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我犬。@保全 ◆N0E.Nono 投稿日:2002/09/12(木) 11:10

【クール?-5-】

仕事から帰ってきたら珍しくひとみが一足先に帰っていて
これまた珍しく食事の準備をしていた。
明かりのある部屋・・・小さな幸せ。

「あ!ちょうど良い時に帰ってきたぁ!」

ひとみは包丁を持ったままこっちに振り返る。
包丁が目の前に・・・

「ちょっと脅かす気かよ!」

ただいま。お帰り。のやり取りのないまま
ひとみは謝りながら慌てて包丁を引っ込めた。
そして、何かを頼む時の顔になる。
キラキラした目に長いまつげ
その目で下から覗き込むような仕草。

「何?」

「ちょっと醤油買ってきてくれない?
 ギリギリだから、もしかして足りないかも」

オレは近くのコンビニに醤油を求めて向かう。
醤油とついでに飲み物も買って、
あまり来る事のないコンビニの店内をぐるぐると周る。
小さな車のオマケが付いているお菓子をみつけた。

レジを済ませて部屋に戻ると、ひとみは食事の準備を終えていた。
買い物袋を渡すとお礼の言葉を言いながら醤油を取り出し飲み物を冷蔵庫に入れた。
そして、呆れた顔をしながらお菓子を取り出した。

「うちのパパや弟に買い物を頼んだ時もそうだったけど・・・
 男の人はどうして、こうやって余計な物まで買うの?」

オレは言い返すことも出来ないで買ってきたお菓子には手を出さないで、食事をした。
食事しているときには、ひとみはすっかり機嫌を直していて
その事にはもう触れなかったが、それが逆にオレのあのお菓子のオマケの車が
気になってしょうがなかった。

そして食事の後にひとみが食器を洗っている間にコッソリ買ってきたお菓子の箱を開ける。
中には、ほんの少しのお菓子と数百円のオマケとは思えないような
精巧に出来た車が入っていた。
思わずそれを掌に載せてあらゆる角度から眺めていた。
そして親指と人差し指でそっと摘まんで裏側を見る。
ちゃんと裏側まで精巧に作られている。と思った瞬間
視界から車が消えた!

「すげー、かっけー」

ひとみはオレの手から車を取り上げて少年のような目で眺めていた。
さっきまで文句言ってたくせに

それに─

どこがクールなんだか・・・