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ケロ 投稿日:2004/03/08(月) 16:07

『旅立ち』

 「よし、じゃあ行くか」
荷造りが終わり俺は家の外に出た。
家の外にはすでに荷物を積み込んだトラックがあった。
俺がトラックに乗ろうとした時、
 「涼」
 「おぉ、絵里」
彼女の名前は亀井絵里。
俺の幼馴染みだ。
 「ねぇ本当にアメリカに行くの??」
 「あぁ」
 「・・そっか」
俺の親は日本の大企業働いているが今回アメリカの方に行くことになった。

「本当に行くの??」
 「あぁ、こればっかしはしょうがないからな・・」
俺がそう言うと絵里は黙り込んでしまった。
 「じゃあそろそろ行くか」
俺がとすると絵里は俺の服の袖を引っ張っていた。
 「おい、離せよ」
 「アメリカに行くんだったら離さない」
絵里は少し泣きそうだった。
 「しょうがないだろ。もう決まった事なんだから」
 「私は涼がいなくなるなんてヤダ!!」
その場が時間が止まったように静かになった。
 「じゃあ約束して高校生になった時日本に帰って来るって」
そう言うと絵里は俺に小指を出した。
 「わかった。約束する!」
俺は絵里の小指に自分の小指を絡めた。
 「約束だよ!!」
そう言うとゆっくりと指が離れた。
 「そろそろ時間だ。行くぞ涼」
 「わかった。じゃあな絵里」
俺はトラックの中に駆け込むように乗った。
 「じゃあな絵里・・」
俺は呟くように言った。
そしてそのまま俺は日本を後にした。
涼、中学1年の春の事だった。

  そして時が立ち、約3年後・・

--------アメリカにて--------

 「おい今何て言った!?」
父さんの表情はキョトンとしていた。
 「だから俺は日本に帰る!!」
俺は3年前、絵里と約束した通り日本に帰ろうとしていた。
だがこの事は両親には言って無く、当然反対された。
 「いいだろ父さん。もう俺は高校生なんだよ!!」
俺のあまりの主張に両親はあきれ顔になっていた。
 「そうね。もう涼も高校生なんだし」
 「何言ってるんだおまえ!?」
俺の主張に母さんはどうやら納得してくれたらしい。
 「涼もそろそろ独り立ちしてもいい時期じゃない?」
母さんの言葉に父さんも納得してくれたらしい。
しばらく父さんは考えていた・・
 「よしわかった。戻ってもいいぞ」
 「ありがとう父さん」
俺は両親に感謝した。
そして俺は日本に帰ることになった。

日本に帰れることが決まり俺は部屋に戻り荷物を整理した。
 「絵里、やっと日本に戻れるぞ・・」
俺は嬉しい気持ちと両親への感謝の気持ちでいっぱいだった。
 次の日・・
俺は空港に来ていた。
そこには両親と少しの間だったがアメリカの学校の友達が数人来てくれていた。
 「今までありがとう・・じゃあ行って来るよ」
俺はそう言い残し空港を後にし日本行きの飛行機に乗り込んだ。
日本までは大分時間がかかるらしい。
俺は「早く日本に着け」という気持ちでいっぱいだった。
 「まああせってもしょうがないし、寝るか」
っと俺は目を閉じた。
 「絵里、待ってろよ・・」

 日本時間PM5:00

 「やっと着いた・・」
俺は日本の空港にいた。
久しぶりの日本の空気はまた新鮮だった。
俺はひとまず父さんが用意してくれたマンションへ向かった。
ここまで用意してくれ、本当に親に感謝した。
しかも生活費は親が月に何回か分けて送ってくれるらしいので
バイトもする心配もないし学費の事も心配なかった。
タクシーでその場所に行ってみると、前住んでいた場所とそんなに離れていなかった。
これなら道に迷う心配もないだろう。
部屋をみてみると一人暮らしをするなら十分なぐらい広かった。
どうやらまだアメリカの荷物は届いていなかったので俺はそれまで寝ることにした。

