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短編の神の意志を受け継ぐ者 投稿日:2002/08/28(水) 11:49
「わー、魚がいっぱい…」
紺野さんはガラスケースの中の魚を見て興奮していた(と思われる)。
「水族館に来たの初めて?」
「いえ。でも小さい頃に1回行っただけなので、何も覚えてなくて…」
「そうなんだ。じゃあ今日は目一杯楽しもうね」
「はい」
紺野さんは嬉しそうに頷く。
僕たちはどんどん奥に進んでいく途中、紺野さんがいきなり立ち止まった。
「…」
何かを見ている。
僕は紺野さんの目線の先を追った。するとそこは、
「『フグの間』?」
何とも変わったブースだ。
「あの、紺野さん?」
「…」
紺野さんは何も返事をせずただ中を見ている。と、一匹のフグがこちらに向いて泳いできた。
僕たちの前で止まる。
「……」
紺野さんは何も言わず、ただそのフグを見ている。
いつまでここにいるのかと思いながら紺野さんを見ると、何か違和感を感じた。
(何かおかしいな。どこだろ)
じっくり顔を観察すると、
「(パクパクパク)」
フグに合わせて口が動いていた。
それに気づいた瞬間、僕は無理矢理紺野さんをその場から連れだした。
前から変わった子だと思ってたけど、まさかここまで変わってるとは思わなかったよ…