051
名無し娘。 投稿日: 2001/04/18(水) 06:05
三浦君の名前:和義
三浦君の彼女:吉澤ひとみ
三浦君のセフレ:後藤真希真希は、和義から『ひとみを殺したらオマエと付き合う』
とそそのかされ、ひとみを殺害する。
しかし、和義には真希と付き合う気など毛頭無かった。
頭の悪い真希は、うまく取り調べに応じられず単独犯と断定され、服役する。
これは全て、和義の描いたシナリオ通りであった。晴れて自由の身となった和義は、本命の転校生、石川梨華を毒牙にかける。
2001年4月××日 神奈川県立○○学校
AM08:10
「お〜い、優吾ぉ〜、起きろ〜」
母親の彩が起こしに来る。
「早く学校行かんと遅刻するぞ?」
「分かってるよ。うっせ〜な〜。」
「何か言った?」
「な、何も言ってないよ。行って来ます。」
まだ寝起きの状態で家を飛び出してきた。
・・・まだ眠い。
いつもの十字路を曲がり商店街に入る。
そして長い時間を掛けてようやく学校が見える道路に差し掛かる。
「プップ〜!」
車が来た。ここの道路を走るから大抵は教師だろう。
「よっ!少年。」
保健室の中澤裕子だ。
20代後半で未だ独身らしい。
学校の男女共に人気がある。
人の悩みはすぐ解決させる。が彼女のモットー。
保健室に来る人はほとんど中澤との話がメインだ。
「あ、おはよう御座います。」簡単な挨拶をする。
そして、学校に着いた。
AM08:40
担任の斎藤洋介が入ってくる。あだ名は「モアイ」・・・
斎藤「え〜今日はこのクラスに転校生が着ます。」
斎藤「じゃ、入ってきて。」
スタイルの良い女のコが入って来た。
「初めまして、今日からこのクラスでお世話になります。石川梨華です。」
斎藤「じゃ、席は・・・あの窓際の三浦の隣の席だ。」
今気付いたが隣は空席だ・・・。
石川「三浦君、これからよろしくおねがいします。」
これは今から始まる自分の恋物語の一部に過ぎなかった・・・。052
ELISE 投稿日: 2001/04/18(水) 00:01
「あれっ〇〇?ねぇ〇〇じゃないの?!」
それが3年振りの再会だった。最初に気が付いたのは彼女の方。
彼女の名前は『保田 圭』
いまや日本中の誰もが知っているアイドルグループのメンバーだ。「えっ!保田?保田かぁ?!」驚いた俺は思わず声をあげてしまった。
「そうだよー! 〇〇って全然変わってないからすぐに分かったよー」彼女は笑顔で応えた。
彼女はこの3年でかなり変わった。いや、テレビなどで変化していくのは見ていたが、実際目の前で見る
と・・・。女は凄いスピードで綺麗になっていくってのは本当の話だった。053
石川革命21 作品集はこちら
054
なっちネタ 投稿日: 2001/04/19(木) 17:39
…目が覚める。午前6時。
僕の横では、なつみがまだ、静かに寝息を立てている。起きようと思い、体を起こす。
ベッドが揺れた拍子に、なつみが目を覚ましたようだ。「ん…起きるんだべか?」
「ああ」
「まだ早いべさ…」
そう言って、僕の手を引っ張る。
言われるがまま、再びベッドにもぐりこんだ。温かい。見つめあう二人。
なつみが、意味もなく、ふふっ、と笑う。軽くキスを交わして、僕は再び目を閉じる。
今日もまた、二人して寝坊することになりそうだ。
055
天使失踪 投稿日: 2001/04/19(木) 23:28
なつみがこの部屋を出て行ってから二週間が過ぎた。
なつみの友人、実家にも電話をしてみたが、居場所はわからなかった。
携帯は繋がらないし、連絡の取りようが全くない。
なつみがいないせいで、俺は紅茶のありかすらわからない。
毎朝、自分で朝食を作った。が、あまりおいしくなかった。彼女が出て行った理由――。それは俺の浮気。いや、それは正確ではない。
今まで俺の浮気が発覚したことは何度かあったが、出て行くことはなかった。
本当の理由――。それは俺が浮気した相手が『森公美子』似のグラマラスな
女だったからに違いない。なつみは激しく嫉妬したのだろう。俺はバカやろうだ!!なつみがいないと何にも出来ないのに……。
『大切な物は、失ってから初めて気付く』とは、まさにこのことだ。それからさらに二週間が過ぎた。
相変わらず、なつみから連絡はなかった。
なつみがいなくなってからというもの、俺は何も手につかない。
今日は快晴の日曜だというのに、部屋でずっとゴロゴロしていた。テレビをつけると、『笑点』がやっている。
「どうも!!こん平で〜す!!」
笑うどころか、逆にムカついた。
そう言えば、俺は元々『笑点』が面白いと思う人間ではなかった。「ハァ…」
机の上に置いてあるなつみとのツーショット写真を眺めると、自然に
ため息が出てしまう。笑点も終わり、時刻も18:00を迎えようとしている。
(ああ、腹減った。でも、もう今日は部屋を出る気がしないなあ……)
俺はピザの宅配を頼もうと、受話器に手を掛けようとした。――その瞬間
「プルルルルルル、プルルルルルル」
電話が急に鳴り出した。
(も、もしかして、なつみか?いや、絶対そうだ!!)
そう直感した俺は、急いで受話器を上げた。「もしもし」
「…………」
「もしもし、なつみか?なつみだろ!!」
「……そうだべさ」
「すまなかった、俺が悪かったよ。もう絶対に浮気しないから許してくれ!
お願いだ!なつみ」
なつみに見えるわけでもないのに、俺は土下座をしながら謝った。「「…………」」
すぐに返事を貰えるわけもなく、気まずい雰囲気が漂う。
どのくらいだろうか、かなりの時間が過ぎ、ようやくなつみが口を開いた。「許してやっても、いいべ……」
「え!?いいの?ホントに?ありがとう……」
俺は半泣きしながら言った。「でも、条件があるべ」
「じょ、条件って?」
「今、なっちがどこにいるか当てられたら許してやるべ」
「そ、そんなのわかるわけないよ」
「したっけ、許してやらないべ。ちなみに答えられるのは一回だけ。もし
外れたら、わたしたちもう終わりだべさ」
「そ、そんな〜〜」そんなのわかるはずがなかった。俺は半泣きから泣きベソに変わりつつある。
いくら考えても、全く見当がつかない。適当に答えても、多分外れる。
俺はうなだれ、涙が2、3粒カーペットにぽたぽたとこぼれていった。
と、その時、外で消防車らしきサイレンの音が聞こえた。
それと同時に、受話器の向こうからも同じ音が聞こえてくるではないか。俺は受話器を放り投げ、靴も履かずに部屋を飛び出した。
エレベーターなんて待っていられなかった。俺は階段を駆け降りるという
よりは、飛び降りるというような感じで、全速力で一階へと向かった。「ガタン」
エントランスの自動ドアが開く。目の前の柱の向こうから、
人影が延びているのがわかった。このあんこ型の影は、間違いない。
「なつみ!!」
大声で叫んだ。すると、柱の向こうから、なつみがひょこっと姿を現した。
俺は駆け寄り、ぎゅっとなつみを抱き締めた。「ごめんよ、本当にごめんよ、なつみ」
「もう、いいんだべ。だいぶ反省したみたいだし、もう懲りたっしょ」
「うん、俺、もう絶対なつみを悲しませたりしないよ」
「その言葉、なっちは信じるよ」
「うん、約束するよ」抱き締める腕をゆるめると、なつみは俺のひどい顔に気付いて、ハンカチを
手渡してくれた。俺の顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。しばらくしてようやく平静を取り戻した俺は、なつみのある変化に気が付いた。
「あれ?なつみ、なんか太った?」
「へへ、わかる?」
「ど、どうして?あ、そう言えば、なつみ今までどこにいたの?」
「あのね、なっちはね、違う部屋にいたんだべ」
「ち、違う部屋?ま、まさか誰か他の男の部屋にいたの?」
「うん、そうだべさ」
「そ、そんな……」
「って言っても押尾川部屋だべさ」
「押尾川部屋?それって相撲の?」
「そうだべさ。アナタ好みの女になるために修行してきたべ。
森公美子には負けていられないっしょ!!」
「なつみ……」俺は再びなつみを抱き締めた。
俺のために、そんな努力をしていたなんて……。
たまらなくいとおしくて、抱き締める腕に思わず力が入る。
「ちょ、ちょっと、苦しいっしょ……」
なつみの髪から、瓶付け油のほのかな香りが漂い、俺の鼻をくすぐっていた。
−終わり−056
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057
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058
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059
名無し娘。suzuka 長編のためこちらへ
060
200 長編のためこちらへ
061
高校教師 投稿日: 2001/05/04(金) 01:29
「ん、んんー・・・。はぁー、あれー、先生もう起きたの?
まだ5時だよぉー」少女が一人で眠るにはいささか大きすぎるベッドの布団から、半分だけ
顔をこちらに向けた真紀が、寝ぼけ眼で俺を非難するように呟く。「今日はさ、校門で生活指導をしなくちゃいけないから
早めに学校行くんだよ」俺はワイシャツを羽織ながら、
全然寝たりなさそうな真紀に向かって微笑みかける。「ふーん、先生も大変なんだねー。うんうん」
「まだ学校まで時間あるだろ。もう一眠りしとけよ。
また授業中に寝ないようにな」
「むー・・・。うるさぃ。チクったの中澤の婆ぁでしょー。
あいつ煩いから嫌いだよぉー」
「中澤先生を悪く言うなよ。いい先生じゃないか。
クラスの子にも人気あるみたいだぞ」
「むー。そりゃぁ、他の奴よりかはましだけど・・・。
てゆーか先生、中澤に惚れてんの?」
「ばーか、何言ってんだよ。俺はだなぁ・・・」
「あー、むきになって否定するところが怪しいー。
てか、もしほんとなら中澤の婆ぁ刺すけどねー」
「・・・・・、おいおい。何朝っぱらから物騒な話してんだよ。
そんなことあるわけないよ。俺が愛してるのは・・・」
「えへへぇー、愛してるのは?」「真紀だけだよ」
いまだに眠そうな眼をこすりつつ、
真紀はベッドから身を乗り出して、にへらぁーと微笑む。「せんせぇー、おはよーのキスしてよぉー」
「なんだ、もう寝ないのか? また学校で居眠りするぞ」
「もー、眠くないよぉ。それに先生と朝ご飯一緒に食べたいしねー。
そんなことより、ほら先生。んー」そう言って真紀は、目を閉じてピンク色した唇を
物欲しそうにこちらに突き出す。
普段は大人っぽいけど、化粧を落としたあどけない顔立ち。
俺は少々欲情を感じながら、軽く唇を合わせる。「ほら、早く顔洗ってこいよ。ご飯食べるぞ」
「えー、たったそれだけー?
もっといっぱいキスしてくれなきゃ姫は目覚めないよぉー」
「なに馬鹿なこと言ってんだよ。一人でご飯食べちゃうぞ?」
「あーん、待ってよぉー。先生のけちー」恨めしそうな顔でこちらを睨みながらも、
パタパタと洗面所に向かう真紀。
いつもの朝の儀式に、少し苦笑いしながら俺は朝食を作り始めた。「先生、また朝ご飯は味噌汁と梅干なのー?