 「・・ポーン。ピンポーン」
俺は眠たい目を擦りながらドアを開けた。
どうやら荷物が届いたらしい。
時間を見てみるとまだ7時だった。
そして数十分後・・
 「どうもありがとうございました」
俺は荷物を運んでくれた人にお礼を言った後部屋を見わたした。
 「以外と荷物多いな・・」
俺はそんなことを思いながら約1時間俺は片付け始めた。
 「・・よし、やっと終わった」
俺は思わずその場に倒れ込んだ。
 「あ〜疲れたな」
そして数分後・・
 「よし、行くか」
俺は約束を果たすためあいつの家へ向かった。

俺は今あいつの家に向かっていた。
 「あいつ元気にしてんのかな〜」
3年も会ってないとどうしてもそんなことを思ってしまう。
 「懐かしいなぁ、全然変わってないなこの辺も」
家に近づくたびに懐かしい風景が目に入ってきた。
まだ幼稚園の時に遊んだ公園など思い出の場所が懐かしく思えた。
 「たしかこの辺だったような・・・おっ、あった!」
その家の表札にはちゃんと『亀井』と書かれていた。
 「ちゃんと覚えてんのかな俺のこと・・」
そんな不安を思いながら俺はインターホンを鳴らした。
 「ピーンポーン」

しかし中からの反応は無かった。
 「あれ?どうしだ?」
俺はもう一度インターホンを鳴らそうとしたその時、
 「ドサッ」
何かすぐ近くで何か荷物が落ちたような音がした。
俺はその音がした方を向いた。
 「りょ、涼?」
そこには驚いた顔をしたあいつがいた。
 「よう。ちゃんと帰ってきたぜ・・絵里」
そうそこに絵里が立っていた。

 「久しぶりだな・・うぉ!!」
といきなり絵里が俺に抱きついてきた。
 「本当に涼だよね!嘘じゃないよね!」
 「だから俺だっつーの!!いいから離れろ!」
 「あっ、ごめんごめん。つい嬉しくって」
そう言うとゆっくり俺から離れた。
 「久しぶりの再会なんだから家に入ってゆっくり話そうよ」
 「それもそうだな」
俺は絵里に招かれ家の中に入った。
絵里の家に入ってみると家の感じは変わって無かったものの
内装は3年前とは少し変わっていた。
 「いつ、こっちに帰って来たの?」
 「今日の5時ぐらいかな?たしか」
俺達はそんな普通の会話をしていた。

 「もうこんな時間か」
俺がふと時計を見てみると短針が11時を指そうとしていた。
 「さて俺はもう帰ろうかな」
 「え〜泊まっていけばいいじゃん」
いきなり絵里がとんでもないこと言いだした。
 「バカ!!両親にも迷惑がかかるだろ」
 「うぅ・・・」
そう言うと俺は玄関へと向かった。
 「それじゃあな絵里」
 「うん・・」
と俺が出ようとした時、
 「ねぇ!明日暇?」
絵里が突然俺に聞いてきた。
家の引っ越しも済んでいたし学校の手続きも済んでいたので明日は暇だった。
 「まあ暇と言えば暇だな」
 「じゃあ明日買い物に付き合ってよ」
 「ああ、いいぜ」
 「やった!じゃあ明日お昼ぐらいに迎えに来てね」
そう言うと絵里は俺に「バイバイ」と言い、家のドアを閉めた。
俺はその帰り道コンビニに寄り飯を買って帰った。
こうして俺の日本に帰国して長い1日が終わった。

  そして次の朝

 『ジリリリリ・・・』
 『・・・・バコ!』
と俺は目覚まし時計を勢いよく叩いた。
するとうるさい物体からの音は止んだ。
 「ふぅ・・まだ眠い」
俺は目を擦りながら顔を洗いに行った。
 「冷て!!」
まだ寒いこの時期の朝は水が冷たい。
まあ目は一気に覚めたのでいいんだが・・
ふと時計を見てみるとまだ10時前ぐらいだった。
もう少し遅く目覚ましをセットしとくんだったなと俺は少し後悔した。
朝飯は昨日コンビニに寄った時に買ったパンで簡単にすました。
また時計を見て見るとまだ少し時間があったので俺はまだ少し残った荷物を整理することにした。

