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silent suzuka 投稿日: 03/02/20 22:52
深夜、人気(ひとけ)のない路地裏を歩く独りの長身の男がいた。
?「この辺だよな確か……」
その通りには深夜にもかかわらず4〜5人でたむろしている若者がいたり、
壁などにひどい落書きがしてある。その男はそんな周りを気にする様子も無く何かを探し回るように歩いていた。
「おい、そこのオッサン」
道端でたむろしていた若者らがその男に声をかけてきた、
どう見ても好意的ではないのは明らかだった。「なぁこんなとこに何のようだい、オッサン」
「残業遅くまでお疲れさん」
「いっぱい働いたんだろ?ちょっと俺達にも分けてくんない?」カツアゲ見え見えの脅しの言葉がその男に向けられたようだ、
?「ハァ……今の日本はバカばっかだな……」
その男は呆れたような仕草でポツリとつぶやいた、
「あぁ!ゴタクはいいから黙って金置いて行き…」
まだある若者が喋っている時だった、
バキ!
「ゲハッ」
その男の左フックが顔面に入り、その場で大の字で失神していた。
「この野郎!」
と喋り終わった後には既にもう2人が大の字で失神していた。
「クッ…ブッ殺してやる!」
残り一人がナイフを取り出した時のことだった、
カチャ、
その男は既に眉間に銃口を向けていた。
「うっ……」
さすがその若者は動揺の色を隠せなかった。
?「俺も怪我したくないんでね、さっさとその刃物を置いて消えな」
妙に威圧感のある声がいっそうその若者の恐怖を煽り立てた、
「チッ!お…オモチャなんかで騙されねぇゾ、コラ!」
?「なら試してみるか?」そう言い放つとその男は一気にトリガーを引いた、
ガチャン!
しかし弾は発射されずにコックの音が空しく辺りに響いた、
?「チッ…弾ぁ入れてなかったか…」
「ヒッ!ひぃぃ〜」その若者はその場に尻餅をつき、這うようにその男から逃げ出していった。
?「とんだ物見遊山だったな、早く行こう」
その男は何も無かったかのようにまた歩き始めた。
ここはある部屋の一室―
電気もつけず、暗い部屋の中でただ黙々とパソコンに向かっている男がいた。
部屋の周りはあちらこちらにミリタリーグッズが所狭しと置かれていた。??「フーッ、」
男は深くため息をつき席を立った時のことだった、
コンコン
深夜、不意に玄関のドアが鳴った、
どう考えても風のせいではない、人為的なノックの音だ。??「誰だ、こんな夜遅くに?」
男はドア越しに話し掛けた、
もちろんドアは閉まったままだ。?「坂本……坂本だな?」
ドアの向こうから野太い男の声が聞こえた、
??「そういうアンタは誰だ?人に名前を聞く前に自分から名乗るのが礼儀だろ?」
ドアの向こうの男は一息おいてからこう言った、
?「“S”って言えば分かるかな……?」
??「!?」男はその言葉に驚き急いでドアを開けた、
そこには190cm以上あろうかという長身の男が立っていた。??「アンタが“S”……どうしてこんなところに…?!」
男は驚きを隠せない様子だった、
だからと言ってそのSという男に危機感や殺気を感じているようには見えなかった。S「やっと見つけた。もう一度聞く、坂本龍(さかもとりゅう)だな?」
坂本「ああ……そうだ…」
S「上がらしてもらうぞ、込み入った話しなんでね」
坂本「ああ……」坂本はSを上がらせドアを閉めた。
S「……すげぇ物多いな」
Sは部屋の中のミリタリーグッズの多さに驚いていた。
坂本「しょうがないだろ、置く所が無いんだから」
物が多いと言っても別に散らかっているわけではないせいか、
座れるスペースはあった。
むしろ整理整頓が部屋の隅々まで行き届いている感じだ。S「早速だが本題だ」
Sはその場に座り込み話し始めた。
S「お前、明日から仕事に行くだろう?」
坂本「よく知ってるな、誰から聞いた?」坂本は関心と驚きが混じった表情をしていた、
S「俺は“裏”の人間なんでね、情報は早いんだよ」
坂本「正確に言うと今日の昼なんだけどね、そこに行くの」確かに、日付を既にまたいでいるから坂本の言う通りになる。
S「揚げ足取りはいい、今度のお前の依頼と今の俺の依頼にある共通の組織が絡んでいる」
坂本「…なるほど、その組織を捕まえるために俺に協力しろと?」坂本の読みとは裏腹にSは鼻で笑い、
S「フッ別にお前の協力はいらん、ただ少しお前の依頼に首を突っ込ませろということだ」
坂本「結局俺が協力しないとジャン」
S「あのなぁ別にな……」Sがムキになって反論しようとしたが、
坂本「まあいいや、その代わりアンタの情報網を使わせてくれよ」
S「……図々しい奴だ」今度は坂本が鼻で笑い返した。
S「よし、もう寝るぞ」
坂本「なに?泊まって行くつもりなのか?」
S「そんくらいケチケチすんな」
坂本「……どっちが図々しいんだか…」坂本は渋い顔をしながらも結局はSに寝床を提供したのであった。
S「おい、起きろ」
朝、Sが坂本を起こす頃にはSの準備ができていた。
坂本「ぅん?はぇえなアンタ」
S「睡眠なんて4〜5時間あれば十分だ」その言葉に坂本は渋い顔をした、
もっとも、眠かったに起こしやがってと言うのが正しいのかもしれない。坂本「はいはいちょっと待ってね〜」
坂本は起き上がり準備に取り掛かった、
坂本「よし、ちょっと早いが行くか」
S「早く行くのは当たり前だろ」
坂本「ヘイヘイ」坂本はややスネ気味に返事をした。
坂本が車を運転し依頼主の先まで向かっている時のことだった、
S「おい」
Sが不意に坂本に呼びかけた、
坂本「なんだ?」
S「今、俺の追っている組織は近々日本で一暴れするらしい」
坂本「ほう……それを食い止めるのが仕事か?」
S「バカ言え、真の目的は別だ。そのことを十分に理解しておけって事だ」
坂本「で、その“真の目的”って何だ?」坂本の問いにSは
S「そんなことお前には関係が無いことだ」
冷たくあしらったのであった。
坂本「あーそうかい」
そんなSの態度に既に諦めたような反応を坂本は示した。
坂本「さてと…この辺だったような……」
と間髪いれず
S「そこを右だ、依頼主の場所ぐらい正確に覚えておけ」
と言い放った。
坂本「何だ、知ってるんだったら言ってくれてもいいのに」
S「今言ったじゃねーか」Sの性格にもう慣れたのか坂本は何も言い返さなかった。
と言うより、やっぱり諦めだろうか?
2人は車を降り、あるビルの中へ入っていった。
受付には会長自らがおり、2人を応接室へと向かえた。
S「(会長自らとは…相当やばい事を頼んむな…)」
Sは独り裏側を読み始めていた、
最も坂本に依頼する時点で相当やばいことだと思うのだが。S「(あの組織とこの依頼が繋がっているという情報はつかんだが、
依頼自体何なのかは掴めなかったな……)」と、会長がいきなりこう口を開いた。
会長「あのー、御一人という風に伺ったのですが……」
すかさず坂本がこう言った、
坂本「サービスですのでご安心を、料金はこれ以上取りません」
会長「そうですか、安心しました」
S「(金目のことは抜かりが無いな……そうでないと会長なんてやってられねぇか)」3者3様の思惑が工作する中、次に坂本が口を開いた。
坂本「早速ですが、用件の方を御願いします」
S「(お、早速入ったか)」会長は少し見をこわばらせ、依頼の内容を次のように話し始めた。
会長「最近、脅迫がひどくて困っているんです」
坂本「脅迫?」
会長「ええ、怪文章から始まってコンサートを中止しろと言う脅迫電話とか、
最近はタレント宛に爆弾まで送られてきました」するとSがこう口を開いた。
S「モーニング娘。宛の脅迫の事か………」
会長「え!?なぜそのことを……」
会長は驚きを色を見せた、
まだその事は世の中には公表されていないからだ。S「そんな事は既に分かっている、下手な隠し事は止めておくんだな」
坂本「(ほーぅ、さすがだな)」うろたえる会長を尻目に2人は平静だった、
会長「そ、それでは話しが早い…依頼はおっしゃる通りメンバーを守って欲しいのです」
2人ともフーンといった様子で依頼を聞いた。
そしてやや間を置いて、坂本「分かりました、お受け致します」
S「……」
会長「そうですか、それではよろしく御願い致します」会長は軽く頭を下げた。
坂本「それでは準備がありますのでこれで失礼します」
2人は席を立ち、いったん引き返した。
そして帰りの車中でのことだった、
S「……しかし、分からんな」
坂本「ん?」
S「いやな、お前の依頼と俺の追っている組織が共通していることが分かった。
しかしお前の依頼はアイドルのボディガードだ。
一体どの辺がどういう風に絡んでいるのかがよく分からなくてな。」
坂本「………そうなのか…?」Sの仕事の内容がわからない坂本にとってはそう答えるしかなかった。
S「…まぁ、何事もやらなきゃ分からんからな、しょうがない」
Sは自分を納得させるようにこう言った。
そして少し間を置いて坂本が話し始めた、
坂本「明日から早速仕事だそうだ」
S「場所は?」
坂本「とりあえず、いったん事務所の方に来てくれだそうだ、
モー娘。は明日日テレで収録があるんだけどな」Sは特に疑問をもたずに聞き流した、
事務所の人間と一緒に行くことで2人の身分を隠そうという事なのだろうと。S「……スマンがこの辺で降ろしてくれ、ちょっと気になることがある」
坂本「おう、分かった」坂本は駐車禁止の所に車をいったん止めた。
S「7時くらいまでには戻る」
そう言うとSはすぐに走り始めた。
坂本「(……何か気になる事があったんだろうな……
明日の仕事に引っかかることかも知れんな……)」何となくだが坂本はこう予想していた。
そして、坂本が夕飯も風呂も済ませた8時30分位の事だった、
コンコン
坂本「はぁい」
S「俺だ、Sだ」坂本は除き口から姿を確認した後ドアを開けSを入れた。
S「フーッ、悪いな遅くなっちまった」
一つ大きなため息をつき座り込んだ。
坂本「で、どうだった?何か分かったのか?」
S「おう、分かりすぎたくらいだ」
坂本「何?」Sの言葉に坂本の表情が険しくなった、
坂本「どういうことだ?」
S「明日日テレに小隊が突っ込んでくるらしい、人数は不明だがな」
坂本「何だって?!」熱くなる坂本をよそにSは淡々と話しを続けた、
S「俺独りでその小隊を今日にでもやってしまおうかと思ったが、
消息が掴めなくてな。明日日テレで奴らを迎えるしかない」
坂本「どうする、一応警察に言ってみるか?」
S「アホ言え、もうやったよ。俺にだって警察と繋がりはあるからな。
でもダメだった、情報が不確定すぎるだと。」
坂本「そうか……」やはり迎え撃つ方法をどうしても取りたくなかったのであろう、
「警察」という手を使えばある程度は被害を抑えることができるからだ、
少なくとも日テレで迎え撃つとなるとこちらが不利なのだから。S「……」
坂本「……」2人とも考え込んだのか、黙り込んでしまったようだ。
S「考えたってしょうがねぇ、2人で何とかするしかねぇな」
坂本「……そうだな」数分の沈黙の後、2人がたどり着いた結論だった。
S「おい、お前はそれを持っていけよ」
Sは坂本の後ろにあった「MP5A4」を指した、
MP5A4…http://www.yo.rim.or.jp/~mimiro/hobby/gun/mp5a4.html坂本「オイオイマジかよ、こんなモン持っていくのか?」
S「向こうは小隊がくるんだ、ハンドガンなんかじゃやられるぞ。
それに向こうが“まともに突っ込んでくるか”なんて保証は無いからな」Sは万一の事態にも大丈夫なようにという事でこう言ったのだろう、
さすがプロといったところだろうか?坂本「そちらはじゃあどうするつもり?」
S「フン、俺はいつもの愛用品を持っていくからお前は自分の心配をしろ」
坂本「へーへー」坂本は適当な返事でSの言葉を流した。
坂本「(しかし本当にそんなのが日テレに来るのか……?)」
坂本は向こうの作戦に疑問を浮かべていた。
坂本「そう言えば、クライアントに話していないな」
と、
S「それならもう話した」
坂本「っと……打つ手早いな。で、何だって?」
S「俺は一応止めるようにと言ったんだが向こうが断った」坂本は怒りと疑問が混じった顔をしていた、
坂本「それは一体どう言う事だ!?メンバーを見す見す殺す気か!?」
S「まぁ落ち着けよ」いつものトーンで坂本をなだめた。
S「まぁ向こうの考えは置いといてだ。
俺はこれが警察に促す警告のチャンスと思っている」
坂本「チャンスだと?」
S「そうだ、危険すぎるがこれを凌げば否が応でもモー娘。にはガードがつく。
そして相手方の身元が割れれば……」しかしSは話を途中で止めた。
坂本「何だよ?身元が割れると?」
S「そっから先は俺の都合だ、お前には関係が無いから話さん」
坂本「そっ」坂本は気にかけず素っ気無い返事をして返した。
そして翌日、
2人は事務所に向かい、そこから日テレへ向かった。2人の手元には大きなアタッシュケースがあった。
坂本「どうする?メンバーにも話すか?」
S「いや、下手な不安感を煽りたくない。
話さないということをクライアントには話してある」
坂本「(こいつやけに手際がいいな…)」自分の依頼を半ば手伝っているSに対して坂本はこう思った。
坂本「とりあえずメンバーの近くからは離れないようにしておくか?」
S「その方がいいだろう」2人は娘。を見守りつついつでも出撃できる体制をとっていた。
私服の大人2人が日テレを歩いていても誰も気づかないだろう、
2人がよそ者という事を、
そしてこれから小隊と戦おうとしている事も。特に何事も無く収録が続いていた、
坂本はこのまま何も無いだろうと思っていた。その時だった
S「ムッ!」
坂本「どうした?」Sが右手を右耳に当て険しい顔をした、
S「とうとう敵さんが来たぞ」
とSは坂本にイヤホンを手渡した、
坂本は疑問を感じながらもそれを右耳に当てた。すると―
「うわぁー!!」
ボーン!!パパパパパ………パパパパパパパ……!!
坂本「!?」
Sは坂本に貸していたイヤホンを取り上げ、
S「これは駐車場に仕掛けた盗聴機だお前はここを保守しろ、
俺は下へ行き奴等を食い止める」そう言うと武器を持ち全速力で走り出した。
坂本「すみません、カメラを止めてください!!」
坂本が収録現場で声を張り上げた。
周りのスタッフが「何だ?」というような厳しい表情を見せた。
マネージャ「坂本さんどうなされたのですか?」
マネージャが坂本の下へ慌てて駆け寄った、
坂本は指示に従うようにマネージャに言いつけた。坂本「皆さんここから離れないでください、
非常に危険な状態ですのでお願いします!」とプロデューサーが坂本に歩み寄った、
プロ「何だねアンタは、番組の……」
ドーン!!
突然スタジオにも聞こえるようなバカでかい爆音が鳴り響いた、
坂本「チッ、もう来やがったか!?」
うろたえる周りをよそに坂本はもう一度、
坂本「皆さんここから離れないでください、
非常に危険な状態ですのでお願いします!」と叫んだその時
飯田「あれ、高橋は?高橋はどこ?」
その言葉に皆辺りを見回し高橋を探すが見つからない、
スタジオに不穏な空気が流れ始めた、坂本「高橋さんは私が必ず連れてきます、
皆さんはここで待機していてください!
私以外の人間をここには入れないようにしてください!」そういい残し坂本は高橋を探しにスタジオを出た。
坂本はMP5A4を片手に高橋を探し回った、
辺りは火薬臭い匂いと煙が確認できた。坂本「高橋ー!!どこだー!!」
坂本は楽屋・女子トイレと周ったがいなかった、
周りの人々は警報機が鳴っているのに反応し次々と避難し始めていた。坂本「(くそっ!!一体どこだ!?)」
と以外にもロビー付近でオロオロしていた高橋を坂本は発見した、
坂本「高橋愛だな、早く戻るんだ!」
高橋「え…あなたは……?」
坂本「話は後だ!死にたく無ければ俺について来い!!」突然の状況にオロオロしている高橋を一喝しスタジオに戻ろうとしたその時だった、
パパパパパパ!!
坂本「伏せろ!!」
高橋「キャッ!!」坂本は高橋を押し倒すようにその場に伏せた、
坂本「ちっ!(パパパパパパ!!)」
坂本の右手にあったMP5A4が火を噴いた、
敵は坂本の発砲にひるみ、すかさず物陰に隠れた。坂本「今の内だ、スタジオまで走れ!!」
高橋「え…あ………」銃撃戦にビビったのか坂本の言葉に反応を示さなかった。
坂本「ここは俺が食い止める!その間にお前は逃げろ!!」
高橋「イヤ……そんな……」2人が会話している際にも向こうから銃撃がある状況だった、
坂本「チッ!!」坂本は左腕で高橋を抱え込み発砲しながら曲がり角に隠れた、
坂本「スタジオはここを真っ直ぐだろ、早く行け!」
高橋「で、でも……」
坂本「言いから早く行け!!死にたくなかったらスタジオまで走れぇ!!」躊躇する高橋に坂本はぐうの音も出ないくらいの喝をした、
高橋「(クルッ)………」
高橋はいったん坂本の方に振り向きそのままスタジオへ走っていった。
パパパパパパ!!
敵の弾は隠れている坂本には当たらずに曲がり角の壁を捉え、
壁には穴や弾がかすった痕ができていた。坂本「フルオートってのはこう使うんだよ!」
※フルオート…トリガーを引きっぱなしで弾が連続してで続ける銃。
通称サブマシンガン。坂本は一気に姿を現すと同時に発砲し敵を捕らえた、
敵はその場にバタリと倒れこんだ。ジッ…ジージー…
と坂本の無線が鳴った、
坂本「こちら坂本どうぞ(ジッ)」
少し間があり返答が返ってきた、
S「坂本!そっちはどうだ!?(ジッ)」
坂本「メンバー全員無事だ、スタジオから出ないように言いつけた。
小隊の一人と思われる人物を倒したどうぞ(ジッ)」また少し間があり返答が返ってきた、
S「そっちに一人と言うことは多分5人か、俺は今4人を相手にしている。
2階に応援来れるか?(ジッ)」
坂本「2階か、今い…」今行くと言いかけたその時だった
S「(ドーン!!)ちっ、見つかってしまった!!早く来い!!(ブツッ)」
坂本「(!?)了解!!(ブツッ)」坂本は急いでSのいる2階へ走っていった。
坂本は階段を使って2階まで向かっていた、
坂本「(もう少しだ……今行くぞ!)」
2階まで後数階というその時だった、
S「坂本ぉ!!」
坂本「うぉ、どうした!?」何と下の方からSが階段を駆け上ってきているではないか、
坂本は慌てて立ち止まった。S「下から奴らが追いかけてくる!急いで上れ!」
下の方から複数人の駆け上がる足音と時々発砲してくるせいか着弾の音が混じって聞こえた、
坂本「くそっ!」
坂本もSと一緒に階段を駆け上がっていった、
パパパパ!!
S「ちっ、うるせぇ(パン!パン!)」
向こうが上に向かって発砲してくるとこちらは下に向かって発砲して応戦していた。
坂本「オイ、屋上に着くぞ!」
S「しょうがねぇ、そこへ退避だ」2人は屋上に出た、Sは一応だが外から鍵をかけた。
坂本「ん……?何か下の方が騒がしいぞ……?」
下の方を除いていた坂本が声をあげた。
S「何だ?」
Sも下の方を除いてみると、
複数の警官が人質を取った男らしき人物を囲っていた。
男らしき人物の右手には拳銃があり、銃口を警官の方に向けていた。坂本「何だ、もう一人いたのか!?」
S「下まで戻っている暇は無い、俺がここから撃つ」そう言うとSは持っていたM16A2を構え、
人質をとっている男をスコープ越しから狙いをつけた。
M16A2(リンク先にはスコープ無し)…http://www.d4.dion.ne.jp/~usp/data/toygun/m16a2.htmlS「!!」
パァン!
Sの弾は見事に男らしき人物の持っていた拳銃にヒット、
拳銃が弾かれたと同時に警官らが突っ込みそいつを取り押さえた。
と、ドン!ドン!
屋上のドアを叩くような音が聞こえてきた。
S「しつこい奴らだ」
坂本「行くぞ!」2人は自然と戦うポジションを取っていた、
坂本はドアから近い位置に、Sは遠目の位置にいた。バァァン!
4人はドアを蹴破り屋上へ突入した、
「……?」
4人の視界には2人の姿は見えなかった。
パァン!
