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こうもり 投稿日: 03/03/02 01:48
―――ピリリリリリ―――
―――ピリリリリリ―――
―――ピリリリリリ―――俺は突然鳴り始めた携帯の音で目を覚ます。
なんだ……、こんな時間に?そう思いながらも俺はベッドから身を起こして携帯を取った。
液晶ディスプレイをそこには『つんくおじさん』と書かれてある。「おう悪いなカズ」
俺が電話に出ると午前三時だというのに叔父さんはいつもと変わらない様子で俺に話す。
「もしもし、叔父さんどうしたんですかこんな時間に?」
「叔父さん言うなってなんどいわせるんや」
叔父さんはまたそう呼ばれたことに怒りながらも話を続ける。
「いや実は頼み事があってな」
「何ですかそれは?」
「安倍をちょっとの間だけ預かってほしいねん」
「はい?」
俺はどういうことかと思い叔父さんに聞き返す。
「だから安倍をお前の家に住まわせて欲しいねん……」
それからしばらくは叔父さんの言うことに耳を傾けていた。
事情はこうだ。
安倍さんは昨日引越しをする予定だったらしい。
しかしその引っ越す部屋の上の人が小火を起こした為
部屋に入れなくなってしまったそうだ。
それで愛が前にいた部屋に今度は安倍さんを
一ヶ月間だけ住まわせて欲しいということだった。
「じゃあ例によってお前には決定権はないんで、後の事よろしく頼むわ
で、安倍は明日の夜に行くはずなんで用意しといてや」
「あ、ちょっと叔父さん」―――ツーツーツー―――
―――ツーツーツー―――
―――ツーツーツー―――
愛の時と同じように叔父さんは言いたいことだけを言って電話を強引に切ってしまった。俺はしばらく携帯を眺めていたがそんな事をしててもしょうがないので
とりあえずまた寝ることにしようと思ってベッドに横になる。「ふぁあああああ」
朝の光が眩しくなってきて俺は目を覚ました。
ベッドの横にある時計を見ると午前九時を回っている。
まだ少し眠かったがとりあえず俺は自分の部屋を出てリビングに行く。
そしてソファーに座りテレビをつけた。
テレビでは真希ちゃんと保田さんの卒業のニュースを流している。
俺はその話を前に愛に聞いていたので別にどうという事もなく見ていた。
愛に初めて聞いたときには俺も少し驚いたが、でもこれが『モーニング娘。』だと
言う事らしいのでそれで納得していた。
俺は卒業のニュースを見終わるとテレビを消して、朝食を作ろうと思いキッチンに行く。
そしてパンなどを焼いて適当に朝食を済まし再びリビングのソファーに座る。しばらく何もせずにボーっとしていたが、安倍さんが今日から来る事を思い出したので
ソファーから立ち上がる。
何からやろうかな…。
俺は少し考えた後に、蒲団を干そうと思いとりあえず
しばらくの間使っていなかった蒲団を愛が前にいた部屋から出す。
幸い良く晴れていたのでベランダに行ってその蒲団を干して
その後部屋の中を軽く掃除した。
愛がいなくなった後は余計なものを置いていなかったのでさほど時間もかからずに
掃除は終わった。俺は家の方の準備がすべて終わったので、またソファーに座る。
そして時計を見るとまだ、昼の十二時前だった。
俺は昨日の夜あまり眠れなかったせいか眠くなってきたので少し寝ようと思い
そのまま目を閉じる。「えー、その話本当の話なんですか?」
「うん、でも一ヶ月くらいだけだよ」
なつみはうなづきながら愛の問いに答えている。
ここはモーニング娘の控え室。
収録と収録の合間で今は休憩中である。
そこで愛となつみが話を今日からなつみが和智の家に行く事を話していた。
「でも、なんでカズさんの家なんですか?」
「うーんとねなんかつんくさんに相談したらあそこなら別に気を使う事もないし
俺も安心できるからって」
「けど……」
愛は納得のいかないような表情をしている。
「大丈夫だって、高橋の彼氏を取ったりしないから」
なつみは笑いながらそう言うと今度は矢口と話をし始めていた。なんか不安だな……。
カズさんの気持ちは分かっているし、大丈夫だと思うんだけど……。
けどなんかやっぱり心配だなあ。
愛はその後本番に入るまでずっとその事を考えていた。……うーん、暑いな。
しばらく寝ていたが、俺は急にそう感じて目を覚ます。
右手で額を拭うと汗がべったりとくっ付いていた。
