LOVE涙色

 

――――安倍「もう男なんて信じないと思ってた―」―――――
国民的グループ、モーニング娘。のメンバーである安倍なつみ。
彼女は暴漢に襲われて以来、暗い日々を送っていた。
しかし、そんな彼女にも転機が訪れた。
ある雨の日の夜。
なつみは急な雨に驚き、走っていた。
やがて一つの建物に入るとそのまま雨宿りを始めた。
雨は一向に止む気配はない。
なつみ「どうしよう・・・このままじゃ帰れないよぉ・・・」
なつみがこう呟くと一人の男がなつみに近寄ってきた。
そして男はなつみに傘を差し出すとこう言った。
男「これ・・・やるよ・・・」
なつみ「でも・・・あなたはどうするの?」
男「平気だよ・・・これくらい走って帰れるよ」
なつみ「ありがとう・・・」
男「娘。は大切にしないと・・・モーヲタとして当たり前だよ」
男はこう言うとなつみに別れを告げて、走り去っていった。
なつみ「あの・・・あなたお名前は・・・」
なつみはこう言ったが男の姿は既になかった。
そしてなつみは傘を差すと自宅マンションへと歩いていった。

翌朝。
なつみは目を覚ますとカーテンを開け、外の様子を見てみた。
外はまだ雨が降っていた。
なつみ「今日も雨なの・・・?」
なつみがこう呟くと電話が鳴った。
するとなつみは受話器を取った。
電話の相手は真希であった。
真希「もしもし、なっち?」
なつみ「真希ちゃん・・・」
真希「今からスタジオに来れる?」
なつみ「今仕度してるとこ」
真希「じゃあ来れるの?」
なつみ「うん・・・」
真希「わかった、じゃあ待ってるから」
なつみ「じゃあ、あとでね」
なつみはこう言うと受話器を置いた。
そして部屋を出るとみんなのいるスタジオへと歩いていった。

しばらくするとなつみはスタジオに到着した。
なつみは傘を閉じると中に入った。
ひとみ「おはよう、今日も早いのね」
吉澤ひとみはなつみに話し掛けた。
なつみ「うん・・・」
ひとみ「みんな待ってるから早く行こう」
なつみ「そうね・・・」
なつみは言った。
すると二人でみんなのいる所へと歩いていった。


梨華「ああ、安倍さん・・・おはようございます」
陽気なアニメ声で梨華がなつみに話し掛けてきた。
なつみ「梨華・・・おはよう・・・」
梨華「どうしたんですか?安倍さん・・・元気ないようですけど」
なつみ「ううん、大丈夫よ」
なつみは言った。
するとそこにサブリーダーである保田圭がなつみにこう言った。
圭「なっち、ちょっといいかな?話があるけど」
なつみ「うん・・・」
圭「じゃあ、ちょっとついてきて」
圭は言った。
すると二人でとある場所へと向かった。

二人は自動販売機の前にいた。
圭は缶コーヒーを飲みながらなつみに言った。
圭「他のメンバーから聞いたけど、なっちはこの前助けられたんだって?」
なつみ「うん・・・あたしが雨宿りしてる時に傘を差し出してくれたの」
圭「そうなの?」
なつみ「うん、でも・・・」
圭「何よ?」
なつみ「あたしが名前を聞こうとしたときにはいなかったの」
圭「名前も告げずに走って帰ったって事ね」
なつみ「うん・・・」
圭「じゃあ、この傘は返したほうがいいね」
なつみ「そうします・・・」
なつみは言った。

その日の夜。
なつみは仕事を終えると傘を返しに行く事にした。
しばらく歩いていると見覚えのある建物に到着した。
ここはなつみと男が初めて出会った場所である。
なつみはここで男を待つ事にした。
しばらくするとやはり男が歩いてきた。
なつみ「あの・・・」
なつみは思い切って男に話し掛けた。
男「ああ、あの時の・・・」
なつみ「これ・・・ありがとうございました・・・」
なつみはこう言うと傘を男に差し出した。
男「いいんだよ、お前が助かったら」
なつみ「あの・・・あなたお名前は?」
慎吾「俺は香取慎吾と言うけど・・・お前は?」
なつみ「安倍なつみです・・・」
慎吾「じゃあ、なっちでいいかな?」
なつみ「うん、よろしくね・・・慎吾君・・・」
慎吾「これから俺の部屋に来るか?」
なつみ「はい、行きます」
慎吾「よし、じゃあついてきて」
なつみ「わかりました」
なつみは言った。
そして二人一緒に慎吾の自宅マンションへと歩いていった。

そしてここは、慎吾の自宅マンションの中。
なつみはこの中にいた。
慎吾の部屋の中は至る所『モーニング娘。』で埋め尽くされている。壁にはポスターが隙間なく貼られていた。
本棚には『娘。』関連の雑誌や写真集が置かれていた。
それを見てなつみは言った。
なつみ「あたし達の事好きなんですか?」
すると台所の方から慎吾の声が聞こえてきた。
慎吾「メジャーデビューした頃から好きだよ」
なつみは見たい、と思ったが我慢して手をテーブルの上に置いた。
しばらくすると慎吾が台所から出て来た。
慎吾「ほら、砂糖は入ってないけど・・・」
慎吾はこう言うとコーヒーカップを置いてなつみに渡した。
なつみ「ありがとう・・・」
なつみはこう言うとコーヒーを飲み始めた。
慎吾「なっち、あの時雨の中一人でいたけど何かあったのか?」
慎吾は突然なつみに話し掛けた。
するとなつみは今までに起きた出来事を全部話した。

