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剣士 投稿日:2002/09/08(日) 20:27
「NEVER GIVE UP!」
ある、良く晴れた春の朝、私は目覚ましの音で目覚めた。
「うぅ・・・ん・・・今何時だろ・・?」
と、私は目覚ましを手に取り、時間を見ると・・・8時。
「・・・8時かぁ・・・・え・・?8時!?」
学校は始まるのは、8時30分。私の家から学校までかかる時間は、だいたい30分ぐらいだろう。
「ち・・・遅刻だぁ〜!」
私は急いで、着替え、歯磨きをすませた。所要時間10分。もちろん、朝ご飯はぬいて自転車で出発。
「しまった〜・・・まだ休み気分で目覚ましセットしちゃった〜・・・入学式から遅刻なんてシャレになんないよ。」
今更後悔しても、あとの祭りだ・・と思いながらも自転車を飛ばした。
そして学校に着いたのは8時42分・・・もちろん遅刻だった。
「あちゃ〜・・どーしよう」
と、私が教室へ向かっていた、その時。
「こらぁ〜!遅刻や遅刻!」
うわ・・・私のことかなぁ?
「・・・マジすか?初日ぐらい勘弁してくださいよ・・・」(私のことじゃないみたいだ・・・誰だろう?)
気になって、ちょっと除いてみると、金髪の女の先生が、男子に説教している。
(は〜・・・それにしても、背が高い男子だなぁ)
身長、1メートル90はあろうかという長身の男子。顔はちょっとクールそう・・・って感じだった。
「アカン!初日やからこそ遅刻はアカンねんで!ほら、クラスはどこや?名前は?」
その男子はチッと舌打ちしてから、口を開いた。
「1年A組、牧 宗一・・・」
あれ?・・・私と同じクラスじゃん・・・。
「ん?A組やったらウチの担当のクラスやないか。よっしゃ、それなら一緒に行こか」
そういうと、私のいる所にくる。まずい!と思ったが、遅かった。
「ん?何や!お前も遅刻かい!名前とクラスは?」
あ〜あ・・・こんなことならさっさと教室に行けばよかったな・・・。
「1年A組、松浦亜弥です」
「なんや、お前もか・・・じゃあ、行こか。ああ・・・ウチはあんたらのクラスの担任になる、中澤裕子や・・・よろしゅう」
何で、コテコテの関西弁なの・・・?
「よろしくお願いします。あ・・牧君、だったよね?」
その男子、牧君は驚いた様子でこっちを見た。
「あ、ああ・・・そっちは松浦さんだったな」
「ええ。これからよろしくね!」
私はニコッ!と笑ってみせた。すると牧君は、ちょっと髪をかきながら
「こちらこそ、よろしく」
と、言ってくれた。うん、高校での友達第一号決定〜!そして私達は、教室に入った。すると・・・
「お?遅刻コンビか〜?」
とかいう罵声が・・・もう、誰よ?
「ほら!んなこと言うんやない!席につけ!」
中澤先生ナイス!
「よぉ!松浦!」
あ・・この声、さっきの罵声と同じ・・・。
「あなただったのね・・・圭太」
私に話しかけてきたのは、高原圭太。同じ中学校だった、まあ・・・男友達。
「まあまあ・・・気にすんなって!それにしても・・・お前、凄いヤツと入ってきたな」
え?ワケわかんない・・・。どういうことなのか、圭太に聞いてみた。
「あいつ・・・牧だろ?」
私は、何故知ってるのか?という疑問を持ちながらうなずいた。
「俺、中学校の時、バスケ部だっただろ?決勝でアイツのいるチームに負けた。アイツ、その時の県MVP、ベスト5に選ばれたヤツ。で、アイツは全国でも力を発揮して、全国ベスト4だったんだよ」
へぇ〜・・・そうだったんだ・・。牧君・・凄いなぁ。
「おお!そうだ!今日さ、突然だけど、合コンみたいなのがあるけど、お前こねーか?」
は?合コン!?高校生がそんなことやってもいいの?
