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寝る前に少し書いてみた人 投稿日:2003/08/01(金)

酔っ払った矢口を送っていくハメになった日。
彼女の家の、玄関まで送り届けた記憶はあるのだが…。
朝、目覚めると、矢口の笑顔が目の前にあった。
寝ぼけと混乱で、ぼーっとして固まっていると、
矢口の大きな瞳が細く線になり、ハート型のくちびるが迫って…
ーーチュッ
「さ、早く願い事を言ってっ」
ちょこんと座って矢口が言った。
「な、ど、どういうこと…?」
しどろもどろに尋ねると、矢口はニッコリ微笑み、
「矢口びるはなんでも一つ、願い事を叶えてくれるんだよっ」
矢口は唇をもう一度ハート型にしてみせて、得意げに話す。
「へ?」
「昨日、送ってくれた、お、れ、い」
「お礼?」
「そお。すごく優しくしてくれて、とても嬉しかったよっ。
 だから、願い事をひとつ叶えてあげるっ」
「い、いきなりそう言われてもなぁ…」
「はやくっ、はやくっ」
「じゃ、じゃあ…」

不意に目が覚めた。どういうことだ?
夢だったのか? …そうだ。夢だったんだ。
いつものたわいのない夢。
そう確信すると、先ほどの夢の続きが妙に気になってくる。
「しっかし、キスの感触はすげーリアルだったな…」
唇を触ると、少し、血の跡。いや、身体中、血だらけ。
「う…」
ベッド。部屋。匂い。すべて血。
というか、俺の横に寝ている血まみれの矢口。
現実は、俺は夢遊殺人者だったということらしい。 -fin-