慎吾「そうか・・・今までこんな事が・・・」
なつみの話を聞いていた慎吾はこう言った。
なつみ「あの日以来、男の人が嫌いになってたの・・・酒に逃げた事もあったわ」
慎吾「そうか・・・でも大丈夫、俺がなっちの事を治してあげる」
なつみ「ありがとう・・・」
なつみは涙声で言った。
すると慎吾はなつみにこう言った。
慎吾「今日はもう時間も遅い事だから泊まっていけよ」
なつみ「いいんですか?」
慎吾「うん・・・でも俺は布団でいいから、なっちはベッドで寝ろよ」
なつみ「わかりました」
なつみは言った。
こうしてなつみはベッドに入って寝る事にした。

なつみの携帯電話が鳴ったのは深夜2時半の事である。
なつみはその音で目が覚めた。
するとなつみは電話を取り、通話ボタンを押した。
その電話の相手はプロデューサーのつんくであった。
なつみ「もしもし」
つんく「安倍か?今から緊急出勤である」
なつみ「何かあったんですか?」
つんく「詳しい事は後で話す」
なつみ「わかりました」
なつみはこう言うと電話を切るために通話ボタンを再度押した。
そして書き置きを残すと慎吾の部屋を出て、タクシーに乗り込んだ。

タクシーはスタジオに到着した。
なつみはタクシーから降りると早速中に入っていった。
中にはメンバー達が全員集合していたのである。
そこで、なつみは真希に話し掛けた。
なつみ「どうしたんですか?」
真希「分からない・・・あたしも寝てる最中に起こされたの」
二人が話しているとつんくが中に入っていった。
するとつんくはメンバー達にこう言った。
つんく「今、みんなを呼んだのは他でもない・・・」
なつみ「なんですか?」
つんく「娘。達全員で花畑牧場に行く事になったのだ。」
真希「えっ?」
真希は驚いた声で言った。

なつみは何か訳が判らないままロケバスに乗り込むと窓際の座席に座った。
しばらくするとバスは花畑牧場に向かって走り出した。
するとなつみは真希に話し掛けた。
なつみ「一体何しに行くんだろうね」
真希「分からない」
なつみ「もしかするとあたし達に牧場の仕事をさせるのかな?」
真希「うーん、それはないと思うよ・・・」
真希は言った。

しばらくするとバスは北海道の花畑牧場に到着した。
メンバー達はバスから次々と降りていった。
すると田中義剛氏が現れた。
田中「皆さんよく来てくれましたね」
田中は言った。
すると、つんくは言った。
つんく「今日はいったいどういったご用で?」
田中「この程行われるカウントダウンライブの件なんですけど」
つんく「この話なら前にもお伺いしたのですが」
つんくと田中の話はしばらく続いた。
するとメンバー達の所につんくがやってきてこう言った。
つんく「今度のカウントダウンライブはハロプロメンバー総出演という形になりました」
真里「全員…ですか?」
つんく「それも元メンバーも含めます」
つんくは思い切ってメンバー達に言った。

りんね「あっ、みんな来てたんですか」
りんねはメンバー達にこう言った。
圭織「これから1週間ぐらいお世話になるよ」
りんね「ほんと?うれしいよ」
りんねは言った。
するとそこにあさみがやってきた。
あさみ「梨華ちゃん、久しぶりだね」
梨華「あさみちゃん・・・」
あさみ「1週間後にライブするからその時はよろしくね」
梨華「うん、また一緒に頑張ろうね」
梨華は言った。
すると田中はメンバー達にこう言った。
田中「さあ、長旅で疲れたと思うだろうから今日の所はお休みください」
真希「はい」
田中「牧場を出てすぐそこに宿舎を設けてありますので」
田中は言った。
するとメンバー達はすぐに牧場を出て宿舎へと向かった。

ここは、牧場近くにある宿舎の前。
娘。達はここに来ていた。
娘。達の部屋は2階の左端の部屋である。
ドアには『モーニング娘。様』と書かれた紙が貼られていた。
梨華「中は結構いい部屋だね」
ドアを開けて部屋の中に入った梨華はこう言った。
ひとみ「今日はすぐ休んだほうがいいよ」
梨華「あっ・・・そうでしたね」
梨華はこう言うと布団を敷き始めた。
ひとみ「それにしても他のみんなは?」
梨華「何でも中澤さんに会いに行くって言ってたの」
梨華は言った。

娘。達は宿舎1階の左端にある中澤裕子の部屋に来ていた。
真里「また裕ちゃんと共演できるんだね」
裕子「そうよ」
希美「中澤さんも夜中に呼ばれたのれすか?」
裕子「・・・・・・」
裕子は少し頷いた。
なつみ「じゃあ、あたし達はそろそろ行かなきゃ」
なつみはこう言って裕子の部屋を後にした。
裕子「わかった、これから1週間頑張ってな」
裕子は言った。

ライブに向けての練習はこの日の夕方から開始された。
帯広市内にあるスタジオでは、娘。達が全員集まり、練習をしている。
最年少のメンバーもいるとの事で練習は午後9時には終わるようにしている。
講師達の指導は相変わらず厳しく、動きなど何度も指摘されていた。
そして午後9時、一日の練習は終了した。
娘。達はバスに乗り込み、宿舎へと向かった。
バスの中では、娘。達が雑談をしていた。
そこで真希は圭織に話し掛けた。
真希「圭織・・・」
圭織「はい?」
真希「早く31日にならないかな?」
圭織「楽しみ?」
真希「うん・・・」
圭織「大丈夫よ、まだ時間はたっぷりあるから」
圭織は言った。

