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IEEE1395 投稿日:2002/03/30(土) 14:07
「ああ、お前か。どうしたんだ?
え、追試?またかよ。お前そんなのばっかだな。
たまにはまじめに勉強しろよな〜。」ぴんぽーん。
「…・・・あ、ちょっとまってくれ。なんか人が来たみたいだ。」
とたとたとたとた、がちゃ。
「はい、えーっと。どちらさまで?」
「……石川梨華ですけど。ひとみちゃんは?」
「おpkぇ&8!!!モ、モーニング娘。の石川さん?」
「ええ、あなたのお・姉・さ・ん・の・同・僚・の、石川梨華です。
ていうか、今更驚かなくてもいいじゃないですか。
大体、ひとみちゃんも娘。なんだし。」
「いや、まあそう言われるとそうなんですけどね。
でも姉はいつも家で見てるから、どうも芸能人だなんて思えなくて。
やっぱりテレビでしか見たことのない人が、いきなり家に来ると驚きますよ。」
「ふふ、それもそうね。ひとみちゃんって普段からあんなだから、
芸能人としての違う顔を見ることもあんまりなさそうだもんね。」
「そうなんですよね。もうちょっとキャラとか作ってもいいと思うんですけど。」
「それがひとみちゃんのいいところなんじゃない。ところで、ひとみちゃんは?」
「ああ、姉なら先刻、『一日一べーぐるー』とか言いながらでていきましたよ。
姉に何か用があるんですか?」「……ハァ。ひとみちゃんに、今日遊びにおいでよ、
って言われたから来たんだけどな〜。」
「それならそのうち帰ってくると思いますよ。あがってまっててくださいよ」
「そう?じゃあそうさせてもらおうかな。お邪魔します。」
「あ、俺電話中なんでちょっとすいませんね。後でお茶とか出しますから。」
「あ、いいですよ。そんなに気を使ってもらわなくても。」
「いや、ちゃんとしとかないと姉に後で殴られちゃうんで……」
「……ひとみちゃんらしいね……」
「じゃあとりあえずこっちにでも座っててください。」
「うん、ありがと。」「おう、悪かったな。それでさっきの話なんだけど。」
ひとみちゃんの弟(名前なんて言ったっけ?)って結構声大きいなあ。
こっちまで聞こえてきちゃうよ。多分彼はそんなこと気づいてないんだろうけど。
でも電話の声って会話が半分しか聞こえないからやたらと気になるなあ。
ほんとは聞いちゃいけないんだろうけどねぇ。
やっぱり気になるじゃん、それに暇だしね。(国語の追試の方はまあなんとか合格したよ。)
「ああ、そうなんだ。そりゃよかったじゃん、おめでと。明美ちゃんも喜んでたろ。」
(うん、まあな。たださあ、俺も明美も数学のレポートまだやってなくてさあ。
松野の野郎に『今週中にやってこなきゃ赤点』なんて脅されてんのよねえ……)
「なに〜、お前らまだやってなかったのか〜」ちょ、ちょっと。仮にも女性がいるっていうのにそれはないんじゃない。
まったく、最近の子ってどういう考え方してんだろ。(う、うん。そうなんだよ。だから困ってるんじゃん。)
「ちょっと、それマジやべえって。さっさとやっちゃえよ。
明美ちゃんも明美ちゃんだなぁ。」もー。これ絶対聞こえてるの気付いてないよねー。
『女の子がやらせてくれない』みたいな言い方って最悪だなー。(いや、そうはいってもよお。俺も明美もあんまり数学得意じゃないし。
なんだよ、xとかyとかって。数字で書けよ。)
「そんなこと言ってもしょうがないだろう。兎に角やんなきゃはじまんねえだろ。」そんなことないよー。女の子ってエッチだけがすべて、って訳じゃないんだよ。
それに最初はやっぱり痛いし、怖いし。そういうところ、男の子はちゃんと
考えてあげなきゃ。その点で、君の友達は偉いと思うよ。(いや、それは分かってるんだけどさー)
「なんだよ、煮え切らないやつだなー。ちょっとは頑張れよな。」うーん、でも彼もあんなに言ってるんだし、もしかしたら結構付き合い
長いのかもなあ。一年付き合ってるのに何もなし、とかなら確かに男の子
の方もちょっと臆病かも。がんばんないと女の子逃げちゃうぞー。(そういうお前はどうしたんだよ。お前の数学の成績なんて、
俺らとどっこいどっこいじゃねえか。)
「え、俺。俺のことはいいじゃねえか、別に。」お、あせってるあせってる。どうでもよくないからちゃんと喋りなさい。
一言漏らさず聞いてあげるから。(だめだ。偉そうに言う以上ちゃんと話せ。)
「分かったよ。でもたいした話じゃねえぞ。」おお、偉いぞ!弟君の友達その1!
「実は、姉貴に教えてもらったんだよ。」
えええー!ひ、ひとみちゃんと〜!?
(なんだ、そういうことか。お前が一人でできるわけないもんなぁ。
まあでもちゃんとやってるだけ、俺よりマシか)
「うるせえな、ほっといてくれ。」いや、それは普通はほっとかないと思うぞ〜、弟君。
(んで?)
