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保全代わり 投稿日:2002/10/19(土) 17:18
「いったー」
「ったく、いい歳して…」
「歳は関係ないでしょ!」芝の上に座り込んでいるなつみは、膝を押さえながらプーッと顔を膨らました。
膝からは血が出ている。
俺は呆れながら、「いくら何でもサッカーボールを追いかけて転ぶことはないだろ」
と言うとなつみは、
「だって男の子が早く取って欲しそうに見えたんだもん!」
と怒りながら主張した。
「わかったわかった。立てるか?」
「立てない」即答に対し俺は一つ溜息をつくと、なつみに背中を向けてやった。
「ほら、乗れよ」
「え?おんぶしてくれるの?」
「仕方ないだろ。はよ乗れ」
「はーい♪」何とも嬉しそうななつみ。
背中に乗ったのを確認し、ゆっくり立ち上がると、「わー、たかーい」
無意味に無邪気になった。
「何言ってんだ。行くぞ」
なつみは俺の背中に身を委ね、
俺はなつみを感じつつ、秋の日差しを受けながら歩き始めた。