「男子は5人で、女子は4人しかいないんだよ!頼むよ!」
そんなこと言われても・・・ねぇ。
「・・牧も来るぞ?アイツとは友達だしな」
私はその言葉にピクっと反応した。牧君が来るのか・・・それじゃあ・・・。
「わかった・・・行く。どこで?」
圭太はニヤっと笑い、メモを出してきた。
「ここだ。俺と牧の行きつけの店なんだけど・・・じゃあ、頼むぜ!」
と、圭太は言って、牧君のとこに行ってしまった。
「よぉ!牧〜!合コン来いよ〜!今日のね」
「久しぶりだな・・・ケータ。わかってるよ・・ったく」
凄い親しそう・・・。合コンか・・・牧君を知るいい機会かもね!よっし!チャンス生かすぞっ♪その後、始業式、ホームルームを終え、早くも下校になった。
「さて・・と・・帰らなきゃ・・・」
と、私が教室を出た時
「よう・・松浦さんだったな」
突然後ろから声をかけてきたのは、牧君だった。
「っ・・・!びっくりしたぁ・・・」
牧君は申し訳なさそうに頭をかきながら、謝ってくれた。
「ご・・ごめん。・・今日のアレ、行くんだろ?」
アレ?ああ・・・合コンね。
「うん、行くよ。牧君も行くんだよね?」
牧君はコクリとうなずいて、私の肩をポンと叩いた。
「じゃあ、3時に・・・ああ、それと、俺を牧君、て呼ばないで、宗、でいいよ・・・じゃあ」
と、牧君は去って行ってしまった。何で牧君が嫌なんだろ?・・それに宗って?ああ、宗一の宗か!
「お〜!松浦!」
また、うるさいヤツが・・・。憎めないけどね。
「お前、今牧と話してただろ?何喋ったんだ?」
私は、喋っていた事を説明した。すると、圭太が驚いた表情になった。何で?
「お前・・牧のことを宗って呼べるのは、ごくわずかだぜ?それを、向こうからいきなり呼んでくれっていうってこたぁ・・」
何?何なの?・・私が、わかんないと言うと、圭太は呆れた表情で
「・・鈍い女だな・・まあいいか。じゃあ、今日来いよ!」
と、圭太も帰っちゃった。そして私も言えに帰り、服を選び始めた。何でって?・・女性は服に気をつかうものなのよ!
そして、服選びに悩んだ末、私は着ていく服を決め、その合コンの会場に向かった。
「ここね・・・よぉし!」
と、私は意気込んで入った。すると、圭太ら、男4人と、女が4人。
「よぉ!松浦!ここだ!」
と圭太が呼んでくれた。あれ?・・まだ、牧君がいない・・・・。
「牧のヤツか?もう来るらしいから、焦るなよ」
・・・読まれた。何か・・・悔しい・・・。あれから10分待った。けど、牧君はまだ来ない。
「牧のヤツ、遅い・・・」
圭太もさすがにイラついてきたらしい。そりゃそうよね・・・。と・・その時、店のドアが開いた。
「よう・・遅くなってスマン」
入ってきたのは、牧君。ジーパンに黒いTシャツを来ていた。
「遅いよ!ったく・・・」
圭太ら男子はすっかりご立腹。が、女子達はちょっと牧君に見とれて・・・。う゛〜・・・牧君ねらいかなぁ?
「宗!ここに座って〜」
牧君を、早速あだ名(?)で呼んできた。すると、牧君はニコリと笑い、私の真正面に座った。
「じゃあ、早速自己紹介。俺は高原圭太。今度バスケ部に入る予定。特技はバスケとか、球技だな」
圭太、やっぱりバスケやるのね・・・・。後の男子の名前は?
「桃井優樹です。野球部に入る予定で、特技は野球、料理かな」
「新井流一。テニス部はいる予定。特技は格闘技かな」
「赤井剛だ。帰宅部予定。特技はサッカー・・・よろしく」
ふ〜ん・・・まあまあ・・かな?どれもこれも・・・・。そして、牧君の番だ!
「牧宗一です。バスケ部に入る予定。特技は・・・・あんまりないかな」
ガクン!何だ〜・・・アッサリしてるなぁ・・。まあ、牧君らしいかな?
