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剣士 投稿日:2002/05/25(土) 22:24
新作「同居人はアイドル!」
ある、5月も下旬、梅雨も近い休日。
俺は、高校も休みで、ゴロゴロしていた。
一人暮らしの俺は、身の回りのことをキチンとしたら、疲れてゴロゴロする。
この日もまさにその日だった。
と、その時(ピンポーン)
家の呼び鈴が鳴った。
「・・・誰だぁ?ったく・・・」
かなりご機嫌ナナメの俺はぶつくさ言いながらドアを開けた。そこには・・・
「あ、つんくさん」
モーニング娘。のプロデューサーのつんくが立っていた。
つんくさんとは昔、一緒に遊んだ縁で仲がよかった。が、また突然何の用なのか・・・。
「突然すまんなぁ。ちょっとエエか?頼みがあってなぁ」
頼み。この言葉を聞いた瞬間イヤな予感がした。
「何スか?つんくさんが頼みとは・・・」
つんくさんは頭をかきながら、少し困った顔で言った。
「あんなぁ・・・紺野ってしっとるやろ?娘新メンの。あいつなぁ、北海道からでてきたはエエが、住むとこが決まってないねん。
かといって一人暮らしはちょっと危ないから、や。そこでやな・・・」
だいたい頼みの内容がわかった。
「ここに住ませてほしいってことですか・・・。」
つんくさんはうなずいた。困った頼みをしてくる人だ、と思いながら、昔世話になった恩を仇で返すわけにはいかず・・・
「いいですよ・・・まあ、しょうがないっすね」
つんくさんは喜んだ様子で
「そうか!いやぁ〜助かった。じゃあ、早速明日ここへ来させる。あ、それとやな・・」
何だ?まだ何かあるのか?
「紺野、以外と可愛いからな・・・別につきあってもかまへんで。お前やったらエエかな、と思うし」
何いってんだこのオッサンは・・・・
「んなことあるわけないでしょうが」
つんくさんはニヤニヤしている。
「お前かなりカッコエエから、紺野がグラっとくるかもな」
と、アホな言葉を言い残し、帰っていった。翌日の夜、早速紺野さんはやってきた。
(ピンポーン)
「は〜い!(ガチャ)あ、君が・・・」
ドアの前でモジモジしながら立っている女の子。この子こそ、モー娘。紺野あさ美さん。
「あ、あの・・紺野あさ美です。そ、その・・・よろしくお願いします」
固いなぁ・・・。まあ、初対面だしね・・・。
「そんなに固くなるな。まあ、上がって。晩飯もう食った?」
紺野さんは、あいかわらずモジモジ。
「あ、まだです。」
緊張しすぎだ・・・・。なんとかリラックスさせたいな。
「じゃあ、作るから、一緒に食べよう」
紺野さんは、まだ緊張気味。
「は、はい」
緊張ほぐしはどうするか・・・と思ったその時
(グゥゥゥ・・・ギュルギュル)
腹の音。俺と、紺野さんの腹の音が動じに鳴った。
「あ・・・・(赤面)」
あ〜あ・・・真っ赤だよ。でも、何だかおかしいな。
「プッ・・・アハハハハ!お互い腹減ってるな。しっかし同時なんて・・・ククククク」
爆笑しちまった。悪かったかな?と思ったが
「クスクス・・・アハハ」
あ・・・笑ってくれた。うち解けてきたかな。
「じゃあ、飯食おうぜ」
紺野さんは笑顔で、あいかわず(?)のんびりした雰囲気で
「はい〜」
と言ってくれた。いい子だな。共同生活の始まり・・・か。とりあえず、お互い腹減ってたので、飯を食った・・・が会話のない、静かな食事。
き、気まずい・・・。黙々とお互い箸が進むだけ。
何か、何か会話のネタはないか?頭をフル回転させてネタを探した。そうだ!
「(ムグモグ)なぁ、娘。の仕事って大変なのか?やっぱり」
「(ングッ)ひゃ、ひゃい!た・・・大変ですけど、その・・・・楽しい・・・です」
あ〜あ・・・また緊張してら。ガチガチだよ・・・。
「ふ〜ん・・・そーだろうなぁ。(ムグムグ)あんだけハードスケジュールじゃあなぁ。オフは今度いつなんだい?」
当たり障りのない質問。でも、相変わらず緊張した表情。
「(モグモグ)あ、あの・・・今度の土曜日が・・・オフです」
緊張しながらも、しっかり飯食ってるなぁ。かなり腹減ってたんだろうなぁ。
「そっか。じゃあ、土曜に買い物でも行こうか」
とりあえず、少しでも仲良くなろうかと、お出かけの提案。
「あ・・・そ、そうですね。(パクパク)」
よく食うなぁ。でも、まあ・・・・一緒に買い物できるから・・・まあいいか。
「ごちそうさま。じゃあ、片付けておくから、ゆっくりしてていいよ。」
「あ、そんな・・・私がやります。住ませてもらってるんだし・・」
う〜ん・・・いい子だなぁ。ますます気にいった。いいって言っても無理そうだし・・・ん、そうだ!
