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関西人Z 投稿日:2002/07/07(日) 12:23

短編第14弾  <七月七日>

―7月7日 七夕―

私はどんなに忙しくても、この日は空けるようにしている。
なぜならば、それは人に会うため。

あれは今思うと運命という言葉が合うかもしれない。

小さい頃のこと
学校は夏休みに入り、私は家族と共に田舎に来ていた。

「梨華、何処に行くの?」
「ちょっと高台に行ってくる」

夏の夜、とても涼しい風が吹いていた。
その日は凄く星空が綺麗で、私は近くの高台へ向かいそこから星空を見ようとした。

しかしそこには、既に一人の男の子が。
私は少し離れたところから星空見ていると、男の子はこちらに気づいて、

「一緒に見よう」

と誘ってくれた。

戸惑ったけど、星を見たかったから私は一緒に見ることにした。

最初はお互いあんまり喋らなかったけど、時間が経つにつれて話をするようになった。

でも、楽しいことはすぐに終わるもの。
あまり遅くなるとお母さんに怒られるので、「もう帰るね」と言い階段を下りようとしたその時
男の子が、

「ねえ、来年も会えるよね?」

と訊いてきた。
私は一瞬迷ったけど、ハッキリと答えた。

「うん!」

それ以来、私は七夕の日になると決まって田舎に来るようにしている。

この日にしか会えない彼。

私たちは織り姫と彦星の関係に近いと思う。

彼は私のことを好きかどうかわからないけど、私は大好き。

だから今日、会ったら告白するの。

フラれたくないけど、好きという気持ちを持ってまた一年待つのはもうイヤ。

私は家を出て高台へ向かう。

とても綺麗な星空を見上げる彼がいた。

いつものように話しながら空を見上げる。

一瞬の沈黙のあと、お互い目が合った。
私は勇気を振り絞って、

「私、あなたのことが好きです」

―そして

「俺も、梨華の事が好きだよ」

その瞬間、私たちは七夕という呪縛から解き放たれた。

これからは、いっぱいいっぱい会おうね


〜END〜