そして、女性陣の番ね。・・・女性陣は美人が多いなぁ・・・。「吉澤ひとみです。バレー部に入る予定で、特技はバレーです!よっろしくぅ!」
なんか、元気な人だなぁ・・・・。でも、明るくていいのかも・・・。
「こ・・・紺野あさ美です・・。合唱部に入る予定で、特技は・・・りょ・・料理です」
あ〜あ・・・緊張してる。でも、とろ〜んとしてて、可愛いなぁ。
「藤本美貴です。バレー部に入る予定で、特技は・・・得にないですね!」
この人もバレーなんだ・・・。バレー人気なのかなぁ?
「後藤真希でぇっす。テニス部に入る予定で、特技は料理かなぁ」
この人、美人だな・・・同じ学年とは思えないよ・・・。あ、私の番だ。
「松浦亜弥です。バスケ部のマネージャーやる予定で、特技は・・・歌を歌うことかな」
こんなもんでいいかな?自己紹介って・・・・。
「よっし!じゃあ、始めますか。料理も頼まないとね・・・」
そして私たちは料理を頼み、会話を楽しんだ。最初は、牧君に注目が熱かったけど、今はばらけたみたい。
(桃井君と紺野さん・・・後藤さんと新井君、で・・・赤井君と藤本さん・・で、圭太と吉澤さんか・・全部男子が仕掛けていった感じだけど・・・じゃあ、私は牧君と・・)
と、牧君にアプローチをかけようとしたその時・・・
「ねぇねぇねぇ!牧君ってさぁ、どんな人が好みなのぉ?」
(う・・・横槍・・・。く・・くそ〜!あきらめないもん!絶対アプローチしてやる〜!)
私が燃えてる間に、牧君がタジタジ・・・・。悔しい〜!私が燃えてるのに気づいたのか、圭太が横からこっそり喋りかけてきた。
「大丈夫だって。牧のことは」
また読まれた・・。私ってわかりやすい?
「俺にまかせとけって。お前と牧をうまくいくようにしてやるよ」
・・ありがたいけど、大丈夫かなぁ・・・?
「よっしゃ!予定通り今からカラオケ行くぞ〜!」
よ、予定通り?聞いてないよ?!圭太ってば・・・・ちゃんと説明してほしいよ・・・。そして、私達はカラオケへの移動を始めた。と、その道中、後藤さんが喋りかけてきた。
「ねえねえ!誰が狙い?」
「え?私は・・・」
私がモゴモゴしてると、吉澤さんが横槍を入れてきた。
「あたしはねぇ〜・・桃井君!牧君もいいけど、喋ってみると、凄いいい人だし・・料理得意って私的にポイント高いよ〜」
へぇ・・吉澤さんは桃井君ねらいかぁ・・・・。
「ヨッスィ〜はそうなんだぁ・・・アタシはねぇ・・・高原君だね、うん。かなり優しいし、凄くおもしろい人だよ〜!」
け、圭太を?・・・騙されてる、絶対・・・。
「私はねぇ・・牧君がいいかなぁ・・・と思ったけど、赤井君がいいかなぁ。何かカッコイイよ〜!クールで、でもちょっとした優しさがあって・・・」
藤本さんは赤井君かぁ・・・。確かに、クールで、かっこいい顔してるもんね〜!
「私は・・・新井君・・・。凄く優しくて、色んな話もできたし・・・」
へぇ〜・・・紺野さんは新井君か・・・。まあ、順当かも。
「で・・松浦さんはぁ?」
う・・・紺野さんは・・・結構ツッコミが鋭いなぁ。
「・・私は・・牧君・・・」
すると4人は驚いた様子ではなく、やっぱりね・・といった表情だった。
「わかってたわよ。だって、牧君しか見てなかったし」
え?完全にバレバレだったの〜?
「でも、牧君、かっこいいし、何か凄いオーラみたいなのあるから・・・乗り換えちゃうかも」
「うん、それは私も・・。「アタシも!」「わ、私も・・・」
やっぱり、牧君が一番人気なのかもね・・・。でも・・・
「絶対宗は譲らないわよ!」
と、女性陣に宣戦布告。こうなったら、絶対絶対、負けられない!そして私たちはカラオケに着き、早速部屋に入った。
皆は楽しそうな雰囲気だったが、私は絶対牧君を奪われないぞ!と燃えていた。すると、圭太がまた近寄ってきた。
(お前、最初に歌えよ。お前歌うまいから、なんとかなるかもよ?)