「ギャァ!」
4人のうち1人が撃たれた。
3人は発砲のあった方向に振り向いた、S「(ちっ、2人同時にとはいかなかったか…)」
物陰に隠れたSを発見すると3人は一斉にSの方に向かって撃ち始めたその時
坂本「あんまりしつこいと女にモテないぜ!!」
3人の背後から坂本が出現し、MP5A4が火を噴いた。
「ぐぼぉ!」
「ゲハッ!」
「ぐふっ」坂本の銃弾は3人を的確に捉えた、
3人はその場に倒れ動かなくなった。S「さすがだな」
坂本「アンタもな」2人は動かない3人を確認すると、
坂本「よし、俺はメンバーのところに戻るわ」
S「俺はちょっと他をあたる、お前のところには後で行く」
坂本「分かった」2人はそれぞれの目的地に向かって走り始めた。
坂本は無事にスタジオに辿り着き人数の確認をした。
坂本「全員いるな」
マネージャ「は、はい大丈夫です」坂本の顔にはやや安堵の色が見られた、
矢口「すいません、その人は誰なんですか?」
みんなの疑問を矢口が代表するような形で疑問を投げかけた。
坂本「俺はアンタらの……ボディガードみたいなモンだ。
率直に言う、アンタらは命を狙われている。」坂本の直球にメンバー全員の顔がこわばった、
中には今にも泣き出しそうなのもいた。加護「それってどう言う事ですか?」
坂本「俺にも分からん、向こうの理由が分からんからな。
今さっき起きたのもアンタらを狙ったもんだ。」
保田「それは本当なんですか?」すると坂本は高橋の方に向かって指を指し、
坂本「それはあちらに聞いてもらえれば分かるはずだ」
と答えた。
坂本はマネージャにメンバーを日テレから避難させるように指示し、
坂本はメンバーに着かず離れずの距離で見張っていた。S「おい、坂本」
そこにSが戻ってきた、
坂本「ずいぶん遅かったな、どうした?」
S「人が警察に手ぇ回して来たのに何だよその言い草は…」
坂本「いやぁ悪い悪い」坂本は軽く平謝りした、
S「相手は全部で6人で全員死亡だそうだ」
坂本「オイオイ、俺はそんな致命傷は与えてねぇぞ」坂本やSの攻撃は相手を死亡させるような個所にはしていない、
だから重傷はあっても死亡することは滅多に無いのだ。S「いや…全員“自害”していたそうだ、旧日本軍みたいに警察に捕まる前にな…」
坂本「……なんだと?」相手の不可解な死に坂本は疑問と驚愕の顔をしていた、
それは確かに驚くだろう。坂本「裏の怪しさを感じずにはいられないな」
S「ま、そうなんだがな」どうせ知ってるなら教えてくれよと言う顔を坂本はしていた、
しかし実際のところ言ったところでSは言うわけが無いと思い黙っていた。S「お、そうだそうだあのな、」
Sは何かを思い出したかのように話し始めた。
S「俺が屋上から撃った時の人質は“藤本美貴”だったそうだ」
坂本「……?」坂本は何故そんな奴を?と言う顔をしていた
S「おいおいお前は藤本美貴がモー娘。になるって事も知らんのか?」
坂本「え、そうなの!?」坂本は鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をしていた、
S「お前は知らなさ過ぎ、こんなの芸能ニュースレベルだぞ」
坂本「いや〜メンバー自体は調べていたけどその周辺はノーマークだった」
S「アホ」確かにこれは知らなさ過ぎといわれても仕方が無いことだろう、
坂本「じゃあこれからメンバーになるって奴も狙われているって事か?」
S「ま、そうかも知れんな」
坂本「(そんな人数守りきれるかよ、分身できるわけじゃないし)」坂本は腕を組みこれからの展開を悩んでいた
と、
マネージャ「すみません、今からここを離れるんでご同行御願いします」
S「ん、わかった」
坂本「はい、分かりました」2人ともマネージャと一緒に車に乗り込んだ。
車に乗り込んだ2人は前方の座席に座っていた。
坂本「そう言えばさ、事情聴取はどうなったんだ?」
S「大丈夫だ、俺が手ぇ回しといた。安心しろ」抜かりが無いところはやはり超一流と言ったところか、
S「まぁ、さっきので相手方はどんな奴らか察しはついただろう?」
坂本「ま…そこそこだけどな…」
S「ほう、言ってみろ」坂本は目玉を上に向けながら話し始めた、
坂本「北………だな、ズバリ」
S「ほぅ…根拠は何だ?」
坂本「相手がAK47を持っていたことだな」AK47…http://www.page.sannet.ne.jp/taisa/airgun/Egun/AK47.htm
S「まぁその辺に目が行くのは当然だな、まぁ当たりでいいか」
坂本「どーも」ちなみにAK47とは不審船の引き上げ作業の時に発見されたものでもある、
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/fushinsen/200207/15-01.html
主に共産国の国がよく使用している、コストが安いためらしいが。飯田「あのーちょっといいですか?」
突然飯田が声をあげた。
飯田「私達が命を狙われているって本当なのですか?」
メンバーがいる後方座席の沈黙を打ち破るかのように飯田が声を上げた、
S「ああそうだ」
坂本「(…と)」いきなり隣のSが声をあげたので坂本は自分が声を出すタイミングを失っていた、
S「どのくらい続くかは分からないが当分は俺たちの指示に従ってもらう、
命が惜しければ言うことを聞くことだ」
飯田「例えば?」
S「別にそんな強要はせんが、言うことを聞かなければ命の保証はせん。
そんなところだ」他のメンバーは緊張した面持ちで聞いていた、
S「まぁ一つ位は安心することを言っておこう、
さっきの出来事からしてアンタ達の命を狙うのはみんな揃っている時と思われる。」
坂本「どうしてだ?」
S「(チッ…)もし一人一人確実に命を狙うならもっと効率のいいやり方があるからな、
よく分からんが皆まとめている時にやるのが目的みたいだ」メンバーの顔がほんの少しほころんだ所で、
矢口「じゃあ一人で普通にしてていいって事なの?」
S「そうしたければそうしてもいいが、俺は保証はしない。
あくまでも命が狙われていることを頭において置くんだな」矢口はじめ、それぞれの顔持ちがまた緊張をし始めた。
S「とりあえず今日はホテルに全員泊まった方がいいだろう」
マネージャ「その手配はしております」
S「どうだ、自分の家に帰る奴はいるか?」もちろん誰もいるわけが無い。
S「全員だそうだ」
マネージャ「はい、分かりました。
もし何かあったらこの2人に申し出てくださいね」マネージャはメンバーに向かって注意を促した。
と、
紺野「あの……2人の名前は……?」
そうだった、メンバーは2人の名前を知らなかった、
特にSは坂本でさえも知らない、Sはコードネームだからそう呼ばせるわけにもいかない。坂本「俺は坂本……坂本龍だ」
そして全員の視線がSに向いた。
S「俺は…………斎藤だ、斎藤五郎だ」
坂本「(へー、そんな名前なんだ…)」坂本だけ妙に感心したような顔つきをしていた。
車はホテルに着き坂本らはチェックインをした、
S・坂本2人は関係者・メンバーに自分の携帯の番号を教え
何かあったら連絡するようにと言付けをした。坂本「ふぅ」
坂本は大きくため息をついた。
すぐにでもベッドに横になりたい気分だがそうにもいかない状況が
坂本に大きなため息をつかせていた。坂本「しかしさぁ、アンタがあんな事言うなんて以外だったよ」
坂本とSは同部屋である。
S「まぁ俺は別にどうでもよかったんだがな」
とS。
坂本「照れるなよ」
坂本は単なる照れ隠しと思い茶化した、
S「照れてねぇよ、どちらかと言うと解散させた方がよかったけどな」
坂本「ん、どう言う事だ?」
S「相手は既に6人使っているんだ、今日また攻めてくるなんてまず無いだろ。
相手が焦っているならともかくまだ初日だ」坂本は何か言いたそうな顔をしていたがSはかまわず話しを続けた
S「それにだ、藤本美貴が人質に取られたことが気になる」
坂本「あれはたまたまじゃないのか?」Sは軽く舌打ちをし話しを続けた、
S「違うそういうことじゃない。向こうはモー娘。を殺る事が目的なのに、
藤本美貴という人物一人に6人の内1人は照準を合わせていた…
もし数多く殺る事が第一なら藤本は後回しにしてモー娘。先殺るだろ普通?」説得力のあるSの解説に坂本は少し考え込み、
坂本「うーん、どうしても藤本美貴を殺らなければいけない理由でもあったんじゃない?」
S「やはりお前もそう思うか?」
坂本「ぅん?」坂本は軽く答えたつもりなのにSは重く受け止めていた為、
そのギャップに坂本は少し戸惑った様子だった。S「俺は奴らの狙いがモー娘。全体ではなく“一部”の人間に狙いを定めているような気がする、
誰かは分からん。その為にも今日はモー娘。を解散させれば相手の出方が見えると思ったが、
そういうわけにもいかんしな」
坂本「なるほど。全員家に帰らせれば誰が狙われているか分かるかもしれないと言う事か」
S「そう言う事だ、今日狙ってくるかはさっき言った通り無いとは思うが0とは言い切れんしな」相手の1回の攻撃でここまで推理していたSであった、
坂本は対照的にあまり深くは考えてはいなかったようだ。
Sの推理もありホテルのガードは交代で行うことにした。
坂本「(ってもなぁ……どうしよう……?)」
廊下をウロウロしているわけにも行かない、だかと言って誰かの部屋に入るわけにもいかない、
仕方なく坂本はホテル周辺に何か無いか見回ったりホテル内をウロウロして何か無いかを見回っていた。坂本「(フーッ………以外と退屈だなぁ…)」
敵がくる心配が無いせいか坂本は緊張感もなく暇を持て余していた。
と、高橋「あ……」
坂本「オウあんまり部屋を出てうろつくなよ、早く部屋に戻れ」廊下で高橋と遭遇した。
坂本は普通に接していたが高橋の方はやや遠慮気味だった、高橋「(モジモジ……)」
坂本は高橋の異変に気づいた、
坂本「どうした?何かあったか?」
高橋「………ぃぇ…」高橋は何か口をモゴモゴさせ、ハッキリしない様子だった、
坂本「だったら早く戻りな」
次に高橋から意外な言葉が出た、
高橋「あのぉ……今日はどうもありがとうございました(ペコ)」
坂本「ぁあ、それはどうも」
坂本にとって高橋を助けた事は仕事の一環であり、
ある意味“善意”ではないので坂本は少し困ったような顔をしていた。ガチャ
と突然一室のドアが開いた、
辻「何してるのれすか?」
加護「なんや?」
矢口「高橋なにしてんの?」3人が一斉に顔を出した。
坂本「(おお、ミニモニだ)」
その光景に坂本は妙な感動を覚えていたが、
坂本「(イカンイカン)ほら、早く部屋に戻れ。勝手な外出は許さんからな」
坂本は気を取り直し高橋に注意を促した。
高橋「は、はい」
高橋はようやく自分の部屋へ戻ったが,
辻「坂本さんは幾つなのれすか?」
坂本「え?」
予期せぬ質問に坂本は戸惑いの色を見せた、
加護「うちも気になるー」
矢口「いくつなの?」
坂本「俺は20歳だ、」一瞬の静寂の後、
加護・辻・矢口「えー!!」
3人同時に周りの部屋に迷惑がかからんばかりの大声をあげた。
坂本「うるせー、早く部屋のドア閉めろ」
矢口「オイラと同い年じゃん!」
辻「ということはいいらさんより年下なのれす」
加護「みえへんなぁ」坂本の言うことを無視して3人は騒ぎ始めた、
まぁ坂本が20歳だと言うことを驚くなと言うことが無理があるかも。坂本「その話は明日でもしてくれ、じゃあな」
坂本は3人を無視し強引に部屋のドアを閉めつけた。
矢口「もがー、開けろよー!!(ドンドン!!)」
坂本「うるせーバカ」坂本は3人がドアを開けないように体を預けて開けないようにしていた。
S「何騒いでんだ?交代だ」
そこにSがやってきた。
坂本「あ?後ろの奴らがやかましいんだよ」
S「どけ」ドアの前にいた坂本をSは退けさせた、
矢口「開いたー!!………あっ」
S「言うことが聞けないようなら今すぐ独りで家に帰るんだな」
矢口「(スゴスゴ…)」3人はSの威圧のある叱咤におとなしくドアを閉じた。
坂本「わりぃ」
S「クライアントに舐められたらいかんぞ」坂本はSに軽く頭を下げ、部屋に戻った。
S「(やれやれ……ガキのおもりはこれだから……)」
とその時、
飯田「あ、あのー……すみません……」
飯田が独りでSの元にやってきた。
S「用件は何だ」
Sは冷たく言い放った。
飯田「…っと………私達は何故狙われているのですか?」
S「知らん、前に坂本がたぶん言っただろう」
飯田「答えになっていません、私達には知る権利があります!」飯田が強い口調でSに食って掛かった、
S「……ほう…そんなに知りたいのか?」
飯田「当たり前です、メンバーにこれ以上不安を募らせないためにも、
ちゃんと真実を知っておきたいんです。」Sは少し間を空け
S「チャラチャラした奴らの集まりと思ったらアンタは少し骨がありそうだな?」
飯田「私はモーニング娘。のリーダーです、当然です!」飯田の更に強い口調にSは飯田の「真剣身」を感じた。
S「……まっいいだろう、アンタだけには少し話をしておこうか」
Sは今回の事件のことを飯田に話し始めた。
Sは淡々と話し始めた、
自分は違う仕事で追っかけていた組織と今回の仕事で絡む組織が一緒な事を、
その組織はある国からやってきていると言う事を。飯田「斎藤さんの仕事とは?」
S「それは言えんな、残念だが」飯田は気を取り直して次の質問をぶつけた、
飯田「なぜその人達が私達を?」
S「…それは真面目にまだ分からん、とりあえずあんた等を狙っているのは確かなんだ、
軍隊みたいな銃火器でやってくるからただの悪戯ではない、
向こうは真剣に殺しにやってきている」Sの重みのある言葉に飯田は身震いをした、
本当に命を狙われていることを改めて自覚した。S「あんた見たいなのばっかだったら別に話してもいいんだが子供ばっかだからな、
その辺の事情を話すのはあんたに任せる」
飯田「はい分かりました、そうします」S「もういいだろう、早く部屋に戻れ」
飯田「あ、はいありがとうございました」飯田は駆け足で自分の部屋に戻った。
S「(話がわかる奴が一人はいるようだな…)」
その日は特に何事も無く全員無事で一日を終えた。
そして数日経ったある日のこと―
S「そっちはどうだ?」
坂本「大丈夫だ、異常は無い」メンバーはコンサートで大阪に来ていた、
ゆえに2人も同行し警備に当たっていた。日テレの出来事があったせいか会場をはじめ、
付近は厳戒体制で警備に当たっていた坂本「本当に今日やってくるのか?」
S「ああ間違いない、日テレの時より数が多いらしい。」その為だろうか、護送車のようなものまであった。
入場の際には手荷物検査はもちろんの事、
金属チェックまで行われていた。そしてコンサートが始まった、
2人は舞台袖、つまりメンバーに一番近い位置に構えていた。坂本「(さてと怪しい奴は)」
S「(中にいるかな…)」2人は何とナイトスコープ(↓)まで装着し警備に当たっていた。
http://first-jp.com/shop/result.phtml?search=true&genre=S&category=S-DT&subcategory=S-DT-NV安倍「みんなーありがとうー!!」
ついにコンサートは幕を閉じた。
中でもそして外でも一切何も起こらなかった。坂本「どう言う事だ?」
S「……分からん、情報は確かなハズなんだが…」Sは自分の情報が空振りに終わってしまい困惑の表情を見せていた、
警察を大きく動かしただけに尚更だ。S「……」
坂本「まぁこれだけ固い警備をしているんだ、取りやめたんだろう」
S「……だといいがな…」厳戒態勢のせいかファンの帰路も足早になり一時間後には誰もいなくなった、
関係者にようやく安堵の色が見られ始めた。S「………そうか、分かった(ピッ)」
坂本「どうした?」携帯で話し終えたSに坂本は声をかけた、
S「会場内や付近に怪しい物・人影は無かったそうだ」
坂本「やっぱり取りやめたんだろう」
S「……」Sはどうしても疑問を拭えないような表情をしていた、
本当に取りやめたのか、それとも情報の手違いか、といろいろな考えが頭の中を駆け巡った…とその時だった、
ドォーン!!!
S「うぉ」
坂本「なんだなんだ!?」大きな爆音とともに会場が地震にあったかのように揺れた。
ジッ…ジージー…
S「!?」
無線が鳴り慌てて手にとった、
「緊急事態発生!!会場の一部にランチャーのようなものが撃ち込まれた模様!!
至急応援を……うわっー!!(ジッ)」ランチャーの例…http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/news/h14/fushinsen/rpg.html
坂本「ランチャー!?」
S「今頃来たか!?」2人は動揺の色を隠せなかった、
S「お前はモー娘。の楽屋を抑えろ、お前が最終ラインを保守しろ!
俺は最前線へ出向く!」
坂本「分かった!」2人はそれぞれの現場へ走り出した。
坂本「皆さん無事ですか!?」
マネージャ「は、はい」とりあえずメンバー全員いることは確認できた。
坂本「敵が攻めてきました、全員ここを離れないでください!!」
石川「もしかしてさっきの大きな音ですか?」
坂本「そうです、私がここを守りますので絶対に指示に従ってください!!」坂本と警官2人は楽屋の入り口付近を固め始めた。
と、
「怪我人はいないか!」
機動隊2名がこちらにやってきた、
坂本「(よしシールドがある分何とかなるか?)」
とその時、
ジッ…ジージー…
坂本「どうした?!」
S「数が20人近くいるしランチャーが引っ切り無しにくるから手がだしにくい!
お前も来るんだ!!(ドォーン!!)くっ…!」無線の先から聞こえてくる爆音に坂本は唾を思わず飲み込んだ、
坂本「くっ………ここお願い出来ますか…?」
「分かりました、ご無事で!(ビシッ)」
「お願いします(ビシッ)」互いに敬礼をしあい、坂本はその場を離れた。
坂本「な、何だこれは……!?」
血まみれになって横たわる警官、炎上している会場の一部・パトカー、
AK47と思われるマシンガンのような音、そしてランチャーの爆音……
坂本の目には信じられない光景が目に映っていた。S「さかもとぉー!こっちだぁー!!」
坂本「おう!!」坂本は戦火をくぐり抜けSの元へ辿り着いた、
S「警官や機動隊が追い込まれている、俺達2人で全員倒すしかない!!」
坂本「OK、俺が奴らをかき回すから一人一人ツブしていってくれ!」
S「おい、どうする気だ?!」と話し掛けた後には坂本は走り出していた、
坂本「オラオラこっちだぜ!!」
坂本が飛び出してきたのを見計らって敵の一人がAK47を向けてきたが、
坂本「ヘタクソ!フルオートはこう使うんだよ!!(パパパパ!)」
「ギャ!」坂本は敵の弾を交わし一人を片付けた。
坂本「!?」
それを見た近くの敵が坂本に向けてランチャーを放った、
坂本「危ねぇじゃねぇか!(パパパパ!)」
ランチャーを交わしながら撃った坂本の弾は的確に敵にヒットした。
S「(何だあいつは!?)」
坂本の無謀とも思える行動に呆気に取られていたが、
S「(……こちらへの攻撃が止まったか?)」
そう、坂本をなかなか仕留められない為かSへの攻撃が止み
坂本へシフトしていたのだ、S「(ここで一気に片付ける!)(パン!)」
Sは次々に敵を一人二人三人……一発づつ相手を仕留めていった、
坂本「ヘイヘイ!どうしたどうした!?(パパパパ!)」
S「逃すか!(パン!)」2人の連携により相手はあっという間に一掃され、
敵の攻撃は鳴りを潜めた。坂本「わりぃ」
S「どうした?」
坂本「一人逃がしてしまった」
S「この状態じゃあ追いかけるわけにもいかない、しょうがないか…」2人は事後処理をしようとしたその時であった、
バラバラバラバラバラ……
坂本「お、ヘリだ用意がいいな」
S「…まて、今回はヘリは使用しないハズだぞ……?」バババババババ!!
S・坂本「うおっ!」
2人はとっさに左右に別れ難を逃れた。
坂本「マジかよ、あんなモンまで用意してあったのかよ!?」
S「ちっ、来るぞ」バババババババ!!
「逃げろー!」
警官達は建物の中へ避難した。
ヘリ相手にニューナンブでどうしろと言うのだ。ニューナンブ…http://www3.wind.ne.jp/scotch/Gun/New_nanbu.htm
坂本「どうする、このままじゃやられるぞ!!」
S「……どけ、俺がやる」Sは坂本を退避させヘリに向かってM16A2を構えた、
バラバラバラバラバラ……
ヘリがSに向かってきたその時、
S「(パン!)」
Sはスコープ越しからヘリを睨み付けた。
一発の銃声が鳴り響いた。ヘリは弾を吐かずSを通り過ぎ、そして……
バラバラバラバラバラ…………ドカーン!!