しばらくするとバスは宿舎の前に到着した。
娘。達がバスから降りると4人の女性達と出会った。
その女性達とはメロン記念日である。
めぐみ「あたし達の部屋はどこなの?」
めぐみは圭織にこう話し掛けた。
圭織「あたし達の隣の部屋よ」
あゆみ「2階なんですか?」
圭織「そうよ」
圭織はこう言うとめぐみ達を2階の部屋に案内した。


左から2番目の部屋のドアには『メロン記念日様』の貼り紙が貼られていた。
めぐみはそのドアを開けると圭織にこう言った。
めぐみ「案内してくれてありがとう」
圭織「いいのよ、これくらいは」
めぐみ「じゃあ、また明日ね」
めぐみはこう言うと部屋のドアを閉めた。

しばらくすると、娘。達の部屋につんくがやってきた。
つんく「ライブのプログラムが出来たのでお渡しします」
つんくはこう言うとプログラムを娘。達に手渡した。
プログラムは以下のようになっていた。

1.Mr.moonlight〜愛のビッグバンド〜 (モーニング娘。)
2.ザ☆ピ〜ス!(モーニング娘。)
3.Don't stop恋愛中(T&Cボンバー)
4.プロポーズ (平家みちよ)
5.王子様と雪の夜 (タンポポ)
6.ミニモニ。テレフォン!リンリンリン (ミニモニ。)
7.溢れちゃう…BE IN LOVE (後藤真希)
8.This is 運命 (メロン記念日)
9.100回のKISS (松浦亜弥)
10.愛は無敵〜20歳の約束〜 (シェキドル)
11.恋人は心の応援団 (カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。))
12.二人暮し (中澤裕子)
13.ぴったりしたいX'mas (プッチモニ)
14.情熱行き未来船 (ココナッツ娘。)
15.抱いてHOLD ON ME! (モーニング娘。)

〜カウントダウン〜
16.恋愛レボリューション21 (モーニング娘。)
17.恋のダンスサイト (全員)
18.I WISH (モーニング娘。)
19.Say yeah!〜もっとミラクルナイト〜 (モーニング娘。)
20.LOVEマシーン (全員)

真希「こんな曲目では盛り上がりますね」
真希はプログラムを見てこう言った。

 〜ライブ開催まであと6日〜

真希「いい?愛をください〜の場面は気持ち良く声を出してね」
麻琴「はい」
圭「それから間奏の台詞の部分だけど」
ひとみ「うんうん」
圭「役になりきって言ったほうがいいのよ」
娘。達はお互いに曲の振り付けに付いて教え合っていた。
圭織「ほら、辻!少しずれてるわよ!」
リーダーも指導に余念がない。凄く怒声が飛んでいるのだ。

しかし、練習中にハプニングが発生した。
それは“恋愛レボリューション21”の練習中での出来事だった。
・・・よろっ
紺野あさ美はバランスを崩し、転倒した。
他のメンバー達は心配そうに「大丈夫?」と声を掛ける。
あさ美「あっ・・・大丈夫ですよ・・・」
あさ美は言った。
真里「でも、大事を取って医務室に行かなきゃね」
あさ美「わかりました」
あさ美はこう言うと真里と一緒に医務室に向かった。

あさ美の怪我はたいした事はなく、ただの捻挫であった。
医務室で簡単な治療をすると二人でまたスタジオに戻っていった。
この日もレッスンは全て終了した。
娘。達は宿舎に帰るためにバスに乗り込んだ。

 〜ライブまであと5日〜

この日のレッスンはあさ美の怪我の状態を気遣って休みとなった。
他の娘。達は市内を観光をしていたのだが、なつみだけは違った。
あさ美の事をずっと看病していた。
そこで、なつみはあさ美に話し掛けた。
なつみ「大丈夫?」
あさ美「もうだいぶ良くなったよ」
なつみ「怪我・・・早く直るといいね」
あさ美「うん・・・でもいいんですか?」
なつみ「何が?」
あさ美「みんなと一緒に観光しなくても」
なつみ「大丈夫、みんなには断っておいたから」
なつみは言った。
すると、部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。

なつみ「誰なんだろう・・・?」
なつみはこう言うとドアを開けた。
すると、ドアの前には『シェキドル』の3人が立っていたのである。
真己「あの・・・」
真己はなつみに話し掛けた。
なつみ「何か?」
真己「あたし達の部屋は?」
なつみ「この部屋から3番目なの」
真己「わかった」
真己は言った。
すると、紗紀は真己に話し掛けた。
紗紀「そういえば、こんな大型イベント初めてじゃない?」
真己「うん・・・」
紗紀「緊張しないようにね」
紗紀は言った。

その夜。
なつみの携帯電話が突然鳴り出した。
なつみは電話を取ると通話ボタンを押した。
その電話の相手は慎吾だった。
なつみ「もしもし」
慎吾「なっち?北海道はどうだ?」
なつみ「とてもいいよ」
慎吾「そうか・・・」
なつみ「そうだ、慎吾君も31日にあたし達を見に来たら?」
慎吾「えっ?いいのか?」
なつみ「うん・・・」
慎吾「わかった、必ず来るからなっちもがんばるんだよ」
なつみ「うん、ありがと・・・」
なつみはこう言うと再び通話ボタンを押した。
するとそこにあさ美が話し掛けてきた。
あさ美「電話、誰だったんですか?」
なつみ「友達からだよ」
あさ美「友達・・・ですか?」
なつみ「うん、あたしがデビューしてからずっと応援してくれてる」
なつみは言った。

しばらくするとまた部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。
なつみ「今度は誰かな・・・?」
なつみはこう言うとドアを開けた。
ドアの前には一人の男性が立っていた。
その男性とはシャ乱Qのまことである。
まことはなつみ達にこう話し掛けた。
まこと「今度のライブはまた私が総合司会をする事になったよ」
なつみ「まことさんもここに呼ばれたんですか?」
まこと「その通り」
なつみ「けど部屋はどうするの?」
まこと「帯広に宿を取ってあるから大丈夫だよ」
なつみ「わかった・・・でも立ち話もなんだから中に入って」
なつみはそう言うとまことを中に入れた。