たまにはパンとか食べようよぉ〜」
「日本人はご飯に味噌汁と梅干って決まってんだよ。
嫌なら俺より早く起きて朝飯作れ」
「Boo Boo !! ったく先生ってまだ20代のくせにどこか爺むさいんだよね〜」
「煩いよ。黙って食べなさい」
「もぉー、すぐそうやって子ども扱いするんだから〜」俺を睨みつけぶつぶつ文句をいいながらも、ご飯を平らげる真希。
髪をお下げに束ねて少しすねた顔がたまらなくかわいくて、
少し見とれてしまう。「せんせぇ〜、どうしたの? ごとーの顔になんかついてる?」
「え、いや。なんかさ、
真希と一緒にご飯食べてるとすごく幸せで、つい、な」
「な、なにくさい事言ってるの。ちょっと〜、テれるよぉ〜」
「はは、ほんとの事だし。
じゃ、俺学校に行くから。真希も行くか?」
「無理無理。
今学校に行っても誰もいないからつまんないよ」
「そっか、その代わり遅刻するなよ」
「は〜い。いちおー先生の期待に応えられるよう努力はしま〜す」
「はー・・・。
真希がそう言って期待に応えてくれたことは一度だってないんだけどな」
「へへへ。先生、よくわかってるじゃん」
「・・・、期待しないで待ってるよ」「ねー、今日は早く帰れるの?」
玄関で靴を履きかけた俺に、制服に着替えた真希が声をかける。
「んー、今日は学年会議だからちょっと遅くなるかも」
「えーーーーーーー! やだぁ、早く帰ってきてよ〜」
「あのなー、無茶言うなよ」
「えへへ、ごめんなさい。言ってみただけだよ」
「ったくもう。じゃ、行ってくるよ」
「ちょっと待った。先生忘れ物してるよ」
「ん、何かあったっけ?」ちゅっ ?
「んふ〜。行ってきます、のキス、忘れてたでしょ」
「ははは、そうだったね。じゃ、もう一度。
真希、愛してるよ」
「ごとーも、先生のこと大好きだよぉ」ちゅっ ??
こうして、二人の朝の儀式を全て済ませ、俺は学校へ向かった。
062(047の書き直しと思われる)
名無し娘。K 投稿日: 2001/05/06(日) 03:17
「なあ、今週の土曜に久しぶりに音合わせしないか?」
俺は友達に電話で話した。
「いいけど土曜は彼女と約束してんだよなぁ・・・」
受話器の向こうで友達の声が聞こえる。
「頼むよ、土曜しかみんな都合合わないみたいだしさ。」
俺は一応バンドをやってる。
バンドっていうよりはたまに友達と演奏するっていう方が合ってる。
楽器はギター。それなりに前からやってるだけ合ってそれなりには弾ける。
「それよりさぁ、お前まだギター練習して音楽関係の仕事に就けばモー娘。に会えるって思ってんの?」
受話器の向こうで呆れた声がした。
「そんなわけないだろ、それより土曜な。じゃ、また」
そう言って俺は受話器を置いた。
確かに「音楽関係の仕事に就けば〜」っていうのがギターを始めた切欠でもあった。
まあ始めた頃は俺もガキだったからな、無理だって解りつつもギターを始めてた。
今は違う、多分・・・。
「さ〜て、春休みだし、明日は外行ってなんか見てこようかな。」次の日、俺は渋谷に行く事にした。
「やっぱり混んでるなぁ、人多すぎ」
まあ春休みだから当たり前なのか。
それにしてもカップルでごった返してる中、一人身は居心地が悪い。
「特に用無いし、早めに帰るか・・・」
まだ昼を過ぎたくらいだったが、俺は駅に向かうことにした。
道路の方を眺めながら歩いてると誰かにぶつかった。
「あ、すいません・・・」
女の子だ。ぶつかったせいで帽子を落としたらしい。
「大丈夫ですか。」
「あ、はい」彼女が俺の方を見た。
「・・・あの・・もしかして、石川梨華さんですか?」
俺がそう尋ねた瞬間周りにいた大勢の人達がこっちを向いた。
「え、あ・・・ちょっといいですか」
彼女は俺を引っ張って近くにあった喫茶店に駆け込んで俺を席に座らせた。
「すいません。あんなこと聞いちゃって・・・。ってことはでも本物なんですか?」
「・・・はい。」
当たり前だが俺は夢ではないかと疑った。
しかし、このまま彼女とここに居るわけにもいかないだろう。
「すいません、色々と。お金は俺が払っとくんで・・・」
そう言って俺は席を立った。
「あの、良かったら一緒に行きませんか?」
突然彼女がそう言いだした。
「え?」俺は思わずそう口に出してしまった。「え、・・・あの、俺と石川さんが一緒に行くってことですか?」
まさかとは思うが一応聞き返す。
「やっぱりダメですよね。お金は私が払っときます。」
彼女はそういってレジの方を向いて歩き出した。
「どこに行こうか?」
もっと一緒に居たい、そう思って俺はとっさにそう言っていた。
「え?」彼女は驚いていたがその後少し照れくさそうに笑った。
彼女がどうしてもと言ったので結局コーヒー代は彼女に払わせる事になってしまった。
「そういえば名前はなんて言うんですか?」
俺は名乗るのを忘れていた事に気がついた。
「あ、俺は佐藤亮です。それでどこ行きます?」
俺は緊張し早口で尋ねた。
「うーん、お買い物に行こう、原宿に。」
彼女と一緒に居る事が出来れば何でも良かったので俺はもちろん反対しなかった。
原宿に向かってる間、俺は彼女と何度か話をしたがあまりにも緊張していたせいで内容は覚えていない。
「あ、あのお店カワイイ!あそこ行こうよ。」
駅から出た瞬間俺は彼女に腕を引かれた。
正直彼女の印象がテレビで見た時とあまりにも違っていたので驚いた。
店に入ると彼女は色々な服を見たり試着したりしてる。
(結構活発なんだな・・・)そう思い俺は店の中でただ彼女を眺めていた。
「ねえ、この服どうかな?」
彼女が試着を済ませて俺に尋ねた。
「よく似合ってるよ、いいんじゃない?」
(周りから見ればカップルみたいに見えてるのかな?)と思って俺は少しにやけた。
彼女の気に入った服も見つかり、購入したので二人は店から出た。
「次どの店行きます?」
「亮君が決めていいよ。」
「いや、石川さんの好きなとこでいいよ。」
二人がそう言ったので会話がしばらく途絶えてしまった。
「・・・ねえ、梨華って呼んで。」
彼女が突然言い出した。
「あと、歳も同じなんだから敬語も使わなくていいよ。いい?」
「・・・うん、OK。・・・梨華。」
「はは・・・」照れ笑いする俺を見て梨華も少し笑っていた。「そういえば梨華は何で渋谷に来てたの?」
歩いている途中梨華がクレープを食べたいと言い出したので並びながら聞いてみた。
「友達と買物行く約束してたんだけどね、すっぽかされちゃったみたい・・・」
梨華はクレープを食べながら少しうつむいた。
俺は予想もしてなかった答えだったので回答に戸惑った。
「へえ、芸能人でも約束すっぽかされることあるんだ。」
「でもその友達も用事があったみたいだから・・・」
梨華は相変わらずうつむいたままクレープをくわえている。
「そうだ、友達と見に行く予定だったんだけど映画のチケットあるんだ。見に行かない?」
梨華はバッグの中からチケットを二枚取り出した。
「随分都合よく二枚あったもんだね。」
「うん、よかった。」
そのまま梨華に手を引かれ、俺と梨華は近くの映画館に入っていった。
「それでどの映画見るの?」
梨華の方を向いた。
「あれだよ。」
俺は梨華の指差した方の看板を見た。
最近カップルにやたらと流行っている映画だ、アクションあり恋愛要素ありと感じだ。
俺は別に映画好きではないが近頃CMで見た感じではそんな内容だった。
俺が看板を眺めてる間にも沢山のカップルが映画館の中へ入っていく。
「友達って男?」
「女だよ。」
「女同士でこの映画見ようとしてたの?」
俺は少し笑いながら聞いてみた。
「うん・・・だって一緒に見に来る人居ないから。」
梨華は少し顔を赤くした。
『一緒に見に来る人が居ない』と梨華が言ったので俺は少し安心した。
「それじゃ入ろうか。」
「うん。」
俺と梨華は映画館の中に入っていった。「席はどの辺にする?」
「まん中辺りがいいな。」
俺と梨華は席に着いた。
席に着き、しばらくパンフレットを見てると場内が暗くなった。
「始まるね。」
「うん」
春休みのせいかほぼ満席の劇場で映画が始まった。
人気の通り内容としては面白い映画なのだろうが、
あまり恋愛ものが苦手なので、俺はスクリーンから目を離し椅子に深く腰を沈めて右隣に座っている梨華の方を見る。
スクリーンから反射するチカチカとした明かりが顔に当たっている、映画に夢中で俺には気付いていない。
俺は顔を正面に戻し背もたれに背中をつけた。
「・・・・。」「・・・ん?」
スクリーンの方に目をやるとさっきとシーンが変わっている、
大きなスクリーンの中で主人公とヒロインが抱き合ってキスをしていた。
後ろを見てみると女の人が泣いている。
右を見てみると梨華もうっすらと涙を浮かべていた。
「あれ?」
しばらく現状を把握できずにスクリーンをぼうっと眺めていた。
すると主人公とヒロインを乗せた車がズームアウトしていき、エンドロールが流れる。
「やべ、寝ちまったのか」
やっと現状を把握できたがもう遅い、場内には明かりが点き始めていた。
「いい映画だったね。」
「え、う、うん。良かったね。」
とりあえずその場だけは茶を濁し映画館から出た。道を歩いていても梨華は映画の感想を聞いてきた。
「ねえ、どのシーンが良かった?」
と俺の顔をじっと見つめている。
「えーとね、あの・・・主人公の・・・ね・・・あれが・・・あの・・・。」
内容が分からないので俺には答えようが無かった。
「ねえ、どこ?」
「あー、ごめん。途中で寝ちゃって内容分かんないんだ。」
これ以上ごまかせそうに無いので素直に打ち明けた。
「えー!寝たたの。」
「いや、ホントにごめん。」
とりあえず謝るしかないので謝った。
「もー。『どのシーンが良かった?』とか話したかったのに〜。」
梨華は脹れっ面をした。
「ごめん〜。」
もう一回謝ったが梨華は許す素振りをしなかった。
何も喋れぬまま、少し歩くと俺はいいことを閃いた。
「そうだ、ちょっと来て。」
「え、何。」
今度は俺が梨華を引き店に入った。
店の中にはピアスや指輪などのアクセサリーが並べられている。
「どれがいい?」
ペアリングのコーナーの前で梨華に尋ねた。
「え?」
梨華は正直困っている様子だった。
「あ、これなんかいいんじゃない?すいません、これ下さい。」
俺は店員を呼んで一つのペアリングを指差した。
「これ結構高いよ、私半分出そうか?」
梨華が心配そうに尋ねてきた。