坂本「うぉぉぉぉ!!」
S「いちいち騒ぐな」ヘリは近くの駐車場に墜落し爆発炎上した。
坂本「ヘリ撃ち落すなんてスゲェな!!」
S「対空は俺の十八番だ。あんなヘリで俺に勝とうなんて百年早いぜ」
坂本「いやーでもさー…」
S「グズグズするな、怪我人とモー娘。の生存の確認しろ」
坂本「お、おう…」Sは最前線の現場の処理、坂本はメンバーの生存の確認を行った。
幸いにもメンバーに被害は無く全員無事だった。警官は奇跡的にも死亡者はいなかったが重体者が多く出た、
予断を許さない状況が続いた。敵はやはりと言うか生存者は0だった。
AK47・ロケットランチャー・そしてヘリコプターと20人近い敵の数、
多くの謎を残し事件は幕を閉じた―この事件の後メンバーのスケジュールは白紙の状態になり、
完全に「自宅待機」の状態になった。最もメンバーの仕事が無くなったといった方が正しいかもしれない。
坂本「……」
S「………」あれから何日か経ったが、依然敵の連中の足取りが掴めない状態が続いていた。
坂本「一体何がどうなっているんだ!奴らは何が目的なんだ!!(ダン!)」
興奮した坂本が目の前の机を叩いた、
S「………すまない」
坂本「何だよ、らしくないな…」
S「俺自身甘く見ていたのかもな…連中を……
お前の依頼なんぞすぐに解決させて自分の仕事に戻ろうかと思っていたが…」珍しくSは弱気な姿を坂本に見せていた、
S「しょうがない…お前に俺のことを話そう」
坂本「……」坂本はただ黙って聞いていた。
S「俺は北から日本への麻薬の密輸と武器の密輸を阻止する役目がある」
Sの言葉に少し考え込んだ後坂本は
坂本「……依頼主はもしや…」Sの仕事に坂本はうっすらとだが巨大なものを感じていた、
S「海上保安庁……もとい、日本国からの依頼だ」
日本は独自に軍というものを持っていないし、
不審船に対してまたはその「大元」に対して何もできない国である、
Sのような人物に依頼をするのはある意味仕方ないことなのかもしれない。坂本「まぁなんだ。
“阻止”するだけなら日本でもできることだよな?」
S「チッ……細かい奴だ…」図星だった、
S「そうだ、俺の役目は元締めの解明だ」
坂本「なるほど、一個人を捕まえるって寸法か。
捕まえるにはちょっと火を見ないといけないもんなぁ」
S「そう言う事だ」
坂本「でもよ、俺の仕事に加わった真の理由は何だ?」S「国から密輸の細かい日時や場所は教えて貰ったが肝心の元締めがウヤムヤでな、
お前に付いてみて何か分かると思ったんだがな……このザマだ」
坂本「お互いに肝心なところが謎という訳か…」2人は同時に肩を落とした、
S「……」
坂本「(密輸とアイドルの暗殺……どういう繋がりが…?)」考えれば考えるほど迷宮に迷い込む2人であった。
S「ふぅ、止めだ」
坂本「何だと?」不意にSが口を開いた、
S「ジッとしていたってしょうがない、俺はモー娘。の様子を見に行く」
坂本「でもよ、ここ最近動き無いから止めようって……?」
S「今はこちらが手詰まりなんだ、とりあえず動いてみるしかないだろう。
そういうお前はなんか他にあるのか?」
坂本「……いや、俺も出るよ。気が滅入ったからな」2人は気分を取り直すかのようにガードに出かけた。
S「(まぁそろそろ決まり破って外に出ている頃だろうな)」
と、
飯田「あ」
S「(やっぱりな……)」“いかにも芸能人”と言う格好をした飯田がそこにはいた。
S「オイ、こんな時に外出だなんていい身分だな」
飯田「……」飯田は無視してそのまま歩き出した。
S「(やれやれ芸能人全開だな)」
と思いつつもSは視界に入る程度に距離を離して後をつけた。
飯田「(あれ?どこ行っちゃったんだろう?)」
飯田が振り返ってもSの姿は見当たらなかった、
飯田「(ま、いっか)」
飯田は気にせずそのまま足取りを進めた。
飯田「あれ?」
S「……(ギロ)」飯田の辿り着いた先は自分の家だった、
しかしそこには先にSが回りこんでいた。
Sは勝手に外出した飯田に怒りを感じたのか鋭く飯田を睨み付けた。S「いい身分だな」
飯田「別にいいじゃないですか」飯田はSを無視して玄関を開け中に入った。
飯田「な、何してるんですか!?」
S「部屋の中をチェックさせてもらうぜ」なんとSも一緒に飯田の家へあがりこんだ。
飯田「プライバシーの侵害ですよ!?」
S「盗聴機とか爆弾を調べるのがか?」
飯田「…勝手にしてください!」
S「じゃあそうさせてもらうぜ」ふて腐れる飯田を尻目にSは部屋中をチェックし始めた、
S「(フム……やはり異常はないようだな……
この付近の建物にも誰もいなかったしな……どうなっているんだ?)」ここ数日間に敵の動きがまったく見られないことにSは疑問を感じていたようだった。
飯田「もういいでしょ、早く出て行ってください!」
と飯田が突然Sに向かって声を荒げた、
S「芸能人は好き勝手出来ていいなぁ、まるで女王様だな」
飯田の態度に腹が立ったのかSは毒づいた。
飯田「あ……あなたに何が分かるっていうのよ……」
突然飯田が涙ぐみ始めた。
S「あー分かんないね。命が狙われているにもかかわらず外でてる人なんて」
あっけらかんとSは飯田をまるで馬鹿にするかのように言い放った。
飯田「私はモーニング娘。のリーダーなのにみんなをみんなを……グスッ…」
涙に飯田は声を詰まらせた、
S「……どうやら俺の見込み違いだった見たいだな、
アンタも所詮、チャラチャラした奴だったのか。ガッカリだ。」
飯田「何ですか、そのひどい言い方は!!」
S「前にホテルで俺に話し掛けてきた時は根性が座っているなかなかなお嬢さんと思ったが、
今のアンタはリーダーでもなんでもない、ただのガキだ」
飯田「どうしたらそんなひどい言葉が出てくるのですか!!」
S「……冷静な判断が出来ず自棄(ヤケ)起こしている人が目の前にいるからさ……
そんな奴をガキと言わなくてなんて言うんだ、あぁ?」感傷的になっていた飯田にグサッとSの言葉が刺さった。
S「今この時こそあの時俺に見せた度胸と根性を見せて他の奴らを引っ張ればいいだろ」
飯田「……」
S「リーダーの自覚がそこまであるなら今お前は何をするべきなんだ?
自宅待機を破って外出して遊ぶことか、どうなんだ?」
飯田「……(ポタポタ)」飯田の目から大粒の涙が流れ、足元のカーペットを濡らした。
S「……泣いて許すと思ったか?」
飯田の泣いている様子をどう見たのかSは飯田に向かって冷たく言い放った。
飯田「……私どうしていいか分からないんです……どうしていいか…」
泣くのを精一杯こらえポツリとつぶやいた、
S「さっき俺が言っただろう、それをしろ」
飯田「……でも…」
S「少なくともお前がしっかりしていなければ誰も着いて来ないぞ、
人の上に立つってのはそんなに甘いことじゃないんだよ」
飯田「できるかなぁ……(グスッ)」
S「できるできないの問題じゃねぇ、お前がやるかやらねぇかだ。
もう俺は帰る、じゃあな」Sは振り向くことなく真っ直ぐ家を出た。
飯田「(やるかやらないか………)
Sの言葉は泣いていて耳にはほとんど入らなかったが、
何故かこの言葉だけ飯田の頭には残っていた。所変わって坂本はと言うと、
坂本「(んー密輸とアイドルの暗殺か……)」
まだそのことについて考え込んでいたようだった、
と、
坂本「(ブーッブーッブーッ)、もしもし?」
坂本の携帯が突然震えた、
高橋「あ、あ、あのーさっきから家の周りに誰かいるんです!早く来て下さい!!」
坂本「お、オウ!すぐ行くから待ってろ!」坂本は慌てて高橋の家へ向かった。
坂本「(確かに誰かいるな……1人かな……)
坂本は高橋の言葉に確信を持っていた、
そして、
坂本「オラ、テメェ何している?」
「!!?」坂本はそこにいた人物の背後を捉えた、
「わっ!!」
坂本「逃がすか」坂本はすぐさまそいつの動きを封じ、取り押さえていた。
坂本「さぁここで何をしていたのか話してもらおうか」
「離せ!」
坂本「んー?そんな事言える立場なのか君は?」
「くそっ!」
坂本「……こちらの質問に答えろ(カチャ)」坂本の口調が突然けわしくなった、
そして相手の後頭部にハンドガンを突きつけた。「ひっ!」
坂本「もう一度言う、ここで何をしていた?言わなければ脳味噌に風穴を開ける(カチャ)」坂本はトリガーに人差し指をかけた。
「お、俺はただ写真取りに来ただけだよ!」
坂本「ほー?そんなんで誰が信じる?(カチャ)」
「うそじゃねーよ!カメラ持っているだろ!!」
坂本「そうだな、よこせ」坂本はカメラを取り上げ、そいつを解放した。
「(はぁ……はぁ……)か、カメラ返せ」
坂本「わかったよ、ホラ(ヒョイ)」坂本はカメラをそいつに向かって高く放り投げた、
パン!(パリン)
「あああ!!」
坂本はカメラ向かって発砲し、カメラを破壊した。
坂本「早く去りな、それとも頭ブチ抜こうか?(カチャ)」
「ヒィィィィ!」そいつは奇声を上げながらその場を去っていった。
坂本「(やれやれ、カメラ小僧だったか)」
坂本はしょげつつも高橋の家を尋ねた、
坂本「オーイ俺だ、もう大丈夫だぞー」
…ガチャ
高橋「……(そーっ)」
様子を見つつ高橋はドアを開けた。
坂本「大丈夫だってば安心しろ」
高橋「は、はい……(グスグス)」突然高橋が泣き出した、
坂本「オイオイ、どうしたぁ?」
高橋「えっ……えっ……」泣いて答えになっていなかった。
坂本「あーもう、ほら入った入った」
坂本は高橋を中に入るように促した。
坂本「もう追っ払ったし大丈夫だよ、俺もいるし」
高橋「シクシク……」相変わらず高橋は顔を下に向けたままうつむいていた、
坂本「(弱ったなぁ……どうしよう……)まだ怖いのかい?」
高橋「(コクリ)独りでいるのが怖いんです……」
坂本「(やっと喋った…)どう言う事だい、誰かと一緒にいるとかすれば?」
高橋「だって毎日そういうわけにもいかないじゃないですか」
坂本「えーっ…うん、そうだね…」
高橋「もう怖いのはイヤです、坂本さんお願いします…」
坂本「お、お願いと言われても…だからこうしてガードに……」
高橋「……違います…」
坂本「(えっ、えっ…どうしろと……??)」坂本は高橋の言動が掴めず困惑していた、
高橋「怖いので…………」
坂本「………なに?」数秒の沈黙の後高橋はこう言った。
高橋「わ、私と……一緒にいてください………」
そう言うとまた顔を下に向けてうつむいてしまった。
坂本「うん、別にいいよそれくらい」
高橋「…本当ですか?」高橋の口調は落ち着いているが表情には明るさが戻っていた、
坂本「まぁAKで撃たれそうになったのは君だけだし、
現に誰かウロチョロしていたから俺はここにいて、君を守るよ」
高橋「本当ですか?」
坂本「ひょっとしたら君を狙っているかもしれないし、
他のメンバーはS……じゃなかった斎藤さんがやってくれるよ」
高橋「分かりました、じゃあ部屋片付けます」と高橋が立ち上がったときだった、
坂本「あ、部屋のカーテン全部閉めて中を見られないようにしてくれ」
高橋「えっ……?」高橋は坂本の言葉に驚きの反応を見せた、
坂本「ほら、中の様子を外から伺えると撃たれるからさ………
って俺がすべきじゃん。そこに座っていてよ動かないでね」
高橋「あっ、あーあー……そうでしたね……ソウダヨネ……」
坂本「(他に何があるんだよ?)まぁいいじゃないか坂本君よ。
とりあえず2人は他愛もない会話をしながら時間を過ごし、
夕飯をとっていた。坂本「そんなに構えなくてもいいよ、誰か来たら俺が何とかするからさ」
坂本は高橋を時折リラックスさせ和やかな雰囲気を保っていた、
しかしそんな中でも坂本は常に周りに目を光らせ周囲を気にしていた。高橋「じゃあ私お風呂に入りますね、いいですか?」
坂本「どうぞ」
高橋「のぞいちゃだめですよ」
坂本「しないから早く入ってきな」そして部屋の中は坂本独りだけになった、
坂本「(……そう言えばSは他のメンバーについてるって言っていたな、
俺はここにいても大丈夫だって言っていたし……)」そんなことを思いながら坂本は部屋の隅々までチェックを行っていた、
高橋の目の前で行うと不安を誘うからしなかったのだろう。坂本「(……ないか………どうしたもんかな…………)」
やはりこちらも何もなかったようだ。
坂本「(周りに気配は無いな……しかし夜中が一番危険だしな…)」
と色々考え込んでいたら洗面所の向こうからドライヤーの音が聞こえてきた、
そう、高橋はいつの間にかあがっていたのだ。高橋「坂本さぁ〜ん次いいですよ」
と濡れ髪を拭きながら高橋が出てきた、
坂本「ん、わかった」
坂本は準備にかかり風呂場へ向かった。
坂本「ふぅ…」
坂本は大きくため息をついた、
坂本「(んーこれからどうするんだろう、Sも俺も?)」
と考え込んでいた時であった、
高橋「あ、あのぉ……」
坂本「(ん、高橋の声?)どうした、何かあったか?」ガラス越しに高橋の姿がボンヤリと映っているのが坂本には見えた。
坂本「(何だ?)何かあったのか!?」
高橋「い、いえ……別に何も無いです…」高橋の曖昧な返答に坂本はヤキモキしていた、
高橋「いや…あのですね、部屋の中に独りでいるのはチョット……」
「なーんだ」というような表情をした坂本は、
坂本「分かったよ、すぐにあがるからさ待ってて」
別にゆっくりしていた訳ではないがなるべく急いで事を済ませた。
坂本「お待たせ」
5分後、再び高橋の前に坂本が立った。
坂本「どう、何も無かった?」
高橋「(コクリ)」坂本の言葉に高橋は小さくうなずいた、
坂本「(何か掴めない奴だな……)」
高橋の一連の態度に困惑気味な坂本だった。
高橋「お休みなさい」
坂本「ああ」特に何事も無く2人は床についた、
坂本「……」
高橋「……………ぁのぉ〜……」突然高橋が声をあげた、
坂本「ん、どうした?」
高橋「……私達、これからどうなるんでしょうか?」少し訛った口調で高橋が質問を投げた、
坂本「…正直分からん、犯人側が見えてこないからな」
高橋「そんな………」坂本の頼りない言葉にがっくりする高橋だったが、
坂本「だが怪我人は一人も出させやしない、もちろん君もな」
高橋「……本当ですか?」高橋の目に少し生気が見られていた。
坂本「何を言っているんだよ、そのために俺がいるんだからさ」
先程とは裏腹に坂本から力強い言葉が聞かれた、
坂本「極端な話、俺の命を落としてでも犯人は絶対捕まえるさ」
高橋「そ、そんなのダメです!!」光の無い部屋の中に高橋の大声が鳴り響いた、
坂本「な、何怒っているの……?」
高橋「(カァーッ)な、何でもありません!」高橋は坂本の方を向いていた視線を正反対の方向に変えソッポ向いてしまった。
坂本「……大丈夫だよ誰一人死なせはしないさ、俺も君も」
坂本は布団から起き上がり高橋に近づいた、
高橋「(チラッ…)……」
高橋はチラッと坂本の方に視線を向けた、
坂本「安心しな、俺はいつでもそばにいるからさ」
坂本は高橋の髪を軽くなでながらこう話した。
―翌日、
高橋「………ぅん……」
高橋が目覚めた時のことだった、
高橋「……あれ、あれっ?」
高橋の隣布団はもぬけの空だった。
そう、そこに坂本の姿は無かったのだった。高橋「……?……?」
困惑した高橋は部屋中を探し回ったりしたが居なかった、
高橋「……(パカッ)あ…」
ふと携帯を開くと1件の受信メールがあった、
それは坂本からのメールだった。坂本『おはよう、君がこのメールを見ている時は俺はそこには居ないだろう。
さて、今日は藤本美貴の所につかなければいけない日なのだ。
そういうわけで悪いが家を出た、そこんとこよろしく。』
高橋「ふーん……」坂本が出て行った理由が分かって胸をなでおろした高橋だが、
少しヤキモキしていたのであった。S「そっちはどうだ?」
坂本「ああ、大丈夫だ」所変わって2人はとある場所にいた、
マネージャ「大丈夫でしょうか?」
S「安心しろ、何も仕掛けられていない」
坂本「怪しい人物もいませんよ」2人の言葉に胸を撫で下ろしたマネージャであった。
マネージャ「それでは私は少し出てきます、よろしくお願いします」
そう言い残すとマネージャは楽屋を出た、
藤本「あ、あのー」
坂本「ん、なに?」マネージャが楽屋を出たと同時に藤本が声をかけた、
藤本「日テレの時、私を助けてくれたのはお二人なんですよね、
ありがとうございました。」
坂本「あーあれは……」
S「こいつがアンタを助けたんだ、礼を言うならこいつに言ってくれ」坂本はものすごい顔をしてSの方を振り向いた。
坂本「お前何言って……」
S「いちいち照れる必要も無いだろ、俺もチョット出てくるから後は任せた」マネージャに続きSも楽屋を出て行った、
坂本「あーあーちょっとぉ〜?」
藤本「坂本さん何ですか、ありがとうございました」Sの言葉を鵜呑みにした藤本は坂本に向かって深々と頭を下げた。
坂本「えーいやーあのー……ドウシヨウ」
坂本が何て言いかえそうか迷っていると、
藤本「……モーニング娘。は元気ですか?」
急に改まって重い口調で藤本が話し掛けてきた、
坂本「あー…………そうでもないよ、やっぱショックでかいよ」
メンバーの態度や状況を逐一把握している坂本にとって、
とても「元気だ」とは言えなかった。藤本「……そうですか…」
坂本「やっぱり明日はわが身かと気になるかね?」
藤本「…それもありますけど、身近にあんなことがあるとやっぱり……」
坂本「(まぁそうだろうなぁ、「殺し」だもんなぁ……)」やはり事件の影響は回りの人間にも少なからず及んでいたようだ。
坂本「安心しな、俺はいつでもそばにいるからさ」
藤本の不安を取り除くかのように坂本が言葉を投げかけた、
藤本「はい………」
重い口取りで藤本は返事をした。
藤本「…………えっ」
坂本「な、何?俺なんか変なこと言った?」不意に藤本が言葉を発したのに坂本は驚きを見せた。
藤本「いや…………チョット昔の事を思い出しまして」
坂本「??何で?」
藤本「さっき坂本さんが言った「安心しな、俺はいつでもそばにいるからさ」って言葉、
昔ちっちゃかった頃にある人によく言われた言葉だったので」
坂本「……ある人って?」
藤本「分かんないです。
私の住んでいる所に一時的に引っ越してきて1ヵ月後にいなくなりましたから」それを聞いて変わった奴もいるもんだと坂本は思っていた、
藤本「その人…って言っても私がちっちゃかった頃なんで、
その人は私と同じ位の年か1つ2つ上の男の子だったんですけど」
坂本「へぇ……」藤本の話はまだ続く、
藤本「その人は引越しばっかりだから友達が出来ないって言っていたので
可哀想だったので一緒に遊んでいましたね、1ヶ月間。
たった1ヶ月だったけど、とっても頼りになる人でもう一人お兄ちゃんが出来たみたいでした」
坂本「何、そんなに思いれがあるの?」藤本の話が止まらない様子を見て坂本がこう言葉をかけた。
藤本「そうですよー、それで上級生の男子にいじめられた事があったんですよ私。
そうしたらその人が上級生相手に戦ってくれて……勝っちゃったんですよ。
何か格闘技でもやっていたのかな、今考えると。」
坂本「ほう」
藤本「泣きじゃくる私をみてその人が言った言葉が、
「安心しな、俺はいつでもそばにいるからさ」だったんですよ、忘れられない言葉ですね」さっきの暗い表情から一変、藤本の表情は笑顔になっていた。
坂本「じゃあ君にとってその人は頼れる兄貴的存在だったんだ?」
藤本「と言うより私の初恋…何ですけどね♪」
坂本「ふーん」と話が終わったところでマネージャとSが戻りそして番組の収録が始まった。
―収録終了後、
S「ちょっといいか?」
突然Sが坂本を手招きした、
坂本「どうした?」
S「このビル内に胡散臭い奴を見つけた、俺はそいつを追うから後は任せた」
坂本「分かった、ぬかるなよ」Sはすぐさまスタジオを飛び出した。
藤本「あれ、斎藤さんどうしたんですか?」
走っていったSを見て藤本が口を開いた、
坂本「ああ、急ぎの用事が入ったって言って出て行ったよ」
坂本はとりあえずその場を繕った。
藤本「ふーん……じゃあ私は帰りますね」
坂本「分かった、同行するぞ」
藤本「はーい、お願いします」帰宅だけとなった藤本のそばには坂本独りだけがついていた、
マネージャは藤本を離れて別の仕事に移った。帰り際、道中でとある芸能人が記者会見を行っていた、
2人とも報道陣の集まり様に少し驚いていた。坂本「なんだろうね?」
藤本「さぁー?」そして車に乗り込もうと駐車場へ向かった時だった、
坂本「………」
突然坂本の足取りが止まった、
藤本「どうしました?」
坂本「………下がっていろ…」坂本は藤本の目の前に右手を差し出した、
坂本「そんなに殺気丸出しだと隠れている意味無いぜ!」
いきなり坂本が大声を張り上げた、
タタタ……
坂本の声と同時に2人の男達がその場を去るように走り始めた、
坂本「逃がすか!」
坂本が追っかけようとしたその時だった、
ピカッ!!