同じ頃、ここは帯広市街。
娘。達は観光を終えて帰ろうとする途中だった。
そこで圭は小川麻琴に話し掛けた。
圭「麻琴、ちょっと・・・」
麻琴「?」
圭「なっち達にお土産でも買って行こうか?」
麻琴「いいね」
圭「よし、決まり」
圭はこう言うと近くのファーストフードショップに入っていった。


しばらくすると圭はファーストフードショップから出てきた。
真希「圭ちゃん、何買ったの?」
真希は圭に話し掛けてみた。
圭「ケンタッキーだよ」
真希「鶏肉ですか?」
圭「まあ、そう言うかも」
真希「もうそろそろ帰らないと、今日はまことさんが来るって言ってたし」
圭「そうだね」
圭は言った。

しばらくすると、圭達は宿舎に到着した。
圭は自分の部屋の前に行くと中からなつみの笑い声が聞こえて来た。
圭「まことさん、もう来てるみたいよ」
真希「ほんと?」
圭「だって、なっちの声が聞こえてるのに」
圭はそう言うとドアを開けた。
真希「ただいま」
なつみ「みんな、おかえり・・・」
圭「なっち、お土産だよ」
圭はそう言うと袋を差し出した。
なつみ「ありがとう」
圭「中身はなっちの好きな物よ」
なつみ「ほんと?」
なつみはそう言うと袋を開けた。
すると中からいい匂いが漂ってきた。
なつみ「これってケンタッキーじゃない・・・よくあたしの好きなのがわかったね」
なつみは言った。

しばらくすると、娘。達の話し合いは始まった。
そこで圭はなつみに話し掛けた。
圭「なっち・・・」
なつみ「ん〜?なあに?」
圭「今日は、あさ美の事最後まで見てたね」
なつみ「そのおかげですっかりよくなったよ」
圭「じゃあ明日からいっぱいレッスン出来るね」
なつみ「うん・・・でも遅れを取り戻さなくては」
圭「そうよ」
圭は言った。

 〜ライブまであと5日〜

娘。達がスタジオに着くと何やら騒々しかった。
なつみ「あの・・・何かあったんですか?」
なつみはつんくに話し掛けた。
つんく「紺野が早い時間からここに来て単独練習してるのだ」
なつみ「遅れを取り戻すために練習してたの?」
つんく「そういう事になるね」
つんくは言った。
しばらくすると、娘。達は同じスタジオに入っていった。
そこで圭はあさ美に話し掛けた。
圭「あさ美、よくがんばってるね」
あさ美「もう大丈夫です・・・心配をお掛けしました。」
圭「よし、じゃああたし達も練習するよ」
圭はこう言うと一緒に練習を始めた。

しかし、あと少しで練習も終わると言う時の事である。
なつみは何かに気付いたかのように窓を見てみた。すると・・・
「川 `〜` )||がんばれ!!」
と描かれた紙が見えた。
なつみはすぐにスタジオの外に出るとそこには慎吾が立っていた。
なつみ「慎吾君・・・」
慎吾「なっちの事が心配で心配で・・・すぐ駆け付けてやったよ」
なつみ「ありがとう・・・」
慎吾「確かに俺はなっちは好きだけど・・・他のメンバーも応援しようかな、と思ってさっきの紙を出したんだよ」
なつみ「でも周囲がうるさいから・・・慎吾君はホテルに泊まってね」
慎吾「でも・・・」
なつみ「あたしの事は心配ないの」
慎吾「わかった・・・なっちの言う通りにするよ」
慎吾は言った。

レッスン終了後。
慎吾はなつみ達に言った。
慎吾「なっち・・・」
なつみ「うん?」
慎吾「これから飯食いに行かない?」
なつみ「いいの?」
慎吾「うん・・・俺の奢りでね」
なつみ「行きます」
なつみは言った。
慎吾「なっちの友達も一緒にどう?」
慎吾はめぐみ達に話し掛けた。
めぐみ「行きます」
瞳「もちろん、慎吾君の奢りだよね」
慎吾「そうだよ」
慎吾は言った。

ここは、帯広市街。
なつみ達はここに来ていた。
なつみ「どうもごちそうさまでした」
慎吾「ううん、大丈夫だよ」
なつみ「それにしても久しぶりに奢ってもらったね」
なつみは言った。
すると、瞳達は慎吾に話し掛けた。
瞳「いやいや、今日はどうもありがとうございました」
慎吾「どうも」
めぐみ「久々にいい物食べさせていただきました。」
慎吾「そうか・・・これからも頑張ってな」
慎吾はこう言うと自分が宿泊しているホテルへ向かった。
なつみはその姿をゆっくりと見つめていた。

しばらくするとなつみ達は宿舎に戻ってきた。
そして娘。達の部屋の前に来ると市井紗耶香がドアの前に立っているのを見た。
そこでなつみは紗耶香に話し掛けた。
なつみ「・・・紗耶香?」
紗耶香「なっち・・・」
なつみ「本当に・・・紗耶香だよね?」
紗耶香「うん・・・久しぶりだね」
紗耶香は言った。すると・・・
なつみ「わああああぁぁぁ〜ん!!」
なつみは突然紗耶香の心で泣き出した。
紗耶香「ちょ、ちょっとどうしたのよ・・・」
なつみ「会いたかった・・・」
紗耶香「そうか・・・あたしも会いたかったよ」
紗耶香は泣いているなつみを慰めながらこう言った。