「じゃあ、一緒に片付けよっか。」
う〜ん・・・我ながら良い考え・・。これで少しはコミュニケーションがとれる。
「は、はい〜・・・そうですね」
よし・・・成功。あ、そうだ。あと言っておかないと・・・。「あのさ、そんなに緊張しなくていいよ。そんなに緊張されると、俺も何か話しづらいからさ」
いきなり言うのも悪かったかな?でも・・・ガチガチになったまんまだと、疲れそうだしな・・。
「はい・・・・わかりました。あ、そういえば・・・名前、なんていうんですか?つんくさんから聞いてなくて・・・」
ガクッ。名前今頃聞くとは・・・とろい。まあ、俺も教えなかったのも悪いか。
「ああ・・・俺は真田竜哉(さなだたつや)っていうんだ。」
「真田竜哉さん・・・ですね。改めてよろしくお願いします」
挨拶もキチンとしてきて、いい子だ〜!しかも可愛い。とろいけど。・・・?おっと・・・何考えてんだ俺は。
「じゃあ、片付けてしまうか」
「はい〜!」
こうして、夜はふけていった。紺野さんとの同居が始まったとはいえ、一緒にいる時間は少ない。
彼女は仕事、俺は学校&バイト。わずかな時間しか一緒にいられない。
俺が帰ってきてもまだいなかったりして、よくよく考えれば一人の時と変わらない。
「・・話できないことには、仲良くも何もないよなぁ・・・」
苦悩してしまう。やっぱ勝負(?)は土曜日か・・・。
と、俺が考え込んでいると、紺野さんが帰ってきた。
「ただいま〜」
喋れなくても・・・可愛いからいいか(おい)
「?どうかしましたか?」
あ、いかん・・顔にでてしまった。(汗)
「今日は、竜哉さんのこと、メンバーの皆さんから色々聞かれましたよ」
おお!ちょっと期待・・・・。
「いい人か?とか、変なことされてない?とか・・・」
ガクッ。何だそりゃ・・・期待して大損だよ・・・。
「あと、カッコイイか?とか・・・」
ん?んんん?どんなに答えたんだ?
「まだよくわかりませんって言いましたけど」
ガク・・・まあ、期待はしてなかったけど。
「じゃあ、今日はもう休もう。明日は買い物だし」
約束の日・・・覚えてるよな?
「はい。楽しみでしてました」
おお・・・いい子だよ〜。俺も楽しみでしたぞ・・・と。
「じゃあ、おやすみ〜」
「おやすみなさい」で、翌日。
俺は目覚ましの音に起こされ、リビングへ。
紺野さんはまだ起きてないようだ。まあ、仕事で疲れてんだし、しょうがない。朝飯作ってまとう。
「おはようごらいま〜ふ」
・・・寝ぼけまくりだ・・・。
「ああ、おはよう。あ、朝飯出来てるよ」
「はい〜・・いただきまふ〜」
・・・ま、いっか。そして俺たちは飯を食べ、出かける準備をし、そして、家をでた。
紺野ちゃん・・・私服可愛いなぁ・・・おっと・・・俺は何考えてんだよ。
そして俺たちはデパートで買い物。俺はとりあえず日用品、紺野さんはキョロキョロと周りを見てばかり。
「何か買わないのか?買いたい物は?」
いつまでたっても買う気配がないので、とりあえず聞いてみた。
「あ・・・服を買いたいんですが・・・あれ・・・」
指をさしてる先にあったのは、ピンクのTシャツ。うむ・・・紺野さんに似合うかもな。
「よし、じゃあ買おう」
紺野さんは驚いている。何で?
「いいんですか?そんな私のワガママで」
あらら・・・そんなこと気にしてたのか。
「いいのいいの。じゃあ、レジに行こう」
そして俺たちはレジでお金をはらって、デパートを出て、家へ帰った。と、その道中
「竜哉さん、ありがとうございます。この服前から欲しかったんです。もの凄く嬉しいです」
満面の笑みだ。笑顔、可愛いな・・。つんくさんの言う通り、惚れるかも・・。ってうぇぇ?