坂本「くっ!!」
相手はいきなりフラッシュライトを使ってきた。
フラッシュライト…http://www.yamamotojp.co.jp/item/security/security.htm坂本「チッ!(藤本美貴が殺られる!)」
幸い手を伸ばす位置にまだいたので、
坂本は藤本を抱きかかえ近くの車の陰に隠れた。坂本「怪我は無いか」
藤本「は、はい」
坂本「ここでおとなしくしていろ」坂本は藤本にそう言い聞かせると再び2人を追おうと飛び出した
その時、
坂本「!?しまっ……!」
ドゴーン!!!
坂本が飛び出したと同時にランチャーが飛んできたのか、
駐車場に大爆音が響いた。藤本「坂本さん!!」
無意識的に藤本は坂本の名前を叫んでいた、
「やられた」と思ったのだろう。坂本「何だ!そっちは無事か!?」
煙の向こうから坂本の声が聞こえてきた、
どうやらギリギリの所で低い体勢をとってかわしたらしい。藤本「(ホッ…)はい、私は大丈夫です!」
坂本「ふぅ……逃がしちまったか……」坂本は立ち上がり服についたほこりを手ではらっていた、
藤本「大丈夫……ですか…?」
藤本が車の影から出た瞬間、
坂本「伏せろ!」
言葉と同時に坂本は藤本を抱きかかえるようにその場に伏せた、
その後すぐに背後の車のフロントガラスが飛び散った。坂本「スナイピングするならもっと距離をとりな!」
S「坂本ぉ!!」
そこにSが駆け寄ってきた。
坂本「すまねぇ…逃がしてしまった…」
S「しょうがない、済んだ事はもういい」Sは軽く坂本を慰めた。
ダダダダ……
すると遠くから複数の駆け足の音が聞こえてきた、
パシャパシャパシャ……
レポーター「今駐車場で何かあった模様です!!」
そこには大勢の報道陣が現れた、
2人の帰り道にいた報道陣が駆けつけてきたのであろう。S「オラ、あんま近づくんじゃねぇ。現場の保存に協力しろ」
レポーター「今ここで何があったんですか!?」報道陣はSの言葉を無視して質問を投げかけた。
S「見りゃ分かるだろ、ランチャーと……スナイピングがあったんだ」
Sはフロントガラスの銃口の大きさを見てこう答えた、
レポーター「どうしてこのようなことがあったのですか!?」
S「……まだいるな、怪我したくなかったら下がった方がいいぞ」ザワザワ……
Sの言葉に報道陣が一気に物陰に隠れ始めた、
警官「大丈夫か!?」
S「怪我人はいない、とりあえずこの報道陣を締め出してから現場検証を始めよう」
警官「は、はっ!」Sの冷静な言い回しに思わず警官は従った、
その後警官が複数到着し現場検証が始まった。事件の様子を懸命に撮るもの、藤本美貴に聞くものと別れていた。
S「やれやれ……」
坂本「……そう言えばお前が追っていた胡散臭い奴ってのはどうなった?」
S「ああ、あれか。俺の勘違いだった。」
坂本「珍しいな、お前が」確かに。Sがミスをするのは確かに珍しい。
その晩は安全策をとって藤本の家に坂本が泊まることになった。
坂本「(……動いてきたと思ったらこんなんだもんなぁ…)」
久々に相手に動きが見られたのに何も掴めなかった事に坂本は苛立っていた。
藤本「……本さん、お風呂入っていいですか?」
坂本「えっ、なになに?」坂本は考え込みすぎて藤本の言葉が耳に入っていなかった。
藤本「お風呂入ってもいいですかね?」
坂本「ああ、どうぞどうぞ」坂本の了承を得た藤本は早速風呂場へ向かった、
坂本「(……とりあえずもう一回見回るか)」
藤本が風呂の間に坂本はもう一回辺りをチェックし始めた。
坂本「(……何も無いな……そして誰も…)」
しかし今日あんな事があっただけに警戒はどうしても解けない坂本であった。
藤本「坂本さーん、次どうぞ」
藤本が風呂から上がり、坂本に入るように促した。
坂本「いやいい、今日は夜通しガードする。一秒たりとも油断は出来ないからな」
藤本「……そうですか…」坂本はいつでも戦闘に取り掛かれるように準備をしていた、
藤本「………」
坂本「大丈夫だよ、君にはカスリ傷一つ負わせはしないよ」不安な顔をした藤本に対して坂本は力強い言葉で励ました。
藤本「はい……」
しかし藤本の口からは重々しい口調での返事だった。
坂本「(ブーッブーッブーッ)ん、もしもし?」
突然坂本の携帯が震えた、
高橋「……もしもし坂本さん」
電話の主は高橋だった。
坂本「どうした、また誰かいたか?」
高橋「ぃえ……別に……」
坂本「じゃあ何だ?」坂本の問いかけに数秒の沈黙をおいて、
高橋「………今日は……ダメですか……?」
坂本「えっ、何が?」高橋からしてみれば坂本の意地悪な問いかけにまた黙り込んでしまった。
藤本「……誰ですか?」
話口調に多少違和感を覚えた藤本が不意に尋ねた、
坂本「高橋愛だよ」
藤本「へー何でまた?」
高橋「……誰かの家にいるんですか?」藤本の声が聞こえたのか高橋が再び話し始めた。
坂本「うん、今日は藤本美貴の家に泊まりこみなんだ」
高橋「……そうですか、すいませんでした…」と電話が突然切れた。
坂本「(なんだなんだ?)」
お前、意地悪な奴だなぁ。
坂本「とりあえず中の様子が窺えないように電気を消そう」
藤本「じゃあ消します」部屋の中は真っ暗になった、
部屋を照らす唯一の灯かりはカーテンから漏れる月の光だけとなっていた。坂本「よし……」
部屋を暗くしたと同時に坂本はその場に座り込んだ、
坂本「布団の中に入っていなよ、眠いだろ?」
藤本「……いえ」そりゃあ自分の命が狙われているのに眠くなる奴なんていないだろう。
坂本「俺の横にいてもしょうがないだろ、横になりなよ」
藤本「だって……怖いですし…」
坂本「……安心しな、俺はいつでも君のそばにいるからさ…」坂本は藤本の頭をなでた、
藤本「……はい」
坂本「良い子だ」2人はしばらく座ったままの状態でいた。
―そして時計は午前1時を過ぎていた
藤本「(ウツラウツラ)………っと…」
さすがに眠気が藤本を襲っていたようだ、
もっとも緊張感から来る疲労が原因だろうが。坂本「布団で寝なよ」
藤本「(フルフル)」藤本はかたくなに首を横に振った。
坂本「……じゃあ俺におっかかっていいぞ」
藤本「……(フッ)」藤本は坂本の言葉どおり坂本に体を預けた、
藤本「……」
坂本「(やっと寝たか……)」藤本のまぶたは閉じられていた。
……ここは藤本の夢の中
藤本「あーお兄ちゃんだぁ!」
藤本の目の前には坂本に話していた“あの人”がいた。
藤本はお兄ちゃんと呼んでいるらしい。あの人「あー君か、どうした?」
藤本「もう黙って勝手にどっか行ったらだめだよ!」
あの人「あーごめんごめん、サヨナラを言うのが辛くてね……」
藤本「そんなのダメ、いつでも私のそばにいるって言ったじゃん!」藤本はあの人の右手を両手でガッチリと掴んだ。
しかし、あの人の顔はぼやけていてハッキリしていなかった。あの人「俺はもう君のそばにいるよ?」
藤本「?何言ってるのお兄ちゃん、私はまだ……」………
………
藤本「(ゥン……夢……?私寝ていた……?)」
坂本におっかかっていた藤本は目を覚ました、
藤本「(それにしても変な夢だったなぁ………)」
藤本は自分の見た夢に不思議な感じを覚えていた、
……とても懐かしい匂い。
……とても懐かしい感じ。
……とても懐かしい感触。まるであの頃にタイムスリップしたようだった。
そして藤本が大きく息を吸ったときだった、
藤本「(………え、この匂いって……)」
あの時の匂いと今嗅いだ匂いがとても似ていたのであった、
あの時とは微妙に違う……でもあの時と微かに同じ匂いが藤本の目の前にはあった。藤本「(ギュ)」
坂本「わっ、どうした?」突然、藤本は坂本の右手を両手でガッチリと握り目を閉じた。
藤本「(おんなじだ……あの時とおんなじだ…なんで今まで気づかなかったんだろう…)」
そして、
藤本「………お兄ちゃん……だよね……?」
坂本「はぁ?」
当たり前だが坂本は藤本が何を言っているか分からなかった。
藤本「坂本さん昔北海道に居た事ありますよね!?」
坂本「えっえっ?」
藤本「北海道に住んでいたことありますよね!?」藤本の剣幕に多少押され気味の坂本であった、
坂本「えーーーっとぉ……………………………ないよ」
藤本「何でそんな嘘つくんですかぁ!」坂本は真面目に北海道に住んでいた記憶は無かった、
むしろ坂本が日本に住んでいたというのはきわめて稀になる。良い機会だからここで坂本の事を少しお話しよう、
坂本の父は某国の外人部隊の一人だった、
その影響か坂本自身も自然と小さい頃から父親の英才教育を受けていた。
父親自身外人部隊を離れ各国を転々としていた時期があったのだ、
だから坂本は覚える暇も無く各地を転々としていた時期があったのだ。そもそも坂本自体どってことない性格なので昔住んでいた土地のことについて
まったく覚えていない(むしろ知ろうとしない)可能性もあるかも……ん、じゃあ何でそんな坂本がこんな事しているのかって?
それはまた別の話。閑話休題、
坂本「いやー俺さ、ずっと日本に居たわけじゃないのよ、生まれはとある小国だし、半年前に日本に来たばっかだもん」
藤本「ぜっっったいに北海道に居ました!そもそも私の話を聞いて何も感じなかったんですか!?」藤本の言う話とはあの(>>189-190)話である。
坂本「えー…だって俺そんな事知らないモン」
藤本「もー!何で覚えてないんですか、あんなに大事なことを!!」藤本にとって大事なことでも坂本にとっては大事ではないことかもしれんぞ?
坂本「だってころころ住むところが変わっていたからさぁ、どこで何したかなんて覚えてないよ、まして昔の事ならさ」
……藤本怒るぞ…
藤本「あーあーそーゆーこと言うんですか!
あー分かった、高橋愛ちゃんのことの方が気になるんでしょ、
私の事なんてどーでもいいんでしょ、そーでしょ!?」
坂本「(さっきの電話気にしていたのね……)」
藤本「どーせ「安心しな、俺はいつでもそばにいるからさ」って言葉、
愛ちゃんにも言っているんでしょ!?
あーひょっとしてその言葉って口説き文句かしら?!」
坂本「口説き文句じゃねーよ。
(高橋愛にも言ったなんか言ったらやばそうだな……)」興奮する藤本をどうやって落ち着かせようかと坂本は模索していた、
坂本「(お、名案!)じゃ、じゃあさ、俺が思い出すように何か話してよ?あの以外の話をさ?」
うむ、うまいな坂本。
藤本「え゛ーっ!?」
坂本「まぁいくら俺でもいくらか昔話をしてもらえれば思い出すからさ、何か適当に話していってみて」
藤本「………うーん…」藤本は考え込んでしまった。
>>189-190の話が彼女にとっては一番なのだからこれ以上の話を望むのは酷である。坂本「じゃ、じゃあさ俺との(?)出会いから順々に話していってよ」
藤本「んー……はい…」藤本はおとなしく坂本の言う事を聞き、話し始めた。
藤本「初めは……私が良く遊んでいた付近で走っていたのを見たんですよ、汗びっしょりに。」
坂本「……」坂本は黙って聞いていた、
藤本「何だったっけな……私がその様子を見て声をかけたんですよ。「そんなに汗かいたら風邪ひくよ」だったっけ……
そしたらお兄ちゃんが「いつもこんくらいかいているから大丈夫」って言ったんですよ。」
坂本「(確かに父さんからいつも走りこむようには命じられていたが…)」そんな坂本の様子はよそに藤本は話を続けた、
藤本「私はとりあえず納得して…「ねぇ数が足りないから一緒に遊ばない?」って聞いたのかな?
そうしたら「うーん…いいよ」って意外とアッサリOKを貰ったんだよ。
そういう状態が何回か続いていたんだけどある日からお兄ちゃんと2人だけで遊ぶのが
日課になっていたんだよぉー。覚えていない?」
坂本「うーん……もうちょっと話して」藤本は更に話を続けた。
藤本「そしたらある日上級生が来て私たちにいちゃもんを付け始めたんだよ、
「お前らここで何やってんだ」って、何故か私にだけ向かって文句ばっかり。
そしたら「……違うとこ行こう」ってお兄ちゃんが私の腕を引っ張ったんですよ、
そしたら上級生がいきなり私を殴ったんですよぉ〜!!」藤本は先程の眠気がどこへやらと言うくらいヒートアップしていった、
藤本「そしたらお兄ちゃんが今日の駐車場時みたいに「…下がってな」って言ったんですよ、
んであっという間に上級生を独りでボコボコにしちゃって……」
坂本「(そんな事形は違えど色んな所でやったからいちいち覚えてらんない……)」とりあえず坂本はこの様な事は数多く(?)やっているらしいが、はたして…?
藤本「それで殴られて泣いていた私に向かって頭を撫でながら
「安心しな、俺はいつでもそばにいるからさ」って…………」
坂本「(うーん、その言葉は俺の口癖みたいなモンだからなぁ……)」やな口癖だな、この女殺し。
坂本「(うるせー馬鹿!!)そ、それで他には無いの?」
その言葉に藤本は突然坂本に抱きついてきた、
藤本「よくこーゆー事していたよねーお兄ちゃん」
坂本「どーゆー事だよ!!?」そーゆー事に決まってんだろ、この野郎ぉ!!
(↑最近三角関係で悩んでいる人)藤本「だって抱きついても文句言わなかったじゃん、
だから私がずーっとしていてもお兄ちゃん何も言わなかったじゃん」
坂本「(ある意味文句をつけようがない気が……)」まぁね、そりゃそうだ。
藤本「んでさ、お兄ちゃんも腕を廻して抱くようになったしね!」
坂本「(……何か微妙にそんな事があったような気が………)」
だからと言って坂本は「思い出したよ」とは言う気にはならなかった。
まだハッキリと思い出していないと言うのもあるがああ言った手前、
藤本の言う事を肯定するのが何となくできなかったのであった。坂本「もういいだろう、離れ…ろ……?」
藤本「……(スーッスーッスーッ…)」坂本の胸の中で藤本は眠りについていた、
坂本「(……しょうがねぇなぁ………)」
坂本はしばらくそのままの状態で藤本を寝かせてやっていた。
―そして次の日、モーニング娘。と藤本美貴は一緒の仕事だった。
モーニング娘。のメンバーは久々の仕事であった。
S「どうだ、昨日は?」
坂本「(違う意味で色々あったけど)……何も無かった」2人とも相手方の不可解な行動に頭を悩ませていた。
マネージャ「よろしくお願いしますね、ガードの方」
坂本「はい、ご安心を」
S「それよりも終了後を気をつけることだな」確かに今までの事件はいずれも(日テレは少々違うが)
仕事が終わった後に来るケースが多い気がする。坂本「……そう言えばそうだな、周りに人が多く居る時に狙われている気がするな」
S「…確かにな。何か少しズレを感じるな……」
坂本「……しかし密輸とどういうつながりが……?」確かにそのことと暗殺はどうしても繋がりが無い風に感じてしまう、
S「そのことなんだがな、仮説だが一つ思いついた」
坂本「何!?」今まで何も思いつかなかった「密輸と暗殺」
この2つの繋がりが仮説とは言え繋がった事に坂本は驚きを隠さずにはいられなかった。S「仮説とは言え奴らは少なくとも自分達の行動を表に出す事が目的のようだな」
坂本「……周りに人が居る時に狙うのはその為か」確かに今までを振り返るとテレビ局やコンサートのような人が多い所での犯行が多い、
真の目的とは…?S「それが奴らにとって何のメリットがあるのか―
俺は密輸の目をそらす事にあると俺は考えた。
警察、そしてマスコミ各社、……あげたらキリが無いがな…」
坂本「しかし向こうは密航船である以上海保が出てくると思うのだが……」
S「仮説にケチつけんなよ」確かに今回の事件に海保はあまり関係が無い。
坂本「まぁでも行動を表に出す事が目的なのは間違いが無いようだな」
この辺は坂本も同意していた。
S「と言う事はだ、ガードする時が何時なのかはおのずと分かるはずだ」
坂本「……つまり、プライベートのガードは不要と言う事か」
S「まぁそう言う事だな」Sの仮説が正しいのならプライベートを襲撃しても向こうに何のメリットは無い、
向こうは注目されるところで行動するのだから。マネージャ「斎藤さん、チョットよろしいですか?」
S「おう、今行く」坂本のもとからSが離れた、
藤本「お兄ちゃんよろしくね〜」
と同時に藤本が坂本のもとへ駆け寄った。
坂本「お兄ちゃん言うな、バカタレ」
藤本「だってぇーお兄ちゃんはお兄ちゃんじゃん」
坂本「そもそもこーいう場ではそう呼ぶな」
藤本「はーい」坂本の言いつけに藤本は一応返事をした、
藤本「じゃあねぇ〜」
藤本は坂本から離れた、
高橋「……坂本さん…」
今度は高橋が坂本のもとへやってきた。
坂本「(もー次から次へと…)…どうしたんだい?」
坂本は嫌な気持ちを悟られまいと表情を作った。
高橋「あっ、あのォ〜………」
坂本「(相変わらず訛っとるのぉ…)…話さないと分からないよ」
高橋「昨日は……無理言ってすみませんでした…
藤本さんあんな事があったのに……」
坂本「まぁ気にすんな」昨日の事を気にしていた高橋を坂本は軽く励ました、
高橋「……何かずいぶんと親しげでしたね…さっき?」
坂本「(昨日の事は話せる訳ないし……)別に気にしなくてもいいんじゃないの?」確かに坂本が誰と仲良くしようが勝手である、
いちいち高橋の干渉を受ける必要がない。高橋「(ムッ)別に気にしていません、ただ聞いてみただけです」
坂本「(あ、怒った?)あっそう」坂本はツレなく返答した、
高橋「………私の事嫌いなんですか……さっきから冷たい態度ばっかり……」
坂本「そ、そんな事ないよ……(モーコノヒトハナンナノヨ、ナンナノサ)」
高橋「私の事嫌いなら嫌いって言えばいいじゃないですか、
私より藤本さんの方が気になるんですよね、
私の事なんでどうでもいいと思っているんですよねどうせ。」
坂本「(何か聞いた事のある台詞だな……(;´∀`))」昨日違う人が言ってましたねぇ、そう言えば。
ケッ高橋「もぅいいです、坂本さんなんか嫌いです」
高橋はふて腐れながら坂本のところから去った、
坂本「(……勝手に嫌われても困るのだが…)」
S「おい」
坂本「(ホッ)何だ?」Sが来た事に坂本は思わずため息をついた。
S「お前、あんまり女泣かすなよ」
坂本「……………(゚Д゚)ハァ?」
S「だってさっき高橋泣いていたぜ」
坂本「…………(゚Д゚≡゚Д゚)?」坂本は相変わらずだった。
S「それにだ、さっきお前と話していた時の藤本美貴、
あれは完璧お前に好意があるな。昨日何したんだ君達は?」
坂本「何もしてねぇよ(もーこの人はいきなり何を…)」坂本が鈍いだけなのか?
