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コンボ 投稿日:2002/04/17(水) 00:10
「裕子、爪切り持ってる?」
「そこらへんに置いてない」
「置いてない」
「あれ、おっかしいなあ。
こないだ銀行でもろてんけどな」
「どっかに忘れてきたんじゃないか」
「爪なんか今切らんでもええやろ」
「いや、そうじゃなくて、ささくれがあるんだよ」
「ささくれ?
どこどこ」
「そんなに顔寄せんなよ、左手の中指」
「あー、ほんまや、血ぃ出てるわ。
うわ痛そーやなー」
「だから爪切り欲しいんだよ」「そんなん言うても、無いもんは無いの。
ああそうや、ええもんあるわ」
「なんだよ、爪切りあるのか」
「ちゃうけど……ほーらあった」
「うわ、なんだよそれ、でっけえハサミだな」
「こないだ買うてん。
じっとしときや……えいっ、ほら、切れた」
「全然切れてねえよ!
そんな大きいので切れるわけないだろ」
「じゃあ自分でなんとかしてよ、面倒くさい」
「できねえから頼んでるんだろ……えいっ、あー無理だ」
「……」
「また血が出てきた。
くそっ、いててて」
「……ほら貸してみ、やったるから」「やったるからって、できるのかよ」
「アホ、そんぐらい誰やってできるわ。
……そらっ!」
「いってえ!
ミスってんじゃねえかよ!」
「こんぐらいできるわ!
えいっ、えいっ、えいっ」
「血ぃ出てくるだけじゃねえかよ!」
「ちゃうねん、ほんならな、一斉のーせ、でいくで」
「いや、俺はなにするんだよ」
「ええからやるで、一斉のーせ!」
「おおすげえ、上手く剥けたな。
かなり血が出てきたけど」
「裕ちゃんの手にかかればこんなもんやって。
……あれ」
「どうした」「私の薬指ささくれてるわ」