いきなり手を握ってきた。柔らかくて、小さめの手。俺は手をつなぐなんて慣れてないから、ちょっと
「手、つなぐのイヤですか?イヤじゃなかったらこのまま帰りましょうよ」
イヤなもんかい。俺たちはこのまま手をつないだまま、家に帰った。翌日。手を握って歩いた余韻に俺は浸っていた。
(柔らかかったなぁ。女の子って感じの手で・・・)
ちょっと萌え〜状況の俺。そこに・・・
「おはようごらいまふ〜」
あいかわらず眠そうだな〜。目をこすって、パジャマ姿。ファンにはたまらんのだろうな。
「ろうかしまひらくぁ〜(どうかしましたか?らしい)」
「・・いやなんでもない。とりあえず、顔洗って、目覚ましてきなよ。今日は仕事だろ?」
そう、今日は仕事だというのに、この調子で大丈夫なのか?あきらかに何もできんような気が・・・。
「ふわぁぁぁ・・・。じゃあ、着替えて仕事いきまふ」
大変だな〜・・・眠いのにね。
「頑張ってな。体壊さないようにな」
優しい言葉をかけてみる。さて、どんな反応してくるかな?
「あ・・・ありがとう・・・ございます」
あらら、照れちゃって・・・。真っ赤だよ、可愛いねぇ。
「じゃ、じゃあ、行ってきます」(ガチャ!バタン)
行っちゃった。俺はどうするか。ん?そういえば・・・確か・・・。
俺は娘。関連雑誌を取りだした。え〜っと・・・紺野紺野・・・と、あった!
お!やっぱりそうか。よし、それならば・・・。
俺は家を出て、商店街へ。そしてケーキ屋に入り、ショートケーキを買った。
「喜んでもらえっかなぁ・・・」
俺は期待と不安を抱えて、家に帰った。
そして夜・・・。「ただいまぁ」
お、帰ってきた。よし・・・
「お帰り!そんで誕生日おめでとう!今日は5/7日。紺野さんの誕生日だよな!」
「ええ!?し、知ってたんですか?」
やったやった。メチャクチャ驚いてる。痛快だねぇ。
「ああ、雑誌持ってて、載ってたんだ。ハッピバースデー!」
驚きの顔から、喜びの顔に変わってる。どうやら、喜んでくれたんだな。
「ありがとうございます!私・・・凄く嬉しいです」
へへ〜よかった。お、そうだ。これだこれ。
「これあげるよ。俺のお気に入りのペンダント。プレゼント!」
俺は、つけていたペンダントを紺野さんの首につけた。
「あ・・・ありがとうございます・・・」
さて、ケーキを出して・・と、ロウソクたてて・・・
「はい、火を吹き消して〜」
やっぱこれでしょ。ロウソク。
「フーっ。ありがとうございます!」
「おめでとう〜〜〜」
そして俺たちはケーキや料理を食べ、楽しく会話。
ん〜・・・これが幸せってやつだろうなぁ・・・と俺は感じていた。ん?あれぇ?
「すぅ・・・すぅ・・・・」
寝ちゃった。疲れもあったんだろうなぁ。ベットに運ぶか。よいっしょっと・・・。ん?
「あ・・・わかりました・・・」
寝言か・・可愛いなぁ。
「竜哉さん・・・凄く・・・いい人・・・です・・・よ」
な、な、な何を〜〜〜〜!娘。のメンバーにそんなこと言ったのか!恥ずかしい・・・・けど嬉しい。
「ずっと一緒ですからね・・・竜哉さん」
・・・うひゃあ!なんちゅうことを夢で言ってる!でも・・・俺も紺野さんと一緒でもいいかなぁ・・・。
まあ、夢だし・・いいっか・・・。ベットに寝かせて、と。
おやすみ・・・紺野さん。また明日・・・・。
そして俺もベットにつき、眠った。バースデーからしばらくたった。
あの寝言の言葉・・・本当なんだろうか?・・・わかんねぇ〜〜〜〜〜〜〜!
聞きたくても、きけないこの歯がゆさ・・。まあ、紺野さんも忙しいんだろうな。
「ただいま〜〜〜〜」
お、帰ってきたな。・・・聞きたくても聞けないし・・・黙っておこう。
「あの〜・・・竜哉さん・・・お願いがあるんです・・ケド」
んぁ?何だろう・・・折り入ってそっちから頼みとは・・・。
「実は〜・・・その〜・・・あの〜・・・・」
だぁぁ!ハッキリせんかい!
「実は・・・娘。のメンバーが・・竜哉さんに会ってみたいって・・・・」
にゃ、何を〜〜〜〜〜〜!