「はは、ペアリングの割り勘なんて聞いた事無いよ。それに俺だってこの位の金はあるし。」
俺は笑いながら店員に代金を渡し、店を出てリングを梨華に渡した。
「・・・・。」
「やっぱり俺となんかじゃ嫌だった?」
と梨華に尋ねた。
「そんなことないよ。ただこんなもの貰った事無かったから・・・。」
「そっか、良かった。」
俺は少しほっとした。日も沈みかけてきたので海辺の公園に行くことにした。
ペアリング効果あってか公園に向かう間は会話が弾んだ。「いいの?ここで」
「うん、今日はどうもありがとう。」
「いや、こちらこそどうも。」
俺は梨華に買物袋を渡した。
「それじゃまた逢う事はないと思うけど、またね。」
「うん、またね。」
俺は家の方角へ歩き出した。
「あ、忘れてた。」
と梨華の声がし、パタパタとこっちに向かって走る音が聞こえてきた。
「どうしたの?」
俺が振り返って聞いた。
「今日のお礼。」
梨華が買物袋を横に置き、俺にキスをした。
「またねっ。」
梨華は買物袋を拾い、急いで走っていった。
夕日のせいもあってか梨華の顔が赤く見えた。
梨華の姿が小さくなっていくのを確認し、俺は少しだけ笑みを浮かべながらまた家の方へ歩き出した。「・・・・・」
「・・・ん・・・?」
俺が気付くと自分の部屋のベッドの上に寝ていた。
電気のついてない暗い部屋の中でテレビだけがチカチカと映っている。
「ああ、夢か・・・」
考えてみれば当たり前だ、街を歩いていて梨華になんて会えるわけがない。
「寝過ごしちまったのか、無駄な休日過ごしたな。」
とりあえず友達に電話をかけることにした。
「あ、もしもし。俺だけど。いや〜どうも今日一日寝過ごしちまったみたいなんだよな。」
「何言ってんだよ。昼にお前の家行ったら隣の人にお前が出かけてるって言われたぞ。」
「えっ、おかしいな。まあいいや、また電話する。じゃあな」
俺は受話器を置いてベッドに寝転がった。
テレビの画面の中で夢の中ではさっきまで一緒に居た梨華が歌っている。
「惜しい夢だったなあ・・・・。・・・あれ?」
歌っている梨華が俺があげたのと同じ指輪をしている。
「偶然か・・・。」
俺が寝返りをうつとポケットに何かの感触があったのでポケットに手を突っ込んだ。
するとポケットの中には梨華とペアで買った指輪があった。
(夢じゃなかった・・・。)
俺は仰向けになり天井を見た。「『明日は明日の風が吹く』か・・・。」
063
名無し娘。 投稿日: 2001/05/07(月) 22:59
〜ののの新婚生活〜
「ののは愛する旦那様の為に手料理を作るのれす、楽しみに待っててくらさい」
数分と経たない内に台所からガシャーン!パリーン!という何かが割れた音や
「熱いのれすー!」というののの悲鳴などが聞こえてきた。
俺は台所に行き、意味も無く駆け回ってるののに優しく声をかけた。
「無理しなくていいよ」
「う・・・うう・・・」
あ、泣きそうだ・・・と思ったが、ののは突然自分のほっぺをピシャンと叩く。
「こんな事では泣かないのれす、ののは頑張るのれす!」数時間後、出来た料理はこの世のモノとは思えないモノだった、が
俺は泣きながら食べたよ。
「のの・・・不味いけど美味しいよ・・・愛がいっぱい詰まってるね」
「沢山食べてくらさい、おかわりはまだまだあるのれす」
明日の会社はきっと休みだ・・・064
ミニ合宿娘。 投稿日: 2001/05/08(火) 19:05
矢口「ミニモニもプッチみたいに合宿するのだぴょん!」
ミカ「合宿デスカー?」
辻・加護「いいですねー!楽しそう!」
矢口「コラ!お泊まり会じゃないんだぞ!ミニモニをもっとレベルアップ
させる為に訓練しに行くんだからね」
辻・加護「ふぁーい」
ミカ「デモ年頃ノ女ノ子ダケデ泊マルノッテコワイデース」
辻「変質者が来たらどうしようなのれす」
加護「大変や!うち可愛いから一番に狙われるわ!」
矢口「そうだなぁ、用心棒は欲しいかも・・・」数時間後、ミニモニは一人の青年を拉致し合宿所へ連れ込んだ。
矢口「そういうワケだから二日間だけミニモニに付き合ってくれよ」
辻・加護「お願いしまーす!」
ミカ「日本男児デショ、カ弱キ女ノ子ヲ守ルデース」・・・きっと断っても帰してくれないだろう、
俺は首を縦に振った。合宿一日目スタート
4人が自主トレに励んでる間、俺は部屋の掃除を頼まれた。
何だか用心棒というより家政夫だな・・・一通り掃除が終わりボーっとしているとミカが近づいてきた。
「オ疲レ様、ドリンク差シ入レニキタヨ」
「ありがとう」ゴクゴクゴク・・・
ジィーーーーーーーーーー
「あ、あの・・・じっと見られると恥ずかしいんだけど」
「ウフッ」
可愛らしい笑みを浮かべたかと思うと、ミカが俺の耳元に
唇を近づけ始めた、いっ一体何故こんな行為を・・・?
「ミミミ、ミカちゃん!?」
訳が分からず動揺してる俺にミカは・・・
「晩御飯、ヨロシクネ」
そう呟いた。〜合宿一日目の夕方、まだ俺の家政夫生活は始まったばかり〜
「カレーが食べたいのれす」
晩飯のメニューに悩んでる俺の前に突然辻が話し掛けてきた。
「ミカちゃんから聞きました、晩御飯作ってくれるんれすよね?」
「ああ・・・」
「優しいのれすね〜♪大好っき!なのれす」「ところで話は戻るけどののはカレーが食べたいのれす、あいぼんは
シチューがいいと言ってましたけど」
「カレーかシチューか・・・」
「どっちを作ってくれるのれすか?どきどき」「カレーにするよ」
「やったー!ありがとうなのれす!えへへへ♪」
辻はよっぽど嬉しかったのだろう、ピョンピョン跳ねて両手を叩いている、
しばらくして大人しくなると、先程のミカみたくジッと俺を見つめだした。
「お兄さん、これはのののお礼なのれす」チュッ
「てへてへ・・・それではお料理頑張ってくらさいね」
「あ・・・うん・・」13歳の子にほっぺにキスをされて不覚にも胸が高鳴った、
家政夫もいいなと思い始めた合宿初日。「シチューにするよ」
「そうれすか・・・残念なのれす・・・」
辻はよっぽど悲しかったのかがっくりと肩を落としている、
しばらくして元気を取り戻したのか、先程のミカみたくジッと俺を見つめだした。
「お兄さん、これはのののお礼なのれす」ザシュッ
「てへてへ・・・それではお料理頑張ってくらさいね」
「・・・・・・・・」辻「残り、3人」
深夜、用を足して部屋に戻る途中台所でガサゴソ音がする・・・・
何かいるのか?確かめてみよう。「きゃ!」
「か、加護ちゃん!?」
イキナリ現れた俺にビックリして加護は尻餅を突いてしまった、
そんな加護を助け起こす為に手を差し伸べる。
「おおきにー、あービックリしたー!」
「こんな時間に台所で何やってたの?」
「夜食やー、うちあんまり晩御飯食べなかったからお腹ペコペコやねん」
そういえば夕食のカレーを残してたな。
「でもカレー以外残ってなくて困ってたんだ、あ!そうだ、
一緒にコンビニ行ってよ!男の人が一緒なら夜道も怖くないわー」「いいよ」
「おおきにー!じゃ、早速行ってみよー!」「はー、夜の空気ってヒンヤリしてて気持ちええなぁー」
「そうだね、ところで何買ったの?」
「サンドイッチとタコヤキや、ねぇ、外で食べてもいい?」
「ああ、じゃあそこの木の株で座って食べなよ」パクパク・・・
「夜中に外でご飯食べるのって何か新鮮ー、いつもより美味しく感じるわ」
「よかったね」
「これもボディガードさんのお陰や、ありがとう。これ食べて、あーん」
「え?あ、あーん・・・」
パクッモグモグ。
「美味しい?うち結構このタコヤキ好きやねん。あ・・・唇にソース付いてる」ペロッ
「・・・・・!」
「ん、美味しい。さぁーてお腹もいっぱいになったしそろそろ帰るかー」またもや13歳の子にキスされて
また不覚にも胸が高鳴ってしまった。そんな合宿初日、無事終了。
外から小鳥の鳴き声が聞こえる、朝か・・・?腕時計を見るとまだ6時だった。
もうちょっと寝るか、それとも今起きて朝飯でも作るか、
・・・何だか目が冴えてきたし、朝飯作るとするかー、そうと決まれば早速。
俺は布団から身を乗り出した、すると
「うう〜ん・・・寒いなぁ〜」と矢口さんが呟いた。
「あ、ゴメン。はい布団」
「ありがと〜・・・スヤスヤ・・・」
「・・・・・・・」矢口さん!?
どうして矢口さんが俺の布団で寝てるんだ!?朝っぱらから問題発生、そんな最終日スタート
「や、矢口さん・・・?」
「んぅ・・・スースー・・・」
矢口さんは気持ち良さそうにスヤスヤ寝てる、何故ここにいるのか聞きたいが
起こしてしまうのは可哀想かな。
・・・それにもう少しこの無防備で愛くるしい寝顔を見ていたい。「スー・・・スー・・・」
薄っすらと開いてる唇が妙に色っぽく感じる・・・
「・・・・・・・」
プックリと柔らかそうな唇に触れたい、という気持ちが頭をよぎる。
(ダ、ダメだぞそんな!例えキスだけでも寝てる相手にそんな卑怯な事!)
俺は頭を激しく横に振り、変な事を考えないようにした。「そんなにブンブン振ってだいじょ〜ぶ〜?」
「えっ?あ・・・起きたの?」
「ん〜?起きてるよぉ〜・・・」
目がトロンとしてる、まだ半分寝てる状態だろうか?
「ねぇ〜」
「は、はい?」
「君も一緒に寝るのだピョン〜」
「は、はい?ってうわ!」
矢口さんに引っ張られた俺はバランスを崩し布団に倒れこみそうになった、が、
間一髪倒れこむ前に両手でバランスを戻す。
「あ、危ないじゃないか矢口さ・・・あ・・・」よく見ると俺の両手は矢口さんの顔の横、両足は矢口さんの足の横・・・
他の人から見たら押し倒してるようにしか見えない格好だった。思わぬ事態に頭がパニックに陥る、どければいい事だが緊張と動揺のあまり
体が動かない。
矢口さんは相変わらずトロンとした目で俺を見ている、
その目は止めてくれ・・・間違いを起こしそうだ。矢口さんの視線から逃れるため目を下に向ける、すると今度は少し乱れた
パジャマから首筋と鎖骨が見えた。
その色っぽさに思わず唾を飲む、う、いかんいかん。
更に視線を下に向けると柔らかそうな二つの膨らみが・・・ヤバ、ちょっと下半身が痛くなってきた、
このままこうしてると理性が吹っ飛んでしまうかもしれない、早くどいて・・・
そうだ朝食作るんだった、よし行こう。
・
・
・
体が動かなかった、いや、動く事は動くんだが俺の何かが
ここに留まらせてる・・・
いかんぞ、ダメだぞ俺・・・ダメだって・・・くそ・・・ガチャ!