「ああ、あの時は美幸と二人で俺の部屋にいたんだよ。でも二人ともどうしたらいいか
分かんなくて困ってたら、いきなり姉貴が部屋に入ってきて、
『う〜ん、若いね〜君たち。このよっすぃ〜様が教えてしんぜよう』とか言い出して。
それをいうなら、俺だって『よっすぃ〜』になっちまうんだけどな。」確かにひとみちゃんらしい台詞だけど。じゃあ彼は彼女との初めてのエッチを
ひとみちゃんと三人でした、ってこと?すごいなあ、ひとみちゃん。
まあ彼もだけど。(はは、確かにそうだ。じゃあお前だって結局自分ではやってないわけだ。)
「ああ、まあな。でも流石に今は姉貴がいなくてもできるぜ。」そりゃそうでしょ。そうじゃなきゃただの『シスコン』じゃないの。
(じゃあ俺んち来て手伝ってくれよ。)
「え〜、俺に一緒にやれ、っていうのか。勘弁してくれよ〜。」おいおい、なんかすごいこと言い出してるよ〜。彼の友達ってのもすごい子だな〜。
まあでも流石に断るわね。(え〜、何で?)
「いや、面倒くさいじゃん。」それだけ?それが理由?普通は気持ち悪い、とか美幸ちゃんや明美ちゃんに悪いだろ、
とかそういう理由なんじゃないの?(そんなこと言わずにさ〜、頼むよ。)
「はぁ、分かったよ。全く、お前らって奴は。じゃあ明日行ってやるよ。」うそ!そんなに簡単にOKしちゃうの?それじゃ美幸ちゃんがあんまりじゃない?
(でもよく考えるとちょっと不安だな。)
「何だよそれ。じゃあ美幸も連れて行くよ。それなら文句ないだろ。」あります、あります!絶対あります!そんなのおかしいと思います!
(お姉さん、って手は?)
「それはちょっと無理だ。暇だったら喜んでやってくれそうだけど、
明日から忙しいって姉貴、言ってたからな。」そんな馬鹿な。ひとみちゃんだって流石に弟の友達とはできないでしょ。
ていうかその前に普通は弟とはできないと思うんだけどなあ。
私が弟いないから分かんないだけで、もしいたらそんな風に思っちゃうものなのかな?
それにしても、五人だなんて、過激すぎるなあ、友達。(まあそりゃそうだわな。なんたってあの、『モーニング娘。』だからな。)
「そうそう、モーニング娘。と言えば、石川梨華が来てるぞ。」!!私の話になってるよ。しかも呼び捨てだし……私は君より年上なんだぞ。
……君の方がやってることすごいけど。(へえ、そうなんだ。彼女ってお前の姉さんより年上なんだっけ?)
「ああ、確か一個上とか言ってたな。確かに頭もよさそうだし、いろいろ知ってそうだよ。」そ、そんなことないわよ!確かに自分でも経験豊富な方だとは思ってたけど。
君たちに勝てるわけがないでしょ。まったく、人をなんだと思ってるのよ。(じゃあ今レポートやるなら彼女に手伝ってもらわないとな。)
「はは、そうだな。今だったら姉貴もいないし、彼女に聞くだろうな。
親切そうだし、手取り足取りって感じで教えてくれそう。」ちょ、ちょっと。なんてこと言うのよ。私はぜったいやだからね。
ひとみちゃんの弟とだなんて・・・・・・(そうだなあ、家庭教師のお姉さん、って感じだな。
でも俺はお前のお姉さんの方が、美人だと思うけどねえ。)
「そうかぁ?まあ俺には正確な判断はできないからなあ。
姉貴も美人だとは思うけど、やっぱり姉だからなあ。
俺は石川の方がいいよ。」いや、そんなこと言われても……ひとみちゃんより美人、っていうのは嬉しいけど。
でもひとみちゃんの弟とするなんて……
やっぱり無理だよぅ、早く帰って来てよぅ、ひとみちゃん。
でないと私、襲われちゃうよ。(そりゃそうだ。俺がお前の立場だったらそう言うよ、やっぱ。
まあそれじゃ、明日は頼むぜ。俺と明美の未来がかかってるんだから。)
「はは、おおげさだなあ。まあ心配するなよ、ちゃんと行ってやるから。じゃあな。」
(ああ、また明日。)
がちゃーん。やばいよ、電話切れちゃったよ。どうしよう。
とんとんとんとん。
ああ、こっちに向かってくるよ、どうしよう……
とりあえずさっきの電話は聞かなかったふりしなきゃね。
でもできるかな、私に……「すいません、石川さん。ずっとほったらかしで。今お茶入れますから。」
「う、うん。あ、ありがと。」
「?どうかしましたか?」
「い、いえ。別に、だい、じょうぶ、です……」「ただいま〜」
「あ、姉、帰って来たみたいですよ。」
すたすたすたすた。
「ただいま〜。あ、梨華ちゃん、もう来てたんだ。ごめんね。」
「ううん、大丈夫だよ。(は〜、帰ってきてくれてありがとう)」ごそごそごそごそ。