それともSが鋭いだけなのか?S「まぁ…あんまりクライアントには手を出すなってこった」
坂本「してねー」……どうだか。
収録終了後、一同にプライベートのガードは取りやめるという話をした。
そして仮説ではあるが理由を話し一同に納得をしてもらった。一同「……」
やはりいつ襲われるかと不安は拭い去れないようだ、
坂本「まぁ着きっきりってのが無くなるだけで連絡があればもちろん行くよ」
S「まぁそう言う事だ」一同はまだ何となくだが不安を拭い切れてないようだった、
まぁ当たり前だが。S「……どーしてもガードして貰いたい時は一言言ってもらえればいい、
別に絶対にしない訳ではないからな」
坂本「(……何か妙に変な感じが…)」しかし坂本の予感は外れ、そのまま解散となった。
解散直後は2人はもちろん、何人かのガードマンが常についていた。しかし今日は何も起こらなかった。
皆無事に解散した直後であった、
藤本「ねーお兄ちゃん、これから何してるの〜?」
まだ2人のもとにいた藤本が坂本に話し掛けてきた、
坂本「あ?する事なんて山ほどあるわ」
藤本「えーっ、見栄張らなくていいのにぃ〜」と2人のもとにSがやってきた
S「お前、別にする事なんてないだろ」
坂本「はーっ?何いってんのよ?」
藤本「じゃあ斉藤さん、お兄……じゃなくて坂本さん借りてもいいですか?」
S「さっき言っただろ、ガードして貰いたい時は一言言ってもらえばいいって」
藤本「やったー!」
坂本「(S、お前そんなキャラじゃないだろ(;´Д`))」話そらすな、坂本。
藤本「じゃあ後はよろしくお願いしまーす♪」
S「おう、しっかりな坂本」
坂本「あ、あのぉー……」坂本は右腕を藤本に引っ張られたままその場から連れ去られた。
藤本「どこ行こっか、お兄ちゃん!?」
坂本「お前なーガードの名目でオレを引っ張りだしたんだろ?」藤本は一言もガードとは言っていないけどな。
藤本「ふーん…じゃあどうすればいいの?」
坂本「一応アイドルなんだしあんまりうろちょろしないで真っ直ぐ帰れ」
藤本「んーわかった、じゃあ帰るぅー」藤本は大人しく坂本の言う通りに従った、
―到着、
藤本「お兄ちゃん何食べる?」
坂本「お前料理できんのかよ?」で、実際はどうなんだろ?
藤本「(ムッ)じゃあお兄ちゃんはどうなの?!」
坂本「お前よりは上だな」
藤本「いったなー、じゃあお兄ちゃんやってみてよー!」
坂本「その言葉後悔させてやるぜ」坂本は何やら自信ありげの様子だった。
坂本「ほらよ」
藤本のテーブルに並んだのは何の変哲もないただのチャーハンだった。
藤本「……(疑)」
坂本「百聞は一見にしかず……だぜ」猜疑心満載のまま藤本はスプーンを口に運んだ、
藤本「…えっ……えーっ?」
驚くなりもう一杯スプーンを口に運んだ、
藤本「なにこれー!おぃすぃー、なんでぇ!?」
坂本「どうだ、さっき言った事後悔したか?」藤本は坂本の話を聞かずに食べるのに夢中になっていた。
藤本「なに?なんでこんなのが作れるの?」
坂本「オレの腕」
藤本「え゛ーっ、つまんなーい」と、
坂本「(ブーッブーッブーッ)おっと悪い」
不意に坂本の携帯が震えた。
坂本「はい、どうした?」
高橋「……坂本さんですか」声の主は高橋だった、
高橋「あ、あのぉ………」
藤本「(ピクッ)お兄ちゃんだーれー?!」藤本はわざと電話の主に対して聞こえるように大きな声で坂本に尋ねた、
坂本「(声がでかいよ)気にしないでくれ、何だ?」
しかし、向こうは気にしたようだ。
高橋「……藤本さんですか…?そこにいるのは…?」
坂本「あ、ああ。それよりなんだ?」
高橋「…………」
坂本「(黙っちゃった……)」数秒経った後だった、
高橋「……なんで坂本さんは藤本さんばかりに付いているんですか?」
坂本「は?」
高橋「最近、藤本さんのそばにいるばっかりじゃないですか」
坂本「2回しかいないよ」
高橋「問題は回数じゃないですぅ!!」電話の向こうで高橋が突然叫んだ。
坂本「(何だそのサヨクみたいな発言は…)」
むむ、その例えは一般人には分かりにくいか。
高橋「もし誰かが襲われたりしたらどうするんですか!?」
坂本「そこに行くに決まってるじゃん、今更何を」
高橋「そんなウソなんていいです、もぅ……もういいです!(ブチッ)」
坂本「(ツーッツーッツーッ…)なんなんだ?」高橋の訳の分からない勢いに終始「?」の坂本だった、
坂本「……おい、人が電話している最中にデカイ声だすな」
とりあえず気を取り直した坂本は藤本に注意を促した、
藤本「ごめんお兄ちゃん………ちょっと妬いちゃったんだ」
坂本「はぁ?」
藤本「今の電話愛ちゃんからでしょ?……何かお兄ちゃんを取られたみたいで……
それでつい……………ごめんね」
坂本「(う……するどい……)」まぁ今までの展開からすれば今の電話は高橋というのは何となく分かる事だが…
坂本「と、とりあえず電話中に邪魔すんな、いいか?」
藤本「はぁ〜い」とりあえずその場は丸く収まった。
坂本「しかしなんだ、よく電話の相手が高橋だって分かったな?」
坂本は電話の相手を完全に読みきった藤本に疑問を持っていた。
藤本「だって…分かるよ…………」
坂本「そう?」
藤本「(コクリ)だって…そもそもお兄ちゃんって女の人と話している時って違うもん」
坂本「な、何が違うの?」確かにその辺のアバウトなところは本人は気づくはずが無い、
藤本「んー…何て言うのかなぁ……どこか…優しさが出てる気がする」
坂本「わしゃバファリンか」
藤本「…プッ、ハハハハハハハハ!お兄ちゃんおもしろーい!!」バファリンの半分は優しさで出来ています。
坂本「(そんなにおかしかったか?)優しさねぇ……そーゆーお前は感じるのか?」
坂本の言う通り藤本の言う事が本当なら藤本自信もそれを感じているハズである、
藤本「ウン、お兄ちゃん優しいじゃん」
坂本「そうか?」
藤本「お兄ちゃんってたまに言葉が悪い時があるけどさ、
あれって後々考えてみると別に悪く言っているわけじゃないんだよね」
坂本「ふーん……そんなに優しいかね?」坂本の問いかけに藤本は笑みを浮かべながら大きくうなづいた。
藤本「私そんなお兄ちゃんが……………」
坂本「………」数秒沈黙の後、
藤本「す………好きだよ…………」
坂本「………」坂本は黙っていた、
むしろ何も喋れなかったと言った方が正しいか。藤本「………」
藤本はいったん坂本の顔色を伺い、
藤本「だから………その………」
藤本の口元はたどたどしかったが坂本は黙って聞いていた、
藤本「その…………その…………」
まどろっこしい藤本に何かを感じたのか坂本は突然藤本を自分のもとに引っ張った。
藤本「あっ……」
坂本「もういいよ……無理する事無い」坂本は藤本を落ち着かせる為にこう言ったのだろうか。
しかし逆に藤本に火をつけることになる、藤本「む…無理なんかしていないよ……」
坂本「じゃあなんだ?」坂本は意地悪っぽく藤本に問い掛けた、
藤本「…………お兄ちゃんのいじわるぅ…」
藤本は憮然としてうつむいてしまった。
坂本「…悪かったよ、顔上げなよ」
坂本は右手で藤本のうつむいた顔を上げた、
藤本「…………」
坂本「………どうした?」とその時だった、
藤本「(パチッ…)……」
坂本「(えっ?!)」藤本は目を閉じ坂本の唇を塞ごうとしていた
ブーッブーッブーッ
突然坂本の携帯が良い(?)タイミングで震えた、
坂本「(フゥ助かった気分)もしもし?」
絶好の場面を逃した藤本は恨めしそうに坂本の電話を睨んでいた。
S「俺だ、お楽しみのところ悪いが今すぐ来てくれ」
坂本「(楽しんでねーよ)どうした、何かあったか?」
S「詳しい話は後だ、今すぐ来い」
坂本「来いって言ってもどこに…?」
S「…お前がいるところの目の前だ」どうやらSは藤本の家の前にいるらしい、
坂本「(あらまぁ)おし、分かった今行くぜ(ピッ)」
坂本はそさくさと出発する準備を始めた、
藤本「………帰るの?」
藤本が寂しそうな口調で問い掛けた、
坂本「いや、斎藤さんからの呼び出しだ、じゃあな」
坂本は振り返ることなく藤本の家を出て行った、
藤本はタイミングの悪さとその姿にやるせなさを隠し切れなかった。坂本「おぅ悪いな」
坂本はSが乗ってきた車に急いで乗り込んだ。
S「少し付き合ってもらうぞ、海まで」
坂本「海…………(ハッ)今日か、今日なのか?」坂本の言葉にSは軽くうなずいた、
そう、これから2人は不審船に向け出発するのだ。
坂本「装備を整えたいんだが一旦家までいいか?」
S「かまわん、俺も整えたいからな」Sが装備を整えると言う事は覚悟が伺える証拠だろう、
S「各地に散らばっていた俺の小隊4人を集めた、現地で会うと思う」
坂本「へっ、そんなん持っていたの?」
S「まーな、一人じゃ限度があるからな」しかし坂本は疑問があった。
坂本「まだ密輸と暗殺の謎が解けていないんだぞ、どうする気だ?」
そしてSはこう答えた。
S「同じ組織が密輸と暗殺を同時に行っているからといって
その2つが必ずしも繋がるとはいえない。」坂本「……どう言う事だ?」
Sの言葉に坂本は理解が出来なかった、
S「つまりだ、2つは全然違うプロジェクトだってことだよ。
密輸と暗殺に繋がりがあることを思わせる事が向こうのハナっからの狙いなんだよ」
坂本「………えっ、じゃあつまりどういうことよ?」坂本はSの言っている事は分かったのだが、イマイチまだ理解できていなかった。
S「こう考えればいい。
密輸と暗殺はたまたま同じ時期にやるハメになったんだよ」
坂本「…あっ………そーゆーことか!
同じ組織と言うだけで密輸と暗殺が繋がっているって言う先入観を持たされたってわけか!?」
S「まぁそう言う事だ」そんな会話をしているうちに車は坂本の自宅へ着いたのであった。
S「本気でかかるぞ、万景峰号並の船に突っ込むから何があるか分からんぞ」
坂本「分かった、フル装備で行くわ」Sは軽装な物に着替え、武器はいつもと同じM16A2とハンドガン。
坂本はMP5A5とSIG/SAUER P228、格好はモロSAT風な格好だった。MP5A5…http://www2t.biglobe.ne.jp/~ohige/tsuhan/marui/electric_gun/hk_mp5a5n_hg_eg.htm
SIG/SAUER P228…http://works.pobox.ne.jp/shogun/files/pistol.htm
SATの格好…http://www.gams-market.com/maker/medicomtoy.html準備を終えた2人は再び車に乗り込んだ、
S「ずいぶん堅い格好だな」
坂本「アンタが本気でかかれって言ったじゃないか」まぁSと坂本の格好を比べると確かに坂本は随分な格好である。
そして2人はついに海岸沿いに着いた。
坂本「よし行くか」
S「いやまだだ」
坂本「え、何でだよ?」
S「俺たちが近づける範囲にまでまだ船が来ていないのもあるし、まだ時間が浅いんでな」まだ日付は跨いでいない時間である、
坂本「じゃあどうするんだ?」
S「連絡が来たら行くさ。まぁ気楽に待とうぜ」そう言うとSはシートを倒して寝始めた。
坂本「おいおい(こいつってこんな奴だっけ?)」
坂本はしばらく構えていたがしばらくしてSと同じようにシートを倒して寝始めた。
ピーッピーッピーッ
突然車の中にあった無線機が鳴り始めた、
S「来たか?」
坂本「(英語……?)」
無線「はい、今から向かえばちょうど良いと思います」
S「よしお前らも向かえ、一斉に行くぞ」
無線「了解」2人は車を出て小型ボートに乗り込んだ、
S「…これを止めれば北の大規模な日本への麻薬密輸を明らかに出来る……
しかし中はボロ船と違いえらい重装備らしいからな……油断するなよ」
坂本「……オッケー、今までと一味違うわけだな…」Sのただならぬ気迫を感じ取った坂本は改めて気合を入れなおした。
坂本「あっ……あれか!?」
2人の遥か前方にわずかに光を発した船が浮いていた。
S「…あいつらも来ているな……」
2人の船の近くに2隻の小型ボートが漂っていた。
そして一呼吸おき、
S「……よし、行くぞ…!」
3隻のボートは一気に前方の船へ接近した、
坂本「(よし、もう少しだ)」
3隻が近づいたその時だった、
パパパパパパ……
S「ちっ、やっぱそう簡単にはいかねぇか」
こちらに気づいたのか弾が海に着弾する音が暗闇に響いた、
デルタ「隊長、やつらは我々がひきつけます、その隙に乗り込んでください!」
S「(坂本もいるから行けるか…?)よし分かった、頼むぞ!」4人は船上からの発砲に対して迎撃を始めた、
2人はその隙にボートを進め一気に船へ近づいた。パパパパ……パパ……
しかし甲板からの攻撃により2人は乗り込めないでいた、
S「うるせぇなぁ、動けねぇじゃねぇか」
坂本「まかせろ」と言うと坂本は甲板に向かって何かを投げ込んだ、
ピカッ!
S「閃光弾か」
坂本「一気に乗り込むぞ!」甲板の人間が目をやられている隙に2人は中の方へ入り込んだ。
「ぐあっ…」
チャーリー「よしこっちも続くぞ!」迎撃を終えた4人も船へ乗り込み、中へ入り込んだ。
S「この船には主犯格が乗っている、奥の部屋までこのまま行くぞ!」
坂本「分かった!」2人は脚を止めることなく奥へ奥へと進んでいった。
坂本「4人もこのまま来るのか!?」
S「いや、奴らは重要証拠を収集するように言ってある」と2人の行く手に武装した乗員が現れた、
坂本「邪魔だ!(パパパパ)」
S「どけ(パン、パン)」2人は現れたと同時にすべて倒しそのまま駆け抜けた。
その後も現れては倒し現れては倒しをくり返し主犯格を探しつづけた、
しかし、
坂本「くそっ!どこだ!?」
S「変だな……もう殆どの部屋に行ったはずだが……」ボゴッ!!……ゴゴゴゴ…
突然爆音と共に船が激しく揺れ始めた、
坂本「うおっ何だ?!」
S「…自爆装置でも起動したか……?」Sの言葉のとおりか、船が徐々に崩れて行き始めた。
ベータ「隊長!」
とそこに4人が2人のもとへやってきた、
アルファ「どうやら自爆装置が起動した模様です、船が崩れるのに……30分くらいでしょうか?」
S「30分か……」
アルファ「もう一つなんですが、こちらへ向かう途中で“隠し扉”のようなものを発見しました。
おそらくそこに主犯格がいるのでは?」
S「何?どこだ!?」アルファの案内で隠し扉の前までやってきた。
S「なるほどな……たぶんこの先が脱出経路なんだろうな」
坂本「よし行くぞ!!」坂本が活き込んだその時だった、
S「……お前は引き返せ、よくやってくれた」
坂本「な、何だよ、いきなり何言ってるんだよ!!
S「お前には帰りを待っている人間がいるんだ、大人しく引け。後は俺たちに任せろ」
坂本「今はそんな事言っている場合じゃないだろ!行くぞ!」S「悪いな(バシッ)」
坂本「S……」Sは坂本の首を叩き坂本はその場に倒れこんだ、
S「チャーリー・デルタ、お前らはこいつを責任もって日本に返せ」
チャーリー・デルタ「はっ」デルタが坂本を背負い一足早く3人は船を脱出した。
S「お前ら2人は甲板に出て海保と連携を取れ、もうすぐ巡視船が来るはずだ」
アルファ・ベータ「はっ」2人もSのもとから去っていった。
S「……さてと行くか…」
独りSは隠し扉の先へと乗り込んだ。
残り約25分―
S「(見るからに怪しいな……)」
隠し扉の先は暗く辺りがまるで分からなかった、
だからと言ってSは歩みを止める事は無かった。S「そんなに殺気丸出しだと隠れてる意味無いぜ(パンパン!)」
Sは駆け抜けながら左右に前後に撃ち分け隠れている乗員を次々倒していった、
S「(まだ先なのか……しかし取り逃がしはせん)」
かれこれSは長い間駆けていた、
常に辺りを見回しながら細心の注意を払っていた。そして―
S「(ん……あ、あれは!)」
Sの先には脱出用のボートだろうか?
それに数名乗り込みまさに今出発しようというところだった、S「ちっ、やられた!」
Sをあざ笑うかのようにボートはそのまま出発したのであった、
まさに「タッチの差」であった。残り15分―
S「(………カチャ)」
Sはすぐその場で構え、スコープ越しからボートを除いた。
と言っても暗闇と船の揺れ、それに船はどんどん小さくなっていっていた。普通に考えれば「無理」な体勢である。
S「(……パン!)」
ボーーーーン!!
何と銃声の後ボートが海上で爆発炎上した。
S「……よし」
Sは爆発炎上を確認した後すぐに引き返した、
S「(まだ時間はある……間に合うはず…)」
しかし残り時間が無くなるにつれて船の崩壊具合も徐々に増していった、
S「あぶねぇ」
何とか隠し扉の前までSは無事に辿り着いた。
残り5分―
ガチャ、ガチャガチャ…
S「何ぃ、開かない?!」
どういうわけかさっきまで自由に開閉が出来た隠し扉は今は開かなくなっていた、
S「くそっ(ガン!)何故だ!(ガン!)」
叩いても蹴ってもまるで開く気配が無かった。
アルファ「隊長はまだか!?」
ベータ「ダメだ、まるで気配が無い!」
「早く、2人ともこの船から離れるんだ!」2人は海保のSSTの一人に脱出を促された、
SST…海上保安庁の特殊部隊の名前アルファ「俺たちまで巻き添えになるぞ!」
ベータ「く…………すいません隊長!」2人は意を決し船から離れた。
数分後には船はもろくも海の底へと沈んでいった……
さすがにこれは大問題となり新聞などのメディアで大きく取り上げられた、
船から発見された重要証拠・大量の麻薬が否定しがたい事実だった。しかしSの行方は依然不明のままだった……
坂本「な…なんてこったぁ………」
坂本は自宅のPCから不審船の情報を仕入れていた、
坂本はあの後自宅へ帰されていたのであった。坂本「(Sは…Sはどうなったんだ?)」
坂本は即座にSの小隊に連絡を取ったがSの消息は不明とのことだった、
それよりも坂本はどうしてもあることが気になっていた。坂本「何故Sは俺を帰したんだ?」
坂本はデルタにそのことを尋ねていた、
デルタ「……隊長は家族を虐殺された事があるそうだ…
そのせいかは分からないけどウチ等4人はみんな家族もいない独り身なんだよ」
坂本「……」坂本はそれ以上何も聞く事が出来なかった、
いや聞けなかったと言う方が正しいかもしれない……その後もSの消息は掴めずにいた、
メンバーには「違う仕事をしている」と坂本はお茶を濁していた。坂本「(ここのところ何も無いな……)」
不審船から約2週間くらいだろうか、メンバーには以前のような事件などは何も無かった。
坂本「(やっぱ不審船の影響でなりを潜めたかねぇ……?)」
しかし密輸の証拠は出てきたが暗殺の証拠はまだでいない、
坂本の考えは所詮推測の域でしかなかった。坂本「(相手が動くまで待つしかないのかねぇ……?)」
―坂本がそんな事を考えていた夜だった
藤本「(そーいえばあれ以来お兄ちゃんと疎遠だなぁ…)」
藤本は一人自宅に向かっていた、
そしてタクシーから降りたその時だった藤本「えっ?!……んぐー!!んーー!!」
突然複数の人間に取り押さえられた
藤本「んー!んー!!」
藤本はそのまま大型ワゴン車に詰められてしまった。
タクシーの運転手「(あわわ……れ、連絡を…)」
運転手が慌ててタクシー無線を手に取ったその時、
パパパパ…!
複数の銃弾が運転手を捉えた………
そしてそのワゴン車は一目散に現場を去っていった。
しかし数分後に外の異変に気づいた近所の住民が警察に通報した、
もちろん坂本のもとにもそのことは伝わる。坂本はすぐに対応に追われている事務所に駆けつけた、
坂本「犯行声明は出ていますか?」
社長「いや……何もない……」言葉の通り犯行声明も出ていなければ脅迫電話も無い、
目撃証言もなく手がかりが全く0の状態だった。坂本「(しかし何で今頃こんなことを……何が狙いなんだ…?)」
手がかりも無ければ犯行の動機も見えない誘拐事件に坂本は頭を悩ませていた、
坂本「(ここにいてもしょうがないかな…)すいませんちょっと出てきます」
坂本は独自のルートで情報を得るために事務所を後にしたのであった。
坂本「(しかしそんな情報なんて都合よくあるかねー?)」
坂本が自宅のPCの前に向かっている時だった、
ブーッブーッブーッ
坂本「(……何だよこんな時に…)パカッ」
坂本は呆れながらも携帯を開いた、
坂本「(メール……………う、うそっ!)」
送信者のところは何と誘拐されているはずの藤本美貴となっていた。
藤本『いまこうじょうにいるの、なんかやくひんくさいところ、
まどはくらくてよくわかないけどひとがおおぜいいる、
いえからくるまで1じか』途中で切れていることとひらがなで埋め尽くされた文章が藤本の心情を間接的に坂本に伝えていた。
坂本「(……落ち着け落ち着け)」
坂本はそう自分に言い聞かせて考え込んだ、
坂本「(…向こうは今いる状況を目に付くものから拾っていっただろう……
と言う事はメールから場所は特定できそうだな…)」メールの文章を所々拾っていくと、
・工場にいる
・薬品臭い
・暗い
・人(たぶん誘拐犯)が多い
・藤本の家から車で1時間くらいのところ?