「おはよーなのれす!朝れす・・よ・・・・・・!?」
「!!」065
ポケットの中の妖精 投稿日: 2001/05/12(土) 02:18
ったく、今日も残業かよ・・
誰もいなくなった事務所で、いつものようにキーボードをたたく俺。はー、こんなことしてるからいつまでたっても彼女ができねーんだよ・・・
くそ、眠くなってきた。
でも、これ明日の会議に間に合わせなきゃいかんしなー。「おーい」
あれ? 誰かいるんか? あたりを見回すが誰もいない。
ふぁ、幻聴か・・・。早く家帰って寝たいな。「おーい。ここだよー! こっち見ろよ!」
へ? 俺、だいぶ疲れてるな。矢口が目の前にいるよ・・・
「きゃはは、なにびっくりしてるんだよ!」
な、なんだこりゃぁー!
俺のPCの脇から、全長10cmくらいの小人が顔をのぞかせている。
ははっ・・・、俺だいぶ疲れてるな。幻覚まで見えてら。「こらー、無視すんなよー」
自分の頬っぺたをつねってみる。・・・・・、痛い。
幻覚、じゃないよな・・・
机の上で威張ってる小人のような物体にそーっと手を伸ばしてみる。「わ、わ、なにするんだよー!」
潰れないようにそーっと両手で持ち上げて、目の前に運んでみる。
「こらー、おろせー! おいら高いとこ苦手なんだよぉ」
「なぁ、お前は何なんだ?」
「へへへ、おいらのこと知らないの?
モーニング娘。の矢口真里に決まってるじゃん」
「・・・・・・、はぁ?」目の前の、矢口が俺の手のひらの上で「ふふん」てポーズをとっている。
いや、そりゃ知ってるけど。
つーか、なんでこんなに小さいんだ?
しかもなんで俺の職場に突然現れるんだ?「おいらお腹減っちゃったよ。なんか食べるものないの?」
「・・・・・、ない、けど」
「じゃ、ご飯食べにいこう! おいらピザ食べたいな」
「あ、ああ。ピザか・・・」頭の中には?マークがいっぱい飛んでいたんだけど、
あまりにも非現実的で、頭が麻痺してて、
とりあえず、矢口にせかされるまま、
俺は胸ポケットに矢口を入れて会社を後にした。「なぁ、矢口、さん」
「ん? 真里でいいよ」
「じゃあ、真里。真里はどうしてこんな姿になったの?
どうして俺の会社に現れたの?」
「んー、おいらも良くわかんないんだよね
テレビの収録して、楽屋でうとうとしてたらさ、
いつのまにかあんたの机の上にいたんだ」
「・・・・、なんか、えらく楽天的じゃない?」
「きゃははは、そりゃ最初は驚いたけど、で
もさー、なっちゃったもんはしょうがないじゃん?」
「・・・・・・・・・・」
「それより、早くご飯食べようよ!」ポケットの中から俺を見上げてけたけた笑う真里。
なんかこれもかわいいじゃん。
俺は胸の中の暖かさを感じながらファミレスに向かった。066
ポルノ 投稿日: 2001/06/04(月) 14:35
「あれーー?どこいったのかなー・・・・」
家の中を真里がなにかを探し回っている
「真里、何探してんだ?」
「ぷうさん・・・」
「ぷうさん?あのお前が寝る時抱いてる奴か?」
「うん・・あれがないと寝れないよお・・・・」
「明日にでも新しいやつ買ってやるよ」
「ん・・・」その夜・・
布団を並べて寝る真里とオレ。
「んじゃ、電気消すぞー」
「うん・・」
「おやすみ」カチャ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・ねえ・・・・、もう寝た?」
「ん?起きてるよ。トイレか?」
真里に背を向け答えるオレ。
「うんうん、違うの」
「じゃあ、なんだ?」
「そっちいっていい?なんか寝れなくて・・」
「・・・・・・ああ、いいよ」
「ありがとー」
オレの布団に入る真里。
「ぷうさんみたいに抱いていい?」
「オレは一日ぷうさんかよ。まあいいけど・・」
オレを後ろから抱く真里。
「あったかーい・」
こうして夜はふけた次の日、オレはすぐに新しいぷうさんを買ってやった。
真里は、それ以降また、ぷうさんを抱いて寝ている。
時々、オレんとこに来るようになったが。067
名無し娘。suzuka 長編のためこちらへ
068
名無し娘。 投稿日: 2001/06/07(木) 17:12
「なあ、おにーちゃん、はよ起きて〜。今日買い物行くって言ったやん」
「・・・・・ん・・・・・うるさいなぁ。もうちょっと寝かせろよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」諦めたかと思い安心したその瞬間・・・・。
ボスッ!!何かが腹に命中した。「ぐはっ・・・・・」
布団から顔を出すと、バットを持った亜依がすごい形相をしていた。
「分かったよ・・・。起きるから・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」ぶんっ!!
「うわっ!!ちょっと亜依、起きるって言ってんだろ。」とその時、亜依の手からバットがするりと抜けて蛍光灯に・・・・・。
パリンッ!!「きゃあ〜!!」
「あ、危ない・・・・・・!!」俺はとっさに亜依に覆い被さる形になった。
下を見ると亜依の顔がすぐそこに。
不覚にもドキドキしてしまった・・・・・。「大丈夫か・・・・・?」
「う、うん・・・。・・・・・ごめんなさい・・・・・・・」
「・・・もういいから。俺も悪かったんだし・・・・・」やばい、亜依が泣きそうだ・・・・・
「あ、亜依。出かけるんだろ・・・。早く着替えてこいよ。」
「う、うん・・・・・」元気無く部屋を出て行く亜依。
これから出かけるってのに、どうしたらいいんだろう・・・・・069
名無し娘。アキラ 投稿日: 2001/06/10(日) 05:39
「もうバカッ!!!!!!」
その瞬間、俺の聴覚内に真希の甲高い声がこだました。
と、同時に部屋中にクッションやら洋服やらが宙を舞う。
「ご・・・ゴメン・・・!!!別に真希を攻めてるわけじゃ・・・ウグッ!!!!」
弁解の余地がないまま真希の拳が俺目掛けて飛んでくる。
スラリとした細身の体から投げ出されるパンチはさほど痛くは無く、
それよりも拳の向こうにハッキリと見える真希の泣き顔の方が俺には
ダメージが大きかった・・・。おい・・・そんなに泣くなよ・・・
「もう○○なんて大っ嫌い!!!!!」
そう言い残して真希は周りに散らばった自分の荷物を忙しなく拾い上げ
バタバタと部屋から出て行ってしまった。目には沢山の涙を浮かべて・・・・床に転がった時計の針は時刻をpm9:15分を刻んでいた。
(うっわぁ〜〜〜ヤバイ事になったぞぉ・・・・どうしょう・・・どうしょう・・・)
そんな感情を交差させながらに俺は部屋中に散らばった洋服達をかき集め
クローゼットに押し込んだ。
部屋はいつも以上にシンと静まりかえっている。・・・・真希・・たくさん泣いてたな・・・
事の発端は数時間前。
久々に真希が俺ん家に来ての何気ない会話からだった―「なぁ、真希明日って会える?」
「ぇ・・・ぁ・・・ごめんね・・・明日は収録が・・・」
チェ・・またかよ・・・
「じゃあ明後日は?」
「あー・・・ゴメン。その日も撮影と収録が両方あって・・・」
「マジでー?じゃあ今週の土日は?時間ないの?」
「うんと・・・土日は番組のロケで大島まで行かなきゃなの・・・」
オイオイ・・・それってどんなロケだよ・・・。
そう言ってゴニョゴニョと小さい声で断る真希に少し腹が立ってきた。「ごめんっ・・○○ごめんねっ・・・いつか埋め合わせするからさっ・・・ね?」
真希は仕切に俺の顔を覗き込み大きく笑って謝っている。
・・・いつかっていつだよ・・・チクショー・・・そりゃ、なんたって天下のモーニング娘。だ、当たり前に忙しいだろう。
俺みたいに学校とバイトの往復で暇を持て余してる貧乏学生とは違うと思うけど
でも、ちょっとくらい「私だって一日中○○と居たいよぉ」とか「仕事より○○」
とかって俺に甘えてくれたっていーじゃん!!!!!!言ってくれたっていーじゃん!!!!「んもぉ、急に黙り込まなくたっていいじゃん!!!○○?○○?」
でもそんな恥ずかしい事言える筈もなく・・・「ねぇ!!○○ってば!それよりもご飯食べに行こうよぉ〜」
でも真希えお束縛したい気持ちは抑えきれず・・・・こう・・口から出てしまった。言ってはいけないタブーの言葉。
「もう、モーニング娘。なんて辞めちまえ!!!!!!!!」
ア・・・・、言っちゃった・・・(アセッ)
勢いに任せて出た言葉は、目の前のさっきまで愛らしく笑っていた
真希を激しく憤慨させた。
「・・・!?なっ・・・何それ!!!酷い!○○なんでそういう事いうの!?」
「うっうるせぇ〜!!真希だって仕事仕事って・・・!?」
「そんなのしょうがないじゃん!!!仕事は仕事だしっっ・・・!!!」
「でっでも・・!?もう少し俺に・・・あっ・・・甘え・・・・・・」
・・・ちくしょ〜〜そんな恥ずかしい事言えるか・・・!?・・・クッ・・070
S.A.S 長編のためこちらへ
071
頬袋 投稿日: 2001/06/11(月) 01:10
今日も俺はあの人の写真を見ている。大好きなあの人の写真を。
いつまでも忘れたくないから・・・「わっかんないかな〜、この問題。うーん、カオリの教え方が
悪いのかな〜?」
「へっ?あ、違う違う!俺が飲み込み遅いからさ、ホント、
カオリ姉ちゃんは悪くないよ」
「そう?ま、今日はこの位にしときますか」
「さっすが、カオリ姉ちゃん!」俺が高一の夏、母は、家庭教師をつけたほうがいいんじゃないかと言ってきた。
正直、勉強は大嫌いだったが、その家庭教師がカオリ姉ちゃんだと知ると、
俺はその話を二つ返事でOKした。カオリ姉ちゃんは小さな頃から俺の面倒を
見てくれていて、本当の兄弟と同じぐらい仲良しだった。
俺が今通っている高校を受験したのも、カオリ姉ちゃんが
いるからに他ならなかった。072
bevel 投稿日: 2001/06/12(火) 23:45
キンコーン。
ドアベルの音に、私は吸いかけの煙草を消して玄関に向かう。
時計は21時10分前を示している。約束の時間より少し速い「はーい。」
扉の向こうに呼びかけながら、私は一応覗き窓から外を見てみる。誰も見えない。
私は安心して鍵を外し、ドアを開ける。「おーっす。」
いつもの元気な声と笑顔。彼女がそこに立っていた。
「おーっす。今日は早いね。」
「ちょっと急いで来ちゃったからね〜。あははっ。」
明るく笑いながら、私の靴を揃え、その横に自分の靴を揃えながら、彼女は私を見上げる。
孤独なワンルームが一瞬に華やぎ、私の体温は少し上昇する。「座ってよ。何か飲むだろ。オレンジジュースと牛乳があるけど、どっちにする?」
「もー。オレンジジュース頂戴。」
「ハイ、今日も一日お疲れさん」
彼女にオレンジジュース・オン・ザ・ロックを手渡し、私も彼女の傍らに座る。。
「ありがとー。」
そういって彼女はグラスを一気に空にする。
「ぷは〜」
「真里、おやじくさいぞ」
「だぁってー、、、」
