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sage 投稿日:2003/05/03(土) 23:57

出発の日。荷造りを手伝いながら真里は、
「○○がいなくなるなんて、淋しくなるわ」
そう何度も繰り返していた。ひょうきんな彼女は、
「おいらも荷造りして送ってもらおうかな」と、
段ボールに入って僕を笑わせてくれる。
夕食の時は子供をあやすかのように、
「ハイ、あ〜ん!」なんて、
冗談で僕にごはんを食べさせてくれたりした。
「子供じゃないって」
照れくさそうにしている僕を見る彼女の大きな目は
とてもやさしげに微笑んでいた。

夜。
「当分会えなくなるから、一緒に寝よ」
真里が僕のふとんの中に潜り込んできた。
彼女の体の左側面が、僕の体の右側面に触れた時、
その柔らかさに刺激され、思わず劣情が湧いてくる。
しばらく会えないんだし、今夜はいつもより…。
真里は僕のそんな気持ちも知らずに、たわいない話をしてくる。
「いくらお仕事でもさぁ、
 一ヶ月も離ればなれなんて耐えられないよね」
「そうだね。でも時々遊びにくればいいよ」
「うん。でも、でも…、明日から独りで淋しいのよ」
「ああ、うん」
「本当、すぐ遊びに行くからね」
「うん」
そう言って顔を横に向けた先には、真里の顔。
1cmほどの距離。大きな目が細くなり、嬉しそうに笑う。
気がつくと、真里の唇を奪っていた。

「ヘタくそ」
彼女は舌をぺろっとだして、いたずらっぽく笑う。
「意地悪だなぁ」
「うそ。上手」
「…もういい」
すねて反対側に顔を向けると、後ろから真里の声。
「あたし、○○と暮らせてよかったなぁ。
 ○○でよかったなぁって思うの」
「本当かぁ?」
「だって、○○って、やさしいし、可愛いし。
 おいらのこと、こんなに好きになってくれるし…」
「……」
再び真里の方を見ると、彼女の目に光るものが。
「泣いてるの?」
「何で泣かなきゃいけないのよぉ」
そういってすぐに明るい顔になる。
そんな彼女が、やっぱり可愛い、と思う俺であった。