と言う事が分かる。坂本は以下の点を踏まえ、地図を広げた。
坂本「(工場……薬品を使っている工場………そんなのほとんど使っている!)」
坂本は慌てているせいか考えがまとまらないのであった、
坂本「(……やつの家から車で1時間くらいで行けそうな工場か………)」
坂本は手元の蛍光ペンでその範囲に該当する工場を片っ端からチェックしていった、
坂本「(暗い…………市街地から離れているってことか?)」
ただいま午後10時過ぎ、
街中ならネオンやビルの明かりで夜でも多少明るいはずである。坂本「(よし絞り込めたが……………どれだ、どの工場だ…?)」
ポイントは絞り込めたが「この工場だ」という決定打が無かった。
坂本は再びチェックした工場を見直した、
坂本「(………これか、これか!そうだもっと単純に考えればよかったんだ!)」
坂本の目に「化学薬品工場」と言う地図に書かれた文字が飛び込んできた、
無論今までの条件は満たしている。坂本「(人が多いか……この工場の規模からしても大人数はいれる広さだな…)」
坂本はすぐに準備に取り掛かり不審船の時と同じような格好・装備をした。
坂本「(今回はSもいなければ4人もいない………だが俺がやるしかない!)」
坂本は固い決意で化学薬品工場まで向かった。
坂本は付近に車を停め化学薬品工場の敷地内に近づいた、
坂本「(ここは確か在日系の資本の工場のだったような…………まさかな……)」
坂本は工場のセキュリティシステムを次々にハックと言うかクラックし徐々に忍び込んだ。
坂本「(しっかしでっけぇところだな…)」
町中にあるような中小の工場とは違い、
土地の広さもセキュリティも工場の設備も格段に上のようなところであった。坂本「(……多分奥の方に藤本が監禁されているだろうな…)」
しばらく進んでも誰とも遭遇しない事から坂本はこう推測を立てていた、
そして強硬なドアがあるところまで坂本は辿り着いた、
坂本「(……この向こうにいるな………殺気がビンビン伝わってくるぜ)」
坂本は大きく深呼吸をし目の前の重厚なドアを開け始めた……
パパパ!パパパ!
パパパ!パパパ!坂本がドアを開けたと同時にドアに向かって集中砲火が始まった、
………
パパパパ!
「ギャア!」
坂本「正直に真正面から来ると思ったか?」何と坂本は天井の通気孔から姿を現した、
パパパ!パパパ!
パパパ!パパパ!坂本の姿を確認したと同時に再び集中砲火が始まった、
坂本「(……っと、狭いからこれでいくかぁ)」
坂本はMP5A5からSIG/SAUER P228に切り替え、1人1発で次々に相手を仕留めていった。
坂本「(しっかし広い工場だな…)」
進めど進めどなかなか奥まではまだ辿り着けていなかった、
パパパ!パパパ!
パパパ!パパパ!坂本「あーもううるせぇなぁ!!」
とその時
ドガーン!!!
坂本「馬鹿、タンクにぶち込むなよ…」
相手の銃弾が薬品か何かがつまっているタンクに当たり、
そのタンクは爆音をたて爆発した。坂本「(…よし、行かせてもらうぜ)」
爆発で相手が動揺している隙に坂本は一気にその部屋を駆け抜けた、
坂本「(あ、あそこか?!あそこだな?!)」
坂本の目の前にある巨大な施設に数人入っていくところを坂本は目撃したのであった。
坂本「(……暗くてよく分からんが12・3人はいるな…)」
超巨大な工場に進入した坂本は相手の出をジリジリと伺っていた、
イメージ画像…http://www.kme.jp/product/images/i03-gomihaikureen.jpg
※あくまでイメージですよ、イメージ。坂本「(……灯りがついていく……?)」
突然工場内のライトがつき始めた、
?「さすが坂本虎雄の息子だ!たった一人であの人数をこなすとはな!!」
どこからともなくこう叫ぶ声が聞こえてきた、
坂本「(何故親父の名前を……?)誰だ!?藤本美貴を返してもらうぞ!!」
?「そもそも君達が余計なマネをしなければ済んだんだよ!!死ね!!!」
坂本「(君達?余計なマネ?何のことだ?)」そんな疑問を思い浮かんだと同時に坂本に向かって発砲が始まっていた、
パパパ!パパパ!
パパパ!パパパ!坂本「(チッ、今回は広いからこれじゃあダメだな)」
坂本はSIG/SAUER P228からMP5A5に切り替え、遠方の相手から仕留めていった。
坂本「フン!(パパパ)」
「くはっ…」坂本はあっという間に最後の一人まで詰めていた。
?「う…うわぁ!!」
坂本「バーカ(パパパ)」坂本は相手が撃って来る前に相手のAK47に銃弾をぶち込んだ、
そして倒れこんだ相手に坂本は近づき髪の毛を掴んだ、坂本「藤本美貴はどこだ?」
?「……」
坂本「(ボフッ)どこだって聞いているんだ?」黙る相手に坂本は腹を思いっきり殴り再び尋ねた、
?「ゲヘッゲヘッ………奥の制御室……」
坂本「最初っからそう言え(バキ)」坂本は相手の頭を蹴り、奥の制御室まで向かった。
藤本「(あたしどうなっちゃうんだろ……)」
藤本は身体を縛られ冷たいコンクリートの床にうつ伏していた、
顔にはいくつか殴られた痕があった。ガンガン!!
突然ドアを乱暴に叩く音が辺りを響いた、
藤本「(ビクッ……………ドックンドックンドックン…)」
嫌でも藤本の胸の鼓動は早くなっていた、
パパパ!!ガンガン!!
バン!!坂本「藤本ぉ!!無事かぁ!!」
ドアに銃弾をぶち込み蹴り倒した坂本が藤本の目の前にいた、
藤本「お兄ちゃん!!!」
今まで耐えた苦しみからやっと解放されたと伝わってくるような藤本の声だった、
坂本「待ってろ…今ほどくからな……」
持っていたナイフでロープを切り、藤本を解放した。
藤本「お兄ちゃん怖かったよう……ヒックヒック」
ロープから数時間ぶりに開放された藤本は即坂本に抱きついた、
坂本「よくがんばったな……さぁこんなとこからさっさと出ようぜ!」
感傷に浸る暇もなく坂本は工場からの脱出を藤本に促した、
坂本と藤本は互いに手を繋ぎ駆け出した。
藤本「お兄ちゃん一人で来たの!?」
坂本「当たり前だ、あんなメールよこせばすぐ行くわ!!」二人が出口へ向かおうとしたその時だった、
?「ここをメチャクチャにお前を俺はゆるさねぇぞ!!まとめて死んでしまえ!!」
坂本「まだいたのかよ、しつけぇな」
?「余裕をこいていられるのも今のうちだ死ね!!」ブォォォォォォォォ!!!
二人の目の前にものすごい勢いで火炎が近づいてきていた、
坂本「うぉっ!!」
藤本「キャアァァ!!」坂本が藤本を抱きかかえ間一髪の所で交わしきった、
坂本「ば…馬鹿野郎!こんな所で火炎放射器かよっ!!」
火炎放射器…http://homepage1.nifty.com/plaza/jsdf/takeyama02.htm
?「黙れ!死ね死ね死ねぇ!!」火炎が工場内の薬品やタンクに引火し爆発を誘発させていった、
坂本「くぉっ……やべぇこのままだと燻製にされてしまう」
藤本「ゴホッゴホッ……」空気中に発せられた薬品が辺りを充満してとんでもない匂いが工場を包んでいた、
坂本「お前これしろ」
坂本はガスマスクを藤本に渡し装着を促した、
藤本「う、うん」
坂本「お前はここで待ってろ、すぐ片付けてくる」坂本はそういい残しその場から飛び出した。
?「この野郎!!丸焼きにしてやる!!」
視界に入った坂本に火炎を発射しようとしたその時
坂本「その前にお前にしてやるよ(パン)」
SIG/SAUER P228から放たれた銃弾は背中の火炎放射器の燃料タンクを捉えた、
バーン!!!ボカァ!!!!
轟音をたて爆発し、相手は砕け散った。
藤本「お兄ちゃん、早く!!」
誘発が続いていた工場内は非常に危険な状態だった、
坂本「おう!今行く…」
バーーーーーーーーーーーン!!!
ものすごい爆発と共に坂本自身の身体が地面に向かって吹き飛ばされた、
藤本「おにいちゃーーーーーーーーーーーーーーん!!!」
藤本の悲痛な叫びが炎でライトアップされた工場内に響いた。
藤本「ウゥ………おにい……ちゃん……」
藤本はその場に力なくがっくりと崩れてしまった、
藤本「お兄ちゃん返事してぇーーーーー!!!」
坂本「うるせー何だ!!?」炎や崩れた鉄骨などで分からなかったが確かに坂本の声が藤本には聞こえた、
藤本「お兄ちゃん生きているの!?」
坂本「あたりめーだ、俺は大丈夫だ!!」藤本は肩を撫で下ろした、
のもつかの間坂本「俺は後から脱出する、お前は先に出ろ!!」
藤本「そんなの嫌だよ、私だけ助かってお兄ちゃんが助からないなんて嫌!!!」
坂本「アホかお前、このままだとお前も死ぬんだよ!!早く出ろ!!」
藤本「そんなの嫌っ!お兄ちゃんが助からないなら美貴もここで死ぬ!!」
坂本「………俺は感動の再会果たして早々に永遠の別れにするほど甲斐性なしじゃねぇよ!!」
藤本「………」
坂本「さぁ死にたくなかったらさっさと走れぇぇ!!」
藤本「………(きっと……きっとだよ…)」藤本は後ろを振り返らず全力で走り出した。
坂本「(よっと……さてどうしようかな……)」
坂本は鉄骨から手を離し地面に着地した、
どうやらあの状況で助かった理由はこれのようだ。坂本「(だめだな……正規のルートは断たれたな……)」
出口へ向かうルートは炎と崩れた鉄骨でふさがれていた。
坂本「(………いやまてよ……)」
消防員「な、中から人が出てきたぞ!!」
消火中の消防団のところに藤本が走りこんできた、
藤本「まだ中に人がいるの!!お願い助けて!!」
しかし誘発する工場に団員は近づけないでいた、
消防員「救急ー!!彼女を早く病院へー!!」
藤本「私は大丈夫だから早くお兄ちゃんを助け……」バーーーーーーーーーーーーン!!!!!ゴゴゴゴ……
大爆発と同時に工場は崩壊していき始めた……
藤本「い…いやぁ………」
藤本はその場に泣き崩れてしまった、
救急隊員「どのへんが痛いですか?」
救急隊員が近づき藤本に怪我の状況を尋ねたが、
藤本「お兄ちゃん………ヒックヒック……」
藤本がずーっと泣きっぱなしだった為受け答えになっていなかった。
火災は翌日の昼過ぎにようやく鎮火し終えた、
工場内から死体がゴロゴロでてきたのは言うまでもない。その後の警察の現場検証によりこの工場では覚醒剤が製造・売買されていた事が判明した、
どうやら前回の不審船の件とここが関わっているらしい
と言うかこの工場自体が北の覚醒剤の製造・売買に関わっていたと言った方が正しいか。
前に主犯格らしき男が坂本に対して言っていた「余計な事」とはこのことだったのだろう。
意外な所に日本の麻薬ルートがあったのであった。―それから1ヵ月後
ようやく事件が沈静化しメンバーにも平穏な日々が戻ってきた頃であった、
会長「いやしかしうまくいったな」
社長「そうですね、こうもうまくいくとは」2人は事務所のあるところで話し込んでいた、
社長「彼等と繋がりを持っていたのがここで役に立ちましたね」
会長「そうだな、かなり役に立ったな」
社長「まだ彼女達には稼いでもらわないとですからね」
会長「話題作りとしては完璧だったな、いや完璧すぎたかな」
社長「彼が死んだのは大きかったですね、それにしても」
会長「ああ、うるさい奴が最後の最後に死んでくれるとはありがたかったよ」どうやら話がかなり意味深のようだ、
社長「まぁ最後はチョット予定外でしたけどね」
会長「そうだな、アイツ等が勝手に余計な事をして少し焦ったが結果的にはよかったな」
社長「まぁ今回の事件で2・3人減るかなとは思っていたんですけどね」
会長「確かにな。肥大化しすぎたと思っているから逆に減って欲しかったけどな」
社長「増やすのは簡単ですしね」2人の怪しい話はさらに続いた…
会長「これでずいぶん減ってた仕事が入ってきただろ?」
社長「そうですね、ピーク時とまではいかないですがずいぶんとは入ってます」
会長「そうか…うまくいったな」
社長「そうですね」とその時
?「やっぱりそんな事だったかこの悪人どもめ」
突然部屋から声が聞こえてきた、
2人以外にもちろん誰もいない。社長「だ、誰だ!!」
?「誰だろうねぇ?
そんなことよりあんた等が在日系と繋がっていたなんてなぁ…」
会長「だ、だからどうした?!」2人に動揺の色が見られていた、
?「前々から金をばら撒いていたあんた達はその彼等に今回の事件の依頼をしたんだな?
今回の事件を引き起こした理由も当ててやるよ」姿の見えない声に2人は怯えながら話を聞いていた。
?「人気に陰りが見えているモー娘。に対してあんた達は再度世間の注目を集めたかった。
オーディションやメンバーの卒業に世間は慣れてしまった、
そこであんた達が考え出したのが今回の暗殺事件だ。
メンバーに命に関わるような事件を次々引き起こし世間の同情と注目を集めたかったのが
今回の真の目的だ、そうだろ?」
会長「……何を根拠に」
?「まだがんばるかまぁいいだろう、後で吠え面かくんだからな。
暗殺事件もわざとTV局やコンサート会場など目立った所で行ったのも注目を集めたかったからだろ?
さっきあんた達が言っていたようにメンバーが1・2人減ろうが構わないもんな」
社長「ぜ、全部聞いていたのか?!」さらに話は続く、
?「で藤本美貴の誘拐はあんた達にとっては予定外の出来事だった、
ガードしていた坂本龍が覚醒剤を大量密輸する予定だった不審船を食い止めてしまったが原因だな。
それで大損害をこうむった化学薬品工場がキレて坂本龍に復讐する為に藤本美貴を誘拐した…
結果的には両者共倒れで尚且つ藤本美貴が生還したからあんた達はボロ儲けだったわけだ」
社長「黙れ!さっきからでたらめ…ウッ」突然社長の眉間に銃弾が撃ち込まれていた、
もちろん即死だ。会長「ヒィィィィ!!…ウッ」
そして会長の眉間にも銃弾が撃ち込まれた………
2人の死は表には出ず処理された、
一体誰がどんな手を使ったのかは不明だが……藤本「……」
藤本はとある街中をうつむきながらのらりくらりと歩いていた、
藤本「………」
藤本は誘拐の後しばらくして1ヶ月ほど休養を取った、
しかし藤本の気持ちが晴れる事は1日としてある事が無かった。そう坂本である。
藤本はあの後何十回と電話やメールを行ったが1件も返ってくる事は無かった、
日が経つにつれて藤本は段々塞ぎ込んでいってしまった。
ただ今日外出しているのは塞ぎ込んだことに飽きたからだろうか?藤本「…………」
藤本はただただ力無くブラブラと歩いていた、
目的地も出かける理由も無くただ単に街中を闊歩していたのであった。藤本「(……あ、信号赤だ…)」
信号の色を確認する為に顔を不意に上げたその時だった、
藤本「(…………え……あ、あれは……)」
どうやら見覚えのある姿を横断歩道越しに見かけたようだった。
藤本「(チョ…チョットそっちに行かないで!)」
藤本が見た姿は横断歩道とは反対方面に向かって歩き始めた、
藤本「(信号早く……!…………変わった!)」
藤本は青になると同時に飛び出しその姿を追って走り始めた、
先程までの力の無い歩きからは想像も出来ないほどの力強い走りだった。藤本「(待って……待って………!)」
藤本はそう念じながらその背中を全速力で追っていった、
藤本「(あ、左に曲がった)」
藤本も後を追って左に曲がった、
藤本「(はぁ…はぁ……あれ…どこ、どこに消えちゃったの?)」
四方八方見渡しても藤本が見た姿はどこにも見当たらなかった、
藤本「(……あっち!)」
しばらく悩んだ末、藤本はそのまま真っ直ぐ走り始めた。
?「(やれやれ……しつこいなぁ…)」
そいつは藤本が遠くへ消えた後再び歩き始めた。
やがて自分の住まいに着いたのかドアを開け中に入った。
?「(ガチャ)あれ、父さん来てたの?」
父「久しぶりだな龍、元気そうだな」そう藤本が見た姿はやっぱり坂本だったのだ、
そして家には坂本の父こと坂本虎雄が居座っていた。坂本「何時日本に着てたの、連絡くらいよこしたっていいのに…」
虎雄「一応"あの後"、お前の安否を調べてから来たんだよ。少々時間がかかったがな」あの後とは化学薬品工場の事だろう、
その詳細は後ほど。坂本「一応しばらく死んでいたように見せかけていたからねぇ都合上」
虎雄「そうか、それはよく欺いたな」
坂本「事件の真相を調べるのにチョット手間かかったけどまぁ解決したし
真犯人見つけたし」
虎雄「後処理もちゃんとやったみたいだしな」
坂本「まぁね」と言う事は会長と社長を暗殺したのも処理したのも坂本と言う事になりそうだ、
まぁある程度は予想はついていたが。虎雄「で、どう始末したんだ?」
坂本「え、PSG-1でズドンと」PSG-1…http://echigoya.co.jp/shop/gun/psg1.html
虎雄「お前スナイピング苦手だったのによくやったなぁ」
坂本「そんくらい何とかなるよ、状況が楽だったし」………何つー会話しているんだか…この親子は。
坂本「ま、これで終わった事だし父さんと一緒に日本を離れるよ。そういう約束だったよね」
何となくだが藤本と会わなかったのが少し分かった気がしないでもない。
虎雄「そうそれなんだがな、話がある」
突然何かを思い出したかのように虎雄が話し始めた、
虎雄「お前の活躍ぶりは私の想像以上だったよずいぶん成長していたんだな、
まだ訓練が必要な身とは思っていたがお前は一人でやっていけるよ、たぶん」坂本「……何が言いたいんだい?」
虎雄「お前は日本にいれたら日本にいる気だろ?」まるで「何か」を知っている素振りだった、
坂本「………だから何が言いたいんだい?」
少し坂本の表情に陰りの色が見えた。
虎雄「ごまかしたってだーめだ。全部S君から聞いたから」
虎雄の口から意外な人物の名前が出てきた、
坂本「え!?Sって生きていたのか、何で!?」
虎雄「何でって言われても本人と会っているから何とも……
……と言うかじゃあお前は何で生きていたんだい?」確かにあの状況からの脱出方法は気になるところである、
坂本「あれ?あんなの何のひねりも無いよ。
爆発や崩れた鉄骨でもろくなった壁に2・3発手榴弾ブチこんだだけだよ」
虎雄「………確かに何のひねりも無いなぁ……」
坂本「悪いかよ」いや別に………
虎雄「おっと話が逸れてしまったな」
坂本「別にいいよ俺は父さんと一緒に帰るよ」
虎雄「……藤本美貴………だな?」
坂本「関係ないよ、Sの誤解だよ」
虎雄「あれー?じゃあ何でさっき本人に追いかけられていたのに逃げるような事したの?」
坂本「……てめぇー!!つけていたのか!?」
虎雄「ダメよ尾行されているのくらい気づかないと♪」……いやはや常軌を逸した親子ですこと…
虎雄「別に父親としては息子の恋くらい素直に応援してやりたいけどなー」
坂本「してねぇよ!しつこいなぁ!」
虎雄「フーン、じゃあ直接会って話つけたらどうよ?」
坂本「やーだね、その意見は俺が会わないって言ったらダメじゃん」
虎雄「……それはどーかなーニヤニヤ( ・∀・)ノ彡□」虎雄は坂本に向かって何かを投げた。
坂本「ん……これは俺の携帯……?(パカッ)」
虎雄「ダメよ、そんなにメールと着信無視してたら」
坂本「テメー勝手に人の携帯覗くんじゃねー!!」
虎雄「だーってフン投げてあるからついつい」
坂本「……ったく…………………あ゛ーーーーー!!!!」突然坂本がdでもない声をあげた、
坂本「お前何でこんなメール送っているんだよ!!!」
虎雄「いやー息子が命がけで守った女性というのを見たいなーって思って」
坂本「アホー!だからってここの住所を奴に教えてどーすんだよー!!」
虎雄「いーじゃないケチ臭いねぇ、ほら部屋の整理でもしなさい」
坂本「あのねーだいだいねー……」コンコン…
虎雄「はーい(ガチャ)」
坂本「おいっ!」虎雄は坂本を無視し玄関のドアを開けた、
藤本「あ……あの………」
予想通りドアの向こうは藤本美貴だった。
虎雄「私は龍の父親です。龍なら中にいるからどうぞ入ってください」
藤本「は、はい」
虎雄「じゃあ私はチョット出かけてくるねー、( ・∀・)ニヤニヤ」
坂本「(……死ねっ!)」虎雄はそのまま家を出て行った。
藤本「……お邪魔しまーす………」
さすがに少し戸惑い気味なのだろうか、
藤本は恐る恐る中へ入っていった。藤本「……………お兄ちゃん……」
坂本「よお」藤本は約1ヶ月ぶりに坂本の姿を見て徐々に昂ぶる感情を胸に募らせていた。
坂本「1ヶ月ぶりくらいだ……ぅぉっ」
坂本が喋っている間に藤本は抱きついてきた、
藤本「お兄ちゃん………よかった………」
藤本は坂本の胸の中で大粒の涙を流していた、
坂本「(;´-`).。oO(こう言う時って何言ったらいいんだろう……?) 」
しらねー(←投げやり)
坂本「……ほ、ほら泣いちゃだめだよ」
坂本は藤本を引き離そうとしたがガッチリ掴まれていてどうしようもなかった。
藤本「シクシク…………」
坂本「(……ダメだこりゃ)」坂本は諦め藤本をしばらくそのままにしておいた。
ブーッブーッブーッ
坂本「(あ、電話だ)」
坂本は手を伸ばして携帯をとろうとしたその時
藤本「(パシ)……ピッ」
坂本「あ゛ー――お前なに勝手に電話きるんだよ!!ヽ(`Д´)ノヨコセ、バカ!!」
藤本「もう誰にも邪魔されたくないの!!…………邪魔されたくないの……」そう言えば前にそんな事がありましたねぇ、
虎雄「……ありゃ切れた?