紗耶香達は部屋の中に入ると早速なつみに話し掛けた。
紗耶香「なっち・・・」
なつみ「ん〜?」
紗耶香「実はあたしも31日に出演することになったの」
なつみ「そう?」
紗耶香「だから、ここに来たのよ」
なつみ「うん、でも・・・」
紗耶香「ん?なに?」
なつみ「さっきは急に泣いちゃってごめん・・・」
紗耶香「ううん、大丈夫だよ・・・こんなのには慣れてるから。」
紗耶香は言った。

そしてしばらくの沈黙の後、紗耶香はこう言い出した。
紗耶香「あたしが、娘。を辞めて4日後になっちのラジオ番組を聞いたんだけど」
なつみ「?」
紗耶香「なっちはあたしの為に思い出の曲を入れたんだね」
なつみ「うん・・・」
紗耶香「なっちはあの時泣きながらトークしてたの?」
なつみ「そうよ・・・あたしは今でもこの日の事覚えてるの」
紗耶香「そう・・・でもあたしはそれを聞いて思った」
なつみ「何が?」
紗耶香「娘。を辞めるんじゃなかったってね」
なつみ「そんな事無いよ!紗耶香は自分の夢を目指す為に辞めたんでしょ?」
紗耶香「でも・・・自分で決めた事だから後悔せずに頑張っていこうって思った」
紗耶香は言った。
なつみ「でも久しぶりに会えたからよかった・・・31日には頑張ろうね」
紗耶香「わかった・・・また一緒に頑張ろうね」
紗耶香はこう言うとなつみの手を取り、握手した。

劇中歌 『足跡』 歌/19(ジューク)

気付かず また 誰かを困らせ 傷つけたでしょう?
探してたモノに とらわれ 我を忘れてたでしょう…

あの花の舞ってた 春の息吹はきっと
あなたと写ってた 写真の中のままでしょう

くだけた夢なら 拾い集めてつなぐと
今しか見えない大事な ことに気付くはず

その 君のその手の 温もりに安らいで
傷む胸 おさえつけ 霧深い光見たとき

ああ 僕らがまだ ここにいること
少しは 意味があるなら
足跡を 残しながらゆく

時代はこれから 強く流れてゆくのでしょう
痛みは捨てずに 手のひらを添えて 息をする


明日の話に 言葉はずんで
いつか 昔の手紙のつづきも そっと 書けるハズ

くだけた夢なら 拾い集めてつなぐと
今しか見えない大事な ことに気付くはず

すぐに そこに気付くはず
すぐに そこに気付くはず

同じ頃、1階右側の部屋。
この部屋には『T&Cボンバー』のメンバーがいた。
メンバー4人は雑談を重ねていた。
貴子「市井さんも31日に出演するんだそうよ」
美和「来年の春に再デビューするのではなかった?」
美帆「それに備えてのステージではないのでしょうか?」
ルル「・・・ソノ可能性ハ充分アリマス。」
4人が雑談をしているとドアをノックする音が聞こえてきた。
貴子「誰?」
貴子はこう言ってドアを開けた。
するとドアの前には大木衣吹が立っていた。

衣吹「こんばんわ」
貴子「大木さん・・・どうしたんです?」
衣吹「久しぶりにみんなの顔が見たくなって・・・」
美帆「でも・・・北上達なら2階の部屋だよ」
衣吹「わかりました・・・」
衣吹はこう言うとドアを閉めようとした。
すると美和は衣吹に話し掛けた。
美和「あの・・・」
衣吹「何ですか?」
美和「31日には絶対見に来て?」
衣吹「はい・・・」
衣吹はそう言うとドアを閉めて、2階の部屋へ向かった。

そのあと、レッスンは何のトラブルもなくスムーズに行われた。
それから3日後、ライブ前日。
娘。達は会場となる札幌ドームに来ていた。
そこでは、娘。達がリハーサルを行っていた。
休憩時間中、希美はなつみに話し掛けた。
希美「安倍しゃん・・・」
なつみ「なーに?辻・・・」
希美「いよいよ明日れすね・・・本番」
なつみ「うん・・・頑張ろうね」
希美「はい、ののはがんばるのれす」
希美は言った。
するとなつみ達の所にりんねとあさみがやって来た。
りんね「ごめん、遅くなって・・・」
りんねは言った。
なつみ「ううん、大丈夫だよ・・・別の仕事があったんですか?」
りんね「うん、地元の放送局の番組に出演してきた」
なつみ「よくがんばってきたね」
なつみは言った。

すると、圭はあさみに話し掛けた。
圭「あれ?あさみちゃん、元気ないけど・・・どうしたの?」
あさみ「えっ?ううん・・・ただ明日で1年が終わるなと思うと寂しくて・・・」
圭「ほらほら、ここで暗い顔はだめよ・・・笑って×2」
圭はそう言うとあさみの体全体をくすぐり始めた。
あさみ「きゃははは〜、やめて圭ちゃん・・・」
あさみは笑いながら圭にこう言った。
なつみはこの場面を見て密に笑っていた。
圭「ほら、みんながんばっておいで。明日いよいよ本番だよ」
圭はこう言うとみんなを励ました。

数時間後。
いよいよ最後の練習が終わった。
娘。達は札幌ドームから出て宿舎ホテルに向かっていた。
そのバスの中、圭はなつみに話し掛けた。
圭「なっち・・・」
なつみ「ん?」
圭「いよいよ明日だからがんばってね」
なつみ「わかった」
圭「ほら、なっちの男友達も見に来るんでしょ?」
なつみ「うん・・・」
圭「ならばその友達にいい所を見せてやってね」
なつみ「わかった」
なつみは言った。
しばらくするとバスは宿舎ホテルに到着した。