 「そろそろいい時間だな」
俺はひとまず作業を止め、出かける準備をした。
残った荷物の整理は帰ってからやることにしよう。
 「じゃあ行くかな」
俺はドアの鍵を閉め絵里の家へと向かった。
絵里の家に着くぐらいにはちょうど昼ぐらいの時間だった。
 『ピーンポーン』
「ハーイ!あら、涼君久しぶりねぇ」
と中から絵里のお母さんが出てきた。
 「お久しぶりです。ところで絵里は?」
 「あ、ちょっと待ってね。絵里!涼君来たわよ!!」
 「はーい!ちょっと待って!!」
と家の奥から絵里が出てきた。
 「はぁはぁ・・・お待たせ!!じゃあ行こうか!」
と絵里は俺の腕を引っ張って歩き出した。
 「行ってきま〜す!」
 「行ってらっしゃい。涼君、絵里をよろしくね〜!」
俺は軽く伯母さん(絵里のお母さん)に向かって軽く礼をした。

ということで俺達はある一軒の店に来ていた。
買い物に来たのはいいが・・
 「ねぇ涼どっちがいい?」
 「ん〜こっちの方がいいと思うぞ」
 「じゃあ試着してくるね」
そう言うと絵里は試着室へ入って行った。
もうかれこれ1時間近くこんな感じだ。
さすがに疲れた俺はさっきからずっと同じリアクションしかしていない。
俺はその間適当に服を見ながら試着室の周りをぶらついていた。
 「かわいい彼女ですね」
いきなり店員さんが俺に話し掛けてきた。
 「あ、はぁ・・・」
言われてみればそう見えてもおかしくないかもしれない。
そんな事を思って見ると試着室のカーテンが開いた。
 「どう?」
白いタートルネックのセーター・・・
 「・・・ああ、いいと思うよ」
一瞬俺は絵里に見とれてしまっていた。
 「本当!?じゃあ買っちゃおう♪」
とそのセーターを買って店を出た。

店を出た後俺達は近くにあった喫茶店に行った。
喫茶店に入っても絵里の機嫌は良かった。
 「ねぇ、アメリカで何してたの?」
急に絵里が俺に問い掛けてきた。
 「ん〜まあ主にバスケかな?」
 「へぇ〜バスケねぇ」
それ以降あまり会話はなく喫茶店を出ることにした。
 「ねぇ、今からどこに行く?」
 「ん〜もう行くとこもないからな。もう帰るか」
 「え〜もう!」
 「もう買い物済んだだろ、俺もまだ荷物の整理終わってねぇし」
 「うぅぅ・・じゃあ絵里も手伝う!!」
 「はぁ!?」
 「いいじゃんいいじゃん、それじゃあレッツゴー!!」
 「勝手に決めんなよ・・・」
ということで俺の家に向かうことになってしまった。

 「おじゃましま〜す!わっ!広〜い!」
確かに俺の家は一人暮らしをするには十分なぐらい広かった。
絵里はと言うと家の中を色々見て回っていた。
 「おい、さっさと片付けを始めるぞ」
 「は〜い」
ということで俺達は片付けを始めた。

------それから数分後------

 「よし終わり!!」
 「終わったね〜」
俺は片付けが終わったと共にソファーに倒れ込んだ。
作業は絵里のおかげで以外に早く終わった。
 「ありがとな、絵里」
 「んっ、いいよ」
それからはテレビをみながら談笑をしていた。
俺がふと時計を見てみると時計の短針が7を指そうとしていた。
 「なぁ、飯食いに行くか?」
俺がそう言うと絵里は目を輝やかせて、
 「うん!!行く!!」
ということで俺達は近くのファミレスに行く事にした。

数分ぐらい歩くとファミレスの看板が見えてきた。
中に入ってみると店の雰囲気は結構よかった。
店に入ると奥から女の人が出てきた。
 「いらっしゃいませ〜!って絵里!!」
 「れいな!!えっ!何してんの!?」
 「何ってバイト」
どうやらこの2人は知り合いらしい。
ていうか俺の存在忘れられてるんですけど・・・(汗
 「って絵里その人誰?彼氏!?」
 「ちっ違うよ!!ただの幼馴染みだよ」
 「ふ〜ん・・・まっ適当に座っててよ。もう少しで終わるからさ」
そういうとその子は店の奥へと戻って行った。