「なぁ、またベーグルかよ。いい加減、飽きねえか?」
「うるさいなあ、味の分かんない子供は黙ってなさいよ。」
「へいへい。」
「あーっ!」
「何だよ、うるせえなあ。」
「あんたがごちゃごちゃ言うから、折角買ってきたガム、
入れ忘れちゃったじゃないの。」
「ハァ?知らねえよ、そんなの。なんで俺のせいなんだよ?」「いやーっ!」
「うおわっ!」
「ちょ、ちょっと、どうしたの梨華ちゃん?」「ひとみちゃん、不潔だよ!」
「?」
「?」「今日私を呼んだのも、そういう気だったんでしょ!」
「?」
「?」「ねえ、そうなんでしょ?答えてよ?」
「いや、なんのことだかさっぱり……」
「?」「うそ!じゃあ何でゴムなんているのよ。『ゴム忘れてた』っていったじゃない。」
「ゴム?」
「?」「そうよ、ゴム。忘れてきたんでしょ。」
「いや、ゴムなんて。そもそもゴムって何?」
「?」「何って……決まってるじゃない!コンドームのことでしょ!」
「ハァ?」
「?」「とぼけないでよ。コンドーム買ってきたのに忘れちゃったんでしょ。」
「いや、そんなもの買ってないけど。だいたい何に使うの?」
「?」「何って、そんなもの使い方一つしかないじゃない。
彼がつけるに決まってるじゃない!」
「お、俺?」
「こいつが着けてどうするの?」「そこまで言わせるつもり?つまりひとみちゃんは、彼と私との三人で
エッチするために、今日私を呼んだんでしょう。」
「ハァ?何言ってるのよ、梨華ちゃん?」
「え、え、え、え〜?いやでも俺、流石に姉貴とはできないよ。
石川さんと二人ならちょっといいかな、と思わないでもないけど。」どかっ。
「うげぇ。」
「あんたは黙ってなさい。……で、どういう意味よ、梨華ちゃん?
冗談にしては洒落にならなすぎるよ。」「だって、私、さっき聞いたんだもん。」
「何を?」
「彼の電話。」
「何それ?」
「彼が電話してたの。」
「それで?」
「彼が友達と話してて、その時に言ったの!」
「なんて?」
「彼の初めてのエッチが、彼女とひとみちゃんとの3Pだったって!」「「ハァ?」」
「彼と彼女が初めてしようとしたら、うまくいかなくて、」
「「……」」
「それで二人で困ってたら、ひとみちゃんが部屋にやってきて、」
「「……」」
「ひとみちゃん、『う〜ん、若いね〜君たち。このよっすぃ〜様が教えてしんぜよう』
とか言い出して、」
「「……」」
「それで三人でしちゃったんでしょ。」
「……」
「……ぷっ、あははははははは」
「ちょっと、何が可笑しいのよ?」「石川さん、俺の声だけ聞いてたんですね。」
「そうだけど。」
「つまり、俺の友達の声は聞いてない、と。」
「聞こえるわけないじゃない。でも、聞こえなくても言ってることなんて
誰でも分かるわよ。」
「残念ながら、分かってないんですね〜」
「どういう事?」
「あれは数学のレポートの話だったんですよ。」
「え?」
「つまり、俺の友達の…………………………ってことだったんですよ。」
「……」
「だから初めてのセックス、なんて話をしてたわけじゃないんですよ。」
「……じゃあ、私の勘違いだったって事?」
「そうです。」
「じゃあ、君とひとみちゃんはエッチしてないの?」
「あたりまえですよ!」
「あたりまえだよ、梨華ちゃん!」
「……ごめん。」「まあいいですけど。」
「よくないよ!なんで私がこいつとエッチしなきゃなんないのさ!」
「なんだよ、姉貴。それは俺の台詞だよ!」
「何それ?生意気〜」
「ちょっと、やめてよ二人とも。元はといえば私の勘違いだったわけだし。
別に二人の間には何もなかったってことで……」
「あたりまえよ!」
「あたりまえですよ!」
「ご、ごめん。」「それにしても梨華ちゃん、そんな妄想しちゃうなんて、」
「?」
「もしかして、ほんとはこいつとしたかったんじゃないの〜?」
「ちょっと、ひとみちゃん?」
「ええ?本当ですか、石川さん?」
「こいつとしたいな〜、とか考えてたから、そんな風に
誤解しちゃったんじゃないの〜?」
「そ、そんなことないよ〜」
「そうじゃなきゃ、『ガム』と『ゴム』なんて間違う、普通?
あ、なんだったら『ゴム』、買いに行ってこようか?」
「おお、よろしく頼む、姉貴。」
「ちょっとまってよ〜。本当にそんなことないってば〜。」
「さ〜ど〜かな〜。」
「本当にないから〜。忘れてよ〜。」
「う〜ん、ちょっと無理だね〜。こんな楽しいこと、一生忘れられないよ〜」
「そんな〜、お願いだよ〜、ひとみちゃ〜ん。ねぇ……」