ソファーから身を起こして、とりあえずエアコンを付ける。
その後キッチンの冷蔵庫からお茶を出してコップに注ぎ飲み干した。
コップを流しに置いてまたリビング戻る。「はー、気持ちいい」
俺は涼しい風を浴びながらしばらくソファーに座っていた。
その後、干していた蒲団をとりこんで、愛がいた部屋に置いておく。夕ご飯はどうしようかな。
今日何時に安倍さんが来るかも分からないし……。
まあ食べるしろ、食べないにしろ安倍さんの分も一応作っておくか。俺はそう思いソファーから立ち上がり出かける準備をして外に出る。
スーパーに行く途中、歩きながら愛にメールを打つ。今日から安倍さんがうちに泊まりにくることになったけど、別に心配しないでね。
だって俺が好きなのは愛だけだし、それはこれからも変わらないから。
安心してください。
もし心配になったらいつ家にきてもらっても大丈夫だから。それだけ入れて送信ボタンを押し、送信が完了されたのを確認してから
ポケットに携帯を入れる。……うーん、暑いな。
しばらく寝ていたが、俺は急にそう感じて目を覚ます。
右手で額を拭うと汗がべったりとくっ付いていた。
ソファーから身を起こして、とりあえずエアコンを付ける。
その後キッチンの冷蔵庫からお茶を出してコップに注ぎ飲み干した。
コップを流しに置いてまたリビング戻る。「はー、気持ちいい」
俺は涼しい風を浴びながらしばらくソファーに座っていた。
その後、干していた蒲団をとりこんで、愛がいた部屋に置いておく。夕ご飯はどうしようかな。
今日何時に安倍さんが来るかも分からないし……。
まあ食べるしろ、食べないにしろ安倍さんの分も一応作っておくか。俺はそう思いソファーから立ち上がり出かける準備をして外に出る。
スーパーに行く途中、歩きながら愛にメールを打つ。今日から安倍さんがうちに泊まりにくることになったけど、別に心配しないでね。
だって俺が好きなのは愛だけだし、それはこれからも変わらないから。
安心してください。
もし心配になったらいつ家にきてもらっても大丈夫だから。それだけ入れて送信ボタンを押し、送信が完了されたのを確認してから
ポケットに携帯を入れる。
ちょっと臭かったかな。
でも俺の本心をしっかりと愛に伝えたほうが良いと思うし……。
しかし俺はさっき自分で入れたメールの内容が今になって恥ずかしくなってきて
顔が赤くなっていた。
俺はそれを隠すように下を向きながら外を歩いていた。「はい、今日の撮影はこれまでです、皆さんお疲れ様です」
ディレクターがそう言うと娘の面々は皆少し疲労の表情を浮かべて
控え室に戻っていく。
愛は控え室に入り、着替えを済ませてから携帯を見る。
するとそこには、和智からメールが入っていた。
すぐにメールフォルダを開きそのメールを読む。
読み進んでいくたびに、愛は和智のことを少し疑っていた自分が恥ずかしくなった。そうだよね、カズさんはちゃんと私の事好きでいてくれているよね。
うん、大丈夫。愛はそう思いながら和智にメールを返す。
安倍さんがカズさんとしばらく一緒に住むっていうのをさっき聞きました。
さっきまでは変に考え込んじゃってて、不安だったけどメールを見て安心しました。
私もカズさんの事が大好きです。
今度また遊びに行きます。メールを打ち終わると送信ボタンを押して、携帯をかばんに入れて
次の収録に向かうためにバスに乗る。まあこれくらいで大丈夫だろう……。
もしかしたら作りすぎたかも。
余ったら取っておけばいいか。俺は料理を作り終わったので、キッチンからリビングに戻りソファーに座る。
腕時計を見ると、今は午後7時を回った所だった。
そういえば何時来るとか聞いていないよな、そういえば。
とりあえず待ってるしかないか。―――ピンポーン―――
―――ピンポーン―――そんな事を考えていると呼び鈴が鳴る。
インターフォンの画面に帽子を目深に被りサングラスをした女性が立っている。
帽子を被ってサングラスをしてもあまり意味がないなと思いつつ
安倍さんだという事がすぐに解ったので
俺はそのまま玄関に行ってドアを開ける。「こんばんは、始めまして安倍さん」
俺はドアを開けると軽く頭を下げて挨拶をする。
すると安倍さんは少し驚いたように
「あ、こんばんは、始めまして」と言う。
「まあここじゃなんですから入ってくださいよ」
「はい」
「鞄、持ちますね」
俺は安倍さんが持っている鞄を取りそのままリビングに進んでいく。