せっかく今日は帰らないって言おうと思ったのに…」心配するな、どうせ向こうもそんなつもりでしょうし。
多分。虎雄「そーだよねー、電話するだけ野暮だったかねぇ」
はい、おそらく。
一方、藤本は坂本の携帯を握り締めたまま坂本に寄り添っていた
坂本「(んー……この状態を何とかしたいな……)」
自分の胸元から離れない藤本に坂本は頭を悩ませていた、
坂本「そ、そうだ、これからどっか行かないか?」
藤本「やだ」
坂本「(く…この…)ひ、昼飯まだ食べてないから飯食いに行くか?」
藤本「やだ」
坂本「(ぐぐぐ……)お、俺…お前の家行きたいなー……」
藤本「ダメ」まさにのれんに腕押し状態、
何を聞いても藤本は首を縦に振らなかった。坂本「じゃあお前はどうしたいんだよヽ(`Д´)ノ」
藤本「………ずっと…ずっとこうしていたい……」
坂本「アリャー……」振り出しに戻る。
坂本「(………ア、)お前怪我無かったのか?」
怪我とはたぶん化学薬品工場の時の事であろう、
藤本「……コクリ」
坂本は藤本がうなずいたのを胸で感じ取った。
坂本「ふーん、それじゃあ…」
藤本「お兄ちゃんはどうして黙って消えたの……?」藤本が坂本の話をさえぎり突然話し掛けた、
坂本「あーそれねー、俺が死んだと思わせた方がいいと思ってさ。
黒幕を捕まえるのにはな……
ま、実際それで解決したんだから」
藤本「よくない!!」また藤本が坂本の話をさえぎり今度は突然叫んだ、
藤本「そんなのよくない………事件は解決しても私はどうなるの………?
私は何も解決していないよ……何も………」
坂本「(そもそもお前の問題って何だよと………って言ったらどーせ怒るし)」怒るに決まってるだろヽ(`Д´)ノ
坂本「(まぁ…いつかは言う事だから今のうちに言っておこう)」
さっき俺の親父見ただろ、近々親父と一緒に日本を離れる予定なんだよ俺」あれ〜話がチョット違う気が……
∧_∧ _ _ .' , .. ∧_∧
( ´_ゝ`) _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ ' ( )
ヽ-'' ̄ __――=', ・,‘ r⌒> _/ /
/ ,,-―  ̄ ̄  ̄"'" . ’ | y'⌒ ⌒i
/ ノ\\ . | / ノ |
/ / \\ , ー' /´ヾ_ノ
レ ノ ヽ_つ / , ノ
/ / ./ / /
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( ( 、 / /| |
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| | )/
ノ ) し'
(_/いてーなこの野郎!!
坂本「(イチイチグダグダイウナ)だからお前といられるのは………」
藤本「………ヤダ……………そんなの………絶対やだ……」目から大粒の涙を流していた藤本の口から、かすれた力の無い言葉が坂本の耳にはいた。
声量とは裏腹にその言葉には藤本の今の感情がはちきれんばかりに詰まっていた。坂本「そんなこと言ってもさ、しょうがないだろ」
冷たい奴だ。
∧_∧
_( ´_ゝ`)
/::::☆::::☆:::) _ _
/::::,イ:::::::☆::::::ノ/ ∧ ∧―= ̄ `ヽ, _
/:::/ |::☆:::☆( 〈 ∵. ・( 〈__ > ゛ 、_―
| ! ヽ::::::::::ー=- ̄ ̄=_、 (/ , ´ノ
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!、リ -=_二__ ̄_=;, / / ,'
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/ / !、_/ / 〉
/ _/ |_/
ヽ、_ヽフゴッ!ゲホゲホ…
坂本「(フウ…ヤットダマラセタ)俺は近いうちにここを飛び立つからな」
藤本「……」と突然藤本はその場を立ちどこかに向かって駆け出した。
坂本「…何やってんだー……?」
藤本「もうお兄ちゃんと一緒にいられないなら私死ぬ!」右手にナイフを持ち自分の左手首を切ろうとしていた、
坂本「バカ野郎!!(バシッ)」
間一髪坂本は藤本の右腕を掴み大事には至らなかった。
藤本「離して!(カラン)」
部屋中にナイフの落とした音が響いた、
坂本「どうしてそんな事するんだよ!」
藤本「……お兄ちゃんから助けてもらった命…これからずーっと
お兄ちゃんと一緒に共有していきたいの……」
坂本「別に俺じゃなくたって…」
藤本「お兄ちゃんとじゃなきゃ嫌なの!!
…俺は感動の再会果たして早々に永遠の別れにするほど甲斐性なしじゃねぇよ!!
って言ったじゃん……」
坂本「(うっ)」そーいえばそんな事言いましたね、君。
坂本「…そーんな事言ったって俺がよそへ行ったからって
お前とは永遠に会えない訳じゃないだろ?」
藤本「そんなのやだ!!お兄ちゃんが遠くに行っちゃうなんてやだ!!」
坂本「(お前は引越しに反対する小学生か)」藤本の勢いに徐々に押され気味の坂本であった。
坂本「(…今は何を言っても無駄だろうな……)もういいよ、もう泣くなよ」
坂本は親指で藤本の顔の涙を拭った。
藤本「だって……お兄ちゃんが居なくなるなんて……グスングスン」
藤本はまだぐずっていた、
坂本「(……もう7時かぁ…)ご飯食べていくか?」
藤本「………うん…」坂本は出前を頼み(寿司)2人して食べていたときのことだった、
坂本「(ん?)おい、何で手ぇ何て握るんだ?」
藤本「……」坂本の問い掛けに藤本は黙って目を合わせた、
何かを訴えるかのように。藤本「モグモグ……(ギュッ)」
坂本「………痛いよ」手を繋ぐという何とも奇妙な行動をしたまま2人は食べ終えたのであった。
坂本「モウハナセ」
―そして夜、
結局というか予想通りというか藤本は泊まることになっていた。
坂本「おまえそっちな」
坂本が布団を指差し藤本にそこに寝るように促した。
藤本「……(ギュッ)」
と藤本は坂本の腕にしがみついてきた。
坂本「(モウカンベン)何だよ……」
坂本の問い掛けに何も反応することなく目を閉じ坂本の腕にしがみついていた。
坂本「………勝手にしろ」
根負けしたのか呆れたのかは分からないがそう言い残し坂本は床についた。
そして藤本も坂本の後を追うように床についた、
もちろん同じ布団だ。坂本「(ヤッパリナ)」
自分の布団に藤本が入ってくることをどうやら予想していたらしい、
まぁこの展開で思いつくが。藤本「……(スリスリ)」
坂本「アツイカラチカヅクナ」しかし坂本の言葉とは裏腹に藤本との距離は縮まるばかりだった、
藤本「(ギュッ…………)」
そして坂本の腕にしがみつき肩のくぼみに顔をうずめた、
藤本の髪の毛が坂本の顔にかかった。坂本「プワッ、苦しいって離れろよ」
藤本「……ぴったりくっついているから離れられないよ…」
坂本「(´-`).。oO(どっかで聞いたことある台詞……)」はぁ、
坂本「(オット、ソウジャナクテ)これ以上俺を困らせて楽しいか」
藤本「……これ以上悲しませないで…」
坂本「……(しないと言えない自分が弱い)」やーいやーい(。A 。 )
坂本「オマエハチャントシゴトシロ」
―そして次の日の朝
坂本「(あんまり寝れなかった……(||-_-))」
と言っても特に2人の間に変わった様子はないようだ。
と、本人の名誉のためにいちおー言っておこう。
坂本「何もねーよ!!」
あのね坂本君、いちいちうるさいよ君、
坂本「うるせーのはどっちだぁ!!!」
藤本「ムニャ……お兄ちゃんどうしたの大声出して……?」坂本の罵声に藤本が起きてしまったようだ、
バーカ坂本「(イチイチアタマニクルヤツダ)いんや何もない、気にしないでくれ」
布団を藤本に畳ませ坂本は朝食を作り上げた、
藤本「いただきまーす」
と、突然坂本が言葉を発した。坂本「お前…今日暇か……?」
と、突然坂本が言葉を発した。
坂本「お前…今日暇か……?」
藤本「え?」
あまりもの突然のことで藤本は言葉を失った。
坂本「暇じゃないか、じゃあいいや」
藤本「暇です!暇です!!今日は一日中暇です!!!」
坂本「何ムキになっているんだよ、別に無理しなくていいよ」
藤本「無理なんかしてないもーん!そーゆーお兄ちゃんこそ暇だったら何なのよ!?」坂本「へっ、デート」
藤本「やっっっっったぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!!」
坂本「何でお前が喜んでんの?誰もお前ととは言ってないぞ?」………
ヒドーイ!!川#VvV从=○)Д`)ボウリョクハンタイ…
坂本「(イテテ…)じょ…じょーだんに決まってるだろ、軽いジャブ程度の。
1Rからデンプシーロールするやつがどこにおる?」
藤本「よく分かんないけどもうそんな紛らわしいこと言わないで!!」幕ノ内はしたことあるぞ、
坂本「(モウムシムシ)分かった分かった……身支度したら出るぞ」
藤本「はぁ〜い♪」さっきとは打って変わって笑顔の藤本だった。
藤本「お兄ちゃんお待たせ〜」
一旦藤本の家に帰り、藤本は身支度を行った。
坂本「おせぇよ、30分も何していたんだよ……?」
と坂本はすぐに異変に気づいた、
坂本「(こいつ風呂入っていたな……)」
車の中がdでも臭で覆われたことで気づいたのであった。
藤本「早くぅ、行こうよぉー」
坂本「はいはい」藤本の言葉に坂本は車を走らせた。
藤本「お兄ちゃん早く早く〜」
坂本「分かったよ」2人はとあるレストランに入っていった。
|ー’川アレハサカモトサン……?
⊂高橋「(あれは坂本さんと………藤本さん!?)」
偶然近くに居合わせた高橋は2人の存在に気づいてしまったらしい、
藤本「お腹減ったぁ〜」
坂本「俺はおごらんぞ」しかし当の2人は全くと言っていいほど気づいていなかった。
高橋「(な、何で2人が……まさか………?)」
まぁそのまさかに近いのではあるが、
?「お嬢さん、2人を監視してどうする気かな?」
高橋「(ビクッ)」突然後ろから誰かが声をかけてきた、
高橋「だ、誰ですか…?」
虎雄「その父親と言って信用してもらえるかな?」声の主は坂本の父である虎雄だった、
高橋「はぁ…」
虎雄「信用していないね、じゃあ証拠を…」と虎雄は2人に向かって歩き始めた。
虎雄「( ・∀・)ヌッヘホー坂本君」
坂本「ふぼっ!!」
藤本「お兄ちゃんきたなーい」ガラス一枚越しに現れた虎雄に坂本は思わずスパゲティを吐いた、
坂本「お前何しに来たんだよ?!」
虎雄「いや〜たまたま見かけたんでね〜(・∀・)ニヤニヤ」
坂本「(どーせまたつけていたんだろう……)」それに気づかない君もそこにはいる。
虎雄「やぁ藤本さん、龍とデートなんて楽しいですか?」
藤本「はい♪」
坂本「(やっぱりカラカイに来ただけじゃねーか)」と虎雄はその場を去っていった、
虎雄「どう、少なくとも向こうとは知り合いですが?」
高橋「た…確かにそうでしたね…」
虎雄「何、2人のことそんなに気になるの?」
高橋「えっ」虎雄の問いに高橋は言葉を詰まらせた。
高橋「いやーそのぉー……」
虎雄「じゃあつけますか、後を」
高橋「え、そんな……」
虎雄「いいんですか?」どういう意図があるかは分からないが虎雄は高橋を揺さぶっていた、
…どーせ遊んでいるだけだと思うけど。高橋「そ、それにぃ坂本さんって行方不明って聞いたんですけど……?」
虎雄「ああそれ、それね……」虎雄は高橋に坂本のこの1ヶ月の概要を話した、
高橋「はぁ………そうだったんですか」
虎雄「だからもう心配はいりませんよ、それともこれから何かあるのですか?」
高橋「い、いぇ全然……」
虎雄「じゃあ2人の後をつけますか」虎雄は言葉巧みに高橋を尾行に誘ったのであった。
藤本「ねーお兄ちゃんここ寄りたーい」
坂本「おうじゃあ行こうか」2人はとあるビルに入っていった。
高橋「追いかけなくていいんですか?」
虎雄「ビル中まで追っかける必要なんて今は無いでしょ?」
高橋「そうですけどぉ……」
虎雄「そんなに2人が何しているか気になりますか?」
高橋「べ、別に……」
虎雄「(ほぅ、龍の奴なかなかやりおるわい( ・∀・)ホホホ)」一人虎雄はほくそえんでいたのであった。
藤本「どうしたのお兄ちゃん、さっきからキョロキョロして?」
坂本「いや、何か目移りするなぁーと思って…ね……」しかし言葉とは対照的に坂本の目からするどい眼光を発していた、
坂本「(いる……この中に妙な奴がいるぞ………)」
フロア内に怪しい人物がいることを発見したようだ。
と坂本があたりを警戒しているときだった。
モクモクモクモクモクモク……
坂本「!?」
突然フロア内が白い煙に包まれた、
「キャア!!火事!?」
「早く逃げないと!!」あたりはパニックになり人々が出口・非常口に殺到した。
藤本「お、お兄ちゃん早く出ないと火が……」
坂本「おう」と一歩踏み出したときだった、
坂本「……違う、これは火災のときの煙じゃない!?」
坂本はわずかに吸い込んだ煙の臭いでこう判断した、
それではこの煙は……?坂本「とりあえず出るぞ………おい藤本、藤本どこだ!?」
さっきまで近くにいた藤本がいつの間にか坂本の元から消えていた。
坂本「(……何かよってきたぞ…)」
周りは煙で見えないが確実に坂本に近づいてきている人物がフロア内にはいた、
坂本「!?」
坂本は即座にその場にしゃがみこんだ、
「!!(ヒュン)」
坂本「(そこか!)」坂本の頭上で刃物が空を切る音が響いた、
そして坂本はカウンター気味にアッパーをヒットさせた。「ぐはっ…」
坂本「チッ!」向こうの一人がやられている隙に坂本は走り出した、
残りの人間は一人がやられたことに動揺したのが駆け出しのタイミングが遅れたようだった。坂本「藤本ぉ!!どこだー!!」
坂本は大声を出しながら藤本の散策にあたっていた。
坂本「(チッ、どこに行ったんだ……)」
坂本はフロアを脱出した後、ビルの中を駆けずり回り藤本を探していた、
坂本「……ピッ」
坂本はおもむろに携帯を取り出した。
坂本「(どこだ…………)」
とある方向から聞きなれた着信音が坂本の耳に入った、
坂本「(あそこか!?)」
坂本はとある一角のドアを開けた、
藤本「お兄ちゃん!」
そこには手足を縛られていた藤本がいた。
坂本「待ってろ、今解くからな」
坂本は素早く手足の紐を解いた。
坂本「よし行くぞ!」
とドアノブに手をかけたときだった、
坂本「なっ………あかねぇ……!?」
藤本「えっ!?」2人で押しても引いてもさっきまで自由に開閉できていたドアは開かなかった、
坂本「鍵がかかっているわけじゃないのに……くそっ!!(ガン!)」
藤本「お、お兄ちゃんアレ!」と藤本があるものを指差した、
坂本「え?………火だと!?うそだろ!?」
藤本「お兄ちゃん……」いつの間にか部屋に火が放たれあっという間に部屋中に広がった、
坂本「な、何だこの火の回り様は!?」
藤本「ど、どうしよう……」今の2人には成すすべが無かった。
肝心のドアは不明のロック、消火できる物も無い、
部屋には窓があるがここはビルの5階である、飛び降りては無事にはすまないだろう。それに今日に限って坂本の装備はハンドガンのみだった。
ブーッブーッブーッ
突然坂本の携帯が震えた、
坂本「(…父さん!?)もしもし!」
虎雄「龍か、今どこだ?」
坂本「ビルの中だよ!閉じ込められた!」
虎雄「ビルの中くらい分かるわ、ビルのどこにいるんだ?」
坂本「5階だよ!煙が上がっているのがみえないか!?」
虎雄「ああ、分かった。ちっと待ってな」と1分程電話の向こうで虎雄が誰かと会話をしていた、
虎雄「おい龍、そっから飛び降りろ」
坂本「はっ!?ここは5階だぜ!?」
虎雄「大丈夫だ、窓を破って飛び降りるんだ。私を信用しろ(ブツッ)」と言い残し電話は切れてしまった。
藤本「な…何て……?」
坂本「こっから飛び降りろだとさ……」
藤本「えっ?!」坂本「………お前は俺に命を預ける気はあるか?」
藤本「………(コクリ)」
坂本「そうか………じゃあお前の命預かったぜ」坂本は藤本を抱きかかえた、
一方藤本は坂本に力一杯しがみつき顔を坂本の胸に埋めていた。坂本「心配すんな、後で利子つけて返してやるぜ」
藤本「……」不安と恐怖で一杯の藤本には返事を返す余裕は無かった。
坂本「おいおい、俺たちがここで死ぬと思うか?」
藤本「……」
坂本「……安心しな、俺はいつでもお前のそばにいるからさ」
藤本「……(コクリ)」この言葉に藤本は反応し軽くうなづいた。
そして坂本は一直線に走り始めた
坂本「行くぞ!!」
ガシャァァァン!!!
「うあっ!!」
「きゃあ!!」
坂本らの飛び降りにビルの周りにいたギャラリーは
一様に声をあげた。ボフッ!!
