澤は辛うじて窓から逃げたが、それから2日後には
市井氏にすべてを洗い出されて、吉澤はここに呼ばれる羽目となった。
33 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時06分41秒


    ―――――――――――


34 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時12分03秒
画面に映し出されたのは、暗い穴蔵のようなところである。
次第に明るくなると、裸で杭のようなものに縛られている女が
浮かび上がってきた。
さらにその顔が大写しになってくると、それは疑いようもなく
あの真希という女の顔であった。
恐怖に怯えているという風でもなく、妙に無表情なのがかえって
凄みを感じさせる。それともこれはある種の遊びだろうか。
市井氏と真希にはそういう趣味があるのかもしれない。
吉澤は努めてそんな可能性を信じるころにした。

「これには声は入れてない。」
と横で市井氏が口をはさんだ。
35 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時13分29秒
「うまい具合に台詞を言わせるわけにはいきませんからな。
しかしやりとりの内容は『アラビアン・ナイト』のあの場面と
大体同じです。ほら、なにやら言ってるが、要するにあの可愛い顔で
しらを切っているところだ。」

時々黒々とした人物が画面を横切るが、それは不吉を闇で集めて
固めたような人物で、こちらには終始背中しか見せない。

「あれがイフリートですよ。」
とまた市井氏が説明を加える。
36 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時14分34秒
その人物は日本刀らしいものをもっている。
吉澤は次第に口の中が乾き、体は金縛りに遭ったような具合に
硬直して、目だけは画面に向かって飛び出しそうだった。


37 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時19分04秒
すべては市井氏の話した『アラビアン・ナイト』の通りに進行した。

最初に左手首が切り落とされた時に吉澤の感覚はいわば破裂して
あとは麻痺したも同然になった。
話なら両手首、両足首を切り落としても出血を見ることはないが
画面ではそれが見えるのである。

画面は吹き出す血に汚れ、酸鼻の極となる。
怪人物は刀を取り替えると最後の仕上げにかかった。
女の顔はまだ生きていて、それがこちらに向かって目で合図を
送ってきたかどうかは定かではない。実際問題として、この時にはすでに
意識はなかってであろうが、吉澤の目には『アラビアン・ナイト』の麗人と
同じく、この女も末期の目で物を言いかけてきたように思われた。
38 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時20分26秒
刀が一閃した。

しかしここは筋書き通りには運ばず、首は飛ばなかった。
二度、三度と刀が振り下ろされるのを見ながら
吉澤は気が遠くなった。
39 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時21分08秒


    ――――――――――


40 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時24分51秒
吉澤は道路で倒れているのを郵便配達員に発見されて
病院に収容された。心身に異常をきたしていた。
しばらくは失語症的になり、自分の見聞したことを
順序立てて説明することなど、不可能な状態にあった。
1ヵ月ほどして、恐ろしいビデオを見たこと、さらにそのあとで
市井氏が戸棚の中から女の生首を取り出したのを見たことなどを
医師と捜査官に話したが、要領を得ないし、該当する家も人物も発見されなかった。

そのうちに心身の『身』の方に明らかな異常が現れてきた。
41 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時27分49秒
全身の毛が黒く硬くなり、やがて長くなり、両眉は連続し
顔付きがネアンデルタール人からさらに猿人に似てくるように思われた。
そのうちに背中にまで黒々とした毛が密集してきた。

『アラビアン・ナイト』では猿にされた遊行僧は、さる国の王女の奮迅の
活躍でイフリートの魔法から解放されて人間に戻る事ができるが
吉澤はますます猿に似てくる体と頭脳を今は精神病院で管理される身となっている。
42 名前:イフリートの復讐 投稿日:2001年09月14日(金)16時28分25秒


    ・イフリートの復讐 END・

43 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月14日(金)16時30分32秒
>>17
 レスありがとうございます。
 いちごま小説は、萌えますね(笑)