ホテルの中では、ハロプロメンバーが夕食を採っていた。
そこで、つんくはメンバー達に話し掛けた。
つんく「皆様、いよいよ明日本番であります」
真希「そうですか・・・」
つんく「明日は夜の11時開演ですのでがんばってください」
なつみ「はい。」
つんく「そこで、明日は会場に5分前には到着できるようにしましょう」
圭「わかりました。」
圭は言った。

翌朝。
ついにライブ当日。
本来ならばこの日は大晦日恒例の紅白出場後に1年の活動を終えるはずだったのだが、あの事件が発生して出場を取りやめた。
娘。達はホテルの部屋の中でこの日のライブの事を話していた。
真希「・・・ついにこの日がやって来たのね」
ひとみ「今日は悔いの残らないように頑張ろう。」
圭「新メンバーも今日は頑張るんだよ」
あさ美「わかりました。」
里沙「今年憧れだったモー娘。に加入できて初めての大舞台だから頑張る」
愛「先輩達に負けないぐらい踊って見せます」
麻琴「新曲の歌い出しがあたしだから元気よく歌います」
圭織「よし、じゃあいつもの事するよ・・・みんな手を重ねて」
圭織は言った。
すると娘。達は一斉に手を重ねあった。そして・・・
圭織「がんばっていきま――――」
娘。「しょい!」
娘。達は掛け声を掛けると手を離した。これで娘。達は一致団結した。

同じ頃、慎吾はライブ会場となる札幌ドームに来ていた。
ここにはハロプロメンバーが来る、という事でお祭りムード一色となっていた。
いろいろな出店が並んでいる。普通のライブとは違うと慎吾は思った。
そこで、ある女性が慎吾に話し掛けた。
女「あの〜・・・」
慎吾「何ですか?」
女「これ、あとで平家さんって人に渡してくれませんか?」
女性はこう言うと一つの封筒を慎吾に手渡した。
慎吾はそれを受け取ってこう言った。
慎吾「わかりました。」
女「ありがとうございます・・・」
慎吾「そうだ、名前を聞かないと誰からか分からないので教えてね」
みつほ「大谷みつほですけど」
慎吾「わかりました、必ず伝えておきます」
慎吾は言った。

しばらくすると慎吾は『娘。』関連グッズを買う為に出店に向かった。
すると慎吾は一人の女性と出会った。
その女性とは藤本美貴である。
そこで美貴は慎吾に話し掛けた。
美貴「慎吾君?」
慎吾「うん?」
美貴「やっぱり慎吾君だ」
慎吾「ああ・・・美貴ちゃんじゃないか・・・」
美貴「安倍さんから話を聞いたよ、慎吾君って安倍さんを助けたんだってね」
慎吾「そうだよ」
美貴「ありがと、安倍さんを助けてくれて」
慎吾「そんな、当然の事をしたまでだよ」
美貴「そうだ、あたしもうすぐで安倍さんと一緒のグループに入るよ」
慎吾「ハロプロに加入ってこと?」
美貴「そうよ、去年の松浦さんみたいにね」
慎吾「それはよかったな」
美貴「それで、歌を覚えるために今日ここに来たの。でも・・・」
慎吾「どうした?」
美貴「今日ちょっと早く来すぎたかな・・・開場までかなり時間あるけど」
慎吾「大丈夫だよ、ここはいろんな物があるから」
美貴「そうだね、じゃあ慎吾君としばらく遊んでみるか」
美貴は言った。

その夜。
娘。達はライブ会場にバスで向かっていた。
そこで圭織はみんなに話し掛けた。
圭織「いい?今日のライブは真剣勝負と思って」
ひとみ「はい」
圭織「会場についたら少しの甘えも許さないので真面目に行きましょう」
圭「わかりました」
圭は言った。

 〜開演30分前〜

娘。達はライブ会場である札幌ドームに到着した。
娘。達は一人ずつバスから降りて、会場内に入っていく。
そこでなつみはライブ会場を見つめてこう呟いた。
なつみ「今夜はここでライブするんだな・・・」
すると圭はなつみに話し掛けた。
圭「ん?なっち・・・どうかしたの?」
なつみ「いや、別に・・・今夜はここで頑張るんだなと思ってただけ」
圭「そうよ」
圭は言った。

ここは、モーニング娘。の楽屋内。
なつみ達がメイクをしているとプロデューサーのつんくが慌てて入ってきた。
つんく「大変なんだ」
なつみ「どうしたんですか?」
つんく「外で大暴れしているぞ」
つんくは言った。
するとなつみ達は外に出た。

楽屋の外でなつみ達は意外な光景を目にした。
なんと、他のハロプロメンバーが取っ組み合いの喧嘩をしていた。
スタッフ達が一生懸命にメンバー達を取り押さえている。
なつみは雅恵に話し掛けてみた。
なつみ「どうしたんですか?」
雅恵「なっち?ちょっと聞いてよ!隣の楽屋がうるさくて注意しに行ったの」
雅恵は言った。すると・・・
りんね「あ゛ぁ?楽屋で自分達の音楽聞いて何が悪いんじゃ!」
りんねは叫び声でこう言った。
雅恵「悪いとは言ってないの!ただうるさいから静かにしてって言ったの!」
なつみ「もう止めて・・・わかったから、とりあえず話し合おうよ・・・ね?」
なつみは二人の間に入り込むようにこう言った。
つんく「開演も間近だと言うのにこの騒ぎを起こしたのではまずいぞ」
つんくは言った。
するとつんくは話し合いをする為に雅恵達を楽屋の中に入れた。