普段なら、何言ってるのよ!という所だけど、今日の圭太の言葉に説得力すら感じた。で、私はトップで歌うことに。
(ホントに歌うことで牧君に届くかな?まあ、やってみないとわかんないけど・・・)
不安はあった。でも、歌うことで気持ち届いたらラッキーだ!と開き直って歌った。それを牧君はニコニコしながら見てくれた。歌い終わると、
「歌、うまいんだな」
誰の誉め言葉よりも、牧君のこの誉め言葉が嬉しかった。最高だった。生まれて初めてかもしれない。こんなに、嬉しいのは。
圭太はニヤっと笑いながら人指し指をピっと立てた。おそらく、やったな!という意味だと思う。
(圭太、ありがと・・・)
圭太の協力が凄く嬉しかった。アイツがここまで協力してくれたことなんて、今までなかった気がする・・・。
「さあ、ドンドン盛り上がるぞ!」
この後、最高に盛り上がった。満足感でいっぱいだった私も、ハジけた。楽しかった・・・。
そして、カラオケを出る時間になった。
「そんじゃあ、解散だ。俺と後藤さんはここで。」
圭太と後藤さんは、手をつなぎながら仲良く行ってしまった。幸せそうな感じ。圭太、よかったね。
その後、連鎖反応で、紺野さんと新井君、赤井君と藤本さん、吉澤さんと桃井君も仲良く手をつないだり、腕を組んだりしながら行ってしまった。皆、幸せそうに、笑顔で。
「俺たちも、行くか」
牧君が沈黙をやぶり、誘ってきた。そっか!皆いなくなったし、チャンスなんだよね。
「どうした?」
私が黙っていたので、牧君は心配してくれた。その気遣いも、凄く嬉しい・・・。
「何でもない!じゃあ、行こっか!」そして私たちは、黙々と歩いた。どこに行こう、とかいう目的もなく。
「あの」
私は沈黙に耐えかねて、牧君に喋りかけた。
「ん?何?」
牧君は笑顔。こっちの気もしらないで!
「どこ、行きましょうか?」
今更、とか言われても仕方のないことだけど、どこ連れてかれるかわかんないもんね。
「そうだな、ちょっと学校に寄ってくれないか?」
は!?学校?こんな、デートともいえる状況で、学校?
「い、いいけど・・」
さすがの私もちょっと動揺した。学校に何しにいくんだろう?そして私たちは学校に到着。すると牧君はすぐさま体育館に向かって歩き始めた。体育館に行っても、もちろん誰もいない。
「よし・・ちょっとだけやっていくか」
やっていく?何を?あ、そっか。わかったわ・・・。牧君はバスケットボールを取りだし、リングに向かって走った。それにしても、速い!
「ッラァ!!!!」
そこにいたのは、さっきまでの牧君とは違った。厳しい顔つきで、気合いのこもった姿。
「ふ〜・・悪いな、付き合わせて。これやっとかないと、何か体がね」
あ、普通の牧君に戻った。でも、凄い変わり様だな〜。
「疲れてませんか?」
そう聞くと、牧君は笑いながら
「一発だけじゃあ、疲れないよ。でも、今日は何発やっても疲れそうにないね」
そりゃあ、一発じゃ疲れないけど、何発やっても?今日は?どういうこと?
「松浦さんがいるとさ、何か安心するね」
「な、何言ってるんですかぁ!も〜う」
私は、顔が熱くなってるのがわかった。赤面してる・・。これって、もしかしてチャンス?
「あのさ・・・」
私が色々妄想してる時、牧君が喋りかけてきたので、私はビクッ!とした。
「な、何ですか?」
「もしよかったら・・・俺と、付き合ってくれませんかっ!」
私は固まった。私が言おうとしてたことを言われた。しかも、凄く必死な表情で。
「はい!こちらこそ、よろしくお願いします」
もちろん返事はこれ。断る理由もないし、お互い好き同士だものね。
「ありがとう!よし・・高校でも、バスケ頑張るぞ!今度は、日本一だ!」
牧君の笑顔は輝いていた。私は、この笑顔をいつまでも支えていきたいと感じていた。「私、精一杯サポートするからね!」
〜END〜