--------数分後--------
 「おまたせ〜」
 「遅いよ〜れいな」
とその子は絵里の隣に座った。
 「あっ自己紹介まだだったね。私、田中れいな。よろしくね」
 「俺は高階涼。よろしく」
と軽い自己紹介を終えた後注文をした。
飯を食いながら俺はれいなに(本人がそう呼べと言われた)色々な事を聞かれた。
 「涼ってアメリカに住んでたんだ〜」
 「まあ3年しかいなかったけどな」
そんな感じの会話で時間を潰していた。
 「涼、学校は?」
と絵里が急に聞いてきた。
 「○○高校に行くけど・・・」
 「えっ!じゃあ、れな達と一緒じゃん」
 「マジ!?」
 「うん。マジ」
その後はれいなもそろそろ家に帰らないといけないと言うことで解散する事になった。
 「じゃあ、また学校で会おうね」
 「うん!じゃあね〜れいな」
 「じゃあな〜」

れいなと別れた後俺は絵里を家まで送って行った。
雑談をしながら帰っているとあっという間に絵里の家に着いていた。
 「じゃあ明日迎えに来てね」
 「何で?」
 「何で?って。明日から学校だよ」
 「ウソ!!俺何も準備して無いわ・・・」
 「あ〜あ。まあ明日8時前には来てね♪」
 「おいっ絵里!」
 『バタン!!』
俺の言葉も虚しく絵里は家へと入って行った。
その後俺はダッシュで家に帰った。
 「あのバカ!何で言ってくれ無いんだよ!」
家に帰って無我夢中で俺は準備を急いだ。
しかし準備が終わったのは深夜だった事は言うまでもない・・・
風呂に入って俺はすぐにベットにダイブした。
目を閉じると疲れていたせいかすぐに眠りについた。
そして俺の長い一日が終わった。

 『ジリリリリ!!』
 「う〜〜〜〜」
 『ジリリリリ!!』
 「・・・バキ!!」
俺は目覚まし時計を殴って止めた。
 「やべぇ、壊しちまったかもな…」
そんなことはさておき俺は顔を洗いに洗面所に向かい冷たい水を顔にかけて目を覚ました。
洗面所から戻りキッチンで朝飯の調理にとりかかった。
今日はベーコンと目玉焼きにする事にした。
 「ジューーーー」
フライパンからベーコンのイイ香りが俺の食欲を誘った。
 「いただきます」
と寂しく俺は一人で朝食を食べ始めた。
朝食を食べ終えた俺はふと時計を見た。
 「7時半か・・」
俺は少し急いで身支度を始めた。
制服に着替え、色々物を用意したら丁度いい時間帯になった。
 「そろそろ行くかな」
俺は玄関の鍵を閉めたのを確認して絵里を迎えに行った。

 『ピーンポーン』
絵里の家に着くと俺はインターンホンを鳴らした。
家の中からは慌しく足音が聞こえた。
玄関のドアが開くと共に絵里が出てきた。
 「涼、おはよ!」
 「よっ!」
 「じゃあ行こっか」
 「そうだな」
と俺達は学校に向かって歩き出した。

学校に登校していると新入生っぽい人がちらほら登校していた。
 「おはよ」
後ろから声が聞こえたので振り返るとそこにはれいながいた。
 「れいな、おはよぉ」
 「うぃす」
いきなりれいなが俺達の前に立つと、
 「まったく朝からラブラブだねぇ(笑」
 「れ、れいな!!」
絵里は顔を真っ赤にしながられいなを走って追いかけて行った。
 「・・・ま、いっか」
一人取り残された俺はのんびり学校に向かって行った。