話し合いの結果、雅恵達はひとまず仲直りした。
圭は楽屋から出てきたなつみに話し掛けた。
圭「どうだった?」
なつみ「ちゃんと話をつけてきたよ」
圭「それで?」
なつみ「喧嘩両成敗ってとこだね」
なつみは言った。

 〜開演15分前〜

慎吾「平家さん。」
慎吾はみちよに話し掛けた。
みちよ「どうした?ここは関係者以外は入れないはずよ」
慎吾「すぐ終わる。」
みちよ「?」
慎吾「これを平家さんに渡してくれと頼まれたので」
慎吾はこう言うと封筒をみちよに手渡した。
みちよ「誰からですか?」
慎吾「さぁ。」
みちよ「でもありがとう」
みちよはこう言うと封筒を受け取った。
慎吾「じゃあ、この後もがんばってね」
慎吾はこう言うと楽屋を後にした。

みちよは封筒を開けると中から手紙を取り出した。
この手紙には以下の事が書かれていた。

「みっちゃん、いよいよ今日だね・・・
 あたしも今日の日が来るのを待っていたの。
 思えば4年前に芸能界デビューして上京した時、まさか自分が
 こんな大きなライブが出来るなんて思ってもいなかったでしょうね。
 だから今日は悔いのないようにがんばってね。
 大谷みつほ」

みちよ「なんて頼もしい手紙なんでしょう・・・」
みちよはこう呟いた。

別の楽屋では紗耶香が一人で何かを考えていた。
紗耶香「それにしてもあたしがこんな大きな会場で演舞するのは久しぶりね」
紗耶香は独り言のようにこう呟いた。
すると楽屋のドアが開いた。
瞳「ごめんね遅くなって、これ買ってきたよ」
瞳は楽屋に入ると紗耶香に話し掛け、缶コーヒーを手渡した。
紗耶香「うん、ありがと・・・」
紗耶香はこう言うと静かにそれを受け取った。

〜開演10分前〜

モーニング娘。の楽屋前。
入り口付近には数々の業者から花輪等が贈られて来た。
娘。達が出演してきた番組を放送している放送局の方が多いのである。
それと所属事務所やレコード会社もある。
高橋愛はそれを見て、なつみに話し掛けた。
愛「何か自分達の楽屋賑やかだね」
なつみ「そう?」
愛「そう、だって花輪とか贈られて来てるし・・・」
なつみ「人気が出ると必ずこういった感じになるの」
なつみは言った。

真希「何言ってるの?信じらんない!」
突然楽屋の外から真希の大きな声が聞こえてきた。
なつみ達はその声を聞いて楽屋から飛び出した。
そこで真希はなつみにこう言った。
真希「なっち?ちょっと聞いてよ!」
なつみ「真希、どうしたのよ?」
真希「飯田さんったらあたしの提案を聞いてくれないのよ!」
なつみ「ほんと?」
なつみは驚いた声で言った。
すると圭織は口を開いた。
圭織「今まであたし達が前列だったのに何でそうなるのよ?」
真希「だって今日は特別なライブの日だよ?これくらい大目に見てもいいと思うけどね・・・それとも何よ?あたし達が前列に来たら悪い事でもあるの!?」
圭織「だって、新メンバーもいるのよ・・・」
圭織は言った。すると・・・
真希「じゃあわかったよ・・・飯田さんの言うとおりにするよ・・・」
真希は諦めたのか、残念そうな声で言った。

観客席では全国から集まったファン達が娘。の登場を待っていた。
パンフレットに目を通す人。
声援の練習をする人。
中には、ミニモニのコスプレをしている人もいた。
スタンドには「川’ー’川最高やでっ!!」と書かれた垂れ幕が下がっている。
ファン達は開演前から期待を寄せていたのだ。
会場内の熱気はすでに最高潮に達していた。

しばらくするとステージの上に総合司会のまことがやって来た。
まことは観客達にこう話し掛けた。
まこと「みんな・・・史上最強の娘を見たいか?」
観客「おう!」
まこと「私もです、みんな・・・それでは出演者入場です!」
まことはこう言うとライブの出場者が現れ始めた。
まず最初は平家みちよ。
まこと「女神は生きていた!更なる訓練を積み関西の歌姫が帰ってきた!平家みちよ!!」
次に登場したのが中澤裕子。
まこと「ジャンルのない歌を歌いたいからモー娘。を脱退したのだ!ご存知、中澤裕子!琉装で登場だ」
次はカントリー娘。である。
まこと「牧場の仕事はどうした!歌手の炎未だ消えず!カントリー娘。、石川梨華と共に入場だ!」

次は、ココナッツ娘。の登場である。
まこと「特に理由はない、南国人が強いのは当たり前!ココナッツ娘。!!」
そして、メロン記念日の登場。
まこと「美しい!説明不要!!聴いて驚き観て感じろ、メロン記念日!!」
T&Cボンバーの登場には観客総立ちとなった。
まこと「娘。の事故を耳にして、表舞台に帰ってきたぞ!T&Cボンバー!!」
シェキドルが登場しても興奮は冷めなかった。
まこと「誰が辞めると言ったんだ?ファンの前なら私達はいつも絶好調なんですよ、シェキドルだ!!」
そして松浦亜弥が登場してきた。
まこと「歌唱力なら絶対に負けん!プロの歌声を貴方へ、松浦亜弥!!」
最後はいよいよモー娘。登場である。
まこと「不慮の事故を乗り越え12人の若き女性達が帰ってきた!ファンの皆様御心配を掛けました・・・モーニング娘。の登場だァァッ!!」
まことの声も聞こえぬほど観客の声援は大きくなっていた。
観客1「なっちぃ〜〜〜!!」
観客2「圭ちゃ〜〜〜〜ん!!」
まこと「以上31人のハロプロメンバーでこのライブをお送りします!!」
観客の声援をかき分けるようにまことはこう言った。