「その・・・私が竜哉さんのこと聞かれて、ちょっと話したんですが、つんくさんがそれを聞いてて・・・」
なるほどな・・・あんにゃろう・・・・・。
「つんくさんが会ってみればいいとか言ったんだろう?」
あ、ビックリしてる。どうやら図星・・・・。
「その通りなんですけど・・・その・・いいですか?」
断れないよな・・・それは・・・・。
「いいよ。でも・・・いつ?」
おそらく、今度の土日かな?
「明日です」
ズコーーーっ!な、何でやねん!急すぎるだろ!
「ずいぶん急だなぁ・・・・」
さすがに急すぎて、心の準備が出来てないんですけど・・・・。
「でも・・明日はそんなに仕事ないですし・・・お願いします」
ありゃりゃ・・・頭下げられた。これは受けないとなぁ・・・・。
「いいよ。まあ、こんな機会そうそうないだろうし・・・」
それを聞いた紺野さんの顔は、ほわ〜んとした(?)ような喜んだような顔。
「ありがとうございます!じゃあ、明日の夕方」
俺は学校あるんだった・・・夕方しかねぇか。
その夜、俺は何故か緊張して眠れなかった。
そして翌日・・・。俺は、学校でもそわそわして落ち着かなくて、先生にも怒られた(苦笑)
んなこと言ってもねぇ・・・アイドルだよ?モー娘。だよ?落ち着けないよ・・・。
そんなこんなで夕方。家に戻ると、紺野さんがいた。そして、その側には、娘。のメンバー。
っておい!俺が会いにいくんじゃなかったんかい!
「ど、どうも・・・真田です」
ガチガチになっちまった。これじゃあまるで、ここに来た時の紺野さんじゃないか。
「ども〜〜〜〜〜〜!」
声でけぇ。一斉に言うなって・・・・。
「色々聞きたいことあるそぷです」
はぁ?質問ターーーーーイムってやつかい?
「いいよ・・・どうぞ」
これが地獄の始まりだった。
「じゃあ、まずは私!彼女いますかぁ?」
ズコっ!後藤さんよぉ・・・いきなりかい?
「いませんよ。というか、好きになった人すらいない」
どうやら、拍子ぬけといった感じだ。
「じゃあ、私。得意なこととかは?」
まともな質問だねぇ・・・さすが飯田さん。
「ん〜・・・なんだろうなぁ・・・スポーツ・・球技が結構得意かな?まあ、人並みだけどね」
ふう・・・こんなのが後何人も・・・い、イヤすぎる・・・・。その後の質問は・・・。
「どんな女性が好みですか?」(矢口&保田)「食べ物は何が好きですかぁ?」(辻&加護)
「普段は何してるんですか?」(高橋&新垣)「学校楽しい?」(安倍&小川)
これならまだいいのだが・・・トドメの質問。
「娘。のメンバーでどなたが好みですか?」(石川&吉澤)
そ、それはぁ・・・ねぇ・・・ちょっとキツイですよ・・・。
「そ、それは・・・秘密ってことで」
これしか言えない。が・・・それで済むわけなかった。
「ええ〜〜〜〜〜!ちゃっと答えてよ!」
んなこと言っても〜!それは無理ってもんですぜ、姉さん。
「頭痛くなってきた・・・」
質問攻めはキツイよ・・・。と、この言葉に反応した紺野さん。
「大丈夫ですか?」
優しいね・・・まあ、大丈夫なんだけど・・・おっと!もうこんな時間か・・・。
「さて・・夕食作りますが、皆さんも食べるんですよね?」
皆はもちろん!と声をそろえた。そりゃそうか・・・。
その後、俺は安倍さん、紺野さん、石川さんに手伝ってもらい、夕食を作った。
娘。のメンバーも料理結構できるねぇ・・・と感心したほど。
その後は、食べ、喋り、遊び・・・・・つ、疲れた・・・。
しかし、寝させてもらえず。明日はオフだからって・・・アンタら・・・俺は学校だっつーの!
結局、オールナイトで寝かせてもらえず・・・翌日の学校は眠かったのは言うまでもない。ある休日、俺は・・・熱をだしてしまった。どうやら、バイト疲れがたまったらしい。
紺野さんは「ゆっくり休んでください」と言って仕事へ。
いつもの休日なら、本屋やゲーセン行ったり、友達と遊んだり、紺野さんがオフの時は一緒に色々したり・・・・。
だが、紺野さんが仕事、さらに俺が病気じゃあ何もできないなぁ。
あ〜あ・・・・ヒマだ。時間がたつのが遅く感じる。まだ昼3時。紺野さんが帰ってくるのが5時だから・・・。
暇ヒマひま。あ〜・・・・うっ・・・・やべぇ・・・苦しくなってきた。
体調が悪化して・・・く・・・こ・・・ん・・・の・・さ・・。
・・・・・・・・・・
ん・・・・?何だ・・・頭が冷たくて、気持ちいいや・・・。
起きれる・・・かな?