学校に着くと掲示板の前に人が群っている。
どうやらクラス発表が出ているらしい。
 「涼〜!こっちこっち!!」
俺は声のする方を見てみると絵里とれいながいた。
人の群れを避けながら俺は絵里の方へと歩いた。
 「もう追っかけなくていいのか?(笑」
 「もういいんですぅ〜!!」
俺の冗談に絵里は少し怒った様子で言った。
 「ねぇ早くクラス見に行こうよ」
 「ああ、じゃあ行こうか」
ということで俺達は掲示板を見上げた。
 「あっ!3人共一緒のクラスじゃん!!」
 「ほんとだ」
 「だな」
という事で俺達は早速教室に向かって歩き出したに。

俺達の教室は4階の一番端しかも階段から遠いという最悪な場所だった。
少しでも遅れたら遅刻だな…
教室に行ってみるともう何人か教室に入っていた。
俺は自分の席に着くとあたりを見わたしてみる。
中には声をかけて話をしている奴、音楽を聴いている奴。
学校初日の定番の光景だった。
絵里達の方を見てみると早速まわりの男から声をかけられていた。
俺かと言うと近づき難い雰囲気を出しているのか、誰も近づいて来ない。
 「・・・ま、いっか」
ということで俺はHRが始めるまで寝る事にした。

俺がぐっすりと眠っていると、誰かが俺の肩を叩いている。
ゆっくりと顔を上げてみるとそこには予想通りの人。
 「「涼帰ろう!!」」
やっぱり絵里とれいなだ。
俺は鞄の中に今日配られたプリントなど雑に詰め込み絵里達と一緒に教室を出た。
 「そうえば涼寝てたけど、明日クラスマッチがあるらしいよ」
帰り道3人で帰っていると絵里が言い出した。
入学2日目でクラスマッチって早くないかと思う俺。
校長によると、早くクラスの団結力を作るためにこんなに早く行うらしい。
 「へぇ〜何するんだ??」
 「たしかサッカーとバスケだったかな」
 「もちろん涼はバスケにしといたからね」
と絵里は得意げにピースをしてきた。
その後は色んな事を話しながら帰り道を歩いていった。

俺は絵里とれいなと別れた後家でのんびりくつろいでいた。
まだ眠かったので俺は寝ようと思い寝室に行こうと思い立ち上がった時。
 『ピーンポーン』
いきなりインターホンが鳴ったので俺は玄関に向かった。
ドアを開けてみるとそこには絵里とれいなが立っていた。
 「どうしたんだ?」
俺は急に来たので問いかけてみた。
 「「暇だから来た」」
と言うと「おじゃましまーす」と言って勝手にズカズカと入って行った。
じゃまするなら帰ってくれよ…
そんな事を思いながら絵里とれいなの後を歩いていった。

リビングに行ってみると早速2人はソファーに座りこんだ。
 「へぇ〜結構広いんだね」
とれいなが周りを見わたしながら言った。
 「まあな」
俺は返事をしキッチンから紅茶を持ってきて2人のテーブルの前に置く。
 「おっ気がきくねぇ」
 「まあ一応客だからな」
とれいなは紅茶を少し口に運んだ。
絵里はどうやら携帯に夢中だった。
 「涼ってさぁ、今日誰とも話しなかったよね」
いきなりれいなが俺に話を振ってきた。
 「まあな」
と俺は紅茶を口に運ぶ。
 「結構女の子から人気だったよぉ。「何で知り合いなの〜?」とか聞かれたし」
れいなは俺の方をまじまじと見ながら言う。
 「へぇ〜」
俺はボタンを押すような仕草で返事を返す。
 「それもう古いって(笑」
とれいなは笑いながら言った。

しばらく俺とれいなは話をしていた。
その間絵里は携帯と格闘中。
話が途切れたのでふと時計を見てみると短針が8を指そうとしていた。
外を見てみるとすっかり暗くなっていた。
 「帰らなくていいのか??」
と俺は外を指差しながら言った。
 「もう真っ暗じゃん。じゃあ帰ろうかな、絵里帰るよ」
絵里は、はっ!とした感じで顔を上げた。
 「う、うん」
そう言うと絵里とれいなは立ち上がり玄関に向かって行く。
その後に俺もついていく。
 「じゃあまた学校でね」
 「あぁ、気をつけて帰ろよ」
 「じゃあね涼」
 「おう、また明日な」
 「じゃあ」
 「おう」
そう言うと絵里とれいなは家へと帰って行った。