と呟きながら彼女は私ににじり寄り
「・・・・・」
私の肩にもたれ掛かる。束の間、私と真里との幸福な一時。
数刻後、彼女が身を離す。
「お腹すいちゃった。なんかある?」
私からやや視線を外したままの真里の頬が紅潮しているように見える。
「残り物だけど、待ってて、今用意するよ。」
そう言って手早く食事を一人前用意する。この辺は一人暮らしで慣れたものだ。「今日の仕事は?」
「今日はグラビア撮影だけ。まぁー楽な方かなぁー。」
味噌汁を飲んで、真里が答える。
「え、九人全員で、何か雑誌とか載るの?」
「んーん、今日は7人祭の撮影。」
「じゃあ楽だったってのは…」
「そうそう・・・」
正しい箸の持ち方でおかずを突きながら、真里のペースも上がってくる。
「辻加護もいないし、平家さんがいるからか、全部スムーズにいってさー」
私はおとなしく聞き役だ。
「みんなきちんとしててさー、ごっつぁんとか柴っちゃんとかも。っていうか、騒がしいココナッツを
平家さんがうまくまとめてる感じかなー?」
「へー。何かうまくまとまってるじゃん。」
「でもまだ最初だからねぇー。また中間管理職になっちゃうのかなぁー。でもまあ、モーニング娘。の
中だとごっつぁんは一緒にやり易いね。」
「え、そうなんだ。」
「うん。10人祭なんか、ホント大変だって圭ちゃん言ってた。」
「うーん、何かわかるかな・・・」
「石川はそろそろネガティブになってきてるし」
「3人だけだからね」
「しかも一番年上だし、あははっ。」結局、いつも取り留めの無い話しで、時はあっという間に過ぎてしまう。
気が付けば、そろそろ日付が変わりそうだ。「そろそろ送ってくよ」
「もうこんな時間かぁー。もうちょっといいでしょ?」
「明日、大丈夫なの?」
「ううん、ちょっと早い・・・」
小声になってしまう真里。真里を家まで送っていくために、私達は車に乗り込んだ。
073
名無しっぺ 長編のためこちらへ
074
Ash 投稿日: 2001/06/19(火) 23:13
俺はライブのリハーサルで疲れ果てたまま車を家へ走らせた。
家までは三十分ってとこかな。今お気に入りの曲を流しながら家についた。
今日もだるそうにドアのカギを開ける。「ガチャ」中に入ると見知らぬ女の子
がいた。彼女は全裸だった。とりあえずあわてて自分の服を着せる。
彼女には俺の服はやはり多き過ぎた。ダボダボどころか屈むと胸がのぞくだろう。
彼女をゆすって声をかけると意外と簡単に起きた。僕は「名前は、どうして
ここに居るの?」などと聞くと「矢口、矢口真里」と言った。どうやら自分の
名前以外はなにも覚えていないらしい。こうして矢口と僕の生活は始まった。俺は疲れていたのでそのまま眠りについてしまった。
小鳥のさえずりが聴こえる。どうやら朝がきたみたいだ。
俺は昨日のことは全く覚えていなかった。「トン、トン、トン」
何故だかキッチンの方で音がする。俺はそーっとキッチンに入ると、
「あっ、起きたんですね。おはようございます。」と、矢口は飯を作っていた。
(そういえば、昨日帰ってきたらこの子がいたんだよな)びっくりしたのを
隠しながらパソコンを起こしてぼーっとニュース欄を見ていると、
「はい、できましたよ。」と一言。食べてみる。あまり美味くは
なかった。(まあ、昨日来たばっかだしな)そう感じながら飯をたいらげた。
そしてまたパソコンを見ていると「お仕事行かなくていいんですか?」と矢口が
言った。そうだ、今日は某音楽雑誌のインタビューを受けるんだった。
急いで洋服に着替え玄関のとこまで行くと矢口が見送りをしてくれた。
「いってらっしゃい。」となにげない一言俺は今までどうしてもやってみたい事が
あった。勇気を出して言ってみた。「い、いってらっしゃいのキスは?」「いってらしゃいのキスは?」と俺が言うと「えっ、なにそれ?」と返されて
しまった。(そうか、昨日来たばっかなんだからな・・)矢口はキスなんて
知るはずもなかった。俺は少し残念に思いながら玄関を出た。
でも矢口が満面の笑顔で俺を見送ってくれたから別によかった。075
名無しっぺ 長編のためこちらへ
076
名無し娘。 投稿日: 2001/06/25(月) 17:12
目が覚めた。
途端に激しい頭痛が襲ってきた。夕べは飲みすぎた。
どうやって帰ってきたかさえ覚えていない。
水を飲もうと立ちあがろうとしたとき普段と雰囲気が違うのに気がついた。
−−俺の布団にもう一人もぐりこんでいる奴がいた。
酔いが醒める。記憶をたどる。全く思い出せない。誰だこいつは?
更にもうひとつ気がついた。こいつは−−女だ。
顔を見る。知り合いではない。だが、どこかで見たことがある顔だ。
思い出した。カントリー娘のあさみだ。
これが夢であることを願い、もう一度布団を被ることにした。再び目が覚めた。
我ながらよく眠れるものだ。目を覚ますと同時に人の気配を感じる。
夢であることを期待していたがそうではなかったようだ。
でも、もしかしたらあさみではないかもしれない。
さっきは酔いも酷かったし見間違いだろう。ポジティブポジティブ。
メロン柴田だったら股下を計測しよう。
村田だったらとっておきのネタを披露してもらおう。
斉藤だったら豊かなバストを弄ぼう。
大谷だったら下半身にハァハァしよう。
ひとしきり妄想を楽しむと一縷の望みをかけ、未だ寝入ってる「それ」を確認した。
・・・やっぱりあさみだった。何故、あさみなんだ?本当に記憶がない。
覚えているのは飲みに行ったところまで。それにしても・・・あさみか・・・
せめてダニエルなら・・・いや、それもいかがなものか。
記憶をたどるのが先か、今この状態を考えるのが先か苦悩している俺の気も知らずに
あさみは静かな寝息を立てていた。077
たいちゃん 投稿日: 2001/06/28(木) 03:43
俺の名前は 村上 博(ひろし)(高3で17)
学校のことがあって親と離れて暮らしてる。
高1までいた学校は低レベル過ぎたから、
今の学校に移ったってわけだ。
ただ親と離れたかったってのもあるかもしれないけど・・・・・。そんな俺には身勝手というバカって言うか自己中って言うか・・・・・。
全部言ってたらキリがねぇーよ。
俺にはそういう彼女がいる。「たっだいま〜!」
「おい!なんでただいまなんだよ!真希ちゃんの家じゃないだろ。」
「いいじゃーん。ったく細かいな〜。」
バカで楽天的な彼女の真希はあの国民的アイドルグループの
センターをはってる後藤真希だ。今日も夜遅くに人の家に上がりこみやがった。
親にはなにかと適当に理由をつけて俺の家にやってくる。
そんで、自分の家みたいにくつろぎやがるんだ。
何度家に帰れって言っても聞きやしない。
半ば呆れ気味だ。
もうどうにでもなれって感じ。「ねぇー今日のご飯は?」
「今日のご飯はじゃないだろ!家に帰りなさい!」
言っても無駄なんだけど一応いっとかないと調子に乗るから。
「や〜だよ。」
下をぺろっと出して言う真希ちゃん。
かわいいから止めてくれないか・・・・・・。
嗚呼・・・いかんいかん・・・・。
頭をぶるぶると振って自分を抑え付けようとする。いっつもこんなのの繰り返し・・・・。
だけどそれはそれで楽しかったりもする。
そんな真希ちゃんと俺の出会いはあいつにあった。
去年、娘。を去った市井紗耶香・・・・俺の親友。紗耶香とは昔からの友達でよく家に行ってたりもしてた。
そういう関係の俺らが恋愛対象になることはなかった。
っていうかなっちゃいけなかったんだ。
俺もそれなりに意識してた部分とかはあったけど、
結果的にはなんにもなかったんだ。
それでよかったんだ。それで・・・・。あれは1999年の12月のめっちゃ寒い日のことだった。
紗耶香が真希ちゃんを連れてうちにやってきた。
もちろん俺一人だからなんの前触れも無く連れてきやがったんだ。
親がいればちょっとは気を使うらしいけど俺一人だと
紗耶香は遠慮って言葉を忘れやがる。俺ははじめて見る芸能人にちょっと感激した。
紗耶香のことはいっぱい見てきたから今さら見たって
なんとも思わない。俺の中では芸能人って意識すらないから。
真希ちゃんは紗耶香とは違って遠慮という言葉を知っていた。
その時思ったんだ。なんて律儀な子なんだろうってね。
ま、数ヵ月後には変わっちゃうんだけど・・・・・(笑
派手な子だって思ってたから、めっちゃ以外だった。それから何度か紗耶香は真希ちゃんを連れて遊びにくるようになった。
なぜ紗耶香がそんなことするのかよくわからなかったが、
まあ、それなりに楽しかったから理由は深くは考えなった。ある日、真希ちゃんが一人でうちのマンションへやってきた。
「あ、あの〜・・後藤です・・。」
恥ずかしそうにインターホンで話す真希ちゃん。
「ん?紗耶香は?」
いつもインターホンを押すのは紗耶香だから。
「あ、市井ちゃんは今日はいないです・・・。」
ちょっと不思議に思ったけど、とりあえずオートロックのカギを開けてやった。しばらくすると真希ちゃんがやって来た。
オートロックを開けるといつも、玄関の鍵を開けっ放しにしておく。
すると、俺の部屋のお客さんは勝手に部屋に入って来るのだ。「お!来た来た。さ、座りなよ。」
近くのソファーに座るよう真希ちゃんを促した。
ソファーに座っても何の反応も示さない真希ちゃん。
なんか変だ。いつもの元気が無い。
「なんかあった?」
俺は真希ちゃんの隣に腰掛けて、そっと肩に手をやった。
「なんも無いよ。ただ・・・・」
「ただ・・・?」
「辛いだけ・・・」
寂しげな声で呟く真希ちゃん。
守ってやりてーよ・・・・。
そんな俺の腹にめちゃくちゃ暖かい物が何か触れていた。
それは真希ちゃんだった。
薄っすらと目に涙を溜めながら、俺の腹にしがみついていた。
俺は優しく真希ちゃんを俺から離して真っ直ぐ顔を見た。
「なにがあった?話してくれよ。」
そっと言葉を投げかける。
「なんも無いよ・・・。ホントになんも無いよ。」
いつまでも口を割らない真希ちゃん。
「なんも無いわけないじゃないか!じゃあ何で泣いてんだよ!
なんで辛いとか言うんだよ!なんで・・・・俺のとこに来たんだよ・・・・。」
強く言い出したのはよかったものの、語尾の強く言い出したのはよかったものの、語尾の声がめちゃくちゃ小さくなってしまった。
「・・・キなんだ・・博さんのこと・・・」
「聞こえないよ。」
「スキなんだよ・・・・。でもね・・市井ちゃんが・・・」
精一杯の真希ちゃんの告白だった。
けど、俺は告白よりも真希ちゃんの市井ちゃんて言葉に強く反応した。
「真希ちゃん・・・・なんで紗耶香が出てくるんだ?」
「市井ちゃんは博さんのことスキなんだよ。昔から大好きだって言ってたよ。
ずーっとスキだったって言ってたよ。
でも、気付いてくれないって愚痴こぼしてたよ。」
「そ、そんなバカな・・・紗耶香が・・・・・・・?」
信じたくなかった。
ただの親友としか見てなかったあいつが俺のことをスキだって?
