190
TMC 投稿日:2002/08/23(金) 12:24
シングルベッド
俺は眠れなかった。
このごろはあれだけ続いた熱帯夜もなくなり、
少しずつだけど過ごしやすくなってきた。
しかし、その分だけあいつと出逢った頃と同じ匂いがして
不意にあいつが隣で寝ていた時のことを思い出す。
どんなくだらないことも2人で笑えたあの時を、、、無謀とも言える夢を追って出てきた東京
流行の歌やファッションなんかも全然知らない
俺は周りの奴らから見たら、ただの田舎者だったろう。
でも、そんな俺にあいつは普通に接してくれた。「出身は田舎でも今は東京に住んでるんだから
同じ都会人だよ。そんなこと気にしてたの!?
そんなの気にしない、気にしない!キャハハ!!」あの出逢い人生の寄り道だったのかもしれない
でも、俺はあいつと過ごした2年間を無駄だとは思わない。
寄り道だとしても、もうあんな出逢いをすることは
ダイアモンドを見つけるよりも難しいだろう。「ねぇ、うちらが別れる時ってさ、
どっちから別れ話するか賭けない?」狭いシングルベッドで2人がくっつく様に寝ていると
小さいあいつはこんなどうでもいい事を良く聞いてきた。
結局その賭けには俺が負けてしまった。
「きっと俺からだろうな。」あいつと離れてから一年が過ぎ、
俺は車を買った、オシャレもするようになった。
それでも心は何の変化もないまま
あんなありふれた別れを忘れられずにいる。次の恋でもしてりゃ、辛くはないだろう
だけど、もしあの頃に戻れるならお前を離さない今夜も思い出してしまう。
シングルベッドで夢とお前を抱いていた頃を、、、