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関西人Z(頭痛信号) 投稿日:2002/02/14(木) 03:26

短編第2弾「バレンタイン編」

「あー疲れた」

一仕事終えた俺は帰宅についていた。
「そういえば今日はバレンタインやったな。
 圭の奴、チョコ作るって張り切ってたけどホンマに作ってんのかな?」

圭は家事全般はそつなくこなす。ー料理以外。
「ま、今は考えないでおこう」

軽い足取りで家に着いた。
鍵を差し込み・・・、
「あれ?」

鍵は開いていた。
「?圭の奴帰ってんのか?」

ドアを開ける。と、

タタタ、ドンッ

誰かが俺にぶつかってきた。
(泥棒か!?)
瞬間そう思った。

しかしぶつかってきたのは、
「貰って(ハート)」

・・・リボンを体中に巻いた圭だった。
「・・・お前アホか」

俺は思ったことを口にした。
「あ、あれ?うけなかった?」

俺の今の表情は予想してなかったのだろう、焦る圭。

「つーかさ、何してんの?」

「あ、あのさ、チョコ頑張って作ってたんだけど、失敗しちゃってさ」

「うん」

「その代わりになる物は何か考えたら・・・」

「出た答えがそれか」

「・・・うん」

頬を赤らめ答える圭。

(なんか俺まで恥ずかしくなってきた)

俺は恥ずかしいのを紛らわすため、圭を抱きしめた。
そして耳元で言った。
「ホンマお前アホやなぁ」

「えっ?」

「今やったこと、冗談やったとしてもおもしろい。本気やったとしても嬉しい。
 だから、えっと・・・」

自分で何言ってるのか分からなくなった。
圭もきっと?マークが頭に出ているであろう。
口べたの辛いところである。
「そやから俺が言いたいのは、その、圭の気持ちは、ちゃんと伝わってるから・・・」

最後の方は呟く感じになった。
それでもその言葉を聞き取った圭はさらに頬を赤らめ、
「・・・・・・うん」
と答えた。


「さて、晩飯はなんやの?」

「あ、あのさ」

何か言いづらそうな顔をしている圭。
「何?」

「チョコ作るので必死だったから、夕食無いの」

「ウソ!?」

「だから、夕食代わりにこれ食べて」

そう言って出された物は、皿一杯に乗った失敗作のチョコだった。
「・・・これを食えと?」

「うん。はい、たーん召し上がれ」

そう言って圭は強引にチョコを口の中に入れてきた。
「ちょ、ちょっと待って。そんないらモガガ」

その後、失敗作のチョコが俺の胃袋に収まった。

次の日仕事を休んだのは言うまでもない。