そんなわけ無いじゃないか。
だったらなんであいつは俺に真希ちゃんを紹介したんだ?
俺が惹かれてるのを知ってて・・・なんでなんだよ紗耶香・・!078
200@リハビリ中 投稿日: 2001/07/02(月) 02:45
梨華と同棲を始めてはや3ヶ月。そろそろマンネリな感じだ。
今日もこんなに天気が良いというのに、
部屋の中で一日中ゴロゴロしてる俺たち。
いかん、このままではいかん!
俺は使命感にも似た決意を秘め、寝そべってポテチをかじりながら、
買ってきたファッション雑誌をつまんなそうにパラパラめくる
梨華に向かって言った。「なー、梨華。裸エプロンで飯作ってくれ」
「(゚Д゚)ハァ?」
「頼む。一生のお願い!」
「今すぐ回線切って首つって氏んでね(ハァト)」梨華は相変わらずこっちも向かずに、
寝そべったまま雑誌をペラペラめくっている。「なー、一回でいーからさー。してよぉ〜 裸エプロン」
「却下」
「お願いします。一生に一度のお願い」
「くどい。絶対に、し ま せ ん」くっ、敵のガードは想像以上に固い。
よし、作戦変更だ。「なぁ、梨華。Dr.コペの今週の運勢占いもう読んだ?」
「ん? まだ読んでなかったけどいい事書いてある?」
「んー、それがさ・・・ 聞きたい?」
「えー、ちょっとぉ、聞いてみたい、かな?」梨華ははじめて体を起こして顔をこちらに向ける
お、初めてまともに話を聞く体勢になったな。
よしよし、この調子この調子。「えー、山羊座のあなた。今週はちょっとブルーな一週間。
仕事運も金運も下降線。でも大丈夫。あなたのよき理解者が
あなたにとって最高のアドバイスをしてくれるはず。
絶対聞かなきゃダメだよ〜! だってさ」
「ふーん。私のよき理解者か・・・ 保田さんかな? それとも中澤さん?」
「ちっちっち。だあーれか忘れてやしませんか?」
「はい? んじゃ、あとは・・・、柴ちゃんかな?」
「て、バカかお前は。俺がいるだろ、俺が!」
「あぁ、いたね。そーいえば」きゃははと大口を開けて笑い転げる梨華。
ふむ、知らない間に矢口化が進んでいる。危険な兆候だ。「けふん。つーかさ、今から君にステーキなアドバイスをしてあげよう」
「いらない」
「くっ、まあ聞きなさい。
まず、もう夏だから爽やかなイメージを出すため、髪を上げてみよう」
「何それ? アップにしろってこと?」
「そう、イメチェンで、ポニーテールなんて良さ気な感じ」
「へー、意外とまともな事いうのね」
「イツダッテボクハキミノコトヲカンガエテイルンダヨ」
「セリフ棒読みだし・・・。まーいーや。ほら、こんな感じかな?」そう言って、梨華は美しい栗毛色の髪をかきあげ、きゅっと後ろで縛る。
揺れるテイルの奥に美しいうなじが見え隠れする。
俺は満足げに頷きつつ次のアドバイスをおくる事にする。「で、次だ。まず着ている物を全て脱いでみよう」
「ちょっと待ったぁ! なんですか、それ。
そんなのアドバイスじゃないでしょー!」
「いいえ、これは神のお告げです。厳粛に受け止めてください」
「あなたは飯田さんですか? はい止め止め。撤収でーす」
「梨華ぁ、お願い。言うことを聞いてよぉ〜 シクシク」
「バカですか君は。で、どうせ次のアドバイスは『このエプロンを着てください』
て言うつもりなんでしょ? もう読めすぎ」
進退窮まった・・・。
俺は、ほんのチョコっとな〜んだけど♪ 鼻クソのようにこびりついていた
ちっぽけなプライドをかなぐり捨てて、猛然と土下座した。「お願いします。お願いします。もう二度と言いません。
俺の一生の望みをかなえてください。お願いします」緩やかに響く午後3時を知らせる柱時計の鐘の音が鳴り響いてから
どれだけ時間がたったのか、
俺はひたすら床に頭をこすりつけて静かに審判の時を待つ。「はー・・・。何でこんなバカ好きになっちゃったんだろ、私」
「お願いしますお願いしますお願いしますお願いします」
「ねぇ、そんなに裸エプロン見たい?」
「見たいです見たいです見たいです見たいです」さらにそれから30分をが過ぎたことを知らせる鐘の音が一度。
「もういいから頭上げてよ。わかった。わかりました。
あなたのその腐った情熱に負けました。
裸エプロンでもなんでもします」
「え?・・・・・・・・」
「その代わり、ぜーったい他の女の子にこんなこと頼んじゃダメだよ」
「そんなの当たり前だよ! 俺は一生梨華しか愛しません!」
「ふふっ、まぁよろしい。
今日のところはあなたの薄汚れた瞳を信じる事にましょう。
じゃあ後ろ向いてて。絶対振り返っちゃダメだよ」俺のすぐ傍で梨華の服を脱ぎ捨てる音が聞こえる。
はぁー長かった、ここまで来るのに
俺の全てを費やしたといっても過言ではない。
と、手売り5万枚を売り切った初期メンのように感慨に咽んでいると「できたよー」
俺を呼ぶ梨華の声。( ● ´ ー ` ● )ありがとう。
何がなんだかわかんないけど、とりあえず天使に十字を切って
そろりと振り向く。「どう、かな・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」そこには髪をアップにして生まれたままの姿に
白いメイドタイプのエプロン一枚をつけて恥ずかしそうに頬を染める
梨華の姿が・・・もう声になりません(号泣)。
神様、荒みきった僕の人生の中で
2番目に素晴らしいプレゼントをありがとうございました。「おーい、どこ向いてるのよぉー!
何か言ってよ。恥ずかしいんだからぁー」
「神と子にムニュムニュ・・・。いただきます」
「はい? 何言ってるの?
ってもぉっ! いきなり襲い掛かってこないでよー! ばかぁ!」俺はいきなり梨華を横抱きにし、
お姫様抱っこのままベッドの上にもつれるように倒れこんだ。「ちょっとぉー、今から料理作るんじゃなかったの!」
「いただきまーす!」
「ってなんで私がディナーなのよー! ダメ、耳に息吹きかけないでよ・・・。
いやっ、離せ。そんなトコ触っちゃダメでしょ・・・あっ、あんっ。
もう、お願いだから・・・あぁん」──── これもまた幸せな一日。
079
200 長編のためこちらへ
080
さるぶんごう。 長編のためこちらへ
081
名無しっぺ 投稿日: 2001/07/18(水) 13:45
高級そうなマンションの一室、僕は、椅子に深々と座る女性を前に
と『ある依頼』を断るよう懇願していた。「ホントにやるんですかぁ!?断って下さいよ!」
「何言ってんの!引き受けるに決まってるじゃん!
カオリたちの仕事はこの世をさまよう霊を成仏させる事でしょ!
まぁ、たまに悪霊と戦ったりして大変だけど・・・」
「それが嫌なんですよ!体がいくつあっても足りないですよ!」僕は数週間前まで普通の大学生活を送っていたのだが、
ある日の学校帰り、「キミ、霊感強いっしょ?」と声をかけられ、
今現在、彼女のもとで働いている。何しろ月給がいいもんで・・・
それにこの馬鹿でかいマンションで暮らせるし・・・
何より毎日カオリさんの脚線美を拝めるとあっては・・・
僕に声をかけたのは、霊能力者として名高い
飯田圭織であった。といっても、彼女が霊能力者で、
その道じゃ知らない者はいない程の有名人だなんて、
彼女の下で働くまで知らなかったけど。「大体ね、今日の仕事はそんなに大したもんじゃないっしょ?」
「はぁ、『ラップ現象』を何とかしてくれって依頼ですけど・・・
僕、なーんか嫌な予感がするんですよねぇ・・・」「はい、私もそう思います・・・」
「!!ビックリした・・・いたんだ、石川さん・・・」
「ひどいですぅ!さっきからずっといたじゃないですかぁ!」
彼女の名は石川梨華。僕と同じく、強い霊感の持ち主で、
やはり僕と同じようにカオリさんにスカウトされた。
高校生で、バイトということになっている。
なかなか可愛いのだが、妙に存在感が薄い。
あと、しょっちゅう霊に取り憑かれそうになる。
可哀相な石川さん・・・
僕の方はと言うと、昔っからお化けや妖怪は
よく見た方で、小さい頃なんて、おばあちゃんの家で
座敷わらしたちとよく遊んでた。今思うととんでもない話だ。
まぁ誰かに話したところで信じてもらえないので話さないが。
ただ、僕と石川さんには共通した能力があって、
嫌な予感がすると、大抵その予感は大当たりするのだ。
地震、雷、火事、親父、そういったものを感じ取ってしまう体質らしい。「もう、またぁ?何で二人とも仕事を前にして嫌な予感
感じちゃうかなぁ!?ホントにもう、でもまぁ
カオリには関係ないんだけどね。さっ、行くよ!」「へっ?行くって何処にですか?」
「依頼人の家に決まってるじゃん!ほら、二人ともさっさと支度する!」
「は、はぁ・・・」
「分かりましたぁ・・・」
結局、依頼を断ってもらう事は出来ず、
依頼主の家まで来てしまった。「ここだね〜・・・ん〜、ビンビン来るよ〜、
霊の気配を感じるよ〜!」カオリさんは水晶を手に乗せ、門の前で一人興奮していた。
「うっわぁ・・・ますます嫌な予感がするよ・・・」
「はいぃ・・・石川もですぅ・・・」
「・・・ちょっと、石川!何でピンク色の服
なんて着てんのよ!そんな派手なカッコしてたら
せっかくの霊が来ないじゃない!」イマイチ納得のいかない理屈だ・・・だがこれが
カオリさんのキャラクターなのだ。
こればかりはどうしようもない。
触れないでおこう。「そんなぁ、私、ピンク色の服しか持ってませんよ〜」
「だったら真っ黒の服ばっかり買いなさい!」
またもや分からない理屈だ。色でどうにかなる物なのだろうか?