札幌ドーム前にはなぜかアントニオ猪木が来ていた。
猪木は同じ日にさいたまスーパー・アリーナで開かれた総合格闘技大会を終えてすぐにこの場所に駆け付けたという。
猪木はあの事件の犯人を捕まえてから娘。の保護司になった。
早速猪木は会場の中に入る事にした。


猪木「私はモー娘。の保護司だが・・・娘。達の楽屋はどこだ?」
猪木は警備員にこう話し掛けた。
警備員「これは猪木さん、よく来て下さいました・・・」
猪木「久しぶりにみんなの活躍が見たくなってね」
警備員「それなら私と一緒に行きましょう。」
警備員はこう言うと猪木を楽屋まで案内する事にした。

ごまま

猪木は楽屋の前に到着した。
そこで猪木は楽屋のドアをノックした。
なつみ「おお、猪木さん・・・」
楽屋のドアを開けたなつみは驚いた。
猪木「どうだ?調子のほうは」
なつみ「もうOKです」
猪木「そうか、元気があれば何でも出来る、と言う事を忘れずに」
なつみ「はい」
なつみは言った。すると・・・
スタッフ「ではそろそろスタンバイをお願いします」
スタッフは楽屋にやって来て、娘。達にこう言った。
そして、娘。達はステージへと向かっていった。

再び、ステージの上。
総合司会のまことはこう言い始めた。
まこと「13人・・・これだけいれば何でもできる・・・モーニング娘。の入場ですっ!!!」
まことは言った。すると・・・
麻琴「愛をください・・・」
麻琴の歌声でライブは開演した。

(BGM:世界のほんの片隅から/ZONE)
同じ頃。
『ZONE』のメンバーであるまいことたかよは苫小牧市内の豪邸にいた。
庭にあるプールで二人は水泳を興じていた。
すると『極楽とんぼ』の加藤浩次は二人に話し掛けた。
加藤「大変だよ!」
まいこ「浩次さん、どうしたんですか?」
加藤「娘たちがTVに出てるよ!」
たかよ「どうして?紅白は出場辞退したはずでしょ?」
加藤「それが・・・違うんだよ」
たかよ「?」
加藤「カウントダウンライブを生放送でやってるんだよ・・・」
まいこ「ほんと?」
加藤「本当だよ・・・早くプールから上がって」
まいこ「わかった。」
まいこはこう言うとプールから出た。
そして素早く着替えると居間へと向かっていった。

二人が居間に到着すると、すでに娘。達と共演経験のある芸能人達が集まっていた。
天野「早く早く・・・」
『キャイーン』の天野ひろゆき氏はこう言うと二人を招いた。
たかよ「ほんとだ・・・娘たちが出てる・・・」
たかよはこう呟いた。
するとまいこは他の『ZONE』のメンバーに話し掛けた。
まいこ「何でこのライブが生放送ですか?」
みゆ「何でも、ここ北海道では初のモー娘。ライブですって」
みずほ「地上波だけじゃなくケーブルテレビでも同じのをやってるんだって」
まいこ「ってことは、史上初なんですか?」
みゆ「そうなんですよ」
みゆは言った。

ステージの上では、娘。達が最初の曲を歌っている途中であった。
1番目の歌詞が終わり、台詞の部分に差し掛かっていた。

ひとみ「Oh...心が痛むというのかい?
    うーん、BABY...それは恋、恋煩いさ
    きっと僕と出会ったから君は恋をしたんだね
    さあ、もう大丈夫・・・僕はここにいるよ・・・おいで、踊ろう」

ひとみは高橋にこう語っていたのだ。
するとすかさず2番目の歌詞に入った。

観客席では慎吾がペンライトを振りながら、娘。を応援していた。
時折、舞台上にいるなつみを見るが、なつみは既に元気を取り戻していた。
慎吾「がんばれ・・・」
と、慎吾は心の中で何回も応援を続けていた。

舞台裏。
そこではメロン記念日のメンバーである瞳が出番を待っていた。
するとそこに一人のスタッフがやって来た。
スタッフは瞳にこう言った。
スタッフ「NHKホールから電話です。」
瞳「わかった。」
瞳はこう言うと公衆電話のある場所へと向かった。

瞳は受話器を取ると話を始めた。
その電話の相手は小林幸子であった。
瞳「はい、お電話替わりました」
幸子「瞳か?今の調子はどう?」
瞳「大丈夫ですよ」
幸子「そうか・・・私達もがんばるから瞳もがんばるんだよ」
瞳「わかりました」
瞳はこう言うと受話器を置いた。
そして舞台裏へと戻っていった・・・。

ライブ会場となっている札幌ドームの外は、雪が降っていた。
そこにまた二人の男性が現れた。
永井大と金子昇である。
永井「あれ?もう始まってるのか・・・ひょっとして遅刻かな?」
金子「しょうがねぇだろ・・・開演まで時間があるから少し時間を潰そうって言ったの永井の方だぜ」
永井「そうだ、警備員に話し掛けてみよう」
永井はこう言うと早速警備員に中に入れてくれるよう頼んでみた。


警備員「これは大変失礼致しました・・・」
永井「そうだ・・・人を外見で判断しては駄目なんだよ」
警備員「もう始まっているので早くお入りください」
警備員はこう言うと二人を中に入れた。
そこで金子は永井に話し掛けた。
金子「一体何をしたというのか?」
永井「ただ俺達は戦隊の一員なんだと言っただけだよ」
金子「そうか・・・でも急ごう、今ごろ一曲目が終わってる頃だ」
金子は言った。