「よいしょっと・・・ん?こ、紺野さん」
時間を見ると、まだ3時半。仕事は・・・・?
「早いな・・・仕事は?」
紺野さんは黙ってニッコリ笑った。
「仕事は、早く終わってくれました。竜哉さんが病気だから、早く帰ってあげな、って・・・」
そうだったのか・・・俺のために・・・。
「紺野さん・・・・」
俺はちょっとフラフラしながらも、紺野さんを力いっぱいに抱きしめた。
「あ・・・竜哉さん・・・」
顔真っ赤だ・・。可愛い。だからいとしくて・・・ずっと抱きしめてたい。
「紺野さんのことが・・・好きなんだ」
言っちゃった。でも・・・自分の正直な気持ち。
「・・本当ですか?とろいし、何も出来ない私なのに・・・・」
そんなことない。家事は出来るし、つくしてくれる。とろいのは本当だが・・・。
「ああ・・俺・・・紺野さんが好きだって気持ちに気づいた。初めてだ・・・こんな気持ち」
俺も恥ずかしいよ・・・こんな事言ってるし・・・。
「ありがとうございます・・・私も・・・好きです。竜哉さんの優しいところが・・・好きです」
告白成功だ!っと・・・あかん、はしゃいだら、熱が・・・。
「私がついてますから、休んでください。おやすみなさい・・・好きです、竜哉さん」
ああ・・・おやすみ・・・好きだよ、紺野さん。紺野さんのおかげで、体調はすっかりよくなった。
それに・・・お互い好き同士ってことも言い合えた。気まずくなるかも・・・と心配した俺。だが、そんな思いは杞憂だった。
気まずくなるどころか、紺野さんは甘えてくる。俺にぴったりくっついたりして。
こんな紺野さんも・・・イイ!(ファンに袋にされねーだろーな・・・(苦笑))
「た〜つやさ〜ん。お願いあるんですけど〜」
何だろう?まさか、また・・・娘。のメンバーとか・・・。
「一緒に寝てくれませんか?」
にゃ、にゃ、何ぃぃぃぃぃ!
「ダメですか・・・?」
そんな悲しそうな顔すんなよ・・・。
「いいよ!一緒に寝ようか」
断る理由もないし、こんなチャンス絶対ない。
「やったぁ!じゃあ、まっててください。枕持ってきます」
枕?布団じゃなくて?ま・・・ま、さ、か・・・。
「じゃあ、一緒に寝ましょう!」
添い寝かい・・・やっぱり。
「ああ・・・おっ・・・おやすみ・・・・」
電気を消し、寝よう、とつとめたが・・・ドキドキして眠れない。
ピッタリくっついて、さらに俺にしがみついて寝てるよ・・・。
あ・・やべ、口が近づいてきた・・・。離れられない・・・。
(チュッ・・・)
や・・・やっちゃった。キス・・・・・・。
ドキドキしっぱなしだ・・・・・。眠れない・・・。俺はこの後、夜中の2時まで眠れなかった。
キスしてしまった翌日・・・
「ん?夜中ってもう今日じゃなかったっけ?」
気にしない、気にしない(^^;)
「誰と喋ってるんですか?」
紺野さんが突然後ろから飛びついてきた。
「うわぁ!い、いや・・・独り言だよ」
そりゃ、独り言としか言えんわな(^^)
「そーですかぁ。今日はオフですし〜・・・一緒にどっか行きましょう!」
ん?何か俺が休日の日ってオフ多いなぁ。
「ああ、そうだな。この前の看病の礼もこめて」
そーいや、礼はまだだったな。(添い寝は礼に入らず)
そして俺たちは着替え、家をでた。そして・・・初公開。
「ええ?竜哉さん、免許持ってたんですか?」
俺が出してきたのは、バイク。免許ももちろんもっている。
「ああ・・・これで行こう」
紺野さんはワクワク顔。俺も久々でちょっとワクワク。
エンジンをかけて、メットをかぶり、バイクにまたがる。
紺野さんもまたがった。んん?あ・・・胸が背中にあたる・・・・。
ドキドキする前に、さっさと出発しよう。
「じゃあ、行くよ!」バイクをとばすこと15分。俺のお気に入りの場所についた。
「わぁ〜・・・きれい・・・」
着いた所は、海。天気がよかったこともあるが、海が陽の光に当たってキラキラ光っている。
うむ・・・いい時に来れた。
「俺が一番好きな場所なんだ。落ち着くからね・・・」
紺野さんはウットリとした表情。いい雰囲気だ。
おお?寄りかかってきた・・・・。
「竜哉さん・・・・」
・・・ウットリした表情っていうか、ホワ〜っとした表情って感じだな。
そうだ・・・頭なでたらどうなるかな?