「ホントにもう、二人の霊感があってのこの仕事なんだから・・・」
カオリさんはブツクサ言いながら、門を開けて
西洋風の館の中に入っていった。
僕と石川さんもそれに続く。「あなたが依頼人の方ですね?」
「そうです。中澤裕子と申します。早速ですけど、先生、
なんとかしてもらえます・・・やんなぁ?」依頼主は20代後半の、関西弁を喋る女性起業家だった。
彼女の目にはクマが出来ていた。これも霊による仕業か。「もっちろん!わたくし達にお任せ下されば、どんな
悪霊も一発でおっぱらいます!」カオリさんは胸をはって自信満々で答えた。
確かにカオリさんの腕はいいようなのだが、
何処か信頼しきれない所もある。「で、どの部屋で聞こえるんです?その物音とやらは?」
「ウチの寝室で聞こえるんです。うるさすぎて夜も寝られへんのですよ」
「なるほど、よしっ、アンタ達、行くよ!」
「あっ、はい!」
「はいはーい♪」
僕達はやはりカオリさんの後に続いた。
「ふ〜ん、おっきいね〜、カオリもこんな
でっかい部屋で暮らしたいよ〜」「何言ってるんですかぁ、飯田さん、この倍ぐらいの
部屋で寝てるじゃないですかぁ♪」石川さんがすかさず突っ込む。彼女にしては的確なつっこみだ。
「ん〜?そうだっけ〜?まぁいいや、始めるよ〜」
カオリさんは相変わらずマイペースに仕事を始めた。
僕も作業の準備を始める。カオリさんを囲むように
円を描き、その周りにロウソクを立て、火を点ける。「じゃ、3人は後ろに下がってて。危ないからね」
カオリさんにそう言われ、僕と石川さん、そして依頼主は
後ろの方に下がった。確かに、素人の僕らがいると、
何が起こるかわからない、というか何をされるかわからない。
事実、いきなり霊に襲われた事だってある。
なので僕達はかなり後ろの方で固まっていた。「・・・今もまだこの部屋で彷徨い続ける霊たちよ
・・・私の前に姿をあらわせ・・・」突然カオリさんの周りが輝きだし、足元から
吹くはずのない風が吹いてきた。
残念、今日のカオリさんはブーツカットのGパンだった。
スカートであれば生足が見れたのに・・・
今度は空中になにやら白いもやのような物が集まり始めた。
そしてそのもやは二つの塊となり、徐々にヒトの形になっていく。
そして次の瞬間、僕達の目の前には、小さな子供が二人、
ちょこんとカーペットの上に立っていた。「・・・なぁ、あれが音の原因なん?」
「ええ・・・多分、そうだと思います・・・」
依頼主の女性は僕の後ろに隠れながら訊いてきた。
正直、ああもはっきりと姿かたちのある
霊を見たのは初めてなので、僕は曖昧にしか答えられなかった。
石川さんの方はただ黙って霊のほうを見ていた。「アナタ達が毎晩変な音を立ててたんだね?」
カオリさんは臆する事無く、二人の霊たちに語りかけた。
その霊達は、ちゃんちゃんこを着ているようだった。
その時、僕は妙な懐かしさを覚えた。
相手は霊なのに。どこかであった気がする。
気のせいでは澄まない。何なのだろう?
だが、その疑問はすぐに解決される事となった。「ちょっと待ってぇな!ウチら霊とちゃうで!
妖怪や!よ・う・か・い!どぅゆうあんだすたんっ?」二人の内の、目がちっちゃく、比較的色白な女の子が言った。
「そうれす!ののたちは『座敷わらし』なのれす!
ずうゆうあんだすたん?」今度はその横の、八重歯が目立つ女の子が言った。
かなり舌ったらずのようだった。「ええっ!?妖怪ぃ!?座敷わらしぃ!?
・・・そうかぁ、カオリ、てっきり自縛霊だと思ってたよ」「なんやねん、あんた等。ウチらはただ
遊んでただけやのに・・・なぁ、のの」「そうれす。ののたちはあそんでただけなのれす!」
僕はカオリさんとちびっこ二人のやり取りを見て、
自分の幼い頃の出来事を鮮明に思い出した。「キッ、キミたち、僕の事覚えてない!?」
僕はちびっこ二人の所まで駆け寄って
興奮気味に訊ねた。「んん?なぁのの、この兄ちゃんの事知ってるか?」
「さぁ、ののもしらないのれす。ろりこんさんれすか?」
「なっ!誰がロリコンだ!なぁ、ホンットに覚えてないの!?
ほら、20年ぐらい前、僕のおばあちゃんの家で一緒に遊んだろ!?」
「20年ぐらい前って言われても・・・ウチら妖怪やからなぁ、
時間の感覚なんてほとんど・・・」「うう〜ん・・・あああっ!!ののはおぼえてるのれす!
このひと、おいかけっこしてかわにつっこんで、
ザリガニにからだじゅうハサミではさまれてたのれす!」「そう!それが僕だよ!」
「おおっ!のの!よう覚えてたなぁ!」
「なんだ〜。キミはこの子達と友達だったのか〜。
だったら話は早い。カオリの代わりに、この子達に
遊ぶな、って言ってくれる?」カオリさんのその言葉を聞くと、ちびっ子達は
強烈な拒否反応を示した。「嫌や!それはつまりウチらに『遊ぶな』と、『出ていけ』と言うんか!?」
「そうれす!もうののたちにはあそぶとこがないのれす!」
「せっかく見つけたベストプレイスやったのに・・・ぐすん・・・」
「せっかくみつけたべすとぷれ・・・なんだっけ、あいぼん?」
「『ベストプレイス』や、のの!とりあえず泣いとけ!」
「わかった。ぐすん・・・」
「・・・あのねぇ・・・カオリ、ウソ泣きは良くないと思うんだよねぇ」
カオリさんは呆れ顔で二人を強制除霊しようとした。
「わわっ!ちょっと待ってや!何する気なん!?」
「何するって、除霊すんのさ。イタズラ止めないって言うなら
仕方ないっしょ?」「わ、わかったのれす!やめるのれす!だから
じょれいとかおはらいはかんべんなのれす!」「ええっ!?それじゃウチらどこで暮らしたらええねん!?」
「あの〜、飯田さんのマンションでっていうのはどうでしょうか〜」
チビッコたちの掛け合いですっかり存在を忘れていた石川さんが
話を持ち出してきた。「えっ、カオリの家に住まわせるの〜!?でもまぁ、あ、そうだ、
座敷わらしが来た家は幸せになるんだっけ。よし!二人とも
カオリの家に来なさい!」カオリさんはいともあっさりと石川さんの提案を受け入れた。
と、いう事で、カオリさんのマンションには、カオリさん、僕、
そしてチビッコ妖怪二人が済む事となった。ちなみに比較的色白で
目が小さい女の子は「加護亜依」といい、舌っ足らずで八重歯が目立つ
女の子は「辻希美」といった。妖怪にもそれぞれ名前があるなんて、
考えた事もなかった。「わわっ、ちょっと、それカオリの大事なマグカップ!・・・」
「梨華ちゃ〜ん?このピンクのハンカチもろうてええ?」
「ダッ、ダメだよ〜!それは私のだよ〜!」
「てへてへ。アイスおかわりなのれす」
「・・・あのさ、アイス、もうないよ・・・」
今年の夏は、この人たちと過ごすのか・・・はぁ・・・
第一話「カオリとゆかいな仲間達」終わり
082
ネオ生茶 長編のためこちらへ
083
名無しっぺ 投稿日: 2001/08/11(土) 09:26
小鳥がさえずる日曜の朝。
「きゃああああああああっ!!!」
マンション中に響き渡りそうなほど甲高い声が聞こえた。
例のごとくのその声は石川さんだった。
ついさっき事務所(兼、飯田家)に来たかと思うと、
『トイレお借りしまーす』と言って、すぐにトイレに行ったはず。「どうしたの?石川さん」
僕は朝から自分の部屋の掃除をしていたのだが、その声で
作業を中止せざるを得なくなった。「トッ、トイレに入ろうとしたら・・・」
「石川はぶりっ子でアイドルだからトイレには行かないんでしょ〜?」
カオリさんが部屋から出てきた。今起きたばっかりのようだ。
「そんなぁ、そりゃ私だって、トイレぐらい・・・って、そうじゃなくって、
トイレに変な人が!!」「ええっ!石川、そういう事は早く言ってよ〜!」
「でも、入ってたのって、あのチビッコたちじゃないんすか?」
「いや〜、それはないね。さっきカオリ、あの子達が
寝てるの見たもん。誰か知んないけど、とりあえず、
ぶん殴るもの・・・これでいいや」
カオリさんは僕が使っていたホウキを取って、トイレの方に向かった・・・
かと思ったが、僕の後ろに隠れた。「ほら、早く行きなよ・・・」
「あの・・・カオリさん?もしかして・・・僕を盾にしてません?」
「何さ〜。当然っしょ?女の子を守るのは男の義務!
ホラ、行った行った!」僕は石川さんとカオリさんと従え、トイレに向かった。
「ここ、だよね?」
トイレのドアの前、僕たち3人は息を潜めていた。
「そうです・・・さっき開けたら、誰かが・・・
でも、顔は良く覚えてません・・・」石川さんが神妙な面持ちで答えた。
「よし、開けますよ・・・」
そーっとドアを開ける。緊張と恐怖の一瞬。
そしてドアの向こうには・・・「・・・え?」
ドアを開けた瞬間、大量の水が僕たちを襲った。
「うわぁっ!!」
「きゃあっ!」
「きゃあああああっ!!↑」
僕たちは全身びしょ濡れになってしまった。
「うわっ、ちょっとっ、これっ、トイレ壊れてるじゃない
ですかぁ!きゃあっ!↑」「ええ〜!?何で〜!?っていうか誰かいるのよー!」
「んあ〜?アハハ、ゴメンね〜。トイレ壊しちゃった〜」
水浸しのトイレの中、立っているのは力なくへらへらと笑う少女。
そして、彼女の足元には、ただの瓦礫と化したベンキ。僕たち3人は
ただただ呆然と立ち尽くすだけだった。僕たちは服を着替えタオルで体を拭き、一段楽したところで
ようやく気付いた。「あのコ。誰!?」
そう、今リビングに、僕とカオリさんと石川さん、そして、謎の女の子。
大体なんでトイレにいたのか?どうやってこの家に入ったのか?
謎は深まるばかり。だが、それはその謎の女の子自身が語ってくれた。
リビングでタオルで体や髪をふきながら、僕とカオリさん、そして石川さんは
その女の子を話を聞くことにした。「もう、なんでカオリのまわりはいつも変なことばっかりおきるんだろう?
もうやってらんないよ!」僕は、それはカオリさん自体が変だから、と言いたかったが、そこは抑えて、
目の前にいる、謎の女の子に質問した。「・・・で、キミは・・・誰?」
ぶしつけな言い方だが、こう言うほかにない。
「あはは〜、ゴメンね〜。トイレ壊しちゃって。実はさ〜、
アタシ人魚なんだよね〜」その場にいた三人は、しばらくの間思考が停止した。
084
加賀百万石 長編のためこちらへ
085
ちっくり 長編のためこちらへ
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ど素人 プロローグ ジャンプ
087
ど素人 第1話 ジャンプ
088
ど素人 第2話 ジャンプ
089
名前の無い作者 投稿日: 01/10/25 18:07
授業中なのに机の周りにかたまっている数人の男子。
教室全体もちょっと騒がしい。
今日は後期委員の決定をしているのだ。――「俺」の運命はここから少しずつ動き始めた…。
… … ……
「ジャン、ケン、ポンッ!!」
……「うわ、負けた!」――俺の名前は風間 博人(かざま ひろと)
どこにでもいる平凡な高校2年生。
さっきのジャンケンはというと…
うちの学校では毎年2年生が年1回の校誌を発行している。
運悪くその担当委員になってしまった(´д`;)
この編集作業、2ヶ月間の缶詰状態な挙句、まったく見返りが無い。
配布された日にゴミ箱に入るような本だ。
博人<「ああああああ、ついてねえなぁ…(そういや、各クラスから男女一人ずつ出るんだったよな…パートナー誰だろう?)」…んー?
