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名無しさんヴォルテック 投稿日:2003/04/09(水) 13:45

「出会いと別れ」

春は出会いと別れの季節、と言われる。出会いがあれば浮かれるのだが、別れは気持ちが沈む。そんな感じだ。
僕は常に出会いばかりしていた。「別れ」のわの字も機にならなかった気がする。

しかしある日彼女から突然別れを告げられた。理由を聞いてもはっきりせず、モヤモヤしていた。

さらに翌日、僕が買い物に出かけていた時だった。
(ん・・・あれは!?)
道路の反対側に、彼女がいた。そして、隣には男。
(そういうことかよ・・俺には飽きたってか?)
僕がキっと睨んでると、彼女はフフンと笑い俺をバカにしたような顔で行ってしまった。

(あんな彼女、こっちから願い下げだ!)
僕は苛立ちを隠せなかった。しかし、それと同時に、フラれた、という悲しみと絶望感も同居した。

と、その時携帯が鳴った。
「うぃ〜す!よすぃこ様だよ〜ん」
電話の主は吉澤ひとみ。僕の幼なじみであり、また、親友と言ったところである。
「何だよ、何か用か?」
苛立ちを隠せない僕は、キツイ言い方をしてしまった。
「何だよぉ!振られたって聞いたから、慰めてあげようかと思ったのにぃ」

普段なら余計なお世話だ!と突っぱねただろう。だけど今日は、コイツでもいいから慰めて欲しかった。
「そっか・・ありがとう」
俺は素直に礼を言った。すると吉澤は驚いた。
「アンタが素直に礼を言うなんて、明日はヤリが降るね」

少し腹が立ったのは、僕だけだろうか?

そして、全てを話した。振られたこと、男と一緒に彼女がいたこと。バカにされたこと。
「ふーん・・・そっかぁ。そりゃ傷つくね。遊ばれてたってことだし」
お前がさらに傷に塩ぬってどうする!と突っ込みたかったが、まあいい。
「振られたの初めてだし、どうすりゃいいかわかんなくなっちゃって」
吉澤はうーん、とうなりながら答えた。
「じゃあさ、傷を癒すために、アタシとつき合いなさい!」

「ええっ!?」
僕がオーバーに驚くと、吉澤は爆笑。
「じょーだんよ!冗談。少しは元気でたっしょ?」
やっぱ腹立つな。まあいいか、元気出たし。
「ああ・・・サンキュ。じゃあな!」
と、俺は電話を切った。吉澤に付き合う?とか冗談でも言われたせいで、ドキドキしている。

と、再び携帯が鳴った。
『さっきの、本当は冗談じゃないから。アンタのこと、好きだから。・・返事、待ってるね(^^)』
俺は絶句した、がすぐさま返事を送った。

『こっちも、吉澤のことが好きだ。僕と、付き合ってくれ』と。