「(サワサワ・・)ん・・・」
可愛いよ!ファンがコレ見たら吹っ飛ぶよ!(ちと大袈裟)
「世界で一番、竜哉さんが好きです・・・ずっと一緒ですよ・・・」
こ、コラ、そんな恥ずかしいこと言うんじゃないって!赤面しちまうっつーの!
でも・・・そこまで言われたら・・・・ねぇ・・・。
「俺も・・・好きだよ。」
ほら・・・こんな言葉でちまう。
「そ、そろそろ行こうか。どこ行く?」
さすがにこんな雰囲気慣れてないから、長くはいられない。
「そうですね・・・そろそろお昼だし、食べにいきましょうよ」
そして、レストラン直行。相変わらず紺野さんの胸が背中に当たってドキドキしながら、バイクをとばす(ヲイ)やっぱファンにはたまんねーだろうな・・・こんな生活。
だが・・・この生活も「終わり」が近づいてることを、俺も紺野さんもまだ知らない。別れ。それは突然やってくるもの。俺にとっても例外ではなかった・・・。
ある日、学校から帰ってきたとき・・・
(プルルルルルル!)
「電話か・・誰だ?ったく・・この疲れてる時に」
学校から帰ってきた時、俺はとても不機嫌である。(まあ、この際どーでもいいが・・・)
「はい、もしもし・・・」
「竜哉?よかった・・・まだ学校かと思った」
母さんだ!いきなり、しかも何で?
「どしたの?いきなりまた・・・」
母さんの用件は、驚かずにはいられないかった
「ああ、そうそう・・・喜びなさい。竜哉、一緒にアメリカで住めるわよ!」
何ぃ!いきなりなんだよ!
「どーいうことだ?いきなり・・・」
母さん、ちゃんと説明してくんないねぇ・・・興奮してる感じだ。
「あ、そうか・・・あのねぇ、父さんの仕事が評価されて、一気に出世して、さらに竜哉も一緒に働けることになったの!」
んなアホな・・・・そんな話、聞いたことないぞ!
「じゃあ、手続きして・・早く来なさいよ」
おいおい・・・先走りすぎだっつーの・・・。
「ちょっと考えさせてくれ・・・」
まあ、普段なら「行く!」って言うだろうが・・・
「どーいうこと?一緒に住みたくないわけ?」
あ、怒ってる・・・紺野さんのこと、説明しないと・・・。
「あのねぇ・・・・・・・・・・・・・ということなんだ」
母さんは黙ってしまった。ヤバイかな?
「紺野さんってモーニング娘。だよね・・・じゃあ、つんくと話あってみれば?それで決めなさい」
あ、そっか・・・それもいいか。
「わかった。じゃあ、行くなら電話する・・・」(ガチャ)
ふう・・・さて、どうすっかなぁ・・・。
「ただいまぁ」
紺野さん、帰ってきたか・・・。言えないな・・・海外へ、なんて・・・。
「どうかしました?暗いですよぉ?」
あ、ヤベェ・・・顔に出たか。
「いや・・・もうすぐテストでヤダなって思った」
まあ、順当なごまかしだろうな・・・。
「そーなんですか・・・頑張ってください!」
・・この励ましがいいんだよな・・・でも、嘘ついちまった。
でも、いつかはバレるかも・・・・。その時、紺野さんは・・・。
いや、やめとこう・・・そんな考えは。
「???明るくいきましょ〜!」
ふう・・・とりあえず・・・つんくさんと話だな。
「飯、食うか・・・」
「ハイ!お腹ペコペコです」
紺野さんと別れることになったとき、俺は・・・・耐えられるのか?−無理だ−
紺野さん・・・俺はどうすりゃいいんだ?