不意に後ろから俺を呼ぶ声が聞こえる…。
??<「あ、博人君が担当なの?よろしくね!」
そこにいた見慣れた女子。
博人<「なんだ、吉澤か…。」
吉澤<「あ〜! 何か文句あるのぉ?」――彼女の名前は「吉澤 ひとみ」不思議な事に幼稚園からずっと同じ学校、
同じクラスだった。友達とは呼べる仲だが、それだけだ。
家も近いし、幼なじみとも言うかな。
口調はつっかかってきているが、表情はずっと笑顔のまま。
人気ワースト1の仕事なのになんで笑顔が作れるのやら。博人<「文句なんか言ってねえって(笑) よろしくな!」
吉澤<「うんっ!」よろしくとはいってはみたものの
先を考えただけで鬱になる。
これから2ヶ月間、ずっと編集作業だ(;´Д`)博人<「(今10月の終わりだから……げ、年末まで拘束かYo!)」
<「(まあ…吉澤となら気まずくもないけど…ハァ)」吉澤<「えっとねー…。」
話によれば明後日から早速始まるらしい。
博人<「オッケー(容赦ねえなオイ(゜゜;) )」
さっきからずっと吉澤が喋っているが、
重要な事は言い終わったらしく他の女子も絡んでいる。博人<「吉澤ぁ、俺もう帰るわ。じゃあな! (…今日は早く帰ろう )」
吉澤<「あ…。うん、またね!」俺は適当に話を切り上げて教室を後にした。
090
ジャイ プロローグ ジャンプ
091
ジャイ 第1話 ジャンプ
092
名無し is mine ! 投稿日: 01/11/04 11:23
「ふたり乗りっ!」
クラブ活動がようやく終って少し遅めの帰宅になった。携帯を片手に帰宅を急ぐ。
玄関の扉を開けて足元を見ると、白のかわいいスニーカーが少し乱雑に脱ぎ捨て
てある。彼女は仕事を終えて、もう帰ってきている様だ。居間に入ると、ソファーに座りテレビを見ているあいぼんがいた。大好きなアニメ
番組スーパーミル久ちゃんに夢中になっている「ただいま」と声をかけると、一瞬驚いて、微笑みながらこちらの方へ走り寄り、
僕の手前でチョコンと正座すると、「お〜かえり〜 な〜さいませ〜ぇ」と笑って
大げさに手を着いてお出迎えしてくれたその動きが見よう見まねの様で、余りにも大げさにしているので、僕は思わず吹き
だしてしまった。彼女は頭が良く、そういった「笑い」をちゃんと理解していて、
僕を毎度楽しませてくれるのだ。「今日の夕飯は何にしようか?」と聞くと、
「オムライスの〜大盛り!ハタ付き〜っ」ユーモアに答えるあいにくケチャップの残りが少ないので、近くのコンビニまで二人で買いに行く事
にした。 自転車に二人乗り、僕が前、あいぼんが後ろに乗って走り出す。
家の前の坂を下りはじめると、僕はあいぼんに聞いた、「今日は辻ちゃんは、呼ばなくていいの?」
「今日はいいの、今日は。」そう言って、僕のシャツをキュっと少し強めに掴んだ。自転車は更に加速度を増していく、僕はペダルから足を離して大きく開いた。
そして二人で叫んだ 「ヒャッホー!!」093
コンボ 長編のためこちらへ
094
ど素人 長編のためこちらへ
095
ねぇ、名乗って 投稿日: 01/12/02 07:13
今日、あさ美が俺のCDケースを踏んで割った。
大好きなアルバムだった。
涙目で俺に謝るあさ美。大した事じゃない。
俺が大好きなアルバムの一番大好きな曲はこんな風に歌ってる
「真夜中 この辺りで消灯を告げる鐘が鳴る 僕らはキスをして消えるだろう 浮動するシステムの中へ
そこには誰もいない 空気の音だけが響いている 騒々しい議論が巻き起こればきっと僕らの話題も出るだろう
そして僕らは宣言する今夜は特別な夜になりそうだ 車に乗って まっしぐらに街の景色の中を通り過ぎてく
楽しいかい?時々、幾つかの人生が出会う その瞬間には他のあらゆることがどうでも良くなってしまう
真夜中 君が恋しくなる そう 真夜中 僕は君にキスをする
空っぽのバーから 星々の安らぎまで 僕は僕らがどこにいるのか知っているテニスコートを過ぎて道の両側に木々が列を作っている そこでは街頭が微風に揺れている
僕とぶらつかないかい?
こんな夜には
キスをして 消えよう」それを今夜は実践しようかと思った。
俺はコートとマフラーを彼女に手渡した。鍵を手にした。
あ、そうだ、牛乳も買ってこなきゃ。
096
ねぇ、名乗って 投稿日: 01/12/04
玄関先に見慣れた靴があった。
おお、ツアーも終わってやっと帰ってきたのか、
俺は久しぶりに見る圭織の笑顔を思い浮かべながら
部屋のドアを開けた。「おかえり、圭織」
返事がない。
圭織は中空を眺めて机の前で正座している。
あれ、また交信してるのか。
仕方ない、いつものことだ。俺はあえて何も聞かず
冷蔵庫から缶ビールを二つ取り出して部屋に戻る。「なあ、今度のライブどうだった?」
俺が圭織の隣に座り込みながらビールを机におこうとした、
その時、「ねぇ、聞きたいことがあるの」
「え? なんだよ。そんなの後にして、とりあえず乾杯しようよ
久しぶりにお前の顔見れたしさ」
「大事な話なの。ちゃんと向こうに座って聞いて」
「へいへい」俺は言われたとおり圭織の向かいに座って正座する。
「これでいいっすか?」
「うん。
あのね、圭織、今日帰ってきてあなたの部屋を掃除してたの。
この部屋に帰ってくるの久しぶりだから気合い入れて掃除してたの。
そしたらね、こんなのが出てきたの」そう言って、机の上に置いたのは
『後藤まみ「恋のダンスナイト」』
「…な、ど、どこでこれ見つけたんだよ!」
「あのね、これをどこで見つけたなんて問題は関係ないの。
今話し合うべき問題は、圭織が一生懸命ライブツアーで
がんばってる時にあなたがこんなビデオを見ていた事なの」
「ちょっと待てよ。
俺は浮気したわけでも風俗に行ったわけでもねーぞ。
たかが、AV見たくらいで非難される謂われはないぞ!」「ねぇ、知ってる?
ペンギンはね、卵から雛にかえるまで
父親が身動きもしないで、ずーっと卵を暖めるの。
60日くらいお腹をすかせたまま一生懸命卵を暖め続けるの。
ペンギンって偉いよね」
「お、俺は人間だ!」
「ペンギン以下のね…」圭織はじーっと俺の目を見てそう呟く。
おい、俺は悪いことをしたのか?
ちょっとAV見ただけじゃねーかよ…。
何で畜生以下の存在にまで宣告されにゃならんのだ。けど、瞬きもせず俺から視線を全く外さない彼女の瞳を見ていると
どうしたって卑屈な態度を取ってしまう。だって、怖えーんだもん…
「あ、あの圭織さん。AV見たことは謝ります。
これから一生AV見ないことを誓いますので
許していただけませんでしょうか」土下座して謝る俺を見た圭織の瞳は、
ますます悲しみの影が濃くなってくる。
や、やばい。これでもダメなのか。
俺がそう思った瞬間、
圭織は大きく開いた瞳からポロポロと涙をこぼしはじめた。「だから圭織はぁ、AV見たことを言ってるんじゃないの。
何でわかってくれないの、もぅ…」(゚Д゚)ハァ?
ちょっと待て、ペンギンの例えはどう考えてもAVのことを怒ってるんだろう、
じゃねーと意味がつながんないぞ。
俺が必死に答えを探そうと悩んでるあいだにも、
圭織はますます激しく泣きじゃくる。「な、なぁ圭織、どうしたんだよ」
「誰も圭織のことわかってくれないのぉ。
もうやだぁ〜。あーんあーん」途方に暮れる俺。
ドウスリャイイノサ………「………、えっぐ、っぐ。うわぁーーーーーん!」
俺の方が泣きたいよ…
……
…………
……………………あれから30分。
ひとしきり泣いて気が済んだのだろうか、
とりあえず圭織も落ち着いてきたようだ。
少し温くなったビールをちびちびと口に付けている。
俺も隣に座って肩を抱いてやる。左肩にかかる圭織の体温が心地いい。「なぁ、圭織。
俺さ、どうしてもさっき圭織が怒った理由がわかんないんだ。
できれば後学のために教えてくれないか?」
「……、う゛、ごめんなさい。圭織どうかしてた、かも…」
「ん? いいよどんな理由でも。
俺が圭織を泣かしたことに違いはないんだからさ」
「……あ、あのね…。つまんない理由なんだけどね…」
「うん」
「あ、あのビデオね、後藤真希、のそっくりさんのビデオでしょ?」
「…、あ、ああ」
「…でね、圭織、あなたが後藤の方に魅力を感じてるのかな?
とか思ったら、なんかね、すごく許せなくなってきちゃってね…」
「……、なんだよそれ…」
「でもでも圭織にはすごく重大な問題だったんだよぉ〜」なんだ、そんなことであそこまで怒ってたのか…
照れ隠しに頬を紅潮させて喋り続けてる圭織を見てたら、
全身の力が抜けてきた。
後藤に、それもそっくりさんにヤキモチ妬くなんて…、
圭織らしい、っちゃらしいけどね…。
俺がお前以外の女に振り向くはずないじゃないか。「悪かったよ、圭織。もう後藤のそっくりさんのAVも
なっちや矢口や加護のそっくりさんのAVも見ないよ。
その代わりにさ、二人のビデオ撮ろうよ」
「え、………、それ、ひょっとして…」
「そう、二人で愛し合ってるところをさ。
そしたら俺、もうお前がいない時にAVにも風俗にも行かなくて済むしさ」
「あ、あの〜、それは……、ちょっと恥ずかしいかな…」カーペットの縁をもぞもぞとこねくり回しながら伏し目がちに呟く。
「結論は急がないから考えておいてよ。
んじゃあ、久しぶりに圭織も帰ってきたことだし、
とりあえず始めますか」
「何それ〜、ムードもなにもないじゃん。
やだ、圭織はぜーったいしないからねー」
「まあまあそう言わずに…」俺はそう言って圭織に唇に熱い口づけをする。
「もぅ、ダメっていってるのにぃ……、
ん、っはぁ、あぁ………」──── これもまた幸せな一日。
097
8200 長編のためこちらへ
098
やまだ 投稿日: 01/12/15 20:22
ピピピピ ピピピピ
今日も目覚ましが鳴る。
「・・・ん・・・もう朝か」
目が覚めると同時に、猛烈な寒さが襲ってきた。
(部屋の中でこれなら、外はもっと寒いだろうな・・・)
今日はやめよう。と思ったが、ふと、ある人の顔を思い出した。
「あの子、今日もいるんだろうな・・・」
俺は寒さを我慢して、布団から飛び起きた。外は真っ白だ。しかし、思ったより寒くはない。
道路は、昨日の除雪車のお陰で雪が全く無い。ありがた迷惑だよ。
俺はアパートの階段を降り、軽く柔軟体操をして走りだした。俺の名前は飯田秀樹。一応これでもプロボクサーだ。
プロっと言っても、プロ3年で2勝6敗。ここ最近は4連敗。
会長や勤め先の社長からも、引退を勧められている。
俺もそろそろ潮時かと思っている。
練習はしんどいし、減量はキツイ。走るのもダルイ。
次の試合で辞めようかな・・・。
「飯田さん、おはようございます」
急に明瞭な声が頭に飛び込んできて、フと我に帰った。
声のした方を見ると、いつもの少女の姿があった。
「あ、ああ、おはよう、あさ美ちゃん」099
我輩は犬である。 長編のためこちらへ
100
関西人Z 長編のためこちらへ