44 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月14日(金)16時31分18秒
では、また・・・。
45 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月14日(金)16時32分15秒
出演

吉澤ひとみ
市井紗耶香
後藤真希



46 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時05分03秒
短編恋愛ものです。
47 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時06分46秒


   『待つ』という行為にはその人の許容量や
   人間性を内包しているそうだ。


 
48 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時09分45秒
「・・・ここでいいんだよね。
 1番高い木の下のベンチ。
 なっちはまだ・・・か。

 寝て待つか。」

なっちに、食事に誘われたのは昨日のこと。

「ごっちん、うちにご飯食べにおいでよ。
 なっちの料理の腕を見て見て(w」
49 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時11分48秒
「料理が出来たら迎えに行くから
 家の公園のベンチで待っててね。」
「・・・料理するとこ、見てたらダメなの?」
「何作るかわかっちゃうっしょ?ねっ!
 あ、公園の1番高い木の下のベンチで
 待っててね!!」
50 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時14分00秒
そう言われて部屋を出たのが、昼頃。

「・・・来ない。」

空は赤く染まり、烏が飛んでる。

「あっ、もしかして、待ち合わせ場所違うのかも?!」
ありがちじゃん。
・・・でも、公園なんだし、間違えようないよね。

「もう、夕方じゃん。」
51 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時15分51秒
「まさか・・・途中で事故ったり・・・。」

あたしの頭を、よからぬ想像がよぎる。

「違う、なっちの事だ
 試食しててあたしが待ってること
 忘れてしまって・・・。」
あたしは心配なんて、してやらないんだから!!

「もう・・・あいつ。」

52 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時16分39秒
本当は分かってる

来ないからって怒るのは無意味だ

怒るくらいなら帰ればいい

それだけの話なんだ

53 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時18分54秒
「だからといって、このままいるってわけにも
 いかないし・・・。」

いつか、映画でみた光景を思い出す。

「表が出たら『帰る』、裏なら『待つ』」
あたしは10円玉を投げた。
手のひらの10円玉は・・・

「・・・。」

54 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時20分23秒
「10円玉の表と裏って、どっちだろ・・・?」

帰ったっていい。

もう充分待った。

それでも待つのは

「・・・。」

ここにあの人が来た時の、その―――

「ごめん!」

55 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時22分58秒
「待たせちゃった。」

なっち・・・。
照れくさそうに、笑ってる。
あ〜あ、息切れてるじゃん。

「なっちね・・・遅いんだよぉ!!」
「暗くなったら、公園までの道わかんなくってさぁ。」

・・・方向音痴?

56 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時24分40秒
「―――あたしが帰ってると
 思わなかったの?」
「だって、待ってたっしょ。
 なら、いいじゃないの、それで。」

まったく・・・

「ずるい女だなぁ、なっちは。」

あたしは呆れた風に、笑う。
風がなっちの髪をなびかせて、とても綺麗。
57 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時26分20秒
「ごっちんは、約束だから待ってたの?
 それとも
 待ちたくて待ってた?」

まったく、ずるい奴だ。

なっちの唇が、あたしのそれに重なる。

「別に・・・なっちと約束はしてないよ。」


58 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時27分47秒
「じゃ、なっちが来るって信じてたんだ?」

その、笑顔が見たくて―――

なんて、絶対に言わないんだから。

とりあえず、なっちをぎゅっと抱きしめる。


59 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時28分51秒
「はやく、ご飯食べさせてよぉ!
 おなか空いた〜!!」
「うん、帰ろう!」

何かと自分に言い訳しながらも
あたしはきっと、また
いつまでも待ってしまうのだろう。

60 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時30分06秒


   ・短編恋愛小説 END・

61 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時31分24秒
出演 

安倍なつみ
後藤真希

62 名前:MS・KK 投稿日:2001年09月22日(土)13時32分10秒
それでは、また・・・

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