翌日、俺はつんくさんに会いにいった。
「おう!どないしたんや?」
笑顔で迎えてくれる・・・心が痛いよ・・ったく。
そして俺は、つんくさんに事情を説明した。
「ふ〜む・・・・よーわかった・・・紺野のことか・・・こっちも頭痛いなぁ・・・。今成長してる時やから、やめられとうないんや」
確かに・・・最近の紺野は大活躍。そのいい時に連れて行けるワケがない。
「そうですね・・・だから俺、一人でアメリカに行こうかと・・・・」
これしかないんだ、と自分に言い聞かせていることを言った。
「なるほど・・・しかし、紺野はどうしたらええ?悲しむやろうし・・・」
だから・・・言われたくないことを言うなって・・・。
「・・・紺野さんには黙って行こうかと・・・」
つんくさんは黙ったまま頷く。やっぱこれが一番いい選択だろう。
「わかった・・・お前が行ったあとで説明しといたる。紺野に気づかれんように、バックアップしたる」
助かるよ・・・ホント。
・・・・・・・・・・・・紺野さん。−ごめんな−
これしか言えない自分が憎い。
それから数日、つんくさんの計らいで、紺野さんは家には戻ってこなかった。
遠くへの仕事で、ホテル泊まり。
電話で会話したりした。長電話で飯田さんに怒られたが(汗)
紺野さんのいないうちにアメリカに行く準備は整った。
「いよいよ明日か・・・・」
寂しさ、罪悪感が募る・・・紺野さん・・・。
(トゥルルルルル)
あ・・・電話・・・。
「もしもし・・・?」
「竜哉さん!起きてましたか!」
紺野さん・・・明るい声・・・。
「ああ、起きてた。紺野さん・・・実は俺、言いたいことがあったんだ」
今日しか言えない・・・・これで最後なんだ・・・話す時間も。
「何ですか?あらたまって・・・・」
「紺野さんのこと、ずっと愛してる。それに・・・いままでありがとう」
これしか言えない。でも・・・伝わってくれたはず。
「・・・恥ずかしい・・・。でも、いままでありがとうって?」
ゲ・・・鋭い・・・・。
「ああ、いや・・・なんでもない。俺明日早いし、もう寝るよ。紺野さん、仕事頑張ってな!」
何とかごまかしきれるか!
「はい!おやすみなさい!明後日帰りますから」
明後日・・・俺はいないんだ・・・。
さて・・・と寝るか。紺野さん・・・おやすみ・・・。そして翌日、俺は夜の飛行機でアメリカへ。
紺野さんを置いて・・・・・・。アメリカで仕事を始めてはみたものの、紺野さんへの罪悪感が消えず、親が言うには「笑顔がまったくなく、厳しい表情」だそうだ。
後でつんくさんに電話で聞いた話だが、紺野さんだけでなく、娘。のメンバーでも泣いた人がいたらしい。
認知度そんなに高かったかな?謎である。
そして、俺がアメリカに来て一年、親に突然呼び出される。
「お前一体どうしたんだ?ニコリとも笑わないで、作り笑いばっかり。どうしたんだ?」
いずれ聞かれることだったのだが、一年たってやっとかよ(苦笑)
俺は紺野さんのことを一部始終話した。すると・・・
「あっはっは・・そうか・・お前も人並みの恋してたのか。」
当たり前だろ?人を無感情みたいに言うな。
「わかった。アメリカに呼んで悪かったな。・・・どうだ?日本へ戻るか?」
何!いいのかよ・・。もしいいんなら、これ以上ない幸せじゃん!
「もちろん、戻りたい!いいのか?」
両親は黙ってうなずいた。よっしゃあ!
俺はその日のうちに日本へ。だが・・・飛行機で不安にかられていた。
皆、怒ってるんじゃないかな・・・もしかしたら忘れられたかも・・・。
そんなアホなことを思ってる(しかも寝ないで)うちに、日本到着。とりあえず、前の家に戻ってみた。合い鍵も(何故か)まだもってた。
ん?明かりついてる。紺野さんいるのか???
ちょいと聞き耳・・・・。
「ねぇねぇ・・・紺野ぉ〜・・・・・・なんでしょ?」
よくわかんねぇ・・クソッ・・・。でも・・まだ紺野さんはいるのか・・・よし、入ろう。
(コンコン!)
「あ、は〜い!」
紺野さん、どんな顔するのか・・・。もしかしたら突然ビンタとか(汗)
(ガチャ)「あ・・・え・・?た、竜哉・・・さん?」
あ、固まった。とりあえず、言うことは・・・と。
「ただいま・・・紺野さん」
と、その時奥から
「お〜い紺野!どした?・・・・・・え?たっっ・・竜哉君?」
ありゃ、矢口さんまで固まった。
「とりあえず、入れてくれる?話したいこともあるし・・・」
「あっっっ・・・はいどうぞ・・・」
積もる話もあるしな・・・。紺野さんは驚いた顔から変わらない・・・。
ちとショックがでかかったかな?とりあえず、色々話した。
アメリカに突然行ったこと・・・謝罪もした。
「ごめんな・・でも、別れが辛かった・・・顔見たら決心が揺らぐと思って」
ん?矢口さん、表情怖いよ・・・。
「つまり・・・別れが辛いから・・・あんたは勝手に出たワケ?冗談じゃないわよ!どんだけ悲しかったと思ってんの?」
あれ・・・?矢口さん、泣いてる・・・。
「すまない。何か、償いをさせて欲しい」
これだろう、やっぱ。ん?紺野さん、固まったままだ・・・しかも目つぶって・・・。
「Zzz・・・・・」
寝てるのかよっ!(三村風)あ〜・・・まったく。
「ははは・・・紺野ねぇ・・・竜哉君がいつ戻ってきてもいいように、必死にレッスンしてたよ。
恥ずかしい所を見せたくないって。それほど好きだったんだよ」
納得・・・。紺野さん・・・・こんなに俺を思ってくれてるのに、俺は勝手にアメリカへ・・・なんということを・・・。
「ねぇ・・・償いするって言ったよね?じゃあさぁ・・・コンサートの時、楽屋に来てくれない?」
はぁ?いきなりなんだ?コンサートだぁ?