安倍さんも俺の後を追うようにリビングに入っていった。安倍さんは部屋に入ると、帽子とサングラスを取って俺に挨拶をする。
「どうも始めまして、安倍なつみです」
「始めまして、南条和智って言います、短い間ですがよろしくお願いします」
「こちらこそ」
「挨拶はこれくらいにしてとりあえず座ってください」
俺はそう言って安倍さんをソファーに座らせるように促す。「それにしてもすいません、いきなりのことで」
「いやしょうがないですよ、あんなことがあったんじゃ」
「話、聞きましたか?」
「ええ、大体の事は叔父さんに……」
「本当に大変でね」
そう言うと安倍さんは引っ越すはずだった所で起こったことを話し始める。
「それで家財道具も全部水浸しになっちゃったし
新しいの買ったばっかりだったのに……」
そう言うと安倍さんは残念そうな表情を浮かべている。
「まあいいじゃないですか、また新しいの買えば」
「そうなんだけどね、一応火災保険も出るらしいから。
あ、そうだ、今度南条さん私が休みのときに買い物に付き合ってもらえません?」
「別にいいですけど」
「じゃあ今度スケジュールが分かったら言いますね」
「はい」―――ギュルルルルル―――
その時、安倍さんのお腹がなったように聞こえたので俺は安倍さんの方を見た。
すると安倍さんは恥ずかしそうな顔をしてお腹を抑えている。
「お腹すいているんですか?」
俺がそう訊ねると安倍さんは頷き、そして
「実はお昼から何も食べてないのよ」
と言ってまた恥ずかしそうに俯く。
「じゃあこっちに来てくださいよ、一応用意してありますんで」
俺はそう言うと立ち上がって安倍さんをキッチンのテーブルに案内する。「用意しますんでここで座っていてください」
キッチンに行き、俺はさっき用意していた料理を温めなおしテーブルに並べていく。
今日のメニューは特製ハンバーグとオニオングラタンスープだ。「これ、ほんとに南条さんが作ったんですか?」
「ええ、そうですけど」
「すごーい、なんかレストランにでも来てるみたい」
「そんな、たいした事ありませんよ、なんか昔から毎日やってて、慣れちゃって」
「でも、私も一人暮らしして結構経つけど、ここまで上手くは出来ないよ」
「俺は根が凝り性なんで、それに料理も好きなんですよ」俺は全部料理をテーブルにのせ終わり、安倍さんの対面に座る。
「じゃあ食べましょうか」
「いただきまーす」
安倍さんは俺が言い終わるのを待たずにすでに食べ始めていた。
もくもくと食べる安倍さんに「おいしいですか?」と聞くと
安倍さんはハンバーグを食べながら何も言わずに頷く。
お腹がすいていたのかあっという間に食事を平らげてしまった。「はぁ、おいしかった。ごちそうさま」
安倍さんは満足そうにそう言って箸を置く。
「それはよかった、今度はなんかリクエストしてくださいよ食べたいもの」
「ほんとー、じゃあなんか考えておくね」
安倍さんはそう言うと一足先イリビングに行った。
俺もその後、後片付けをして安倍さんのいるリビングに行く。俺と安倍さんは食後の紅茶を飲みながらまた少し話をしていた。
「へー、そうなんですか……」
「そうそう、それでねあいぼんはあれで結構周りを見ているのよ
だから皆に色々気を遣うし」
「それは意外ですね」
「そうでしょ、だからアイドルって結構見た目と本人って違うものなのよ
南条さんも高橋と付き合ってるんだから分かるでしょ」
「うーん、でも愛はテレビでも俺の前でもあんまり変わらないんで……」俺はそう言うと紅茶のカップをとり入ってい紅茶を飲み干す。
「あ、そうだ安倍さんお風呂入りますか?もう沸いてますけど?」
「そうじゃあ入ろうかな」
安倍さんはそう言うとソファーから立ち上がり
さっき荷物を置いた部屋に行き着替えを取ってバスルームに行く。安倍さんってテレビで見るよりも結構大人っぽい感じがするな。
まあそりゃそうか俺と同い年だしな。
それに長い間芸能界にいるから世間ずれしてない感じもする。そんな事を考えていると安倍さんがお風呂から上がってきた。
安倍さんは、Tシャツに短パンという格好だった。
髪を乾かしながら、安倍さんは俺の目の前に座る。
「あー、凄くいい湯加減でした」
「あ、そうですかそれはよかった」
安倍さんはそう言いながらタオルで髪を丁寧に拭いている。
「じゃあ俺も風呂に入ってきちゃいますね」
