166
関西人Z 投稿日:2002/07/07(日) 12:23
短編第14弾 <七月七日>
―7月7日 七夕―
私はどんなに忙しくても、この日は空けるようにしている。
なぜならば、それは人に会うため。あれは今思うと運命という言葉が合うかもしれない。
小さい頃のこと
学校は夏休みに入り、私は家族と共に田舎に来ていた。「梨華、何処に行くの?」
「ちょっと高台に行ってくる」夏の夜、とても涼しい風が吹いていた。
その日は凄く星空が綺麗で、私は近くの高台へ向かいそこから星空を見ようとした。しかしそこには、既に一人の男の子が。
私は少し離れたところから星空見ていると、男の子はこちらに気づいて、「一緒に見よう」
と誘ってくれた。
戸惑ったけど、星を見たかったから私は一緒に見ることにした。
最初はお互いあんまり喋らなかったけど、時間が経つにつれて話をするようになった。
でも、楽しいことはすぐに終わるもの。
あまり遅くなるとお母さんに怒られるので、「もう帰るね」と言い階段を下りようとしたその時
男の子が、「ねえ、来年も会えるよね?」
と訊いてきた。
私は一瞬迷ったけど、ハッキリと答えた。「うん!」
それ以来、私は七夕の日になると決まって田舎に来るようにしている。
この日にしか会えない彼。
私たちは織り姫と彦星の関係に近いと思う。
彼は私のことを好きかどうかわからないけど、私は大好き。
だから今日、会ったら告白するの。
フラれたくないけど、好きという気持ちを持ってまた一年待つのはもうイヤ。
私は家を出て高台へ向かう。
とても綺麗な星空を見上げる彼がいた。
いつものように話しながら空を見上げる。
一瞬の沈黙のあと、お互い目が合った。
私は勇気を振り絞って、「私、あなたのことが好きです」
―そして
「俺も、梨華の事が好きだよ」
その瞬間、私たちは七夕という呪縛から解き放たれた。
これからは、いっぱいいっぱい会おうね
〜END〜