「皆には竜哉君のこと内緒にして、驚かす。そんで、紺野の成長した姿をコンサートで見てもらう!これが償いの条件」
そんなこと、おやすいご用だ。むしろ、行ってみたい。コンサート行ったことねぇもん。
「了解!おやすいご用だ」
こうして、俺は後でとんでもなく後悔してしまう約束をしてしまった・・・・。償いっていうか罰ゲームになりそうな・・・感じになってしまうとも知らずに。
コンサート当日。俺は矢口さんに連れられて、楽屋へ。
そこから先は地獄だった。
「あ〜〜!竜哉さんや!」
「!竜哉君!」
楽屋はもうパニック。辻加護にもみくちゃにされるわ、チャーミー、なっちやごっちんに抱きつかれるわ(これはよかったのか?)
飯田さんや保田さんはまず説教かましてくるわ・・・新メンバーは驚いたまんま凍りつくわ・・・。
ヨッスィーに投げられる(w)し・・・地獄・・・・。
その後、なんとか落ち着いたが、その頃には俺はボロボロ。
「大丈夫ですかぁ・・・?」
紺野さん、ありがと・・でも、あんま大丈夫じゃないよ・・・。
「もうすぐ始まります。裏から見ててください」
「そーよ!見てなかったら、デートしてもらうからね!」
保田さん、そりゃないよ(苦笑)
そして、コンサートが開始した・・・。俺は裏で見ていて、娘。が凄く近くで見えた。(当たり前)
しかし・・・やっぱコンサートは違うね。皆の気合いが・・・。
「みんな〜!愛して〜るぜぇ〜!」
矢口さんすげぇな(苦笑)
「今日はいつも以上に完璧に行きます!」
紺野さん・・・いつも以上・・・か。ガンバレ!
そして歌が始まり、会場のボルテージは最高。俺も我を忘れて見ていた。
「すげぇ・・・すげぇ!」
そして、コンサートは終了。以外と早く感じるな〜・・・2時間ぐらいはたったのに。
(アンコール!アンコール!)
うわぁ・・・すげぇな。アンコールかよ。
「竜哉さん、どうでした?」
紺野さん・・汗だくだな・・・。
「すばらしかったね・・・感動したよ」
その言葉を聞いた娘。達はしてやったりの表情。
そしてその後は楽屋で雑談。と、その時・・・。
「あの・・竜哉さん、ちょっと一緒に来てくれませんか?」
紺野さん、何だろう?ハッ!まさか、今からビンタとか・・・(滝汗)
そして俺が連れてこられたのは、会場の舞台の上。「私のこと・・・好きですか?」
な、何を突然!そんなん、答えは好きに決まってるよ・・・。
「ああ、もちろん」
「じゃあ、もう一人にしないでください!」
おわっ・・・抱きついてきた・・・。げ・・・しかも泣いてる。
「もう・・・一人はイヤです・・・」
・・・・そっか・・・俺がいなくなってから、一人だったもんな。
「ああ・・・もう絶対一人にしない」
紺野さんはそれを聞くと、俺から離れて
「じゃあ、証拠を見せてください」
証拠?って・・・おいおいおい、目閉じて顔近づけてきたよ。
これって・・・やっぱ・・・「キス」だよなぁ・・・。
(え〜い!覚悟を決めた!チュッ)
俺は紺野さんの唇に、ちょっとだけキスをした。紺野さんは真っ赤(自分で求めておいてねぇ)
「・・・私、竜哉さんしか愛せない。ずっと一緒ですから!ね!」
トーゼンだろ・・・キスまでしといて・・・。それから、俺たちはまた二人暮らしを始めた。何事もなかったかのように、暖かい生活。
アイドルとして紺野さんは忙しいが、俺たちの愛には関係ない。
そう・・俺らの前に、壁なんてないんだ。
いつか・・・結婚という形で・・・一生をともにするんだろうな。−END−