216
TMC 投稿日:2002/10/22(火) 16:38
「As white as snow」
今でも考えることがある、あれは恋だったのかと。
それは、にわか雨のように突然始まり
雪が溶けていくように終わってしまった。おそらく僕のせいで別れてしまったのだろう。
君は優しい微笑みで僕を包んでくれたのに
不器用な僕はそれに応えることができなかった。
初めての彼女にどこかとまどいを感じていた。「お前、松浦と付き合ってるんだって?」
この質問を友達からされる度に曖昧な態度をとっていた。
悪い噂が自分を傷つけてしまうのではないか、と
寒くなるにつれて段々と二人は離れていった。その年の冬は例年よりも寒さが増して
久しぶりに雪が積もったりもしていた。
初めて一緒に帰った日の歩道も白く染まっていた。
その時初めて繋いだ手の温もりは忘れられない。
クリスマスも一緒に過ごすって決めてたっけ。クリスマスになっても雪は少し残っていた。
待ち合わせ場所は駅の前にした。
僕はその日急用ができて時間に遅れてしまった。
連絡もしないで2時間も待たされれば
おそらく彼女もすでに帰ってしまっただろう、
そんな考えが頭の中をよぎっていた。でも、君はずっと待っていてくれた。
雪のように真っ白なコートを着て白い息を吐きながら。
向こうから僕のことを見つけると
「遅いよ!」と言いながらも笑顔で手を振ってくれた。
もう片方の手には袋があった。
中身は僕へのプレゼントのマフラーだった。それから2ヶ月後ぐらいだったろうか。
ついに別れの日がやってきてしまった。
いつものように一緒に帰っていると君はやけに明るかった。
君の家の前まで来ると「ちょっと待って」
うつむいた君は「やっぱり、言えないよ」と呟いた。
そしてとびっきりの笑顔で手を振ってくれたっけ。
「バイバイ!」あれが恋かどうかは今はまだ解らないけど
ねぇ、初めて繋いだ手の温もりが忘れられないんだ。
ねぇ、最後のあの笑顔が忘れられないんだ。
雪のような君の姿が頭から消えないよ。
でも、雪は何も知らずにただ溶けていくだけだよね。だからあの別れは必然的なモノだった気がする。
だけど、偶然でもいいから今度会えるときには
2人とも笑って話せるといいな。Fin.