そう言って俺はソファーから、立ち上がりバスルームに行った。風呂から上がると安倍さんは膝を組んで退屈そうにテレビを見ている。
テレビの上にある壁掛け時計を見ると、まだ10時を回った所だ。
俺は冷蔵庫に入れてあるビールを2本持ってリビングに行く。
そして気づかれないように安倍さんの後ろに立ち、冷蔵庫で冷えたビールを
柔らかそうなほっぺたにくっ付ける。「ひゃぁっ」
安倍さんは驚いてすぐに後ろを振り向く。
振り向いたところで俺は持っていたビールを1本安倍さんに差し出す。
「安倍さんも飲みますか?」
安倍さんは頷きながらビールを受け取る。
俺は安倍さんの向かいに座ってビールのプルタブを開ける。
「じゃあ乾杯でもしましょうか?」
「うん、そうだね」
「乾杯」
「かんぱーい」俺は安倍さんと軽く乾杯をして、350mlのビールを一気に飲み干した。
安倍さんのほうは少し飲んでは口を離し、また飲んでは口を離しながら
ちょびちょびと飲んでいる。
「はぁー、美味いやっぱり夏はビールですね」
「そうですね、私も普段はあまり飲まないんだけど、夏場になると
飲みたくなるときがあるんですよ」
「って俺もそんなに酒飲まないんですけどね、一人のときは絶対飲まないし」
俺はそう言うとソファから立ち上がりビールを取りにキッチンに行き
ついでに台所にあったスナック菓子をとり持っていく。リビングに戻ると、安倍さんはビールを飲み終わったようで
空になった缶を右手で振っていた。
「安倍さんもう一本飲みますか?」
「うーん、いいや。私あんまりお酒強くないから」
安倍さんは首を横に振る。
「じゃあ、こっちはどうですか?」
そう言いながら、俺は缶のカクテルを安倍さんに渡す。「これなら、アルコール度数も低いし甘いから安倍さんでも結構いけるかもしれません」
「わざわざありがとう」
安倍さんはそう言ってカクテルを受け取る。
「それより、その安倍さんって言うのはやめましょう、同い年なんだし。
私のこと『なっち』って呼んでくれていいですよ」
「分かりました、じゃあ今度からそう呼びますよ」
「私はトモ君って呼びますよ、カズさんって呼ぶと
高橋が怒りそうだからね」
なっちはそう言うとカクテルを飲み笑っている。「これなら、アルコール度数も低いし甘いから安倍さんでも結構いけるかもしれません」
「わざわざありがとう」
安倍さんはそう言ってカクテルを受け取る。
「それより、その安倍さんって言うのはやめましょう、同い年なんだし。
私のこと『なっち』って呼んでくれていいですよ」
「分かりました、じゃあ今度からそう呼びますよ」
「私はトモ君って呼びますよ、カズさんって呼ぶと
高橋が怒りそうだからね」
なっちはそう言うとカクテルを飲み笑っている。それからしばらく俺となっちは二人で酒を飲んでいた。
テーブルには二人で飲んだ酒の空き缶が何本も置いてある。
なっちは疲れた後に酒を飲んで酔っているのかソファに横になってしまっている。
俺のほうもかなり回っていたのでそのままソファに横になっていた。
しばらくそのままにしていると、なっちのいる方から寝息が聞こえてきたので
俺もそのままソファで寝てしまった。……うう、なんか頭痛いな。
それになんだか気持ち悪い。俺はそう感じて目を覚まし、体を起こす。
すると頭がガンガンしていているので俺はキッチンに行って水を飲む。
俺は一息ついた後なっちの様子が気になったので、またリビングに戻った。
なっちはリビングのソファから落ちそうになりながら寝ていた。
俺はその姿を見て少し笑いそうになったが
このままにしておくと本当に落ちそうだったので、元に戻そうと思い近寄った。
しかしあと少しというところでなっちはすべるようにソファから落ちる。
俺は反射的になっちのほうにダイビングしてなんとか床に激突するのだけは防いだ。「なっち、大丈夫?」
俺はどこかぶつけていないか心配になり、体を起こしてなっちに訊ねる。
「………」
なっちが何も答えないので俺は心配になりそっちを見る。
するとベッドから落ちたというのに落ちる前となんら変わることなくなっちは寝ていた。
俺は少し呆れながらもなっちをベッドに戻して朝食を作ろうと思いキッチンに行く。「……おはよ」
それからしばらくして、目を擦りながらなっちが起きてきた。
「おはよう、朝ごはんできてるけど食べる?」
「うん、その前にちょっと顔洗ってくるよ」
なっちはそう言うと、リビングの奥にあるバスルームに行った。