藤本「………」
坂本「ふーっ、」
藤本「………?」
坂本「おい、もう大丈夫だぞ」2人は安全マットに守られ無事にビルから脱出したのであった。
坂本「おい立てるか?」
坂本は藤本を抱え安全マットから離れた、
虎雄「ご苦労だったな、119に電話かけて正解だったな」
坂本「父さんやつらは……?」
虎雄「それより藤本さんの方を救急車に乗せろ」坂本は藤本を消防隊員に預け救急車に乗せた。
坂本「アレ?誰か付き添ってない、藤本に?」
虎雄「ん、ああそうみたいだな」藤本「あ、愛ちゃん?何でここに?」
高橋「い、いや…あのですね…」藤本と高橋を乗せた救急車はそのまま病院へ向かっていった。
虎雄「お前の方は大丈夫だよな?」
坂本「ああ……まだやることが残っているし…」
虎雄「発信機を付けたから向こうの居場所は割れている、行くぞ」2人は車に乗り込みビルの残党を追った。
虎雄「ここか?」
坂本「そうみたいだね」2人はとある雑居ビルにたどり着いた。
虎雄「……ひょっとしたら面白い事になるかもな…」
坂本「何で?」
虎雄「いや、地理的にそう思っただけだ。別に根拠は無いがな」虎雄の意味深な言葉を残し2人は雑居ビルの中へと入っていった。
坂本「どう、何かあったー?」
虎雄「いや無い」1階1階しらみつぶしに当たったがどこも何も無くただの廃ビルだった、
坂本「おかしーなー、発信機は確かにここを示していたんだけどなぁ……」
虎雄「じゃあ地下だな」2人は一旦1階まで下りたのであった、
坂本「それらしい階段とか無いよね?」
虎雄「うーん……隠しているな…」2人は1階を隅まで調べ始めたが、
坂本「無いなぁ……」
虎雄「うーん…………おいあれは?」虎雄の指差した方には赤灯ランプのついた消火栓があった。
坂本「(まさかね…)ガチャ」
虎雄「お、こんなとこにあったのか!?」消火栓を開けるとそこにはホースが無く、地下へ続く階段がそこにはあった。
坂本「こりゃ推理小説もびっくりだな」
虎雄「何のんきな事言ってんだ、行くぞ」2人は迷うことなくその階段を下っていった……
坂本「ところでさっきの"面白い事"って何?」
虎雄「しっ!人の気配がするぞ…」坂本の話を遮り虎雄は足を止めた、
階段の向こうから複数の話し声が聞こえてきた。「………」
坂本「?」
虎雄「……まだ距離があるな、進んでも大丈夫だな」
坂本「…そう?」半信半疑ながら坂本らは脚を進めていった、
虎雄「……(ピタッ)」
坂本「?」
虎雄「声がしなくなった………」
坂本「えっ?」
虎雄「……どっか行ったな」
坂本「ふーん……」坂本にとっては何だかよく分からないまま事が通り過ぎていったようだ、
その後特に何も無く2人は前へ前へと進んでいった。坂本「おっ、ここでドアか…」
2人はしばらくドアの前で立ち尽くしていた、
虎雄「……龍、感じるか?」
坂本「ああ……何か……殺気というか……」
虎雄「澱んだ空気みたいな感じだろ?」
坂本「まぁ…そんな感じかな……」そして虎雄がドアのノブに手をかけた、
坂本「開くの、鍵がかかっているでしょ?」
虎雄「まあな……シリンダー錠だからすぐ開けるさ……」虎雄がピックを取り出し鍵穴をいじり始めた、
ちなみに坂本は錠前に対しての技術は持ち合わせていない。カチッ、
坂本「おっ」
虎雄「さっ………本番はこれからだ…」虎雄はドアを静かに開け始めた……
坂本「(……倉庫?)」
ドアの向こうには誰もいなくただ荷物が置かれていた。
坂本「……(何だここ?)」
部屋の様子をうかがうかのようにあたりを見回していた、
虎雄「……お前先に行け、私はここに残る」
坂本「えっ、何で?」
虎雄「やることが見つかった、奴らを追うのはお前が行ってくれ」
坂本「いやぁ…まぁいいけど………じゃあ行ってくるね」坂本は虎雄を置いてそのまま先へ向かった。
虎雄「(……ここはお宝がゴロゴロしているな)」
坂本は慎重に先へ進んでいた、
未知の領域に踏み込んだからであろうか駆けるような事は一歩もしていなかった。坂本「(しかし一体ここはどこなんだろう)」
慎重に慎重に周辺を警戒しながら先へ進んでいった、
坂本「(おっ…階段……)」
階段を一歩一歩確かめるように踏みしめ確実に上っていった。
坂本「(あ、またドアだ)」
坂本がドアノブに手をかけた時だった、
坂本「(……人の……人の話し声だ…!)」
「お前等仕留め損なったのか?!」
「ハ、ハイ……」
「全く奴がこれからも生きていると厄介な存在なんだぞ!」
「そ、それは…」ガキィィィン!!
坂本「よっと、今の話は誰の事かな〜?」
坂本はドアノブをハンドガンで壊し銃を突きつけながら部屋の中に入った、
「な、何故そこから!?」
坂本「さぁ〜?襟の裏にでも発信機が付いているんじゃない?」目の前の3人は慌てて自分の襟の裏を探り始めた、
「こ、これか!(グシャ)」
慌てて踏みつけたがもう時既に遅しである。
「く、くそっ!」
1人幹部らしき人物が部屋から逃げ出した、
坂本「逃がすかよ」
しかし残りの2人が坂本に向かって拳銃を突き出そうとするが、
坂本「(バシ!ビシ!)遅いよ」
あっさりキックで2人の手元の拳銃を払い逃げた人物を追いかけた。
坂本「あ」
しかし坂本は再び部屋へ戻った、
「?」
坂本「おい、お前等誰に命令されたか聞かせてもらおうか」2人に銃口を向け口を割らせようという魂胆らしい。
「くっ!」
1人が慌てて地面の銃を取りに行こうとするが、
坂本「(ビシッ)おとなしくしろよ、お前等2人じゃあかないっこないよ」
坂本は地面にある銃を撃ち2人を威嚇した。
「……ここの幹部らに命令されてやった事だ」
2人はそれ以上話そうとしなかった、
坂本「それはいい事聞いたな、お前等その幹部とやらのところまで案内してくれ」
「フンッ!」
坂本「!!」坂本の言葉と同時に2人同時に襲い掛かってきたが
1人はハイキックで片付け、もう1人は背後に回り後頭部に銃口を突きつけた、「うっ……」
坂本「何べんも言わせるな、お前等2人じゃあ永遠にかないっこないよ」2人はようやく諦め渋々坂本を案内し始めた。
「ここで今会議をしている」
坂本「お前等に指示した奴らがここにいると?」
「ああ…」
坂本「じゃ、お前等2人が先に入ってくれ」坂本は敵陣内に入っている事を考慮したのか2人を先に部屋に入らせた。
坂本「さてと、お邪魔するぜ」
「な、何だ!」
「貴様何奴!?」中の幹部職員が騒ぎ立てる中坂本はそれを無視し声をあげた、
坂本「おい、お前等か俺を始末するように命令したのは?」
「貴様失礼な奴だな!何を根拠に!」
坂本「オイオイ、ここにいる2人がそう言ったんだが、それでも知らねぇって言うんかい?」
「ああ、そんな薄汚い2人なんて知らないね!」虎雄「その言葉、後悔するぜ」
すると虎雄が続いて部屋の中へ入ってきた、
坂本「アレ、早かったね?もう終わったの?」
虎雄「ああ、いきなりSSSランク級の資料が見つかったからな」虎雄は手元の資料を幹部らに見せつけた、
虎雄「この資料はこの前の麻薬大量密輸を目論んだ不審船の詳細が記述されたものだ。
こんなものがお宅から発見されるとはどういうことかね?」虎雄の言葉に一同は騒然とした、
「それは貴様らの捏造だ!!」
「そうだ、そうだ!!言いがかりだ!!」幹部らが怒号を上げる中、虎雄の表情には余裕の色が見られていた。
虎雄「そうか、それならここに記述されているお宅らのサインはどう説明するんだ?
筆跡鑑定してもらえば一発で発覚するぞ?」
「それも貴様らの捏造だ!!」
虎雄「ホザケ、同じ時期に起こった化学薬品工場爆発事件だが、
お宅らその工場に資金提供をしているばかりか麻薬・覚醒剤の製造に手を貸していたな。
原材料の出荷・入荷に噛んでいる事が同じように分かっているんだよ!」
「それら全て貴様らの捏造だ!!」
坂本「(さっきからそればっかだな)」坂本は呆れ顔ながら場の流れをうかがっていた、
虎雄「やはり朝鮮人は話し合いにならんな、龍、これらの資料を東京都知事に届けるぞ」
坂本「(朝鮮人なの?)へぇ……できんのそんな事?」
虎雄「できない事は口にせん、行くぞ」と2人が出て行こうとした時だった、
「貴様らそんな事をして命があると思うなよ!!」
虎雄「オドシデスカ?」
坂本「オドシデスネ」と虎雄が何かを部屋の中に投げ込んだ、
ピカッ!
「ぐぁっ!!」
坂本「ひでぇ…」どうやら閃光弾を投げ込んだようだった。
虎雄「威力の弱い奴使ってやったんだからありがたいと思え(ペッ)」
2人は外へ出るため走り始めた、
坂本「ところでここってどこなのさ?」
虎雄「何、まだ分からんのか?」
坂本「え…?」
虎雄「朝鮮総連だよ」
坂本「いーっ!?」今更ながら坂本は驚きの色を見せていた。
虎雄「龍、前!」
坂本「分かってるよ!」
「死ねやー!!(パン!)」2人の目の前にはさっき坂本が逃した幹部らしき職員が銃口を坂本の方に向けていた、
坂本「よっ」
銃弾は坂本が身をかわした為後ろの壁に着弾した、
坂本「くらえっ(ビシッ)」
「ブッ!」
虎雄「ハイ、没収(バシ)」坂本がパチンコ球を親指で弾き飛ばし、ひるんだところに虎雄が拳銃を蹴って弾いていた。
坂本「自分達の資金源で倒されるとはいい気味だ」
虎雄「お前なかなかの皮肉だな」
2人は外へ出る事に成功した、
何とビルの周りにはパトカーが数台停車していた。坂本「何で警察がもういるの?」
虎雄「110番と119番は有効に使おうや」虎雄は警察の一味と早速話し合いをしていた、
坂本「(やれやれ父さんは段取りが早いなぁ…)」
ふと坂本が顔を上げた時だった、
坂本「(……ん、あの2人は…?)」
藤本「おーい、お兄ちゃーん!」
向こうの方から藤本と高橋が一緒に走ってきた、
坂本「お前等どうしてここに……?」
高橋「たぶんパトカーが集まっているところに坂本さん達がいるんじゃないかって…」
坂本「(…ったく病院で大人しくしとけってーの)」坂本は2人の行動に少々ふて腐れていた。
高橋「で…坂本さんは何でこんな所に移動したんですか?」
坂本「父さんに付いていったらここだったんだよ、俺が聞きたいぐらいだよ」
藤本「ねぇお兄ちゃん」と藤本が坂本に近寄ったそのときだった、
「死ねやー!!(パン!)」
さっき坂本が退治した幹部らしき男がこちらに向けて発砲してきた、
藤本「アッ!……」
高橋「藤本さん!!」
坂本「!?」藤本はその場に力なく倒れ込んだ。
坂本「うるらあぁぁぁぁぁ!!!」
虎雄「!?」
高橋「(ビクッ!)」虎雄と高橋は坂本の殺気に一瞬萎縮してしまったようだった、
その間に坂本は幹部らしき男との間合いを既に詰めていた。坂本「オラァ!!(バキッ!)
坂本の渾身の右が男の顎を捉えた、
坂本「ウリャア!!(バキッ!)
そして左も同じく顎を捉えた、
坂本「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
虎雄「止めないか龍」坂本の振り上げた右腕を虎雄は掴まえ止めに入った、
坂本「何すんだよ!父さん、離せ!」
虎雄「藤本さんは撃たれちゃいない、弾丸がこめかみ辺りを霞めて気絶しているだけだ」
坂本「…………な…何だ……驚かせやがって……」坂本はようやく振り上げた拳を下ろしたのであった。
発砲した男は直に警官らに取り押さえられあえなく御用となった、
と言っても虫の息だが。高橋「ふ…藤本さん…」
坂本「動かすな!!脳震盪を起こしているんだ!!」
高橋「(ビクッ!)は、はい……」藤本に触れようとした高橋だったが坂本の罵声に身を縮めてしまった。
虎雄「さぁ早く彼女を運んでくれ」
虎雄の一言に救急隊員が駆けつけて救急車へと搬送された、
坂本「………父さん、付いていってもいいかい?」
虎雄「(……ほう)いいぞ、後は私に任せろ」坂本はすぐさま発車寸前の救急車へ乗り込んだのであった。
高橋「(坂本さん…………もしかして………)」
虎雄「これから色々あるからここから立ち去ったほうがいいですよ?
すまないねぇ、こんな事になってしまって」
高橋「ぃ……いいえ…」送れて坂本にやられた男が搬送されていった、
虎雄「あーあ、龍の奴たぶん顎の骨砕きやがったな」
高橋「いっ!?」高橋は思わず自分の顎を両手で覆ってしまったのであった。
その後、発砲の件や虎雄が提出した不審船との詳細が記述された書類の件など
複数の容疑で朝鮮総連に家宅捜索となったのであった。朝鮮総連から続々と逮捕者が出たのは言うまでもない、
そして捜査の手は地方の朝鮮総連などにも拡大していったのであった……そして―
虎雄「さてもういいかな?」
坂本「もう準備いいのー?」虎雄は日本を離れる準備をし終わったようだった、
坂本「ホントに俺はいいのかい?」
虎雄「ああ、むしろお前は日本に残るべきだよ。
それに"静の龍"って仮にも呼ばれたお前が弾が当たったか当たってないかを
あんなに近くにいて見間違うんだからなぁー」
坂本「(ウ…)」
虎雄「あとさ、あんな殺気を感じたのは後にも先にも無い感じがするね、
"動の虎"と呼ばれた私が息子の気に押されたのはいささかショックだったよ」
坂本「分かった分かった、その辺は反省してるからさーもう勘弁してよ…」
虎雄「まぁーお前をそこまで変貌させたってのはやっぱ藤本さんが…( ・∀・)ニヤニヤ」
坂本「ぅるさい」坂本はそう言い返すしかなかった。
虎雄「じゃあな日本で元気でやれよ」
坂本「着いたら連絡してね」虎雄は荷物を持ち坂本の部屋を出て行ったのであった。
虎雄「(さてさて次日本に来る時は"孫"でも生まれたときかなぁ( ・∀・)ホホホ)」
などと妄想を膨らませながら歩いているときだった、
虎雄「おんやぁ?」
高橋「あっ………」何と道中で高橋と遭遇したのであった、
虎雄「おやどちらまでですか?」
高橋「あの〜坂本さんの家までなんですけど……」高橋は恐る恐る虎雄の質問に答えた、
虎雄「龍なら居ますよ」
高橋「あ、そうですか………あの〜」
虎雄「何ですか?」一呼吸間を置いて高橋は再び話し始めた、
高橋「さ、坂本さんって感情を剥き出しにするような人なんですか?」
虎雄「(( ・∀・)ホホゥ)」虎雄は既に何かを掴んでいる様だった。
虎雄「いやー、龍は殺気剥き出しのような事はしないやつでしてねぇ、どちらかと言うと私のほうが"ガーッ"ってなるタイプですよ。よく怖がられます」
虎雄はただ淡々と高橋の質問に答えた。
高橋「………じゃあ……"あの時"の坂本さんって…」
虎雄「あの時?」
高橋「あっ……何でもないです…何でも……」どの時ってのはまぁ分かりそうな気がしますが、
虎雄「私は日本を離れますがどうか龍とはこれからも仲良くやってください」
高橋「え…?は、はい」少し動揺の色が見られた高橋だったが、虎雄は気にせず再び歩み始めたのであった。
高橋「………」
高橋はその場で少し考え込んだ後坂本の家へと再び脚を進めた、
コンコン
坂本「(何だ忘れモンか)はぁーい(ガチャ)」
高橋「こ、こんにちは坂本さん」
坂本「どうしたんだい?まだ変な奴が居るのかい?」高橋は一呼吸置いてこう坂本に言い放った、
高橋「さ、坂本さんは藤本さんの事が好きなんですね?」
坂本「え?何言ってんのさ、そんな事無いよw」
高橋の質問に坂本は笑って軽く流した。
高橋「ごまかさないでください!"あの時"の坂本さんはどう説明するんですか!?」
坂本「あの時?」>>103のことですね。
坂本「そりゃあ仲間が撃たれれば怒るよ」
高橋「もし私が撃たれたら同じ事をしましたか!?」
坂本「当たり前じゃん」
高橋「でもいつもの坂本さんではなかったです!」>>104の事を高橋は言ってるのだろう、
見直してみると普段の坂本とは明らかに言動がおかしいのが分かると思う。坂本「んなアホな、何がどー違うのさ」
すると高橋は>>120の虎雄の言葉を引用した。
坂本「いやー私だって怒るとき有りますよ、そりゃあー」
高橋「そーゆーことじゃなくて……」ブーッブーッブーッ
坂本「(ピッ)もしもし、どうしたの父さん?」
坂本は高橋の話を無視して電話に出た、しかもその相手は虎雄であった、
坂本「ハイ、"高橋さんに代わってれくれ"だってさ」
坂本は自分の携帯を高橋に渡した。
高橋「はい、もしもし?」
坂本「(何だ何だ?)」高橋は電話越しの虎雄と話し始めた、
高橋「はい………はい……そうです」
坂本「(何が"そうです"なんだ?)」坂本の疑問とは裏腹に2人の話は続いた、
高橋「はい…はい………分かりました、ありがとうございました」
どうやら会話が終了したようだ、
高橋「坂本さん、あんまりツマンナイ嘘はよくないですよ」
坂本「つまんなくねーし、嘘もついてないよ」
高橋「分かりましたもういいです、私帰りますね」ようやく高橋を追い返すことに成功したようだ、
高橋「(ん?)もしもし藤本さんどうしました?」高橋「えっ…ちょ…ちょっとどうしたんですか?!」
高橋の口調が妙に慌しくなっていった、
坂本「……!?」
高橋と坂本の距離は有に数メートルはある、
しかしそこは坂本、それくらいの距離なら高橋が何を話しているかすぐ分かる。高橋「ちょっと藤本さん、落ち着いてください!」
坂本「おい貸せっ!」
とそこにいつの間にか坂本がやってきて高橋の携帯をぶん取った、
坂本「おいどうした、返事しろ!」
しかし電話の向こうからは何も返事がなかった、
坂本「ちっ、切れてやがる!」
坂本に焦りの色が見え始めた、
坂本「藤本は今日はどこにいるんだ!?」
焦る坂本とは対照的に冷静に高橋はこう答えた、
高橋「……電話なんて最初からかかって来てないですよ」坂本「ああぁ!?」
坂本怖いよ。
高橋「やっぱり。虎雄さんが言ったとおりでしたね」
坂本「あ゛っ!?」だから怖いって。
高橋「さっき虎雄さんがこういう振りをすれば坂本さんがすかさず喰いつくって言ったんですよ」
坂本「あ━━━━━━━━!!何だって━━━━━━━━━!!(あのクソ親父め!)」
高橋「どうしてそんな簡単なミスをするんですか?」
坂本「えっ…あっ……いやっ……」突然の出来事にさすがの坂本もたじろいた、
高橋「"普通だったら龍はそんな事しない"って虎雄さん言ってましたよ、どうなんですか?」
坂本「(あのクソ親父め余計なことばっかり言いやがって!!)」
高橋「ちょっと質問に答えて………あれ藤本さん?」
坂本「そんな事で俺が釣れるか━━━━!!」しかし高橋の視線の先には、
藤本「2人とも何してるの?」
坂本「(うそ━━!………何となく嫌なヨカーン……)」"好事魔多し"とはよく言ったものだ。
坂本「ヨイコトジャネー」
高橋「じゃあ私はこれで」
高橋は藤本の出現と同時にその場を去っていった。
坂本「(もう……何かやだなぁ次から次へと……)」
藤本「なに、美貴と会うのがそんなに嫌なのお兄ちゃん?」
坂本「お前何言ってんだよ、そんな訳無いだろ(そんな訳あるけどさ)」女の感は鋭いようで、
藤本「……………」
坂本「……………?」そして―
藤本「お兄ちゃんはずっと美貴のそばにいてくれるの……?」
坂本「(いないって言うとウソになるし、いるって言うのもなぁ……)」
藤本「………どうして」藤本は力なくつぶやいた、
藤本「どうしてお兄ちゃんはそばにいてくれないの…どうして……」
坂本「(弱ったなぁ……)」坂本は少し考え込み、
坂本「ほ、ほら俺は都合上ずっとお前のそばにいてやれないからさ、そういう約束はどうしてもできないのよ」
藤本「でも"俺は感動の再会果たして早々に永遠の別れにするほど甲斐性なしじゃねぇよ!!"って言ったじゃん、
その言葉はウソだったの……?」
坂本「いや…それはさ、"永遠の別れ"をするつもりが無いという事でさ、ちょっと意味を取り違え…」
藤本「そんなの言い訳!!美貴はお兄ちゃんがずっとそばにいてくれないと嫌なの!!」坂本のまどろっこしい展開にキレたのか藤本は大声を出し、坂本の話を中断させた。
坂本「(そうだ!?)俺はお前のそばにいてやりたくてもいれないんだよ。
俺はどうしても一つの地域にずっと居座る事ができない職業なんだよ。
だからお前に"ずっとそばにいるよ"と言うとウソを言うことになるんだよ。
いつ戻ってくるか分からないけどお前が待つというのなら話は別だがな、って嫌だろ?」坂本は改心の言葉を喋ったつもりだったのだろう、
しかし―藤本「………お兄ちゃんがそれでいいのならそれでいい……」
坂本「(……しまった、最後の1文が余計だった……)」
大きな蛇足だったかな、坂本君?
藤本「お兄ちゃんがどうしてもここに居れないのなら待つ……
でも………ここにいる時は美貴のそばにいてくれるんだよね……?」
坂本「えっ?う、うんまぁ……」藤本は静かに自分の身体を坂本に預けた、
藤本「(これからずっとそばにいてね…)」
坂本「(ぅ、うーん…)」と、
藤本「ねぇ…"あの言葉"言って」
坂本「……?」
藤本「あれ言ってよぉ」
坂本「…………(あれか……)」勘のいい坂本は気づいたようだが皆さんは分かったかな?
藤本「ねーぇ、お兄ちゃん……言って…」
坂本「(……しょーがねー奴だなぁ…ったく………)」――安心しな、俺はいつでも君のそばにいるからさ